説明

受信装置および電波時計

【課題】低消費電力で小型化および軽量化され、正確な時刻情報を取得する受信装置を提供する。
【解決手段】電波時計1は、時刻情報が変調され、一方および他方の周波数で送信された時刻信号を含む受信信号が入力され、前記受信信号と所定の第1の局発周波数を有する第1の局部発振信号とを混合して、前記一方の周波数の時刻信号を、一方の第1中間周波信号に変換するか、または、前記他方の周波数の時刻信号を、他方の第1中間周波信号に変換し、前記2つの第1中間周波信号の周波数の差分または合計分を第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成し、前記他方の第1中間周波信号と前記第2の局部発振信号とを混合し、前記他方の第1中間周波信号を第2中間周波信号に変換することで得られる2つの中間周波信号のうち、主に前記一方の周波数に応じた第1中間周波信号を用いて、第1中間周波信号を復調することで、前記時刻情報を取り出し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を受信する受信装置および電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電子時計や携帯情報端末のように、正確な時刻を必要とする受信装置が、時刻情報を取得する方法として、下記特許文献1に記載されているように、地上基地局から送信される長波帯域の2つの標準電波を1つの局部発振信号で受信する方法が知られている。更に、近年では、下記特許文献2に記載されているように、移動通信を目的として、CDMA(Code Division Multiple Access)変調されて送信される極超短波帯域の電波に含まれる時刻情報を受信して、正確な時刻を取得する装置が提案されている。このような極超短波帯域の電波は、種々の中継局から遍く中継されるため、長波帯域の標準電波やGPS(Global Positioning System)衛星からの電波と比較して、建物の中や地下のような様々な移動先においても、良好に受信できることが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−88341号公報
【特許文献2】特開2003−169376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した極超短波帯域の電波に含まれる時刻情報は、異なる2つの周波数で送信されており、受信状況等に応じて受信する周波数を受信側で切替えるべく、それぞれの送信周波数に対応する2つの局部発振信号を生成し、受信する周波数に応じて何れか1つを選択する必要があった。しかしながら、局部発振信号は、極超短波帯域の電波に対応することから、周波数が高くなることに加え、それぞれの周波数を所定の周波数に精度良く同調させる必要があった。従って、受信機は、2つの局部発振信号を精度良く生成すると共に、これらを切替えて使用するため、受信機の構成が複雑になると共に、受信時における消費電力が増大した。また、長波帯域の標準電波を1つの局部発振信号で受信する方法では、局部発振のための新たな逓倍回路が必要になるため、小型化および軽量化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明の受信装置は、時刻情報が変調され、少なくとも2つの周波数で送信された時刻信号であって、前記時刻信号を含む受信信号が入力される入力手段と、前記時刻信号の周波数に応じた第1の局発周波数を有する第1の局部発振信号を生成する第1の局部発振信号生成手段と、前記受信信号と前記第1の局部発振信号とを混合することにより、前記時刻信号が送信された周波数のうち、一方の周波数の時刻信号を、当該一方の周波数と前記第1の局発周波数との差分を周波数とする一方の第1中間周波信号に変換し、他方の周波数の時刻信号を、当該他方の周波数と前記第1の局発周波数との差分を周波数とする他方の第1中間周波信号に変換する第1の変換手段と、前記2つの第1中間周波信号の周波数の差分または合計分を第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成する第2の局部発振信号生成手段と、前記他方の第1中間周波信号と前記第2の局部発振信号とを混合することにより、前記他方の第1中間周波信号を、前記一方の第1中間周波信号と同一の周波数を有する第2中間周波信号に変換する第2の変換手段と、前記一方の周波数および前記他方の周波数の何れか1つが指示される指示手段と、前記一方の第1中間周波信号