説明

土地利用状況申請システム

【課題】農地に赴かずに、画像が当該農地を撮影したもので、かつ、現在の状況であるかを確認する。
【解決手段】携帯電話端末2に、土地を撮影し撮影時刻情報T1を付加可能なデジタルカメラ21と、撮影位置情報Pを取得するGPS22と、画像と撮影時刻情報T1と撮影位置情報Pとを確認者側装置3に送信する申請タスク251とを備え、確認者側装置3に、土地の位置や形状などの地理空間情報Aと、地理空間情報Aの誤差範囲を示す地理空間誤差バッファΔAと、撮影時刻情報T1の誤差範囲を示す時刻誤差バッファΔTとを記憶した農地等情報蓄積部31と、画像と撮影時刻情報T1と撮影位置情報Pと、地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAと時刻誤差バッファΔTとから、撮影位置情報Pが地理空間誤差バッファΔAの範囲内であり、かつ、撮影時刻情報T1が時刻誤差バッファΔTの範囲内であるか否かを判定する、判定タスク342とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土地の利用状況を撮影し、画像を添付して申請する土地利用状況申請システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農地は、宅地化が認められないかわりに固定資産税などの税率が低く設定されており、このため、農地の所有者は市町村に当該農地を農地として利用していることを証明するために、土地利用状況を申請するようになっている。
【0003】
土地利用状況の申請は、農地の所有者(申請者)が、当該農地を撮影し、画像(写真)を添付した申請書を提出し、その後、市町村の担当者(確認者)が、実際に当該農地に赴いて、農地として利用されているか否かを確認している。特に近年は、水耕栽培や植物工場などのように建物内で野菜を栽培する農地もあり、休耕時には、コンクリートの更地や商業施設などとの区別が困難であり、現地に赴いて確認する必要性が高まっている。
【0004】
農地として適正に利用されているか否かは、(1)画像が当該農地を撮影したものであり、かつ、(2)現在の状況である、ことを確認することによって行う。ここで、現在の状況であるかを確認するのは、撮影時から短期間しか経過していない場合は、農地が他の用途に転用さていないと判断できるためである。
【0005】
ところで、隣の土地や山林の持ち主との境界を明確に認識する土地及び山林境界管理センサシステムに関する技術が知られている(特許文献1参照。)。この技術は、国土調査等における杭打ち作業の際に、ICタグ埋め込み済みの公的境界管理杭を打ち込み、ICタグのリーダライタを内蔵したユビキタスITステッキによって、ICタグ埋め込み済みの公的境界管理杭の所在場所を特定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−042201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、国土調査等における杭打ち作業の際に、ICタグ埋め込み済みの公的境界管理杭を打ち込む必要があるため、すべての農地に適用するには手間とコストが膨大になるという問題があった。また、実際に、土地や山林に赴く必要があるものであった。
【0008】
そこで、この発明は、確認者が農地に赴かずに、画像が当該農地を撮影したものであり、かつ、現在の状況である、ことを確認可能な土地利用状況申請システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、土地の利用状況を撮影し、画像を添付して申請する土地利用状況申請システムであって、前記土地の利用状況を申請する申請者が携帯する報告者側装置と、前記報告者側装置と通信可能で前記報告者側装置からの申請を受け付ける確認者側装置とを備え、前記報告者側装置に、前記土地の利用状況を撮影し、撮影時刻情報を付加可能な撮影手段と、前記撮影手段による撮影場所の撮影位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記撮影手段で撮影した画像と、前記撮影時刻情報と、前記位置情報取得手段で取得した撮影位置情報とを、前記確認者側装置に送信する申請手段と、を備え、前記確認者側装置に、前記土地の位置や形状などの地理空間情報と、前記地理空間情報の許容可能な誤差範囲を示す地理空間誤差バッファと、前記撮影時刻情報の許容可能な誤差範囲を示す時刻誤差バッファとを記憶した土地情報蓄積手段と、前記報告者側装置から受信した前記画像と前記撮影時刻情報と前記撮影位置情報と、前記土地情報蓄積手段に記憶された前記地理空間情報と前記地理空間誤差バッファと前記時刻誤差バッファとにもとづいて、前記撮影位置情報が前記地理空間誤差バッファの範囲内であり、かつ、前記撮影時刻情報が前記時刻誤差バッファの範囲内であるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする土地利用状況申請システムである。
