説明

反射鏡式照明器具

【課題】 小型でかつグレアを抑制することのできる反射鏡式照明器具を提供する。
【解決手段】 この反射鏡式照明器具は、回転体である反射面5aを回転軸に沿って分割してなる反射鏡5と、反射鏡5の分割面が近接するように反射面5aを取り付ける取り付け板3と、反射鏡5の内面に臨むように前記取り付け板3に取り付けられるLEDパッケージと、を有する複数の反射鏡式発光体Uを具備し、取り付け板3は、反射面5aの縁部よりもLEDパッケージ6から離れる側に延出した状態で、反射鏡5の外面5bと取り付け面3bとが対向するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射鏡式照明器具に係り、特に光源からの光を効率的に反射させる反射鏡式照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球に代わる照明装置として、光源としてLED(発光ダイオード)素子を用いた照明器具が用いられるようになってきている。車両用灯具ユニットのように、発光素子が反射鏡の光軸と直交する方向に向けて配置された反射型の車両用灯具ユニットにおいては、発光素子から反射鏡に入射することなく反射鏡の前方側の空間へ向かう直射光の割合が多くなる。
そこで、発光素子の配光パターンのホットゾーンの明るさを十分に確保した上で効率を高めるべく、光軸上において車幅方向内側に向けて発光素子を配置した車両用灯具ユニットが提案されている(特許文献1、段落0033など)。この車両用灯具ユニットは、発光素子からの光を前方に向けて反射させるリフレクタ(反射鏡)とこのリフレクタに入射することなくリフレクタの前方側の空間に向かう直接光を制御する直接光制御部材とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-226788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用灯具ユニットでは、直接光制御部材をLED素子近傍に配設することで、部品増となる上、調整によっては光量低下の原因となり、配光制御を十分に実施しようとすると反射鏡を大型としなければならず、コストアップとなる可能性がある。一方、大規模建築などで用いられるアッパーライトでは、必要な出力を担保するために複数の発光体を配置する場合があるが、この場合、反射鏡を大きくしないと、見る角度によってはグレアが大きくなる。このため、照明器具の大型化を免れ得ないという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、小型でかつグレアを抑制することのできる反射鏡式照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の反射鏡式照明器具は、反射鏡と、反射鏡の端面を含む面上で、反射面を取り付ける取り付け板と、この反射鏡の内面に臨むように取り付け板に取り付けられるLEDパッケージと、を有する複数の反射鏡式発光体を具備した反射鏡式照明器具であって、取り付け板は、LEDパッケージからの直接光を遮断し得る程度に、LEDパッケージからの光の出射面側に延出されるとともに、反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置される。
また、本発明は、上記反射鏡式照明器具において、取り付け板が、反射面の縁部よりもLEDパッケージから離れる側に延出した状態で、反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置される。
また、本発明は、上記反射鏡式照明器具において、反射鏡式発光体は、各反射鏡式発光体の光出射面からみて反射鏡の縁部が互い違いとなるように配置される。
また、本発明は、上記反射鏡式照明器具において、反射鏡式発光体は、取り付け板がLEDパッケージを収容する凹部を有し、収容された状態でLEDパッケージの光軸が、取り付け板に直交する方向よりも、反射鏡の分割面に近い方向を向くように構成される。
また、本発明は、上記反射鏡式照明器具において、反射鏡式発光体は、取り付け板が独立して回動可能である。
また、本発明は、上記反射鏡式照明器具において、反射鏡は、回転体である傘状反射面を回転軸に沿って分割されたものである。
