基板搬送装置
【課題】 基板に対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、基板を迅速に方向転換して搬送することができる基板搬送装置を提供する。
【解決手段】 基板を水平に保ちながら方向転換して搬送するための基板搬送装置Aであって、基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージ1と、エアステージ1に隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、エアステージ1上における基板の側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動しうるように支持する支持手段2A,2Bと、エアステージ1の中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、エアステージ1上における基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を第1の水平方向F1から異なる第2の水平方向F2に方向転換させる回転手段3とを備えている。
【解決手段】 基板を水平に保ちながら方向転換して搬送するための基板搬送装置Aであって、基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージ1と、エアステージ1に隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、エアステージ1上における基板の側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動しうるように支持する支持手段2A,2Bと、エアステージ1の中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、エアステージ1上における基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を第1の水平方向F1から異なる第2の水平方向F2に方向転換させる回転手段3とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、たとえばガラス基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基板搬送装置としては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された基板搬送装置においては、第1の水平方向に沿って搬送されてきた基板を90度方向転換させて第2の水平方向に送り出すように、所定の箇所に多数個の第1のローラおよび第2のローラが設けられている。第1のローラは、基板の下面を全体的に支持しつつ当該基板を第1の水平方向に沿って移動させるように配置されており、第2のローラは、基板の下面を全体的に支持しつつ当該基板を第2の水平方向に沿って移動させるように配置されている。これら第1および第2のローラは、互いに重なり合うことなく排他的に上下動作および回転するように構成されている。すなわち、第1の水平方向に沿って搬送されてきた基板を受け取る際には、第1のローラが高位置をとって回転するとともに第2のローラが低位置をとり、基板は、第1のローラを介して第1の水平方向に移動させられる。一方、第2の水平方向に沿って基板を送り出す際には、上記とは逆に第1のローラが低位置をとるとともに第2のローラが高位置をとって回転し、基板は、第2のローラを介して第2の水平方向に移動させられる。これにより、基板は、第1の水平方向から第2の水平方向に90°方向転換させられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−77592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の基板搬送装置では、第1および第2のローラが基板の下面全体を支持するように配置されているため、基板とローラとの接触面積が比較的大きく、回転するローラと基板との摩擦によって静電気が発生しやすい。そのため、基板には、ゴミなどのパーティクルが付きやすく、さらには傷などが付くおそれがあった。一方、基板を方向転換させる際に第1および第2のローラを比較的ゆっくりと上下動作させたり低速で回転させれば、パーティクルの付着や傷付きをある程度緩和できるが、そうすると基板を迅速に方向転換させることができなくなってしまう。
【0005】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、基板に対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、基板を迅速に方向転換して搬送することができる基板搬送装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本願発明によって提供される基板搬送装置は、平面視矩形状の基板を水平に保ちながら当該基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置であって、上記基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージと、上記エアステージに隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の側縁部を第1の水平方向に沿って移動しうるように支持する支持手段と、上記エアステージの中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第1の水平方向から異なる第2の水平方向にあるいはその逆方向に方向転換させる回転手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上記第1の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の側縁部を支持し、その後、上記回転手段は、上記支持手段に代わって上記基板の下面中央部を支持しつつ鉛直軸周りに回転することにより、当該基板を上記第1の水平方向から上記第2の水平方向に方向転換させる。
【0009】
他の好ましい実施の形態としては、上記回転手段は、上記第2の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第2の水平方向から上記第1の水平方向に方向転換させ、その後、上記支持手段は、上記回転手段に替わって上記基板の側縁部を支持することにより、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させる。
【0010】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージは、全体的に平面視矩形状を呈して上記基板と略同一の面積をもつように構成されている。
【0011】
他の好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上記エアステージの相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている。
【0012】
このような構成によれば、基板は、その側縁部や下面中央部が支持手段や回転手段に接するものの、それ以外の部分は空気圧の緩衝層を介してエアステージの上方に浮いた状態となる。そのため、基板の接触面積はできる限り小さく抑えられ、たとえば基板を第1の水平方向から第2の水平方向に方向転換して搬送する際には、支持手段および回転手段を比較的高速に動作させるようにしても、静電気がそれほど発生することはない。したがって、本願発明に係る基板搬送装置によれば、基板に対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、基板を迅速に方向転換して搬送することができる。
【0013】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージは、空気噴出孔を上面に有する複数のエアチャンバーを上記回転手段の周囲に配置するようにして構成されており、これら複数のエアチャンバーのうちの少なくとも1つは、上記第2の水平方向に沿って他の基板搬送装置との間で上記基板を受け渡ししうるように、その際には上記支持手段とともに所定の下位置をとるべく上下動作可能に設けられている。
【0014】
このような構成によれば、たとえば他の基板搬送装置としてのロボットハンドが第2の水平方向に沿って移動しながら所定の下位置まで下がったエアチャンバーと基板との間に入り込むことができ、他の基板搬送装置に対して基板を受け渡すことができる。
【0015】