および前記第2中間周波信号のうち、前記指示された周波数に応じた何れかの信号が選択される選択手段と、前記選択された信号を復調することにより、前記時刻情報を取り出す復調手段と、前記取り出された時刻情報を出力する出力手段とを備え、前記指示手段は、前記一方の周波数を主として指示することを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、時刻情報が変調され、一方の周波数および他方の周波数でそれぞれ送信された時刻信号を含む受信信号に対して、これらの周波数に応じた第1の局発周波数を有する第1の局部発振信号が生成され、前記受信信号と混合されることにより、一方の周波数の時刻信号は、一方の周波数と第1の局発周波数との差分を周波数とする一方の第1中間周波信号に変換され、他方の周波数の時刻信号は、他方の周波数と第1の局発周波数との差分を周波数とする他方の第1中間周波信号に変換される。更に、他方の第1中間周波信号は、2つの第1中間周波信号の周波数の差分または合計分を第2の局発周波数とする第2の局部発振信号と混合されることにより、一方の第1中間周波信号と同一の周波数を有する第2中間周波信号に変換される。ここで、一方の周波数および他方の周波数の何れかが指示され、指示された周波数に応じて、一方の第1中間周波信号および第2中間周波信号の何れかが選択され、選択された信号が復調されて時刻情報が出力される。従って、第1の局発周波数および第2の局発周波数は、何れも1つの単一周波数であって、周波数の切替えが不要であると共に、極超短波帯である第1の局部発振信号は1波のみであるため、受信装置の構成が容易になると共に、受信装置の小型化や軽量化が図れる。更に、一方の周波数が主に指示されることから、この周波数の信号を含む第1中間周波信号が主に復調されるため、第2の局部発振信号の生成および第2中間周波信号への変換を行う機会が少ないことから、当該部分への電源供給の機会が少なくなり、受信装置の消費電力を低減できる。
【0007】
本発明の受信装置では、前記第1の変換手段で変換された前記2つの第1中間周波信号の周波数帯域と、前記第2の変換手段で変換された前記第2中間周波信号の周波数帯域とを含む帯域をフィルタリングするバンドパスフィルタをそれぞれ更に備えることが好ましい。
この発明によれば、バンドパスフィルタは、2つの第1中間周波信号の周波数帯域と、第2中間周波信号の周波数帯域とを含む帯域をフィルタリングするため、受信装置で使用するバンドパスフィルタを共通化できる。
【0008】
本発明の受信装置では、前記一方の周波数と前記第1の局発周波数との差分値は、10MHz以下であることが好ましい。
この発明によれば、一方の第1中間周波信号および前記第2中間周波信号の何れも10MHz以下であるため、それぞれの中間周波信号は、安定して高利得を得ることができる。また、復調部の低消費電力化が可能となる。
【0009】
本発明の受信装置では、前記出力手段は、前記時刻情報を表示して出力しても良い。また、本発明の受信装置では、前記時刻信号が送信される周波数と、前記第1の局発周波数と、前記第2の局発周波数との関係が、
a<α<bの場合、
a+b=2×α−β または b−a=β
a,b:時刻信号が送信される周波数
α:第1の局発周波数
β:第2の局発周波数
で示されても良い。
この発明によれば、時刻信号が送信される周波数が2つある場合に、第1の局発周波数と第2の局発周波数とを組み合わせることにより、中間周波数を同一にできる。
【0010】
そして、前述の受信装置を電波時計に適用することにより、低消費電力で小型化および軽量化された電波時計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、時刻情報を含む電波を受信して時刻を表示する電波時計を用いて説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電波時計1の機能構成を示すブロック図である。この電波時計1は、CDMA変調されて送信される極超短波帯域の電波に含まれる時刻情報を受信して、時刻情報が有する正確な時刻を表示する。この電波時計1は、入力手段10と、高周波増幅手段12と、第1ミキサ14と、第1局部発振信号生成手段16と、周波数指示手段18と、周波数選択手段20と、13MHzバンドパスフィルタ22と、第2ミキサ24と、第2局部発振信号生成手段26と、4MHzバンドパスフィルタ28と、CDMA信号復調手段30と、時刻情報出力手段32と、取得した時刻情報を表示するディスプレイ34とを有する。これらの各機能部は、図示は略すが、電気回路で実現させても良く、また、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等で構成され、これらのハードウェアとソフトウェアとを協働させて実現しても良い。また、この電波時計1は、各機能部に電源を供給するための電源供給手段36を有する。
