説明

土ふまずの形状を整えるための足用被服

【課題】土ふまずの縦アーチをより適切に引き上げることのできる足用被服を提供する。
【解決手段】靴下1は、土ふまずを矯正するための矯正部を含むとともに、次の各条件を満たすように構成されている。(a)足背側に設けられて土ふまずに力を付与する部位を上面矯正部20として、矯正部にこの上面矯正部20が含まれる。(b)上面内側縁21の長さが上面外側頂点24の長さよりも長い。(c)上面前側縁22および上面後側縁23のそれぞれの少なくとも一部分が足の前後方向に対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土ふまずを矯正するための矯正部を含む土ふまずの形状を整えるための足用被服に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、長時間にわたり歩行を継続したときには、足の内側の側面に形成される土ふまずの縦アーチが崩れることがある。また、年配になるにつれて、土ふまずの縦アーチが崩れやすくなることも知られている。このときには、歩行において着地時に足にかかる衝撃が低減されにくくなる。また、蹴りだし時に必要なばねの作用等の効果が得られにくくなる。
【0003】
そこで、従来から土ふまずの縦アーチを矯正する足用被服が提案されている。その一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。この足用被服は、土ふまずを引き上げる部位として、足底から足の内側の側面にわたり設けられる緊締力の強い第1領域と、この第1領域の周囲および足背に設けられて第1領域よりも緊締力が弱い第2領域とを有する。これにより、ユーザがこの足用被服を着用したときには、下側から上側および内側から外側に向かう力が土ふまずに加えられるため、土ふまずが矯正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−111224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、土ふまずの形状を整えるためには、土ふまずの縦アーチを引き上げることが有効であることが確認されている。
しかし、上記足用被服においては、第2領域が舟状骨の上方のみを覆う幅の細い部分として形成されているため、土ふまずの縦アーチを引き上げる力が十分に得られるとは言い難い。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、土ふまずの縦アーチをより適切に引き上げることのできる足用被服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、土ふまずを矯正するための矯正部を含む土ふまずの形状を整えるための足用被服において、足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁のそれぞれの少なくとも一部分が足の前後方向に対して傾斜していることを要旨としている。
【0008】
この足用被服がユーザに着用されたときには、足の下側から上側に向かう力、および内側から外側に向かう力が上面矯正部により土ふまずに付与される。すなわち、土ふまずの縦アーチを下側から上側に向けて引き上げる力、および土ふまずの縦アーチを内側から外側に向けて引っ張る力がユーザの足に作用する。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0009】
(2)請求項2に記載の発明は、土ふまずを矯正するための矯正部を含む土ふまずの形状を整えるための足用被服において、足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁の少なくとも一方の全体が足の前後方向に対して傾斜していることを要旨としている。
【0010】
この足用被服がユーザに着用されたとき、足の下側から上側に向かう力、および内側から外側に向かう力が上面矯正部により土ふまずに付与される。すなわち、土ふまずの縦アーチを下側から上側に向けて引き上げる力、および土ふまずの縦アーチを内側から外側に向けて引っ張る力がユーザの足に作用する。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記上面矯正部が前記上面内側縁および前記上面前側縁および前記上面後側縁を線分とする三角形状に相当する部位として形成されること、前記上面外側縁が前記上面前側縁および前記上面後側縁の交点であり前記三角形状の頂点に相当する部位として形成されることを要旨としている。
【0012】
この発明によれば、上面矯正部において上面前側縁および上面後側縁のそれぞれから上面矯正部の中央部分に向かうにつれて、同矯正部から土ふまずに付与される力が大きくなる。また、三角形状の頂点に相当する上面外側縁において上面矯正部から土ふまずに付与される力が最も大きくなる。このため、当該足用被服がユーザに着用されたとき、土ふまずの形状をアーチ形状に維持することに適した力が上面矯正部により土ふまずに付与される。これにより、土ふまずの縦アーチを引き上げる効果をより高めることができる。
【0013】
(4)請求項4に記載の発明は、土ふまずを矯正するための矯正部を備える土ふまずの形状を整えるための足用被服において、足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁のそれぞれが段形状であることを要旨としている。
【0014】
この足用被服がユーザに着用されたときには、足の下側から上側に向かう力、および内側から外側に向かう力が上面矯正部により土ふまずに付与される。すなわち、土ふまずの縦アーチを下側から上側に向けて引き上げる力、および土ふまずの縦アーチを内側から外側に向けて引っ張る力がユーザの足に作用する。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0015】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記上面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されること、前記上面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成されることを要旨としている。
【0016】
この発明によれば、上面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されるとともに上面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成されるため、すなわち、上面矯正部が足背を介して足の内側の側面から足の外側の側面までにわたり形成される。これにより、土ふまずの広範囲に上面矯正部からの力が付与されるため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0017】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、足底側に設けられて前記上面矯正部により土ふまずを引き上げる力を強くするための部位を下面矯正部として、前記矯正部にこの下面矯正部が含まれることを要旨としている。
【0018】
この足用被服がユーザに着用されたとき、上面矯正部により土ふまずの縦アーチを引き上げる力が下面矯正部により強くされる。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0019】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記下面矯正部の内側縁である下面内側縁の長さが前記下面矯正部の外側縁である下面外側縁の長さよりも長いこと、前記下面内側縁の前側端部である下面内前端部と前記下面外側縁の前側端部である下面外前端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面前側縁とし、前記下面内側縁の後側端部である下面内後端部と前記下面外側縁の後側端部である下面外後端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面後側縁として、これら下面前側縁および下面後側縁のそれぞれの少なくとも一部分が足の前後方向に対して傾斜していることを要旨としている。
【0020】
土ふまずの形状を整える効果を高めるには、矯正部から土ふまずに付与される力の分布を縦アーチの形状に合わせることが有効と考えられる。すなわち、土ふまずの前後方向において外側よりも中央側により大きな力を付与することが好ましい。
【0021】
上記発明では、下面外側縁の長さを下面内側縁の長さよりも短くしているため、下面矯正部から土ふまずに付与される力が下面矯正部の前後方向の端部側よりも中央側において大きくなる。これにより、土ふまずの形状を整える効果がより高められる。
