説明

受信装置、電波時計および受信方法

【課題】電波時計の消費電力を低減し、小型化、薄型化および軽量化を図る。
【解決手段】電波時計1は、デジタル通信方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、受信した通信信号と局発信号とを混合することによりIF信号を取得するRF処理部10と、IF信号をデジタル信号に変換し、復調して時刻情報を抽出するベースバンド処理部30と、IF信号の電界強度を測定する電界強度測定部26と、RF処理部10、ベースバンド処理部30および電界強度測定部26の動作をそれぞれ指示する制御部40とを備え、制御部40は、最初にRF処理部10に対してIF信号の取得を指示し、続いて測定した電界強度が基準値よりも大きい場合は、更にベースバンド処理部30に対してIF信号から時刻情報の抽出を指示し、測定した電界強度が基準値よりも小さい場合は、ベースバンド処理部30に対してIF信号から時刻情報の抽出を指示しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を含む通信信号を受信する受信装置、電波時計および受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電波により送信される時刻信号を受信して、正確な時刻情報を表示する電波時計は、地上基地局から送信される長波帯域の標準電波や、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される極超短波帯域の時刻信号を受信する方法が知られている。更に、近年では下記特許文献1に記載されているように、移動通信を目的として、デジタル通信方法の1つであるCDMA(Code Division Multiple Access)方式により変調されて送信される極超短波帯域の電波に含まれる時刻信号を受信し、正確な時刻を取得する時計装置が提案されている。このような極超短波帯域の電波は、種々の中継局から遍く中継されるため、長波帯域の標準電波やGPS衛星からの電波と比較して、建物の中や地下のような様々な移動先においても、良好に受信できることが知られている。また、CDMA方式の電波を受信する時計装置は、受信した電波からIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号を取得し、取得したIF信号からパイロットチャンネルの信号を復調して基地局との間で同期を取った後に、シンクチャンネルの信号を復調して復号することにより、GPS時刻、うるう秒、ローカルオフセットおよびサマータイムの情報等を含む時刻情報を取得できることが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、極超短波帯域の電波は、見通し範囲外では電波が届き難いため、中継局から遠く離れた郊外や、通路が複雑な地下街では時刻信号を受信できなくなることがある。しかしながら、このような受信ができないエリアにおいても、前記した電波時計は、時刻情報を取得すべく電波を受信してパイロットチャンネルの信号やシンクチャンネルの信号の復調および復号を所定の頻度で繰返した。従って、その度に相当の電力が消費され、電波時計および電波時計の時計機能を含む情報処理装置の消費電力を低減することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる受信装置は、デジタル通信方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、前記受信した通信信号と局発信号とを混合することにより、中間周波数信号を取得する第1の処理部と、前記取得した中間周波数信号をデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を復調して前記時刻情報を抽出する第2の処理部と、前記取得した中間周波数信号の電界強度を測定する測定部と、前記第1の処理部における前記中間周波数信号の取得および前記第2の処理部における前記時刻情報の抽出をそれぞれ指示する指示部とを備え、前記指示部は、最初に前記第1の処理部に対して前記受信した通信信号から前記中間周波数信号の取得を指示し、続いて前記測定部で測定された前記中間周波数信号の電界強度が、前記時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値よりも大きい場合は、前記第2の処理部に対して前記中間周波数信号から前記時刻情報の抽出を指示し、前記電界強度が前記基準値よりも小さい場合は、前記第2の処理部に対して前記中間周波数信号から前記時刻情報の抽出を指示しないことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、受信した通信信号から取得された中間周波数信号の電界強度が、時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値よりも大きい場合、更に中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理が実行され、受信した通信信号から時刻情報が取得される。