説明

基地局、無線通信システム及び障害発生通知方法

【課題】基地局の状態を基地局制御装置に通知する機器に障害が発生した場合にも、障害の発生を基地局制御装置に通知することのできる基地局、無線通信システム及び障害発生通知方法を提供する。
【解決手段】基地局103は、所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイス125と、自局内での障害を検出する障害検出部131と、障害の発生を基地局制御装置に通知する障害通知部132と、障害通知部132と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部127とを備え、障害検出部131が障害通知部132の障害を検出すると、プログラマブルロジックデバイス125は、記憶部127に記憶された回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、障害通知部132に代わって障害の発生を隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、無線通信システム及び障害発生通知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、機器の故障やプログラムの暴走等によりシステムの正常動作を妨げる事象(障害)が発生することがある。障害は、ネットワークの遅延や通信不能といった通信環境の劣化を引き起こすものであり、安定した無線通信システムを実現するためには、障害の発生を迅速に検出し、システムを復旧する必要がある。
【0003】
基地局は、データ転送時のパケット損失や転送遅延等の通信異常を検出すると、基地局内で障害が発生していると判断する。すると、基地局は、障害を解消するために再起動することになる。しかし、基地局の再起動中は、リンク断が生じ、カバレッジ(通信エリア)に穴(通信不能エリア)が発生してしまうことになる。そのため、再起動中の基地局を利用していた移動局の呼は全て切断されてしまう。
【0004】
そこで、従来、基地局の再起動前に、当該基地局の通信エリアを、当該基地局に隣接する基地局(隣接基地局)の通信エリアで補填する(カバーする)方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、ある基地局で障害が発生すると、基地局は、障害が発生した自局の状態を基地局制御装置に通知する。すると、基地局制御装置は、障害が発生した基地局(障害発生基地局)の隣接基地局に対して、障害発生基地局の通信エリアを覆うように送信電力の増加を指示する。これにより、障害が発生した基地局を利用する移動局は、隣接基地局へハンドオーバすることが可能になる。移動局が通信先をハンドオーバした後、障害発生基地局はシステム復旧のために再起動を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−78938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、基地局の状態を基地局制御装置に通知する機器そのものが劣化したり故障していたりすると、障害が発生しているにも係わらず障害の発生状況が基地局制御装置に通知されないことがある。このような場合、基地局制御装置による定期的な基地局の状態監視が行われるまでは、基地局制御装置は障害の発生を検知することができない。障害の発生の検知が遅れると、その分通信環境の劣化を招き、ひいては通信不能時間が増長することになる。
【0007】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、基地局の状態を基地局制御装置に通知する機器に障害が発生した場合にも、障害の発生を基地局制御装置に通知することのできる基地局、無線通信システム及び障害発生通知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による基地局は、
基地局内での障害の発生に基づいて隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置に対して、障害の発生を通知する基地局であって、当該基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記基地局制御装置に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知する基地局である。
【0009】
また、上述した諸課題を解決すべく、第2の観点による通信システムは、
基地局と、当該基地局に隣接する複数の隣接基地局と、前記隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置とから構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記基地局制御装置に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が、前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知し、
前記基地局制御装置は、
障害の発生が通知されると、前記隣接基地局に対して、当該隣接基地局の通信エリアが前記基地局の通信エリアを覆うまで送信電力を上げるよう指示し、前記隣接基地局による送信電力の上昇後、前記基地局に対して、再起動するよう指示する制御部を備える
無線通信システムである。
【0010】
また、上述した諸課題を解決すべく、第3の観点による通信システムは、
