説明

土壌用多目的ケース

【課題】
従来技術の土壌用ケースでは、肥料などを詰替え式としており、詰替えの際にはこれらをいちいち探し出し、探し出した土壌用ケースに肥料などを詰め込むという作業が必要となり、この補給作業が煩わしいという課題がある。また、広大な敷地においては、これらの作業を行うことは非常に困難であった。
【解決手段】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、生分解性樹脂からなる側壁(0102)に貫通孔(0103)を空けた土壌埋込用ケースを提供する。生分解性樹脂を用いることで、土壌中に残存せずに分解されるため、いちいち肥料などを詰め替える手間が省ける。また、根切りフィンを設けることで、根切り作業も同時に行うことができる。さらに、土壌埋込用ケース打ち込み機を用いることで、広大な敷地においても効率的に土壌埋込用ケースを打ち込むことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業、園芸、造園等に関し、土壌中に肥料、薬剤、空気等を効率よく供給するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、花、木あるいは芝生などの植物の生育を助けるための肥料や殺虫剤、除草剤などは、液体状、粉末状、粒状あるいはペレット状の形態にて瓶詰めや袋詰めにされて市販される。このような形態の殺虫剤などを購入した消費者は、土や芝生などの表面にこれらを散布したり、撒いたり、土に混合したりして使用する。
【0003】
液体状の肥料の中には、アンプル状の容器に入っているものがあり、容器の先端部をカットして植物の根元付近に差し込み、徐々に効果を上げるように工夫したものが市販されているが、固体状の肥料や殺虫剤などでは、アンプル状の容器では効果が無いので、容器ごと土壌中に埋め込んだり、差し込んだりする方法が取られている。
【0004】
例えば、特許文献1は、液肥の補給方法に関する発明であり、複数の貫通孔を有する尖頭形状の樹木用補給機が提案されており、定期的に液肥を補給可能としている。特許文献2は、複数の貫通孔を有する二重構造の土壌用ケースであって、土壌用ケースに固体状の肥効成分を収容し、水とともに容器内の肥効成分を土中に溶出させ給肥する。そして、肥効成分が全て土中に溶出した後には、容器内に肥効成分を補給可能としている。また、特許文献3は、植物の給水方法に関する発明であり、複数の貫通孔を有する土壌用ケースにて土中深くの根まで給水することを可能としている。なお、これらの土壌用ケースは、いずれも土壌に埋め込んだ後は、そのまま腐敗等することなく土壌中に残存し、内部の充填物を補給可能としている。
【特許文献1】特開平4−99421
【特許文献2】特開平4−237441
【特許文献3】特開2004−187557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構造をもつ土壌用ケースは、いずれも土壌中に残存するため、毎回同じ場所に肥料等の肥効成分または除草剤等の薬効成分(以下これらを「土壌浸透材」という)を供給することとなる。しかし、毎回同じ場所に土壌浸透材を供給しても、供給により得られる効果が弱いという課題がある。また、広範囲に土壌用ケースを埋め込む場合には、いちいち前回埋め込んだ土壌用ケースを探し出し、探し出した土壌用ケースに土壌浸透材を詰め込むという作業が必要となり、この補給作業が煩わしいという課題がある。例えば、ゴルフ場のような広大な敷地において、これらの作業を行おうとすると、非常に多大な労力を必要とする。さらに、埋め込みを行おうとする土壌が芝などにより覆われている場合には、土壌用ケースに肥効成分を入れると、芝の生育が旺盛となり土壌用ケースが隠れてしまうため、土壌用ケースを探し出す作業だけでも一苦労である。さらに、浸透材の補給が行われずに放置された土壌用ケースは、そのまま土中にて分解されることなく残存してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために第一発明では、土壌浸透材保持領域を形成する側壁を有し、前記側壁に土壌浸透材を土壌に浸透させるための貫通孔を空け、材質の全部又は一部が生分解性樹脂からなる土壌埋込用ケースを提案する。第二発明では、第一発明に記載の土壌埋込用ケースの土壌埋め込み端が尖頭形状である土壌埋込用ケースを提案する。また、第三発明では、第二発明に記載の土壌埋込用ケースであって、前記側壁にてなる筒状部と、前記土壌埋め込み端の一部をなす先端部と、からなり、先端部には内部貫通孔は空けられていない土壌埋込用ケースを提案する。
【0007】
第四発明では、第二発明または第三発明に記載の土壌埋込用ケースであって、前記土壌埋め込み端は、埋め込み頂点に向けて複数段の絞り形状である土壌埋込用ケースについて提案する。第五発明では、前記絞り形状は二段の絞り形状であり、埋め込み頂点から遠い第一段絞りがなす頂角は15から35度である土壌埋込用ケースを提案する。第六発明では、前記絞り形状は二段の絞り形状であり、埋め込み頂点から近い第二段絞りがなす頂角は20から45度である土壌埋込用ケースを提案する。第七発明では、前記第一段絞りがなす頂角は、前記第二段絞りがなす頂角よりも5度以上小さい角度である土壌埋込用ケースを提案する。
【0008】
第八発明では、第一発明から第七発明のいずれか一に記載の土壌埋込用ケースであって、前記側壁に根切りフィンを設けた土壌埋込用ケースを提案する。第九発明では、前記フィンの埋め込み頂点側の端部は、土壌埋め込み端の尖頭形状と連続的な形状である土壌埋込用ケースについて提案する。