【0010】
この発明によれば、報告者側装置の撮影手段で農地を撮影し、確認者側装置に送信すると、確認者側装置の判定手段によって、報告者側装置から受信した画像と撮影時刻情報と撮影位置情報と、土地情報蓄積手段に記憶された地理空間情報と地理空間誤差バッファと時刻誤差バッファとにもとづいて、撮影位置情報が地理空間誤差バッファの範囲内であり、かつ、撮影時刻情報が時刻誤差バッファの範囲内であるか否かが判定される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、申請者は、報告者側装置の撮影手段で農地を撮影し、確認者側装置に送信すればよく、また、確認者は、確認者側装置の判定手段によって、画像が当該農地を撮影したものであり、かつ、現在の状況である、ことを確認することができる。つまり、確認者が農地に赴く必要がないため、業務に要する手間と時間とを削減することができる。
【0012】
また、農地ごとに例えば農地の識別情報を記憶したICタグなどを設置する必要がないため、すべての農地に対して容易に適用、導入することが可能となる。
【0013】
さらに、地理空間情報の許容可能な誤差範囲を示す地理空間誤差バッファを用いて判定手段で判定しているため、位置情報取得手段で取得した位置情報に誤差がある場合や、撮影位置が該当の農地よりわずかに外側であった場合であっても、適切に判定することができる。また、撮影時刻情報の許容可能な誤差範囲を示す時刻誤差バッファを用いて判定手段で判定しているため、撮影手段で撮影してから申請手段で送信するまでのタイムラグを考慮することができるので、より適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態に係る報告者側装置と確認者側装置とを有する土地利用状況申請システムを示す概略図である。
【図2】図1の報告者側装置における情報処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の報告者側装置における地理属性情報付加処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の報告者側装置における時間属性情報付加処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の報告者側装置における画像伝送処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の報告者側装置における土地情報登録処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の報告者側装置における土地情報登録処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図1の確認者側装置における情報処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図1の確認者側装置における伝送画像取得処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図1の確認者側装置における地理属性情報比較処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図1の確認者側装置における時間属性情報比較処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図1の確認者側装置における適正画像確認処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図1の確認者側装置における結果通知処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図1の土地情報蓄積部に記憶されている地理空間情報、地理空間誤差バッファと、画像の撮影位置とを示す概略図である。
【図15】図1の土地情報蓄積部に記憶されている時刻誤差バッファと、画像の撮影時刻情報、電子メール受信時刻情報とを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図15は、この発明の実施の形態を示している。図1に示すように、土地利用状況申請システム1は、土地(農地)の利用状況を撮影し、画像を添付して申請するものであり、通信網NWによって有線または無線で相互に通信可能な報告者側装置2と確認者側装置3とを有している。ここで、報告者側装置2は、土地の利用状況を申請する申請者(報告者)が携帯するものであり、確認者側装置3は、報告者側装置からの申請を受け付けるものであり、市町村の担当者(確認者)が使用するサーバ装置である。
【0017】