本発明においては、LED素子を樹脂封止して構成された発光装置をLEDパッケージというものとする。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、取り付け板が、LEDパッケージからの直接光を遮断し得る程度に出射面側に延出されるとともに、反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置されるため、この取り付け板は反射鏡から漏れる直射光を遮光する遮光板として機能する。このため、反射鏡のサイズを小型とした状態で、配光制御やグレアを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1の反射鏡式照明器具を示す図、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図
【図2】実施の形態1の反射鏡式照明器具を構成する反射鏡式発光体(ユニット)Uを示す要部拡大図
【図3】実施の形態2の反射鏡式照明器具の要部拡大断面図
【図4】実施の形態3の反射鏡式照明器具の全体上面図
【図5】実施の形態3の反射鏡式照明器具の要部斜視図
【図6】実施の形態2の反射鏡式照明器具の全体上面図
【図7】実施の形態4の反射鏡式照明器具の要部断面図
【図8】実施の形態4の変形例の反射鏡式照明器具の要部断面図
【図9】実施の形態5の反射鏡式照明器具の要部断面図
【図10】実施の形態6の反射鏡式照明器具を示す図、(a)は要部上面図、(b)は要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
この反射鏡式照明器具10は、全体概要を図1((a)および(b))に示すように、筐体1内に、4行5列で20個の反射鏡式発光体ユニットを配列したものである。この反射鏡式照明器具において、各反射鏡式発光体ユニットは、筐体1内に、反射鏡5と、この反射鏡5の端面5eを含む面上で、この反射面5aを取り付ける取り付け板3と、反射鏡5の内面に臨むように取り付け板3に取り付けられるLEDパッケージ6と、を有している。そして、この取り付け板3は、このLEDパッケージ6からの直接光Lを遮断し得る程度に、LEDパッケージ6からの光の出射面側に延出されるとともに、反射鏡5の外面5bと取り付け板3の取り付け面3bとが対向するように配置される。そしてこの反射鏡5は、回転体である反射面を回転軸に沿って分割しこの分割面が近接するように反射面を取り付け板3に取り付けて構成される。ここで2は蓋部であり、筐体1に係合するように設置され、レンズ2aと、フィルタ2bと、保護ガラス2cとの積層体で構成される。光源からの光のうち、光軸を含む面で分割される一方の領域に向かう光を反射板5で反射する一方、レンズ2aで他方の領域に向かう光をこの反射板5の反射光と略同方向に集光する。
図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図2はこの反射鏡式発光体Uを示す要部拡大図である。
【0009】
この反射鏡式照明器具10においては、図2に要部拡大断面図を示すように、LEDパッケージ6は、反射鏡5の内面である反射面5aに臨むように取り付け板3に取り付けられている。そして反射鏡5は、回転体である反射面を回転軸に沿って分割して形成されており、光源としてのLEDパッケージ6からの光Lが直接出射するのを防ぎ、平行光となって矢印A1で示す上方に導かれるような面を構成している。この取り付け板は、上記反射面の縁部よりも上記LEDパッケージから離れる側に延出した状態で、上記反射鏡の外面と取り付け面とが対向している。そしてこの取り付け板3は、反射鏡5の分割面5Vが近接するように反射面5aを取り付けている。
【0010】
このようにして、実施の形態1の反射鏡式照明器具によれば、この取り付け板3は、傘状反射面の縁部よりもLEDパッケージ6から離れる側に延出した状態で、反射鏡5の外面5bと取り付け面とが対向するように配置される。従って、取り付け板3は反射鏡から漏れる直射光を遮光する遮光板として機能するため、反射鏡の小型化をはかりつつ良好な平行光を発することができ、良好にグレアを抑制することが可能となる。
【0011】
なお、実施の形態1では、蓋部2にレンズ2aを挟み込み、集光機能を持たせるようにしたが、反射鏡で平行光を出射できるようにすることで、集光機能が不要となる場合もある。
また、取り付け板の表面は、透光板でなければよく、反射板あるいは集光板で構成すればよい。
加えて、この反射鏡式照明器具10においては、複数の反射鏡式発光体を配列して形成したが、1個でも良い事はいうまでもない。1個の場合は取り付け板が箱状の筐体を構成し反射鏡の外面側にも配されるようにすればよい。
【0012】
(実施の形態2)
