説明

収納袋

【課題】長期間保管に適した収納袋を提供する。
【解決手段】本発明の収納袋1は、フィルム状袋2と、フィルム状袋2を収納する内袋4と、内袋4を収納する外袋6とを有する。外袋6は、上縁の対向する位置に、該上縁を互いに留める結束バンド20を備え、結束バンド20によって対向する上縁が互いに留められた状態では、結束バンド20の両側に、外袋6の内部にアクセス可能な開口が形成されるようになっており、開口から内袋4の持ち手18が収納袋1の外部に突出可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納袋に関し、特に、例えば土砂や汚泥等を収納する収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂や汚泥等を収納する土嚢袋としては、例えば特許文献1に記載されるように、袋に吊り上げ用の吊り帯を装着したものが知られている。この土嚢袋は、内部に土砂等を収納することができ、吊り帯をクレーン等で吊り上げることにより、土嚢袋を移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−223248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような土嚢袋は、土砂を収納して盛土に使用する他、汚泥や食料、その他様々なものを収納して保管用の袋として使用する場合がある。しかしながら、前述のような構造の土嚢袋では、長期間、特に屋外において保管すると、袋だけでなく吊り帯も劣化してしまい、土嚢袋をクレーン等で吊り上げることができない。したがって、このような土嚢袋は、長期保管用には不向きである。
【0005】
本発明の目的は、長期間保管に適した収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の収納袋は、袋状に形成されるとともに内部に内袋を収容可能な外袋を有し、外袋は、上縁の対向する位置に、該上縁を互いに留める留め手段を備え、留め手段によって対向する上縁が互いに留められた状態では、留め手段の両側に、外袋の内部にアクセス可能な開口が形成されるようになっている、ことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、外袋が、内部に内袋を収容可能となっているので、例えば内袋が収容された状態では、内袋が保護される。したがって、内袋を長期間保管した場合でも、内袋の劣化が防止される。したがって長期間保管した後に、収納袋を他の場所に移動させることが可能となる。また、外袋が留め手段で上縁が互いに留められた状態で、留め手段の両側に開口が形成されるので、例えば外袋の内部に内袋が収容されている状態では、開口から内袋にアクセスすることが可能になる。したがって、内袋に吊り帯がついている場合には、開口から内袋の吊り帯を取り出し、内袋を吊り上げることも可能となる。その際、留め手段によって外袋の対向する上縁が互いに留められているので、外袋が内袋から外れてしまうのを防止することができ、移動作業が容易になる。
【0008】
本発明において、好ましくは、外袋の内部に収容可能な内袋を更に有し、内袋は、該内袋を持ち上げられるように持ち手を有し、持ち手は、外袋の留め手段で上縁が互いに留められた状態で、開口を通して外袋の外部に突出可能となっている。
このように構成された本発明においては、内袋の持ち手が開口を通して外袋の外部に突出可能となっているので、外袋を内袋から外すことなく、内袋の持ち手を操作して、収納袋を移動させることが可能になる。またこの時、留め手段によって外袋の対向する上縁が互いに留められているので、外袋が内袋から外れてしまうのを防止することができ、移動作業が容易になる。
【0009】
本発明において、好ましくは、内袋の内部に収容可能な非透水性のフィルム状袋を更に有する。
このように構成された本発明においては、内袋の内部に非透水性のフィルム状袋が設けられているので、フィルム状袋内部の収納物が雨水やほこり等から保護され、より長期間の保管が可能になる。
【0010】
本発明において、好ましくは、フィルム状袋内には、吸水性材料が収納されている。
このように構成された本発明においては、フィルム状袋内に吸水性材料が収納されているので、フィルム状袋が長期間の保管によって破れた場合でも、内部の収納物の水分が外にしみ出すのが防止される。
【0011】
本発明において、好ましくは、外袋内面には、水溶性ポリマーの層が形成されている。
