地盤安定化工法
【課題】六価クロム等の有害元素の発生が防止され、硫化水素等の有害物質が発生するおそれがなく、低コストで供給できる地盤安定化工法を提供する。
【解決手段】高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材地盤に添加して混合する地盤安定化工法では、地盤安定材は、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させるべく、地盤の土質に合わせて半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加する。半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いている。この地盤安定材を添加した地盤の圧縮強度は、高炉セメントB種のみを添加した強度に対して、1.5〜1.6倍の強度を得ることができる。
【解決手段】高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材地盤に添加して混合する地盤安定化工法では、地盤安定材は、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させるべく、地盤の土質に合わせて半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加する。半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いている。この地盤安定材を添加した地盤の圧縮強度は、高炉セメントB種のみを添加した強度に対して、1.5〜1.6倍の強度を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の構造物を建築する際に地盤を安定化させる地盤安定工法と、それに用いられる地盤安定材に係り、特に、半水石膏を含む地盤安定材を用いた地盤安定化工法と、その地盤安定化工法で用いられる地盤安定材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の地盤安定材として、ポルトランドセメントに無水石膏を配合した有機物含有地盤への対応製品が市販され、最近ではリサイクルされた二水石膏を配合した地盤安定材も市販されている。
【0003】
また、従来の土壌用固化材で、固化材全体を100重量部としたとき、7〜65重量部のアルミナセメントとポルトランドセメントの混合セメントと、2〜30重量部の硫酸アルミニウム又は硫酸鉄と、残部が石膏よりなり、石膏含有量が20重量部以上であり、pH値が6〜9の範囲にある改良土壌を与える含水土壌用固化材がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、(A)セメント、(B)高炉スラグ微粉末及び(C)石膏を該成分の組成重量比[(A):(B):(C)]=(30〜80):(10〜70):(3〜15)で含有する固化材を、対象とする地盤に粉体又はスラリーで混合・撹拌し、該地盤の一軸圧縮強さを80kgf/cm2以上にする地盤改良方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3551688号公報
【特許文献2】特開2001-40652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に記載の地盤安定材、特許文献2に記載の地盤改良方法は、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素が溶出するおそれがあった。また、従来より、石膏ボード等の廃石膏材を廃棄処理している安定型処分場で、地中に埋設されている廃石膏材から硫化水素等の有害物質が発生する事故が生じて問題となった。一方、住宅等の新築時に発生する石膏ボード等の廃材は年々増加し、管理型処分場の減少とともに、廃棄コストが高騰し、不法投棄が頻発し、石膏廃材のリサイクル技術の開発が要求されている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出が防止されるとともに、地中に埋設されている物質と反応して硫化水素等の有害物質が発生するおそれがない地盤安定化工法と、この地盤安定化工法で使用され、低コストで供給できる地盤安定材とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、石膏を含む地盤安定材につき鋭意研究を重ねた結果、高炉セメントB種に対して半水石膏を所定量配合する地盤安定材を地盤に添加して混合することで、膨張が少なく、強度アップを図ることができること、及び、フッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出を防止できる知見を得ることにより、以下の特徴を有する本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、前記目的を達成すべく、本発明に係る地盤安定化工法は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴としている。
【0010】
前記のごとく構成された本発明の地盤安定化工法では、高炉セメントB種の初期強度不足を半水石膏で補うことができ、最終的に高炉セメントB種以上の強度が得られる。また、この地盤安定材を地盤に添加することで発生するエトリンガイド(針状結晶)により、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素が溶出しにくくなり、硫化水素をはじめとする有害物質の発生を防止することができる。本発明の地盤安定化工法は、土に混合して締め固めることで圧縮強度が増強されるため、地盤補強材、あるいは地盤改良材ということもできる。
【0011】
本発明に係る地盤安定化工法の他の態様としては、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加し、地上の建築工事施工前に地盤の膨張を早期に完了させることを特徴としている。
【0012】
前記のごとく構成された本発明の地盤安定化工法では、前記した地盤安定化工法の作用効果に加えて、さらに、地盤の膨張が少なく、地盤の膨張を早期に完了させることができるので、その後の地上の建築工事を早期に取り掛かることができるという、格別の作用効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る地盤安定化工法の好ましい具体的な態様としては、半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いることを特徴としている。このように構成された地盤安定化工法では、石膏ボード等の廃石膏材を破砕し、所定の大きさの石膏粒としたあと、加熱処理して半水石膏とし、母材となる高炉セメントB種に所定量配合することで地盤安定材を形成し、この地盤安定材を用いて地盤を安定化することができる。このため、廃石膏材を有効利用して処分場への廃棄量を削減することができる。
【0014】
本発明に係る地盤安定化工法の好ましい具体的な他の態様としては、前記地盤が関東ロームを主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。また、前記地盤が沖積粘土を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して150〜250kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。さらに、前記地盤が山砂を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して50〜150kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。
【0015】
このように地盤の土質に合わせて、地盤安定材の添加量を選択することで、土質に最適な添加量で地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることができ、地盤安定化の効率化を図ることができる。すなわち、山砂を主成分とする地盤の場合、地盤安定材の添加量は比較的少なくても所望の作用効果を期待することができ、沖積粘土を主成分とするときは添加量はやや多めに、関東ロームを主成分とするときは添加量をより多くすることで、効率良く地盤安定を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る地盤安定材は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材であって、前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とし、前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で添加し、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることを特徴としている。
【0017】
このように構成された地盤安定化材は、高炉セメントB種を主成分とする地盤安定材に対して、半水石膏の配合量を15質量%を超えて50質量%以下とし、前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で、地盤に添加することで地盤中にエトリンガイドが発生し、地盤の膨張が少なく、圧縮強度を向上させることができ、地盤を安定化することができる。また、有害な重金属の溶出を防止することができ、有害物質の発生を抑えることができる。
【0018】
本発明に係る地盤安定材の好ましい具体的な態様としては、前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏であることを特徴としている。この構成によれば、石膏ボード等の廃石膏材を破砕し、所定の大きさの石膏粒としたあと、加熱処理して半水石膏とし、母材となる高炉セメントB種に所定量配合することで、地盤を安定化させる地盤安定材を低コストで形成することができる。このため、廃石膏材を有効利用して処分場への廃棄量を削減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の地盤安定化工法、及びこの工法に用いられる地盤安定材は、地盤に地盤安定材を乾式に添加して混合し、地盤の圧縮強度を増強させ地盤を安定化させる際に、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出を防止することができる。また、硫化水素ガス等の有害物質の発生を抑えることができる。さらに、低コストで地盤を安定化させることができる。また、地盤の膨張を早期に完了させ、その後の地上の建築工事を早期に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る地盤安定材について詳細に説明する。本発明の地盤安定材は、高炉セメントB種を母材とし、この母材に半水石膏を所定量配合して構成される。地盤安定材全体に対する半水石膏の配合量は、質量で15%を超えて50%以下である。すなわち、地盤安定材は、高炉セメントB種が50質量%未満〜85質量%以下と、15を超えて50質量%以下の半水石膏とを混合し、全体として100%に構成されている。このような配合比の地盤安定材を粉体のまま地盤に添加して混合し、締め固めることで地盤の圧縮強度を増加させることができる。また、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めることができる。地盤安定材に含まれる半水石膏の配合量は前記の通りであり、質量で15%を超えて50%以下のときに最も高い固結体強度を示し、50%を超えると地盤に添加したとき、地盤の膨張率が大きく不具合が発生する。また、15%以下では、エトリンガイドの発生量が少なく、有害物質等の溶出量の低減量が少なくなる。
【0021】
母材として使用される高炉セメントB種は、銑鉄の製造時に副産物として発生する高炉スラグを、クリンカー・石膏と共に混合したセメントである。そして、高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントと比較して、遜色のない性能を有するだけでなく、廉価で経済性に優れ、省資源・省エネルギー・二酸化炭素発生量の削減が可能なセメントである。しかしながら、このような特徴を有する高炉セメントB種は、例えば地盤に配合して地盤を安定化させるときに初期強度が低いという問題点を有している。本発明の地盤安定材は、初期強度が低い点を改善すること、さらに長期強度の改善もできる。
【0022】
また、本発明の他の特徴点は、母材である高炉セメントB種に配合される半水石膏は、リサイクル石膏が用いられている。配合されるリサイクル石膏は、建築廃材である廃石膏ボード等の廃石膏材を破砕分離して二水石膏(CaSO4・2H2O)を生成し、この二水石膏をさらに加熱処理をして得られた半水石膏(CaSO4・1/2H2O)を用いている。このようにして得られた二水石膏や半水石膏は、いずれも10%程度の無水石膏(CaSO4)が含まれている。
【0023】
ここで、廃石膏材から形成されるリサイクル石膏について説明する。廃石膏ボード等の廃石膏材を粗粉砕し、例えば石膏粒の大きさが10mm以下の大きさにする。後工程の熱処理を考慮すると、石膏粒は細かいことが望ましく、例えば2mm以下の大きさが好ましい。粉砕された石膏粒には石膏ボードに用いられる紙類が混入しているので、破砕された紙類を分離して取り除く。なお、廃石膏材を破砕したあと、紙類を取り除かずに、地盤安定材に混入したままでも特に問題はない。
