説明

合波レーザ光照射方法および装置

【課題】 合波レ−ザ光照射装置において、合波レーザ光の光出力の調節範囲を拡大する。
【解決手段】 目標値入力部25により記録媒体90のバーコード91を読み取って合波レーザ光Leの光出力の目標値を得る。この目標値が、予め定められた基準値未満のときに、光出力制御部30により、複数の半導体レーザ10a、10b・・・のうちの2つの半導体レーザ10a、10bを選択し、選択された半導体レーザ10a、10bのそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかった半導体レーザ10c、10d・・・の駆動を停止させ、半導体レーザ10a、10bから射出され合波部15を通して合波させた合波レーザ光Leの光出力を上記目標値にする。そして、上記合波レーザ光Leを合波レーザ光照射部20に通して記録媒体90へ照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザ光源から射出されたレーザ光を合波した合波レーザ光を照射する合波レーザ光照射方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の半導体レーザから射出された各レーザ光を合波させた合波レーザ光を用いて感光材料等からなる記録媒体に画像情報の記録を行う合波レーザ光照射装置が知られている。このような装置には、複数の特性の揃った半導体レーザを使用し、各半導体レーザから射出された各レーザ光を合波させた合波レーザ光の光出力の測定値が目標光出力の値に一致するように、各半導体レーザに供給する駆動電流を均等に増加あるいは減少させて上記合波レーザ光の光出力を調節するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、上記合波レーザ光の光出力の調節範囲は、各半導体レーザから誘導放出光が射出される範囲であり、より具体的には各半導体レーザを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動したときに得られるレーザ光の光出力の範囲である。
【0003】
一方、上記合波レーザ光の照射を受けて画像情報が記録される記録媒体には様々な光感度のものがあり、種々の光感度を持つ記録媒体への画像情報の記録を実施するためには、上記合波レーザ光の光出力を各記録媒体の光感度に応じて調節することが求められる。
【特許文献1】特開2000−190563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光感度が低い記録媒体に対して適正な光出力となるように合波レーザ光の光出力の最大値を大きく設定すると、光感度が非常に高い記録媒体に対する適正な光出力が上記合波レーザ光の光出力調節範囲の下限を下回ってしまうことがある。すなわち、各半導体レーザのそれぞれを発振閾値電流で駆動しても、合波された合波レーザ光の光出力が上記高感度の記録媒体へ照射すべき適正な光出力を超えてしまうことがある。記録媒体に対してこのような不適切な光出力の合波レーザ光を照射するとこの記録媒体に記録される画像情報の品質が低下してしまうという問題がある。
【0005】
なお、半導体レーザを発振閾値以下の駆動電流で駆動し、半導体レーザから自然放出光が射出される状態で合波レーザ光の光出力を低減しようとすると、この合波レーザ光の波長領域が広がって記録媒体に所定波長以外の波長の光が照射されてしまう。さらに、駆動電流が発振閾値電流以下の場合には、駆動電流に対するレーザ光の光出力の変化が急峻になるため光出力の調節が難しくなる。したがって、半導体レーザを発振閾値以下の駆動電流で駆動して使用することは現実的ではない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、合波レーザ光の光出力の調節範囲を拡大することができる合波レ−ザ光照射方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の合波レーザ光照射方法は、複数のレーザ光源から射出された各レーザ光を合波した合波レーザ光を記録媒体に照射する合波レーザ光照射方法であって、記録媒体の光感度に応じて定められた合波レーザ光の光出力の目標値が、予め定められた基準値未満のときに、複数のレーザ光源のうちの一部分のレーザ光源を選択し、前記選択されたレーザ光源のそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかったレーザ光源の駆動を停止して合波レーザ光の光出力を前記目標値にすることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の合波レーザ光照射装置は、複数のレーザ光源と、該複数のレーザ光源から射出された各レーザ光を合波する合波手段と、この合波手段により合波した合波レーザ光を記録媒体に照射する合波レーザ光照射手段とを備えた合波レーザ光照射装置であって、記録媒体の光感度に応じて定められた前記合波レーザ光の光出力の目標値を入力する目標値入力手段と、目標値入力手段が入力した前記目標値が、予め定められた基準値未満のときに、複数のレーザ光源のうちの一部分のレーザ光源を選択し、前記選択されたレーザ光源のそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかったレーザ光源の駆動を停止して、合波レーザ光の光出力が前記目標値となるように制御する光出力制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
