説明

固定構造

【課題】高圧タンク等の筒状の被固定物をその外周に掛け渡したバンドにて固定する際に用いるボルトの小型軽量化を図る。
【解決手段】高圧タンクTをタンクバンド140で固定するに当たり、タンクバンド140の第1固定端141をプラットフォームFに固定し、第2固定端142では、バンド保持機構200を用いる。バンド保持機構200は、筒状体210の貫通孔212と第2固定端142の貫通孔142aとバンド固定部116の貫通孔FHに挿入されたボルト202にナット203を螺合することで、筒状体210の底部211をバンド表面の側に引き寄せ、バンド表面と筒状体210の開口外縁214との間でコイルバネ204を圧縮状態とする。圧縮したコイルバネ204は、タンクバンド140にテンションを掛けつつ、タンクバンド140の第2固定端142をプラットフォームFに押し付けて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧タンク等の筒状の被固定物を固定する固定構造に関し、詳しくは被固定物外周に掛け渡した帯状のバンドの固定端をバンド保持部に保持することで、被固定物を固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になり、車両への高圧タンク搭載の機会が増えている。例えば、燃料電池搭載車両では、燃料電池の燃料ガスである水素ガスを高圧タンクに貯留して、この高圧タンクを車両に搭載している。高圧タンクは外気温や貯留ガスの消費量等の影響を受け、タンクの外径の膨張を起こす。よって、こうした膨張を吸収した上で高圧タンクを車載する際には、タンク外周に掛け渡した帯状のバンドにコイルバネによりテンションを掛ける手法が種々提案されている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−278601号公報
【特許文献2】特開2004−169767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献で提案された手法において、コイルバネは、タンクの膨張・収縮の程度に合わせたテンションをバネの圧縮・伸張によりバンドに掛ける都合上、圧縮代および伸張代を残した圧縮状態とする必要がある。従って、コイルバネを保持するボルトには、コイルバネのバネ長をある程度確保して保持することが要求され、バネ長に合わせた長さの軸部を有する長寸のボルトがコイルバネ保持に用いられている。
【0005】
ところで、コイルバネをボルトヘッドで保持するボルトには、タンクの膨張に伴う力が掛かる他、タンクの振動や、タンク搭載車両の急加速時や急制動時、車両衝突時等にも外力が掛かる。これら外力はタンクの膨張に伴う力に比べて著しく大きい場合もあるにも拘わらず、この外力を長寸のボルトで受けることになる。このような場合、ボルトが長くなる分、ボルト破損が起きやすくなるので、コイルバネおよびバンドの保持には、長寸且つ大径のボルトが使用されている。この結果、ボルトの大型化や重量増を招いていた。なお、こうした問題は、高圧タンクを搭載した車両に限らず、高圧タンクをバンドにて保持する据え置き型の設備機器であっても解決することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、高圧タンク等の筒状の被固定物をその外周に掛け渡したバンドにて固定する際に用いるボルトの小型軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0008】
[適用1:固定構造]
筒状の被固定物の外周に掛け渡した帯状のバンドの固定端をバンド保持部に保持することで、前記被固定物を固定する固定構造であって、
前記バンドの前記固定端におけるバンド側貫通孔と前記バンド保持部の保持部側貫通孔とに挿入されるボルトと、
該ボルトの雄ネジに螺合されるナットと、
コイルバネと、
該コイルバネのコイル径より小さい外径とされた有底の筒状体であって、開口側に外側に延びる開口外縁を有する筒状体とを備え、
前記コイルバネは、前記バンド貫通孔と重なってバンド表面にバネの一端側を当接して配置され、
前記筒状体は、前記コイルバネに挿入されて、前記筒状体の底部を前記バンド表面から離間させた状態で前記開口外縁で前記コイルバネの他端側を受け止め、
前記バンド側貫通孔および前記保持部側貫通孔に挿入された前記ボルトと前記ナットは、前記雄ネジと前記ナットの螺合により、前記筒状体の前記底部を前記バンド表面の側に引き寄せて前記バンド表面と前記開口外縁との間で前記コイルバネを圧縮状態とし、該圧縮したコイルバネにより前記バンドをテンションを掛けて保持する
ことを要旨とする。
【0009】
上記構成の固定構造では、コイルバネの一端側をバンド表面で受け、バネ他端側を筒状体の開口外縁で受けた上で、コイルバネを圧縮状態とし、圧縮したコイルバネによりバンドをテンションを掛けて保持する。こうしたバンド保持で、筒状の被固定物の外周に掛け渡した帯状のバンドにより被固定物を固定する。圧縮状態にあるコイルバネに挿入済みの筒状体は、その底部をバンド表面から離間させているので、この離間距離をコイルバネの圧縮代或いは伸縮代として確保する。よって、固定済みの被固定物が膨張・収縮しても、この膨張・収縮は、コイルバネの圧縮・伸張で吸収される。
【0010】