他の好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ブロックと、上記基板の側縁部を支持するように上記可動ブロックに設けられており、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させるための複数のガイドローラとを有して構成されている。
【0016】
このような構成によれば、複数のガイドローラによって基板の側縁部を支持しながら当該基板を第1の水平方向にスムーズに移動させることができる。
【0017】
他の好ましい実施の形態としては、上記可動ブロックの上面には、空気噴出孔が設けられている。
【0018】
このような構成によれば、基板を方向転換させる際、基板の一部が可動ブロックの上方に差し掛かった状態になるものの、そのような部分も含めて基板の下面全体に空気圧による緩衝層を形成することができる。
【0019】
他の好ましい実施の形態としては、上記回転手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ベースと、この可動ベースに設けられた回転用のモータと、このモータによって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニットと、上記基板の下面中央部を真空吸着するように上記回転ユニットの上部に設けられた複数の真空吸着盤と、これら複数の真空吸着盤に真空状態を発生させるための真空ポンプとを有して構成されている。
【0020】
このような構成によれば、基板を真空吸着盤により回転ユニットの上部に確実に保持した状態で当該基板を鉛直軸周りに回転させることができる。
【0021】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージの中央部には、開口部が形成されているとともに、この中央開口部と対応する位置に上記回転手段が配置されており、上記回転手段はさらに、上記複数の真空吸着盤が嵌入可能な複数の穴をもち、上記回転ユニットの上部に緩衝器を介して支持された補助プレートを有しており、この補助プレートは、上記可動ベースが所定の下位置をとるとき、上記複数の真空吸着盤よりも上方に位置して上記中央開口部を平坦に塞ぐように構成されている。
【0022】
このような構成によれば、エアステージ上に基板が搬送されてくる際、基板の先端部がエアステージの中央開口部に差し掛かった状態になるものの、当該中央開口部が補助プレートによって平坦に塞がれるため、基板の先端部が垂れて中央開口部に引っ掛かるといったことを防ぐことができる。
【0023】
他の好ましい実施の形態としては、上記補助プレートは、上記エアステージ上に上記基板が配置された状態で上記可動ベースが所定の上位置をとるとき、上記基板に押し返されることで上記緩衝器の弾力に抗して変位させられ、上記複数の真空吸着盤が上記複数の穴に嵌入した状態で当該基板の下面中央部を真空吸着するように構成されている。
【0024】
このような構成によれば、真空吸着盤を用いて基板を保持する際、補助プレートに妨げられることなくこの補助プレートの穴を介して基板の下面中央部に真空吸着盤を接触させることができ、真空吸着によって確実に基板を保持することができる。
【0025】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージには、上記基板の相対する角部を挟持可能なクランプ機構が設けられている。
【0026】
このような構成によれば、エアステージ上における基板の姿勢をクランプ機構によって矯正することができる。
【0027】
他の好ましい実施の形態としては、上記クランプ機構は、上記エアステージの端部上方に設けられており、上記基板の角部に当接可能なローラを鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている。
【0028】
このような構成によれば、基板を方向転換させる際には、基板に対してクランプ機構のローラが接触しないようにこのローラを鉛直方向上側に移動させておくことがき、基板の姿勢を矯正する際には、上記ローラを鉛直方向下側に移動させた状態で水平方向に前進させ、このローラを基板の角部に当接させることができる。
【0029】
他の好ましい実施の形態としては、上記クランプ機構が位置する上記エアステージの端部には、当該エアステージの下方適部に緩衝器を介して支持された補助プレートが設けられており、この補助プレートは、上記クランプ機構のローラが所定の上位置をとるとき、上記エアステージの上面に沿って平坦な面をなす一方、上記ローラが所定の下位置をとるとき、このローラに押されることで上記緩衝器の弾力に抗して下方に変位させられ、そのまま当該ローラが水平方向に前進移動して上記基板の角部に当接するように構成されている。
【0030】
このような構成によれば、エアステージ上において基板が回転させられる際には、クランプ機構が位置するエアステージの端部が補助プレートによって平坦な面をなすため、この端部を通過する基板の側縁部などが垂れてエアステージの端部に引っ掛かるといったことを防ぐことができる。一方、基板の姿勢を矯正する際には、補助プレートに妨げられることなくこの補助プレートを弾性的に押し下げるようにして基板の角部にローラを当接させることができる。
【0031】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1〜15は、本願発明に係る基板搬送装置の一実施形態を示している。
【0033】
図1や図7などに示されているように、本願発明に係る基板搬送装置Aは、他の基板搬送装置B1〜B4,Cとともにガラス基板Gを水平に保ちながら搬送するためのものであって、この基板搬送装置Aは、第1の水平方向F1から第2の水平方向F2にガラス基板Gを90度方向転換して搬送しうるように設置されている。他の基板搬送装置B1〜B4は、第2の水平方向F2から第1の水平方向F1にガラス基板Gを搬送して基板搬送装置Aへと送り出すように設置されており、これらの基板搬送装置B1〜B4は、基板搬送装置Aと同一または類似の構成要素を備えている。さらに別の基板搬送装置Cは、既知のロボットハンドを有するものであって、基板搬送装置Aとの間でガラス基板Gを第2の水平方向F2に沿って受け渡ししうるように設置されている。なお、搬送の対象となるものとしては、ガラス基板Gに限らず、平面視矩形状で薄板状のものであればよい。
【0034】
図1〜4によく示されているように、基板搬送装置Aは、エアステージ1、支持手段2A,2B、および回転手段3をフレーム台4に設けて構成されている。エアステージ1は、ガラス基板Gの下面との間に空気圧による緩衝層を形成するためのものであって、複数のエアチャンバー10A,10Bを有して構成されている。支持手段2A,2Bは、エアステージ1上におけるガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動可能に支持するものであって、支持手段2A,2Bのそれぞれは、たとえばエア駆動方式による上下動作用のアクチュエータ20、このアクチュエータ20によって上下させられる可動ブロック21、およびガラス基板Gの側縁部を支持するように可動ブロック21に設けられた複数のガイドローラ22を有して構成されている。回転手段3は、エアステージ1の中央開口部1Aにおいて上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、この回転手段3は、所定の上位置をとる状態でエアステージ1上におけるガラス基板Gの下面中央部を支持するとともに、さらに鉛直軸周りに回転することでガラス基板Gを第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換させるものである。
【0035】
図2によく示されているように、エアステージ1は、複数のエアチャンバー10A,10Bを回転手段3の周囲に配置して中央開口部1Aを形成するように構成されており、全体的には平面視矩形状を呈してガラス基板Gと略同一の面積をもつ。図6によく示されているように、エアチャンバー10A,10Bは、空気供給源(図示略)から可撓性のエアパイプ11を介して送られてきた圧縮空気が内部に導かれるようになっている。このような空気供給源は、装置ごとに設置されている。エアチャンバー10A,10Bの上面10aには、内部側から外部側へと空気を噴出するための複数の空気噴出孔10bが設けられており、これらの空気噴出孔10bには、空気を通す多孔質部材12が嵌め込まれている。このようなエアチャンバー10A,10Bの上面10aは、全体として一様に平坦な面をなしており、その上方に位置するガラス基板Gとの間に空気の緩衝層を形成しやすい形状となっている。図2や図4によく示されているように、第1の水平方向F1から見て前後両端の位置や他の基板搬送装置Cのハンド部C1と対応する位置のエアチャンバー10Aは、支持手段2A,2Bのものと同様のアクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、このアクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。その他のエアチャンバー10Bは、フレーム台4に対して固定的に支持されている。