【0009】
第十発明では、第一発明から第九発明のいずれか一に記載の土壌埋込用ケースを縦に複数連ねて保持する土壌埋込用ケース保持手段と、前記土壌埋込用ケース保持手段の下端に空けられ、後記する土壌埋込用ケース待機部により開閉可能な土壌埋込用ケース落下口と、を備える土壌埋込用ケース保持落下部と、前記土壌埋込用ケース落下口から落下した土壌埋込用ケースを待機させる土壌埋込用ケース待機部と、前記土壌埋込用ケース待機部に待機した土壌埋込用ケースを土壌面に向けて加圧する加圧ロッドと、を有する土壌埋込用ケース打ち込み機を提案する。第十一発明では、前記加圧ロッドは、足で踏み込むことで加圧ロッドに力を与えることができるペダルと、加圧ロッド方向に設けられた軸上をスライド自在に前記ペダルを支持する支持部と、を有する土壌埋込用ケース打ち込み機を提案する。前記加圧ロッドは、加圧するための加圧手段(ペダル)と、加圧された力を加圧ロッドに伝達するための加圧力伝達手段(ガイド部)とをさらに有する土壌埋込用ケース打ち込み機を提案する。第十二発明では、前記加圧ロッドは、土壌用ケースを土壌面に向けて加圧した後に、加圧前状態に復帰する方向に付勢する弾性手段をさらに有する土壌埋込用ケース打ち込み機を提案する。第十三発明では、前記土壌埋込用ケース待機部は、前記加圧ロッドが加圧可能状態の場合には、前記土壌埋込用ケース落下口からの土壌埋込用ケースの落下を防止する土壌埋込用ケース落下止手段をさらに有する土壌埋込用ケース打ち込み機を提案する。
【発明の効果】
【0010】
以上のような構成をとる本発明の土壌用多目的ケースでは、土壌中にて分解されるため、土壌中にそのまま残存してしまうことが無く、土壌埋込用ケースを埋め込む度に異なる場所に埋め込むことが可能である。また、いちいち前回埋め込んだ土壌埋込用ケースを探し出したり、探し出した土壌埋込用ケースに肥料を補給したりする手間が必要なくなり、作業効率を向上することができる。さらに、本発明の土壌埋込用ケース打ち込み機を利用することにより、一層作業効率を向上することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施形態1は主に請求項1について説明する。実施形態2は主に請求項2について説明する。実施形態3は主に請求項3について説明する。実施形態4は主に請求項4、5、6、7について説明する。実施形態5は主に請求項8、9について説明する。実施形態6は主に請求項10、11、12、13について説明する。
【0012】
≪実施形態1≫
【0013】
(実施形態1の概念)本実施形態の土壌埋込用ケースは、土壌浸透材を保持する土壌浸透材保持領域を側壁で形成し、前記側壁に土壌浸透材を浸透させるための貫通孔を空けた生分解性樹脂からなる土壌埋込用ケースに関する。
【0014】
(実施形態1の構成)図1に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケースの一例を表す図である。この図1に例示するように、本実施形態の土壌埋込用ケース(0100)は、土壌浸透材保持領域(0101)を形成する側壁(0102)を有し、前記側壁に土壌浸透材を土壌に浸透させるための貫通孔(0103)を空け、材質の全部または一部が生分解性樹脂である。
【0015】
(実施形態1の構成の説明)
「土壌浸透材保持領域」(0101)とは、土壌浸透材を保持するための領域である。「土壌浸透材」とは、土壌中に供給するための材料である。具体的には、肥料等の肥効成分、除草剤や防虫剤等の薬効成分が該当する。なお、土壌浸透材保持領域には液体状のものを注入することもできるが、土壌中に土壌浸透材を徐々に溶出するために、固体状のものを投入することが望ましい。また、土壌浸透材保持領域に何も入れない場合であっても、土壌中に空気を送り込むことも可能である。この場合には、「空気」が土壌浸透材に該当する。例えば、土壌埋込用ケースを埋め込む土壌に芝が生育している場合には、土壌浸透材保持領域に何も入れない土壌埋込用ケースを埋め込むことで、芝が生育している土壌に穴あけ作業を行ったのと同様の効果が得られる。
【0016】
「側壁」(0102)は、土壌浸透材保持領域を形成する。側壁には、土壌浸透材を土壌に浸透させるために貫通孔(0103)を空ける。なお、側壁の形成する形状は、土壌浸透材保持領域を形成することができれば、どのような形状であってもよい。図2に側壁が形成する土壌浸透材保持領域の形状例を示す。図2に示すように、側壁の形成する形状は、円筒形状(0201)、円錐形状(0202)、直方体形状(0203)、角錐形状(0204)など、どのような形状であってもよい。また、図3に示すように、側壁に蓋(0301)を付けてもよいし、卵形状(0302)としてもよい。側壁に空ける貫通孔についても、土壌浸透材を土壌に浸透させることができれば、どのような形状、大きさ、間隔、数量であってもよい。ただし、土壌浸透材の大きさよりも小さい貫通孔とする必要がある。
【0017】
側壁の材質は、生分解性樹脂からなる。生分解性樹脂とは、通常の樹脂製品と同じように使え、使用後は自然界の微生物によって最終的に主として水と二酸化炭素に分解される樹脂である。なお、側壁は、全部が生分解性樹脂からなることが望ましい。この場合には、土壌埋込用ケースを土壌中に埋め込んだ後に完全に分解されるため、土壌中に残存物が残ることはない。しかし、側壁の一部のみを生分解性樹脂を用いずに他の材質を用いることとしてもよい。例えば、側壁の一部を澱粉質のもので形成してもよいし、肥料そのもので形成することとしてもよい。また、生分解性樹脂の分解を促進するために、図4に示すように側壁に切り込みを付し、表面積が大きくなる形状としてもよい。