上記構成の固定構造におけるバンドにテンションを掛けるコイルバネの圧縮は、バンドのバンド側貫通孔およびバンド保持部の保持部側貫通孔に挿入されたボルトの雄ネジとナットの螺合により、筒状体の底部をバンド表面の側に引き寄せることでなされる。つまり、ボルトとナットは、螺合状態において、筒状体の底部にバンド表面の側に引き寄せる力を及ぼせばよい。そして、螺合状態のボルトとナットが力を及ぼす筒状体の底部は、圧縮状態にあるコイルバネのバネ長をバネ他端側で規定する筒状体の開口外縁によりバンド表面側に近づくので、その分だけボルトを短寸化できる。よって、このボルトの短寸化により、ボルトの小型軽量化を実現できる。また、ボルトの短寸化によりボルト強度も増すことから、大型で重いタンク等の被固定物を保持できる。加えて、何らかの原因で作用した外力を短寸のボルトにて受けることができるので、ボルトの破損回避の実効性が高まり、筒状の被固定物をその外周に掛け渡したバンドにて固定する際の信頼性を高めることができる。
【0011】
また、上記構成の固定構造では、筒状部をコイルバネに挿入させていることから、筒状部外壁をコイルバネの案内とできる。よって、コイルバネを不用意にコイル径内外方向に動かすことなくバネ圧縮と伸張をもたらすので、バネ動作の安定化を図ることができる。しかも、筒状部外壁でバネを案内した状態で組み付け作業ができることから、作業性も高まる。
【0012】
上記した固定構造は、次のような態様とすることができる。例えば、前記筒状体を前記底部に底部貫通孔を備えるものとし、前記ボルトを前記底部貫通孔にも挿入させて、前記筒状体の内側に当たる前記底部の上面側にはボルトヘッドもしくはナットを配設するようにできる。こうすれば、ボルトにナットを螺合した状態において、ボルトヘッドの下面もしくはナット下面にて、筒状体をその底部の上面側からベルト表面側に引き寄せることができる。
【0013】
この場合、前記底部の上面側にボルトの前記ボルトヘッドを配設する際には、前記底部貫通孔に重ねて配設された座金を介在させて前記ボルトヘッドを前記底部の上面側に配置するようにできる。こうすれば、筒状体の底部とボルトヘッドとの間に介在する座金にて、筒状体をその底部の上面側からベルト表面側に引き寄せるので、ボルトの軸径に対して底部貫通孔を大きくできる。よって、貫通孔へのボルト挿入作業が容易となる。しかも、ボルトをボルトヘッド下面にフランジやバネ案内のための大径部を有するような形状とする必要がない。このため、シャフト材から、ボルトヘッドとフランジと大径部と雄ネジ軸とを有するボルトの切削製造は不要となり、既存のボルトの使用が可能となる。よって、コスト低下と軽量化を図ることができる。
【0014】
また、前記底部の上面側にナットを配設する際には、前記底部貫通孔に雌ネジ穴を重ねて前記底部の上面側にナットを溶接するようにできる。こうすれば、筒状体の内部でナットが動かないので、ボルトの雄ネジとナットとの螺合作業が容易となる。
【0015】
また、前記筒状体の前記底部を前記ボルトのボルトヘッドの頂上面に溶接して、筒状体とボルトと一体とすることや、前記筒状体の前記底部に備える底部貫通孔を前記ナットの雌ネジ穴に重ねて前記底部を前記ナットの頂上面に溶接して、筒状体をナットと一体とすることもできる。こうすれば、筒状体をボルトもしくはナットと一緒に扱えることから、組み付け作業が簡便となる。
【0016】
こうして溶接された筒状体は、外力が作用した場合に、ボルトヘッドの頂上面もしくはナット頂上面の溶接箇所から外れることが有り得る。しかしながら、筒状体が外れても、ボルトとナットの螺合状態は維持されているので、バンドがバンド保持部から外れてしまうことがない。これに対し、既存の構造では、外力により長寸のボルトの破損が起きれば、バンドはバンド保持部から外れてしまう。よって、上記態様の固定構造では、大きな外力が作用した場合であってもバンドをバンド保持部に保持することで、被固定物をバンドから解放してしまうようなことを回避できる。なお、既述したボルトの短寸化により、こうしたバンド保持とバンドからの被固定物解放回避とを、高い実効性で実現できる。
【0017】
また、前記バンド保持部を、前記被固定物に掛け渡した他の帯状のバンドの固定端に形成するようにできる。こうすれれば、被固定物に掛け渡されたバンド同士を、ボルトの破損回避を高い実効性で図った上で繋ぎ止め、繋ぎ止めたバンドで被固定物を高い信頼性で固定できる。
【0018】
[適用2:固定構造]
筒状の被固定物の外周に掛け渡した帯状のバンドで前記被固定物を固定する固定構造であって、
雌ネジを備え、前記バンドの固定端を保持するバンド保持部と、
前記バンドの前記固定端におけるバンド側貫通孔に挿入され、前記バンド保持部の前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトと、
コイルバネと、
該コイルバネのコイル径より小さい外径とされた有底の筒状体であって、開口側に外側に延びる開口外縁を有する筒状体とを備え、
前記コイルバネは、前記バンド貫通孔を取り囲んでバンド表面にバネの一端側を当接して配置され、
前記筒状体は、前記コイルバネに挿入されて、前記筒状体の底部を前記バンド表面から離間させつつ前記開口外縁で前記コイルバネの他端側を受け止め、
前記バンド側貫通孔に挿入された前記ボルトは、前記バンド保持部の前記雌ネジへの螺合により、前記筒状体の前記底部を前記バンド表面の側に引き寄せて前記バンド表面と前記開口外縁との間で前記コイルバネを圧縮状態とし、該圧縮したコイルバネにより前記バンドをテンションを掛けて保持することで、前記被固定物を固定する