基地局と、当該基地局に隣接する複数の隣接基地局と、前記基地局と前記隣接基地局との通信エリアを含む通信情報を前記隣接基地局に送信する基地局制御装置とから構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記隣接基地局に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が、前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記隣接基地局に通知し、
前記隣接基地局は、
障害の発生が通知されると、前記通信情報に基づいて、当該隣接基地局の通信エリアが前記基地局の通信エリアを覆うまで送信電力を上げる送信電力調節部を備える
無線通信システムである。
【0011】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0012】
例えば、本発明の第1の観点を方法として実現させた障害発生通知方法は、
基地局内での障害の発生に基づいて隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置に対して、障害の発生を通知する障害発生通知方法であって、
前記基地局のプログラマブルロジックデバイスが所定の通信処理を行うステップと、
前記基地局が自局内での障害を検出するステップと、
前記基地局の障害通知部が前記基地局制御装置に障害の発生を通知するステップと、
前記障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶するステップと、
前記障害通知部の障害が検出されると、前記プログラマブルロジックデバイスが、前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知するステップと
を含む障害発生通知方法である。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成された本発明に係る基地局、無線通信システム及び障害発生通知方法によれば、障害通知部に障害が発生している場合、プログラマブルロジックデバイスが障害通知部に代わって障害の発生を基地局制御装置に通知する。よって、障害通知部が機能しない場合にも基地局制御装置への障害の発生の通知が遅れることがないため、障害の発生に伴う通信不能時間を短縮することができ、システムを障害から迅速に復旧することができる。また、代替デバイスであるプログラマブルロジックデバイスは、障害発生時以外は、所定の通信処理を行うものである。よって、基地局に代替デバイスを設けるために、代替デバイス専用の回路を実装する必要がない。従って、基地局の回路規模の小型化及び回路設計に必要なコストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの全体像を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る基地局制御装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る基地局及び隣接基地局のセルを示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る基地局の処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る基地局が再起動するまでのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの全体像を示す概略構成図である。本実施形態の無線通信システム101は、基地局103と、当該基地局103に隣接する隣接基地局103aと、基地局制御装置107とを有する。
【0017】
基地局103及び隣接基地局103aは、携帯電話端末やPHS(Personal Hnady-phone System)端末等の無線通信端末(図示せず)と通信を行うもので、例えば、LTE(Long Term Evolution)システムではeNB(evolved Node B)、HRPD(High Rate Packet Data:高速パケットデータ)システムではAN(Access Network)と称されるものである。基地局103が無線通信端末と通信できるエリア(請求項における通信エリア)を示すセルは、図1では基地局103を囲む円形のセル111で表されている。隣接基地局103aは、基地局103の周囲の基地局であり、各隣接基地局103aのセル111aは、基地局103のセルに隣接している。基地局103と隣接基地局103aとは、例えばX2インタフェースによって接続されている。X2インタフェースとは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定された無線基地局間インタフェースのことである。X2インタフェースにより、基地局103又は隣接基地局103aとは互いにデータを送受信できる。
【0018】
基地局制御装置107は、基地局103及び隣接基地局103aの呼制御やリソースの管理を行うものであり、RNC(Radio Network Controller:無線ネットワーク制御装置)と称されるものでもある。リソースの管理には、基地局及び隣接基地局が使用している周波数、当該周波数で送信される信号の送信電力、当該送信電力でカバーする通信エリアなどの通信情報の管理が含まれる。基地局制御装置107と、基地局103又は隣接基地局103aとの接続は、例えばIubインタフェースにより実現される。当該Iubインタフェースにより、基地局制御装置107と、基地局103又は隣接基地局103aとは互いにデータを送受信できる。