【0018】
なお、側壁の材質として同じ生分解性樹脂を用いる場合であっても、その厚さを変更することで、土壌中に土壌埋込用ケースが残存している期間が変わる。例えば、土壌浸透材として用いる肥効成分や薬効成分等が、長期間にわたりゆっくりと溶出するものであれば、側壁の材質を厚くし(例えば2mm)、短期間で迅速に溶出するものであれば、側壁の材質を薄くする(例えば0.5mm)ことで、土壌浸透材にあわせた土壌埋込用ケースを作製することができる。
【0019】
(実施形態1の具体例)以下に、実施形態1の土壌埋込用ケースの具体例を説明する。本実施形態における土壌埋込用ケースでは、生分解性樹脂として、昭和高分子株式会社製のビオノーレ3020(登録商標)を用い、厚さを1mmとした。このような土壌埋込用ケースに肥効成分など入れ、草花の根元などに埋め込むことで、給肥を行うことが可能である。
【0020】
図5に示すように土壌埋込用ケースを埋め込んだ土壌に、降雨や水遣りにより水が供給されると、土壌埋込用ケースの土壌浸透材が水分中に溶出し、側壁に空けられた貫通孔から土壌中へ肥効成分が溶出した水分が流れ出ることにより、土壌浸透材が供給される。また、生分解性樹脂からなる側壁は、土壌中にて微生物などにより、次第に二酸化炭素や水などに分解される。このため、分解した生分解性樹脂により環境に悪影響を及ぼすこともない。さらに、土壌用埋込用ケースを用いると、薬効成分等をピンポイントで供給することができる。従って、水田周りの畦の雑草を駆除しようとする場合などでも、除草剤を噴霧することが無いため、空気を汚染することなく、水田中の稲に悪影響を及ぼすこともない。
【0021】
また、土壌埋込用ケースを埋め込んだ後に、どの場所に埋め込んだのかを忘れてしまった場合であっても、土壌埋込用ケースは土壌中で分解されるため、いちいち埋め込んだ場所を覚えている必要もない。
【0022】
(実施形態1の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケースでは、土壌中にて分解されるため、土壌中にそのまま残存してしまうことが無く、土壌用多目的ケースを埋め込む度に異なる場所に埋め込むことが可能である。また、いちいち前回埋め込んだ土壌埋込用ケースを探し出したり、探し出した土壌埋込用ケースに肥料を補給したりする手間が必要なくなり、作業効率を向上することができる。従って、効率的に土壌浸透材を供給することができるという優れた効果を奏する。
【0023】
≪実施形態2≫
【0024】
(実施形態2の概念)本実施形態の土壌埋込用ケースは、実施形態1の土壌埋込用ケースを基本とし、さらに、土壌埋込用ケースを埋め込む側の端部を尖頭形状とし、土壌中への埋め込みの容易さを向上した土壌埋込用ケースに関する技術である。
【0025】
(実施形態2の構成)図6に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケースの一例を表す図である。この図6に例示するように、本実施形態の土壌埋込用ケース(0600)は、実施形態1に記載の土壌埋込用ケースを基本とし、貫通孔(0603)が空けられた側壁(0602)にて土壌浸透材保持領域(0601)が形成されている。これらの構成については、実施形態1にて説明したので、説明を省略する。そして、本実施形態の土壌埋込用ケースは、さらに、土壌埋め込み端(0604)が尖頭形状であることを特徴とする。
【0026】
(実施形態2の構成の説明)「土壌埋め込み端」(0604)とは、土壌埋込用ケースを埋め込む場合に、土壌に挿入する側の端部をいう。図6に示す土壌埋め込み端を土壌の表面に仮置きし、反対側の端部を押圧することにより、土壌埋込用ケースを土壌中に埋め込むことができる。この土壌埋め込み端を尖頭形状とすることで、土壌中に土壌埋込用ケースを埋め込む際における抵抗力を少なくし、容易に挿入することが可能となる。
【0027】
(実施形態2の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケースでは、土壌埋め込み端が尖頭形状をしていることで、容易に土壌中に土壌埋込用ケースを挿入することが可能となり、作業効率が一層向上する。従って、実施形態1に記載の効果に加えて、一層土壌浸透材を効率的に供給することができる。
【0028】
≪実施形態3≫
【0029】
(実施形態3の概念)本実施形態の土壌埋込用ケースは、実施形態1または2の土壌埋込用ケースを基本とし、さらに、土壌埋め込み端の先端には貫通孔が空けられておらず、土壌埋め込み端の先端部の強度を向上した土壌埋込用ケースに関する技術である。
【0030】
(実施形態3の構成)図7に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケースの一例を表す図である。この図7に例示するように、本実施形態の土壌埋込用ケース(0700)は、実施形態2に記載の土壌埋込用ケースを基本とし、貫通孔(0703)が空けられた側壁(0702)にて土壌浸透材保持領域(0701)が形成されており、土壌埋め込み端(0704)が尖頭形状である。これらの構成については、実施形態1または2にて説明したので、説明を省略する。そして、本実施形態の土壌埋込用ケースは、さらに、前記側壁にてなる筒状部(0705)と、前記土壌埋め込み端の一部をなす先端部(0706)と、からなり、先端部には貫通孔が空けられていないことを特徴とする。