【0013】
入力手段10は、時刻情報が変調され、一方の周波数および他方の周波数でそれぞれ送信された時刻信号を含む受信信号が入力される。本実施形態1では、受信信号は、高周波のRF(Radio Frequency)信号であり、空中に放射された電波を受信するアンテナ11を介して入力される。この電波は、携帯電話のような移動通信を目的として、CDMA変調されて送信される極超短波帯域の電波であり、例えば、844MHzと861MHzの2つの周波数では、時刻を示す時刻情報の信号が、帯域幅1.23MHzで送信される。本実施形態では、861MHzを一方の周波数とし、844MHzを他方の周波数とする。尚、CDMA変調とは、狭帯域の変調波を拡散符号によって再度変調し、受信側で通信チャネルごとに異なる拡散符号を割り当てることで多チャネルでの通信を可能にする変調方式であるが、本発明は、CDMA変調に限定されるものでは無く、他の変調方式であっても良い。
【0014】
高周波増幅手段12は、入力手段10に入力された受信信号を増幅して、第1ミキサ14に出力する。
【0015】
第1局部発振信号生成手段16は、時刻信号の周波数に応じた第1の局発周波数を有する第1の局部発振信号を生成する。本実施形態1では、第1の局発周波数は、前記した2つの周波数(844MHz,861MHz)の低い側(844MHz)よりも高く、かつ高い側(861MHz)よりも低い周波数であって、一方の周波数(861MHz)との差分値が、10MHz以下である周波数として857MHzを採用する。この第1局部発振信号生成手段16は、図示は略すが、PLL方式の発振回路を有し、生成される局部発振信号の周波数(局発周波数)が、857MHzになるように制御される。ここで生成された第1の局部発振信号は、第1ミキサ14に送られる。
【0016】
第1ミキサ14は、受信信号と第1の局部発振信号とを、混合することにより、受信信号を、これらの2つの信号の周波数の差分の周波数の信号(中間周波信号)に変換する機能を有する。本実施形態1では、一方の周波数(861MHz)の時刻信号を、一方の周波数(861MHz)と第1の局発周波数(857MHz)との差分、即ち、4MHzを周波数(中間周波数)とする一方の第1中間周波信号に変換し、他方の周波数(844MHz)の時刻信号を、他方の周波数と第1の局発周波数(857MHz)との差分、即ち、13MHzを周波数(中間周波数)とする他方の第1中間周波信号に変換する。ここで変換された2つの第1中間周波信号は、周波数選択手段20に送られる。
【0017】
周波数指示手段18は、一方の周波数(861MHz)および他方の周波数(844MHz)の何れか1つが指示される。尚、この周波数指示手段18は、一方の周波数(861MHz)を主として指示するように構成されている。従って、他方の周波数(844MHz)は、一方の周波数(861MHz)の電波の受信状態が悪化した場合等に限って指示され、通常は指示されない。この周波数指示手段18で指示された情報は、周波数選択手段20に送られる。
【0018】
周波数選択手段20は、一方の第1中間周波信号および第2中間周波信号のうち、周波数指示手段18で指示された周波数に応じた信号が選択される。ここで、周波数指示手段18で一方の周波数(861MHz)が選択された場合、この周波数に対応した一方の第1中間周波信号が選択され、第1ミキサ14から出力された信号は、後段の4MHzバンドパスフィルタ28に送られる。尚、第1ミキサ14から出力された信号には、一方の第1中間周波信号と他方の第1中間周波信号とがそれぞれ含まれるが、一方の第1中間周波信号は、中間周波数が4MHzであるため、4MHzバンドパスフィルタ28を通過できるのに対して、他方の第1中間周波信号は、中間周波数が13MHzであるため、4MHzバンドパスフィルタ28でフィルタリングされる。4MHzバンドパスフィルタ28を通過した一方の第1中間周波信号は、CDMA信号復調手段30に送られる。
【0019】