前記発振閾値電流は、レーザ光源から誘導放出光を射出させるのに必要な最小の駆動電流を意味する。
【0010】
前記「予め定められた基準値」は、複数のレーザ光源の全てを発振閾値電流で駆動したときに得られる合波レーザ光の光出力の値以上、かつ、この値の近傍に定められるものである。
【0011】
前記レーザ光源の駆動を停止するとは、レーザ光源をこのレーザ光源から光が発せられない状態にする場合、あるいはレーザ光源を発振閾値電流未満で駆動してこのレーザ光源から自然放出光が発せられる状態であっても、実質的にこの自然放出光が発せられていない状態と同等とみなせる場合を意味するものである。
【0012】
前記レーザ光源は、どのような形式のものであってもよく、半導体レーザのほか、固体レーザ、あるいはガスレーザ等であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の合波レーザ光照射方法および装置によれば、記録媒体の光感度に応じて定められた合波レーザ光の光出力の目標値が、予め定められた基準値未満のときに、複数のレーザ光源のうちの一部分のレーザ光源を選択し、選択されたレーザ光源を発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかったレーザ光源の駆動を停止して合波レーザ光の光出力を目標値に一致させるようにしたので、合波レーザ光の光出力の最大値を低下させることなく、合波レーザ光の光出力の最小値をより小さな値とすることができ、合波レーザ光の光出力の調節範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による合波レーザ光照射方法を実施する合波レーザ光照射装置の概略構成を示す図、図2は、横軸を各半導体レーザを駆動する駆動電流、縦軸を各半導体レーザからのレーザ光の光出力として駆動電流と光出力との関係(基本データ)を示した図、図3は、横軸を各半導体レーザを駆動する駆動電流、縦軸を合波レーザ光の光出力として駆動電流と光出力との関係を示した図である。
【0015】
図1に示すように、合波レーザ光照射装置100は、複数(k個)の半導体レーザ10a、10b・・・(以後、まとめて半導体レーザ10ともいう)と、上記複数の半導体レーザ10から射出された各レーザ光を合波させる合波部15と、合波部15により合波させた合波レーザ光Leを感光材料からなる記録媒体90に照射する合波レーザ光照射部20とを備えている。
【0016】
この合波レーザ光照射装置100は、さらに、記録媒体90の光感度に応じて定められた、上記合波レーザ光Leの光出力の目標値を入力する目標値入力部25と、目標値入力部25が入力した上記目標値が、予め定められた基準値未満のときに、複数の半導体レーザ10のうちの一部分の半導体レーザ10a、10b(以後、まとめて半導体レーザ10Eともいう)を選択し、この選択された半導体レーザ10Eのそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかった半導体レーザ10c、10d・・・(以後、まとめて半導体レーザ10Fともいう)の駆動を停止させて合波レーザ光Leの光出力が上記目標値となるように制御する光出力制御部30とを備えている。
【0017】
合波部15は、各半導体レーザ10から射出された各レーザ光を1点に集光する集光レンズ16と、集光レンズ16で集光された各レーザ光を入射し合波させ、この合波された合波レーザ光Leを射出する光ファイバ17とを有している。
【0018】
合波レーザ光照射部20は、光ファイバ17から射出された合波レーザ光Leを、平行光束にするコリメートレンズ21と、コリメートレンズ21を通った平行光束を反射する後述するDMD22と、DMD22を制御するDMD制御部23と、DMD22で反射した光、すなわちDMD22で空間光変調された情報(反射パターン)を担持した光をこの合波レーザ光照射装置100の搬送テーブル50上に配置した記録媒体90上に結像させる結像レンズ24とを有している。
【0019】
DMD22は、1画素を構成する反射角度可変の微小ミラーを多数格子状(例えば1024個×768個等)に配列して構成したものであり、各微小ミラーが個別に制御されレーザ光を反射してこのレーザ光を空間光変調するものである。