ことを要旨とする。
【0019】
上記構成の固定構造では、バンド保持部が備える雌ネジにボルトを螺合することで、既述した構成の固定構造と同様に、筒状体の底部にバンド表面の側に引き寄せる力を及ぼす。よって、ボルトの短寸化と、これによるボルトの破損回避の実効性の向上や、バンドによる被固定物固定の信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
そして、上記したようにバンドにて固定される前記被固定部を高圧タンクとすれば、高圧タンク搭載車両や高圧タンクを有する設備機器において、ボルトの短寸化によるボルトの破損回避の実効性の向上や、バンドによる被固定物固定の信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の実施例としての固定構造を高圧タンク搭載車両に適用した場合の高圧タンクTの車載の様子を示す説明図、図2は高圧タンクTの車載の様子をタンク周辺の構成と共に示す説明図、図3は車載済みの高圧タンクTの保持の様子を要部を破断して示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、車両10は、高圧タンクTを、タンク長手方向が車両幅方向となるように、プラットフォームFの下方に横置きに搭載する。高圧タンクTは、水素ガスを高圧で貯留する。タンクに貯留された水素ガスは、車両10が搭載した図示しない燃料電池に高圧タンクTから図示しないガス配管を経て供給され、ガス供給の際には図示しない減圧弁にて減圧される。高圧タンクTは、後輪RTの車軸より後方側に車両幅方向に横置き搭載され、紙面奥側にも並べて横置き搭載したり、図示するタンク位置の後方側に並べて横置き搭載することも可能である。
【0023】
高圧タンクTは、樹脂製とされており、図2に示すように、長尺で円柱状をなし、タンク一端側に、金属製のバルブベースTVBを有する。このバルブベースTVBは、タンク内充填ガスの流路を備えてタンク一端に装着されガス配管との接続の用をなす。
【0024】
本実施例の車両10は、車両のプラットフォームFの下面にタンク収納凹所110を車両幅方向に陥没形成して備え、高圧タンクTにタンク下端側半周に亘って掛け渡されたタンクバンド140を、バンド保持機構200を用いてプラットフォームFに保持する。タンク収納凹所110は、車両幅方向に延びて車両前後に位置して向かい合う前方傾斜面112Fと後方傾斜面112Rとを備え、両傾斜面の間を車両幅方向に延びる陥没溝114とする。陥没溝114を挟んで向かい合う上記の両傾斜面は、高圧タンクTの外周の異なる位置でタンク円柱側面に当接する。つまり、高圧タンクTがこの前方傾斜面112Fと後方傾斜面112Rに当接するようにされると、横置き状の高圧タンクTは、両傾斜面に支えられることになるので、タンク径方向に位置決めされる。この場合、上記の両傾斜面は、搭載された高圧タンクTの上方側に位置することから、高圧タンクTは、両傾斜面への当接により、上下方向および左右方向(即ち、車両上下方向と車両前後方向)に位置決めされることになる。高圧タンクTの回転方向の位置決めは、バルブベースTVBを用いる等の手法でなされるが、本発明の要旨とは直接関係しないので、その説明は省略する。
【0025】
タンクバンド140は、スチール製とされ、その両端を第1固定端141、第2固定端142とする。両固定端とも、貫通孔141a、142aを備えるが、貫通孔141aにあってはボルト径より大きい円形の貫通孔とされ、貫通孔142aにあっては小判状の長孔とされている。タンクバンド140は、プラットフォームFが有するバンド固定部116の雌ネジFSにボルト143を螺合することで、第1固定端141においてバンド固定部116に固定される。この際、平座金144が用いられ、割り座金を併用することもできるほか、雌ネジFSに当たる箇所を貫通孔とし、後述の第2固定端142の保持と同様にナットを用いてボルト143をネジ締めするようにしても良い。また、本実施例では、ボルト143を六角穴付きボルトとしているが六角ボルトとしても良い。タンクバンド140は、第2固定端142の側では、バンド保持機構200を用いてプラットフォームFのバンド固定部116に保持される。こうしたバンド保持により、タンクバンド140は、タンク外周の下端側半周に掛け渡された状態で、タンク収納凹所110の向かい合う前方傾斜面112Fと後方傾斜面112Rに当接した高圧タンクTを上記の両傾斜面の側に向けて締め付けて固定する。
【0026】
高圧タンクTを車載するには、タンクバンド140の第2固定端142をプラットフォームFから取り外しておき、横置き状の高圧タンクTを昇降させる図示しないタンクリフタにて、タンク収納凹所110に向けて高圧タンクTを持ち上げる。このタンク持ち上げは、高圧タンクTの側面がタンク収納凹所110の向かい合う前方傾斜面112Fと後方傾斜面112Rに当接するまで行われる。このタンク持ち上げと斜面当接と前後して、タンクの回転方向の位置決めも行われる。
【0027】
次いで、タンクバンド140を、バンド保持機構200を用いてプラットフォームFに保持する。バンド保持機構200は、ボルト202とナット203とコイルバネ204と筒状体210とを備える。筒状体210は、ステンレス等の薄板鋼板の深絞り成型を経てカップ状をなし、底部211に貫通孔212を備え、筒周壁部213における開口側に外側に延びる開口外縁214を備え、該外縁には筒周壁部213の側に延びた外縁エッジ部215を備える。この場合、筒状体210は、筒周壁部213をコイルバネ204のコイル径より小さい外径としている。