【0022】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記下面矯正部が前記下面内側縁および前記下面前側縁および前記下面後側縁を線分とする三角形状に相当する部位として形成されること、前記下面外側縁が前記下面前側縁および前記下面後側縁の交点であり前記三角形状の頂点に相当する部位として形成されることを要旨としている。
【0023】
この発明によれば、下面矯正部において下面前側縁および下面後側縁のそれぞれから下面矯正部の中央部分に向かうにつれて、上面矯正部により土ふまずを引き上げる力が大きくなる。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0024】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、足底側に設けられて前記上面矯正部により土ふまずを引き上げる力を強くするための部位を下面矯正部として、前記矯正部にこの下面矯正部が含まれること、前記下面矯正部の内側縁である下面内側縁の長さが前記下面矯正部の外側縁である下面外側縁の長さよりも長いこと、前記下面内側縁の前側端部である下面内前端部と前記下面外側縁の前側端部である下面外前端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面前側縁とし、前記下面内側縁の後側端部である下面内後端部と前記下面外側縁の後側端部である下面外後端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面後側縁として、これら下面前側縁および下面後側縁のそれぞれが段形状であることを要旨としている。
【0025】
この足用被服がユーザに着用されたとき、上面矯正部により土ふまずの縦アーチを引き上げる力が下面矯正部により強くされる。このため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0026】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記下面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されること、前記下面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成されることを要旨としている。
【0027】
この発明によれば、下面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されるとともに下面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成される、すなわち下面矯正部が足の内側の側面から足底を介して足の外側の側面までにわたり形成される。これにより、土ふまずの広範囲に下面矯正部からの力が付与されるため、土ふまずの縦アーチがより適切に引き上げられる。
【0028】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項7〜10のいずれか一項に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、前記上面矯正部の上面内側縁と前記下面矯正部の下面内側縁とが足の内側の側面に対応する部位において互いに接続されていることを要旨としている。
【0029】
この発明によれば、上面矯正部と下面矯正部とが連続して形成されているため、下面矯正部を引き上げる力が上面矯正部から下面矯正部に直接的に作用する。このため、土ふまずの縦アーチを引き上げる効果がより高められる。
【0030】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、親指を覆うための第1袋部と、人差し指および中指および薬指および小指を覆うための第2袋部とが互いに分離して形成されることを要旨としている。
【0031】
この発明の足用被服は、第1袋部および第2袋部が互いに分離して形成されているため、すなわち足袋型の足用被服として形成されているため、ユーザがこの足用被服を着用したときに足指を動かしやすい。これにより、ユーザが歩行時に地面を捉えやすくなるため、正しい歩行パターンで歩行することができる。なお、ここでの正しい歩行パターンとは、着地時において「踵」および「足の外側」および「足指の付け根」および「指先」の順に足の重心が移動するとともに、離地時において「踵」および「親指以外の足指」および「親指」の順に足が地面から離れるように重心が移動するパターンをいう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の土ふまずの形状を整えるための足用被服について、これを着用した右足の平面を示す平面図。
【図2】同実施形態の足用被服について、これを着用した右足の底面を示す底面図。
【図3】同実施形態の足用被服について、これを着用した右足を親指側から見たときの側面を示す側面図。
【図4】同実施形態の足用被服について、これを着用した右足の小指側から見たときの側面を示す側面図。
【図5】同実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図6】同実施形態の足用被服について、その底面構造を示す底面図。
【図7】同実施形態の足用被服について、これを着用した右足を親指側から見たときの側面を示す側面図。
【図8】同実施形態の足用被服について、これを着用した右足を小指側から見たときの側面を示す側面図。
【図9】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図10】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図11】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図12】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図13】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【図14】本発明のその他の一実施形態の足用被服について、その平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1〜図4に、足用被服を着用した人体の右足の骨格図を示す。
以降では、人体の前後方向において任意の部位を基準としたときにこれよりも前方および後方をそれぞれ「前側」および「後側」とする。また、人体の上下方向において任意の部位を基準としたときにこれよりも上方および下方をそれぞれ「上側」および「下側」とする。また、人体の左右方向において任意の部位に対して体軸側を「内側」とし、同部位に対して体軸側とは反対側を「外側」とする。
【0034】
人体の足は、親指101をはじめとする各指と、それらの後側に位置する中足骨200と、中足骨200の後側に位置する足根骨300とを含む。
中足骨200は、第1中足骨201と、第2中足骨202と、第3中足骨203と、第4中足骨204と、第5中足骨205とを含む。足根骨300は、楔状骨310と、舟状骨320と、立方骨330と、距骨340と、踵骨350とを含む。楔状骨310は、第1中足骨201の後側に位置する内側楔状骨311と、第2中足骨202の後側に位置する中間楔状骨312と、第3中足骨203の後側に位置する外側楔状骨313とを含む。
【0035】
足に形成される各足弓について説明する。
図3に示されるにように、足には、内側楔状骨311および舟状骨320および距骨340を介して第1中足骨201の前側端部から踵骨350の下側端部までにわたり足弓(以下、「内側縦アーチAX」)が形成されている。
【0036】
図4に示されるように、足には、立方骨330を介して第5中足骨205の前側端部から踵骨350の下側端部までにわたり足弓(以下、「外側縦アーチAY」)が形成されている。
【0037】
図1および図2に示されるように、足には、第2中足骨202および第3中足骨203および第4中足骨204のそれぞれの前側端部を介して第1中足骨201の前側端部から第5中足骨205の前側端部までにわたり足弓(以下、「横アーチAZ」)が形成されている。
【0038】
図3に示されるように、足の内側の側面には、土ふまず400が形成されている。この土ふまず400は、内側縦アーチAXおよび横アーチAZ(図1および図2参照)が互いに関連して形成されている。
【0039】
図5〜図8を参照して、右足の靴下1の構造について説明する。本実施形態では、足の各指を覆う部分が複数に分かれている足袋型の靴下として本発明の足用被服を具体化した一例を示している。なお、図5〜図8では、靴下1を構成する各編み組織同士の境界の部分を実線で示している。
【0040】
靴下1には、足の各部位にそれぞれ対応する以下の部位が設けられている。
・足の指以外の部位を覆う部位として、足被覆部10が設けられている。
・足の指を覆う部位として、指被覆部70が設けられている。