【0019】
図2は、本実施形態に係る基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。基地局103は、通信部121と、ベースバンド部123と、記憶部127と、基地局制御部129と、スイッチ135とを備えている。なお、隣接基地局103aに関する機能ブロックは基地局103と同様であり、以下、隣接基地局103aに関する機能ブロックの参照符号にはaを付して説明する。
【0020】
通信部121は、アンテナを介して、無線通信端末と信号を無線により送受信するものである。通信部121は、受信したRF(Radio Frequency)信号(無線信号)をIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号にダウンコンバートする。また、通信部121は、信号の送信時には、ベースバンド部123からの信号をRF信号にアップコンバートする。なお、本発明は、通信部121がスーパーヘテロダイン方式を採用することに限定されるものではなく、通信部121は、IF信号を生成しないダイレクトコンバージョン方式を採用することもできる。
【0021】
ベースバンド部123は、通信部121からの受信信号に対してAD変換や高速フーリエ変換等を行うことにより、受信信号を復調し、ベースバンド信号を取り出す。また、ベースバンド部123は、送信するベースバンド信号に対して逆高速フーリエ変換やDA変換等を行うことにより、ベースバンド信号を変調する。本実施形態では、プログラマブルロジックデバイス125が、所定の通信処理として、ベースバンド部123の全て又は一部の処理を行うとする。プログラマブルロジックデバイス125は、回路設定情報に基づいて、内部の論理回路の構成を適宜変更可能なものであり、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)である。例えば、プログラマブルロジックデバイス125には、ベースバンド部123に関する処理行うための回路設定情報が読み込まれている。なお、本発明は、プログラマブルロジックデバイス125がベースバンド部123の全て又は一部の処理を行うことに限定されるものではない点に留意すべきである。プログラマブルロジックデバイス125は、例えば、通信部121の処理を行うこともできる。
【0022】
記憶部127は、プログラマブルロジックデバイス125が使用する回路設定情報や通信情報等の各種情報を記憶するものであり、ワークメモリ等としても機能する。回路設定情報には、例えば、後述の障害通知部132と同じ機能を実行するための情報が含まれる。
【0023】
基地局制御部129は、基地局103の各機能ブロックをはじめとして基地局103の全体を制御及び管理している。基地局制御部129は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることもできる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る基地局制御部129は、障害検出部131と、障害通知部132と、送信電力調節部133と、再起動部134とを備えるものとする。
【0025】
障害検出部131は、基地局103の各部(各装置)を監視し、障害の発生を検出する。例えば、障害検出部131は、基地局103の各部から定期的な信号を受け、所定の間隔で受信されなかった信号が存在する場合、当該信号を送るべき装置にて障害が発生していると判断できる。障害検出部131は、検出した障害に対応する障害情報を生成する。障害検出部131は、障害情報には、障害が発生した基地局を特定する情報(たとえばID(Identification)情報)及び基地局103内の障害箇所を特定する情報を含めることができる。
【0026】
障害通知部132は、障害検出部131が生成した障害情報をスイッチ135に出力する。
【0027】
送信電力調節部133は、無線通信端末と通信を行うために送信する電波の送信電力を調節する。
【0028】
再起動部134は、基地局103の運転を再起動する。
【0029】
スイッチ135は、障害通知部132とプログラマブルロジックデバイス125とを択一的に基地局制御装置107(制御部141)又は隣接基地局103a(スイッチ135a)に接続するものである。上述したように、基地局103と基地局制御装置107との接続に使用されるインタフェースと、基地局103と隣接基地局103aとの接続に使用されるインタフェースとは異なるものであるが、図2では便宜上、スイッチ135から基地局制御装置107及び隣接基地局103aへの接続を一つの線にまとめて記載している。なお、本発明は、スイッチのある構成に限定されるものではなく、障害通知部132とプログラマブルロジックデバイス125とを、スイッチ135を介さずにそれぞれ基地局制御装置107又は隣接基地局103aに接続することもできる。
【0030】
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る基地局制御装置の概略構成を示す機能ブロックを説明する。基地局制御装置107は、制御部141を備えるものである。
【0031】
制御部141は、基地局103から障害の発生が通知されると、隣接基地局103aに対して、隣接基地局103aの通信エリアが基地局103の通信エリアを覆うまで送信電力を上げるよう指示する。例えば、制御部141は、管理する通信情報に基づいて、隣接基地局103aの通信エリアが基地局103の通信エリアを覆う送信電力値を求め、当該送信電力値の情報を隣接基地局103aに送る。隣接基地局103aは、受信した送信電力値で信号を無線通信端末に送信することになる。図4のように、隣接基地局103aのセル111aが、送信電力の上昇によってセル111aeまで拡がることにより、隣接基地局103aの通信エリアが基地局103の通信エリアを覆うことになる。