【0028】
コイルバネ204は、第2固定端142の長孔状の貫通孔142aに重なった状態でバンド表面にバネの一端側を当接して配置され、筒状体210は、コイルバネ204に筒周壁部213を底部211の側から挿入されて、底部211をバンド表面から離間させた状態で開口外縁214でコイルバネ204の他端側を受け止める。ボルト202は、六角穴付きボルトであり、平座金205を介在させて筒状体210の貫通孔212に挿入され、タンクバンド140における第2固定端142の貫通孔142aと、第2固定端142の保持対象であるプラットフォームFのバンド固定部116における貫通孔FHとにも挿入された状態で、ナット203が螺合される。ナット螺合はいわゆるダブルナットとすることがゆるみ防止から望ましい。ナット203とボルト202の螺合により、ボルト202は、平座金205を介して筒状体210の底部211をその上面側からバンド固定部116の側に押し付けて、筒状体210の底部211をバンド表面の側に引き寄せ、バンド表面と筒状体210の開口外縁214との間でコイルバネ204を圧縮状態とする。よって、こうして圧縮したコイルバネ204は、タンクバンド140にテンションを掛けつつ、タンクバンド140の第2固定端142をプラットフォームFに押し付けて保持する。高圧タンクTは、こうして保持されたタンクバンド140によりプラットフォームFに対して固定される。なお、第2固定端142は、強度確保のため、多層構造とすること、或いは図示しないリブ等にて補強されている。
【0029】
以上説明した本実施例の車両10は、バンド保持機構200にてタンク下端側半周に掛け渡したタンクバンド140をコイルバネ204にてテンションを掛けて保持し、タンクバンド140における第2固定端142のバンド表面と筒状体210の底部211との間隔を確保している。そして、タンクバンド140にテンションを掛けるためのコイルバネ204の圧縮と上記間隔の確保とを、筒状体210の貫通孔212と第2固定端142の貫通孔142aとバンド固定部116の貫通孔FHとに挿入されたボルト202の雄ネジにナット203を螺合して、筒状体の底部をバンド表面の側に引き寄せることでなしている。つまり、ボルト202とナット203は、螺合状態において、筒状体210の底部211にバンド表面の側に引き寄せる力を及ぼせばよい。そして、螺合状態のボルト202とナット203が力を及ぼす筒状体210の底部211は、圧縮状態にあるコイルバネ204のバネ長をバネ他端側で規定する筒状体210の開口外縁214よりバンド表面側に近いので、その分だけ、ボルト202を短寸化できる。この結果、本実施例のバンド保持機構200によれば、何らかの原因で作用した外力を短寸のボルト202にて受けることができるので、ボルト202の破損回避の実効性が高まり、高圧タンクTをその外周に掛け渡したバンドにて固定する際の信頼性を高めることができる。また、ボルト短寸化に伴い次の利点もある。
【0030】
ボルトのようなシャフト材は長寸になるほど曲げ強度が低下するので、車両急制動等により外力が加わった場合、長寸なボルトであれば曲がりやすい。ところが、本実施例では、上記したように短寸のボルトであることから、曲げ強度が高くなりその分だけ外力に対しての強度も増し、タンク固定の信頼性が高まる。加えて、長寸のボルトで曲げ強度を高めるにはボルト径の増大が必要となり、その分だけ重量増を招くが、本実施例のボルト202は短寸であるので、大径の長寸ボルトと同じ強度を確保する場合に比べて、小型軽量化が可能となる。しかも、ボルト202の短寸化によりボルトの強度も増すことから、大型で重い高圧タンクTであっても、高い信頼性で当該タンクを保持できる。
【0031】
また、本実施例のバンド保持機構200では、筒状体210をコイルバネ204に挿入させていることから、筒状部外壁をコイルバネの案内とできる。よって、コイルバネ204を不用意にコイル径内外方向に動かすことなく安定したバネ圧縮と伸張をもたらすので、バネ動作の安定化を図ることができる。しかも、筒状部外壁でコイルバネ204を案内した状態で、上記各貫通孔へのボルト202の挿入や挿入後のボルトとナットの螺合等の組み付け作業ができることから、作業性も高まる。
【0032】
また、筒状体210を用いずにコイルバネ204をボルトだけで保持する既存の構造では、バネ上端を受けるためのフランジをボルトヘッド下面に設けると共に、バネ案内のための大径部をフランジに続いて有するような特異なボルト形状とする必要がある。よって、既存の保持機構では、シャフト材から、ボルトヘッドとフランジと大径部と雄ネジ軸とを有するボルトの切削工程が必要となる。しかしながら、本実施例のバンド保持機構200は、筒状体210を用いたこと、および平座金205にてボルトヘッドを底部211に介在させたことにより、上記したシャフト材からの切削工程は不要となり、既存のボルトの使用が可能となる。よって、コスト低下と軽量化を図ることができる。また、平座金205を介して筒状体210をその底部211の上面側からベルト表面側に引き寄せるので、ボルト202の軸径に対して貫通孔212を大きくできるので、貫通孔212へのボルト挿入作業が容易となる。
【0033】