他方で、中間周波数信号の電界強度が基準値よりも小さい場合、中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理は実行されない。従って、時刻情報を抽出可能な電界強度が得られない場合、中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理は実行されないため、中間周波数信号から時刻情報を抽出するために消費する電力を削減できることから、受信装置が消費する電力を低減できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる受信装置において、前記基準値を保持する保持部を備えても良い。
【0009】
[適用例3]
上記適用例にかかる受信装置において、前記指示部は、前記第1の処理部および前記第2の処理部に供給する電力をそれぞれ断続することにより、前記第1の処理部における前記中間周波数信号の取得および前記第2の処理部における前記時刻情報の抽出をそれぞれ指示しても良い。
【0010】
[適用例4]
上記適用例にかかる受信装置において、前記取得した中間周波数信号から前記電界強度を測定する場合と、前記取得した中間周波数信号から前記時刻情報を抽出する場合とに応じて、前記第1の処理部に供給する電力を制御する電力制御部を更に備えることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、電力制御部は、電界強度を測定する場合と時刻情報を抽出する場合とに分けて電力の供給を制御するため、消費する電力を低減できる。
【0012】
[適用例5]
上記適用例にかかる受信装置において、前記デジタル通信方式は、CDMA通信方式であっても良い。
[適用例6]
上記適用例にかかる受信装置を電波時計に適用することにより、消費電力の低減を図れるため、電力を供給する電池を小型にできることから、小型化、薄型化および軽量化された電波時計を提供できる。
[適用例7]
本適用例にかかる受信方法は、デジタル通信方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、前記受信した通信信号と局発信号とを混合することにより、中間周波数信号を取得する取得工程と、前記取得した中間周波数信号をデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を復調して前記時刻情報を抽出する抽出工程と、前記取得した中間周波数信号の電界強度を測定する測定工程と、前記時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値と前記中間周波数信号の前記電界強度との大小を判定する判定工程とを備え、前記判定工程で前記電界強度が前記基準値よりも大きいと判定された場合には、前記抽出工程が実行され、前記電界強度が前記基準値よりも小さいと判定された場合には、前記抽出工程が実行されないことを特徴とする。
【0013】
このような方法によれば、受信した通信信号から取得された中間周波数信号の電界強度が、時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値よりも大きい場合、中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理が実行され、他方で中間周波数信号の電界強度が基準値よりも小さい場合、中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理は実行されない。従って、時刻情報を抽出可能な電界強度が得られない場合、中間周波数信号から時刻情報を抽出するための処理は実行されないため、中間周波数信号から時刻情報を抽出するために消費する電力を削減できることから、受信モジュールが消費する電力を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、受信装置の一形態として、電波時計の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電波時計1の構成を示すブロック図である。電波時計1は、デジタル通信方式の1つであるCDMA(Code Division Multiple Access)方式により変調され、基地局から送信される移動通信用の極超短波帯域の電波を受信し、この電波に含まれる標準時刻の時刻情報を取得する受信装置を適用し、取得した標準時刻に基づく正確な時刻を表示する。電波時計1は、RF(Radio Frequency)処理部10と、電界強度測定部26と、ベースバンド処理部30と、制御部40と、電源断続部50と、電源供給部60と、時刻情報表示部70とを備える。