・踵を覆う部位として、踵被覆部80が設けられている。
【0041】
靴下1を構成する生地の編み組織の種類について説明する。
靴下1は、極大パワー編み組織、および大パワー編み組織、および中パワー編み組織、および小パワー編み組織、およびリブ編み組織、およびメッシュ編み組織、およびパイル編み組織を含む一体の被服として形成されている。
【0042】
各編み組織の緊締力の大小関係について説明する。なお「緊締力」は、生地を引き伸ばすために必要となる力の大きさ、すなわち生地を引き伸ばそうとする力に抗して生じる生地の力の強さを示す。相対的に緊締力が強い生地および弱い生地について、同じ大きさの力がそれぞれの生地に加えられたとき、生地の伸びは前者の方が後者よりも小さくなる。
【0043】
極大パワー編み組織は、一般の靴下に用いられる編み組織よりも緊締力が強い。これにより、ユーザが靴下1を着用したとき、極大パワー編み組織から足に加えられる力は一般の靴下に用いられる編み組織よりも強い。
【0044】
小パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも緊締力が弱く、かつ一般の靴下に用いられる編み組織よりも緊締力が強い。
中パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも緊締力が弱く、かつ小パワー編み組織よりも緊締力が強い。
【0045】
大パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも緊締力が弱く、かつ中パワー編み組織よりも緊締力が強い。
メッシュ編み組織およびリブ編み組織およびパイル編み組織は、それぞれ小パワー編み組織よりも緊締力が弱く、かつ一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の緊締力を有する。
【0046】
各編み組織の伸縮性の大小関係について説明する。なお「伸縮性」は、生地が引き伸ばされたときに元の状態に戻ろうとして生じる生地の力についての特性を示す。相対的に伸縮性が高い生地および低い生地について、同じ大きさの力がそれぞれの生地に加えられたとき、生地が元の状態に戻ろうとして生じる力は後者よりも前者の方が大きい。
【0047】
極大パワー編み組織は、一般の靴下に用いられる編み組織よりも伸縮性が高い。これにより、ユーザが靴下1を着用したとき、極大パワー編み組織から足に加えられる力は一般の靴下に用いられる編み組織よりも強い。
【0048】
小パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも伸縮性が低く、かつ一般の靴下に用いられる編み組織よりも伸縮性が高い。
中パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも伸縮性が低く、かつ小パワー編み組織よりも伸縮性が高い。
【0049】
大パワー編み組織は、極大パワー編み組織よりも伸縮性が低く、かつ中パワー編み組織よりも伸縮性が高い。
メッシュ編み組織およびリブ編み組織およびパイル編み組織は、それぞれ小パワー編み組織よりも伸縮性が低く、一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の伸縮性を有する。
【0050】
各編み組織の特性について説明する。
メッシュ編み組織は、一般の靴下に用いられる編み組織よりも通気性に優れている。リブ編み組織は、一般の靴下に用いられる編み組織よりも伸縮性が低く、フィット性に優れている。パイル編み組織は、一般の靴下に用いられる編み組織よりもクッション性に優れている。
【0051】
図5を参照して、靴下1の足背側の詳細な構造について説明する。
足被覆部10は、大パワー編み組織により構成された上面矯正部20と、メッシュ編み組織により構成された上面前部41と、同じくメッシュ編み組織により構成された上面後部42と、一般の靴下よりも伸縮性の高い編み組織の重ね合わせにより形成された開口部60とを含む。
【0052】
上面矯正部20は、足被覆部10の上面の前後方向のほぼ中央に位置する部位であり、足の下側から上側に向かう力、および内側から外側に向かう力を土ふまず400に付与するための部位として設けられている。上面前部41は、上面矯正部20よりも前側の部位として設けられている。上面後部42は、上面矯正部20よりも後側の部位として設けられている。開口部60は、足被覆部10の上端に位置する部位として設けられている。
【0053】
上面矯正部20は靴下1の内側の側面に位置する上面内側縁21と、靴下1の外側の側面に位置する上面外側頂点24と、上面内側縁21の前側端部である上面内前端部21Aと上面外側頂点24とを結ぶ上面前側縁22と、上面内側縁21の後側端部である上面内後端部21Bと上面外側頂点24とを結ぶ上面後側縁23とに囲まれて形成されている。
【0054】
すなわち、上面矯正部20は、上面内側縁21および上面前側縁22および上面後側縁23を線分とする三角形状に相当する部位として、靴下1の足背側を介して足の内側の側面から外側の側面までにわたり形成されている。また、上面前側縁22および上面後側縁23の交点となる上面外側頂点24が三角形状の頂点に相当する部位として形成されている。
【0055】
上面内側縁21は、靴下1の内側の側面に設けられている(図7参照)。上面外側頂点24は、靴下1の外側の側面に設けられている(図8参照)。すなわち、上面矯正部20は足背を介して内側の側面から外側の側面までにわたり設けられている。
【0056】
上面矯正部20の前後方向の幅は、上面内側縁21において最も大きい。また、上面内側縁21から上面外側頂点24に向かうにつれて次第に小さくなる。また、上面外側頂点24において最も小さい。
【0057】
上面矯正部20の左右方向の幅は、上面内前端部21Aおよび上面内後端部21Bにおいて最も小さい。また、上面内前端部21Aおよび上面内後端部21Bのそれぞれから上面外側頂点24に向かうにつれて次第に大きくなる。また、上面外側頂点24において最も大きい。
【0058】
図6を参照して、靴下1の足底側の詳細な構造について説明する。
足被覆部10は、極大パワー編み組織により構成された下面矯正部30と、パイル編み組織により構成された下面先部51と、小パワー編み組織により構成された下面中央内部53と、中パワー編み組織により構成された下面後中央部56とを含む。さらに、リブ編み組織により構成された下面前部52および下面中央外部54および下面後内部55および下面後外部57を含む。
【0059】
下面矯正部30は、足被覆部10の下面の前後方向のほぼ中央に位置する部位であり、上面矯正部20により土ふまず400を引き上げる力を強くするための部位として設けられている。
【0060】
下面先部51は、指被覆部70よりも後側の部位として設けられている。下面前部52は、下面先部51よりも後側の部位として設けられている。下面中央内部53は、下面矯正部30の中央部よりも内側かつ後側の部位として設けられている。下面中央外部54は、下面矯正部30の中央部よりも外側かつ後側の部位として設けられている。下面後内部55は、踵被覆部80の内側かつ後側の部位として設けられている。下面後中央部56は、踵被覆部80の中央部の後側の部位として設けられている。下面後外部57は、踵被覆部80の外側かつ後側の部位として設けられている。
【0061】
下面矯正部30は靴下1の内側の側面に位置する下面内側縁31と、靴下1の外側の側面に位置する下面外側頂点34と、下面内側縁31の前側端部である下面内前端部31Aと下面外側頂点34とを結ぶ下面前側縁32と、下面内側縁31の後側端部である下面内後端部31Bと下面外側頂点34とを結ぶ下面後側縁33とに囲まれて形成されている。
【0062】
すなわち、下面矯正部30は、下面内側縁31および下面前側縁32および下面後側縁33を線分とする三角形状に相当する部位として、靴下1の足底側を介して足の内側の側面から外側の側面までにわたり形成されている。また、下面前側縁32および下面後側縁33の交点となる下面外側頂点34が三角形状の頂点に相当する部位として形成されている。
【0063】
下面内側縁31は、靴下1の内側の側面に設けられている(図7参照)。下面外側頂点34は、靴下1の外側の側面に設けられている(図8参照)。すなわち、下面矯正部30は足底を介して内側の側面から外側の側面までにわたり設けられている。
【0064】
下面矯正部30の前後方向の幅は、下面内側縁31において最も大きい。また、下面内側縁31から下面外側頂点34に向かうにつれて次第に小さくなる。また、下面外側頂点34において最も小さい。
【0065】
下面矯正部30の左右方向の幅は、下面内前端部31Aおよび下面内後端部31Bにおいて最も小さい。また、下面内前端部31Aおよび下面内後端部31Bのそれぞれから下面外側頂点34に向かうにつれて次第に大きくなる。また、下面外側頂点34において最も大きい。
【0066】
図5および図6を参照して、靴下1の指被覆部70について説明する。