【0020】
目標値入力部25は、記録媒体90上に配置された上記目標値を示すバーコード91を読み取る読取部26と、読取部26で読み取ったバーコード91が示す目標値を記憶する記憶部27を有している。
【0021】
光出力制御部30は、目標値入力部25の記憶部27から目標値を入力し、この目標値に基づいて、駆動する半導体レーザを選択してその駆動電流を定めるとともに、選択されなかった半導体レーザの駆動を停止させる制御部31と、制御部31により制御され上記定められた駆動電流で各半導体レーザを駆動するドライバ32a、32b・・・(以後、まとめてドライバ32ともいう)とを有している。
【0022】
より具体的には、予め測定された、各半導体レーザ10を駆動する駆動電流とこの駆動電流によって各半導体レーザ10から射出されるレーザ光の光出力との関係(図2参照)を示す基本データを上記制御部31は記憶している。ここでは、各半導体レーザの特性が揃っており、各半導体レーザそれぞれの上記駆動電流とこの駆動電流の駆動によるレーザ光の光出力との関係は等しいものとする。図2に示すように、駆動電流が発振閾値電流Th未満では半導体レーザから自然放出光が射出され、発振閾値電流Th以上、最大定格電流Tmax以下では半導体レーザから誘導放出光が射出される。
【0023】
さらに、この制御部31は、上記駆動電流と光出力との関係に基づいて求められる参照データを記憶している。この参照データは、複数の半導体レーザ10のうちの全部、あるいは一部分を選択したときに、上記全部あるいは選択された一部分の半導体レーザのそれぞれを同じ駆動電流で駆動して得られる合波レーザ光の光出力の値とその駆動電流の値との関係を示すものである。
【0024】
例えば、上記k個の半導体レーザ10の全てを駆動する場合の参照データは、図3における線Roで示され、2つの半導体レーザ10E(半導体レーザ10a、10b)のみを駆動する場合の参照データは、図3における線Reで示される。また、上記と同様に、各半導体レーザの駆動電流Iが発振閾値電流Th未満では半導体レーザから自然放出光が射出され、発振閾値電流Th以上、最大定格電流Tmax以下では各半導体レーザから誘導放出光が射出される。なお、この合波レーザ光照射装置100は誘導放出光のみを用いて記録媒体90に記録を行うものである。
【0025】
また、上記予め定められ、制御部31に記憶された基準値は、全てのレーザ光源10のそれぞれを発振閾値電流Thで駆動したときに得られる合波レーザ光の光出力の値Q1以上で、上記選択された2つのレーザ光源10Eのみを最大定格電流Tmaxで駆動したときに得られる合波レーザ光の光出力の値P2以下の範囲(図中矢印Sで示す)に定められる。
【0026】
上記図3から解るように、全ての半導体レーザ10を発振閾値電流Th以上、最大定格電流Tmax以下の範囲で駆動して得られる合波レーザ光の光出力の範囲は、光出力Q1〜Q2の範囲となり、選択された2つの半導体レーザ10Eのみを発振閾値電流Th以上、最大定格電流Tmax以下の範囲で駆動して得られる合波レーザ光の光出力の範囲は、光出力P1〜P2の範囲となる。そして、上記光出力の目標値が基準値未満(ここでは基準値をS1とする)の場合には、2つの半導体レーザ10Eを駆動し残りの半導体レーザ10Fの駆動を停止させて、光出力値P1以上、光出力値S1未満の範囲における合波レーザ光の光出力の調節を行う。一方、上記光出力の目標値が基準値S1以上の場合には、全ての半導体レーザ10を駆動して、光出力値S1以上、光出力値Q2以下の範囲における合波レーザ光の光出力の調節を行う。これにより、全ての半導体レーザ10を駆動して得られる合波レーザ光の光出力の範囲より小さい光出力の範囲をもカバーすることができる。
【0027】
次に、上記合波レーザ光照射装置100で、光感度が低い記録媒体90aに画像情報を記録する場合について説明する。
【0028】
合波レーザ光照射装置100の搬送テーブル50上に記録媒体90aを配置すると、読取部26が記録媒体90a上のバーコード91aを読み取って、このバーコード91aが示す合波レーザ光の光出力の目標値Maが記憶部27に記憶される。
【0029】
光出力制御部30の制御部31は、記憶部27から目標値Maを読み取って、基準値S1と比較する。ここで、目標値Maが基準値S1以上なので(Ma≧S1)、制御部31の制御により、各ドライバ32が全ての半導体レーザ10をそれぞれ発振閾値電流以上、最大定格電流以下の範囲で駆動して合波レーザ光の光出力の値を目標値Maにする。
【0030】
全ての半導体レーザ10のそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下の範囲で駆動して合波レーザ光の光出力を目標値Maにするには、制御部31が、上記参照データの合波レーザ光の出力特性を示す線Roを参照して、光出力の目標値Maに対応する各半導体レーザの駆動電流T1を定め、各ドライバ32a、32b・・・が各半導体レーザ10a、10b・・・を上記駆動電流T1で駆動するように制御する。