このように構成された本発明においては、外袋の内面に水溶性ポリマーの層が形成されているので、外袋を含む収納袋を現地に設置して収納物を収納した後、水溶性ポリマーに水を含ませることによって外袋内面に水の層が形成される。この水の層により、収納物による外部の影響が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る収納袋の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る収納袋の使用方法を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る収納袋の使用方法を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る収納袋の使用方法を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る収納袋の使用方法を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る収納袋の使用方法を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る収納袋の移動方法を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る外袋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、第2実施形態以降では、第1実施形態と同様の構成には、図面に第1実施形態と同一符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る収納袋1の斜視図である。この図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る収納袋1は、土砂、汚泥、食料等の任意の収納物を収納するフィルム状袋2と、フィルム状袋2を内部に収納可能となっている内袋4と、内袋4を内部に収納可能となっている外袋6と、を備える。
【0015】
フィルム状袋2は、気密フィルム、例えば軟質ポリオレフィン等の気密フィルムで作られており、上方が開口した円柱の袋状に形成されている。フィルム状袋2の上部周面外側には、フィルム状袋2の開口を閉じるための絞り紐8が取り付けられている。
また、フィルム状袋2内部には、例えば水溶性ポリマー等の吸水材を収納した、ビニール等で作られた袋10が収容されている。なお、この吸水材を収納した袋10は、任意の構成であり、水漏れをより確実に防ぎたい場合には収容されることが好ましいが、収納物の水分が少ない場合や、外部からの水分の染みこみの心配が少ない環境で保管される場合等には、収容されていなくてもよい。
【0016】
内袋4は、円柱の袋状に形成された本体12と、本体12に取り付けられた吊りベルト14と、を備える。本体12は、例えばポリエステル、ポリプロピレン等のある程度耐久性に優れた材料で作られており、上部周面外側には、内袋4の開口を閉じるための縛り紐16が取り付けられている。
吊りベルト14は、本体12の底面において十字型に配置され、本体12の周面においては4本の吊りベルト14が周方向に等間隔に、上下方向に沿って配置されている。吊りベルト14は、本体12の底面及び周面下部において、縫いつけ、接着等によって固定されている。吊りベルト14は、本体12の周面上部において本体12に固定されておらず、周面に配置された4本の吊りベルト14のうちの2本ずつが本体12の開口より上方で連続する(接続する)ことにより、2つの持ち手18を形成している。この吊りベルト14の2つの持ち手18を引っかけてクレーン等で内袋4を持ち上げることが可能となっている。
【0017】
外袋6は、屋外等の厳しい外部環境のもとでも長期保管が可能な材料で作られており、そのような材料としては、例えばポリエチレン繊維の紐状部材を編んで布状に形成したものにポリエチレンフィルムをコーティングした材料等が使用できる。また、外袋6の材料としては、例えば引張強度が、縦方向で1700N/5cm以上、横方向で1600N/5cm以上、破断伸度が、縦方向、横方向共に12%以上、引裂強度が、縦方向で230N以上、横方向で210N以上の材料が採用できる。外袋6の外面には酸化チタン被膜が形成され、内面にはアルミ蒸着が施されており、これにより、高強度、高UV耐候性が確保される。
外袋6は、略直方体の袋状に形成されており、上縁において、一方の対向する辺の略中央に、対向する上縁を互いに留める留め手段として結束バンド20が取り付けられている。また、結束バンド20が取り付けられている辺に隣接する、他方の対向する辺には、上縁に沿って複数のはとめ22が設けられている。
【0018】
このような構造の本実施形態に係る収納袋1には、次のような手順で土砂等の内容物を収納する。