【0024】
このようにして粉砕された石膏粒は二水石膏の状態にある。この二水石膏を加熱し、例えば100〜150℃になるまで加熱処理して半水石膏に転移させる。さらに、150〜180℃程度に加熱するとIII型の無水石膏になるが、これを吸湿させて半水石膏にすることもできる。本発明では、このようにして得られた半水石膏を使用し、高炉セメントB種に配合して地盤安定材とする。従来使用していた無水石膏製造のための加熱温度、900〜1150℃に比較すると格段に低温度であり、加熱エネルギーを削減できる特徴がある。前記の加熱処理は大気圧中で行っているが、加圧状態で加熱処理してもよい。
【0025】
前記の如く構成された本発明の地盤安定材は、半水石膏の配合量が、地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とされるため、高炉セメントB種を単独で用いたときの初期強度不足を補うことができる。このため、地盤に添加して混合した初期からポルトランドセメント等の普通セメントに匹敵する強度を得ることができる。
【0026】
また、本発明の地盤安定材を地盤に添加して地盤安定を図ると、母材として高炉セメントB種を用いているため、六価クロム等の有害元素が溶出することを防止できる。すなわち、例えば高炉セメントB種は、30〜60%程度が高炉スラグで、残りが普通セメントのクリンカーであり、高炉スラグは鉄鉱石、石灰石、コークスを原材料として高温過程で生じた残材で有害な重金属がほとんど含まれておらず、有害な重金属が含まれやすいクリンカーが少ないことに起因していると考えられる。また、高炉セメントB種では、地盤に添加して混合すると、エトリンガイドが発生しやすいため、有害な重金属を封じ込めることができると考えられる。
【0027】
前記のエトリンガイドは針状結晶であり、本発明の地盤安定材を地盤に添加して混合することで一気に針状結晶が発生し、地盤の結合が強化されると考えられる。この針状結晶により有害元素や有害物質を封じ込めることができ、有害元素や有害物質の溶出を抑制することができる。また、エトリンガイドが発生すると地盤の膨脹量が大きくなるが、地盤改良工事の早期にエトリンガイドを一気に膨脹させ、その後の膨脹の増加をほぼ終了させることができる。例えば、地盤改良工事の後、所定期間で膨脹を終了させ、その後に地上の建築工事に取り掛かることで、エトリンガイド発生による膨脹の影響を少なくすることができる。
【0028】
そして、本発明の地盤安定材は高炉セメントB種を主成分としているため、安定化された地盤から硫化水素等の有害物質が発生することを防止できる。すなわち、高炉セメントB種に半水石膏を所定量配合した地盤安定材が地盤に添加されると、そのセメント分によりアルカリ雰囲気となるため、どこにでも存在する硫酸塩還元菌と、嫌気性状態、及び有機物があれば発生する硫化水素等の有害物質が発生することを防止できる。
【0029】
さらに、本発明の地盤安定材は、住宅等の新築時に発生する石膏ボード等の端材や、住宅等の解体時に発生する石膏ボード等の廃材を有効に再利用して資源の有効利用を図ることができる。このため、従来より行なわれている管理型処分場の減少に対応することができ、処分場の埋設量を減少させることができる。
【0030】
つぎに、本発明の地盤安定化工法を詳細に説明する。この地盤安定化工法は、前記の実施形態に示される地盤安定材を地盤の土質に合わせて前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択する。そして、選択された配合量の地盤安定材を、土質に合わせて地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴としている。地盤として関東ロームを主成分とする地盤の場合は、前記の地盤安定材を地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加し、混合することで地盤を安定化する。
【0031】
関東ロームを主成分とする地盤では、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量が200〜300kg/m3以外の範囲では強度の発現性と経済性関係より実用的でない。また、山砂を主成分とする地盤の場合は、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量を50〜150kg/m3とすることが実用的な利用範囲であり、沖積粘土を主成分とする地盤の場合は、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量を150〜250kg/m3とすることが実用的な利用範囲である。
【0032】
このように、本発明の地盤安定材を地盤に添加して混合し、地盤を安定化すると、この地盤安定材は高炉セメントB種を母材とし、半水石膏を配合しているため、高炉セメントB種の弱点である初期強度の低い点を半水石膏で補って、普通セメントに匹敵する初期強度を得ることができる。また、この地盤安定材は母材の高炉セメントB種に対して半水石膏が所定量配合されているため、六価クロム等の有害元素の溶出を抑制することができると共に、硫化水素等の有害物質の発生を抑えることができる。
【実施例】
【0033】
高炉セメントB種を母材として、これに半水石膏を各々、地盤安定材の質量で20%、30%配合した地盤安定材を各種の土(関東ローム、沖積粘土、山砂)と乾式混合(地盤安定材を粉体のまま土と混合)した場合の一軸圧縮強度を材令(1日、7日、28日)毎に測定した。半水石膏を20%配合した地盤安定材を実施例1とし、半水石膏を30%配合した地盤安定材を実施例2としている。また、二水石膏を配合した地盤安定材は、本発明の地盤安定材の実施例に対する比較例を示しており、地盤安定材の質量で30%配合した地盤安定材を比較例1としている。
【0034】
なお、本件の強度試験は全て一軸圧縮強度試験によるものであり、強度の発現状態を地中の状態に合わせ、供試体は1日気中養生後、湿度95%以上に保った恒温恒湿槽で養生したものである。
【0035】
まず、石膏の種類による強度の比較について、関東ロームを主成分とする地盤に添加して実験を行った。この比較実験は、地盤安定材として高炉セメントB種のみを用いた場合と、半水石膏を30質量%配合した高炉セメントB種の場合(実施例2)と、二水セメントを30質量%配合した高炉セメントB種の場合(比較例1)について、各々地盤1m3に対する添加量を250kg/m3添加した場合と、300kg/m3添加した場合について行った。実施例、比較例とも、高炉セメントB種のみの場合の強度を「1」として比較した。
【0036】
結果は、図1に示されるように、(a)に示す高炉セメントB種+半水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して250kg/m3添加)の場合は強度が「1.55」、(b)に示す高炉セメントB種+半水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して300kg/m3添加)の場合は強度が「1.60」で、(c)に示されるように平均強度が「1.57」となった。また、(d)に示す高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して250kg/m3添加)の場合は強度が「1.33」、(e)に示す高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して300kg/m3添加)の場合は強度が「1.35」で、(f)に示されるように平均強度が「1.34」となった。このように、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した実施例2の地盤安定材では、平均強度が高炉セメントB種のみの場合の約1.6倍となり、二水石膏を30質量%配合した比較例1の地盤安定材の平均強度、約1.3倍と比較して強度が増加した。
【0037】
つぎに、石膏の種別と圧縮強度の履歴について、関東ロームを主成分とする地盤に添加して実験を行った。この比較実験は、関東ロームを主成分とする地盤に地盤安定材を添加しない無添加の比較例Aと、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例Bと、高炉セメントB種に半水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した実施例2と、高炉セメントB種に二水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例2とを比較した。
【0038】
結果は、図2に示されるように、無添加の比較例Aでは圧縮強度(N/mm2)は0.2強(0.217)から0.1強(0.113)となり、最後に0.1弱(0.077)となった。高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例Bでは、0.37程度から0.33程度となり、0.35程度となった。二水石膏を配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例3では、0.38程度から0.32程度に下がり、0.5弱まで上昇した。そして、半水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した実施例2では、0.37程度から0.41程度に上がり、さらに0.57程度まで上昇し、圧縮強度が増強された。このように半水石膏を配合した実施例の地盤安定材では、材令30日程度で強度履歴が良好であった。
【0039】
なお、1日強度と比較し7日、28日強度が低い事例があるのは、供試体を湿度95%以上の恒温恒湿槽で養生したので、土の吸水による強度低下の影響によるものであり、安定材を無添加の供試体は1日より7日、7日より28日強度が低いことより明らかである。この吸水による強度低下の影響は全ての強度試験に共通のものである。
【0040】
さらに、強度と半水石膏の配合量との関係を、添加量を変化させて調べた。先ず、地盤が関東ロームを主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、地盤1m3に対して200kg/m3添加した実施例と、250kg/m3添加した実施例と、300kg/m3添加した実施例について比較した。
【0041】
結果は図3に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.548N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.690N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.592N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.690N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.743N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.822N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.593N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.768N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.800N/mm2であった。このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。なお、添加量を前記の例以上に増やし、強度をあげても実用上の意味が薄れるので、300kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0042】
図3の結果から、半水石膏を10質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.548N/mm2であった。また、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.690N/mm2であり、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.592N/mm2であり、期待される強度が得られる。この結果から、半水石膏を15質量%を超えて配合した地盤安定材を、200kg/m3添加すると、期待される強度0.60N/mm2が得られることが分かった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0043】
次いで、地盤が沖積粘土を主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に、地盤1m3に対して150kg/m3添加した実施例と、200kg/m3添加した実施例と、250kg/m3添加した実施例について比較した。
【0044】