【0031】
(実施形態3の構成の説明)「筒状部」(0705)は、側壁により筒状の土壌浸透材保持領域が形成され、形成された筒状の中空部分には土壌浸透材を入れることができる。なお、筒状部は、図7に例示すような円筒形状に限られず、角筒形状や、他の形状であってもよい。
【0032】
「先端部」(0706)とは、前記土壌埋め込み端のうち、特に尖頭形状の頂部を含む端部をいう。この先端部には貫通孔が空けられていない。土壌埋込用ケースを埋め込む際には、先端部に最も負荷がかかるため、先端部は筒状部よりも強固であることが望ましい。そのため、先端部に貫通孔を空けないことにより、筒状部よりも強度を高くすることができる。また、先端部を中実にすることで、より一層強度を高くすることができる。このようにして、先端部の強度を高くすることで、硬い地盤の土壌においても、土壌埋込用ケースの埋め込み作業を容易に行うことができる。
【0033】
(実施形態3の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケースでは、貫通孔の空けられていない先端部を有することで、土壌埋込用ケースの先端部の強度が向上し、より一層土壌埋込用ケースの埋め込み作業の作業効率を向上することができる。従って、実施形態1または2に記載の効果に加えて、より一層効率的に土壌浸透材を供給することができる。
【0034】
≪実施形態4≫
【0035】
(実施形態4の概念)本実施形態の土壌埋込用ケースは、実施形態1から3の土壌埋込用ケースを基本とし、さらに、土壌埋め込み端が複数段の絞り形状からなり、土壌埋込用ケースの土壌への埋め込みを容易にする技術に関する。
【0036】
(実施形態4の構成)図8に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケースの一例を表す図である。この図8に例示するように、本実施形態の土壌埋込用ケース(0800)は、実施形態2に記載の土壌埋込用ケースを基本とし、貫通孔(0803)が空けられた側壁(0802)にて土壌浸透材保持領域(0801)を形成されており、土壌埋め込み端(0804)が尖頭形状である。また、実施形態3の機能を追加する場合には、対応する構成を追加する。これらの構成については、実施形態1から3にて説明したので、説明を省略する。そして、本実施形態の土壌埋込用ケースは、さらに、前記土壌埋め込み端(0804)は埋め込み頂点(0805)に向けて複数段の絞り形状であることを特徴とする。
【0037】
(実施形態4の構成の説明)「埋め込み頂点」(0805)とは、土壌埋め込み端の尖頭形状の頂点をいう。本実施形態にかかる土壌埋込用ケースは、図8に示すように、土壌埋め込み端が埋め込み頂点に向けて複数段の絞り形状を有している。
【0038】
「絞り形状」とは、土壌埋め込み端の埋め込み頂点に向けて次第に土壌埋め込み端が収束する形状をいう。「土壌埋め込み端が収束」とは、図8に示すA−A断面における断面図を図9とした場合に、図9に示す筒状体(0901)の半径Rが次第に小さくなり、最終的にはR=0となることをいう。
【0039】
「複数段の絞り形状」とは、図10に示すように、土壌埋め込み端の絞り形状が、複数の段をなすような形状となっていることをいう。図10では、土壌埋め込み端は、埋め込み頂点に向けて第一段(1001)、第二段(1002)、第三段(1003)の絞り形状を有している。
【0040】
次に、図8に示すような絞り形状が二段の絞り形状である場合について詳説する。この場合における埋め込み頂点(0805)から遠い段の絞り形状を第一段絞り(0806)とし、埋め込み頂点から近い段の絞り形状を第二段絞り(0807)とする。これらの各絞り形状は、土壌埋込用ケースの正面投影図において、特定することができる。図11に図8の土壌埋込用ケースの正面投影図を示す。図11において、第一段絞り(1101)の外形を埋め込み頂点側に延長し、その交点をPとすると、第一段絞りのPにおける頂角をαとする。また、第二段絞り(1102)の外形が埋め込み頂点(1103)を含む頂角における角度をβとする。さらに、これら第二段絞りの頂角βと第一段絞りの頂角αとの差をγとする。
【0041】
このとき、第一段絞りがなす頂角αは15度から35度であることが望ましい。また、第二段絞りがなす頂角βは20度から45度であることが望ましい。さらに、第二段絞りの頂角βと第一段絞りの頂角αとの差γは5度以上であることが望ましい。具体的な数値としては、α=15.78度、β=40度、γ=24.22度とすることが好ましいが、上述した条件を満たすものであればこれらの角度に限られない。このように、埋め込み頂点から近い絞り形状の角度を大きくすることで、押圧力がかかる埋め込み頂点付近の強度を大きくし、埋め込み頂点から遠い絞り形状の角度を小さくすることで、土壌への挿入を容易とすることができる。
【0042】
(実施形態4の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケースでは、土壌埋め込み端に複数段の絞り形状を付すことで、土壌埋込用ケースの土壌への挿入を容易にし、埋め込み作業の効率をより一層向上することができる。従って、より一層効率的に土壌浸透材を供給することができる。
【0043】
≪実施形態5≫
【0044】
(実施形態5の概念)本実施形態の土壌埋込用ケースは、実施形態4の土壌埋込用ケースを基本とし、さらに側壁に根切りフィンを付すことで、土壌埋込用ケースの埋め込みと同時に芝などの根を切ることができる土壌埋込用ケースの技術に関する。