靴下1において、足被覆部10よりも前側には指被覆部70が形成されている。指被覆部70は、親指101を覆うための第1袋部71と、人差し指および中指および薬指および小指を覆うための第2袋部72とを含む。第1袋部71と第2袋部72とは互いに分離して形成されている。指被覆部70は、パイル編み組織により構成されている。
【0067】
図6を参照して、靴下1の踵被覆部80について説明する。
靴下1において、足被覆部10の中央部よりも後側の部位には踵被覆部80が形成されている。踵被覆部80は、パイル編み組織により構成されている。
【0068】
図7を参照して、上面矯正部20と下面矯正部30との関係について説明する。
靴下1においては、上面矯正部20と下面矯正部30とが互いに連続して形成されている。すなわち、上面矯正部20の上面内側縁21と下面矯正部30の下面内側縁31とが足の内側の側面に対応する部位において互いに接続されている。なお、上面矯正部20および下面矯正部30は土ふまずを矯正するための矯正部に相当する。
【0069】
図5〜図8を参照して、各編み組織の形成態様について説明する。
図5に、靴下1の足背側における各編み組織の形成態様を示す。
・指被覆部70と上面前部41との間にパイル編み組織とメッシュ編み組織との境界が形成されている。
・上面前部41と上面矯正部20との間にメッシュ編み組織と大パワー編み組織との境界が形成されている。
・上面矯正部20と上面後部42との間に大パワー編み組織とメッシュ編み組織との境界が形成されている。
【0070】
図6に、靴下1の足底側における各編み組織の形成態様を示す。
・下面先部51と下面前部52との間にパイル編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・下面前部52と下面矯正部30との間にリブ編み組織と極大パワー編み組織との境界が形成されている。
・下面矯正部30と下面中央内部53との間に極大パワー編み組織と小パワー編み組織との境界が形成されている。
・下面矯正部30と下面中央外部54との間に極大パワー編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・下面中央内部53と踵被覆部80との間に小パワー編み組織とパイル編み組織との境界が形成されている。
・下面中央内部53と下面中央外部54との間に小パワー編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・下面後内部55と下面後中央部56との間にリブ編み組織と中パワー編み組織との境界が形成されている。
・下面後外部57と下面後中央部56との間にリブ編み組織と中パワー編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と下面中央外部54との間にパイル編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と下面後中央部56との間にパイル編み組織と中パワー編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と下面後内部55との間にパイル編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と下面後外部57との間にパイル編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
【0071】
図7に、靴下1の内側の側面における各編み組織の形成態様を示す。
・上面前部41と下面先部51との間にメッシュ編み組織とパイル編み組織との境界が形成されている。
・上面矯正部20と下面矯正部30との間に大パワー編み組織と極大パワー編み組織との境界が形成されている。
・上面後部42と下面中央内部53との間にメッシュ編み組織と小パワー編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と上面後部42との間にパイル編み組織とメッシュ編み組織との境界が形成されている。
【0072】
図8に、靴下1の外側の側面における各編み組織の形成態様を示す。
・上面前部41と下面先部51との間にメッシュ編み組織とパイル編み組織との境界が形成されている。
・上面前部41と下面前部52との間にメッシュ編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・上面後部42と下面中央外部54との間にメッシュ編み組織とリブ編み組織との境界が形成されている。
・踵被覆部80と上面後部42との間にパイル編み組織とメッシュ編み組織との境界が形成されている。
【0073】
図1〜図4を参照して、足と靴下1との関係について説明する。なお、図1〜図4の一点鎖線は足のアウトラインを、また二点鎖線は靴下1のアウトラインおよび各編み組織の境界をそれぞれ示している。
【0074】
上面矯正部20は、第1中足骨201および第2中足骨202および第3中足骨203および第4中足骨204および第5中足骨205のそれぞれの後側部分と、楔状骨310と、舟状骨320の前側部分とに対応する足の足背側の部位を覆う。
【0075】
下面矯正部30は、第1中足骨201および第2中足骨202および第3中足骨203および第4中足骨204および第5中足骨205のそれぞれの後側部分と、楔状骨310と、舟状骨320の前側部分とに対応する足の足底側の部位を覆う。
【0076】
ここで、足の特定の部位について次のように定義する。
(a)足の内側の側面において、第1中足骨201の前端部付近に対応する部位を「足部位S1」とする。
(b)足の内側の側面において、舟状骨320の後端部付近に対応する部位を「足部位S2」とする。
(c)足の外側の側面において、第5中足骨205の中央部付近に対応する部位を「足部位S3」とする。
(d)足部位S1と足部位S2との間の中央部またはその付近を「足部位S4」とする。足部位S4は、土ふまず400の頂点またはその付近、すなわち内側縦アーチAXの中央部またはその付近に対応している。
【0077】
上面矯正部20および下面矯正部30の形成位置を以下に示す。
・上面内側縁21および下面内側縁31は、足部位S1から足部位S2までにわたり形成されている。すなわち、足の内側の側面に対応する部位に形成されている。
・上面前側縁22および下面前側縁32は、足部位S1から足部位S3までにわたり形成されている。
・上面後側縁23および下面後側縁33は、足部位S2から足部位S3までにわたり形成されている。
・上面外側頂点24および下面外側頂点34は、足部位S3に形成されている。すなわち、足の外側の側面に対応する部位に形成されている。
【0078】
靴下1の平面視において、足の左右方向に平行かつ上面外側頂点24および下面外側頂点34を通過する仮想線を引いたとき、この仮想線は足部位S4またはその付近を通過する。すなわち、上面外側頂点24および下面外側頂点34は、足の左右方向において足部位S4またはその付近と対応する部位に形成されている。
【0079】
図1〜図4を参照して、靴下1を着用した状態において土ふまず400に加えられる力について説明する。なお、図1〜図4の各矢印は、靴下1を着用した状態において足に加えられる力の方向を示している。
【0080】
土ふまず400には、上面矯正部20により次の力が加えられる。
すなわち、足背を介して足の内側の側面から足の外側の側面までにわたり設けられた上面矯正部20により、図1または図3または図4において矢印ZAで示される力が加えられる。すなわち、靴下1がユーザに着用されたとき、足背の盛り上がった部分により上面矯正部20を引き伸ばそうとする力が同矯正部20に加えられる。これにより、引き伸ばそうとする力が加えられたことにともない、上面矯正部20にはこれに抗する力が生じる。このため、土ふまず400を内側から外側に向けて引っ張る力が上面矯正部20から土ふまず400に加えられる。また、土ふまず400および下面矯正部30には下側から上側に引き上げる力が上面矯正部20により加えられる。
【0081】
このように土ふまず400に作用する力は、内側縦アーチAXを下側から上側に向けて引き上げる力として、また土ふまず400の内側縦アーチAXを内側から外側に向けて引っ張る力として作用する。また、上面矯正部20から土ふまず400に付与される力は、上面矯正部20において上面前側縁22および上面後側縁23のそれぞれから上面矯正部20の中央部分に向かうにつれて次第に大きくなり、三角形状の頂点に相当する上面外側頂点24において最も大きくなる。すなわち、内側縦アーチAXの頂点部分およびその付近において、上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力が最も大きくなる。
【0082】
土ふまず400には、下面矯正部30により次の力が加えられる。