結果は図4に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、200kg/m3添加した実施例では強度が1.131N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.685N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、150kg/m3添加した実施例では強度が0.464N/mm2であり、200kg/m3添加した実施例では強度が0.809N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.983N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、150kg/m3添加した実施例では強度が0.280N/mm2であり、200kg/m3添加した実施例では強度が0.331N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.650N/mm2であった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0045】
このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。また、沖積粘土を主成分とする地盤の場合、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加しても強度が小さくなり、実用的でないことが分かった。なお、添加量を前記の例以上に増やしても、実用上の意味が薄れるので、250kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0046】
さらに、地盤が山砂を主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に、地盤1m3に対して50kg/m3添加した実施例と、100kg/m3添加した実施例と、150kg/m3添加した実施例について比較した。
【0047】
結果は図5に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.305N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が1.274N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が2.402N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.414N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が1.457N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が1.593N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.216N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が0.617N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が0.943N/mm2であった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0048】
このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。また、山砂を主成分とする地盤の場合、他の関東ロームや沖積粘土を主成分とする地盤の場合と比較して、強度の傾向が異なり、半水石膏を15質量%を超える範囲内で添加量を選択すると好ましいことが分かった。さらに、山砂を主成分とする地盤の場合、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を50kg/m3添加しても強度が小さくなり、実用的でないことが分かった。なお、添加量を前記の例以上に増やしても、実用上の意味が薄れるので、150kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0049】
このように、本発明では、改良しようとする地盤の土質に合わせて、地盤安定材に配合される半水石膏の配合量を、15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することで、所望の強度を得ることができることが明らかとなった。
【0050】
つぎに、地盤安定材に配合される半水石膏の添加量と、強度について実験を行なった。実験に使用される地盤安定材は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合したものであり、その配合量は地盤安定材の40質量%のものである。このように半水石膏が40質量%配合された地盤安定材を微細分質礫質砂(沖積粘土)に添加して、一軸圧縮強さ(kN/m2)を測定した。なお、沖積粘土の含水率は28%であり、湿潤密度は1.877g/cm3であった。
【0051】
図6に示される実験結果が得られた。図6で示されるように、地盤安定材を50,100,150,200kg/m3のように増やすと、1週強度は7,23,37,48kN/m2と増え、4週強度は7,36,58,80kN/m2と増えることが分かった。このように、半水石膏を40質量%配合された地盤安定材を沖積粘土に添加すると、一軸圧縮強さが増強されることが分かった。さらに、造成用には、半水石膏を50質量%配合された地盤安定材を添加しても、十分な強度が得られることが判明した。
【0052】
また、強度履歴と半水石膏20質量%配合の地盤安定材の添加量との関係を、関東ローム、沖積粘土、山砂の各々で実験した。データは各地盤に地盤安定材を添加し1日経過後のデータ、1週間後のデータ、及び4週間後のデータを取得した。先ず、第1に、関東ロームを主成分とする地盤の場合、前記の地盤安定材を地盤1m3に対して200kg/m3、250kg/m3、300kg/m3添加したときの1日経過後の強度のデータ(N/mm2)を取得した。
【0053】
関東ロームの場合の結果は、図7に示されるように、添加量が200kg/m3のときは約0.824(N/mm2)であり、添加量が250kg/m3のときは約0.792(N/mm2)であり、添加量が300kg/m3のときは約0.722(N/mm2)であった。
【0054】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が200kg/m3のときは約0.532(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.605(N/mm2)であり、300kg/m3のときは約0.697(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が200kg/m3のときは約0.690(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.742(N/mm2)であり、300kg/m3のときは約0.822(N/mm2)であった。
【0055】
図7に示されるように、関東ロームを主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は低下するが、4週間経過後の強度は上昇し安定することがわかった。そして、添加量が200〜300kg/m3の範囲では、その強度は十分であった。
【0056】
沖積粘土の場合の結果は、図8に示されるように、1日経過後の強度のデータは、添加量が150kg/m3のときは約0.204(N/mm2)であり、添加量が200kg/m3のときは約0.443(N/mm2)であり、添加量が250kg/m3のときは約0.854(N/mm2)であった。
【0057】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が150kg/m3のときは約0.754(N/mm2)であり、200kg/m3のときは約0.797(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約1.111(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が150kg/m3のときは約0.464(N/mm2)であり、200kg/m3のときは約0.808(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.983(N/mm2)であった。
【0058】
図8に示されるように、沖積粘土を主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は増大し、4週間経過後の強度は若干低下することがわかった。
【0059】
山砂の場合の結果は、図9に示されるように、1日経過後の強度のデータは、添加量が50kg/m3のときは約0.454(N/mm2)であり、添加量が100kg/m3のときは約0.856(N/mm2)であり、添加量が150kg/m3のときは約0.914(N/mm2)であった。
【0060】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が50kg/m3のときは約0.277(N/mm2)であり、100kg/m3のときは約1.172(N/mm2)であり、150kg/m3のときは約1.731(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が50kg/m3のときは約0.414(N/mm2)であり、100kg/m3のときは約1.457(N/mm2)であり、150kg/m3のときは約1.593(N/mm2)であった。
【0061】
図9に示されるように、山砂を主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、添加量が地盤1m3に対して50kg/m3のときは1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は低下するが、4週間経過後の強度は上昇することがわかった。また、添加量が地盤1m3に対して100kg/m3のときは、1日経過後の強度は0.856で、1週間経過後の強度は1.172に上がり、4週間経過後の強度は1.457に上がった。そして、添加量が地盤1m3に対して150kg/m3のときは、1日経過後の強度は0.914であり、1週間経過後の強度は1.731まで上昇し、4週間経過後の強度は1.593に低下した。
【0062】
さらに、本発明の地盤安定材を地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を調べた。実験は関東ロームを主成分とする地盤に対して、高炉セメントB種のみを添加した場合、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加した場合、及び、高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加した場合について、各々地盤1m3に対して200kg/m3、300kg/m3添加して行った。
【0063】
なお、本件の膨張試験の結果は実際の地中の状態を想定し、1日の気中養生の後に膨張試験用供試体を水中で養生し膨張量を計測した。
【0064】
実験結果は図10に示されるように、高炉セメントB種のみを200kg/m3添加した場合の膨張率は−0.02であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は−0.12であった。これに対し、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を200kg/m3添加した場合の膨張率は0.15であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.28であった。そして、比較として、高炉セメントB種に対して二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を200kg/m3添加した場合の膨張率は0.05であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であった。
【0065】
このように、地盤に高炉セメントB種のみを添加すると地盤の膨張率はマイナスとなって、セメントの水和による収縮の影響で若干収縮することがわかった。そして、地盤に本発明の高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加すると、200kg/m3添加した場合の膨張率は0.15であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.28であり、許容範囲であった。比較例として、二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加すると、200kg/m3添加した場合の膨張率は0.05であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であり、本発明の地盤安定材より膨張率は小さかった。
【0066】
また、本発明の地盤安定材を地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を、山砂を主成分とする地盤に対して行った。実験結果は図11に示されるように、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は−0.01であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は−0.05であった。これに対し、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は0.29であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.42であった。そして、高炉セメントB種に対して二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.33であった。
