説明

反射型光学式エンコーダー

【課題】光検出器からの発生する熱を良好に放熱する光学式エンコーダーを提供する。
【解決手段】反射型光学式エンコーダー100は光源110とスケール120と光検出器130と支持基板140と光源スリット150とを備えている。光源110はスケール120に向けて光ビームを射出し、スケール120は光源110に対して移動する。スケール120は周期的な光学パターン124を有し、照射される光ビームを反射・変調する。光検出器130はフォトディテクターアレイ132を有し、スケール120によって反射・変調された光ビームによる結像イメージを検出する。光源110と光検出器130は共に支持基板140に取り付けられている。光源スリット150はスリットパターン154を有し、スリットパターン154が光源110の上にひさし状に張り出すように、フォトディテクターアレイ132が形成された光検出器130の面に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式エンコーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工作機械のステージや三次元計測定器などにおいて直線方向の変位量を検出するために、またサーボモーターなどにおいて回転角を検出するために、光学式や磁気式のエンコーダーが利用されている。
【0003】
光学式エンコーダーは一般的に、ステージなどの変位検出対象物に固定されるスケールと、スケールの変位を検出するためのセンサーヘッドとによって構成されている。センサーヘッドは、スケールに光を照射する発光部と、スケールによって変調された光ビームを検出するための受光部とを有しており、検出された光ビームの強度変化に基づいてスケールの移動が算出される。
【0004】
例えば特開平9−196706号公報は、代表的な反射型光学式エンコーダーを開示している。この反射型光学式エンコーダーについて図13を用いて説明する。
【0005】
この反射型光学式エンコーダーは、図13に示されるように、光源40と光源スリットG2とスケールG1と光検出器PDAとから構成されている。光源スリットG2は光源40とスケールG1の間に配置されている。スケールG1は周期的な光学パターンを有している。光源スリットG2は周期的なスリット開口部を有している。スケールG1と光源スリットG2は、スケールG1のピッチ方向と光源スリットG2のピッチ方向がほぼ平行になるように配置されている。光源スリットG2とスケールG1と光検出器PDAは互いに平行となっている。光検出器PDAは、所定周期の明暗パターンを検出するためのフォトディテクターアレイを有している。フォトディテクターアレイは一次元配列された複数のフォトディテクター62を有している。また光検出器PDAは、スリット開口部が形成された光源スリットG2の面と受光部(フォトディテクターアレイ)が形成された光検出器PDAの面とが互いに対向するように、光源スリットG2に固定されている。
【0006】
次にこの反射型光学式エンコーダーの動作について説明する。光源40から射出された光ビームは光源スリットG2を経由してスケールG1に照射される。光源スリットG2を通過した光ビームはスケールG1により反射・変調されて光検出器PDA上に照射される。このとき、光源スリットG2のピッチPa、スケールG1のピッチPs、光検出器PDA上のフォトディテクターアレイのピッチPb、光源スリットG2とスケールG1との間の距離Z1、光検出器PDAとスケールG1との間の距離Z2、光源から射出される光ビームの波長λが式(1)と式(2)と式(3)を満足する場合、スケールG1上に形成された周期パターンと相似な明暗パターンが結像イメージとして光検出器PDA上に投影される。
【0007】
(1/Z1)+(1/Z2)=λ/nPs … (1)
Pb=ps×(Z1+Z2)/Z1 … (2)
Pa=ps×(Z1+Z2)/Z2 … (3)
ここで、nは任意の自然数である。
【0008】
この反射型光学式エンコーダーでは、Z1とZ2は図13に示した通りほぼ等しいので、上記の三つの式は、Z1=Z2=Zとして、以下のように書き直せる。
【0009】
2/Z=λ/nPs … (4)
Pb=2Ps … (5)
Pa=2Ps … (6)
この従来例の反射型光学式エンコーダーは、式(4)と式(5)と式(6)を満足しているため、スケールG1上に形成された周期パターンと相似な明暗パターンが光検出器PDA上に投影される。この明暗パターンはスケールG1の移動に伴って光検出器PDA上を移動する。このため、この明暗パターンの動きを検出することによって、スケールG1の動きを求めることができる。
【0010】
光学式エンコーダーは高精度・高分解能・非接触式であり、さらに電磁波障害耐性に優れるなどの特徴を有しているため、さまざまな分野で利用されている。特に高精度・高分解能が要求されるエンコーダーは光学式が主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−196706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本実施形態では、光検出器PDAは光源スリットG2にのみ取り付けられており、光源スリットはこれを支える図示しない基材とのみ接触している。すなわち、光検出器PDAを動作させることにより発生する熱の逃げ場がほとんどない。光検出器PDAは温度によってその特性が変化することが知られており、従来技術によるエンコーダーの場合、光検出器PDAの自己の発熱は光検出器PDAの感度特性を変化させ、検出信号に悪影響を与えてしまう。この影響は、信号処理などを行なう電気回路を搭載した光検出器PDAの場合、特に顕著となる。