すなわち、足底を介して足の内側の側面から足の外側の側面までにわたり設けられた下面矯正部30により、図3において矢印ZBで示される力が加えられる。すなわち、上面矯正部20からの力が加えられることにともない下面矯正部30が下側から上側に引き上げられる。これにより、土ふまず400を下側から上側に押す力が下面矯正部30から土ふまず400に加えられる。なお、足底は足背に比べて平らな形状のため、靴下1がユーザに着用された状態において、足底が下面矯正部30を引き伸ばそうとする力は足背が上面矯正部20を引き伸ばそうとする力よりも小さい。このため、引き伸ばそうとする力が加えられたことにともない上面矯正部20に生じる力は下面矯正部30に生じる力よりも大きいものとなる。このため、下面矯正部30が上面矯正部20により下側から上側に引き上げられる。
【0083】
この力は、上面矯正部20が内側縦アーチAXを下側から上側に向けて引き上げる力をサポートする力、すなわち、土ふまず400を押し上げる力として作用する。
また、下面矯正部30から土ふまず400に加えられる力は、下面前側縁32および下面後側縁33のそれぞれから下面矯正部30の中央部分に向かうにつれて次第に大きくなり、三角形状の頂点に相当する下面外側頂点34において最も大きくなる。すなわち、内側縦アーチAXの頂点部分およびその付近において、上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力を押し上げる力が最も大きくなる。
【0084】
このように、土ふまず400の形状をアーチ形状に維持することに適した力が上面矯正部20および下面矯正部30から土ふまず400に付与される。したがって、内側縦アーチAXが適切に引き上げられる。
【0085】
本実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)靴下1において、足被覆部10には上面矯正部20が設けられている。これにより、内側縦アーチAXが下側から上側に向けて引き上げられるとともに、内側から外側に向けて引っ張られる。このため、内側縦アーチAXがより適切に引き上げられる。
【0086】
(2)上面矯正部20が上面内側縁21および上面前側縁22および上面後側縁23を線分とする三角形状に相当する部位として形成され、上面外側頂点24が上面前側縁22および上面後側縁23の交点であり三角形状の頂点に相当する部位として形成されている。このため、靴下1がユーザに着用されたとき、土ふまず400の形状をアーチ形状に維持することに適した力が上面矯正部20により土ふまず400に付与される。これにより、土ふまず400の内側縦アーチAXを引き上げる効果をより高めることができる。
【0087】
(3)上面内側縁21が足の内側の側面に対応する部位に形成されるとともに、上面外側頂点24が足の外側の側面に対応する部位に形成される。すなわち、足背を介して上面矯正部20が足の内側の側面から足の外側の側面までにわたり形成される。これにより、土ふまず400の広範囲に上面矯正部20からの力が付与されるため、内側縦アーチAXがより適切に引き上げられる。
【0088】
(4)靴下1において、足被覆部10には下面矯正部30が設けられている。これにより、上面矯正部20により内側縦アーチAXが下側から上側に向けて引き上げられる力をサポートする力、すなわち土ふまず400を押し上げる力が土ふまず400に加えられる。このため、土ふまず400の内側縦アーチAXを引き上げる効果をより高めることができる。
【0089】
(5)下面矯正部30が下面内側縁31および下面前側縁32および下面後側縁33を線分とする三角形状に相当する部位として形成され、下面外側頂点34が下面前側縁32および下面後側縁33の交点であり三角形状の頂点に相当する部位として形成されている。このため、上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力をサポートする力が下面矯正部30の中央部分において最も大きくなる。これにより、上面矯正部20が土ふまず400の内側縦アーチAXを引き上げる効果をより高めることができる。
【0090】
(6)下面内側縁31が足の内側の側面に対応する部位に形成されるとともに、下面外側頂点34が足の外側の側面に対応する部位に形成される。すなわち、足底を介して下面矯正部30が足の内側の側面から足の外側の側面までにわたり形成される。これにより、土ふまず400の広範囲に下面矯正部30からの力が付与されるため、内側縦アーチAXがより適切に引き上げられる。
【0091】
(7)靴下1においては、上面矯正部20の上面内側縁21と下面矯正部30の下面内側縁31とが足の内側の側面に対応する部位において互いに接続されている。すなわち、上面矯正部20と下面矯正部30とが連続して形成されているため、下面矯正部30を引き上げる力が上面矯正部20から下面矯正部30に直接的に作用する。このため、内側縦アーチAXを引き上げる効果がより高められる。
【0092】
(8)靴下1においては、第1袋部71および第2袋部72が互いに分離して形成されている、すなわち足袋型の足用被服として形成されている。このため、ユーザがこの靴下1を着用した状態において足指を動かしやすい。これにより、ユーザが歩行時に地面を捉えやすくなるため、正しい歩行パターンにより歩行することができる。
【0093】
(9)靴下1には、内側縦アーチAXを矯正するための矯正部として、上面矯正部20および下面矯正部30の双方が設けているため、いずれか一方だけのものに比べて、内側縦アーチAXをより適切に引き上げることができる。
【0094】
(10)靴下1では、上面矯正部20から土ふまず400に付与される力が上面矯正部20の三角形状の頂点に相当する上面外側頂点24において最も大きくなる。すなわち、内側縦アーチAXの頂点部分およびその付近において、上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力が最も大きくなる。これにより、内側縦アーチAXを引き上げる効果をより高めることができる。
【0095】
(11)靴下1では、下面矯正部30による上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力をサポートする力が下面矯正部30の三角形状の頂点に相当する下面外側頂点34において最も大きくなる。すなわち、内側縦アーチAXの頂点部分およびその付近において、上面矯正部20から土ふまず400に加えられる力をサポートする力が最も大きくなる。これにより、内側縦アーチAXを引き上げる効果をより高めることができる。
【0096】
(12)靴下1においては、上面矯正部20の外側の側面に上面外側頂点24が形成されている。これにより、上面外側縁が片として形成されているものに比べて、上面矯正部20から土ふまず400に付与される力が内側縦アーチAXの形状を整えることに適したものとなる。
【0097】
(13)靴下1においては、下面矯正部30の外側の側面に下面外側頂点34が形成されている。これにより、下面外側縁が片として形成されているものに比べて、下面矯正部30による上面矯正部20から土ふまず400に付与される力をサポートする力が内側縦アーチAXの形状を整えることに適したものとなる。
【0098】
(14)靴下1は、足背側が各種の編み組織により構成されている。このため、足背側の全体が大パワー編み組織のみにより構成されているものに比べて、ユーザが靴下1を着用したときに圧迫感を覚えにくい。
【0099】
(15)靴下1においては、第1袋部71および第2袋部72が互いに分離して形成されている。すなわち、足袋型の足用被服として形成されている。このため、ユーザがこの靴下1を着用した状態において足指を動かしやすい。これにより、ユーザが歩行時に地面を捉えやすくなるため、正しい歩行パターンで歩行することができる。
【0100】
(16)靴下1においては、指被覆部70および下面先部51がパイル編み組織により構成されている。このため、指被覆部70がパイル編み組織よりもクッション性が弱い編み組織により構成されているものに比べて、歩行時に指先およびその付近の部位が受ける衝撃が低減される。
【0101】
(17)靴下1においては、踵被覆部80をパイル編み組織により構成している。このため、踵被覆部80がパイル編み組織よりもクッション性が弱い編み組織により構成されているものに比べて、歩行時に踵およびその付近の部位が受ける衝撃が低減される。
【0102】
(18)靴下1においては、メッシュ編み組織により構成される上面前部41および上面後部42が足被覆部10の足背側に形成されている。これにより、足背側の通気性が高められるため、足が蒸れることを抑制することができる。
【0103】
(19)靴下1においては、下面後中央部56が中パワー編み組織により構成されている。このため、下面後中央部56が中パワー編み組織よりも緊締力が弱い編み組織により構成されているものに比べて、下面後中央部56によりアキレス腱を保護する効果を高めることができる。
【0104】