【0032】
また、制御部141は、隣接基地局103aの送信電力の引き上げ後に、基地局103に対して、障害を解消するために運転を再起動するよう指示することもできる。基地局103の通信エリアは、隣接基地局103aの通信エリアで覆われているため、基地局103が障害を解消するために運転を停止したとしても、カバレッジに穴が発生することはない。
【0033】
続いて、無線通信システム101における障害対応処理方法について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る基地局の処理を示すフローチャートである。図6は、本発明の一実施形態に係る基地局が障害解消のために再起動するまでのシーケンス図である。
【0034】
まず、基地局103内で障害が発生すると、障害検出部131が障害を検出する(ステップS101及び図6の1)。そして、障害検出部131は、障害が基地局103内のいずれの部分(装置)で発生しているかを特定する(ステップS102)。
【0035】
障害が障害通知部132以外の装置で発生している場合(ステップS102のNo)、障害通知部132は正しく機能することを意味する。そこで、基地局制御部129は、障害通知部132と基地局制御装置107とが接続されるようにスイッチ135を制御する。そして、障害通知部132は基地局制御装置107に障害情報を送信し、障害の発生を通知する(ステップS103及び図6の2)。
【0036】
障害が障害通知部132で発生している場合(ステップS102のYes)、障害通知部132が基地局制御装置107に障害情報を送信することはできない。そこで、基地局制御部129は、障害通知部132と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶部127から読み出し、当該回路設定情報に基づいてプログラマブルロジックデバイス125のソフトウェアを書き換える(ステップS104)。
【0037】
そして、基地局制御部129は、プログラマブルロジックデバイス125と基地局制御装置107とが接続されるようにスイッチ135を制御する。これによって、プログラマブルロジックデバイス125は基地局制御装置107に障害情報を送信し、障害の発生を通知する(ステップS105及び図6の2)。
【0038】
基地局制御装置107が障害情報を受信すると、制御部141は、障害情報のID情報からいずれの基地局で障害が発生しているかを特定する。そして、特定された基地局103の隣接基地局103aに、隣接基地局103aの通信エリアが基地局103の通信エリアを覆うまで送信電力を上げるよう指示する(図6の3)。隣接基地局103aの送信電力調節部134aは、指示に従い送信電力を引き上げる(図6の4)。基地局制御部129aは、送信電力の引き上げ後、送信電力の引き上げが完了したことを基地局制御装置107に通知する(図6の5)。
【0039】
続いて、基地局制御装置107の制御部141は、基地局103に障害解消のために運転を再起動するよう指示する(図6の6)。再起動部134は、再起動に関する指示を受信すると(ステップS106)、基地局103の再起動を行う(ステップS107及び図6の7)。基地局の再起動は、特にソフトウェアに起因する障害からシステムを復旧する場合に有効である。なお、本発明は、再起動部134が基地局103内部の全装置を再起動することに限定されるものではなく、例えば、再起動部134は、障害が発生している装置のみを再起動することもできる。
【0040】
再起動完了後、基地局103の基地局制御部129は、再起動が完了したことを基地局制御装置107に通知することができる。そして、基地局制御装置107は、隣接基地局103aに送信電力を元(引き上げ前の値)に戻すよう指示することができる。
【0041】
ステップS103及びステップS105において、基地局制御部129は、隣接基地局103aと障害通知部132又はプログラマブルロジックデバイス125とが接続されるようにスイッチ135を制御することができる。これにより、基地局103での障害の発生が隣接基地局103aに、基地局制御装置107を介さずに直接通知される。隣接基地局103aは、通信情報に基づいて、隣接基地局103aの通信エリアが基地局103の通信エリアを覆うまで送信電力を上げることができる。なお、隣接基地局103aは、通信情報を基地局制御装置107の制御部141から予め受信することができる。
【0042】
このように本実施形態では、基地局103の障害検出部131が障害通知部132の障害を検出すると、プログラマブルロジックデバイス125は、記憶部127に記憶された回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、障害通知部132に代わって障害の発生を基地局制御装置107に通知する。つまり、ソフトウェアのプログラム暴走等の発生により、障害通知部132が機能しなくなった場合にも、障害通知部132の代替デバイスであるプログラマブルロジックデバイス125が基地局103での障害の発生を基地局制御装置107に通知することができる。よって、基地局制御装置107への障害の発生の通知が遅れることがないため、障害の発生に伴う通信不能時間を短くすることができ、システムを障害から迅速に復旧することができる。
【0043】