また、本実施例のバンド保持機構200では、筒状体210を筒周壁部213の上端開口側の開口外縁214に続けて外縁エッジ部215を有するものとし、この外縁エッジ部215を筒周壁部213の側に延びたものとしている。よって、この外縁エッジ部215によりコイルバネ204の外径側においてもバネを案内できるので、安定したバネ動作の確保や組み付け作業性の簡便化に有益である。
【0034】
加えて、この筒状体210は、薄板鋼板の深絞り成型品であることから、何らかの原因で過大な外力が加わった場合、コイルバネ204より先に破断し、外力が加わった場合の衝撃を緩和できる。ところで、このように筒状体210が破断しても、タンクバンド140はボルト202とコイルバネ204にてプラットフォームFに保持されたままであるので、高圧タンクTの脱落を回避でき好ましい。
【0035】
次に、他の実施例について説明する。図4は図3相当図でありボルトとナットの配置を逆にしたバンド保持機構200を示す説明図、図5は図3相当図でありボルトをプラットフォームFに直接螺合したバンド保持機構200を示す説明図である。
【0036】
図4に示すように、このバンド保持機構200では、ボルト202をプラットフォームFの側から平座金205を介在させて貫通孔FHと第2固定端142の貫通孔142aと筒状体210の貫通孔212に挿入させ、筒状体210の内部でナット203を螺合させている。そして、ナット203は、筒状体210の底部211における貫通孔212に雌ネジ穴を重ねて底部211の上面側に溶接されている。このバンド保持機構200では、筒状体210の内部でナット203が動かないので、ボルト202の雄ネジとナット203との螺合作業を容易とできる。この場合、図4のバンド保持機構200によっても、ボルト202の短寸化とこれに伴う上記した効果を奏することができる。なお、図4において、ナット203を筒状体210における底部211の下面側、即ちバンド表面側に溶接することもできる。
【0037】
図5に示すバンド保持機構200では、ボルト202をプラットフォームFの雌ネジFSに直接螺合させればよいので、ナット取り扱いが不要となり簡便である。この場合、図5のバンド保持機構200によっても、ボルト202の短寸化とこれに伴う上記した効果を奏することができる。
【0038】
図6は図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Aにおける高圧タンクTの車載の様子を示す説明図である。図示するように、この実施例では、プラットフォームFにタンク収納凹所110を陥没形成するに当たり、上向きにタンク収納凹所110を形成した。こうすれば、プラットフォームFのタンク収納凹所110に高圧タンクTを車両トランクルームの側から降ろした後に、タンクバンド140にてタンク上端側半周に掛け渡し、バンド保持機構200にてタンク上方側からバンド保持を行えばよい。このため、タンク搭載と固定に従事する作業者は、車両トランクルームの側から作業できることから、作業者に無理な姿勢を強要しないので、作業負荷低減や作業性向上に寄与できる。
【0039】
次に、予めタンクを搭載したいわゆるサブアッシー品の形態の実施例について説明する。図7は図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Bにおける高圧タンクTの車載の様子を示す説明図、図8は図2相当図であり高圧タンクTの車載の様子をタンク周辺の構成と共に示す説明図、図9は図3相当図であり車載済みの高圧タンクTの保持の様子を要部を破断して示す説明図である。この実施例では、タンク収納凹所110をプラットフォームFに固定されるタンクサブフレームTSFに陥没形成し、このタンクサブフレームTSFに高圧タンクTを固定した上で、当該フレームをプラットフォームFに固定する。
【0040】
図7に示すように、この実施例の車両10Bは、後輪RTの側において、プラットフォームFを前方プラットフォームFLと後方プラットフォームFRとし、前後のプラットフォームにタンクサブフレームTSFを固定して備える。タンクサブフレームTSFは、既述した実施例のプラットフォームFと同様、タンク収納凹所110を備え、当該凹所開口側の左右のバンド固定部116には、タンクバンド140の固定用の雌ネジFSと、プラットフォームFへの固定用の貫通孔117を備える。高圧タンクTの搭載および車載は次のようになされる。
【0041】
まず、タンクサブフレームTSFのタンク収納凹所110に高圧タンクTを載置し、既述したように、タンクバンド140の第1固定端141を、タンクサブフレームTSFの雌ネジFSにボルト143を螺合することで、タンクサブフレームTSFに固定する。第2固定端142の側では、バンド保持機構200のボルト202をにタンクサブフレームTSFの雌ネジFSに螺合することで、既述したようにタンクバンド140を保持する。これにより、テンションを掛けたタンクバンド140にて高圧タンクTをタンクサブフレームTSFに固定したタンクサブアッシー品となる。
【0042】
次に、このタンクサブアッシー品を、車両10Bの前方プラットフォームFLと後方プラットフォームFRとの間に車両トランクルームの側から載置する。そして、タンクサブフレームTSFを、バンド固定部116の貫通孔117に平座金144を介在させて配置したボルト143を前後のプラットフォームの雌ネジFSに螺合することで、前後のプラットフォームに固定する。この実施例によっても、ボルト短寸化等の既述した効果を奏することができるほか、バンドによるタンク固定を、車両へのタンク搭載前に別工程で行えるので、作業負荷軽減や作業性向上の実効性を高めることができる。