報告者側装置2は、画像撮影部21と、位置情報取得部22と、通信部23と、操作部24と、処理部25とを備えている。この実施の形態では、報告者側装置2は、画像撮影部21としてデジタルカメラ機能と、位置情報取得部22としてGPS機能と、電子メールアプリケーションとを備えた携帯電話端末とする。
【0018】
画像撮影部(デジタルカメラ)21は、農地の利用状況を撮影するものであり、農地の全体を撮影可能となるように画角、広角が調整可能となっている。
【0019】
位置情報取得部(GPS)22は、デジタルカメラ21によって撮影を行った際に、撮影場所の撮影位置情報(地理属性情報)Pを取得するものである。なお、地理属性情報として緯度情報と経度情報などがある。また、位置情報取得部(GPS)は、GPS時刻を取得し、撮影を行った際の撮影時刻情報T1を取得して、画像と共に記憶するようになっている。
【0020】
通信部23は、確認者側装置3との間でのデータ通信を行う機能を有している。ここで、確認者側装置3に対して画像を伝送するためのインターフェースは、電子メール(携帯電話メール)として実装する。
【0021】
操作部24は、ディスプレイや操作ボタンなどを有し、デジタルカメラ21で撮影した画像の確認や、撮影や保存などの操作を行うことができるようになっている。
【0022】
処理部25は、主として、デジタルカメラ21と、GPS22と、通信部23と、操作部24とをそれぞれ制御する機能を有している。また、処理部25は、地理属性情報付加処理(地理属性情報付加タスク)STEP102と、時間属性情報付加処理(時間属性情報付加タスク)STEP103と、報告者識別コード記述処理(報告者識別コード記述タスク)STEP104と、画像伝送処理(画像伝送タスク)STEP105とを、プログラム、タスクとして格納し、これらのプログラム、タスクから構成される申請タスク(申請手段)251を格納している。また、処理部25は、これらのプログラム、タスクで使用するメモリ(記憶装置)を備えている。
【0023】
申請手段(申請タスク)251は、デジタルカメラ21で農地を撮影し、撮影した画像と、撮影時刻情報T1と、GPS22で取得した撮影位置情報Pとを、確認者側装置3に送信する機能を有している。また、この申請タスク251は、操作部24を介して起動するようになっている。
【0024】
地理属性情報付加タスクSTEP102は、図3に示すように、デジタルカメラ21で画像を撮影する際に起動され、撮影した画像に撮影場所の撮影位置情報(地理属性情報)Pを付加する機能を有するプログラム、タスクである。地理属性情報付加タスクSTEP102は、GPS22で取得した地理属性情報を、デジタルカメラ21で画像を撮影した画像のExifの位置情報タグとして付加するものである。ここで、Exifとは、標準化された画像フォーマットのことであり、機種、撮影日時や撮影場所などの撮影情報を画像に埋め込むためのものである。
【0025】
時間属性情報付加タスクSTEP103は、図4に示すように、デジタルカメラ21で画像を撮影する際に起動され、撮影した画像に撮影時刻情報(時間属性情報)T1を付加する機能を有するプログラム、タスクである。時間属性情報付加タスクSTEP103は、取得した時間属性情報を、デジタルカメラ21で画像を撮影した画像のExifの時刻情報タグとして付加するものである。
【0026】
報告者識別コード記述処理(報告者識別コード記述タスク)STEP104は、報告者、つまり、申請タスク251の実行者を識別するための報告者識別コードを、操作部24を介して入力させたりして、取得するようになっている。
【0027】
画像伝送タスクSTEP105は、図5に示すように、申請タスク251において起動され、撮影した画像と時間属性情報と地理属性情報とを、確認者側装置3に設定されている所定のメールアドレス宛てに電子メールで送信する機能を有するプログラム、タスクである。
【0028】
確認者側装置3は、図1に示すように、土地情報蓄積部31と、通信部32と、操作部33と、処理部34とを備えている。
【0029】
土地情報蓄積部31は、ここでは、農地等の情報を記憶する農地等情報蓄積部として説明する。農地等情報蓄積部31は、農地の所有者の報告者識別コードごとに、農地に関する情報を記憶する農地等情報蓄積データベース31aを格納するものである。この農地等情報蓄積データベース31aは、図6に示す農地等地理空間情報登録タスク341によって登録、更新され、判定タスク342によって更新されるものである。
【0030】