【0036】
図2および図3によく示されているように、支持手段2A,2Bは、エアステージ1の相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている。このような支持手段2A,2Bの本体となる可動ブロック21は、第1の水平方向F1に沿うように配置されているとともに、アクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、この可動ブロック21は、アクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。また、可動ブロック21は、先述したエアチャンバー10A,10Bと同様の構造をもっており、可動ブロック21の上面からは、内部に導かれた空気が複数の空気噴出孔21bを通じて外部へと噴出される。このような可動ブロック21の上面もまた、全体として一様に平坦な面をなしており、その上方に位置するガラス基板Gとの間に空気の緩衝層を形成しやすい形状となっている。図2および図5によく示されているように、エアステージ1に対向する側となる可動ブロック21の側部には、ガラス基板Gの側縁部を支持しながらこのガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って強制的に移動させるための複数のガイドローラ22が軸支されており、これらのガイドローラ22は、第1の水平方向F1に沿って一定間隔おきに設けられている。可動ブロック21の適部には、ガイドローラ22を回転させるためのローラ回転用モータ23や伝動ベルト24、プーリギヤ25が内蔵されている(図5参照)。各ガイドローラ22は、エアステージ1よりも上方でガラス基板Gの下面側縁部に接する小径部22aと、この小径部22aよりも可動ブロック21側に位置してガラス基板Gの側縁部を規制する大径部22bとをもつ。ローラ回転用モータ23の回転力は、伝動ベルト24およびプーリギヤ25を介して複数のガイドローラ22に伝わり、これにより複数のガイドローラ22が同時かつ所定の回転方向に回転する。このようなガイドローラ22によれば、ガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って真っ直ぐ移動させることができ、ガラス基板Gの位置ずれを防ぐことができる。
【0037】
図4によく示されているように、回転手段3は、支持手段2A,2Bなどのものと同様のアクチュエータ20、このアクチュエータ20によって上下させられる可動ベース30、この可動ベース30に固定された回転用モータ31、この回転用モータ31によって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニット32、ガラス基板Gの下面中央部を真空吸着するように回転ユニット32の上部4箇所に配置された真空吸着盤33、および真空吸着盤33に真空状態を発生させるように回転ユニット32に内蔵された真空ポンプ(図示略)を有して構成されている。可動ベース30は、エアステージ1の中央開口部1Aの下方に配置されているとともに、アクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、この可動ベース30は、アクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。ガラス基板Gが支持手段2A,2Bによって支持された後、真空吸着盤33は、回転ユニット32などと一体となって所定の上位置まで移動する。これにより、真空吸着盤33は、支持手段2A,2Bのガイドローラ22よりも上方においてガラス基板Gの下面に接する。このとき、真空ポンプによって真空吸着盤33が真空状態とされるため、これらの真空吸着盤33がガラス基板Gの下面中央部付近となる4箇所を確実に吸着保持する。このようにしてガラス基板Gが真空吸着盤33に吸着保持された後、回転ユニット32が回転用モータ31によって90度回転させられる。その結果、真空吸着盤33に吸着保持されたガラス基板Gが第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換する。その後、真空ポンプの動作が停止するとともに、回転ユニット32が支持手段2A,2Bの可動ブロック21とともに所定の下位置まで移動する。これにより、ガラス基板Gがエアステージ1上に保持された状態となる。
【0038】
他の基板搬送装置B1〜B4は、基板搬送装置Aと同一または類似の構成要素を用いて構成されているため、これらの構成要素については、図1などに同一符号を付してその説明を省略する。基板搬送装置B1,B2は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、ガラス基板Gの側縁部を第2の水平方向F2に沿って移動可能に支持する複数の固定ブロック5とを有して構成されている。固定ブロック5には、基板搬送装置Aのものと同様のガイドローラ22が設けられている。これらの基板搬送装置B1,B2は、基板搬送装置B1にセットされたガラス基板Gを第2の水平方向F2に沿って基板搬送装置B3へと送り出す役割をもつ。
【0039】
基板搬送装置B3は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、第1の水平方向F1に沿うガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に移動可能に支持する第1の支持手段2A,2Bと、第2の水平方向F2に沿うガラス基板Gの側縁部を第2の水平方向F2に移動可能に支持する第2の支持手段2C,2Dとを有して構成されている。これら第1および第2の支持手段2A,2B,2C,2Dのうち、ガラス基板Gの通過位置にある2つの支持手段2B,2Cについては、先述したエアチャンバー10A,10Bと同様の構造をもっている。このような基板搬送装置B3は、ガラス基板Gの向きを変えることなく当該ガラス基板Gの搬送方向を第2の水平方向F2から第1の水平方向F1に切り換える役割をもつ。
【0040】
基板搬送装置B4は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、ガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動可能に支持する支持手段2A,2Bとを有して構成されている。このような基板搬送装置B4は、基板搬送装置B3から第1の水平方向F1に沿って移動してきたガラス基板Gをさらに基板搬送装置Aへと送り出す役割をもつ。
【0041】
基板搬送装置Cのロボットハンドには、第2の水平方向F2に沿う複数のハンド部C1が設けられている。これらのハンド部C1は、基板搬送装置Aのエアチャンバー10Aが所定の下位置にある状態において、第2の水平方向F2に前進移動するようにしてエアチャンバー10Aとガラス基板Gとの間に差し入れられる。その後、ハンド部C1は、エアステージ1よりも上方に位置した状態となり、そのまま第2の水平方向F2に沿って後退移動する。これにより、ハンド部C1によってエアステージ1上のガラス基板Gが受け取られる。そうした後、ハンド部C1は、たとえば180度方向転換することで基板搬送装置Aに対して逆向きの姿勢となり、そのまま第2の水平方向F2に沿って前進移動する。これにより、ガラス基板Gが基板搬送装置Aから第2の水平方向F2に沿って離間した所定の箇所に送られる。
【0042】
次に、基板搬送装置Aの動作を他の基板搬送装置B1〜B4,Cの動作とともに説明する。
【0043】
図7および図8に示されているように、基板搬送装置B1にセットされたガラス基板Gは、ガイドローラ22によって側縁部のみが支持された状態で第2の水平方向F2に沿って基板搬送装置B3へと送り出される。このとき、基板搬送装置B3における第1の支持手段2A,2Bは、エアチャンバー10Bと上面が一致するように所定の下位置にある一方、基板搬送装置B3における第2の支持手段2C,2Dは、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置するまでは所定の上位置にある。そのため、基板搬送装置B3へと搬送されてきたガラス基板Gは、第2の支持手段2C,2Dのガイドローラ22によって対応する側縁部が支持される。その後、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態になると、上記とは逆に第2の支持手段2C,2Dがエアチャンバー10Bと上面が一致するように所定の下位置をとる一方、第1の支持手段2A,2Bが所定の上位置をとる。これにより、ガラス基板Gを支持するものが第2の支持手段2C,2Dから第1の支持手段2A,2Bに切り替わり、基板搬送装置B3は、ガラス基板Gを第2の水平方向F2から第1の水平方向F1に沿って移動しうる状態となる。