【0043】
図10は図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Cにおける高圧タンクTの車載の様子を示す説明図である。この実施例では、既述したタンク搭載済みのタンクサブフレームTSFを車両中央の床下に設置しており、タンクサブフレームTSFは、前方プラットフォームFLと中央部位プラットフォームFMとに車両下方側から固定されている。この実施例でも、ボルト短寸化等の既述した効果を奏することができる。
【0044】
次に、高圧タンクTをタンク周囲に掛け渡した複数本のベルトで固定する態様の実施例について説明する。図11は図1相当図でありバンド端部にバンド保持機構200を備えた場合の車両10Dにおける高圧タンクTの車載の様子を示す説明図、図12は図3相当図であり車載済みの高圧タンクTの保持の様子を示す説明図である。この実施例では、例えば後輪RTの側のステアリングフレームSFにサブフレームSMを車両前後に配し、前後のサブフレームの間に高圧タンクTをバントにて保持・固定する。
【0045】
この実施例では、図12に示すように、前後のサブフレームの間に高圧タンクTを固定した場合において、タンク下端側半周に亘って掛け渡される下端タンクバンド160と、タンク上端側のタンクバンド165とタンクバンド140とを備える。下端タンクバンド160は、タンク両端をサブフレームSM上面のバンド固定台座SMDに置かれて固定される厚肉の固定端161、162とし、各固定端にはボルト143が挿入される貫通孔を備える。タンクバンド165は、高圧タンクTの上端側において約1/4周に亘って掛け渡されるバンド長とされ、バンド一端を下端タンクバンド160の固定端162に重なる厚肉の固定端166とし、当該固定端にボルト143が挿入される貫通孔を備える。このタンクバンド165は、バンド他端側を、タンクバンド140を保持するための厚肉のバンド保持端167とし、当該保持端に、バンド保持機構200のボルト202が挿入される貫通孔を備える。タンクバンド140は、高圧タンクTの上端側において約1/4周に亘って掛け渡されるバンド長とされている以外は既述した構成を備え、第1固定端141は、下端タンクバンド160の固定端161と重ねて配設され、ボルト202をバンド固定台座SMDの雌ネジに螺合することで、サブフレームSMに固定される。そして、タンクバンド140の第2固定端142には、既述したバンド保持機構200が組み付けられる。
【0046】
高圧タンクTの上側に掛け渡されるタンクバンド165とタンクバンド140については、バンド両端に補強リブ168を設けることが、高圧タンクTをその周囲に掛け渡したバンドで固定する上で望ましい。また、サブフレームSMに対してタンクバンド140を保持するに当たっては、ボルト202をサブフレームSMの雌ネジに螺合するようにしたが、サブフレームSMのバンド固定台座SMDに設けた貫通孔にボルト202を挿入して、そのボルト202にナット203を螺合するようにすることもできる。ナット203を用いる場合には、ナット203の雌ネジ穴がバンド固定台座SMDの貫通孔と重なるようにしてナット203をバンド固定台座SMDに溶接するようにすることもできる。
【0047】
この実施例では、バンド保持機構200における筒状体210や第2固定端142の上記した貫通孔に挿入されたボルト202に、タンクバンド165のバンド保持端167においてナット203を螺合する。こうすることで、既述した実施例と同様、バンド保持機構200にてタンクバンド140にテンションを掛けて保持して高圧タンクTを固定することができる。そして、ボルト短寸化等の効果を奏することができる。
【0048】
図12で示すバンド保持機構200とタンクバンド140とタンクバンド165を、既述した実施例におけるタンク収納凹所110と組み合わせることもできる。つまり、図12に示した下端タンクバンド160と前後のサブフレームSMに代わって、タンク収納凹所110を有するプラットフォームFやタンクサブフレームTSFを用い、図3や図9に示すタンク収納凹所110の両側のバンド固定部116に、タンクバンド165の固定端166と、タンクバンド140の第1固定端141を第1固定端141にて固定することもできる。
【0049】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、図12で上記した実施例では、タンク上端側の2本のバンドとタンク下端側のタンクバンド165を用いているが、タンク上端側においても1本のバンドとすることができる。図13はタンク下端側と上端側に掛け渡したバンドにて高圧タンクTを保持する変形例を示す説明図である。図示するように、この変形例では、タンクバンド140をタンク上端側半周に亘って掛け渡されるバンド長とした上で、タンクバンド140の第2固定端142を下端タンクバンド160の固定端162に重ね、バンド保持機構200にて、タンクバンド140をテンションを掛けてサブフレームSMに保持する。このようにタンクバンド140をサブフレームSMに対して保持する際、既述したように、ボルト202をサブフレームSMの雌ネジに螺合したり、サブフレームSMのバンド固定台座SMDの貫通孔に挿入したボルト202にナット203を螺合する。