【0067】
ついで、本発明の地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して200kg/m3添加した場合と、山砂を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合、及び沖積粘土を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して250kg/m3添加した場合における膨張率と半水石膏配合量との関係を実験により調べた。
【0068】
実験結果は、図12に示されるように、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.23であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.34であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.19であった。また、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.15であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.42であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.14であった。さらに、他の例として、高炉セメントB種に半水石膏を50質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.20であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.26であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.11であった。このように、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材と、30質量%配合した地盤安定材は、共に膨張率が許容範囲であり、50質量%配合のものは膨張率が小さかった。
【0069】
そして、本発明の地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合における石膏の種別による膨張量の差異について実験を行った。膨張量を比較するために、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合と、比較例として高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合で、膨張率が経過日数によって変化することを確認した。
【0070】
実験結果は、図13に示されるように、高炉セメントB種のみの場合、3日経過後に膨張量は−0.26であり、水浸後、数日で膨張は止まり、−0.12で安定した。高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は−0.19であり、水浸後数日で膨張は、ほぼ安定した。高炉セメントB種+半水石膏を30質量%配合した本発明の地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は−0.08であり、水浸後数日で膨張は、ほぼ安定した。実施例の膨張量は+0.23であり、許容範囲であった。すなわち、地盤安定材を添加して地盤改良工事を行った後、3〜7日程度で膨脹を完了させることができ、この後に地上の建築工事を実施することができ、地盤安定材添加後の膨脹の影響を少なくすることができる。
【0071】
また、本発明の地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合における石膏の種別による膨張量の差異について実験を行った。膨張量を比較するために、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合で、膨張量が経過日数によって変化することを確認した。
【0072】
実験結果は、図14に示されるように、高炉セメントB種のみの場合は、3日経過後に膨張量は0であり、その後も7日まで0の状態が続き、10日以降は0.01の状態が15日まで安定して続いた。高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は+0.04であり、その後徐々に膨張量は大きくなり、約6日経過後は+0.06となり、約9日経過後以降は+0.07で安定した。高炉セメントB種+半水石膏を30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は+0.13であり、その後徐々に膨張量は大きくなり、約6日経過後は+0.24となり、約9日経過後に+0.27となり、約11日経過後に+0.28となり、約13日経過後以降は+0.29で安定した。実施例の膨張量は+0.29であり、膨張は吸水後数日でほとんどの膨張が終了することも考え合せ許容範囲であった。すなわち、地盤安定材を添加して地盤改良工事を行った後、7日程度で膨脹を完了させることができ、8日後には地上の建築工事を実施することができ、地盤安定材添加後の膨脹の影響を少なくすることができる。
【0073】
本発明の地盤安定材を地盤に添加して安定化した際に、六価クロムが溶出するかの確認を行った。関東ローム、沖積粘土、山砂、洪積粘土に、各々地盤安定材S01(高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合)、S02(高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合)を地盤1m3に対して300kg/m3添加し、締め固めた後、所定の試験方法に則り試験を行った。結果を以下の表1に示す。
【0074】
【表1】
表1に示されるように、山砂、関東ローム、沖積粘土、洪積粘土に、本発明の地盤安定材を添加して混合したとき、六価クロムの溶出は、0.02mg/L以下であり、問題点はなかった。実施例の地盤安定材を地盤に添加することで発生するエトリンガイドが、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素を封じ込め、溶出が防止されると考えられる。
【0075】
また、本発明の地盤安定材の有害物質溶出試験を行った。関東ローム、及び沖積粘土に地盤安定材S01を地盤1m3に対して300kg/m3添加した土、及び地盤安定材に配合した半水石膏を締固め、土壌溶出試験を行った結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
表2に示されるように、半水石膏単体からは基準値を超すフッ素が溶出したが、この半水石膏を配合した地盤安定材を混合した改良土からは、基準値を超す有害物質の溶出は見られなかった。
【0077】
さらに、本発明の地盤安定材を地盤に添加したときに、硫化水素ガスが発生するかの試験を行った。改良対象土には有機物や土壌菌は普遍的に存在するので、石膏を配合した地盤安定材により地盤固化を行うと硫化水素ガスの発生の可能性がある。試験結果を図15〜図17のグラフに示す。なお、グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は硫化水素ガス濃度(ppmV)を示している。
【0078】
図15、図16は各々、関東ローム、沖積粘土に地盤安定材S02を地盤1m3に対して250kg/m3添加して混合し、硫化水素ガスの発生を計測した結果を示している。図15、図16から明らかなように、硫化水素ガスの発生はなく、安定材としての用途には問題がないことを確認した。
【0079】
図17は廃石膏を有機物、及び土壌菌の存在下で嫌気養生した場合に、発生した硫化水素ガスのガス濃度を示している。図17から明らかなように、この場合には予想通り硫化水素ガスが発生した。このように、本発明の地盤安定材を地盤に添加して安定化させたとき、硫化水素ガスの発生はなかった。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、廃石膏材として石膏ボードの例を示したが、石膏ブロック等の成型されたものでもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の活用例として、この地盤安定材を用いて住宅等の建築予定地の地盤の安定化の他に、グランドや公園等の地盤の改良を行うことができ、さらに、道路用地や高速道路の橋脚を立てる用地等の改良の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの一軸圧縮強度と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図2】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と石膏の種別の関係を示すグラフ。
【図3】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図4】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図5】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図6】本発明に係る半水石膏の配合量を40質量%とした地盤安定剤を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの地盤安定剤の添加量と強度との関係を示すグラフ図。
【図7】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ図。
【図8】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図9】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図10】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図11】本発明の地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図12】本発明に係る地盤安定材を、関東ローム、山砂、沖積粘土を主成分とする地盤に添加したときの膨張率と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図13】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの石膏の種別による膨張量の差異を示すグラフ。
【図14】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの石膏の種別による膨張量の差異を示すグラフ。
【図15】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に添加したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【図16】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に添加したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【図17】廃石膏を、有機物及び土壌菌の存在下で嫌気養生したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の構造物を建築する際に地盤を安定化させる地盤安定工法と、それに用いられる地盤安定材に係り、特に、半水石膏を含む地盤安定材を用いた地盤安定化工法と、その地盤安定化工法で用いられる地盤安定材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の地盤安定材として、ポルトランドセメントに無水石膏を配合した有機物含有地盤への対応製品が市販され、最近ではリサイクルされた二水石膏を配合した地盤安定材も市販されている。
【0003】
また、従来の土壌用固化材で、固化材全体を100重量部としたとき、7〜65重量部のアルミナセメントとポルトランドセメントの混合セメントと、2〜30重量部の硫酸アルミニウム又は硫酸鉄と、残部が石膏よりなり、石膏含有量が20重量部以上であり、pH値が6〜9の範囲にある改良土壌を与える含水土壌用固化材がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、(A)セメント、(B)高炉スラグ微粉末及び(C)石膏を該成分の組成重量比[(A):(B):(C)]=(30〜80):(10〜70):(3〜15)で含有する固化材を、対象とする地盤に粉体又はスラリーで混合・撹拌し、該地盤の一軸圧縮強さを80kgf/cm2以上にする地盤改良方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3551688号公報