【0013】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、光検出器からの発生する熱を良好に放熱する光学式エンコーダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は反射型光学式エンコーダーに向けられている。反射型光学式エンコーダーは、光源と、光源に対して相対的に移動するスケールとを備えている。光源はスケールに向けて光ビームを射出する。スケールは周期的な光学パターンを有し、光学パターンは光源から照射される光ビームを反射・変調する。反射型光学式エンコーダーはさらに、光源から射出されスケールによって反射・変調された光ビームによる結像イメージを検出する光検出器と、光源と光検出器が平坦な面にじかに共に取り付けられた支持基板と、光源から射出されスケールに到達する光ビームの光路上に配置された光源スリットとを備えている。光源スリットは、複数の開口を有するスリットパターンを有している。光検出器は、光ビームを受けるフォトディテクターアレイを有している。光源スリットは、スリットパターンが少なくとも光源の上に張り出すように、フォトディテクターアレイが形成された光検出器の面に取り付けられている。反射型光学式エンコーダーは、スケールの光学パターンのピッチをPs、光源スリットのスリットパターンのピッチをPa、光検出器のフォトディテクターアレイのピッチをPb、スリットパターンが形成された光源スリットの面と光学パターンが形成されたスケールの面との間の距離をZ1、光学パターンが形成されたスケールの面とフォトディテクターアレイが形成された光検出器の面との間の距離をZ2、光源から射出される光ビームの波長をλとしたとき、nを任意の自然数として、(1/Z1)+(1/Z2)=λ/nPs,Pb=Ps×(Z1+Z2)/Z1,Pa=Ps×(Z1+Z2)/Z2を満足している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光検出器から発生する熱を良好に放熱する光学式エンコーダーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態による反射型光学式エンコーダーの斜視図である。
【図2】図1に示された反射型光学式エンコーダーの上面図である。
【図3】反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図4】図1に示されたスケールの上面図である。
【図5】図1に示されたフォトディテクターアレイの上面図である。
【図6】本発明の第一実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの上面図である。
【図7】本発明の第二実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図8】本発明の第二実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図9】本発明の第三実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図10】本発明の第三実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図11】本発明の第四実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図12】本発明の第四実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図である。
【図13】特開平9−196706号公報に開示されている反射型光学式エンコーダーを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0018】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態による反射型光学式エンコーダーの斜視図である。図2は、図1に示された反射型光学式エンコーダーの上面図である。図3は、反射型光学式エンコーダーの側面図である。図4は、図1に示されたスケールの上面図である。なお図2ではスケールの図示は省かれている。
【0019】
反射型光学式エンコーダー100は、図1と図3に示されるように、光源110と、光源110に対して相対的に移動するスケール120とを備えている。
【0020】
光源110は、例えば、波長λの光ビームを射出するベアチップのLEDである。光源110は、図3に示されるように、スケール120に向けて光ビームを射出する。
【0021】
スケール120は、図4に示されるように、ガラス基板122と、ガラス基板122の表面に形成された周期的な光学パターン124を有している。光学パターン124は、例えば、スケール120の移動方向すなわちX方向に周期P1で一次元配列された複数の金属薄膜からなる反射パターンである。光学パターン124は、光源110から照射される光ビームを反射・変調する。
【0022】