【0044】
その後、図9に示されているように、ガラス基板Gは、基板搬送装置B3から基板搬送装置B4を介して基板搬送装置Aへと送り出され、ガイドローラ22によって側縁部のみが支持された状態で第1の水平方向F1に搬送される。このとき、基板搬送装置Aにおける支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置するまでは所定の上位置にある。一方、基板搬送装置Aにおいて上下動作可能なエアチャンバー10Aは、固定式のエアチャンバー10Bと上面が一致する位置にある。そのため、基板搬送装置Aへと搬送されてきたガラス基板Gは、支持手段2A,2Bのガイドローラ22によって対応する側縁部が支持された状態で第1の水平方向F1に移動する。その後、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態になると、ガイドローラ22の駆動が停止させられる。なお、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態か否かは、エアステージ1の端部などに設けられたセンサ(図示略)がガラス基板Gの先端部を検出することで判定される。
【0045】
以上のようにして基板搬送装置B1から基板搬送装置Aへとガラス基板Gを搬送する際、基板搬送装置A,B1〜B4における全てのエアチャンバー10A,10Bやこれらと同じ構造をもつ支持手段2A,2B,2Cは、上面側から空気を噴出している。そのため、ガラス基板Gは、側縁部を除く部分がエアチャンバー10A,10Bや支持手段2A,2B,2Cとの間に空気圧による緩衝層を介して若干浮上させられた状態にある。これにより、ガラス基板Gの側縁部とガイドローラ22との転がり摩擦が低減することとなり、ガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きのおそれがほとんどない。
【0046】
基板搬送装置Aにおいて、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置して停止した状態になると、図10および図11に示されているように、支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、所定の下位置まで下げられる。また、その直後かあるいはそれと同時に、真空吸着盤33は、エアステージ1の中央開口部1Aを抜けて上側に突き出るように所定の上位置へと移動する。これにより、エアステージ1上におけるガラス基板Gは、その下面中央部の複数箇所に真空吸着盤33が真空吸着した状態となり、これらの真空吸着盤33によって確実に保持された状態となる。その後、ガラス基板Gを保持した状態のまま真空吸着盤33が全体的に90度回転する。その結果、ガラス基板Gは、エアステージ1上において90度方向転換した姿勢となる。ガラス基板Gが90度方向転換する際には、ガラス基板Gの一部、特にガラス基板Gの角部や側縁部などがエアステージ1から逸れて可動ブロック21の上方に差し掛かった状態になる。そのような状態になるのは一時的ではあるが、その際においても可動ブロック21の上面側から空気が噴出している。そのため、ガラス基板Gが90度方向転換するといった動作中にあっても、エアステージ1から逸れる角部や側縁部などを含めてガラス基板Gの下面全体に空気圧による緩衝層を形成することができ、これによってガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きを防ぐことができる。
【0047】
ガラス基板Gが90度方向転換した後、図12および図13に示されているように、支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、さらに下方となる所定の下位置まで下げられる。また、基板搬送装置Cのハンド部C1と対応する位置にあるエアチャンバー10Aも、可動ブロック21と同程度の下位置まで下げられる。このとき、真空吸着盤33も真空状態を解除して所定の下位置まで下げられることにより、ガラス基板Gは、真空吸着盤33から離脱してエアチャンバー10B上に置かれた状態となる。
【0048】
そうした後、図14および図15に示されているように、基板搬送装置Cのハンド部C1が第2の水平方向F2に前進移動することでガラス基板Gとエアチャンバー10Aとの間にハンド部C1が差し込まれ、このハンド部C1が十分差し込まれた状態で上方に移動する。その結果、エアチャンバー10B上に置かれたガラス基板Gがハンド部C1に受けられた状態となる。その後、ハンド部C1は、第2の水平方向F2に沿って後退移動してから180度方向転換することで基板搬送装置Aに対して逆向きの姿勢をとり、そのまま第2の水平方向F2に沿ってさらに前進移動する。これにより、ガラス基板Gは、基板搬送装置Aから第2の水平方向F2に沿って離間した所定の箇所へとハンド部C1によって持ち運ばれる。なお、上記説明した順序とは逆の順序で各基板搬送装置A,B1〜B4,Cを動作させることにより、上記とは逆方向にガラス基板Gを搬送することも可能である。
【0049】
したがって、本実施形態の基板搬送装置Aによれば、ガラス基板Gは、その側縁部や下面中央部がガイドローラ22や真空吸着盤33に接するものの、それ以外の部分が空気圧の緩衝層を介してエアステージ1の上方に浮いた状態とされる。そのため、ガラス基板Gに対する接触面積ができる限り小さく抑えられることとなり、ガラス基板Gを第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換して搬送する際には、ガイドローラ22や真空吸着盤33などを比較的高速に回転させるようにしても、静電気がそれほど発生することはない。これにより、基板搬送装置Aによれば、ガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、ガラス基板Gを迅速に方向転換して搬送することができる。
【0050】
図16〜27は、本願発明に係る基板搬送装置の他の実施形態を示している。なお、先述した実施形態の構成要素と同一あるいは類似のものについては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図16〜19の実施形態に係る基板搬送装置A1も、第1の水平方向F1から第2の水平方向F2にガラス基板Gを90度方向転換して搬送しうるように設置されたものであるが、この基板搬送装置A1は、ロボットハンドのハンド部C1に対してガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って受け渡ししうるように設置されている。
【0052】
図16によく示されているように、エアステージ1は、複数のエアチャンバー10A,10Bを平面視矩形状に並べて構成されており、支持手段2A,2Bは、複数の可動ブロック21をエアステージ1の両側部に沿うように並べて構成されている。これらエアチャンバー10A,10Bおよび可動ブロック21は、ガラス基板Gの回転移動範囲G1を全面的に占めるように配置されている。このような配置形態によれば、ガラス基板Gがエアステージ1上において回転させられる際、ガラス基板Gの下面全体にわたって空気圧の緩衝層が形成されるため、ガラス基板Gの側縁部や角部が中央部よりも垂れてエアステージ1の端部などに引っ掛かるといったおそれがない。
【0053】
図17〜19に示されているように、回転手段3は、先述した実施形態によるものと同様に回転ユニット32や真空吸着盤33などを有するのに加え、エアステージ1の中央開口部1Aを平坦に塞ぐための補助プレート34と、この補助プレート34の下面中央部を回転ユニット32の上部に弾性的に支持する緩衝器35とを有して構成されている。補助プレート34には、各真空吸着盤33に対応してこれらの嵌入可能な穴34Aが設けられている。緩衝器35は、ピストン状の可動部材35Aとシリンダ状の固定部材35Bとの間にバネ35Cを装填して構成されている。
【0054】
図17に示されているように、ガラス基板Gがエアステージ1上に搬送されてくる際には、可動ベース(図示略)などとともに回転ユニット32が所定の下位置まで引き下げられた状態にある。このとき、補助プレート34は、緩衝器35を介して真空吸着盤33よりも上方に支持された状態にあり、隣接するエアチャンバー10Bと上面が概ね一致している。つまり、エアステージ1の中央開口部1Aが補助プレート34によって平坦に塞がれている。そのため、ガラス基板Gの先端部が中央開口部1Aを通過する際には、ガラス基板Gの先端部付近にも空気圧による緩衝層が確実に形成される。これにより、ガラス基板Gの先端部が垂れて中央開口部1Aの縁に引っ掛かるといったおそれはない。
【0055】