【0016】
RF処理部10は、受信した電波に含まれる通信信号と局発信号とを混合することにより、IF信号を取得する第1の処理部である。このRF処理部10は、ローノイズアンプ14と、周波数変換部16と、局部発振信号生成部18と、IFバンドパスフィルタ20と、IFアンプ22と、IF信号出力部24とを備える。
アンテナ12に入力された通信信号は、ローノイズアンプ14で増幅されて周波数変換部16に送られ、局部発振信号生成部18において生成された局部発振信号と混合される。この結果、通信信号に含まれる時刻信号は、局部発振信号の周波数(局発周波数)との差分を周波数とするIF信号に変換される。更に、IF信号は、IFバンドパスフィルタ20でフィルタリングされ、IFアンプ22で増幅された後、IF信号出力部24から出力される。このRF処理部10は、電源供給部60から供給される電源に応じて、上記の処理を実行する。即ち、電源供給部60から電力が供給されている場合、RF処理部10は上記した処理を実行し、電源供給部60から供給されていた電源が休止された場合、RF処理部10は上記した処理の実行を休止する。
【0017】
電界強度測定部26は、制御部40からの指示に基づき、IF信号出力部24から出力されるIF信号の電界強度を測定し、測定値を制御部40に送る。
ベースバンド処理部30は、IF信号出力部24から出力されたIF信号をデジタル信号に変換すると共に、デジタル信号を復調して時刻情報を抽出する第2の処理部である。このベースバンド処理部30は、ベースバンド復調部32と、時刻情報抽出部34と、時刻情報出力部36とを備える。
ベースバンド復調部32は、IF信号をA/D変換してデジタル信号に変換した後、位相が直交する2つのデジタル信号(I信号、Q信号)に対してCDMAの復調処理を施し、時刻情報を含むデータを復号する。時刻情報抽出部34は、復号されたデータから最初にパイロットチャンネル信号を取得し、次いで、取得したパイロットチャンネル信号に基づき、時刻情報やシステム設定情報等を通知するために用いられるシンクチャンネル信号を復調し、復調したシンクチャンネル信号から時刻に関する情報を抽出する。抽出された時刻に関する情報は、時刻情報出力部36から出力され、時刻情報表示部70に表示される。時刻情報表示部70は、本実施形態1では、デジタル時計として表示する液晶パネルや、アナログ時計として表示するムーブメントを採用できる。
【0018】
尚、このベースバンド処理部30は、RF処理部10と同様に、電源供給部60から供給される電源に応じて、上記の処理を実行する。即ち、電源供給部60から電力が供給されている場合、ベースバンド処理部30は上記の処理を実行し、電源供給部60から供給されていた電源が休止された場合、ベースバンド処理部30は上記の処理の実行を休止する。
また、CDMA方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、時刻情報を取得する処理の詳細は、本発明の要旨ではないため、省略する(かかる方式については、例えば、特開2000−321383号公報を参照)。
【0019】
制御部40は、電波時計1の各機能部での動作をそれぞれ指示することにより、各機能部を制御する。本実施形態1では、制御部40は、基準値保持部42と、電源供給判定部44と、電源断続制御部46とを備え、RF処理部10からのIF信号の出力およびベースバンド処理部30からの時刻情報の抽出等をそれぞれ指示する指示部として機能する。電源供給判定部44は、電界強度測定部26で測定されたIF信号の電界強度と、基準値保持部42に保持された基準値とを比較し、電界強度が基準値を越えたか否かを判定し、判定結果を電源断続制御部46に送る。基準値は、IF信号から時刻情報を抽出可能な電界強度を示す。この基準値は、実験やシミュレーション等で決定されても良く、更に、決定された値に所定の電界強度(マージン)が付加されても良い。電源断続制御部46は、判定結果に基づき、電源断続部50に対して、RF処理部10およびベースバンド処理部30に供給する電力の断続をそれぞれ指示する。
【0020】
電源断続部50は、RF処理部10へ供給する電力を断続する一方のスイッチ52Aと、ベースバンド処理部30へ供給する電力を断続する他方のスイッチ52Bを備え、電源断続制御部46からの指示に応じて断続する。
【0021】
上記したこれらの各機能部は、図示は略すが、電気回路で実現させても良く、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリ等で構成され、これらのハードウェアとソフトウェアとを協働させて実現しても良い。また、これらの機能部の少なくとも一部は、集積回路上に実装された様態であっても良い。
【0022】