図2から図6は、本実施形態に係る収納袋1の使用方法を示す。まず、前述の図1に示すフィルム状袋2を内袋4の内部に収納し、内袋4を外袋6の内部に収容して、図2に示すように、3重構造の収納袋1を形成する。そして、図3に示すように、収納袋1の周囲に、収納袋1の上縁を開口させた状態で保持するための仮設枠24を設置する。内袋4の持ち手18を収納袋1の外部に出して、仮設枠24に固定することにより、内袋4を地面から若干浮かせた状態でセットする。この状態で、建機等で土砂等の内容物を搬入し、フィルム状袋2に充填する。このとき、フィルム状袋2の内部には、吸水材を収納した袋10が配置されているが、内容物が収納されるときに、袋10が破れ、吸水材がフィルム状袋2の底部に分散される。
【0019】
フィルム状袋2に内容物を充填した後、仮設枠24を外し、図4に示すように、フィルム状袋2の上部開口を縛り紐8で閉じる。その後、図5に示すように、内袋4の上部開口も縛り紐16で閉じ、更に外袋6の結束バンド20で外袋6の対向する辺の略中央において対向する位置を互いに留める。この状態では、外袋6の結束バンド20の両側には、外袋6の上縁によって形成された2つの開口26が形成される。これらの開口26からは、内袋4の持ち手18が収納袋1の外部に突出可能となっている。
【0020】
次に、図6に示すように、内袋4の持ち手18を外袋6内に収納し、その後、外袋6のはとめ22にラッキングロープ28を通して、外袋6の開口を閉じる。
以上のようにして、収納袋1に内容物を収納し、収納袋1を閉じる。収納袋1を閉じた状態では内袋4の本体12も持ち手18も外袋6内に収納され、収納袋1を屋外で保管しても、内袋4が風雨や紫外線に曝されない。また、内容物から水分が出た場合には、フィルム状袋2の底部に分散されている吸水材がその水分を吸収する。
【0021】
長期間保管の間に、収納袋1を別の場所に移動させる必要が生じた場合には、以下のようにして作業を行う。
図7は、本実施形態に係る収納袋1の移動方法を示す。収納袋1を移動させる場合には、先ず、外袋6のラッキングロープ28を外して、図7に示すように、外袋6の上縁に2つの開口26を作り、各開口26からそれぞれ内袋4の持ち手18を突出させる。そして、この持ち手18をクレーン等に引っかけ、収納袋1を持ち上げる。この時、外袋6の結束バンド20は互いに上縁を留めたままになっているので、内袋4を持ち上げても、外袋6が外れることがない。
クレーン等で収納袋1を所望の場所に移動させた後、内袋4の持ち手18を外袋6内に収納し、その後ラッキングロープ28を外袋6のはとめ22に通し、図6に示すように外袋6を再び閉じる。
【0022】
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
収納袋1が、内袋4を収納する外袋6を有しているので、収納袋1を長期間屋外で保管した場合でも、内袋4が劣化するのを防止することができる。したがって、内袋4の持ち手18の劣化も防止することができ、長期間保管後に収納袋1を他の場所に移動させる場合に、持ち手18で収納袋1を吊って移動させることができる。
【0023】
外袋6の上縁に結束バンド20を設けたので、結束バンド20を互いに留めた状態では、内袋4の持ち手で収納袋1を吊った際に、外袋6が抜け落ちてしまうことがない。したがって、内袋4の劣化を防止しながら、収納袋1の移動を行う際の作業を簡単に行うことができる。また、結束バンド20を互いに留めた状態では、結束バンド20の両側に開口26が形成される。これらの開口26から内袋4にアクセスすることができるから、収納袋1の移動作業を簡単に行うことができる。また、内袋4の持ち手18を開口26から外部に突出させることができるので、外袋6を内袋4の外側に装着したまま、移動作業を行うことができ、移動作業を簡便に行うことができる。
【0024】
内袋4の内部に非透水性のフィルム状袋2が収納されているので、土砂等の内容物の水分が外部に染み出すのを防止することができる。また、収納袋1を屋外に保管する場合には、雨水が内容物に染み込むのを防止することができる。このような非透水性のフィルム状袋2は、外部に流れ出すのを防止する必要がある内容物、例えば放射性物質を含む汚泥や化学物質を含む土砂等の収納に適している。
【0025】
フィルム状袋2の内部に吸水材を収納した袋10が配置されているので、内容物の水分を吸収することができ、もしフィルム状袋2が破損した場合でも、水分が外部に染み出すのを防止することができる。また、もしフィルム状袋2が破損した場合にも、フィルム状袋2外部からの水分を吸水材が吸収するので、水分が内容物に染み込むのを防止することができる。
【0026】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る収納袋50について説明する。本実施形態に係る収納袋50は、外袋52の構造が第1実施形態と異なる他は、第1実施形態に係る収納袋1と同様の構造を有する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る収納袋50の外袋52の断面図である。外袋52は外シート54及び内シート56を備えた2重構造となっており、外シート54と内シート56との間には、水溶性ポリマーが充填されている。このような構造により、外シート54と内シート56との間には、水溶性ポリマーの層58が形成される。