図1〜図3に示されるように、反射型光学式エンコーダー100はさらに、光源110から射出されスケール120によって反射・変調された光ビームによる結像イメージを検出する光検出器130と、光源110と光検出器130が共に取り付けられた支持基板140と、光源110から射出されスケール120に到達する光ビームの光路上に配置された光源スリット150とを備えている。
【0023】
光検出器130は、フォトディテクターアレイ132と、電気回路134と、電極パッド136と、これらの電気素子が形成された半導体基板138とを有している。フォトディテクターアレイ132は、スケール120によって反射・変調された光ビームを受ける受光部を構成している。電気回路134は、フォトディテクターアレイ132から出力される電流信号を処理する処理回路や、光源110を駆動する駆動回路などを含んでいる。電極パッド136は、電気回路134を介して、フォトディテクターアレイ132や光源110と電気的に接続されている。電極パッド136は光源スリット150によって覆われていない。
【0024】
光源110と光検出器130が共に取り付けられる支持基板140の面は平坦であり、光源110と光検出器130はじかに支持基板140に固定されている。支持基板140には電気配線や電極パッド146が形成されている。支持基板140に形成された電極パッド146はボンディングワイヤー148を介して半導体基板138に形成された電極パッド136と電気的に接続されている。
【0025】
光源110の厚さは光検出器130の厚さよりも薄い。すなわち、光源110と光学パターン124が形成されたスケール120の面との間の距離をZ0、光学パターン124が形成されたスケール120の面とフォトディテクターアレイ132が形成された光検出器130の面との間の距離をZ2としたとき、Z0>Z2である。
【0026】
光源スリット150は、光源110から射出される光ビームに対して透光性を有する透光部材であるガラス板152と、ガラス板152の表面に形成されたスリットパターン154とを有している。スリットパターン154は、図2に示されるように、X方向に周期Psで配列された複数の開口を有する開口パターンである。スリットパターン154は、例えば、ガラス板152の表面にクロム膜を形成し、これをパターニングして作製される。
【0027】
スリットパターン154は本実施形態では複数の開口を有しているが、ただ一つの開口を有していてもよい。つまり光源スリット150は少なくとも一つの開口を有してればよい。
【0028】
図3に示されるように、光源スリット150は、スリットパターン154が形成された光源スリット150の領域が光源110の上にひさし状に張り出すように、フォトディテクターアレイ132が形成された光検出器130の面に取り付けられている。スリットパターン154が形成された光源スリット150の面とフォトディテクターアレイ132が形成された光検出器130の面は対向している。図2に示されるように、光源スリット150のガラス板152はフォトディテクターアレイ132の全体を覆っている。
【0029】
図2に示されるように、光検出器130のフォトディテクターアレイ132と光源スリット150のスリットパターン154はY方向に離れている。また図3に示されるように、光源110と光検出器130はほぼY方向に離れている。より詳しくは、図2から分かるように、光検出器130のフォトディテクターアレイ132の中心と光源スリット150のスリットパターン154とがほぼ一直線上に位置している。
【0030】
次に図5を参照してフォトディテクターアレイ132についてさらに詳しく説明する。フォトディテクターアレイ132は、図5に示されるように、一次元的に配列された複数のフォトディテクター132aを有している。フォトディテクター132aは、フォトディテクターアレイ132に投影される周期p2の明暗パターンの90度ずつ異なる四つの位相部分を検出できるように、周期p2ごとに電気的に接続された四つのグループ+Aと+Bと−Aと−Bに分けられている。これら四つのグループから出力信号は位相が互いに90度ずつ異なる。例えば+Aグループの出力信号と−Aグループの出力信号とは位相が180度異なる反転信号の関係になっている。これらの四つのグループの出力信号S(+A)とS(+B)とS(−A)とS(−B)は、図2に示される電気回路134に出力される。電気回路134は、内部の信号処理回路によって、A相信号=S(+A)−S(−A)とB相信号=S(+B)−S(−B)を計算して出力する。
【0031】
次に本実施形態の反射型光学式エンコーダー100の動作について説明する。光源110から射出された光ビームは光源スリット150を通ってスケール120に照射され、光学パターン124によって反射・変調される。スケール120によって反射・変調された光ビームはフォトディテクターアレイ132に入射する。
【0032】
反射型光学式エンコーダー100は前述の式(1)と式(2)と式(3)を満足している。このため、スケール120の光学パターン124と相似な明暗パターンがフォトディテクターアレイ132に投影される。この明暗パターンはスケール120の動きに応じてフォトディテクターアレイ132上を動くため、この明暗パターンの動きを検出することによりスケール120の動きを求めることができる。
【0033】
本実施形態においては、フォトディテクターアレイ132と光源スリット150のスリットパターン154とが、図3に示されるように、Y方向すなわちスケール120の移動方向であるX方向に対して光学パターン124が形成された面上において直交する方向に離れて配置されており、この方向において重なり部分を有していない。