次に、電波時計1が通信信号を受信して、時刻情報を抽出し、時刻情報を表示する処理の流れを、図2に基づき説明する。また、図3(a)および(b)は、この処理が実行された場合の消費電力の変動を示す図であり、この図3(a)、(b)も参照して説明する。この処理は、予め決められた所定のタイミングに応じて実行され、処理が開始されると、最初に、制御部40は、RF処理部10への電力の供給を電源断続部50に指示する。この結果、一方のスイッチ52Aが接続され、RF処理部10に所定の電力(P2)が供給される(ステップS100)。本実施形態1では、図3(a)および(b)に示すように、時刻T1からT2に至る5ミリ秒に渡り、電力(P2)がRF処理部10に供給される。この結果、RF処理部10は、IF信号を出力する(ステップS104)。
【0023】
次に、電界強度測定部26は、IF信号の電界強度を測定する(ステップS105)。続いて、電源供給判定部44は、測定した電界強度と基準値とを比較し(ステップS110)、電界強度は基準値以上か、否かを判定する(ステップS115)。ここで、電界強度が基準値を越えない場合(ステップS115でNo)、ステップS150に進み、接続された一方のスイッチ52Aの接続が解除されることにより、RF処理部10への電力供給が休止され、一連の処理が終了する。そして、次の受信機会まで待機する。この結果、図3(b)に示すように、この処理で消費される電力は、RF処理部10がIF信号を出力するのに要した電力のみである。
【0024】
他方で、電界強度が基準値以上である場合(ステップS115でYes)、制御部40は、ベースバンド処理部30への電力の供給を電源断続部50に指示する。この結果、既に接続されている一方のスイッチ52Aに加え、他方のスイッチ52Bも接続され、図3(a)に示すように、RF処理部10とベースバンド処理部30に対して、時刻T2からT3に至る略26.7ミリ秒に渡り、所定の電力(P1)が供給される(ステップS120)。尚、本実施形態1では、図3(a)に示すように、RF処理部10のみへの電力の供給終了(T2)と、ベースバンド処理部30への電力の供給開始(T2)が同時であるが、これに限定されない。即ち、RF処理部10のみへの電力の供給終了と、ベースバンド処理部30への電力の供給開始の間に所定の時間差があっても良い。
次に、ベースバンド処理部30はパイロットチャンネル信号を取得する(ステップS125)。尚、本実施形態1では、ベースバンド処理部30がパイロットチャンネル信号を取得できない場合は、T3からT4に至りパイロットチャンネル信号の取得が試みられ、ベースバンド処理部30がパイロットチャンネル信号を取得できない場合は、T10に至るまで繰返してパイロットチャンネル信号の取得が試みられる。この場合、所定の電力(P1)は、最長で略267ミリ秒に渡り消費される。
【0025】
次に、ベースバンド処理部30は、シンクチャンネル信号を取得する(ステップS130)。続いて、ベースバンド処理部30は、シンクチャンネル信号から時刻情報を取得する(ステップS135)。続いて、取得された時刻情報は時刻情報表示部70に表示される(ステップS140)。次に、ステップS145に進み、他方のスイッチ52Bの接続が解除されることにより、ベースバンド処理部30への電力供給が休止される。続いて、ステップS150に進み、一方のスイッチ52Aの接続が解除されることにより、RF処理部10への電力供給が休止され、一連の処理が終了する。そして、次の受信機会まで待機する。
【0026】
以上の処理により、電波時計1は、受信した電波から取得されたIF信号の電界強度が基準値を越える場合、時刻情報を出力するべくベースバンド処理部30に対して電力が供給され、他方で基準値を越えない場合、ベースバンド処理部30に対して電力は供給されない。ここで、電界強度測定に要する時間は5ミリ秒程度であるのに対し、パイロットチャンネル信号取得に要する時間は略26.7ミリ秒から略267ミリ秒である。従って、シンクチャンネル信号から時刻情報を取得できない程度にIF信号の電界強度が微弱な場合は、ベースバンド処理部30での処理を省くことができるため、パイロットチャンネル信号を取得するための繰り返し処理も実行されないことから、電波時計1が消費する電力を低減できる。従って、電波時計1の電池容量を小さくできるため、電波時計1の小型化、薄型化および軽量化を図れる。
【0027】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図4〜図6を参照して説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同じ部分については、同一符号を付してその説明を省略する。前記した実施形態1では、RF処理部10から出力されるIF信号は、電界強度を測定する場合であっても、ベースバンド処理部30で時刻情報を取得できるような信号の品質を保つべく、ベースバンド復調部32においてIF信号がA/D変換可能な0.5Vp−p程度の振幅が得られるような出力レベルで出力された。本実施形態2では、図4に示すように、電力制御部80を更に備える。この電力制御部80は、電界強度を測定する場合には、電界強度が取得可能なIF信号を出力するために必要な電力を、RF処理部10に対して供給し、時刻情報を出力する場合には、ベースバンド処理部30でデジタル信号に変換可能なIF信号を出力するために必要な電力を、RF処理部10に対して供給する。
