説明

同期整流スイッチング電源装置

【課題】 少ない部品点数で損失が少なく、負荷の急変や出力端子間に接続された外部機器にかかわらず、貫通電流や自励発振を防止することができるフライバック式の同期整流スイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】 インバータトランジスタQ1が入力端子11,12間に設けられ、2次巻線N2と出力端子13,14との間に同期整流用素子TR1を有する。インバータトランジスタQ1のスイッチングにより充電される別電源16と、同期整流用素子TR1をインバータトランジスタQ1と相補的にオン・オフさせる制御回路18と、同期整流用素子TR1をオフさせるスイッチ素子TR2を備える。別電源16は、補助巻線N3により充電されるコンデンサC6を備える。別電源16の出力電圧と出力端子13の出力電圧とを比較して別電源16の出力電圧が一定値以下に低下した場合に、同期整流用素子TR1をオフさせるトランジスタTR3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流入力電圧を所望の電圧に変換し、電子機器に供給するスイッチング電源であって、特にフライバック式の同期整流スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同期整流型の整流回路を備えたフライバック式のスイッチング電源装置として、例えば図3に示すような電源装置があった。このスイッチング電源装置の電源回路10は、直流電源の入力端子11,12と並列に入力コンデンサC1が設けられ、入力コンデンサC1の両端に、トランスTの1次巻線N1とインバータトランジスタQ1より成る直列回路が接続されている。トランスTの1次巻線N1はドットのある方が入力端子11に接続され、ドットの無い方がインバータトランジスタQ1に接続されている。インバータトランジスタQ1は、MOS−FET等の半導体スイッチ素子からなる。トランスTの2次巻線N2は、ドットのない方の端子が出力端子13に接続され、ドットのある方の端子には、MOS−FET等の同期整流用素子TR1が直列に設けられて、基準電位側の出力端子14に接続されている。さらに、出力端子13,14間には、平滑用の出力コンデンサC2が設けられている。
【0003】
同期整流用素子TR1のドレイン−ソース間には、2次側に設けられた別電源16が接続されている。別電源16は、同期整流用素子TR1のドレインに一端が接続されたコンデンサC5を備え、コンデンサC5の他端が抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端はツェナーダイオードZD1のカソードに接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードが基準電位に接続されている。さらに、抵抗R3の他端はダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードが、別電源16の充電用のコンデンサC6を介して基準電位に接続されている。そして、ダイオードD3のカソードとコンデンサC6の中点が、この別電源16の出力となっている。
【0004】
トランスTの2次側には、同期整流用素子TR1の駆動手段としての補助巻線N3が設けられ、この補助巻線N3のドットを付した側の端子が基準電位に接続され、ドットのない側の端子は、スピードアップ用のコンデンサC4を介して同期整流用素子TR1のゲートに接続されている。さらに、補助巻線N3のドットのない側の端子は、ダイオードD1のカソードに接続され、ダイオードD1のアノードが抵抗R1、タイミングコンデンサC3の直列回路を経て基準電位に接続されている。抵抗R1とタイミングコンデンサC3の中点は、別電源16のダイオードD3のカソードとコンデンサC6の中点に、抵抗R2を介して接続されている。さらに、抵抗R1とコンデンサC3の中点は、NPN型のトランジスタTR2のベースに接続されている。トランジスタTR2のコレクタは、同期整流用素子TR1のゲートに接続され、エミッタは基準電位に接続されている。また、同期整流用素子TR1のゲートには、ダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD2のアノードが基準電位に接続されている。
【0005】
このスイッチング電源装置の電源回路10の動作は、MOS−FETのインバータトランジスタQ1を、図示しない制御回路によりオン・オフしPWM(Pulse Width Modulation)制御する。インバータトランジスタQ1のオン期間には、2次側の同期整流用素子TR1はオフしており電流は流れず、2次巻線N2に発生する電圧で別電源16のコンデンサC6がコンデンサC5を介して充電される。充電電圧は、ツェナーダイオードZD1により設定される電圧である。また、インバータトランジスタQ1のオン期間に、補助巻線N3によりコンデンサC4がダイオードD2のカソード側をプラスにして充電される。
【0006】