【特許文献2】特開2001-40652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に記載の地盤安定材、特許文献2に記載の地盤改良方法は、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素が溶出するおそれがあった。また、従来より、石膏ボード等の廃石膏材を廃棄処理している安定型処分場で、地中に埋設されている廃石膏材から硫化水素等の有害物質が発生する事故が生じて問題となった。一方、住宅等の新築時に発生する石膏ボード等の廃材は年々増加し、管理型処分場の減少とともに、廃棄コストが高騰し、不法投棄が頻発し、石膏廃材のリサイクル技術の開発が要求されている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出が防止されるとともに、地中に埋設されている物質と反応して硫化水素等の有害物質が発生するおそれがない地盤安定化工法と、この地盤安定化工法で使用され、低コストで供給できる地盤安定材とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、石膏を含む地盤安定材につき鋭意研究を重ねた結果、高炉セメントB種に対して半水石膏を所定量配合する地盤安定材を地盤に添加して混合することで、膨張が少なく、強度アップを図ることができること、及び、フッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出を防止できる知見を得ることにより、以下の特徴を有する本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、前記目的を達成すべく、本発明に係る地盤安定化工法は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴としている。
【0010】
前記のごとく構成された本発明の地盤安定化工法では、高炉セメントB種の初期強度不足を半水石膏で補うことができ、最終的に高炉セメントB種以上の強度が得られる。また、この地盤安定材を地盤に添加することで発生するエトリンガイド(針状結晶)により、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素が溶出しにくくなり、硫化水素をはじめとする有害物質の発生を防止することができる。本発明の地盤安定化工法は、土に混合して締め固めることで圧縮強度が増強されるため、地盤補強材、あるいは地盤改良材ということもできる。
【0011】
本発明に係る地盤安定化工法の他の態様としては、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加し、地上の建築工事施工前に地盤の膨張を早期に完了させることを特徴としている。
【0012】
前記のごとく構成された本発明の地盤安定化工法では、前記した地盤安定化工法の作用効果に加えて、さらに、地盤の膨張が少なく、地盤の膨張を早期に完了させることができるので、その後の地上の建築工事を早期に取り掛かることができるという、格別の作用効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る地盤安定化工法の好ましい具体的な態様としては、半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いることを特徴としている。このように構成された地盤安定化工法では、石膏ボード等の廃石膏材を破砕し、所定の大きさの石膏粒としたあと、加熱処理して半水石膏とし、母材となる高炉セメントB種に所定量配合することで地盤安定材を形成し、この地盤安定材を用いて地盤を安定化することができる。このため、廃石膏材を有効利用して処分場への廃棄量を削減することができる。
【0014】
本発明に係る地盤安定化工法の好ましい具体的な他の態様としては、前記地盤が関東ロームを主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。また、前記地盤が沖積粘土を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して150〜250kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。さらに、前記地盤が山砂を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して50〜150kgの範囲内で選択して添加されることが好ましい。
【0015】
このように地盤の土質に合わせて、地盤安定材の添加量を選択することで、土質に最適な添加量で地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることができ、地盤安定化の効率化を図ることができる。すなわち、山砂を主成分とする地盤の場合、地盤安定材の添加量は比較的少なくても所望の作用効果を期待することができ、沖積粘土を主成分とするときは添加量はやや多めに、関東ロームを主成分とするときは添加量をより多くすることで、効率良く地盤安定を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る地盤安定材は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材であって、前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とし、前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で添加し、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることを特徴としている。
【0017】
このように構成された地盤安定化材は、高炉セメントB種を主成分とする地盤安定材に対して、半水石膏の配合量を15質量%を超えて50質量%以下とし、前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で、地盤に添加することで地盤中にエトリンガイドが発生し、地盤の膨張が少なく、圧縮強度を向上させることができ、地盤を安定化することができる。また、有害な重金属の溶出を防止することができ、有害物質の発生を抑えることができる。
【0018】
本発明に係る地盤安定材の好ましい具体的な態様としては、前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏であることを特徴としている。この構成によれば、石膏ボード等の廃石膏材を破砕し、所定の大きさの石膏粒としたあと、加熱処理して半水石膏とし、母材となる高炉セメントB種に所定量配合することで、地盤を安定化させる地盤安定材を低コストで形成することができる。このため、廃石膏材を有効利用して処分場への廃棄量を削減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の地盤安定化工法、及びこの工法に用いられる地盤安定材は、地盤に地盤安定材を乾式に添加して混合し、地盤の圧縮強度を増強させ地盤を安定化させる際に、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素の溶出を防止することができる。また、硫化水素ガス等の有害物質の発生を抑えることができる。さらに、低コストで地盤を安定化させることができる。また、地盤の膨張を早期に完了させ、その後の地上の建築工事を早期に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る地盤安定材について詳細に説明する。本発明の地盤安定材は、高炉セメントB種を母材とし、この母材に半水石膏を所定量配合して構成される。地盤安定材全体に対する半水石膏の配合量は、質量で15%を超えて50%以下である。すなわち、地盤安定材は、高炉セメントB種が50質量%未満〜85質量%以下と、15を超えて50質量%以下の半水石膏とを混合し、全体として100%に構成されている。このような配合比の地盤安定材を粉体のまま地盤に添加して混合し、締め固めることで地盤の圧縮強度を増加させることができる。また、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めることができる。地盤安定材に含まれる半水石膏の配合量は前記の通りであり、質量で15%を超えて50%以下のときに最も高い固結体強度を示し、50%を超えると地盤に添加したとき、地盤の膨張率が大きく不具合が発生する。また、15%以下では、エトリンガイドの発生量が少なく、有害物質等の溶出量の低減量が少なくなる。
【0021】
母材として使用される高炉セメントB種は、銑鉄の製造時に副産物として発生する高炉スラグを、クリンカー・石膏と共に混合したセメントである。そして、高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントと比較して、遜色のない性能を有するだけでなく、廉価で経済性に優れ、省資源・省エネルギー・二酸化炭素発生量の削減が可能なセメントである。しかしながら、このような特徴を有する高炉セメントB種は、例えば地盤に配合して地盤を安定化させるときに初期強度が低いという問題点を有している。本発明の地盤安定材は、初期強度が低い点を改善すること、さらに長期強度の改善もできる。
【0022】
また、本発明の他の特徴点は、母材である高炉セメントB種に配合される半水石膏は、リサイクル石膏が用いられている。配合されるリサイクル石膏は、建築廃材である廃石膏ボード等の廃石膏材を破砕分離して二水石膏(CaSO4・2H2O)を生成し、この二水石膏をさらに加熱処理をして得られた半水石膏(CaSO4・1/2H2O)を用いている。このようにして得られた二水石膏や半水石膏は、いずれも10%程度の無水石膏(CaSO4)が含まれている。
【0023】
ここで、廃石膏材から形成されるリサイクル石膏について説明する。廃石膏ボード等の廃石膏材を粗粉砕し、例えば石膏粒の大きさが10mm以下の大きさにする。後工程の熱処理を考慮すると、石膏粒は細かいことが望ましく、例えば2mm以下の大きさが好ましい。粉砕された石膏粒には石膏ボードに用いられる紙類が混入しているので、破砕された紙類を分離して取り除く。なお、廃石膏材を破砕したあと、紙類を取り除かずに、地盤安定材に混入したままでも特に問題はない。
【0024】
このようにして粉砕された石膏粒は二水石膏の状態にある。この二水石膏を加熱し、例えば100〜150℃になるまで加熱処理して半水石膏に転移させる。さらに、150〜180℃程度に加熱するとIII型の無水石膏になるが、これを吸湿させて半水石膏にすることもできる。本発明では、このようにして得られた半水石膏を使用し、高炉セメントB種に配合して地盤安定材とする。従来使用していた無水石膏製造のための加熱温度、900〜1150℃に比較すると格段に低温度であり、加熱エネルギーを削減できる特徴がある。前記の加熱処理は大気圧中で行っているが、加圧状態で加熱処理してもよい。
【0025】
前記の如く構成された本発明の地盤安定材は、半水石膏の配合量が、地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とされるため、高炉セメントB種を単独で用いたときの初期強度不足を補うことができる。このため、地盤に添加して混合した初期からポルトランドセメント等の普通セメントに匹敵する強度を得ることができる。
【0026】
また、本発明の地盤安定材を地盤に添加して地盤安定を図ると、母材として高炉セメントB種を用いているため、六価クロム等の有害元素が溶出することを防止できる。すなわち、例えば高炉セメントB種は、30〜60%程度が高炉スラグで、残りが普通セメントのクリンカーであり、高炉スラグは鉄鉱石、石灰石、コークスを原材料として高温過程で生じた残材で有害な重金属がほとんど含まれておらず、有害な重金属が含まれやすいクリンカーが少ないことに起因していると考えられる。また、高炉セメントB種では、地盤に添加して混合すると、エトリンガイドが発生しやすいため、有害な重金属を封じ込めることができると考えられる。
【0027】
前記のエトリンガイドは針状結晶であり、本発明の地盤安定材を地盤に添加して混合することで一気に針状結晶が発生し、地盤の結合が強化されると考えられる。この針状結晶により有害元素や有害物質を封じ込めることができ、有害元素や有害物質の溶出を抑制することができる。また、エトリンガイドが発生すると地盤の膨脹量が大きくなるが、地盤改良工事の早期にエトリンガイドを一気に膨脹させ、その後の膨脹の増加をほぼ終了させることができる。例えば、地盤改良工事の後、所定期間で膨脹を終了させ、その後に地上の建築工事に取り掛かることで、エトリンガイド発生による膨脹の影響を少なくすることができる。
【0028】
そして、本発明の地盤安定材は高炉セメントB種を主成分としているため、安定化された地盤から硫化水素等の有害物質が発生することを防止できる。すなわち、高炉セメントB種に半水石膏を所定量配合した地盤安定材が地盤に添加されると、そのセメント分によりアルカリ雰囲気となるため、どこにでも存在する硫酸塩還元菌と、嫌気性状態、及び有機物があれば発生する硫化水素等の有害物質が発生することを防止できる。
【0029】
さらに、本発明の地盤安定材は、住宅等の新築時に発生する石膏ボード等の端材や、住宅等の解体時に発生する石膏ボード等の廃材を有効に再利用して資源の有効利用を図ることができる。このため、従来より行なわれている管理型処分場の減少に対応することができ、処分場の埋設量を減少させることができる。
【0030】
つぎに、本発明の地盤安定化工法を詳細に説明する。この地盤安定化工法は、前記の実施形態に示される地盤安定材を地盤の土質に合わせて前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択する。そして、選択された配合量の地盤安定材を、土質に合わせて地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴としている。地盤として関東ロームを主成分とする地盤の場合は、前記の地盤安定材を地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加し、混合することで地盤を安定化する。