農地等情報蓄積データベース31aは、農地の所有者の報告者識別コードごとに記憶され、地理空間情報A、地理空間誤差バッファΔA、時刻誤差バッファΔTと申請情報とを記憶している。申請情報は、申請を識別するための処理コードごとに、画像、撮影位置情報、撮影時刻情報、メール受信時刻、地理属性情報比較判定結果、時間属性情報比較判定結果、適正画像確認結果やその他などを記憶している。ここで、処理コードは、申請を識別するための識別番号(ID)であり、後述する伝送画像取得タスクSTEP2101によって、割り当てられるものである。画像、撮影位置情報、撮影時刻情報、メール受信時刻は、画像伝送タスクSTEP105によって更新される。地理属性情報比較判定結果は、「NULL」で初期化されており、後述する地理属性情報比較タスクSTEP2102の判定結果にもとづいて「OK」、「NG」が登録される。時間属性情報比較判定結果は、「NULL」で初期化されており、後述する時間属性情報比較タスクSTEP2103の判定結果にもとづいて「OK」、「NG」が登録される。適正画像確認結果は、「NULL」で初期化されており、後述する適正画像確認タスクSTEP2104の判定結果にもとづいて「OK」、「NG」が登録される。
【0031】
地理空間情報Aは、図14に示すように、農地の位置や形状などを示すものであり、農地の所有者の報告者識別コードごとに、当該農地の位置や形状などが記憶されている。
【0032】
地理空間誤差バッファΔAは、図14に示すように、地理空間情報Aの許容可能な誤差範囲を示すものであり、当該農地の所有者の報告者識別コードごとに、例えば「10m」と記憶され、この場合は、当該農地の画像の地理属性情報(撮影位置情報)Pが、当該農地から10mずれた位置であっても、地理属性情報比較タスクSTEP2102において、画像は当該農地を撮影したものである(「OK」)と判定される。この地理空間誤差バッファΔAは、GPS22による位置取得の公称誤差や、農地全体を撮影するために、隣接する土地や道路から撮影した場合などに生じる誤差を、許容可能な誤差範囲として設定することができる。これにより、例えば他の農地を撮影した場合には、地理空間誤差バッファΔAの範囲外となり、許容不可とする。
【0033】
時刻誤差バッファΔTは、図15に示すように、時刻情報の許容可能な誤差範囲を示すものであり、撮影時刻情報(時間属性情報)T1と、伝送画像取得タスクSTEP2101による電子メール受信時刻情報T2との誤差(タイムラグ)を、許容可能な誤差範囲として設定するものである。この時刻誤差バッファΔTは、報告者が申請タスク251によって、画像を撮影して電子メールで送信するまでに要する時間や、データの改ざんに要する時間などにもとづいて、許容可能な誤差範囲を設定することができる。また、例えば、携帯電話などの電波が届かない場所にある農地などについては、他の農地よりも時刻誤差バッファΔTを大きく設定してもよい。時刻誤差バッファΔTは、当該農地の所有者の報告者識別コードごとに、例えば「60秒」と記憶され、この場合は、当該農地の画像の撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2とが60秒ずれていても、時間属性情報比較タスクSTEP2103において、画像の撮影時刻が妥当であり、現在の状況である(「OK」)と判定される。また、例えば画像が数ヶ月前に撮影したものである場合は、時刻誤差バッファΔTの範囲外となり、画像の撮影時刻が不当であり、現在の状況ではない(「NG」)と判定される。
【0034】
処理部34は、通信部32、操作部33をそれぞれ制御する機能を有し、また、図6および図7に示す農地等地理空間情報登録処理(農地等地理空間情報登録タスク)341をプログラム、タスクとして格納している。さらに、処理部34は、図8に示す伝送画像取得処理(伝送画像取得タスク)STEP2101と、地理属性情報比較処理(地理属性情報比較タスク)STEP2102と、時間属性情報比較処理(時間属性情報比較タスク)STEP2103と、適正画像確認処理(適正画像確認タスク)STEP2104と、結果通知処理(結果通知タスク)STEP2105とを、プログラム、タスクとして格納し、これらのプログラム、タスクから構成される判定タスク(判定手段)342を格納している。また、処理部34は、これらのプログラム、タスクで使用するメモリ(記憶装置)を備えている。
【0035】
農地等地理空間情報登録タスク341は、図7に示すように、農地の所有者の報告者識別コードごとに、地理空間情報Aと、地理空間誤差バッファΔAと、時刻誤差バッファΔTを、農地等情報蓄積データベース31aに登録するものである。
【0036】
判定手段(判定タスク)342は、報告者側装置(携帯電話端末)2から受信した画像と撮影時刻情報T1と撮影位置情報Pと、農地等情報蓄積部31に記憶された地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAと時刻誤差バッファΔTとにもとづいて、撮影位置情報Pが地理空間誤差バッファΔAの範囲内であり、かつ、撮影時刻情報T1が時刻誤差バッファΔTの範囲内であるか否かを判定する機能を有している。つまり、判定タスク342は、画像が当該農地を撮影したものであり、かつ、現在の状況であるか、否かを判定する機能を有している。また、判定タスク342は、操作部33を介して直接起動可能であるとともに、所定の日時に起動されるように、処理部34にプログラミング可能である。