【0045】
(実施形態5の構成)図12に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケースの一例を表す図である。この図12に例示するように、本実施形態の土壌埋込用ケース(1200)は、実施形態2に記載の土壌埋込用ケースを基本とし、貫通孔(1203)が空けられた側壁(1202)にて土壌浸透材保持領域(1201)を形成しており、土壌埋め込み端(1204)が尖頭形状である。また、実施形態3又は4の機能を追加する場合には、対応する構成を追加する。これらの構成については、実施形態1から4にて説明したので、説明を省略する。そして、本実施形態の土壌埋込用ケースは、さらに、前記側壁(1202)に根切りフィン(1205)を有することを特徴とする。
【0046】
(実施形態5の構成の説明)「根切りフィン」(1205)とは、生分解性樹脂からなる板状体であって、側壁に設けられる。根切りフィンは、図12のA−A断面である図13に示すように、側壁に4枚のフィン(1301)を設けてもいいし、2枚あるいは3枚、5枚以上としてもよい。根切りフィンは、側壁の断面に対して角度を付したり、1枚のみとしたりしてもよいが、土壌埋込用ケースの埋込作業において、土壌埋込用ケースを土壌に対して垂直に埋め込みやすくするため、側壁の断面に対して垂直に複数枚の根切りフィンを設けることが望ましい。また、根切りフィンの先端は図13に示すように尖頭形状とし、根切りを行い易くすることが望ましい。
【0047】
根切りフィンにより、土壌埋込用ケースを土壌に埋め込む際に埋め込んだ場所に生育している植物の根切りを行うことができる。例えば、土壌埋込用ケースを埋め込む土壌に芝生が生育している場合であれば、根切りフィンを設けた土壌埋込用ケースを埋め込むことで、根切り作業と、肥効成分や薬効成分の供給作業あるいは穴あけ作業を同時に行うことが可能である。また、根切りフィンを設けることで、側壁の補強にもなる。
【0048】
根切りフィンは、図14(b)、(c)に示すように、側壁に長方形の板状体を付してもよいが、土壌埋込用ケースの埋め込み時の抵抗を減少するため、埋め込み頂点側の端部は図14(a)に示すように、土壌埋め込み端の尖頭形状と連続的な形状とすることが望ましい。
【0049】
(実施形態5の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケースでは、実施形態1から4に記載の効果に加えて、土壌埋込用ケースの埋込作業時に、根切り作業を同時に行うことができるという優れた効果を奏する。
【0050】
≪実施形態6≫
【0051】
(実施形態6の概念)本実施形態6は、実施形態1から5に記載の土壌埋込用ケースを土壌に打ち込むための土壌埋込用ケース打ち込み機の技術に関する。本実施形態にかかる土壌埋込用ケース打ち込み機の概念図を図15に示す。図15に示すように、本実施形態にかかる土壌埋込用ケース打ち込み機では、上下可動な加圧ロッドにより複数の土壌埋込用ケースを連続的に土壌に対して埋め込むことができる。
【0052】
(実施形態6の構成)図16に示すのは、本実施形態の土壌埋込用ケース打ち込み機の一例を表す正面図である。また、図17に示すのは、図16の土壌埋込用ケース打ち込み機のA−A断面図である。本実施形態の土壌埋込用ケース打ち込み機は、図17に示すように土壌埋込用ケース保持落下部(1701)と、土壌埋込用ケース待機部(1702)と、加圧ロッド(1703)とからなる。
【0053】
(実施形態6の構成の説明)「土壌埋込用ケース打ち込み機」(1600)は、土壌埋込用ケースを土壌に打ち込むことができる機械である。土壌埋込用ケース打ち込み機に用いる土壌埋込用ケースは、実施形態1から5に記載のいずれの土壌埋込ケースを利用してもよい。土壌埋込用ケース打ち込み機は、図15の概念図に示すように、人力により打ち込むこととしてもよいし、同じ構成を有して電動で打ち込むこととしてもよい。土壌埋込用ケース打ち込み機は、「土壌埋込用ケース保持落下部」(1701)、「土壌埋込用ケース待機部」(1702)、「加圧ロッド(1703)」からなる。図16に示すように、これらは、それぞれ横に並べて同時に複数の土壌埋込用ケースを打ち込むこととしてもよい。
【0054】
「土壌埋込用ケース保持落下部」(1701)は、土壌埋込用ケース待機部(1702)に土壌埋込用ケースを供給するように構成されている。図18に示すように、土壌埋込用ケース保持落下部(1801)は、「土壌埋込用ケース保持手段」(1804)と、土壌埋込用ケース落下口(1805)とを備える。
【0055】
「土壌埋込用ケース保持手段」(1804)は、実施形態1から5のいずれか一に記載の土壌埋込用ケースを縦に複数連ねて保持する手段である。本実施形態にて利用する土壌埋込用ケースは、縦に複数連ねるために、蓋付きのものを利用することが望ましい。また、土壌埋込用ケース保持手段に土壌埋込用ケースが保持されている状態では、土壌埋込用ケースの土壌浸透材保持領域には、土壌浸透材が充填されていることが望ましい。ただし、土壌中に空気を供給する場合には、土壌浸透材保持領域が空の状態(空気が充填されている状態)で、土壌埋込用ケースを土壌埋込用ケース保持手段にて保持する。土壌埋込用ケース保持手段は、土壌埋込用ケースを縦に連ねて保持するために、図18に示すように筒状体であることが望ましいが、土壌埋込用ケースを保持することができれば他の形状であってもよい。また、図18に示すように、土壌埋込用ケース保持手段に土壌埋込用ケースを供給するための供給手段(1806)を備えてもよい。