その後、図18に示されているように、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置して停止した状態になると、回転ユニット32が所定の下位置から上位置へと上昇させられる。このとき、ガラス基板Gは、空気圧の緩衝層によってエアステージ1上で浮上させられた状態にあり、このガラス基板Gの下面中央部に補助プレート34が当接する。補助プレート34がガラス基板Gに当接すると、このガラス基板Gによって緩衝器35のバネ35Cが徐々に縮められ、それに伴い補助プレート34と真空吸着盤33との距離が次第に短くなる。
【0056】
さらにそうして回転ユニット32が所定の上位置まで上昇すると、図19に示されているように、真空吸着盤33は、中央開口部1Aを抜けて上側に突き出た状態で補助プレート34の穴34Aに嵌入し、この補助プレート34と一体になってガラス基板Gの下面中央部に接する。これにより、エアステージ1上のガラス基板Gは、真空吸着盤33によって真空吸着された状態で保持される。その後、ガラス基板Gを保持した状態のまま真空吸着盤33が全体的に90度回転する。その結果、ガラス基板Gは、エアステージ1上において90度方向転換した姿勢となる。このとき、補助プレート34は、ガラス基板Gと静的に接した状態で真空吸着盤33とともに回転するため、ガラス基板Gに傷などが付くおそれはない。
【0057】
ガラス基板Gが90度方向転換した後、真空吸着盤33は、真空状態を解除して図17に示されるような元の所定の下位置まで下げられる。その後、真空吸着盤33から離脱したガラス基板Gは、先述した実施形態と同様にハンド部C1によってエアステージ上1から他の箇所へと持ち運ばれる。
【0058】
したがって、本実施形態の基板搬送装置A1によれば、先述した実施形態によるものと同様の効果が得られるのに加え、エアステージ1上へとガラス基板Gを適切に搬送することができるとともに、エアステージ1上においてもガラス基板Gを安定して回転させることができる。
【0059】
なお、図20に示されているように、補助プレート34とこれに隣接するエアチャンバー10A,10Bとの間隔が比較的大きくなる場合には、補助プレート34に対向するエアチャンバー10A,10Bの側部にこれらと同様の空気を噴出するエアパイプ40を設けてもよい。これによれば、エアステージ1上へとガラス基板Gが搬送されてくる際、ガラス基板Gの先端部が補助プレート34とエアチャンバー10A,10Bとの間に引っ掛かるといったことを効果的に防止することができる。
【0060】
また、図21に示されているように、補助プレート34を支持する緩衝器35については、補助プレート34の複数箇所を支えるように設けてもよい。これによれば、補助プレート34をより安定した水平姿勢に保つことができる。
【0061】
図22の実施形態に係る基板搬送装置A2においては、エアステージ1上に保持された例えばガラス基板Gの角部を対角方向(第1の水平方向F1あるいは第2の水平方向F2と45度をなす水平方向)から挟持するように、エアステージ1の4箇所にクランプ機構7が設けられている。このクランプ機構7は、エアステージ1の下方適部から対角方向に沿って外側に延びる水平ロッド70と、水平ロッド70の先端に固定された平面視M字状の金具71と、この金具71の各先端に回転自在に支持されたローラ72を有して構成されている。特に図示しないが、エアステージ1の下方適部には、水平ロッド70を対角方向に動かすためのアクチュエータが設けられている。このようなクランプ機構7によれば、ガラス基板Gがガイドローラ22から真空吸着盤33へと移る際や、真空吸着盤33からエアステージ1へと移った直後、ガラス基板Gの角部にローラ72が当接するように水平ロッド70が動かされる。これにより、ガラス基板Gがガイドローラ22によって規制されない状態となっても、ガラス基板Gの角部が対角方向から挟持されるため、ガラス基板Gの姿勢を適切な姿勢に矯正することができる。
【0062】
図23〜27の実施形態に係る基板搬送装置A3においては、クランプ機構7がエアステージ1の端部上方に設けられており(図23参照)、ガラス基板Gの角部に当接するローラ72が鉛直方向移動用のアクチュエータ73および水平方向移動用のアクチュエータ74によって移動させられるように構成されている(図25〜27参照)。ローラ72の下部中心には、他の部材に接しながら回転するボール72Aが設けられている。また、図24によく示されているように、クランプ機構7が位置するエアステージ1の端部には、ガラス基板Gの角部に対応して切り欠き端部1Bが形成されている。この切り欠き端部1Bには、エアステージ1の下方適部に緩衝器85を介して支持された補助プレート84が設けられている(図25〜27参照)。補助プレート84は、切り欠き端部1Bを平坦に塞ぐように設けられており、緩衝器85は、先述した実施形態と同様に、ピストン状の可動部材85Aとシリンダ状の固定部材85Bとの間にバネ85Cを装填して構成されている。
【0063】
図25に示されているように、ガラス基板Gがエアステージ1上に搬送されてくる際や回転させられる際には、クランプ機構7のローラ72がガラス基板Gに当接しない所定の上位置にあり、補助プレート84は、エアチャンバー10Bと上面が概ね一致した状態で緩衝器85に保持されている。つまり、エアステージ1の切り欠き端部1Bが補助プレート84によって平坦に塞がれている。そのため、エアステージ1上においてガラス基板Gが移動や回転する際には、ガラス基板Gの角部が垂れて切り欠き部1Bの縁に引っ掛かるといったおそれはない。
【0064】
その後、図26に示されているように、ガラス基板Gの姿勢を矯正する際には、クランプ機構7のローラ72が所定の上位置から下位置へと下降させられる。このとき、ローラ72の下部中心に設けられたボール72Aが補助プレート84に当接しながら補助プレート84を押し下げる。これにより、緩衝器85のバネ85Cが縮められ、補助プレート84がエアチャンバー10Bの上面よりも下方に位置した状態となる。その結果、ローラ72も、エアチャンバー10Bの上面より若干下がった位置に配置され、ガラス基板Gの角部に対して適切に当接可能な体勢をなる。
【0065】
さらにそうした後、図27に示されているように、補助プレート84を押し下げた状態のままローラ72が水平方向に前進移動させられ、このローラ72がガラス基板Gの角部に当接する。これにより、ガラス基板Gの角部がローラ72によって挟持された状態となり、エアステージ1上におけるガラス基板Gの姿勢が適切に矯正される。以上のようにしてガラス基板Gの姿勢を矯正した後、ローラ72は、図25に示されるような元の所定の上位置まで引き上げられ、さらにその後、ガラス基板Gは、適正な姿勢を保ちながら搬送される。
【0066】
したがって、本実施形態の基板搬送装置A3によれば、先述した実施形態によるものと同様の効果が得られるほか、例えばエアステージ1上においてガラス基板Gが回転させられる際には、ガラス基板Gの角部が通過するエアステージ1の切り欠き端部1Bが補助プレート84によって平坦な面をなすため、ガラス基板Gの角部が垂れてエアステージ1の切り欠き端部1Bに引っ掛かるといったことを防ぐことができる。一方、ガラス基板Gの姿勢を矯正する際には、補助プレート84に妨げられることなくこの補助プレート84を弾性的に押し下げるようにしてガラス基板Gの角部に姿勢矯正用のローラ72を当接させることができる。また、クランプ機構7は、エアステージ1の上方に設けられているため、クランプ機構7を含む基板搬送装置A3の設置スペースをできる限り抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願発明に係る基板搬送装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す基板搬送装置の上面図である。
【図3】図1に示す基板搬送装置の側面図である。
【図4】図1に示す基板搬送装置の内部構造図である。
【図5】図1に示す基板搬送装置に含まれる支持手段の一部断面図である。
【図6】図1に示す基板搬送装置に含まれるエアステージの一部断面図である。