【0031】
上記光出力制御部30により駆動電流T1で駆動されるk個の各半導体レーザ10のそれぞれからは、上記半導体レーザ10の総数kで上記目標値Maを除算した値Ma/kの光出力のレーザ光が射出され(図2参照)、合波部15で合波された合波レーザ光の光出力がMaとなる。
【0032】
上記合波レーザ光は、合波レーザ光照射部20の、コリメートレンズ21、DMD22、および結像レンズ24を介して記録媒体90aに照射され、これとともに、この記録媒体90aが搬送テーブル50により搬送されて、記録媒体90a中に上記DMD22によって空間光変調された画像情報が記録される。
【0033】
次に、上記合波レーザ光照射装置100により、光感度が高い記録媒体90bに画像情報を記録する場合について説明する。
【0034】
記録媒体90bを合波レーザ光照射装置100の搬送テーブル50上に配置すると、読取部26が記録媒体90a上のバーコード91bを読み取って、このバーコード91bが示す目標値Mbが記憶部27に記憶される。
【0035】
制御部31は、記憶部27から目標値Mbを読み取って、基準値S1と比較する。ここで、目標値Mbが基準値S1未満なので(Ma<S1)、制御部31は、k個の半導体レーザ10のうちの一部分である2つの半導体レーザ10Eを選択し、各ドライバ32がこの選択された2つの半導体レーザ10Eのそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかった残りの半導体レーザ10Fの駆動を停止させて合波レーザ光Leの光出力が目標値Mbとなるようにする。
【0036】
2つの半導体レーザ10Eのそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動して合波レーザ光Leの光出力を目標値Mbにするには、制御部31が、上記参照データの合波レーザ光の出力特性を示す線Reを参照して、光出力の目標値Mbに対応する各半導体レーザ10Eの駆動電流T2を定め、ドライバ32a、32bが各半導体レーザ10a、10bを上記駆動電流T2で駆動するように制御する。
【0037】
光出力制御部30により駆動電流T2で駆動される2つの半導体レーザ10a、10bのそれぞれからは、上記駆動対象となる半導体レーザ10の総数2で上記目標値Mbを除算した値Mb/2の光出力のレーザ光が射出され(図2参照)、合波部15で合波された合波レーザ光Leの光出力が値Mbとなる。
【0038】
上記のようにして、記録媒体に合波レーザ光を照射することにより、より広い光感度範囲の記録媒体に対して、適正な光出力で画像情報を記録することができる。すなわち、合波レーザ光の光出力の調節範囲を拡大することができる。
【0039】
る。
【0040】
上記合波レーザ光の光出力の調節では、各半導体レーザの特性が揃っており、各半導体レーザそれぞれの、駆動電流とこの駆動電流の駆動によるレーザ光の光出力との関係が等しいことを前提としているが、このような場合に限らず以下のように合波レーザ光の光出力の調節を行ってもよい。
【0041】
すなわち、各半導体レーザの特性が揃っておらず、各半導体レーザ毎に発振閾値電流の値、および最大定格電流の値が異なる場合には、駆動電流比率を制御して上記光出力の調節を行うことにより、より容易にこの光出力の調節を実施することができる。なお、上記駆動電流比率は以下の式で示されるものである。
【0042】
駆動電流比率=〔(I−Ith)/(Imax−Ith)〕
ここで、
I:実際の駆動電流の値
Ith:発振閾値電流の値
Imax:最大定格電流の値
である。
【0043】
上記式からわかるように、実際の駆動電流の値が発振閾値電流の値に一致したときに駆動電流比率が0(0%)となり、実際の駆動電流の値が最大定格電流の値に一致したときに駆動電流比率が1(100%)となる。
【0044】
なお、最大定格電流の値は、半導体レーザの光出力が最大定格光量となったときの駆動電流の値を意味するものである。
【0045】
以下、駆動電流比率を制御して合波レーザ光の光出力を調節する場合について詳しく説明する。図4は合波レーザ光の光出力を駆動電流比率を制御して調節する際のフローチャート、図5は、横軸を各半導体レーザを駆動する際の駆動電流比率、縦軸を各半導体レーザから射出され合波された合波レーザ光の総光出力Pとして両者の関係を示す図、図6は、上記図5の一部分を拡大した図であって後述するデータテーブルから得た値を直線補間して合波レーザ光の光出力が目標値となるように駆動電流比率を求めるプロセスを示す図である。
【0046】
上記合波レーザ光の光出力の調節について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
なお、この光出力の調節では、各半導体レーザを駆動する際の各駆動電流比率を同一値とするように制御するものである。
【0048】