【0027】
このような外袋52を用いて土砂等の内容物を収納する際には、第1実施形態と同様にフィルム状袋2に内容物を収納し、フィルム状袋2を閉じ、内袋4を閉じる。その後、外袋52の外シート54及び内シート56の間に水を充填する。外シート54と内シート56との間には水溶性ポリマーが充填されているので、水溶性ポリマーが保水し、外シート54及び内シート56の間には、水の層が形成される。本実施形態では、水の層は約30〜50mmの厚みとなる。
【0028】
このように構成された本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
外袋52に水溶性ポリマーの層が形成されているので、外袋52の内面に水の層を形成することができる。この水の層によって外袋52に遮蔽壁が形成されるから、内容物による外部への影響、または外部からの内容物への影響を抑制することができる。これは特に、例えば内容物が放射性物質を含む汚泥である場合に、水の層が遮蔽壁となって放射能の外部への放出を防止するので、効果的である。
【0029】
外袋52を含む収納袋1を現地に設置して内容物を収納してから水をかけることによって水の層を形成することができるから、現地に運ぶまでの収納袋1の軽量化を図ることができる。例えば内容物が放射性物質を含む汚泥である場合、外袋52の内側に鉛シートを配置する等して放射能の放出を抑制する手法が考えられるが、鉛シートは高価である上、重量があり、取扱いが難しい。これに対して、本実施形態の外袋52では、水溶性ポリマーの層58が形成されているので現地に設置して内容物を収納するまでは収納袋1を比較的軽くすることができ、その後水を充填することによって所望の遮蔽性能を得ることができる。
【0030】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、第2実施形態の外袋52では、水の層を形成することによって遮蔽壁を形成したが、これに限らず、例えば外袋の内側に鉛の層を形成したり、外袋と内袋との間に鉛のシートを配置したりしてもよい。
外袋の互いに対向する位置を留める留め手段として結束バンド20が用いられていたが、これに限らず、例えばクリップ止め、はとめ及びロープ等任意の締結手段を採用することができる。
【0031】
留め手段は、前述の実施形態では対向する辺の略中央に1箇所設けられていたが、これに限らず、外袋の上縁の対向する位置に任意の数設けられていてよい。また、留め手段は、前述の実施形態では、対向する2つの上縁を互いに留める構造となっていたが、これに限らず、例えば対向する3つ以上の上縁を互いに留める構造でもよい。その場合には、例えば、留め手段が対向する3つの上縁を互いに留めるものである場合、留め手段の外側に3つの開口が形成される。
【符号の説明】
【0032】
1 収納袋
2 フィルム状袋
4 内袋
6 外袋
10 袋
18 持ち手
20 結束バンド
26 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成されるとともに内部に内袋を収容可能な外袋を有し、
前記外袋は、上縁の対向する位置に、該上縁を互いに留める留め手段を備え、
前記留め手段によって対向する上縁が互いに留められた状態では、前記留め手段の両側に、前記外袋の内部にアクセス可能な開口が形成されるようになっている、
ことを特徴とする収納袋。
【請求項2】
前記外袋の内部に収容可能な内袋を更に有し、
前記内袋は、該内袋を持ち上げられるように持ち手を備え、
前記持ち手は、前記外袋の前記留め手段で上縁が互いに留められた状態で、前記開口を通して前記外袋の外部に突出可能となっている、
請求項1に記載の収納袋。
【請求項3】
前記内袋の内部に収容可能な非透水性のフィルム状袋を更に有する、
請求項2に記載の収納袋。
【請求項4】
前記フィルム状袋内には、吸水性材料が収納されている、
請求項3に記載の収納袋。
【請求項5】
前記外袋内面には、水溶性ポリマーの層が形成されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の収納袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23268(P2013−23268A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161208(P2011−161208)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(500303940)株式会社 小川テック (14)
【Fターム(参考)】