【0034】
光源110から射出された光ビームはスケール120によって反射・変調されてフォトディテクターアレイ132に照射されるが、このように構成されているため、スケール120がZ方向に変位した場合、図3から容易に想像できるように、フォトディテクターアレイ132上に形成される明暗パターンはY方向に移動する。この移動方向はスケール120の移動方向であるX方向に直交しているので、スケール120がZ方向に移動したのかX方向に移動したのかを混同する心配がない。
【0035】
図13に示される従来技術では、光源スリットG2とフォトディテクターアレイPDAとがX方向に離れて配置されており、Y方向において重なり部分を有している。このため、スケール120がZ方向に変位した場合もX方向に移動した場合も、明暗パターンはX方向に移動する。従って、スケール120がZ方向に変位したのかX方向に移動したのかを明暗パターンの移動から判別することができない。
【0036】
これに対して本実施形態では、フォトディテクターアレイ132とスリットパターン154がY方向に離れているため、スケール120がX方向に移動したときだけフォトディテクターアレイ132からの出力信号が変化する。このため、スケール120のZ方向の変位をX方向の移動として誤検出することはない。
【0037】
また本実施形態では、図3に示されるように、光源スリット150のガラス板152はフォトディテクターアレイ132全体を覆うように取り付けられている。このため、光源110からスケール120に到達するまでの光ビームの光路104と、スケール120からフォトディテクターアレイ132に到達するまでの光ビームの光路106は、同じ厚さで同じ材質のガラス板を通過する。このため、式(1)におけるZ1とZ2とがほぼ等しいという条件をより正確に満足する。従って、Z1=Z2がより安定に実現でき、結果として式(4)と式(5)と式(6)をより満足しやすい。
【0038】
本実施形態の反射型光学式エンコーダー100では、フォトディテクターアレイ132と電気回路134などが形成された半導体基板138から発生する熱は、光源スリット150を経由して空気中に、また支持基板140を経由して外部に放熱される。このとき、支持基板140の底面すなわち半導体基板138が配置された面と反対側の面を、ステージなどの変位検出対象物への取り付け面とすることにより、より効果的に放熱を促すことができる。
【0039】
さらに本実施形態の反射型光学式エンコーダー100は、支持基板140の上面が平坦であり、部品点数もスケール120を除けば光源110と支持基板140と光源スリット150と半導体基板138だけと少なく抑えられているため、低コスト化や小型化に向いた構造となっている。
【0040】
本実施形態では、光検出器130とスリットパターン154がY方向に離れているが、両者の位置関係はこれに限定されるものではなく、X方向に離れていてもよい。図6は、本実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの上面図である。なお図6ではスケールの図示は省かれている。図6に示されるように、本変形例の反射型光学式エンコーダー100Aでは、光検出器130とスリットパターン154はX方向に離れて配置されている。このように構成することにより、支持基板140のY方向の幅を小さくすることが可能となるため、より狭いスペースで使用可能な光学式エンコーダーを構成することが可能となる。
【0041】
[第二実施形態]
図7は、本発明の第二実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図であり、図3に示された第一実施形態の反射型光学式エンコーダーの側面図に相当する図である。図7において、図3に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0042】
本実施形態は、光源の厚さが光検出器の厚さよりも厚い事態に対応する構成に向けられている。一般に光源は透明な樹脂やキャンなどにパッケージングされており、光検出器の厚さより厚いことが多い。
【0043】
図7に示されるように、本実施形態の反射型光学式エンコーダー200では、光源210の厚さが光検出器230の厚さよりも厚い。このため、光検出器230は、Z0>Z2となるように、高さ調整部材260を介して支持基板140に取り付けられている。
【0044】
これにより、光検出器130よりも厚い光源110を用いながらも、第一実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0045】
図8は、本発明の第二実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図である。図8において、図7に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0046】
図8に示されるように、本変形例の反射型光学式エンコーダー200Aは、平坦な支持基板140に代えて、階段状部分を有する支持基板240を有している。光源210と光検出器230は、Z0>Z2となるように、それぞれ高さが異なる段に取り付けられている。言い換えれば、支持基板240は、光源210と光検出器230の厚さの差より大きい段差を有しており、低い段に光源210が取り付けられ、高い段に光検出器230が取り付けられる。