1)駆動する半導体レーザ(以後、発光素子ともいう)の個数を2種類(m個、n個(m>n))定める。上記発光素子の個数mは低感度感光材料の適正露光光量に基づいて決定し、上記発光素子の個数nは高感度感光材料の適正露光光量に基づいて決定する。
【0049】
2)上記発光素子の個数m、nそれぞれの場合における、駆動電流比率と総光出力との関係を示すデータを取得し、これらをデータテーブルとして保存する。ここで、総光出力は合波レーザ光の光出力を意味する。上記データの例を図5に示す。図中の線Rmは、発光素子の個数mの場合における発光素子の駆動電流比率に対する総光出力を示し、図中の線Rnは、発光素子の個数nの場合における発光素子の駆動電流比率に対する総光出力を示している。なお、発光素子の個数mの場合において各発光素子の駆動電流比率を1(100%)にしたときの総光出力がこの総光出力の最大値Pmmaxに対応し、発光素子の個数nの場合において各発光素子の駆動電流比率を1(100%)にしたときの総光出力がこの総光出力の最大値Pnmaxに対応する。
【0050】
3)合波レーザ光の照射対象となる記録媒体の光感度特性に応じて目標値Pt(合波レーザ光の目標光出力値)を設定する。
【0051】
4)上記目標値Ptに基づいて上記発光素子の個数m、nのいずれかを選択し、対応するデータを参照する(図5参照)。すなわち、目標値がPnmax以上のときには個数mに対応するデータRmを参照し、目標値がPnmax未満のときには個数nに対応するデータRnを参照する。すなわち、Pnmaxが予め定められた基準値となる。
【0052】
5)ここでは、目標値Ptが基準値Pnmax以上なので、データRmを参照し、目標値Ptに最も近くこの目標値を間に挟む、目標値Ptの近傍の2点U1(Pm1、Im1)とU2(Pm2、Im2)を示すデータをデータテーブルから抽出する。
【0053】
6)上記2点U1、U2を通る直線L1を求めて、上記目標値Ptに対応する駆動電流比率の値Itを求める(図6参照)。
【0054】
なお、上記駆動する発光素子の個数の種類は3種類以上としてもよい。
【0055】
また、上記データの全体が直線近似可能な場合にはその情報をデータテーブルとして保存する代わりに近似直線式の形式で保存してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態による合波レーザ光照射装置の概略構成を示す図
【図2】各半導体レーザの駆動電流と各半導体レーザの光出力との関係を示す図
【図3】各半導体レーザの駆動電流と合波レーザ光の光出力との関係を示す図
【図4】合波レーザ光の記録媒体への照射を実施する際のフローチャート
【図5】駆動電流比率と合波レーザ光の光出力の関係を示す図
【図6】データテーブルから得たデータを直線補間して駆動電流比率を求める様子を示す図
【符号の説明】
【0057】
10 半導体レーザ
15 合波部
20 合波レーザ光照射部
25 目標値入力部
30 光出力制御部
90 記録媒体
100 合波レーザ光照射装置
Le レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ光源から射出された各レーザ光を合波した合波レーザ光を記録媒体に照射する合波レーザ光照射方法であって、
前記記録媒体の光感度に応じて定められた前記合波レーザ光の光出力の目標値が、予め定められた基準値未満のときに、前記複数のレーザ光源のうちの一部分のレーザ光源を選択し、
前記選択されたレーザ光源のそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかったレーザ光源の駆動を停止して前記合波レーザ光の光出力を前記目標値にすることを特徴とする合波レーザ光照射方法。
【請求項2】
複数のレーザ光源と、該複数のレーザ光源から射出された各レーザ光を合波する合波手段と、前記合波手段により合波した合波レーザ光を記録媒体に照射する合波レーザ光照射手段とを備えた合波レーザ光照射装置であって、
前記記録媒体の光感度に応じて定められた、前記合波レーザ光の光出力の目標値を入力する目標値入力手段と、
前記目標値入力手段が入力した前記目標値が、予め定められた基準値未満のときに、前記複数のレーザ光源のうちの一部分のレーザ光源を選択し、前記選択されたレーザ光源のそれぞれを発振閾値電流以上、最大定格電流以下で駆動し、選択されなかったレーザ光源の駆動を停止して、前記合波レーザ光の光出力が前記目標値となるように制御する光出力制御手段とを備えたことを特徴とする合波レーザ光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−12888(P2006−12888A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183571(P2004−183571)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】