【0031】
関東ロームを主成分とする地盤では、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量が200〜300kg/m3以外の範囲では強度の発現性と経済性関係より実用的でない。また、山砂を主成分とする地盤の場合は、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量を50〜150kg/m3とすることが実用的な利用範囲であり、沖積粘土を主成分とする地盤の場合は、地盤1m3に対する地盤安定材の添加量を150〜250kg/m3とすることが実用的な利用範囲である。
【0032】
このように、本発明の地盤安定材を地盤に添加して混合し、地盤を安定化すると、この地盤安定材は高炉セメントB種を母材とし、半水石膏を配合しているため、高炉セメントB種の弱点である初期強度の低い点を半水石膏で補って、普通セメントに匹敵する初期強度を得ることができる。また、この地盤安定材は母材の高炉セメントB種に対して半水石膏が所定量配合されているため、六価クロム等の有害元素の溶出を抑制することができると共に、硫化水素等の有害物質の発生を抑えることができる。
【実施例】
【0033】
高炉セメントB種を母材として、これに半水石膏を各々、地盤安定材の質量で20%、30%配合した地盤安定材を各種の土(関東ローム、沖積粘土、山砂)と乾式混合(地盤安定材を粉体のまま土と混合)した場合の一軸圧縮強度を材令(1日、7日、28日)毎に測定した。半水石膏を20%配合した地盤安定材を実施例1とし、半水石膏を30%配合した地盤安定材を実施例2としている。また、二水石膏を配合した地盤安定材は、本発明の地盤安定材の実施例に対する比較例を示しており、地盤安定材の質量で30%配合した地盤安定材を比較例1としている。
【0034】
なお、本件の強度試験は全て一軸圧縮強度試験によるものであり、強度の発現状態を地中の状態に合わせ、供試体は1日気中養生後、湿度95%以上に保った恒温恒湿槽で養生したものである。
【0035】
まず、石膏の種類による強度の比較について、関東ロームを主成分とする地盤に添加して実験を行った。この比較実験は、地盤安定材として高炉セメントB種のみを用いた場合と、半水石膏を30質量%配合した高炉セメントB種の場合(実施例2)と、二水セメントを30質量%配合した高炉セメントB種の場合(比較例1)について、各々地盤1m3に対する添加量を250kg/m3添加した場合と、300kg/m3添加した場合について行った。実施例、比較例とも、高炉セメントB種のみの場合の強度を「1」として比較した。
【0036】
結果は、図1に示されるように、(a)に示す高炉セメントB種+半水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して250kg/m3添加)の場合は強度が「1.55」、(b)に示す高炉セメントB種+半水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して300kg/m3添加)の場合は強度が「1.60」で、(c)に示されるように平均強度が「1.57」となった。また、(d)に示す高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して250kg/m3添加)の場合は強度が「1.33」、(e)に示す高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合(地盤1m3に対して300kg/m3添加)の場合は強度が「1.35」で、(f)に示されるように平均強度が「1.34」となった。このように、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した実施例2の地盤安定材では、平均強度が高炉セメントB種のみの場合の約1.6倍となり、二水石膏を30質量%配合した比較例1の地盤安定材の平均強度、約1.3倍と比較して強度が増加した。
【0037】
つぎに、石膏の種別と圧縮強度の履歴について、関東ロームを主成分とする地盤に添加して実験を行った。この比較実験は、関東ロームを主成分とする地盤に地盤安定材を添加しない無添加の比較例Aと、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例Bと、高炉セメントB種に半水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した実施例2と、高炉セメントB種に二水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例2とを比較した。
【0038】
結果は、図2に示されるように、無添加の比較例Aでは圧縮強度(N/mm2)は0.2強(0.217)から0.1強(0.113)となり、最後に0.1弱(0.077)となった。高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例Bでは、0.37程度から0.33程度となり、0.35程度となった。二水石膏を配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した比較例3では、0.38程度から0.32程度に下がり、0.5弱まで上昇した。そして、半水石膏を地盤安定材の30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した実施例2では、0.37程度から0.41程度に上がり、さらに0.57程度まで上昇し、圧縮強度が増強された。このように半水石膏を配合した実施例の地盤安定材では、材令30日程度で強度履歴が良好であった。
【0039】
なお、1日強度と比較し7日、28日強度が低い事例があるのは、供試体を湿度95%以上の恒温恒湿槽で養生したので、土の吸水による強度低下の影響によるものであり、安定材を無添加の供試体は1日より7日、7日より28日強度が低いことより明らかである。この吸水による強度低下の影響は全ての強度試験に共通のものである。
【0040】
さらに、強度と半水石膏の配合量との関係を、添加量を変化させて調べた。先ず、地盤が関東ロームを主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、地盤1m3に対して200kg/m3添加した実施例と、250kg/m3添加した実施例と、300kg/m3添加した実施例について比較した。
【0041】
結果は図3に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.548N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.690N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.592N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.690N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.743N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.822N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、200kg/m3添加した実施例では強度が0.593N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.768N/mm2であり、300kg/m3添加した実施例では強度が0.800N/mm2であった。このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。なお、添加量を前記の例以上に増やし、強度をあげても実用上の意味が薄れるので、300kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0042】
図3の結果から、半水石膏を10質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.548N/mm2であった。また、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.690N/mm2であり、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、200kg/m3添加した例では、強度が0.592N/mm2であり、期待される強度が得られる。この結果から、半水石膏を15質量%を超えて配合した地盤安定材を、200kg/m3添加すると、期待される強度0.60N/mm2が得られることが分かった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0043】
次いで、地盤が沖積粘土を主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に、地盤1m3に対して150kg/m3添加した実施例と、200kg/m3添加した実施例と、250kg/m3添加した実施例について比較した。
【0044】
結果は図4に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、200kg/m3添加した実施例では強度が1.131N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.685N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、150kg/m3添加した実施例では強度が0.464N/mm2であり、200kg/m3添加した実施例では強度が0.809N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.983N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、150kg/m3添加した実施例では強度が0.280N/mm2であり、200kg/m3添加した実施例では強度が0.331N/mm2であり、250kg/m3添加した実施例では強度が0.650N/mm2であった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0045】
このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。また、沖積粘土を主成分とする地盤の場合、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加しても強度が小さくなり、実用的でないことが分かった。なお、添加量を前記の例以上に増やしても、実用上の意味が薄れるので、250kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0046】
さらに、地盤が山砂を主成分とする場合、高炉セメントB種に半水石膏を10質量%配合した地盤安定材、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に、地盤1m3に対して50kg/m3添加した実施例と、100kg/m3添加した実施例と、150kg/m3添加した実施例について比較した。
【0047】
結果は図5に示されるように、半水石膏10質量%配合の地盤安定材では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.305N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が1.274N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が2.402N/mm2であった。また、半水石膏20質量%配合では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.414N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が1.457N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が1.593N/mm2であった。さらに、半水石膏30質量%配合では、50kg/m3添加した実施例では強度が0.216N/mm2であり、100kg/m3添加した実施例では強度が0.617N/mm2であり、150kg/m3添加した実施例では強度が0.943N/mm2であった。また、半水石膏の配合量が50質量%を超えると、地盤の膨張が増え、実用的でないことが分かった。
【0048】
このように、地盤安定材の添加量を増やすことで、強度が高くなることが明らかとなった。また、山砂を主成分とする地盤の場合、他の関東ロームや沖積粘土を主成分とする地盤の場合と比較して、強度の傾向が異なり、半水石膏を15質量%を超える範囲内で添加量を選択すると好ましいことが分かった。さらに、山砂を主成分とする地盤の場合、半水石膏を20質量%配合した地盤安定材、半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を50kg/m3添加しても強度が小さくなり、実用的でないことが分かった。なお、添加量を前記の例以上に増やしても、実用上の意味が薄れるので、150kg/m3以上の添加実験は行なわなかった。