次に、インバータトランジスタQ1がオフすると、同期整流用素子TR1のゲートには、補助巻線N3のドットのない側の端子の電圧にコンデンサC4の充電電圧が加えられて充電され、同期整流用素子TR1がオンする。これにより、2次巻線N2に発生するフライバック電圧により、2次巻線N2に蓄えられたエネルギーが出力コンデンサC2に充電される。
【0007】
また、インバータトランジスタQ1がオフすると同時に、別電源16によりタイミングコンデンサC3の充電が抵抗R2を介して開始される。そして、タイミングコンデンサC3の電位が次第に上昇し、トランジスタTR2がオンする電位に達すると、トランジスタTR2がオンし同期整流用素子TR1のゲートの電荷を放電して、同期整流用素子TR1をオフする。トランジスタTR2がオンするタイミングは、インバータトランジスタQ1がオンする前のタイミングに設定される。そしてインバータトランジスタQ1がオンすると、再び別電源16のコンデンサC6の充電が開始するとともに、タイミングコンデンサC3が抵抗R1、ダイオードD1を経て放電する。以上の動作を繰り返して、このスイッチング電源装置の電源回路10は、インバータトランジスタQ1と同期整流用素子TR1が同時にオンすることなく、同期整流動作を行い、出力側に電力を供給する。
【0008】
また、特許文献1に開示された電源装置も、同様にインバータトランジスタと同期整流用素子が同時にオンしないように、同期整流用素子を強制的にオフさせる遮断回路を備えたものである。
【特許文献1】特開2000−116122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このフライバック式の同期整流スイッチング電源装置の場合、同期整流用素子TR1のオフタイミングがずれて、2次側の同期整流用素子TR1がオン状態のままインバータトランジスタQ1がオンすると、2次側の回路がショートした状態となり、インバータトランジスタQ1に大きなサージ電流が流れてしまい、インバータトランジスタQ1や同期整流用素子TR1等の破壊に至る場合がある。
【0010】
例えば、出力に接続された負荷が、重負荷から軽負荷に急激に変化し、インバータトランジスタQ1がスイッチングを停止すると、別電源16のコンデンサC6の電圧が必要な電圧以下に低下してしまう場合がある。これにより、次にインバータトランジスタQ1がスイッチングを開始したときに、同期整流用素子TR1がオンしている期間の別電源16によるコンデンサC3の充電が遅れ、インバータトランジスタQ1がオンする前にトランジスタTR2がオンせず、従って同期整流用素子TR1をオフできない場合が生じ、電源回路に貫通電流が流れてしまうというものである。
【0011】
また、出力電圧端子13,14間に外部から設定電圧以上の電圧が印加された場合や、出力端子間に外部の大容量のコンデンサを付けたときの電源停止時にも、2次側の同期整流用素子をオフできずに貫通電流が流れたり、出力端子間に接続された大容量の外部コンデンサの電力により、2次側の回路で自励発振したりするという問題もあった。
【0012】
さらに、別電源16の充電が2次巻線N2により行われるので、出力効率を低下させ、出力の短絡時等には別電源16の電圧が確保できないという問題もあった。
【0013】
この発明は、前記の従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、少ない部品点数で、負荷の急変や出力端子間に接続された外部機器にかかわらず、貫通電流や自励発振を防止することができるフライバック式の同期整流スイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、一定の周期内でオン・オフするインバータトランジスタがトランスの1次巻線と直列に接続されて入力端子間に設けられ、前記トランスの2次巻線と出力端子との間に直列に接続された同期整流用素子を有するとともに、前記インバータトランジスタのスイッチングにより所定電位に充電される別電源と、前記同期整流用素子を前記インバータトランジスタと相補的にオン・オフさせる制御回路と、前記同期整流用素子をオフさせるスイッチ素子を備えたフライバック式の同期整流スイッチング電源装置であって、前記インバータトランジスタのスイッチングによりパルス電圧を発生させる補助巻線を前記トランスの2次側に設け、前記別電源は前記補助巻線によるパルス電圧により所定電位に充電されるコンデンサを備え、前記別電源の出力電圧と前記出力端子の出力電圧とを比較して前記別電源の出力電圧が一定値以下に低下した場合に、前記スイッチ素子により前記同期整流用素子をオフさせるトランジスタ等のスイッチ素子制御手段を備えた同期整流スイッチング電源装置である。
【0015】
前記スイッチ素子制御手段はPNPトランジスタからなり、前記別電源の出力を前記PNPトランジスタのベースに接続し、前記PNPトランジスタのエミッタをこの電源装置の出力端子に接続し、前記PNPトランジスタのコレクタを、この電源装置の同期整流駆動タイミングを制御するタイミングコンデンサに接続したものである。さらに、前記別電源とこの電源装置の出力との間に直列に複数の抵抗を設け、前記PNPトランジスタのベースを前記抵抗間に接続しても良い。