この反射鏡式照明器具20においては、図3に要部拡大断面図を示すように、反射鏡式照明器具のひとつの反射鏡式発光体を構成したものである。この反射鏡式照明器具20において、反射鏡15は、図2に示した実施の形態1の反射鏡式照明器具の反射鏡に比べ反射鏡の鏡面の曲率が大きく、取り付け板13の端面よりも突出している点を除くと、実施の形態1の反射鏡式照明器具の反射鏡と同様に、回転体である反射面を回転軸に沿って分割して形成されており、光源としてのLEDパッケージ16からの光が直接出射するのを防ぎ、平行光となって矢印A2で示す上方に導かれるような面を構成している。
他の部分については実施の形態1の反射鏡式照明器具と同様に形成されるためここでは説明を省略する。
【0013】
またLEDパッケージ16は、反射鏡15の内面である反射面15aに臨むように取り付け板13に取り付けられる。そしてこの取り付け板13は、反射鏡15の外面15bと取り付け面とが対向するように配置される。
【0014】
実施の形態2の反射鏡式照明器具によれば、反射鏡の反射面15aを調整することで、反射鏡の小型化をはかりつつ、反射鏡から漏れる直射光を低減し、良好にグレアを抑制することが可能となる。なお実施の形態2の反射鏡式照明器具20を示す図3と、実施の形態1の反射鏡式照明器具10を示す図2とを比較すると、大型となってはいるが、集光率は向上する。
【0015】
(実施の形態3)
実施の形態3の反射鏡式照明器具30においては、図4に全体上面図、図5に要部斜視図を示すように、各反射鏡式発光体の光出射面からみて反射鏡の縁部が互い違いとなるように配置されるものである。すなわち、この反射鏡式照明器具30は、4行4列で16個の反射鏡式発光体を千鳥状に配列したものである。この反射鏡式照明器具30において、個々の反射鏡式発光体自体は、図1に示した実施の形態1の反射鏡式照明器具の反射鏡式発光体の一つと同様に形成されているが、配列が千鳥状に配列された点で異なる。
【0016】
この反射鏡式照明器具30(図4参照)は、実施の形態1の反射鏡式照明器具10の反射鏡式発光体の配列構造を模式的に示す図6との比較から明らかなように、厚さが実施の形態1の反射鏡式照明器具に比べて小さく、筐体21は極めて薄型となっている。
そして、実施の形態1の反射鏡式照明器具の反射鏡と同様に、回転体である反射面を回転軸に沿って分割して形成されており、図5に要部拡大斜視図を示すように、光源としてのLEDパッケージ26からの光L3が直接出射するのを防ぎ、平行光となって矢印A3で示す上方に導かれるような面を構成している。そしてこの取り付け板23は、反射面の縁部よりもLEDパッケージから離れる側に延出した状態で、反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置され反射鏡25の分割面が近接するように反射面25aを取り付けている。
【0017】
かかる構成によれば、反射鏡式発光体は、反射鏡の光出射面からみて反射鏡の縁部が互い違いとなるように配置されるため、反射鏡式発光体の配置密度を向上させることができ、照明器具を小型化することができる。
【0018】
(実施の形態4)
実施の形態4の反射鏡式照明器具においては、図7に要部断面図を示すように、LEDパッケージ36の光軸B0が取り付け板33に直交する方向よりも、反射鏡35の分割面に近い方向を向くようにしたものである。ここで取り付け板33は透光性材料で構成されている。
この構成によれば、LEDパッケージ36の光軸が、取り付け板33に直交する方向よりも、反射鏡の分割面に近い方向を向くので、よりグレアを低減することができ、反射鏡35をさらに小型化することができる。従って筐体自体も小さくすることができ、照明器具全体としても小型化を図ることができる。なお取り付け板33を透光性材料で構成することで、より光の取り出し効率を向上することができる。
【0019】
なお、このLEDパッケージ36の光軸B0が取り付け板33に対して回動可能に形成してもよい。このとき、図7のように光軸B0が取り付け板33に斜交した状態から、図8に示すように、LEDパッケージ36の光軸B0が取り付け板33に直交する方向となるようにしたときは、取り付け板33を遮光性部材あるいは反射性部材で構成することで、隣接する反射鏡式発光体の取り付け板33で直射光を遮蔽することができる。
【0020】
(実施の形態5)
実施の形態5の反射鏡式照明器具においては、図9に要部断面図を示すように、実施の形態4の反射鏡式照明器具と同様、LEDパッケージ46の光軸B1が取り付け板43に直交する方向よりも、反射鏡45の分割面に近い方向を向くようにした点は、同様であるが、取り付け板がLEDパッケージを収容する凹部47を有し、この凹部47に収容された状態でLEDパッケージ46の光軸B1が取り付け板43に斜交するように構成したものである。
【0021】