【0047】
本変形例によれば、高さ調整部材を必要とすることなく、光源210と光検出器230の高さ調整を行なうことができる。
【0048】
本実施形態では、光源210が光検出器230よりも厚い例を示したが、本実施形態の手法は、逆に光源210が光検出器230よりも非常に薄い場合に適用されてもよい。その場合、光源210と支持基板240との間に高さ調整部材260を設けたり、支持基板240の段差の高い段に光源210を取り付けたりして、光源210と光検出器230が所望の高低差になるように高さ調整を行なってもよい。
【0049】
このように構成することにより、光源210や光検出器230の厚さに関係なく、光検出器230から発生する熱を効率良く放熱させることができる反射型光学式エンコーダーを構成することができる。
【0050】
本実施形態においても、光検出器230とスリットパターン154はY方向に離れているが、図6に示される第一実施形態の変形例のように、光検出器230とスリットパターン154はX方向に離れていてもよい。
【0051】
[第三実施形態]
図9は、本発明の第三実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図であり、図3に示された第一実施形態の反射型光学式エンコーダーの側面図に相当する図である。図9において、図3に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0052】
図9に示されるように、本実施形態の反射型光学式エンコーダー300では、光検出器130と、光検出器130と支持基板140を電気的に接続している電気要素(すなわちボンディングワイヤー148と電極パッド)が樹脂370によって封止されている。これにより、光検出器130が樹脂370によって保護されるため、衝撃などによる破壊の恐れが少ない。また、ボンディングワイヤー148が樹脂370によって保護されるため、ボンディングワイヤー148が断線する危険が少ない。さらに、半導体基板138上の電気回路134と電極パッド136と支持基板140上の電極パッド146とが樹脂370によって保護されるため(図2参照)、外気などの影響による電気回路134と電極パッド136と電極パッド146の経時変化が少ない。
【0053】
また、光源110と、スケール120に対向する光源スリット150の上面と、スリットパターン154とが、樹脂370によって封止されることなく露出している。従って、光源110から射出されスケール120を経由してフォトディテクターアレイ132に入射する光ビームの光路上には樹脂370がない。このため、変位検出に用いられる光ビームが樹脂370の影響を受けることがなく、より安定で高精度の検出が可能となる。また、光源110から射出される光ビームに対して不透明な樹脂を樹脂370に適用することも可能である。さらに、スケール120とフォトディテクターアレイ132とスリットパターン154とのZ方向の距離を正確に合わせる際に、光源スリット150のガラス板152の上面を基準としてスケール120との間の距離を調整することが可能であり、位置調整が容易となる。
【0054】
これまでの説明から分かるように、本実施形態の反射型光学式エンコーダー300は、第一実施形態と同様の利点に加えて、光検出器130やボンディングワイヤー148が良好に保護されるという利点を有する。
【0055】
図10は、本発明の第三実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図である。図10において、図9に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0056】
本変形例の反射型光学式エンコーダー300Aでは、図10に示されるように、支持基板140上の素子のすべてが、光源スリット150の上面を除いて、樹脂370Aによって封止されている。すなわち、光検出器130と、光検出器130と支持基板140を電気的に接続している電気要素(すなわちボンディングワイヤー148と電極パッド)と、光源110と、光源スリット150のスリットパターン154の部分とが、樹脂370Aによって封止されている。樹脂370Aは、光源110から射出される光ビームに対して透光性を有している。
【0057】
本変形例の反射型光学式エンコーダー300Aでは、光検出器130とボンディングワイヤー148に加え、光源110もが樹脂370Aによって保護される。また、樹脂370Aが設けられる領域は、図9に示された反射型光学式エンコーダー300において樹脂370が設けられる領域に比べて大きく、支持基板140上のほぼ全面となっている。このため、樹脂370Aによる封止が容易になり、製造コストが低減される。
【0058】
本実施形態および本実施形態の変形例において、光源110と半導体基板138の高さがそのままでは不適切な場合には、第二実施形態と同様に、高さ調整部材260が付加されたり、支持基板140が段差状部分を有する支持基板240に変更されたりしてよい。
【0059】
本実施形態においても、光検出器130とスリットパターン154はY方向に離れているが、図6に示される第一実施形態の変形例のように、光検出器130とスリットパターン154はX方向に離れていてもよい。
【0060】
[第四実施形態]