【0050】
また、図4では、ナット203を底部211の上面側に溶接してナットと一体の筒状体210の態様を示したが、次のようにすることもできる。図14は変形例の筒状体210Aを概略的に示す斜視図である。図示するように、この筒状体210Aは、底部211の下面側、即ちバンド表面側に六角ボルト202Aのボルトヘッドをヘッド頂上面において溶接して備える。この変形例の筒状体210Aによれば、六角ボルト202Aを筒状体と一緒に扱えることから、コイルバネ204を配設した後の貫通孔へのボルト挿入などの組み付け作業が簡便となる。
【0051】
図14に示す筒状体210Aは、外力が作用した場合に、ボルトヘッドの頂上面の溶接箇所から外れることが有り得る。しかしながら、筒状体210Aにおいて筒周壁部213から六角ボルト202Aが離脱しても、六角ボルト202Aとナット203の螺合状態(図3参照)或いはバンド固定部116の雌ネジFSの螺合状態(図5参照)は維持される。このため、タンクバンド140がバンド固定部116から外れてしまうことがない。これに対し、筒状体を用いずにコイルバネ204をボルトだけで保持する既存の構造では、外力により長寸のボルトの破損が起きれば、バンドはタンクから外れてしまう。よって、図14に示す筒状体210Aによれば、大きな外力が作用した場合であってもタンクバンド140を保持することで、高圧タンクTを解放してしまうようなことを回避できる。
【0052】
また、上記した実施例では、筒状体210を単なる筒状の筒周壁部213を有するものとしたが、次のように変形することもできる。図15は別の変形例の筒状体210Bを示す斜視図である。
【0053】
図示するように、この筒状体210Bは、既述した筒状体210と同様、底部211や、貫通孔212、開口外縁214、外縁エッジ部215を備えるが、筒周壁部213には、窓216を有する。この筒状体210Bにあっても筒状体210と同様にコイルバネ204に挿入されてコイルバネ204の他端側を開口外縁214で受け止めるが、窓216を有する分だけ、筒周壁部213の強度が低くなっている。よって、この変形例の筒状体210Bを用いたバンド保持機構200にてバンド保持した場合には、何らかの原因で加わった外力により筒状体210Bは筒周壁部213において破断しやすくなる。そして、窓216の大きさを調整することで、外力に対する破断状況も調整できる。つまり、窓216の大きさを、車両の急制動等により加わると予測される大きさの外力に合わせておけば、この予想を超える大きさの外力が加わった場合のみに、筒状体210Bの破断を起こすようにできる。こうして筒状体210Bが破断しても、既述したようにタンクバンド140はボルト202にてプラットフォームFなどに保持されているので、高圧タンクTの脱落を回避できる。しかも、窓216を設けた分だけ、筒状体210の軽量化を図ることができる。なお、窓216の大きさ調整に代わり、窓216を有しない筒周壁部213においてその肉厚調整により、外力に対する筒周壁部213の破断状況を調整するようにすることもできる。
【0054】
また、上記したいずれの筒状体も開口外縁214に繋げて外縁エッジ部215を有するものとしたが、外縁エッジ部215のない開口外縁214を有する筒状体とすることができる。バンドによる固定対象についても、タンクに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例としての固定構造を高圧タンク搭載車両に適用した場合の高圧タンクTの車載の様子を模式的に示す説明図である。
【図2】高圧タンクTの車載の様子をタンク周辺の構成と共に示す説明図である。
【図3】車載済みの高圧タンクTの保持の様子を要部を破断して示す説明図である。
【図4】図3相当図でありボルト202とナット203の配置を逆にしたバンド保持機構200を示す説明図である。
【図5】図3相当図でありボルト202をプラットフォームFに直接螺合したバンド保持機構200を示す説明図である。
【図6】図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Aにおける高圧タンクTの車載の様子を模式的に示す説明図である。
【図7】図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Bにおける高圧タンクTの車載の様子を模式的に示す説明図である。
【図8】図2相当図であり高圧タンクTの車載の様子をタンク周辺の構成と共に示す説明図である。
【図9】図3相当図であり車載済みの高圧タンクTの保持の様子を要部を破断して示す説明図である。
【図10】図1相当図でありバンド保持機構200を用いた車両10Cにおける高圧タンクTの車載の様子を模式的に示す説明図である。
【図11】図1相当図でありバンド端部にバンド保持機構200を備えた場合の車両10Dにおける高圧タンクTの車載の様子を模式的に示す説明図である。
【図12】図3相当図であり車載済みの高圧タンクTの保持の様子を示す説明図である。
【図13】タンク下端側と上端側に掛け渡したバンドにて高圧タンクTを保持する変形例を示す説明図である。
【図14】変形例の筒状体210Aを概略的に示す斜視図である。
【図15】別の変形例の筒状体210Bを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10、10A〜10D…車両