【0056】
「土壌埋込用ケース落下口」(1805)は、土壌埋込用ケース保持落下部(1801)の長手方向の下端に空けられ、土壌埋込用ケース保持落下部から土壌埋込用ケース待機部(1802)に土壌埋込用ケースを供給する。土壌埋込用ケース落下口は、土壌埋込用ケース待機部により開閉可能である。土壌埋込用ケース落下口の開閉動作については後述する。
【0057】
「土壌埋込用ケース待機部」(1702)は、土壌埋込用ケース落下口から落下した土壌埋込用ケースを待機させるように構成されている。図18に示すように、土壌埋込用ケース待機部(1802)には、土壌埋込用ケース落下口からの土壌埋込用ケースの供給を受け、かつ、加圧ロッド(1803)からの加圧を受けるように設けられた上部開口部(1807)と、加圧ロッドからの加圧により土壌埋込用ケースを土壌中に打ち込むように設けられた下部開口部(1808)とを有する。土壌埋込用ケース待機部は、図17に示すような加圧可能状態と、図18に示すような傾倒状態をとりうる。加圧可能状態とは、土壌埋込用ケース待機部が土壌面に対して略垂直である状態をいう。この状態のときは、加圧ロッドからの加圧を受けることが可能である。傾倒状態とは、土壌埋込用ケース待機部の上部開口部と前記土壌埋込用ケース落下口とが略同一軸上にあり、土壌埋込用ケース保持落下部から土壌埋込用ケース待機部へ土壌埋込用ケースが供給可能となるように、土壌埋込用ケース待機部が傾いている状態をいう。
【0058】
図18に示すように、土壌埋込用ケース待機部の長手方向の長さは、土壌埋込用ケースの長手方向の長さと同程度の長さとし、土壌埋込用ケース待機部を傾倒状態にすると、土壌埋込用ケースを一つ保持することができるようにすることが望ましい。また、土壌埋込用ケース待機部に土壌埋込用ケース落下止手段(1810)を設けて、土壌埋込用ケース待機部の加圧可能状態において、土壌埋込用ケース落下口からの土壌埋込用ケースの落下を防止するようにしてもよい。
【0059】
図19は、図16の左側面図である。図19に示すように、土壌埋込用ケース待機部と従動可能な傾倒レバー(1605、1901)を設けることで、容易に土壌埋込用ケース待機部を傾倒状態とすることができる。傾倒レバーは土壌埋込用待機部と溶接などにより固着されており、傾倒レバーを傾倒すると、回転軸(1902)を中心として土壌埋込用ケース待機部が傾倒する。図19にて傾倒レバーをX方向からY方向へ傾倒すると、図17のような加圧可能状態から回転軸(1707)を中心として土壌埋込用ケースが傾倒し、図18に示す傾倒状態となる。また、傾倒レバーの移動範囲を所定の範囲に制限し、土壌埋込用ケース落下口と土壌埋込用ケース待機部の上部開口部とを容易に位置合わせ可能とすることが望ましい。
【0060】
「加圧ロッド」(1703)は、前記土壌埋込用ケース待機部に待機した土壌埋込用ケースを土壌面に向けて加圧することができる。図17に示すように、土壌埋込用ケース待機部が加圧可能状態において、加圧ロッドを下方に動かすと、土壌埋込用ケース待機部の上部開口部を通して土壌埋込用ケースの上部が加圧される。すると、加圧ロッドからの加圧によって土壌埋込用ケースは土壌中に打ち込まれる。加圧ロッドは、安全のために、図16に示すように筒状体(1606)により外径が覆われていることが望ましい。加圧ロッドの加圧方法は、足で踏むことによって加圧するようなペダル式のものとしてもよいし、電動により加圧する電動式のものとしてもよいし、土壌埋込用ケースに加圧することができるものであれば、その態様は限られない。以下にペダル式のものについて詳説する。
【0061】
図17に示すように、加圧ロッドには、「ペダル」(1704)と、「支持部」(1706)を設けることで、加圧ロッドに容易に力を伝えることができる。
【0062】
「ペダル」(1704)は、連結部材(1705)で加圧ロッドと固着されているため、ペダルと加圧ロッドは従動する。従って、ペダルを足で踏み込むことで加圧ロッドに力を与えることができる。
【0063】
「支持部」(1706)は、加圧ロッド方向に設けられた軸上をスライド自在に前記ペダルを支持するように構成されている。図17では、支持部はペダルに固着されているため、ペダルの動きと従動する。また、加圧ロッドを覆っている筒状体(1708)にスライド自在に嵌合している。図17では筒状体(1708)が加圧ロッド方向に設けられた軸に該当する。従って、ペダルを足で踏み込むことで、支持部は筒状体をスライドする。このような支持部を有することで、ペダルに力が加えられた場合において、ペダルと連結部材との接合部にモーメントが集中してしまうことが無く、該接合部の破損を防止することができる。なお、図16に示すように隣り合う複数の支持部(1603)を水平連結棒(1604)にて連結することで、ペダルに加えられた力を効率よく分散してそれぞれの加圧ロッドに与えることができる。
【0064】
図20(a)、(b)に加圧ロッド(2001)と、連結部材(2002a)とが連結している様子を示す。図20(a)は図17におけるB−B断面である。図20(a)に示すように、筒状体(2003)の一部に開口部(2004)を設け、開口部を通して加圧ロッドと連結部材とが連結している。また、図20(a)をC−Cから見た図を図20(b)に示す。なお、本来ならば点線で示しているペダルにより隠れる部分を表示している。図20(b)に示すように、筒状体(2003)には、開口部(2004)が備えられており、連結部材がこの開口部の範囲内で上下動することによって加圧ロッドを上下動させることができる。なお、図20(b)に表示されている円状体は連結部材の頂部(2002b)である。