(20)靴下1によれば、内側縦アーチAXを適切に引き上げることにより、土ふまず400の形状を整えることができる。これにより、正しい歩行パターンにより歩行できるようになり、ひいては次の各効果が得られることを期待することができる。すなわち、歩行による疲れが生じにくくなること、および姿勢が改善されること、および外反母趾となることが抑制されること、および偏平足となることが抑制すること、および巻き爪となることが抑制されることの少なくとも1つを期待することができる。
【0105】
(21)またさらには、内側縦アーチAXが引き上げられることにより、その他の縦横のアーチ(例えば、外側縦アーチAY(図4参照)や横アーチAZ(図1参照))およびそれらを支える靭帯および筋肉の状態も適切なものに変化する。このため、足のトータルバランスが調整される。
【0106】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0107】
・上記実施形態では、土ふまず400を引き上げるための部位として三角形状の上面矯正部20を形成したが、上面矯正部20の形状はこれに限られない。図9〜図14に、上面矯正部20の変形例を示す。
【0108】
なお、上記実施形態では、靴下1の外側の側面に位置する縁として上面外側頂点24が形成される例を示したが、各変形例において、上面矯正部20の三角形状からの変更にともない同頂点24に代えて形成される片を「上面外側縁25」として示す。また、上面外側縁25の前側端部および後側端部をそれぞれ「上面外前端部25A」および「上面外後端部25B」として示す。
【0109】
図9〜図14に示される各変形例によれば、上面内側縁21の長さが上面外側縁25(または上面外側頂点24)の長さよりも長く設定されていることにより、上記実施形態の効果に準じた効果が奏せられる。
【0110】
A.図9(a)に、上面矯正部20の形状を台形状に変更した例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0111】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0112】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0113】
B.図9(b)に、上面矯正部20の形状を上記Aとは別の台形状に変更した例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも後側に形成される。
【0114】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0115】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0116】
なお、この変形例において、上面外前端部25Aを上面内前端部21Aよりも前側に形成するとともに、上面外後端部25Bを上面内後端部21Bよりも前側に形成することもできる。
【0117】
C.図10(a)に、上面矯正部20の形状をピラミッド形状に変更した例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0118】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間が段形状の片として形成される。上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間が段形状の片として形成される。
【0119】
D.図10(b)に、上面矯正部20の形状として台形状およびピラミッド形状が組み合わされた例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0120】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間が段形状の片として形成される。上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。なお、この変形例において、上面前側縁22を前後方向に対して傾斜する片として形成し、上面後側縁23を段形状の片として形成することもできる。
【0121】
E.図11(a)に、上面矯正部20の形状を直角三角形状に変更した例を示す。この構成では、上面外側頂点24が上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外側頂点24が前後方向において上面内後端部21Bと同じ位置に形成される。
【0122】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外側頂点24をそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0123】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外側頂点24をそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の幅方向に対して平行となる片として形成される。なお、この変形例において、上面前側縁22を幅方向に対して平行となる片として形成するとともに、上面後側縁23を前後方向に対して傾斜する片として形成することもできる。
【0124】
F.図11(b)に、上面矯正部20の形状を台形状に変更した例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが前後方向において上面内後端部21Bと同じ位置に形成される。
【0125】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の前後方向に対して傾斜する片として形成される。
【0126】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間の全体にわたり靴下1の幅方向に対して平行となる片として形成される。
【0127】
なお、この変形例において、上面前側縁22を幅方向に対して平行となる片として形成するとともに、上面後側縁23を前後方向に対して傾斜する片として形成することもできる。
【0128】
G.図12(a)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を湾曲させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0129】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて後方向に湾曲する片として形成される。
【0130】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて前方向に湾曲する片として形成される。
【0131】
H.図12(b)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を湾曲させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0132】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ内側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて前方向に湾曲する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて前方向に湾曲する片として形成される。
【0133】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ内側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて後方向に湾曲する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて後方向に湾曲する片として形成される。
【0134】
I.図13(a)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を傾斜させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0135】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が靴下1の幅方向に対して平行となる片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて傾斜する片として形成される。
【0136】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が靴下1の幅方向に対して平行となる片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて傾斜する片として形成される。
【0137】
