説明

収穫機

【課題】玉葱、馬鈴薯等の根菜類を収穫する際のコンベア上で収穫物に傷をつきにくくする収穫機を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送コンベア20は、搬送幅方向に設置されるコンベアバーB及びコンベアバーAが搬送コンベア20の進行方向に交互に設置され、コンベアバーBは直線上面部74aを有し、コンベアバーAは、コンベアバーBの直線上面部74aより低い位置に第一の直線上面部73´aと第二の直線上面部81aを有し、第二の直線上面部81aはガイド40により収穫物201がガイドされる範囲に存在し、第一の直線上面部73´aより一段高くなっていることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関し、特に、玉葱、馬鈴薯等の根菜類を収穫する際のコンベア上で収穫物に傷をつきにくくする収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の収穫機の側面図であり、図6は従来の収穫機の平面図である。図で示された収穫機は、クローラー10が回転することにより前進ながら、まず、玉葱、馬鈴薯等の根菜類の収穫物は、搬送コンベア20の先端部に設けられたかき込みコンベア30により取り込まれる。かき込みコンベア30は、かき込みコンベアゴム31が図5の矢印の方向に回転することで収穫物を搬送コンベア20上へ載せられる。そして、搬送コンベア20上に載った収穫物は、搬送コンベア20に搬送されて(図5の矢印の方向)一定角で上に上がっていき、その後、搬送コンベア20の後部に設けられたスクリーン51を介して、収納容器であるコンテナ52に収納される構成となっている。作業者は、操作部56で操作し、必要に応じステップ55やイス54で別の作業者が作業を行えるようになっている。また、コンテナを数多く載せたい場合はコンテナ台53が設けられる。
【0003】
搬送コンベア20上に載った収穫物を搬送コンベア20に搬送される場合、ガイド40により、かき込みコンベア30側の収穫幅より狭い幅にして、スクリーン51へ送られる。これによりコンテナ52への収納を容易なものとすることができる。ガイド40は、搬送コンベア20による搬送幅が前方(かき込みコンベア30側)では広く、後方(コンテナ52側)では狭くするように斜めに設けられている。
【0004】
一方、図7は従来の収穫機の搬送コンベア部平面図である。図8は、従来の収穫機の搬送コンベア部要部拡大側面図である。図9は、従来の収穫機のコンベアバーAを示す図であり、図10は従来の収穫機のコンベアバーBを示す図である。
【0005】
搬送コンベア20は、コンベアチェーン21が両側に設けられその間にコンベアバーAとコンベアバーBが交互に取り付けられている。コンベアバーAは、図9に示されるように、両端に取付部71を有し、そして、その内側には同じ段部72を両側に有しているため直線部73が低くなる構成となっている。一方、コンベアバーBは、両端に取付部71を有し内側は直線部のみの全体直線部74で形成されている。このため、図8で示されるように、コンベアバーBの全体直線部74に対して、その間にあるコンベアバーAの直線部73が低くなっている。これにより、収穫物201の搬送は、図7に示されるように、コンベアバーBの間に収穫物201が位置して搬送されることになる。ガイド40は、収穫物201の中程に当接するように設けられている。
【0006】
また、特許文献1には、搬送収穫物のいも類を中央部に寄せるように案内する左右一対の中央寄せ案内板を設けている農作物収穫機が記載されている。
【特許文献1】特開平7−107828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図5〜図10に示した従来の収穫機においては、搬送コンベア20で、収穫物201を搬送する際に、収穫物201がガイド40に当接するとき、ガイド40や収穫物201の後ろ側のコンベアバーBに強く接触して傷がつきやすく、せっかくの収穫物を傷めてしまう原因となっていた。
【0008】
また、特許文献1に記載の発明も上記の課題を解決するものではない。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、玉葱、馬鈴薯等の根菜類を収穫する際のコンベア上で収穫物に傷をつきにくくする収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の収穫機は、収穫物を搬送する搬送コンベアと、当該搬送コンベアによる搬送幅を収穫物に当接させて狭めるためのガイドとを有する収穫機において、前記搬送コンベアは、搬送幅方向に設置される第一のコンベアバー及び第二のコンベアバーが搬送コンベアの進行方向に交互に設置され、前記第一のコンベアバーは直線上面部を有し、前記第二のコンベアバーは、前記第一のコンベアバーの直線上面部より低い位置に第一の直線上面部と第二の直線上面部を有し、前記第二の直線上面部は前記ガイドにより収穫物がガイドされる範囲に存在し、前記第一の直線上面部より一段高くなっていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の収穫機は、前記第二のコンベアバーの前記第二の直線上面部は、前記第一の直線上面部の延長上に棒材を平行に接合することにより形