【0016】
また、前記別電源は、ツェナーダイオードと第一のコンデンサの並列回路を有し、前記補助巻線のドットの無い側に一端が接続された第二のコンデンサと、前記2次巻線のドットの無い側にアノードが接続された第一のダイオードを備え、前記第二のコンデンサの他端と前記第一のダイオードのカソードが接続されて直列回路が形成され、この直列回路の中点が、第二のダイオードのアノードに接続され、前記第二のダイオードのカソードが抵抗を介して前記第一のコンデンサに接続され、前記第一のコンデンサには、この電源装置の出力電圧と前記補助巻線に発生するパルス電圧とが加算されて充電されるものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の同期整流スイッチング電源装置は、負荷の急変による貫通電流や、電源停止時又は外部電圧印加時に自励発振するという現象を確実に防止することができ、電源装置の構成部品の小型化を可能にし、電源装置全体の小型化や低コスト化に大きく寄与するものである。
【0018】
さらに、請求項4記載の発明によれば、広い入力範囲で損失を少なく抑えることができ、出力の立ち上がりよりも早く別電源を立ち上げることができ、確実に動作させることができる。また、出力の短絡時にも別電源の電圧を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、この発明の第一実施形態のフライバック式の同期整流スイッチング電源装置の電源回路20を示すもので、図3に示す電源回路10と同様の構成は同一の符号を付す。この電源回路20は、直流電源の入力端子11,12と並列に入力コンデンサC1が設けられ、入力コンデンサC1の両端に、トランスTの1次巻線N1とインバータトランジスタQ1より成る直列回路が接続されている。トランスTの1次巻線N1はドットのある方が入力端子11に接続され、ドットの無い方がインバータトランジスタQ1に接続されている。インバータトランジスタQ1はMOS−FET等の半導体スイッチ素子からなる。
【0020】
トランスTの2次巻線N2は、ドットのない方の端子が出力端子13に接続され、ドットのある方の端子には、MOS−FET等の同期整流用素子TR1が直列に設けられて、基準電位側の出力端子14に接続されている。さらに、出力端子13,14間には、平滑用の出力コンデンサC2が設けられている。
【0021】
トランスTの2次側には、同期整流用素子TR1の駆動手段としての補助巻線N3が設けられ、この補助巻線N3のドットを付した側の端子が基準電位に接続され、ドットのない側の端子は、スピードアップ用のコンデンサC4を介して同期整流用素子TR1のゲートに接続されている。さらに、補助巻線3のドットのない側の端子は、ダイオードD1のカソードに接続され、ダイオードD1のアノードが抵抗R1、タイミングコンデンサC3の直列回路を経て基準電位に接続されている。抵抗R1とタイミングコンデンサC3の中点は、後述する別電源16の抵抗R3とコンデンサC6の中点に、抵抗R2を介して接続されている。さらに、抵抗R1とコンデンサC3の中点は、NPN型のトランジスタTR2のベースに接続されている。トランジスタTR2のコレクタは、同期整流用素子TR1のゲートに接続され、エミッタは基準電位に接続されている。また、同期整流用素子TR1のゲートには、ダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD2のアノードが基準電位に接続されている。
【0022】
出力端子13,14間には、2次側に設けられた別電源16が設けられ、この別電源16はコンデンサC5を備え、コンデンサC5の一端が、補助巻線N3のドットのない側の端子に接続されている。コンデンサC5の他端は、直列に接続されたダイオードD4のカソードとダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD4のアノードが2次巻線N2のドットのない端子に接続されている。また、ダイオードD3のカソードは、抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端はツェナーダイオードZD1のカソードに接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードが基準電位に接続されている。さらに、抵抗R3の他端は、コンデンサC6を介して基準電位に接続されている。そして、抵抗R3とコンデンサC6の中点が、この別電源16の出力となっている。
【0023】
出力端子13とトランジスタTR2のベースとの間には、スイッチ素子制御手段であるPNP型のトランジスタTR3が接続されている。トランジスタTR3は、エミッタが出力端子13に接続され、コレクタが抵抗R4を介してトランジスタTR2のベースに接続されている。トランジスタTR3のベースは、別電源16の出力である抵抗R3とコンデンサC6の中点に接続されている。