110…タンク収納凹所
112F…前方傾斜面
112R…後方傾斜面
114…陥没溝
116…バンド固定部
117…貫通孔
140…タンクバンド
141…第1固定端
141a…貫通孔
142…第2固定端
142a…貫通孔
143…ボルト
144…平座金
160…下端タンクバンド
161…固定端
162…固定端
165…タンクバンド
166…固定端
167…バンド保持端
168…補強リブ
200…バンド保持機構
202…ボルト
202A…六角ボルト
203…ナット
204…コイルバネ
205…平座金
210…筒状体
210A…筒状体
210B…筒状体
211…底部
212…貫通孔
213…筒周壁部
214…開口外縁
215…外縁エッジ部
216…窓
T…高圧タンク
F…プラットフォーム
SF…ステアリングフレーム
FL…前方プラットフォーム
FM…中央部位プラットフォーム
FR…後方プラットフォーム
SM…サブフレーム
FS…雌ネジ
FH…貫通孔
RT…後輪
SMD…バンド固定台座
TVB…バルブベース
TSF…タンクサブフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の被固定物の外周に掛け渡した帯状のバンドの固定端をバンド保持部に保持することで、前記被固定物を固定する固定構造であって、
前記バンドの前記固定端におけるバンド側貫通孔と前記バンド保持部の保持部側貫通孔とに挿入されるボルトと、
該ボルトの雄ネジに螺合されるナットと、
コイルバネと、
該コイルバネのコイル径より小さい外径とされた有底の筒状体であって、開口側に外側に延びる開口外縁を有する筒状体とを備え、
前記コイルバネは、前記バンド貫通孔と重なってバンド表面にバネの一端側を当接して配置され、
前記筒状体は、前記コイルバネに挿入されて、前記筒状体の底部を前記バンド表面から離間させた状態で前記開口外縁で前記コイルバネの他端側を受け止め、
前記バンド側貫通孔および前記保持部側貫通孔に挿入された前記ボルトと前記ナットは、前記雄ネジと前記ナットの螺合により、前記筒状体の前記底部を前記バンド表面の側に引き寄せて前記バンド表面と前記開口外縁との間で前記コイルバネを圧縮状態とし、該圧縮したコイルバネにより前記バンドをテンションを掛けて保持する
固定構造。
【請求項2】
前記筒状体は前記底部に底部貫通孔を備え、前記ボルトは前記底部貫通孔にも挿入され、前記筒状体の内側に当たる前記底部の上面側にはボルトヘッドもしくはナットを配設させている請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記底部の上面側に前記ボルトヘッドが配設された前記ボルトは、前記底部貫通孔に重ねて配設された座金を介在させて前記ボルトヘッドを前記底部の上面側に配置する請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記底部の上面側に配設された前記ナットは、前記底部貫通孔に雌ネジ穴を重ねて前記底部の上面側に溶接されている請求項2に記載の固定構造。
【請求項5】
前記筒状体は、前記底部を前記ボルトのボルトヘッドの頂上面に溶接して前記ボルトと一体とされている請求項1に記載の固定構造。
【請求項6】
前記筒状体は、前記底部に備える底部貫通孔を前記ナットの雌ネジ穴に重ねて前記底部を前記ナットの頂上面に溶接して、前記ナットと一体とされている請求項1に記載の固定構造。
【請求項7】
前記バンド保持部は、前記被固定物に掛け渡した他の帯状のバンドの固定端に形成されている請求項1ないし請求項6いずれかに記載の固定構造。
【請求項8】
筒状の被固定物の外周に掛け渡した帯状のバンドで前記被固定物を固定する固定構造であって、
雌ネジを備え、前記バンドの固定端を保持するバンド保持部と、
前記バンドの前記固定端におけるバンド側貫通孔に挿入され、前記バンド保持部の前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトと、
コイルバネと、
該コイルバネのコイル径より小さい外径とされた有底の筒状体であって、開口側に外側に延びる開口外縁を有する筒状体とを備え、
前記コイルバネは、前記バンド貫通孔と重なってバンド表面にバネの一端側を当接して配置され、
前記筒状体は、前記コイルバネに挿入されて、前記筒状体の底部を前記バンド表面から離間させた状態で前記開口外縁で前記コイルバネの他端側を受け止め、
前記バンド側貫通孔に挿入された前記ボルトは、前記バンド保持部の前記雌ネジへの螺合により、前記筒状体の前記底部を前記バンド表面の側に引き寄せて前記バンド表面と前記開口外縁との間で前記コイルバネを圧縮状態とし、該圧縮したコイルバネにより前記バンドをテンションを掛けて保持することで、前記被固定物を固定する
固定構造。
【請求項9】
前記被固定部は高圧タンクである請求項1ないし請求項8いずれかに記載の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−175001(P2010−175001A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19321(P2009−19321)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308039414)株式会社FTS (60)
【Fターム(参考)】