また、本実施形態の代替デバイスであるプログラマブルロジックデバイス125は、障害発生時以外は、ベースバンド部123の全て又は一部の処理を行うものである。そして、障害発生時には、プログラマブルロジックデバイス125のソフトウェアが、障害通知部132と同じ機能が実行できるように書き換えられる。よって、基地局103に代替デバイスを設けるために、代替デバイス専用の回路を実装する必要がない。従って、基地局103の回路規模の小型化及び回路設計に必要なコストの削減が可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、基地局103は、障害の発生を隣接基地局103aに通知することができる。つまり、障害の発生が基地局制御装置107を介さずに隣接基地局103aに通知される。よって、隣接基地局103aは、基地局制御装置107からの送信電力引き上げの指示を待たずして、障害の発生を検知して、送信電力を引き上げることができる。そのため、障害の発生に伴う通信不能時間を、基地局制御装置107からの送信電力の引き上げ指示が存在する場合に比べ、更に短くすることができる。
【0045】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0046】
例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
101 無線通信システム
103 基地局
103a 隣接基地局
107 基地局制御装置
111 基地局のセル
111a、111ae 隣接基地局のセル
121 通信部
123 ベースバンド部
125 プログラマブルロジックデバイス
127 記憶部
129 基地局制御部
131 障害検出部
132 障害通知部
133 送信電力調節部
134 再起動部
135 スイッチ
141 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局内での障害の発生に基づいて隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置に対して、障害の発生を通知する基地局であって、当該基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記基地局制御装置に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知する基地局。
【請求項2】
基地局と、当該基地局に隣接する複数の隣接基地局と、前記隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置とから構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記基地局制御装置に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が、前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知し、
前記基地局制御装置は、
障害の発生が通知されると、前記隣接基地局に対して、当該隣接基地局の通信エリアが前記基地局の通信エリアを覆うまで送信電力を上げるよう指示し、前記隣接基地局による送信電力の上昇後、前記基地局に対して、再起動するよう指示する制御部を備える
無線通信システム。
【請求項3】
基地局と、当該基地局に隣接する複数の隣接基地局と、前記基地局と前記隣接基地局との通信エリアを含む通信情報を前記隣接基地局に送信する基地局制御装置とから構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
所定の通信処理を行うプログラマブルロジックデバイスと、
自局内での障害を検出する障害検出部と、
障害の発生を前記隣接基地局に通知する障害通知部と、
当該障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記障害検出部が、前記障害通知部の障害を検出すると、前記プログラマブルロジックデバイスは、前記記憶部に記憶された前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記隣接基地局に通知し、
前記隣接基地局は、
障害の発生が通知されると、前記通信情報に基づいて、当該隣接基地局の通信エリアが前記基地局の通信エリアを覆うまで送信電力を上げる送信電力調節部を備える
無線通信システム。
【請求項4】
基地局内での障害の発生に基づいて隣接基地局の送信電力を制御する基地局制御装置に対して、障害の発生を通知する障害発生通知方法であって、
前記基地局のプログラマブルロジックデバイスが所定の通信処理を行うステップと、
前記基地局が自局内での障害を検出するステップと、
前記基地局の障害通知部が前記基地局制御装置に障害の発生を通知するステップと、
前記障害通知部と同じ機能を実行するための回路設定情報を記憶するステップと、
前記障害通知部の障害が検出されると、前記プログラマブルロジックデバイスが、前記回路設定情報に基づいて内部の論理回路を構成し、前記障害通知部に代わって障害の発生を前記基地局制御装置に通知するステップと
を含む障害発生通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−110533(P2013−110533A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253231(P2011−253231)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】