【0065】
図21に示すように、支持部(2101)は、筒状体(2103)と別の部材に設けてもよい。図21では、筒状体とは別に筒状体と平行な棒状体(2102)を設けて、棒状体に支持部がスライド自在に嵌合している。棒状体は水平な棒状体(2105)にて筒状体に固定されている。図21におけるD−D断面を図22に示す。図22に示すように、筒状体と平行な棒状体(2202)を軸として支持部(2201)がスライド自在に嵌合している。図22に示すように、棒状体は筒状体と同一平面上に設けてもよいし、筒状体から異なる平面上に配置してもよい。棒状体と筒状体を同一平面上に設ける場合には、図21に示す水平連結棒(2104)と筒状体とが交差する箇所は、水平連結棒の形状を円弧状にするなど、筒状体の形状に合わせて変形する必要がある。なお、図21におけるE−E断面は、図17と同一の形状となる。
【0066】
加圧ロッドは、土壌用ケースを土壌面に向けて加圧した後に、加圧前状態に復帰するために、復帰する方向に付勢する弾性手段を備えることが望ましい。加圧ロッドは、土壌埋込用ケースを土壌面に向けて加圧した場合であっても、加圧ロッド自体は土壌中に深く埋め込まれるわけではないので、加圧ロッドを加圧前状態に戻すためにはそれほど大きな力が必要となるわけではない。しかし、図16に例示するように、加圧ロッドに弾性手段(1607)を付すことで、作業者は、わざわざ加圧ロッドを土壌埋込用ケース待機部から引き抜かなくても加圧ロッドを作業前状態に復帰させることができる。なお、弾性手段は、バネやゴムなどを用いてもよいし、加圧ロッドを加圧前状態に復帰する方向に付勢することができるものであればこれらに限られない。
【0067】
なお、図16に示すように、土壌埋込用ケース打ち込み機の移動を容易にするために車輪(1608)を備えてもよいし、土壌埋込用ケース打ち込み機の操作を容易に行うためにハンドル(1609)を備えてもよい。また、図17に示すように、転倒を防止するための転倒防止装置(1709)を備えてもよい。
【0068】
(実施形態6の具体例)図16、図17を用いて本実施形態の土壌埋込用ケース打ち込み機により土壌埋込用ケースを打ち込む方法を具体的に説明する。図16に示す土壌埋込用ケース打ち込み機では、土壌埋込用ケースを打ち込むための加圧ロッド(1602)を4本備え、加圧ロッドはそれぞれ筒状体(1606)により外径が覆われており、土壌面に対して垂直に移動するように方向付けられている。加圧ロッドの上端には、加圧ロッドの加圧後に加圧前状態に復帰するように上方への力を付勢するためのコイルバネ(1607)の下端が固着されている。コイルバネの上端は、土壌埋込用ケース打ち込み機を操作するためのハンドル(1609)に固着されている。
【0069】
図17に示すように、連結部材(1705)にて加圧ロッドに連結されているペダル(1704)を足で踏むことで、加圧ロッドに下向きの力を与えて下降させる。このとき、ペダルは支持部(1706)によって支持され、支持部はペダルと従動して下降する。加圧ロッドが下降することで、土壌埋込用ケース待機部の土壌埋込用ケースを加圧して土壌へ打ち込むことができる。
【0070】
加圧ロッドの長さや下降可能範囲を調整することで、加圧ロッドが土壌埋込用ケースを打ち込む深さを調節することが可能である。なお、土壌埋込用ケースを土壌面よりも深く打ち込むことで、幼児やペットが誤って土壌埋込用ケースの中の土壌浸透材を食べてしまうことを防止することができる。また、土壌面が芝などの場合には、土壌埋込用ケースによって芝刈り機を傷めてしまうことを防止することができる。さらに、土壌埋込用ケースの頂部が隠れている方が景観上にも好ましい。
【0071】
ペダル(1605)から足を離すと、前記コイルバネにより加圧ロッドに上方へ向かう力が付勢され、加圧ロッドが加圧前状態へ復帰する。土壌埋込用ケースを土壌中へ打ち込むことができれば、加圧ロッド自体は土壌深くにまで入り込まないため、コイルバネの付勢と合わせて容易に加圧前状態へ復帰させることができる。
【0072】
それぞれの加圧ロッドの下方には、対応する土壌埋込用ケース待機部(1702)を有し、それぞれの土壌埋込用ケース待機部に土壌埋込用ケースを供給するために、対応する土壌埋込用ケース落下保持部(1701)を有する。図19に示す傾倒レバーを傾倒させると、土壌埋込用ケース待機部が傾倒状態となり、各土壌埋込用ケース落下保持部から土壌埋込用ケース待機部に土壌埋込用ケースが一つずつ供給される。そして、傾倒レバーを戻すと、各土壌埋込用ケース待機部は、加圧可能状態になる。この状態にて、前記のとおり加圧ロッドを加圧すると、土壌埋込用ケースが土壌に打ち込まれる。この動作を繰り返すことで、土壌埋込用ケースを連続的に打ち込むことができる。
【0073】
(実施形態6の効果の簡単な説明)以上のように、本実施形態の土壌埋込用ケース打ち込み機では、実施形態1から5に記載の土壌埋込用ケースを広範囲に亘って連続的に打ち込むことが可能である。従って、広大な庭園やゴルフ場などにおいても効率的に土壌浸透材を供給することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】土壌埋込用ケースを表す図
【図2】土壌埋込用ケースの他の形態を表す図
【図3】土壌埋込用ケースの蓋つきの形態及びカプセル状の形態を表す図
【図4】表面に凹凸を付した土壌埋込用ケースを表す図
【図5】土壌埋込用ケースの分解する様子を表す図
【図6】土壌埋込用ケースの土壌埋め込み端を説明する図