図11は、本発明の第四実施形態による反射型光学式エンコーダーの側面図であり、図3に示された第一実施形態の反射型光学式エンコーダーの側面図に相当する図である。図11において、図3に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0061】
図11に示されるように、本実施形態の反射型光学式エンコーダー400では、支持基板140上の素子のすべてが樹脂370Aによって封止されている。すなわち、光検出器130と、光検出器130と支持基板140を電気的に接続している電気要素(すなわちボンディングワイヤー148と電極パッド)と、光源110と、光源スリット150とが、樹脂370Aによって封止されている。樹脂370Aは、光源110から射出される光ビームに対して透光性を有している。
【0062】
本実施形態の反射型光学式エンコーダー400では、樹脂370Aを部分的に設ける必要がないため、樹脂370Aによる封止が容易になり、製造コストが低減される。
【0063】
本実施形態の変形例を図12に示す。
【0064】
図12は本発明の第四実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダーの側面図であり、図11に示された第四実施形態の側面図に相当する図である。図12において、図11に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0065】
図12に示されるように本実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダー400Aでは、支持基板140上の素子のすべてが樹脂370Aと370Bによって封止されている。光源110から出射され光検出器130に向かう光路上には、光源110から出射される光ビームに対して透光性を有する樹脂370Aにより封止されている。また、それ以外の領域の一部は光源110から出射される光ビームに対して遮光性を有する樹脂370Bによって封止されている。
【0066】
本実施形態の変形例による反射型光学式エンコーダー400Aでは、光源110から出射された光ビームのうちスケールを経由しないで光検出器に入射するものや外光等を軽減することが可能となる。
【0067】
本実施形態では、光源110から射出されスケール120を経由してフォトディテクターアレイ132に入射する光ビームの光路上に樹脂370Aが存在するため、樹脂370Aは、光ビームが通過する部分がなるべく平坦となるように整形されることが望まれる。平坦化の一例としては、樹脂370Aを硬化させる際にガラス板などの平坦な部材を押し当てて樹脂370Aを硬化させる、樹脂370Aの硬化後に表面を研磨する、などの手法が適用可能である。
【0068】
本実施形態においても、光検出器130とスリットパターン154はY方向に離れているが、図6に示される第一実施形態の変形例のように、光検出器130とスリットパターン154はX方向に離れていてもよい。
【0069】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさまざまな変形や変更が施されてもよい。
【0070】
上述したすべての実施形態において、光源は、ベアチップのLEDまたは樹脂モールドされたLEDであるとして説明したが、これに何ら限定されるものではなく、キャンパッケージされたLEDやランプ形のLEDであってもよい。また、ストライプレーザーや面発光レーザーなどの半導体レーザーが適用されてもよい。半導体レーザーを用いる場合、射出される光ビームのスペクトル線幅が狭くなるため、フォトディテクターアレイ上に形成される明暗パターンの単位光出力あたりの強度が大きくなるため、より効率的にエンコーダーを動作させることが可能となり、また、エンコーダーとしての特性を特に向上させることが可能となる。上述した光源のほかにも、RC−LEDやSLD、電流狭窄型のLEDなどのさまざまな光源を使用することにより、性能や価格などの目的に応じたエンコーダーを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
100…反射型光学式エンコーダー、100A…反射型光学式エンコーダー、110…光源、120…スケール、122…ガラス基板、124…光学パターン、130…光検出器、132…フォトディテクターアレイ、132a…フォトディテクター、134…電気回路、136…電極パッド、138…半導体基板、140…支持基板、146…電極パッド、148…ボンディングワイヤー、150…光源スリット、152…ガラス板、154…スリットパターン、200…反射型光学式エンコーダー、200A…反射型光学式エンコーダー、210…光源、230…光検出器、240…支持基板、260…高さ調整部材、300…反射型光学式エンコーダー、300A…反射型光学式エンコーダー、370…樹脂、370A…樹脂、400…反射型光学式エンコーダー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光源に対して相対的に移動するスケールとを備えており、光源はスケールに向けて光ビームを射出し、スケールは周期的な光学パターンを有し、光学パターンは光源から照射される光ビームを反射・変調し、さらに、
光源から射出されスケールによって反射・変調された光ビームによる結像イメージを検出する光検出器と、
光源と光検出器が共に平坦な面にじかに取り付けられた支持基板と、