【0024】
このスイッチング電源装置の動作は、インバータトランジスタQ1を制御回路18によりオン・オフしPWM制御する。インバータトランジスタQ1のオン期間には、同期整流用素子TR1はオフしており電流は流れず、コンデンサC3の電圧は、抵抗R1、ダイオードD1を通して放電される。また、インバータトランジスタQ1のオン期間に、補助巻線N3によりコンデンサC4がダイオードD2のカソード側をプラスにして充電される。
【0025】
インバータトランジスタQ1がオフすると、同期整流用素子TR1のゲートには、補助巻線N3のドットのない側の端子の電圧にコンデンサC4の充電電圧が加えられて充電され、同期整流用素子TR1がオンする。同時に、2次巻線N2に発生するフライバック電圧により、2次巻線N2に蓄えられたエネルギーが出力コンデンサC2に充電される。また、別電源16のコンデンサC6が、補助巻線N3に発生する電圧によりコンデンサC5等を介して充電される。ここで、コンデンサC5は、この電源回路20の出力電圧によりダイオードD4を介して充電されているので、インバータトランジスタQ1がオフすると、コンデンサC6には、コンデンサC5の電圧と補助巻線N3に発生するフライバック電圧が加算されて充電される。そして、コンデンサC6の充電電圧は、ツェナーダイオードZD1により設定される。
【0026】
また、インバータトランジスタQ1がオフすると同時に、別電源16によりタイミングコンデンサC3の充電が抵抗R2を介して開始される。そして、タイミングコンデンサC3の電位が次第に上昇し、トランジスタTR2がオンする電位に達すると、トランジスタTR2がオンし同期整流用素子TR1のゲートの電荷を放電して、同期整流用素子TR1をオフする。トランジスタTR2がオンするタイミングは、インバータトランジスタQ1がオンする前のタイミングに設定される。そしてインバータトランジスタQ1がオンすると、再び別電源16のコンデンサC6の充電が開始するとともに、コンデンサC3の電圧は、抵抗R1とダイオードD1を経て放電する。
【0027】
ここで、負荷の急激な変化により出力電圧が設定電圧以上に上昇してしまった場合等には、制御回路18の制御により、インバータトランジスタQ1はオフした状態がしばらく続き、別電源16の電圧が所定の電圧値以下に低下してしまうことがある。別電源16が所定値以下に低下すると、別電源16のコンデンサC6の電位がベースに印加されたトランジスタTR3がオンし、トランジスタTR2をオンさせるとともに、抵抗R4を介してタイミングコンデンサC3を充電する。これにより同期整流用素子TR1のゲート電荷が放電され、同期整流用素子TR1はオフする。トランジスタTR3がオンしている間、すなわち、別電源16のコンデンサC6の電位が所定電位以下である間は、トランジスタTR2がオンし、同期整流用素子TR1はオフしている。また、この間にインバータトランジスタQ1がスイッチングをはじめると、同期整流用素子TR1はそのボディーダイオードによる整流を行う。そして、別電源16の充電が設定値以上になると、トランジスタTR3はオフし、上述の通常動作となる。
【0028】
以上の動作を繰り返して、この電源回路20は、インバータトランジスタQ1と同期整流用素子TR1が同時にオンすることなく、同期整流動作を行い、出力側に電力を供給する。
【0029】
この実施形態のスイッチング電源装置によれば、負荷の急変によりインバータトランジスタQ1が停止した後、スイッチングを再開した場合にも、トランジスタTR3により同期整流用素子TR1を確実にオフさせ、別電源16の出力電圧が所定値以上となり、タイミングコンデンサC3及びトランジスタTR2により正常に且つ確実に同期整流用素子TR1を駆動可能となるまで、同期整流用素子TR1をオンさせないようにしている。これによって貫通電流が電源回路20に流れることがなく、回路素子の損傷等を確実に防止することができる。さらに、別電源16への充電がトランジスタTR3を介しても行われるため、別電源16の復帰も早い。
【0030】
また、出力端子13,14間に外部の装置により設定電圧よりも高い電圧がかかった場合も、インバータトランジスタQ1が停止し、別電源16の出力電圧は低下する。この場合も、前記と同様に別電源16の電位の低下によりトランジスタTR3がオンし、トランジスタTR2により同期整流用素子TR1をオフ状態にし、外部電源の印加による自励発振を防止する。
【0031】
さらに、出力端子13,14間の外部装置として大容量のコンデンサを接続した状態で、リモコンや入力電圧の遮断によりインバータトランジスタQ1が動作を停止した場合にも、2次側の別電源16の電圧は低下し、同期整流用素子TR1がオフさせられる。これにより、出力端子13,14間の外部の大容量コンデンサに蓄えられたエネルギーによる自励発振を防止することができ、さらに、大容量コンデンサに貯えられたエネルギーを抵抗R4で消費させ、速やかに出力電圧を低下させる。