【0037】
伝送画像取得タスクSTEP2101は、図9に示すように、携帯電話端末2から受信した電子メールに添付された画像に、当該画像(申請)を識別するための処理コードを割り当て、電子メールに記述された内容から取得される報告者識別コードを当該処理コードに紐付け、受信したメール受信時刻である電子メール受信時刻情報T2と、画像のExifの位置情報タグ、時刻情報タグ、から取得される撮影位置情報Pと撮影時刻情報T1を、当該処理コードに紐付け、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存する機能を有している。
【0038】
地理属性情報比較タスクSTEP2102は、受信した画像が当該農地を撮影したものであるか否かを比較、判定し、判定結果を農地等情報蓄積データベース31aの当該処理コードの地理属性情報比較判定結果として保存する機能を有している。具体的には、図10に示すように、伝送画像取得タスクSTEP2101で取得した撮影位置情報Pが、地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAを加えた範囲内であるか否かを判定するようになっている。ここで、例えば、図14に示すように撮影位置情報Pが、地理空間情報Aに地理空間誤差バッファΔAを加えた範囲内(一点鎖線の内側)である場合は、受信した画像が当該農地を撮影したものである(「OK」)と判定し、それ以外の場合は、当該農地を撮影したものではない(「NG」)と判定する。
【0039】
時間属性情報比較タスクSTEP2103は、受信した画像が当該農地の現在状況を撮影したものであるか否かを判定し、判定結果を農地等情報蓄積データベース31aの当該処理コードの時間属性情報比較判定結果に保存する機能を有している。具体的には、図11に示すように、伝送画像取得タスクSTEP2101で取得した撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2が、時刻誤差バッファΔTの範囲内に、内包されているか否かを判定するようになっている。つまり、撮影時刻情報T1と、電子メール受信時刻情報T2との誤差(タイムラグ)が許容範囲内であるか否かを判定し、画像の撮影時刻情報T1から十分に短い時間間隔で電子メールが送信されているか否かを判定する。例えば、図15に示すように時間属性情報である撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2が、時刻誤差バッファΔTの範囲内(矢印で示す範囲内)である場合は、受信した画像が当該農地の現在状況を撮影したものである(「OK」)と判定し、それ以外の場合は、農地の現在状況を撮影したものではない(「NG」)と判定する。
【0040】
適正画像確認タスクSTEP2104は、受信した画像が農地の利用状況申請として適正であるか否かを判定し、判定結果を農地等情報蓄積データベース31aの当該処理コードの適正画像確認結果として登録する機能を有している。具体的には、図12に示すように、農地等情報蓄積データベース31aの当該処理コードの地理属性情報比較判定結果と時間属性情報比較判定結果がともに「OK」であるか否かによって判定し、ともに「OK」の場合は、受信した画像が農地の利用状況申請として適正である(「OK」)と判定し、それ以外の場合は、受信した画像が農地の利用状況申請として適正ではない(「NG」)と判定する。
【0041】
結果通知タスクSTEP2105は、図13に示すように、受信した画像が農地の利用状況申請として適正であるか否かを所定のメールアドレスに電子メールで送信する機能を有している。ここで、所定のメールアドレスとは、確認者のメールアドレスなどであり、適正画像確認タスクSTEP2104で判定したすべての処理コードの画像について、農地の所有者の報告者識別コードとともに判定結果(「OK」、「NG」)と、判定理由(例えば、「受信した画像が当該農地を撮影したものではない」、「受信した画像が当該農地の現在状況を撮影したものではない」など)とを記載して送信するようになっている。
【0042】
次に、このような構成の土地利用状況申請システムの作用などについて説明する。
【0043】
まず、報告者からの申請について説明する。このとき、報告者は、携帯電話端末2を携帯して、利用状況申請を行う農地まで赴く。そして、当該農地に到着すると、携帯電話端末2の申請タスク251を起動する。
【0044】