光源から射出されスケールに到達する光ビームの光路上に配置された光源スリットとを備えており、光源スリットは、複数の開口を有するスリットパターンを有し、光検出器は、光ビームを受けるフォトディテクターアレイを有し、光源スリットは、スリットパターンが光源の上に張り出すように、フォトディテクターアレイが形成された光検出器の面に取り付けられており、
スケールの光学パターンのピッチをPs、光源スリットのスリットパターンのピッチをPa、光検出器のフォトディテクターアレイのピッチをPb、スリットパターンが形成された光源スリットの面と光学パターンが形成されたスケールの面との間の距離をZ1、光学パターンが形成されたスケールの面とフォトディテクターアレイが形成された光検出器の面との間の距離をZ2、光源から射出される光ビームの波長をλとしたとき、nを任意の自然数として、
(1/Z1)+(1/Z2)=λ/nPs
Pb=Ps×(Z1+Z2)/Z1,
Pa=Ps×(Z1+Z2)/Z2
を満足している、反射型光学式エンコーダー。
【請求項2】
スケールの移動方向をX方向、光学パターンが形成されたスケールの面上においてX方向に直交する方向をY方向、光学パターンが形成されたスケールの面に垂直な方向をZ方向としたとき、光検出器のフォトディテクターアレイと光源スリットのスリットパターンはY方向に離れており、光源と光検出器はほぼY方向に離れている、請求項1に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項3】
光検出器のフォトディテクターアレイの中心と光源スリットのスリットパターンの中心とがほぼ一直線上に位置している、請求項2に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項4】
光源と光学パターンが形成されたスケールの面との間の距離をZ0としたとき、Z0>Z2である、請求項2に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項5】
光源スリットは、光源から射出される光ビームに対して透光性を有する透光部材と、透光部材に形成されたスリットパターンとを備えており、スリットパターンが形成された光源スリットの面とフォトディテクターアレイの形成された光検出器の面とが互いに対向している、請求項4に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項6】
光源スリットの透光部材は光検出器のフォトディテクターアレイを覆っている、請求項5に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項7】
光検出器は、フォトディテクターアレイに加えて、フォトディテクターアレイと電気的に接続された電極パッドと、フォトディテクターアレイと電極パッドが形成された半導体基板とを有し、フォトディテクターアレイは、半導体基板に一次元配列された複数のフォトディテクターを有し、電極パッドは半導体基板上に形成されていて、光源スリットによって覆われていない、請求項5に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項8】
光源と光検出器の少なくとも一方が高さ調整部材を介して支持基板に取り付けられている、請求項4または請求項5に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項9】
支持基板は階段状部分を有しており、光源と光検出器がそれぞれ高さが異なる段に取り付けられている、請求項4または請求項5に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項10】
光検出器は、フォトディテクターアレイに加えて、フォトディテクターアレイと電気的に接続された電極パッドを有し、支持基盤は外部回路へ接続可能な電極パッドを有し、光検出器の有する電極パッドと支持基盤の有する電極パッドは電気要素により電気的に接続されており、光検出器の有する電極パッド、支持基盤の有する電極パッド、電気要素を封止する樹脂部材をさらに備えている、請求項4または請求項5に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項11】
樹脂部材は光源から射出される光ビームに対して透光性を有し、光源スリットと光源が共に樹脂部材によって封止されている、請求項10に記載の反射型光学式エンコーダー。
【請求項12】
光源から射出されスケールを経由して光検出器のフォトディテクターアレイに到達する光ビームの光路上を除いた樹脂部材の領域の少なくとも一部は、光源から射出される光ビームに対して遮光性を有している、請求項10に記載の反射型光学式エンコーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159518(P2012−159518A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121151(P2012−121151)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2004−367940(P2004−367940)の分割
【原出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】