他方で、周波数指示手段18で他方の周波数(844MHz)が選択された場合、この周波数に対応した他方の第1中間周波信号が選択され、第1ミキサ14から出力された信号は、13MHzバンドパスフィルタに入力される。この場合も、第1ミキサ14から出力された信号には、一方の第1中間周波信号と他方の第1中間周波信号とがそれぞれ含まれるが、他方の第1中間周波信号は、中間周波数が13MHzであるため、13MHzバンドパスフィルタ22を通過できるのに対して、一方の第1中間周波信号は、中間周波数が4MHzであるため、13MHzバンドパスフィルタ22でフィルタリングされる。13MHzバンドパスフィルタ22を通過した他方の第1中間周波信号は、第2ミキサ24に送られる。
第2局部発振信号生成手段26は、2つの第1中間周波信号の周波数の差分、即ち、9MHzを第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成する。ここで生成された第2の局部発振信号は、第2ミキサ24に送られる。
【0020】
第2ミキサ24は、前記した第1ミキサ14と同様な機能を有し、他方の第1中間周波信号と第2の局部発振信号とを混合することにより、他方の第1中間周波信号を、一方の第1中間周波信号と同一の周波数(4MHz)を有する第2中間周波信号に変換する。ここで変換された第2中間周波信号は、4MHzバンドパスフィルタ28を通過して、CDMA信号復調手段30に送られる。
尚、本実施形態1では、時刻信号が送信される周波数(844MHz,861MHz)と、第1の局発周波数(857MHz)と、第2の局発周波数(9MHz)との関係が、以下の式(1)を満たすように、それぞれの局発周波数が決定される。
a+b=2×α−β・・・・(1)
a,b:時刻信号が送信される周波数(844MHz,861MHz)
α:第1の局発周波数(857MHz)
β:第2の局発周波数(9MHz)
この結果、周波数指示手段18で指示された周波数が、一方の周波数(861MHz)および他方の周波数(844MHz)の何れの場合でも、CDMA信号復調手段30に入力される時刻信号の周波数は、一方の第1中間周波信号の中間周波数(4MHz)になる。
【0021】
CDMA信号復調手段30は、CDMA変調された中間周波数の信号を復調して、時刻情報を取り出し、時刻情報出力手段32に送る。時刻情報出力手段32は、時刻情報を表示信号に変換して、ディスプレイ34に表示する。尚、時刻情報は、表示に限定されるものでは無く、音声出力されても良い。また、時刻情報出力手段32は、時刻情報を所定の信号に変換して、通信可能に接続された他の情報機器装置等に送信しても良い。
電源供給手段36は、上記した各機能部の中で、電源を必要とする機能部に対して、それぞれ必要な電源を供給する。尚、本実施形態1では、周波数選択手段20で選択された信号に応じて、第2ミキサ24および第2局部発振信号生成手段26への電源の供給を断続するスイッチ38が具備され、一方の周波数(861MHz)が指示される場合には、第2ミキサ24および第2局部発振信号生成手段26に対して電源が供給されないように構成されている。
【0022】
図2は、電波時計1が時刻情報を含む電波を受信して、時刻を表示する処理を説明するフローチャートであり、このフローチャートに従い、電波時計1の受信処理を説明する。
この受信処理が開始されると、ステップS100において、時刻情報がCDMA変調され、一方の周波数(861MHz)および他方の周波数(844MHz)の2つの周波数で送信された時刻情報を含む受信信号が電波時計1に入力される。
次に、ステップS102において、電波時計1は、857MHzを第1の局発周波数とする第1の局部発振信号を生成する。
続いて、ステップS104において、電波時計1は、2つの周波数(844MHz,861MHz)で送信された時刻信号を、それぞれ13MHzと4MHzを中間周波数とする第1中間周波信号に変換する。
【0023】
次に、ステップS106において、受信すべき周波数が指示される。ここで、受信すべき周波数が、通常時に選択される一方の周波数(861MHz)である場合(ステップS106で861MHz)、ステップS112に進む。
他方で、受信すべき周波数が、非通常時に選択される他方の周波数(844MHz)である場合(ステップS106で844MHz)、ステップS108に進み、電波時計1は、9MHzを第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成する。
続いて、ステップS110において、電波時計1は、13MHzの第1中間周波信号を、4MHzの第2中間周波信号に変換し、ステップS112に進む。
【0024】
次に、ステップS112において、電波時計1は、4MHzの第1中間周波信号または4MHzの第2中間周波信号のうち、受信すべき周波数に応じた中間周波信号をCDMA復調することにより、時刻情報を取り出す。