J.図13(b)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を傾斜させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0138】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて傾斜する片として、かつ外側部分が靴下1の幅方向に対して平行となる片として形成される。
【0139】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて傾斜する片として、かつ外側部分が靴下1の幅方向に対して平行となる片として形成される。
【0140】
K.図14(a)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を湾曲させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0141】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ内側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて前方向に湾曲する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて後方向に湾曲する片として形成される。
【0142】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ内側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて後方向に湾曲する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて前方向に湾曲する片として形成される。
【0143】
L.図14(b)に、上面矯正部20の形状として矩形の左右方向の片を傾斜させた形状の例を示す。この構成では、上面外前端部25Aが上面内前端部21Aよりも後側に形成される。また、上面外後端部25Bが上面内後端部21Bよりも前側に形成される。
【0144】
上面前側縁22は、上面内前端部21Aおよび上面外前端部25Aをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて傾斜する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて傾斜する片として形成される。
【0145】
上面後側縁23は、上面内後端部21Bおよび上面外後端部25Bをそれぞれ端点とする片として、かつ両端点の間において内側部分が内側から外側に向かうにつれて前側から後側に向けて傾斜する片として、かつ外側部分が内側から外側に向かうにつれて後側から前側に向けて傾斜する片として形成される。
【0146】
・図9〜図14に示される上記各変形例において、図11(a)の変形例を除く上面外側縁25が形成されるものについては、上面外側縁25に代えて上面外側頂点24を形成することもできる。
【0147】
・上記実施形態では、三角形状に相当する部位として下面矯正部30を形成したが、上面矯正部20についての上記変形例と同様に下面矯正部30の形状を変更することもできる。
【0148】
・上記実施形態では、土ふまず400を矯正するための矯正部として、上面矯正部20および下面矯正部30を設けたが、下面矯正部30を省略することもできる。
・上記実施形態では、上面矯正部20と下面矯正部30とが互いに連続するものとしたが、上面矯正部20の上面内側縁21と下面矯正部30の下面内側縁31とが互いに離間した構成に変更することもできる。
【0149】
・上記実施形態では、複数の編み組織を含む一体の被服として靴下1を形成したが、複数の生地を縫い合わせることにより靴下1を構成することもできる。
・上記実施形態では、上面矯正部20および下面矯正部30を含めて靴下1の各部位を一体的に形成したが、上面矯正部20および下面矯正部30の少なくとも一方を足被覆部10とは別体のものとして形成することもできる。この場合には、別体として形成された上面矯正部20および下面矯正部30の少なくとも一方と、足被覆部10の対応する部位とのそれぞれにフックやボタン等の締結部材が設けられる。
【0150】
・上記実施形態では、下面矯正部30の緊締力を上面矯正部20の緊締力よりも強くしたが、上面矯正部20の緊締力と下面矯正部30の緊締力とを互いに同じものにすることもできる。
【0151】
・上記実施形態では、下面矯正部30の伸縮性を上面矯正部20の伸縮性よりも高くしたが、上面矯正部20の伸縮性と下面矯正部30の伸縮性とを互いに同じものにすることもできる。
【0152】
・上記実施形態では、下面後中央部56の緊締力を下面中央内部53の緊締力よりも強くしたが、下面後中央部56の緊締力と下面中央内部53の緊締力とを互いに同じものにすることもできる。または、下面後中央部56の緊締力を下面中央内部53の緊締力よりも弱くすることもできる。
【0153】
・上記実施形態では、下面後中央部56の伸縮性を下面中央内部53の伸縮性よりも高くしたが、下面後中央部56の伸縮性と下面中央内部53の伸縮性とを互いに同じものにすることもできる。または、下面後中央部56の伸縮性を下面中央内部53の伸縮性よりも低くすることもできる。
【0154】
・上記実施形態では、上面前部41と上面後部42と指被覆部70と下面先部51と下面前部52と下面中央外部54と下面後内部55と下面後外部57と踵被覆部80との緊締力および伸縮性を互いに同じものとしたが、これらのうちの少なくとも2つの間で緊締力および伸縮性を互いに異なるものにすることもできる。
【0155】
・上記実施形態では、靴下1を複数の編み組織により構成したが、上面矯正部20を大パワー編み組織により構成し、その他の部位については上記実施形態に例示した編み組織とは別の編み組織により構成することもできる。
【0156】
・上記実施形態では、指被覆部70の構成として、親指101を覆うための第1袋部71およびその他の指を覆うための第2袋部72が互いに分離した構成を採用したが、例えば次のように変更することもできる。すなわち、第1袋部71および第2袋部72に代えて、全ての足指を覆う1つの袋部を形成することもできる。また、第2袋部72に代えて、小指を覆うための1つの袋部ならびに人差し指および中指および薬指を覆うための1つの袋部を形成することもできる。また、全ての指をそれぞれ独立して覆うための5つの袋部を形成することもできる。
【0157】
・上記実施形態では、指被覆部70および踵被覆部80を含めて靴下1を構成したが、これらのうち少なくとも一方を省略することもできる。指被覆部70および踵被覆部80の両方を省略した場合には、足被覆部10により構成されるサポータタイプの足用被服となる。
【0158】
・上記実施形態では、中パワー編み組織および小パワー編み組織として、一般の靴下に用いられる編み組織よりも強い緊締力を有するものを採用したが、大パワー編み組織よりも緊締力の弱い範囲で、編み組織の緊締力を変更することもできる。例えば、一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の緊締力を有するものを採用することもできる。
【0159】
・上記実施形態では、中パワー編み組織および小パワー編み組織として、一般の靴下に用いられる編み組織よりも高い伸縮性を有するものを採用したが、大パワー編み組織よりも伸縮性の低い範囲で、編み組織の伸縮性を変更することもできる。例えば、一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の伸縮性を有するものを採用することもできる。
【0160】
・上記実施形態では、リブ編み組織およびメッシュ編み組織およびパイル編み組織として、一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の緊締力を有するものを採用したが、大パワー編み組織よりも緊締力が弱い範囲で、編み組織の緊締力を変更することもできる。例えば、一般の靴下に用いられる編み組織よりも緊締力が強い編み組織を採用することもできる。
【0161】
・上記実施形態では、リブ編み組織およびメッシュ編み組織およびパイル編み組織として、一般の靴下に用いられる編み組織と同程度の伸縮性を有するものを採用したが、大パワー編み組織よりも伸縮性が低い範囲で、編み組織の伸縮性を変更することもできる。例えば、一般の靴下に用いられる編み組織よりも伸縮性が高い編み組織を採用することもできる。
【0162】
・上記実施形態では、靴下に本発明を適用したが、その他の足用被服についても本発明を適用することができる。本発明を適用することのできる足用被服としては、ストッキング、スパッツ、トレンカ、タイツおよび靴下カバーが挙げられる。要するに、土ふまず400を含む足の部分を覆う靴下または足袋またはズボンまたは水着または下着または寝衣であれば、いずれの足用被服についても上記実施形態に準じた態様で本発明を適用することができる。
【0163】