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の収穫機は、前記第二のコンベアバーは、前記第一の直線上面部と前記第二の直線上面部の間に段部を設けることで曲げ加工により形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の収穫機は、収穫物を搬送する搬送コンベアと、当該搬送コンベアによる搬送幅を収穫物に当接させて狭めるためのガイドとを有する収穫機において、前記搬送コンベアは、搬送幅方向に設置される第一のコンベアバー及び第二のコンベアバーが搬送コンベアの進行方向に交互に設置され、前記第一のコンベアバーは直線上面部を有し、前記第二のコンベアバーは、前記第一のコンベアバーの直線上面部より低い位置に第一の直線上面部と第一の直線上面部に向けて下る方向に傾斜する傾斜上面部を有し、前記傾斜上面部は前記ガイドにより収穫物がガイドされる範囲に存在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収穫機において、玉葱、馬鈴薯等の根菜類を収穫する際のコンベア上で収穫物に傷をつきにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。下記の各実施例は、図5〜10の従来例と異なる点について述べる。同一の箇所は同一の符号を付してある。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1のコンベアバーAを示す図である。実施例1では、図5〜10の従来例とは、コンベアバーAが異なる。実施例1のコンベアバーAは、両端に取付部71を有し、そして、取付部71の近傍の内側にはそれぞれ同じ段部72を両側に有している。それにより、段部72の内側の直線部73が低くなる構成となっている。この直線部73の(延長上となる)ガイド40側に、棒材である丸棒81を平行に溶接等で接合して、ガイド40側を一段高くする構成となっている。
【0016】
コンベアバーAの直線部73の上面部73´aと丸棒81の上面部81aは、コンベアバーBの全体直線部74の上面部74aより低くなっているが、丸棒81の上面部81aは直線部73の上面部73´aより一段高くなる構成となっている。そして、コンベアバーAの直線部73の上面部73´aに対するコンベアバーBの全体直線部74の上面部74aの高さは従来例と同じである。
【0017】
このため、丸棒81が接合された部分は、搬送物201の座りを不安定にし、また、搬送物201のガイド40にあたる高さを相対的に低くしよせやすくしている。このことにより、搬送物である収穫物201の傷をつけにくくしている。そして、コンベアバーAの直線部73に対するコンベアバーBの全体直線部74の高さは従来例と同じであるので、この部分では確実な搬送がなされる。
【0018】
図2は、実施例1のコンベアバーAを設置した搬送コンベア部平面図である。丸棒81が接合される範囲について説明する。丸棒81が接合される範囲はガイド40が収穫物201をガイドする範囲である。また、丸棒81が接合される範囲をガイド40が収穫物201をガイドされる範囲(図2の下側)から収穫物が寄せられるガイドの最終端40aよりα分ガイドされる側まで延ばしてもよい。αは、ガイドの最終端においても収穫物1つが丸棒81の上面部81aに載るように設定される。例えば、たまねぎであれば、一例としてαの値が10〜15cmの範囲があげられる。この場合は確実にガイドの最後まで座りを不安定な収穫物が1つは存在することになり傷がつきにくくなる。
【0019】
実施例1では、図9で示した従来例のコンベアバーAに丸棒81を接合するので、従来例のコンベアバーAを使用し後付加工により本発明を実現可能となる。
【実施例2】
【0020】
図3は、実施例2のコンベアバーAを示す図である。実施例2も図5〜10の従来例とは、コンベアバーAが異なる。実施例2のコンベアバーAは、両端に取付部71を有している。そして、ガイド40の反対側の取付部71の近傍の内側には段部72を、ガイド40側の取付部71の近傍の内側には段部72より小さい段部となるガイド側段部91を有している。さらに、段部72の内側には第二直線部94とガイド側段部91の内側には第一直線部92とそれぞれつながっており第一直線部92と第二直線部94の間には、中間段部93を有している。このことにより、第一直線部92は、第二直線部94より一段高くなっている。第一直線部92の範囲は実施例1で説明した丸棒81が接合される範囲と同様である。
【0021】
コンベアバーAの第一直線部92の上面部92aと第二直線部94の上面部94aは、コンベアバーBの全体直線部74の上面部74aより低くなっているが、第一直線部92の上面部92aは第二直線部94の上面部94aより一段高くなる構成となっている。そして、コンベアバーAの第二直線部94の上面部94aに対するコンベアバーBの全体直線部74の上面部74aの高さは従来例と同じである。
【0022】
このため、第一直線部92の位置を高くした部分は、搬送物201の座りを不安定にし、また、搬送物201のガイド40にあたる高さを相対的に低くし寄せやすくしている。このことにより、搬送物201の傷をつけにくくしている。そして、コンベアバーAの第二直線部94に対するコンベアバーBの全体直線部74の高さは従来例と同じであるので、この部分では、確実な搬送がなされる。
【0023】