【図7】土壌埋込用ケースの先端部を説明する図
【図8】複数の絞り形状を有する土壌埋込用ケースを説明する図
【図9】土壌埋込用ケースの断面を表す図
【図10】3段の絞り形状を有する土壌埋込用ケースを説明する図
【図11】2段の絞り形状を有する土壌埋込用ケースの各絞り形状の外形が形成する角度を説明する図
【図12】フィンつきの土壌埋込用ケースを説明する図
【図13】フィンつきの土壌埋込用ケースの断面を説明する図
【図14】フィンつきの土壌埋込用ケースのフィンの形状を説明する図
【図15】土壌埋込用ケース打ち込み機の概念図
【図16】土壌埋込用ケース打ち込み機の正面図
【図17】土壌埋込用ケース打ち込み機のA−A断面図
【図18】土壌埋込用ケース打ち込み機の主要部の拡大図
【図19】土壌埋込用ケース打ち込み機の左側面図
【図20】土壌埋込用ケース打ち込み機の開口部を説明する図
【図21】土壌埋込用ケース打ち込み機の別の形態を説明する図
【図22】土壌埋込用ケース打ち込み機の別の形態のD−D断面図
【符号の説明】
【0075】
0100 土壌埋込用ケース
0101 土壌浸透材保持領域
0102 側壁
0103 貫通孔
0704 土壌埋め込み端
1205 根切りフィン
1607 弾性手段
1701 土壌埋込用ケース保持落下部
1702 土壌埋込用ケース待機部
1703 加圧ロッド
1704 ペダル
1705 連結部材
1706 支持部
1810 土壌埋込用ケース落下止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌浸透材保持領域を形成する側壁を有し、
前記側壁に土壌浸透材を土壌に浸透させるための貫通孔を空け、材質の全部又は一部が生分解性樹脂からなる土壌埋込用ケース。
【請求項2】
土壌埋め込み端は、尖頭形状である請求項1に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項3】
前記側壁にてなる筒状部と、前記土壌埋め込み端の一部をなす先端部と、からなり、先端部には貫通孔は空けられていない請求項2に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項4】
前記土壌埋め込み端は、埋め込み頂点に向けて複数段の絞り形状である請求項2又は3に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項5】
前記絞り形状は二段の絞り形状であり、埋め込み頂点から遠い第一段絞りがなす頂角は15から35度である請求項4に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項6】
前記絞り形状は二段の絞り形状であり、埋め込み頂点から近い第二段絞りがなす頂角は20から45度である請求項4又は5に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項7】
前記第一段絞りがなす頂角は、前記第二段絞りがなす頂角よりも5度以上小さい角度である請求項6に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項8】
前記側壁に根切りフィンを設けた請求項1から7のいずれか一に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項9】
前記フィンの埋め込み頂点側の端部は、土壌埋め込み端の尖頭形状と連続的な形状である請求項8に記載の土壌埋込用ケース。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の土壌埋込用ケースを縦に複数連ねて保持する土壌埋込用ケース保持手段と、
前記土壌埋込用ケース保持手段の下端に空けられ、後記する土壌埋込用ケース待機部により開閉可能な土壌埋込用ケース落下口と、
を備える土壌埋込用ケース保持落下部と、
前記土壌埋込用ケース落下口から落下した土壌埋込用ケースを待機させる土壌埋込用ケース待機部と、
前記土壌埋込用ケース待機部に待機した土壌埋込用ケースを土壌面に向けて加圧する加圧ロッドと、
を有する土壌埋込用ケース打ち込み機。
【請求項11】
前記加圧ロッドは、
足で踏み込むことで加圧ロッドに力を与えることができるペダルと、
加圧ロッド方向に設けられた軸上をスライド自在に前記ペダルを支持する支持部と、を有する請求項10に記載の土壌埋込用ケース打ち込み機。
【請求項12】
前記加圧ロッドは、土壌用ケースを土壌面に向けて加圧した後に、加圧前状態に復帰する方向に付勢する弾性手段をさらに有する請求項10または11に記載の土壌埋込用ケース打ち込み機。
【請求項13】
前記土壌埋込用ケース待機部は、前記加圧ロッドが加圧可能状態の場合には、前記土壌埋込用ケース落下口からの土壌埋込用ケースの落下を防止する土壌埋込用ケース落下止手段をさらに有する請求項10から12のいずれか一に記載の土壌埋込用ケース打ち込み機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2007−75045(P2007−75045A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269281(P2005−269281)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(505349987)東金属産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】