・上記実施形態では、単一の被服として本発明の土ふまずの形状を整えるための足用被服を具体化したが、複数の被服を組み合わせたものとして本発明の足用被服を具体化することもできる。すなわち、靴下1として具体化した足用被服をズボン等の裏側に縫い付け、これを本発明の足用被服を具体化した一態様とすることもできる。なお、このような形態で本発明を実施することのできるズボンの例としては、トレーニングウェアやロンパース等が挙げられる。
【符号の説明】
【0164】
1…靴下、10…足被覆部、20…上面矯正部、21…上面内側縁、21A…上面内前端部、21B…上面内後端部、22…上面前側縁、23…上面後側縁、24…上面外側頂点、25…上面外側縁、25A…上面外前端部、25B…上面外後端部、30…下面矯正部、31…下面内側縁、31A…下面内前端部、31B…下面内後端部、32…下面前側縁、33…下面後側縁、34…下面外側頂点、41…上面前部、42…上面後部、51…下面先部、52…下面前部、53…下面中央内部、54…下面中央外部、55…下面後内部、56…下面後中央部、57…下面後外部、60…開口部、70…指被覆部、71…第1袋部、72…第2袋部、80…踵部、101…親指、200…中足骨、201…第1中足骨、202…第2中足骨、203…第3中足骨、204…第4中足骨、205…第5中足骨、300…足根骨、310…楔状骨、311…内側楔状骨、312…中間楔状骨、313…外側楔状骨、320…舟状骨、330…立方骨、340…距骨、350…踵骨、400…土ふまず。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土ふまずを矯正するための矯正部を含む土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、
前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、
前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁のそれぞれの少なくとも一部分が足の前後方向に対して傾斜していること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項2】
土ふまずを矯正するための矯正部を含む土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、
前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、
前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁の少なくとも一方の全体が足の前後方向に対して傾斜していること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項3】
請求項1または2に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記上面矯正部が前記上面内側縁および前記上面前側縁および前記上面後側縁を線分とする三角形状に相当する部位として形成されること、
前記上面外側縁が前記上面前側縁および前記上面後側縁の交点であり前記三角形状の頂点に相当する部位として形成されること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項4】
土ふまずを矯正するための矯正部を備える土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
足背側に設けられて土ふまずを引き上げるための部位を上面矯正部として、前記矯正部にこの上面矯正部が含まれること、
前記上面矯正部の内側縁である上面内側縁の長さが前記上面矯正部の外側縁である上面外側縁の長さよりも長いこと、
前記上面内側縁の前側端部である上面内前端部と前記上面外側縁の前側端部である上面外前端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面前側縁とし、前記上面内側縁の後側端部である上面内後端部と前記上面外側縁の後側端部である上面外後端部とを結ぶ前記上面矯正部の縁を上面後側縁として、これら上面前側縁および上面後側縁のそれぞれが段形状であること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記上面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されること、
前記上面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成されること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
足底側に設けられて前記上面矯正部により土ふまずを引き上げる力を強くするための部位を下面矯正部として、前記矯正部にこの下面矯正部が含まれること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項7】
請求項6に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記下面矯正部の内側縁である下面内側縁の長さが前記下面矯正部の外側縁である下面外側縁の長さよりも長いこと、
前記下面内側縁の前側端部である下面内前端部と前記下面外側縁の前側端部である下面外前端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面前側縁とし、前記下面内側縁の後側端部である下面内後端部と前記下面外側縁の後側端部である下面外後端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面後側縁として、これら下面前側縁および下面後側縁のそれぞれの少なくとも一部分が足の前後方向に対して傾斜していること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項8】
請求項7に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記下面矯正部が前記下面内側縁および前記下面前側縁および前記下面後側縁を線分とする三角形状に相当する部位として形成されること、
前記下面外側縁が前記下面前側縁および前記下面後側縁の交点であり前記三角形状の頂点に相当する部位として形成されること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
足底側に設けられて前記上面矯正部により土ふまずを引き上げる力を強くするための部位を下面矯正部として、前記矯正部にこの下面矯正部が含まれること、
前記下面矯正部の内側縁である下面内側縁の長さが前記下面矯正部の外側縁である下面外側縁の長さよりも長いこと、
前記下面内側縁の前側端部である下面内前端部と前記下面外側縁の前側端部である下面外前端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面前側縁とし、前記下面内側縁の後側端部である下面内後端部と前記下面外側縁の後側端部である下面外後端部とを結ぶ前記下面矯正部の縁を下面後側縁として、これら下面前側縁および下面後側縁のそれぞれが段形状であること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載される土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記下面内側縁が足の内側の側面に対応する部位に形成されること、
前記下面外側縁が足の外側の側面に対応する部位に形成されること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
前記上面矯正部の上面内側縁と前記下面矯正部の下面内側縁とが足の内側の側面に対応する部位において互いに接続されていること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の土ふまずの形状を整えるための足用被服において、
親指を覆うための第1袋部と、人差し指および中指および薬指および小指を覆うための第2袋部とが互いに分離して形成されること
を特徴とする土ふまずの形状を整えるための足用被服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−36547(P2012−36547A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180572(P2010−180572)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【特許番号】特許第4608027号(P4608027)
【特許公報発行日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000131555)株式会社シャルレ (16)
【Fターム(参考)】