続いて、ステップS114において、電波時計1は、時刻情報を表示することにより、ユーザは、現在の正確な時刻を知ることができる。
【0025】
以上述べた実施形態1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)時刻信号が送信される2つの周波数(844MHz,861MHz)の中から、受信する周波数を選択できるため、電波状況に応じて周波数を切替えることで、時刻情報を安定して取得できる。そのための、第1の局発周波数および第2の局発周波数は、何れも1つの単一周波数であって、周波数の切替えが不要であると共に、極超短波帯である第1の局部発振信号は1波のみであるため、受信装置の構成が容易になると共に、受信装置の小型化や軽量化が図れる。また、主に861MHzが指示されるため、低消費電力化が可能となる。
【0026】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図3を参照して説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同じ部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図3は、本発明の実施形態2に係る電波時計1の機能構成を示すブロック図である。前記の実施形態1では、第1の局発周波数と第2の局発周波数は、それぞれ857MHzと9MHzであったが、本実施形態2では、第1の局発周波数と第2の局発周波数は、それぞれ853.5MHzと2MHzを採用する。また、前記の実施形態1では、バンドパスフィルタとして、13MHzバンドパスフィルタ22と4MHzバンドパスフィルタ28を具備したが、本実施形態2の電波時計1は、2つの広帯域バンドパスフィルタ(40A,40B)を具備する。より詳細には、広帯域バンドパスフィルタ(40A,40B)は、それぞれ6.8MHzから10.2MHzの周波数帯域のみを通過させる機能を有し、一方の広帯域バンドパスフィルタ40Aは、第1ミキサ14の後段に配置され、他方の広帯域バンドパスフィルタ40Bは、第2ミキサ24の後段に配置される。
【0028】
ここで、図4(a)は、一方の広帯域バンドパスフィルタ40Aの帯域特性を説明し、図4(b)は、他方の広帯域バンドパスフィルタ40Bの帯域特性を説明する図である。図4(a)に示すように、一方の広帯域バンドパスフィルタ40Aには、7.5MHzと9.5MHzとを中間周波数とする2つの第1中間周波信号が入力される。これらの第1中間周波信号は、周波数帯域が共に1.23MHzであるため、2つの第1中間周波信号は、これらの周波数帯域を含め、広帯域バンドパスフィルタ40Aでフィルタリングされることなく通過する。また、図4(b)に示すように、他方の広帯域バンドパスフィルタ40Bには、7.5MHzを中間周波数とする第2中間周波信号が入力される。この第2中間周波信号は、周波数帯域が1.23MHzであるため、周波数帯域を含め、広帯域バンドパスフィルタ40Bでフィルタリングされることなく通過する。
【0029】
このような実施形態2によれば、実施形態1の(1)の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
(2)広帯域バンドパスフィルタ(40A,40B)は同一の特性であるため、電波時計1で用いるバンドパスフィルタを共通化することで、電波時計1の製作コストを低減できる。
【0030】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、以下に述べるような変形例も想定できる。
(1)上記した各実施形態では、第2局部発振信号生成手段26は、2つの第1中間周波信号の周波数の差分、即ち、9MHzを第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成したが、合計分、即ち、17MHzを第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成しても良い。
(2)上記した各実施形態は、電波時計1への適用を想定したが、本発明の受信装置は、これに限るものではなく、情報を処理するために正確な時刻情報が必要な情報処理装置等に適用できる。
(3)周波数帯域は、800MHz帯に限定されるものでは無く、GHz帯域であっても良い。また、送信される周波数の波数は、3つ以上であっても良く、ミキサと局部発振手段が更に多段に付加された構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1に係る電波時計の機能構成を示すブロック図。