【0028】
図5は、本実施形態2における、電波時計1が通信信号を受信して、時刻情報を抽出し、時刻情報を表示する処理の流れを示す。また、図6(a)および(b)は、この処理が実行された場合の消費電力の変動を示す図である。実施形態1では、RF処理部10に所定の電力(P2)が供給されたステップS100に替えて、本実施形態2では、ステップS102において、実施形態1の場合の所定の電力(P2)よりも低い所定の電力(P3)が供給される。
また、電界強度は基準値以上か、否かを判定する工程(ステップS115)において、測定した電界強度が基準値以上である場合(ステップS115でYes)、実施形態1では、RF処理部10とベースバンド処理部30に対して、所定の電力(P1)が供給されたステップS120に替えて、本実施形態2では、制御部40は、RF処理部10へ供給する電力を所定の電力(P2)に戻し(ステップS122)、更に、ベースバンド処理部30への電力の供給を電源断続部50に指示する(ステップS124)。この結果、図6(a)に示すように、RF処理部10とベースバンド処理部30に対して、時刻T2からT3に至る略26.7ミリ秒に渡り、実施形態1と同じ所定の電力(P1)が供給される。
上述した実施形態2では、実施形態1での効果に加え、電界強度を測定する際には、IF信号の出力レベルを、電界強度測定可能な低いレベルで出力するため、電波時計1が消費する電力を更に低減することができる。
【0029】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について図7を参照して説明する。図7は、受信モジュール5の構成を示すブロック図である。この受信モジュール5は、実施形態1で述べた電波時計1のRF(Radio Frequency)処理部10と、電界強度測定部26と、ベースバンド処理部30と、制御部40と、電源断続部50とを備えて構成される。尚、電源供給部60は、受信モジュール5に対して電力を供給するが、この受信モジュール5に含まれる様態も想定できる。この受信モジュール5は、集積回路のように1チップ化された様態でも良く、また、基板上に複数の電子部品が実装された様態でも良い。本実施形態3では、受信モジュール5は実施形態1で述べた電波時計1の各機能部を採用するが、これに限定されるものでは無く、実施形態2で述べた電波時計1の各機能部を採用しても良い。この受信モジュール5は、情報処理装置90に接続されると共に、受信モジュール5の時刻情報出力部36から出力される時刻情報は、情報処理装置90の時刻情報入力部95に入力され、情報処理装置90は必要に応じて時刻情報を参照する。
【0030】
情報処理装置90は、本実施形態3では以下のような装置および用途を想定するが、これらに限定されるものでは無い。受信モジュール5から時刻情報を取得する装置であれば、どのような装置や用途であっても良い。
・録画装置における録画予約のための計時
・有料放送受信装置における視聴時間計測
・株などの証券の電子取引装置における取引執行時刻確定
・文書作成装置における公文書の作成日時確定
・他の装置に組み込まれるリアルタイムクロックにおける計時
このように、情報処理装置90に受信モジュール5を組み込むことにより、情報処理装置90は、正確な時刻情報を低消費電力で取得できる。
【0031】
本発明の実施形態1〜3について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、RF処理部10やベースバンド処理部30に対する動作指示は、これらに供給する電力の断続による制御に替えて、RF処理部10やベースバンド処理部30に対して制御信号を送ることにより制御しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1に係る電波時計の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態1に係る電波時計が通信信号を受信して、時刻情報を抽出し、時刻情報を表示する処理の流れを示すフローチャート。
【図3】(a)および(b)は、実施形態1に係る電波時計の消費電力の変動を示す図。
【図4】実施形態2に係る電波時計の構成を示すブロック図。
【図5】実施形態2に係る電波時計が通信信号を受信して、時刻情報を抽出し、時刻情報を表示する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】(a)および(b)は、実施形態2に係る電波時計の消費電力の変動を示す図。