【図7】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図8】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図9】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図10】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図11】図10に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図12】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図13】図12に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図14】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図15】図14に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図16】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図17】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図18】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図19】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図20】他の実施形態に係る基板搬送装置の要部断面図である。
【図21】他の実施形態に係る基板搬送装置の要部上面図である。
【図22】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図23】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図24】図23に示す基板搬送装置の要部上面図である。
【図25】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図26】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図27】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0068】
A 基板搬送装置
G ガラス基板
F1 第1の水平方向
F2 第2の水平方向
1 エアステージ
1A 中央開口部
1B 切り欠き端部
10b 空気噴出孔
10A,10B エアチャンバー
2A,2B 支持手段
20 アクチュエータ
21 可動ブロック
21b 空気噴出孔
22 ガイドローラ
3 回転手段
30 可動ベース
31 回転用のモータ
32 回転ユニット
33 真空吸着盤
34 補助プレート
35 緩衝器
7 クランプ機構
72 ローラ
84 補助プレート
85 緩衝器
【技術分野】
【0001】
本願発明は、たとえばガラス基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基板搬送装置としては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された基板搬送装置においては、第1の水平方向に沿って搬送されてきた基板を90度方向転換させて第2の水平方向に送り出すように、所定の箇所に多数個の第1のローラおよび第2のローラが設けられている。第1のローラは、基板の下面を全体的に支持しつつ当該基板を第1の水平方向に沿って移動させるように配置されており、第2のローラは、基板の下面を全体的に支持しつつ当該基板を第2の水平方向に沿って移動させるように配置されている。これら第1および第2のローラは、互いに重なり合うことなく排他的に上下動作および回転するように構成されている。すなわち、第1の水平方向に沿って搬送されてきた基板を受け取る際には、第1のローラが高位置をとって回転するとともに第2のローラが低位置をとり、基板は、第1のローラを介して第1の水平方向に移動させられる。一方、第2の水平方向に沿って基板を送り出す際には、上記とは逆に第1のローラが低位置をとるとともに第2のローラが高位置をとって回転し、基板は、第2のローラを介して第2の水平方向に移動させられる。これにより、基板は、第1の水平方向から第2の水平方向に90°方向転換させられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−77592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の基板搬送装置では、第1および第2のローラが基板の下面全体を支持するように配置されているため、基板とローラとの接触面積が比較的大きく、回転するローラと基板との摩擦によって静電気が発生しやすい。そのため、基板には、ゴミなどのパーティクルが付きやすく、さらには傷などが付くおそれがあった。一方、基板を方向転換させる際に第1および第2のローラを比較的ゆっくりと上下動作させたり低速で回転させれば、パーティクルの付着や傷付きをある程度緩和できるが、そうすると基板を迅速に方向転換させることができなくなってしまう。
【0005】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、基板に対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、基板を迅速に方向転換して搬送することができる基板搬送装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本願発明によって提供される基板搬送装置は、平面視矩形状の基板を水平に保ちながら当該基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置であって、上記基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージと、上記エアステージに隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の側縁部を第1の水平方向に沿って移動しうるように支持する支持手段と、上記エアステージの中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第1の水平方向から異なる第2の水平方向にあるいはその逆方向に方向転換させる回転手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上記第1の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の側縁部を支持し、その後、上記回転手段は、上記支持手段に代わって上記基板の下面中央部を支持しつつ鉛直軸周りに回転することにより、当該基板を上記第1の水平方向から上記第2の水平方向に方向転換させる。
【0009】
他の好ましい実施の形態としては、上記回転手段は、上記第2の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第2の水平方向から上記第1の水平方向に方向転換させ、その後、上記支持手段は、上記回転手段に替わって上記基板の側縁部を支持することにより、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させる。
【0010】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージは、全体的に平面視矩形状を呈して上記基板と略同一の面積をもつように構成されている。
【0011】
他の好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上記エアステージの相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている。
【0012】
このような構成によれば、基板は、その側縁部や下面中央部が支持手段や回転手段に接するものの、それ以外の部分は空気圧の緩衝層を介してエアステージの上方に浮いた状態となる。そのため、基板の接触面積はできる限り小さく抑えられ、たとえば基板を第1の水平方向から第2の水平方向に方向転換して搬送する際には、支持手段および回転手段を比較的高速に動作させるようにしても、静電気がそれほど発生することはない。したがって、本願発明に係る基板搬送装置によれば、基板に対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、基板を迅速に方向転換して搬送することができる。
【0013】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージは、空気噴出孔を上面に有する複数のエアチャンバーを上記回転手段の周囲に配置するようにして構成されており、これら複数のエアチャンバーのうちの少なくとも1つは、上記第2の水平方向に沿って他の基板搬送装置との間で上記基板を受け渡ししうるように、その際には上記支持手段とともに所定の下位置をとるべく上下動作可能に設けられている。
【0014】
このような構成によれば、たとえば他の基板搬送装置としてのロボットハンドが第2の水平方向に沿って移動しながら所定の下位置まで下がったエアチャンバーと基板との間に入り込むことができ、他の基板搬送装置に対して基板を受け渡すことができる。
【0015】