【0032】
さらに、この実施形態の電源回路20の構成により、1次側の広い入力範囲に対応可能であり、コンデンサC5の容量を適宜選択して損失を少なく抑えることができる。また、補助巻線N3により、電源回路20の出力の立ち上がりよりも早く別電源16を立ち上げることができ、確実に動作させることができる。また、出力の短絡時にも別電源16の電圧を確保することができる。
【0033】
次にこの発明の第二実施形態の同期整流スイッチング電源装置について、図2を基にして説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態は、別電源16の出力と出力端子13との間に、抵抗R5,R6の直列回路を設け、抵抗R5,R6の中点をトランジスタTR3のベースに接続したものである。
【0034】
この実施形態では、同期整流スイッチング電源装置の出力電圧が、別電源16の電圧よりも高い場合に、別電源16の電圧低下がないときにもトランジスタTR3がオンすることを防止したものである。また、抵抗R5、R6を適宜設定して、トランジスタTR3のオン電位を任意に設定することができる。
【0035】
なお、この発明のフライバック式の同期整流スイッチング電源装置は前記実施形態に限定されるものではなく、別電源16の充電を補助巻線N3からのみ行うものでも良い。さらに、その他適宜の他の回路を組み合わせたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第一実施形態の同期整流スイッチング電源装置の概略回路図である。
【図2】この発明の第二実施形態の同期整流スイッチング電源装置の概略回路図である。
【図3】従来のフライバック式同期整流スイッチング電源装置の概略回路図である。
【符号の説明】
【0037】
11,12 入力端子
13,14 出力端子
16 別電源
18 制御回路
20 電源回路
C3 タイミングコンデンサ
N1 1次巻線
N2 2次巻線
N3 補助巻線
Q1 インバータトランジスタ
T トランス
TR1 同期整流用素子
TR2,TR3 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の周期内でオン・オフするインバータトランジスタがトランスの1次巻線と直列に接続されて入力端子間に設けられ、前記トランスの2次巻線と出力端子との間に直列に接続された同期整流用素子を有するとともに、前記インバータトランジスタのスイッチングにより所定電位に充電される別電源と、前記同期整流用素子を前記インバータトランジスタと相補的にオン・オフさせる制御回路と、前記同期整流用素子をオフさせるスイッチ素子を備えたフライバック式の同期整流スイッチング電源装置において、
前記インバータトランジスタのスイッチングによりパルス電圧を発生させる補助巻線を設け、前記別電源は前記補助巻線によるパルス電圧により所定電位に充電されるコンデンサを備え、前記別電源の出力電圧と前記出力端子の出力電圧とを比較して前記別電源の出力電圧が一定値以下に低下した場合に、前記スイッチ素子により前記同期整流用素子をオフさせるスイッチ素子制御手段を備えたことを特徴とする同期整流スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子制御手段はPNPトランジスタからなり、前記別電源の出力を前記PNPトランジスタのベースに接続し、前記PNPトランジスタのエミッタをこの電源装置の出力端子に接続し、前記PNPトランジスタのコレクタを、この電源装置の同期整流駆動タイミングを制御するタイミングコンデンサに接続したことを特徴とする請求項1記載の同期整流スイッチング電源装置。
【請求項3】
前記別電源とこの電源装置の出力との間に直列に複数の抵抗を設け、前記PNPトランジスタのベースを前記抵抗間に接続したことを特徴とする請求項2記載の同期整流スイッチング電源装置。
【請求項4】
前記別電源は、ツェナーダイオードと第一のコンデンサの並列回路を有し、前記補助巻線のドットの無い側に一端が接続された第二のコンデンサと、前記2次巻線のドットの無い側にアノードが接続された第一のダイオードを備え、前記第二のコンデンサの他端と前記第一のダイオードのカソードが接続されて直列回路が形成され、この直列回路の中点が、第二のダイオードのアノードに接続され、前記第二のダイオードのカソードが抵抗を介して前記第一のコンデンサに接続され、前記第一のコンデンサには、この電源装置の出力電圧と前記補助巻線に発生するパルス電圧とが加算されて充電されることを特徴とする請求項1記載の同期整流スイッチング電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−121819(P2006−121819A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306863(P2004−306863)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】