【0049】
このように、本発明では、改良しようとする地盤の土質に合わせて、地盤安定材に配合される半水石膏の配合量を、15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することで、所望の強度を得ることができることが明らかとなった。
【0050】
つぎに、地盤安定材に配合される半水石膏の添加量と、強度について実験を行なった。実験に使用される地盤安定材は、高炉セメントB種に対して半水石膏を配合したものであり、その配合量は地盤安定材の40質量%のものである。このように半水石膏が40質量%配合された地盤安定材を微細分質礫質砂(沖積粘土)に添加して、一軸圧縮強さ(kN/m2)を測定した。なお、沖積粘土の含水率は28%であり、湿潤密度は1.877g/cm3であった。
【0051】
図6に示される実験結果が得られた。図6で示されるように、地盤安定材を50,100,150,200kg/m3のように増やすと、1週強度は7,23,37,48kN/m2と増え、4週強度は7,36,58,80kN/m2と増えることが分かった。このように、半水石膏を40質量%配合された地盤安定材を沖積粘土に添加すると、一軸圧縮強さが増強されることが分かった。さらに、造成用には、半水石膏を50質量%配合された地盤安定材を添加しても、十分な強度が得られることが判明した。
【0052】
また、強度履歴と半水石膏20質量%配合の地盤安定材の添加量との関係を、関東ローム、沖積粘土、山砂の各々で実験した。データは各地盤に地盤安定材を添加し1日経過後のデータ、1週間後のデータ、及び4週間後のデータを取得した。先ず、第1に、関東ロームを主成分とする地盤の場合、前記の地盤安定材を地盤1m3に対して200kg/m3、250kg/m3、300kg/m3添加したときの1日経過後の強度のデータ(N/mm2)を取得した。
【0053】
関東ロームの場合の結果は、図7に示されるように、添加量が200kg/m3のときは約0.824(N/mm2)であり、添加量が250kg/m3のときは約0.792(N/mm2)であり、添加量が300kg/m3のときは約0.722(N/mm2)であった。
【0054】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が200kg/m3のときは約0.532(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.605(N/mm2)であり、300kg/m3のときは約0.697(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が200kg/m3のときは約0.690(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.742(N/mm2)であり、300kg/m3のときは約0.822(N/mm2)であった。
【0055】
図7に示されるように、関東ロームを主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は低下するが、4週間経過後の強度は上昇し安定することがわかった。そして、添加量が200〜300kg/m3の範囲では、その強度は十分であった。
【0056】
沖積粘土の場合の結果は、図8に示されるように、1日経過後の強度のデータは、添加量が150kg/m3のときは約0.204(N/mm2)であり、添加量が200kg/m3のときは約0.443(N/mm2)であり、添加量が250kg/m3のときは約0.854(N/mm2)であった。
【0057】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が150kg/m3のときは約0.754(N/mm2)であり、200kg/m3のときは約0.797(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約1.111(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が150kg/m3のときは約0.464(N/mm2)であり、200kg/m3のときは約0.808(N/mm2)であり、250kg/m3のときは約0.983(N/mm2)であった。
【0058】
図8に示されるように、沖積粘土を主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は増大し、4週間経過後の強度は若干低下することがわかった。
【0059】
山砂の場合の結果は、図9に示されるように、1日経過後の強度のデータは、添加量が50kg/m3のときは約0.454(N/mm2)であり、添加量が100kg/m3のときは約0.856(N/mm2)であり、添加量が150kg/m3のときは約0.914(N/mm2)であった。
【0060】
ついで、1週間経過後のデータを取得した。添加量が50kg/m3のときは約0.277(N/mm2)であり、100kg/m3のときは約1.172(N/mm2)であり、150kg/m3のときは約1.731(N/mm2)であった。さらに、4週間後のデータを取得した。添加量が50kg/m3のときは約0.414(N/mm2)であり、100kg/m3のときは約1.457(N/mm2)であり、150kg/m3のときは約1.593(N/mm2)であった。
【0061】
図9に示されるように、山砂を主成分とする地盤に、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を添加した場合、添加量が地盤1m3に対して50kg/m3のときは1日経過後の強度に対して、1週間経過後の強度は低下するが、4週間経過後の強度は上昇することがわかった。また、添加量が地盤1m3に対して100kg/m3のときは、1日経過後の強度は0.856で、1週間経過後の強度は1.172に上がり、4週間経過後の強度は1.457に上がった。そして、添加量が地盤1m3に対して150kg/m3のときは、1日経過後の強度は0.914であり、1週間経過後の強度は1.731まで上昇し、4週間経過後の強度は1.593に低下した。
【0062】
さらに、本発明の地盤安定材を地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を調べた。実験は関東ロームを主成分とする地盤に対して、高炉セメントB種のみを添加した場合、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加した場合、及び、高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加した場合について、各々地盤1m3に対して200kg/m3、300kg/m3添加して行った。
【0063】
なお、本件の膨張試験の結果は実際の地中の状態を想定し、1日の気中養生の後に膨張試験用供試体を水中で養生し膨張量を計測した。
【0064】
実験結果は図10に示されるように、高炉セメントB種のみを200kg/m3添加した場合の膨張率は−0.02であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は−0.12であった。これに対し、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を200kg/m3添加した場合の膨張率は0.15であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.28であった。そして、比較として、高炉セメントB種に対して二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を200kg/m3添加した場合の膨張率は0.05であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であった。
【0065】
このように、地盤に高炉セメントB種のみを添加すると地盤の膨張率はマイナスとなって、セメントの水和による収縮の影響で若干収縮することがわかった。そして、地盤に本発明の高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加すると、200kg/m3添加した場合の膨張率は0.15であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.28であり、許容範囲であった。比較例として、二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を添加すると、200kg/m3添加した場合の膨張率は0.05であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であり、本発明の地盤安定材より膨張率は小さかった。
【0066】
また、本発明の地盤安定材を地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を、山砂を主成分とする地盤に対して行った。実験結果は図11に示されるように、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は−0.01であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は−0.05であった。これに対し、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は0.29であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.42であった。そして、高炉セメントB種に対して二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合の膨張率は0.07であり、300kg/m3添加した場合の膨張率は0.33であった。
【0067】
ついで、本発明の地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して200kg/m3添加した場合と、山砂を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合、及び沖積粘土を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して250kg/m3添加した場合における膨張率と半水石膏配合量との関係を実験により調べた。
【0068】
実験結果は、図12に示されるように、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.23であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.34であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.19であった。また、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.15であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.42であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.14であった。さらに、他の例として、高炉セメントB種に半水石膏を50質量%配合した地盤安定材を関東ロームの地盤1m3に対して200kg/m3添加すると、膨張率は0.20であり、山砂の地盤1m3に対して300kg/m3添加すると膨張率は0.26であり、沖積粘土の地盤1m3に対して250kg/m3添加すると膨張率は0.11であった。このように、高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合した地盤安定材と、30質量%配合した地盤安定材は、共に膨張率が許容範囲であり、50質量%配合のものは膨張率が小さかった。
【0069】
そして、本発明の地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合における石膏の種別による膨張量の差異について実験を行った。膨張量を比較するために、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合と、比較例として高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して300kg/m3添加した場合で、膨張率が経過日数によって変化することを確認した。
【0070】
実験結果は、図13に示されるように、高炉セメントB種のみの場合、3日経過後に膨張量は−0.26であり、水浸後、数日で膨張は止まり、−0.12で安定した。高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は−0.19であり、水浸後数日で膨張は、ほぼ安定した。高炉セメントB種+半水石膏を30質量%配合した本発明の地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は−0.08であり、水浸後数日で膨張は、ほぼ安定した。実施例の膨張量は+0.23であり、許容範囲であった。すなわち、地盤安定材を添加して地盤改良工事を行った後、3〜7日程度で膨脹を完了させることができ、この後に地上の建築工事を実施することができ、地盤安定材添加後の膨脹の影響を少なくすることができる。
【0071】