【図2】電波時計が時刻情報を含む電波を受信して、時刻を表示する処理を説明するフローチャート。
【図3】実施形態2に係る電波時計の機能構成を示すブロック図。
【図4】(a)は一方のバンドパスフィルタの帯域特性を説明し、(b)は他方のバンドパスフィルタの帯域特性を説明する図。
【符号の説明】
【0032】
1…電波時計、10…入力手段、11…アンテナ、12…高周波増幅手段、14…第1ミキサ、16…第1局部発振信号生成手段、18…周波数指示手段、20…周波数選択手段、22…13MHzバンドパスフィルタ、24…第2ミキサ、26…第2局部発振信号生成手段、28…4MHzバンドパスフィルタ、30…CDMA信号復調手段、32…時刻情報出力手段、34…ディスプレイ、36…電源供給手段、38…スイッチ、40A,40B…広帯域バンドパスフィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻情報が変調され、少なくとも2つの周波数で送信された時刻信号であって、前記時刻信号を含む受信信号が入力される入力手段と、
前記時刻信号の周波数に応じた第1の局発周波数を有する第1の局部発振信号を生成する第1の局部発振信号生成手段と、
前記受信信号と前記第1の局部発振信号とを混合することにより、前記時刻信号が送信された周波数のうち、一方の周波数の時刻信号を、当該一方の周波数と前記第1の局発周波数との差分を周波数とする一方の第1中間周波信号に変換し、他方の周波数の時刻信号を、当該他方の周波数と前記第1の局発周波数との差分を周波数とする他方の第1中間周波信号に変換する第1の変換手段と、
前記2つの第1中間周波信号の周波数の差分または合計分を第2の局発周波数とする第2の局部発振信号を生成する第2の局部発振信号生成手段と、
前記他方の第1中間周波信号と前記第2の局部発振信号とを混合することにより、前記他方の第1中間周波信号を、前記一方の第1中間周波信号と同一の周波数を有する第2中間周波信号に変換する第2の変換手段と、
前記一方の周波数および前記他方の周波数の何れか1つが指示される指示手段と、
前記一方の第1中間周波信号および前記第2中間周波信号のうち、前記指示された周波数に応じた何れかの信号が選択される選択手段と、
前記選択された信号を復調することにより、前記時刻情報を取り出す復調手段と、
前記取り出された時刻情報を出力する出力手段とを備え、
前記指示手段は、前記一方の周波数を主として指示することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載された受信装置において、
前記第1の変換手段で変換された前記2つの第1中間周波信号の周波数帯域と、前記第2の変換手段で変換された前記第2中間周波信号の周波数帯域とを含む帯域をフィルタリングするバンドパスフィルタをそれぞれ更に備えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の受信装置において、
前記一方の周波数と前記第1の局発周波数との差分値は、10MHz以下であることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の受信装置において、
前記出力手段は、前記時刻情報を表示して出力することを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信装置において、
前記時刻信号が送信される周波数と、前記第1の局発周波数と、前記第2の局発周波数との関係が、
a<α<bの場合、
a+b=2×α−β または b−a=β
a,b:時刻信号が送信される周波数
α:第1の局発周波数
β:第2の局発周波数
で示されることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
時刻情報を含む電波を受信して時刻を表示する電波時計であって、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の受信装置を備えていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−116230(P2008−116230A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297452(P2006−297452)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】