他の好ましい実施の形態としては、上記支持手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ブロックと、上記基板の側縁部を支持するように上記可動ブロックに設けられており、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させるための複数のガイドローラとを有して構成されている。
【0016】
このような構成によれば、複数のガイドローラによって基板の側縁部を支持しながら当該基板を第1の水平方向にスムーズに移動させることができる。
【0017】
他の好ましい実施の形態としては、上記可動ブロックの上面には、空気噴出孔が設けられている。
【0018】
このような構成によれば、基板を方向転換させる際、基板の一部が可動ブロックの上方に差し掛かった状態になるものの、そのような部分も含めて基板の下面全体に空気圧による緩衝層を形成することができる。
【0019】
他の好ましい実施の形態としては、上記回転手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ベースと、この可動ベースに設けられた回転用のモータと、このモータによって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニットと、上記基板の下面中央部を真空吸着するように上記回転ユニットの上部に設けられた複数の真空吸着盤と、これら複数の真空吸着盤に真空状態を発生させるための真空ポンプとを有して構成されている。
【0020】
このような構成によれば、基板を真空吸着盤により回転ユニットの上部に確実に保持した状態で当該基板を鉛直軸周りに回転させることができる。
【0021】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージの中央部には、開口部が形成されているとともに、この中央開口部と対応する位置に上記回転手段が配置されており、上記回転手段はさらに、上記複数の真空吸着盤が嵌入可能な複数の穴をもち、上記回転ユニットの上部に緩衝器を介して支持された補助プレートを有しており、この補助プレートは、上記可動ベースが所定の下位置をとるとき、上記複数の真空吸着盤よりも上方に位置して上記中央開口部を平坦に塞ぐように構成されている。
【0022】
このような構成によれば、エアステージ上に基板が搬送されてくる際、基板の先端部がエアステージの中央開口部に差し掛かった状態になるものの、当該中央開口部が補助プレートによって平坦に塞がれるため、基板の先端部が垂れて中央開口部に引っ掛かるといったことを防ぐことができる。
【0023】
他の好ましい実施の形態としては、上記補助プレートは、上記エアステージ上に上記基板が配置された状態で上記可動ベースが所定の上位置をとるとき、上記基板に押し返されることで上記緩衝器の弾力に抗して変位させられ、上記複数の真空吸着盤が上記複数の穴に嵌入した状態で当該基板の下面中央部を真空吸着するように構成されている。
【0024】
このような構成によれば、真空吸着盤を用いて基板を保持する際、補助プレートに妨げられることなくこの補助プレートの穴を介して基板の下面中央部に真空吸着盤を接触させることができ、真空吸着によって確実に基板を保持することができる。
【0025】
他の好ましい実施の形態としては、上記エアステージには、上記基板の相対する角部を挟持可能なクランプ機構が設けられている。
【0026】
このような構成によれば、エアステージ上における基板の姿勢をクランプ機構によって矯正することができる。
【0027】
他の好ましい実施の形態としては、上記クランプ機構は、上記エアステージの端部上方に設けられており、上記基板の角部に当接可能なローラを鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている。
【0028】
このような構成によれば、基板を方向転換させる際には、基板に対してクランプ機構のローラが接触しないようにこのローラを鉛直方向上側に移動させておくことがき、基板の姿勢を矯正する際には、上記ローラを鉛直方向下側に移動させた状態で水平方向に前進させ、このローラを基板の角部に当接させることができる。
【0029】
他の好ましい実施の形態としては、上記クランプ機構が位置する上記エアステージの端部には、当該エアステージの下方適部に緩衝器を介して支持された補助プレートが設けられており、この補助プレートは、上記クランプ機構のローラが所定の上位置をとるとき、上記エアステージの上面に沿って平坦な面をなす一方、上記ローラが所定の下位置をとるとき、このローラに押されることで上記緩衝器の弾力に抗して下方に変位させられ、そのまま当該ローラが水平方向に前進移動して上記基板の角部に当接するように構成されている。
【0030】
このような構成によれば、エアステージ上において基板が回転させられる際には、クランプ機構が位置するエアステージの端部が補助プレートによって平坦な面をなすため、この端部を通過する基板の側縁部などが垂れてエアステージの端部に引っ掛かるといったことを防ぐことができる。一方、基板の姿勢を矯正する際には、補助プレートに妨げられることなくこの補助プレートを弾性的に押し下げるようにして基板の角部にローラを当接させることができる。
【0031】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1〜15は、本願発明に係る基板搬送装置の一実施形態を示している。
【0033】
図1や図7などに示されているように、本願発明に係る基板搬送装置Aは、他の基板搬送装置B1〜B4,Cとともにガラス基板Gを水平に保ちながら搬送するためのものであって、この基板搬送装置Aは、第1の水平方向F1から第2の水平方向F2にガラス基板Gを90度方向転換して搬送しうるように設置されている。他の基板搬送装置B1〜B4は、第2の水平方向F2から第1の水平方向F1にガラス基板Gを搬送して基板搬送装置Aへと送り出すように設置されており、これらの基板搬送装置B1〜B4は、基板搬送装置Aと同一または類似の構成要素を備えている。さらに別の基板搬送装置Cは、既知のロボットハンドを有するものであって、基板搬送装置Aとの間でガラス基板Gを第2の水平方向F2に沿って受け渡ししうるように設置されている。なお、搬送の対象となるものとしては、ガラス基板Gに限らず、平面視矩形状で薄板状のものであればよい。
【0034】
図1〜4によく示されているように、基板搬送装置Aは、エアステージ1、支持手段2A,2B、および回転手段3をフレーム台4に設けて構成されている。エアステージ1は、ガラス基板Gの下面との間に空気圧による緩衝層を形成するためのものであって、複数のエアチャンバー10A,10Bを有して構成されている。支持手段2A,2Bは、エアステージ1上におけるガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動可能に支持するものであって、支持手段2A,2Bのそれぞれは、たとえばエア駆動方式による上下動作用のアクチュエータ20、このアクチュエータ20によって上下させられる可動ブロック21、およびガラス基板Gの側縁部を支持するように可動ブロック21に設けられた複数のガイドローラ22を有して構成されている。回転手段3は、エアステージ1の中央開口部1Aにおいて上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、この回転手段3は、所定の上位置をとる状態でエアステージ1上におけるガラス基板Gの下面中央部を支持するとともに、さらに鉛直軸周りに回転することでガラス基板Gを第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換させるものである。
【0035】
図2によく示されているように、エアステージ1は、複数のエアチャンバー10A,10Bを回転手段3の周囲に配置して中央開口部1Aを形成するように構成されており、全体的には平面視矩形状を呈してガラス基板Gと略同一の面積をもつ。図6によく示されているように、エアチャンバー10A,10Bは、空気供給源(図示略)から可撓性のエアパイプ11を介して送られてきた圧縮空気が内部に導かれるようになっている。このような空気供給源は、装置ごとに設置されている。エアチャンバー10A,10Bの上面10aには、内部側から外部側へと空気を噴出するための複数の空気噴出孔10bが設けられており、これらの空気噴出孔10bには、空気を通す多孔質部材12が嵌め込まれている。このようなエアチャンバー10A,10Bの上面10aは、全体として一様に平坦な面をなしており、その上方に位置するガラス基板Gとの間に空気の緩衝層を形成しやすい形状となっている。図2や図4によく示されているように、第1の水平方向F1から見て前後両端の位置や他の基板搬送装置Cのハンド部C1と対応する位置のエアチャンバー10Aは、支持手段2A,2Bのものと同様のアクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、このアクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。その他のエアチャンバー10Bは、フレーム台4に対して固定的に支持されている。