【図7】実施形態3に係る受信モジュールの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0033】
1…電波時計、5…受信モジュール、10…RF処理部、12…アンテナ、14…ローノイズアンプ、16…周波数変換部、18…局部発振信号生成部、20…IFバンドパスフィルタ、22…IFアンプ、24…IF信号出力部、26…電界強度測定部、30…ベースバンド処理部、32…ベースバンド復調部、34…時刻情報抽出部、36…時刻情報出力部、40…制御部、42…基準値保持部、44…電源供給判定部、46…電源断続制御部、50…電源断続部、52A,52B…スイッチ、60…電源供給部、70…時刻情報表示部、80…電力制御部、90…情報処理装置、95…時刻情報入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル通信方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、前記受信した通信信号と局発信号とを混合することにより、中間周波数信号を取得する第1の処理部と、
前記取得した中間周波数信号をデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を復調して前記時刻情報を抽出する第2の処理部と、
前記取得した中間周波数信号の電界強度を測定する測定部と、
前記第1の処理部における前記中間周波数信号の取得および前記第2の処理部における前記時刻情報の抽出をそれぞれ指示する指示部とを備え、
前記指示部は、最初に前記第1の処理部に対して前記受信した通信信号から前記中間周波数信号の取得を指示し、続いて前記測定部で測定された前記中間周波数信号の電界強度が、前記時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値よりも大きい場合は、前記第2の処理部に対して前記中間周波数信号から前記時刻情報の抽出を指示し、前記電界強度が前記基準値よりも小さい場合は、前記第2の処理部に対して前記中間周波数信号から前記時刻情報の抽出を指示しないことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記基準値を保持する保持部を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の受信装置において、
前記指示部は、前記第1の処理部および前記第2の処理部に供給する電力をそれぞれ断続することにより、前記第1の処理部における前記中間周波数信号の取得および前記第2の処理部における前記時刻情報の抽出をそれぞれ指示することを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信装置において、
前記取得した中間周波数信号から前記電界強度を測定する場合と、前記取得した中間周波数信号から前記時刻情報を抽出する場合とに応じて、前記第1の処理部に供給する電力を制御する電力制御部を更に備えることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信装置において、
前記デジタル通信方式は、CDMA通信方式であることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
時刻情報を含む通信信号を受信する電波時計であって、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の受信装置を備えることを特徴とする電波時計。
【請求項7】
デジタル通信方式により送信された時刻情報を含む通信信号を受信し、前記受信した通信信号と局発信号とを混合することにより、中間周波数信号を取得する取得工程と、
前記取得した中間周波数信号をデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を復調して前記時刻情報を抽出する抽出工程と、
前記取得した中間周波数信号の電界強度を測定する測定工程と、
前記時刻情報を抽出可能な電界強度の基準値と前記中間周波数信号の前記電界強度との大小を判定する判定工程とを備え、
前記判定工程で前記電界強度が前記基準値よりも大きいと判定された場合には、前記抽出工程が実行され、前記電界強度が前記基準値よりも小さいと判定された場合には、前記抽出工程が実行されないことを特徴とする受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−97945(P2009−97945A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268697(P2007−268697)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】