そして、図2に示すように、STEP101において、農地等画像撮影が行われ、画像はメモリに記憶される。STEP102において、地理属性情報付加タスクが起動される。この地理属性情報付加タスクSTEP102は、図3に示すように、STEP201において、GPS22によって撮影場所の撮影位置情報Pが取得され、STEP202において、取得した撮影位置情報PがExif情報に変換され、STEP203において、変換した撮影位置情報Pが、Exifの位置情報タグとして画像に付加されて、処理を終了する。
【0045】
そして、STEP103において、時間属性情報付加タスクが起動される。この時間属性情報付加タスクSTEP103は、図4に示すように、STEP301において、携帯電話端末2に内蔵された時計から撮影時刻情報T1を取得し、STEP302において、取得した撮影時刻情報T1がExif情報に変換され、STEP303において、変換した撮影時刻情報T1が、Exifの時刻情報タグとして画像に付加されて、処理を終了する。
【0046】
そして、STEP104において、報告者識別コードが記述され、STEP105において、画像伝送タスクが起動される。この画像伝送タスクSTEP105は、図5に示すように、STEP401において、携帯電話端末2の電子メールアプリケーションが起動され、STEP402において、デジタルカメラ21で撮影してメモリに記憶されている画像が電子メールに添付され、STEP403において、確認者側装置3に設定されている確認者の所定のメールアドレス宛てに、電子メールに画像が添付されて送信される。送信された電子メールと画像とは、確認者側装置3で当該電子メールを受信すると所定のフォルダに格納される。
【0047】
つぎに、報告者から申請された利用状況申請の確認者による確認について説明する。
【0048】
まず、確認者側装置3において、農地等情報を登録する際は、図6に示すように、STEP1101において、農地等地理空間情報登録タスク341が起動される。この農地等地理空間情報登録タスク341は、図7に示すように、STEP1201において、報告者を識別するための報告者識別コードが登録され、STEP1202において、当該報告者の所有する農地の地理空間情報Aが登録(付加)され、STEP1203において、当該農地の地理空間誤差バッファΔAが登録(付加)され、STEP1204において、当該農地の時刻誤差バッファΔTが登録(付加)されて、農地等情報蓄積データベース31aが登録、更新される。この農地等地理空間情報登録タスク341は、判定タスク342の起動前に行っておく必要がある。
【0049】
つぎに、確認者によって、確認者側装置3の操作部33が操作されて、判定タスク342が起動される。
【0050】
まず、図8に示すように、STEP2101において、伝送画像取得タスクが起動される。この伝送画像取得タスクSTEP2101は、図9に示すように、STEP2201において、携帯電話端末2から送信された電子メールと添付された画像が受信され、STEP2202において、処理コードが割り当てられ、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報に当該処理コードのレコードが作成される。STEP2203において、電子メール受信時刻情報T2が確認されてエラーチェックが行われ、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存される。STEP2204において、電子メールに記載された内容にもとづいて報告者識別コードが確認されてエラーチェックが行われ、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存される。STEP2205において、添付画像が確認されてエラーチェックが行われ、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存され、STEP2206において、Exif位置情報タグが確認されてエラーチェックが行われ、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存される。STEP2207において、Exif時刻情報タグが確認されてエラーチェックを行い、農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存されて、処理を終了する。
【0051】
そして、STEP2102において、地理属性情報比較タスクが起動される。この地理属性情報比較タスクSTEP2102は、図10に示すように、STEP2301において、農地等情報蓄積データベース31aにもとづいて該当処理コードの報告者識別コードが確認され、STEP2302において、該当農地等の地理空間情報Aが取得され、STEP2303において、該当農地等の地理空間誤差バッファΔAが取得され、STEP2304において、該当処理コードの地理属性情報(撮影位置情報)Pが取得され、STEP2305において、比較判定が行われ、地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAを加えた範囲内に、撮影位置情報Pが内包されているか否かが判定される。すなわち、当該農地等で撮影されたものであるか否かが判定される。内包されている場合(「YES」の場合)は、STEP2306に進んで、地理属性情報比較判定結果を「OK」であった旨が農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存されて、処理を終了する。また、STEP2305において、内包されていない場合(「NO」の場合)は、STEP2307に進んで、地理属性情報比較判定結果が「NG」であった旨が農地等情報蓄積データベース31aの申請情報として保存されて、処理を終了する。