この構成によれば、LEDパッケージ46が凹部47に収容されているため、光源が見えない。従って、光軸が、取り付け板43に直交する方向よりも、反射鏡の分割面に近い方向を向くので、よりグレアを低減することができ、反射鏡45をさらに小型化することができる。なお、この反射鏡式照明器具においては、取り付け板43が反射鏡45よりも突出して形成されているが、この例では、反射鏡45の反射面で直接光は反射されるため、取り付け板は直接光の遮断に寄与しなくてもよい場合もある。このため反射鏡45はLEDパッケージ46の取り付け板43への取り付け位置から突出しないように配置されるようにしてもよく、更なる小型化をはかることができる。
このように実施の形態5の反射鏡式照明器具においては、反射鏡式発光体は、取り付け板がLEDパッケージを収容する凹部47を有し、収容された状態でLEDパッケージ46の光軸B1が、取り付け板に直交する方向よりも、反射鏡の分割面に近い方向を向くため、よりグレアを低減することができる。
【0022】
(実施の形態6)
実施の形態6の反射鏡式照明器具においては、図10(a)および(b)に要部上面図および要部断面図を示すように、反射鏡式発光体は、取り付け板53が独立して回動可能であることを特徴とするものである。
本実施の形態では、LEDパッケージ56の反射鏡55に対する角度Q1,Q2は一定であるが、取り付け板53がそれぞれ独立して回動可能に構成したものである。他の構成については前記実施の形態1と同様であり、同一部位には同一符号を付した。
これにより、光の出射方向を調整することができる。また異なる方向に向くように調整することで演出性を高めることができる。取り付け板が回動することで個別に光の出射方向を可変とすることができるので、任意の場所に光を集光させることができる。
【符号の説明】
【0023】
1、11、21 筐体
3、13、23、33、43、53 取り付け板
3b 取り付け面
5、15、25、35、45、55 反射鏡
5a 反射面
5b 外面
6、16、26、36、46、56 LEDパッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射鏡と、
前記反射鏡を取り付ける取り付け板と、
前記反射鏡の内面に臨むように前記取り付け板に取り付けられるLEDパッケージと、を有する複数の反射鏡式発光体を具備した反射鏡式照明器具であって、
前記取り付け板は、前記LEDパッケージからの直接光を遮断し得る程度に、前記LEDパッケージからの光の出射面側に延出されるとともに、前記反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置される反射鏡式照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の反射鏡式照明器具であって、
前記取り付け板は、前記反射面の縁部よりも前記LEDパッケージから離れる側に延出した状態で、前記反射鏡の外面と取り付け面とが対向するように配置される反射鏡式照明器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射鏡式照明器具であって、
前記反射鏡式発光体は、各反射鏡式発光体の光出射面からみて前記反射鏡の縁部が互い違いとなるように配置される反射鏡式照明器具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の反射鏡式照明器具であって、
前記反射鏡式発光体は、前記取り付け板が前記LEDパッケージを収容する凹部を有し、収容された状態で前記LEDパッケージの光軸が、前記取り付け板に直交する方向よりも、前記反射鏡の分割面に近い方向を向く反射鏡式照明器具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の反射鏡式照明器具であって、
前記反射鏡式発光体は、前記取り付け板が独立して回動可能である反射鏡式照明器具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の反射鏡式照明器具であって、
前記反射鏡は、回転体である傘状反射面を回転軸に沿って分割されたものである反射鏡式照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−175788(P2011−175788A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37761(P2010−37761)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】