実施例2では、コンベアバーAを曲げ加工により実現可能であるため、コストを安く製造することが可能となる。
【実施例3】
【0024】
図4は、実施例3のコンベアバーAを示す図である。実施例3も図5〜10の従来例とは、コンベアバーAが異なる。実施例3のコンベアバーAは、両端に取付部71を有し、そして、ガイド40と反対側の取付部71の近傍の内側には段部72を、ガイド40側の取付部71の近傍の内側には小さい段部である傾斜側段部104を有している。そして、傾斜側段部104の内側は内側(ガイドされる側)に向かって下る方向に傾斜する傾斜部101となっており、曲がり部102を介して片側直線部103に接続している。片側直線部103は、段部72の内側に接合している。これにより、ガイド40側には、傾斜部101が形成される構成となっている。傾斜部101の範囲は実施例1で説明した丸棒81が接合される範囲と同様である。
【0025】
コンベアバーAの傾斜部101の上面部101aと片側直線部103の上面部103aは、コンベアバーBの全体直線部74の上面部74aより低くなっている。そして、傾斜部101の上面部101aは、片側直線部103の上面部103aに向けて下る方向に傾斜している。コンベアバーAの片側直線部103の上面部103aに対するコンベアバーBの全体直線部74の上面部74aの高さは従来例と同じである。
【0026】
このため、傾斜部101の傾斜により、搬送物である収穫物201をよせやすくしている。このことにより、搬送物201の傷をつけにくくしている。コンベアバーAの片側直線部103に対するコンベアバーBの全体直線部74の高さは従来例と同じであるので、この部分では確実な搬送がなされる。
【0027】
実施例3でも、コンベアバーAを曲げ加工により実現可能であるため、コストを安く製造することが可能となる。
【0028】
以上、実施例では、従来例で示された自走式の収穫機をベースに述べたが、自走式だけでなく、他の走行体に装着されるタイプの収穫機であっても搬送コンベア20とガイド40を構成する収穫機であれば適用可能である。また、ガイド40は片側だけのタイプを示したがこれに限るものではない。すなわち、ガイドによりガイドされる範囲にコンベアバーAを一段高くする構成や、ガイドされる方向に向けて下る方向に傾斜する傾斜部を設けることにより本発明は実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1のコンベアバーAを示す図である。
【図2】実施例1のコンベアバーAを設置した搬送コンベア部平面図である。
【図3】実施例2のコンベアバーAを示す図である。
【図4】実施例3のコンベアバーAを示す図である。
【図5】従来の収穫機の側面図である。
【図6】従来の収穫機の平面図である。
【図7】従来の収穫機の搬送コンベア部平面図である。
【図8】従来の収穫機の搬送コンベア部要部拡大側面図である。
【図9】従来の収穫機のコンベアバーAを示す図である。
【図10】従来の収穫機のコンベアバーBを示す図である。
【符号の説明】
【0030】
20 搬送コンベア
40 ガイド
73 直線部
74 全体直線部
81 丸棒
92 第一直線部
93 中間段部
94 第二直線部
101 傾斜部
103 片側直線部
201 収穫物
A コンベアバーA
B コンベアバーB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を搬送する搬送コンベアと、当該搬送コンベアによる搬送幅を収穫物に当接させて狭めるためのガイドとを有する収穫機において、
前記搬送コンベアは、搬送幅方向に設置される第一のコンベアバー及び第二のコンベアバーが搬送コンベアの進行方向に交互に設置され、
前記第一のコンベアバーは直線上面部を有し、
前記第二のコンベアバーは、前記第一のコンベアバーの直線上面部より低い位置に第一の直線上面部と第二の直線上面部を有し、
前記第二の直線上面部は前記ガイドにより収穫物がガイドされる範囲に存在し、前記第一の直線上面部より一段高くなっていることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
請求項1に記載の収穫機において、
前記第二のコンベアバーの前記第二の直線上面部は、前記第一の直線上面部の延長上に棒材を平行に接合することにより形成されていることを特徴とする収穫機。
【請求項3】
請求項1に記載の収穫機において、
前記第二のコンベアバーは、前記第一の直線上面部と前記第二の直線上面部の間に段部を設けることで曲げ加工により形成されていることを特徴とする収穫機。
【請求項4】
収穫物を搬送する搬送コンベアと、当該搬送コンベアによる搬送幅を収穫物に当接させて狭めるためのガイドとを有する収穫機において、
前記搬送コンベアは、搬送幅方向に設置される第一のコンベアバー及び第二のコンベアバーが搬送コンベアの進行方向に交互に設置され、
前記第一のコンベアバーは直線上面部を有し、
前記第二のコンベアバーは、前記第一のコンベアバーの直線上面部より低い位置に第一の直線上面部と第一の直線上面部に向けて下る方向に傾斜する傾斜上面部を有し、
前記傾斜上面部は前記ガイドにより収穫物がガイドされる範囲に存在していることを特徴とする収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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