【0052】
ここで、例えば、図14に示すように撮影位置情報Pが地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAを加えた範囲内(図14の地理空間誤差バッファΔAの内側)である場合は、STEP2305において、内包されている(「YES」)と判定される。また、撮影位置が地理空間情報Aと地理空間誤差バッファΔAを加えた範囲外(図14の地理空間誤差バッファΔAの外側)である場合は、STEP2305において、内包されていない(「NO」)と判定される。
【0053】
そして、STEP2103において、時間属性情報比較タスクが起動される。この時間属性情報比較タスクSTEP2103は、図11に示すように、STEP2401において、該当処理コードの報告者識別コードが確認され、STEP2402において、当該農地の農地等情報蓄積データベース31aから時刻誤差バッファΔTが取得され、STEP2403において、当該農地の農地等情報蓄積データベース31aの申請情報から撮影時刻情報T1が取得され、STEP2404において、当該農地の農地等情報蓄積データベース31aの申請情報から電子メール受信時刻情報T2が取得され、STEP2405において、比較判定が行われ、時刻誤差バッファΔTの範囲内に、撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2が内包されているか否かが判定される。すなわち、画像が当該現在の状況であるか否かが判定される。内包されている場合(「YES」の場合)は、STEP2406に進んで、時間属性情報比較判定結果を「OK」であった旨が農地等情報蓄積データベース31aに保存されて、処理を終了する。また、STEP2405において、内包されていない場合(「NO」の場合)は、STEP2407に進んで、時間属性情報比較判定結果が「NG」であった旨が農地等情報蓄積データベース31aに保存されて処理を終了する。
【0054】
ここで、例えば、図15に示すように時間属性情報である撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2が、時刻誤差バッファΔTの範囲内である場合は、STEP2405において、内包されている(「YES」)と判定される。また、撮影時刻情報T1と電子メール受信時刻情報T2が、時刻誤差バッファΔTの範囲外(図15の時刻誤差バッファΔTの外側)である場合は、STEP2405において、内包されていない(「NO」)と判定される。
【0055】
そして、STEP2104において、適正画像確認タスクが起動される。この適正画像確認タスクSTEP2104は、図12に示すように、STEP2501において、該当処理コードの地理属性情報比較判定は「OK」であるか、「NG」であるかが判定され、「NG」の場合(「NO」の場合)は、STEP2504に進む。「OK」の場合(「YES」の場合)は、STEP2502に進んで、該当処理コードの時間属性情報比較判定は「OK」であるか否かが判定され、「NG」の場合(「NO」の場合)は、STEP2504に進む。「OK」の場合(「YES」の場合)は、STEP2503に進んで、適正画像確認結果が「OK」である旨が農地等情報蓄積データベース31aに登録されて、処理を終了する。また、STEP2501とSTEP2502において、適正画像確認結果が「NG」である旨が農地等情報蓄積データベース31aに保存されて、処理を終了する。
【0056】
そして、STEP2105において、結果通知タスクが起動される。この結果通知タスクは、図13に示すように、STEP2601において、結果送付先が確認され、STEP2602において、該当処理コードの適正画像確認結果が記述され、STEP2603において、電子メールが送信されて処理を終了する。
【0057】
以上のように、この土地利用状況申請システム1によれば、申請者は、携帯電話端末2のデジタルカメラ21で農地を撮影し、確認者側装置3に送信すればよく、また、確認者は、確認者側装置3の判定タスク342によって、画像が当該農地を撮影したものであり、かつ、現在の状況である、ことを確認することができる。つまり、確認者が農地に赴く必要がないため、土地利用状況申請の確認業務に要する手間と時間とを削減することができる。