また、本発明の地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に、乾式で地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合における石膏の種別による膨張量の差異について実験を行った。膨張量を比較するために、高炉セメントB種のみを地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合と、高炉セメントB種に二水石膏を30質量%配合した地盤安定材を地盤1m3に対して150kg/m3添加した場合で、膨張量が経過日数によって変化することを確認した。
【0072】
実験結果は、図14に示されるように、高炉セメントB種のみの場合は、3日経過後に膨張量は0であり、その後も7日まで0の状態が続き、10日以降は0.01の状態が15日まで安定して続いた。高炉セメントB種+二水石膏30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は+0.04であり、その後徐々に膨張量は大きくなり、約6日経過後は+0.06となり、約9日経過後以降は+0.07で安定した。高炉セメントB種+半水石膏を30質量%配合した地盤安定材の場合は、3日経過後に膨張量は+0.13であり、その後徐々に膨張量は大きくなり、約6日経過後は+0.24となり、約9日経過後に+0.27となり、約11日経過後に+0.28となり、約13日経過後以降は+0.29で安定した。実施例の膨張量は+0.29であり、膨張は吸水後数日でほとんどの膨張が終了することも考え合せ許容範囲であった。すなわち、地盤安定材を添加して地盤改良工事を行った後、7日程度で膨脹を完了させることができ、8日後には地上の建築工事を実施することができ、地盤安定材添加後の膨脹の影響を少なくすることができる。
【0073】
本発明の地盤安定材を地盤に添加して安定化した際に、六価クロムが溶出するかの確認を行った。関東ローム、沖積粘土、山砂、洪積粘土に、各々地盤安定材S01(高炉セメントB種に半水石膏を20質量%配合)、S02(高炉セメントB種に半水石膏を30質量%配合)を地盤1m3に対して300kg/m3添加し、締め固めた後、所定の試験方法に則り試験を行った。結果を以下の表1に示す。
【0074】
【表1】
表1に示されるように、山砂、関東ローム、沖積粘土、洪積粘土に、本発明の地盤安定材を添加して混合したとき、六価クロムの溶出は、0.02mg/L以下であり、問題点はなかった。実施例の地盤安定材を地盤に添加することで発生するエトリンガイドが、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の有害元素を封じ込め、溶出が防止されると考えられる。
【0075】
また、本発明の地盤安定材の有害物質溶出試験を行った。関東ローム、及び沖積粘土に地盤安定材S01を地盤1m3に対して300kg/m3添加した土、及び地盤安定材に配合した半水石膏を締固め、土壌溶出試験を行った結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
表2に示されるように、半水石膏単体からは基準値を超すフッ素が溶出したが、この半水石膏を配合した地盤安定材を混合した改良土からは、基準値を超す有害物質の溶出は見られなかった。
【0077】
さらに、本発明の地盤安定材を地盤に添加したときに、硫化水素ガスが発生するかの試験を行った。改良対象土には有機物や土壌菌は普遍的に存在するので、石膏を配合した地盤安定材により地盤固化を行うと硫化水素ガスの発生の可能性がある。試験結果を図15〜図17のグラフに示す。なお、グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は硫化水素ガス濃度(ppmV)を示している。
【0078】
図15、図16は各々、関東ローム、沖積粘土に地盤安定材S02を地盤1m3に対して250kg/m3添加して混合し、硫化水素ガスの発生を計測した結果を示している。図15、図16から明らかなように、硫化水素ガスの発生はなく、安定材としての用途には問題がないことを確認した。
【0079】
図17は廃石膏を有機物、及び土壌菌の存在下で嫌気養生した場合に、発生した硫化水素ガスのガス濃度を示している。図17から明らかなように、この場合には予想通り硫化水素ガスが発生した。このように、本発明の地盤安定材を地盤に添加して安定化させたとき、硫化水素ガスの発生はなかった。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、廃石膏材として石膏ボードの例を示したが、石膏ブロック等の成型されたものでもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の活用例として、この地盤安定材を用いて住宅等の建築予定地の地盤の安定化の他に、グランドや公園等の地盤の改良を行うことができ、さらに、道路用地や高速道路の橋脚を立てる用地等の改良の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの一軸圧縮強度と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図2】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と石膏の種別の関係を示すグラフ。
【図3】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図4】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図5】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図6】本発明に係る半水石膏の配合量を40質量%とした地盤安定剤を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの地盤安定剤の添加量と強度との関係を示すグラフ図。
【図7】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ図。
【図8】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図9】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの強度履歴と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図10】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図11】本発明の地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加して安定化させたときの地盤の膨張率と石膏の種類との関係を示すグラフ。
【図12】本発明に係る地盤安定材を、関東ローム、山砂、沖積粘土を主成分とする地盤に添加したときの膨張率と半水石膏配合量との関係を示すグラフ。
【図13】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に乾式で添加したときの石膏の種別による膨張量の差異を示すグラフ。
【図14】本発明に係る地盤安定材を、山砂を主成分とする地盤に乾式で添加したときの石膏の種別による膨張量の差異を示すグラフ。
【図15】本発明に係る地盤安定材を、関東ロームを主成分とする地盤に添加したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【図16】本発明に係る地盤安定材を、沖積粘土を主成分とする地盤に添加したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【図17】廃石膏を、有機物及び土壌菌の存在下で嫌気養生したときの硫化水素ガスの発生状態を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、
前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴とする地盤安定化工法。
【請求項2】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、
前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加し、
地上の建築工事施工前に地盤の膨張を早期に完了させることを特徴とする地盤安定化工法。
【請求項3】
前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤安定化工法。
【請求項4】
前記地盤が関東ロームを主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項5】
前記地盤が沖積粘土を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して150〜250kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項6】
前記地盤が山砂を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して50〜150kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項7】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材であって、
前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とし、
前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で添加し、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることを特徴とする地盤安定材。
【請求項8】
前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏であることを特徴とする請求項7に記載の地盤安定材。
【請求項1】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、
前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加することを特徴とする地盤安定化工法。
【請求項2】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材を地盤に添加して混合する地盤安定化工法であって、
前記地盤安定材は、フッ素等の元素や、六価クロム等の元素を地盤中に封じ込めると共に地盤の圧縮強度を増強するべく、前記半水石膏の配合量を、前記地盤の土質により該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下の範囲内で選択し、かつ、前記地盤1m3に対して50〜300kgの範囲内で選択して添加し、
地上の建築工事施工前に地盤の膨張を早期に完了させることを特徴とする地盤安定化工法。
【請求項3】
前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤安定化工法。
【請求項4】
前記地盤が関東ロームを主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して200〜300kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項5】
前記地盤が沖積粘土を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して150〜250kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項6】
前記地盤が山砂を主成分とする地盤のとき、前記地盤安定材は地盤1m3に対して50〜150kgの範囲内で選択して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地盤安定化工法。
【請求項7】
高炉セメントB種に対して半水石膏を配合した地盤安定材であって、
前記半水石膏の配合量を、該地盤安定材の15質量%を超えて50質量%以下とし、
前記地盤安定材を地盤に1m3に対して50〜300kgの範囲内で添加し、地盤中に含まれるフッ素等の元素や、六価クロム等の元素を封じ込めると共に、地盤の圧縮強度を増強させることを特徴とする地盤安定材。
【請求項8】
前記半水石膏は、石膏ボード等の廃石膏材から形成したリサイクル石膏であることを特徴とする請求項7に記載の地盤安定材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−31561(P2010−31561A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195254(P2008−195254)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(302062610)アドセラ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(302062610)アドセラ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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