【0058】
このように、土地利用状況申請の確認業務に要する手間と時間とを削減できるので、例えば土地利用状況を毎月申請するようにしても、確認者の業務負担が大きく増えることはない。このため、土地利用状況を短期間ごとに行うようにした場合であっても、申請後に農地が不正に転用されるなど、申請に関する情報が改ざんされる可能性を排除することができる。
【0059】
さらに、農地ごとに例えば農地の識別情報を記憶したICタグなどを設置する必要がないため、すべての農地に対して容易に適用、導入することが可能となる。特に、報告者は、デジタルカメラ機能を有する携帯電話端末2を使用すれば、新しい装置を導入する必要がないため、報告者にとっても導入し易いものである。
【0060】
さらにまた、地理空間情報Aの許容可能な誤差範囲を示す地理空間誤差バッファΔAを用いて判定タスク342で判定しているため、GPS22で取得した位置情報に誤差がある場合や、撮影位置が該当の農地よりわずかに外側であった場合であっても、適切に判定することができる。また、撮影時刻情報T1の許容可能な誤差範囲を示す時刻誤差バッファΔTを用いて判定タスク342で判定しているため、デジタルカメラ21で撮影してから申請タスク251で送信するまでのタイムラグを考慮することができるので、より適切に判定することができる。
【0061】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、携帯電話端末2をカメラ機能付の携帯電話端末として説明したが、デジタルカメラ21とGPS22と、電子メールを送信する端末装置(パーソナルコンピュータ)とがそれぞれ別々に構成されていてもよい。各機能が論理的に集合して構成されていればよく、各機能を実現する装置が物理的に同一装置等の中にあるかどうかは問わない。確認者側装置3についても同様である。
【0062】
また、画像を伝送するためのインターフェースを「電子メール」として実装する形を説明したが、インターフェースはこれに限らない。例えば、申請専用のWEBページにアクセスし、インターネットを通じて画像を送信するようにしてもよい。
【0063】
さらにまた、各タスクのステップは、例えば、携帯電話端末2の操作部24に次の処理に進んでもよいかについての確認メッセージを表示し、確認ボタンが押下されると次の処理(ステップ)に進むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 土地利用状況申請システム
2 携帯電話端末(報告者側装置)
3 確認者側装置
21 デジタルカメラ(画像撮影部)
22 GPS(位置情報取得部)
23 通信部
251 申請タスク(申請手段)
31 農地等情報蓄積部(土地情報蓄積部)
342 判定タスク(判定手段)
P 撮影位置情報
A 地理空間情報
ΔA 地理空間誤差バッファ
T1 撮影時刻情報
ΔT 時刻誤差バッファ
NW 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地の利用状況を撮影し、画像を添付して申請する土地利用状況申請システムであって、
前記土地の利用状況を申請する申請者が携帯する報告者側装置と、前記報告者側装置と通信可能で前記報告者側装置からの申請を受け付ける確認者側装置とを備え、
前記報告者側装置に、
前記土地の利用状況を撮影し、撮影時刻情報を付加可能な撮影手段と、
前記撮影手段による撮影場所の撮影位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記撮影手段で撮影した画像と、前記撮影時刻情報と、前記位置情報取得手段で取得した撮影位置情報とを、前記確認者側装置に送信する申請手段と、を備え、
前記確認者側装置に、
前記土地の位置や形状などの地理空間情報と、前記地理空間情報の許容可能な誤差範囲を示す地理空間誤差バッファと、前記撮影時刻情報の許容可能な誤差範囲を示す時刻誤差バッファとを記憶した土地情報蓄積手段と、
前記報告者側装置から受信した前記画像と前記撮影時刻情報と前記撮影位置情報と、前記土地情報蓄積手段に記憶された前記地理空間情報と前記地理空間誤差バッファと前記時刻誤差バッファとにもとづいて、前記撮影位置情報が前記地理空間誤差バッファの範囲内であり、かつ、前記撮影時刻情報が前記時刻誤差バッファの範囲内であるか否かを判定する判定手段と、を備える
ことを特徴とする土地利用状況申請システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−84042(P2013−84042A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221871(P2011−221871)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】