【0036】
図2および図3によく示されているように、支持手段2A,2Bは、エアステージ1の相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている。このような支持手段2A,2Bの本体となる可動ブロック21は、第1の水平方向F1に沿うように配置されているとともに、アクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、この可動ブロック21は、アクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。また、可動ブロック21は、先述したエアチャンバー10A,10Bと同様の構造をもっており、可動ブロック21の上面からは、内部に導かれた空気が複数の空気噴出孔21bを通じて外部へと噴出される。このような可動ブロック21の上面もまた、全体として一様に平坦な面をなしており、その上方に位置するガラス基板Gとの間に空気の緩衝層を形成しやすい形状となっている。図2および図5によく示されているように、エアステージ1に対向する側となる可動ブロック21の側部には、ガラス基板Gの側縁部を支持しながらこのガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って強制的に移動させるための複数のガイドローラ22が軸支されており、これらのガイドローラ22は、第1の水平方向F1に沿って一定間隔おきに設けられている。可動ブロック21の適部には、ガイドローラ22を回転させるためのローラ回転用モータ23や伝動ベルト24、プーリギヤ25が内蔵されている(図5参照)。各ガイドローラ22は、エアステージ1よりも上方でガラス基板Gの下面側縁部に接する小径部22aと、この小径部22aよりも可動ブロック21側に位置してガラス基板Gの側縁部を規制する大径部22bとをもつ。ローラ回転用モータ23の回転力は、伝動ベルト24およびプーリギヤ25を介して複数のガイドローラ22に伝わり、これにより複数のガイドローラ22が同時かつ所定の回転方向に回転する。このようなガイドローラ22によれば、ガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って真っ直ぐ移動させることができ、ガラス基板Gの位置ずれを防ぐことができる。
【0037】
図4によく示されているように、回転手段3は、支持手段2A,2Bなどのものと同様のアクチュエータ20、このアクチュエータ20によって上下させられる可動ベース30、この可動ベース30に固定された回転用モータ31、この回転用モータ31によって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニット32、ガラス基板Gの下面中央部を真空吸着するように回転ユニット32の上部4箇所に配置された真空吸着盤33、および真空吸着盤33に真空状態を発生させるように回転ユニット32に内蔵された真空ポンプ(図示略)を有して構成されている。可動ベース30は、エアステージ1の中央開口部1Aの下方に配置されているとともに、アクチュエータ20を介してフレーム台4に支持されており、この可動ベース30は、アクチュエータ20によって所定の上位置と下位置との間で上下させられる。ガラス基板Gが支持手段2A,2Bによって支持された後、真空吸着盤33は、回転ユニット32などと一体となって所定の上位置まで移動する。これにより、真空吸着盤33は、支持手段2A,2Bのガイドローラ22よりも上方においてガラス基板Gの下面に接する。このとき、真空ポンプによって真空吸着盤33が真空状態とされるため、これらの真空吸着盤33がガラス基板Gの下面中央部付近となる4箇所を確実に吸着保持する。このようにしてガラス基板Gが真空吸着盤33に吸着保持された後、回転ユニット32が回転用モータ31によって90度回転させられる。その結果、真空吸着盤33に吸着保持されたガラス基板Gが第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換する。その後、真空ポンプの動作が停止するとともに、回転ユニット32が支持手段2A,2Bの可動ブロック21とともに所定の下位置まで移動する。これにより、ガラス基板Gがエアステージ1上に保持された状態となる。
【0038】
他の基板搬送装置B1〜B4は、基板搬送装置Aと同一または類似の構成要素を用いて構成されているため、これらの構成要素については、図1などに同一符号を付してその説明を省略する。基板搬送装置B1,B2は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、ガラス基板Gの側縁部を第2の水平方向F2に沿って移動可能に支持する複数の固定ブロック5とを有して構成されている。固定ブロック5には、基板搬送装置Aのものと同様のガイドローラ22が設けられている。これらの基板搬送装置B1,B2は、基板搬送装置B1にセットされたガラス基板Gを第2の水平方向F2に沿って基板搬送装置B3へと送り出す役割をもつ。
【0039】
基板搬送装置B3は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、第1の水平方向F1に沿うガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に移動可能に支持する第1の支持手段2A,2Bと、第2の水平方向F2に沿うガラス基板Gの側縁部を第2の水平方向F2に移動可能に支持する第2の支持手段2C,2Dとを有して構成されている。これら第1および第2の支持手段2A,2B,2C,2Dのうち、ガラス基板Gの通過位置にある2つの支持手段2B,2Cについては、先述したエアチャンバー10A,10Bと同様の構造をもっている。このような基板搬送装置B3は、ガラス基板Gの向きを変えることなく当該ガラス基板Gの搬送方向を第2の水平方向F2から第1の水平方向F1に切り換える役割をもつ。
【0040】
基板搬送装置B4は、フレーム台4に固定された複数のエアチャンバー10Bからなるエアステージ1と、ガラス基板Gの側縁部を第1の水平方向F1に沿って移動可能に支持する支持手段2A,2Bとを有して構成されている。このような基板搬送装置B4は、基板搬送装置B3から第1の水平方向F1に沿って移動してきたガラス基板Gをさらに基板搬送装置Aへと送り出す役割をもつ。
【0041】
基板搬送装置Cのロボットハンドには、第2の水平方向F2に沿う複数のハンド部C1が設けられている。これらのハンド部C1は、基板搬送装置Aのエアチャンバー10Aが所定の下位置にある状態において、第2の水平方向F2に前進移動するようにしてエアチャンバー10Aとガラス基板Gとの間に差し入れられる。その後、ハンド部C1は、エアステージ1よりも上方に位置した状態となり、そのまま第2の水平方向F2に沿って後退移動する。これにより、ハンド部C1によってエアステージ1上のガラス基板Gが受け取られる。そうした後、ハンド部C1は、たとえば180度方向転換することで基板搬送装置Aに対して逆向きの姿勢となり、そのまま第2の水平方向F2に沿って前進移動する。これにより、ガラス基板Gが基板搬送装置Aから第2の水平方向F2に沿って離間した所定の箇所に送られる。
【0042】
次に、基板搬送装置Aの動作を他の基板搬送装置B1〜B4,Cの動作とともに説明する。
【0043】
図7および図8に示されているように、基板搬送装置B1にセットされたガラス基板Gは、ガイドローラ22によって側縁部のみが支持された状態で第2の水平方向F2に沿って基板搬送装置B3へと送り出される。このとき、基板搬送装置B3における第1の支持手段2A,2Bは、エアチャンバー10Bと上面が一致するように所定の下位置にある一方、基板搬送装置B3における第2の支持手段2C,2Dは、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置するまでは所定の上位置にある。そのため、基板搬送装置B3へと搬送されてきたガラス基板Gは、第2の支持手段2C,2Dのガイドローラ22によって対応する側縁部が支持される。その後、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態になると、上記とは逆に第2の支持手段2C,2Dがエアチャンバー10Bと上面が一致するように所定の下位置をとる一方、第1の支持手段2A,2Bが所定の上位置をとる。これにより、ガラス基板Gを支持するものが第2の支持手段2C,2Dから第1の支持手段2A,2Bに切り替わり、基板搬送装置B3は、ガラス基板Gを第2の水平方向F2から第1の水平方向F1に沿って移動しうる状態となる。
【0044】
その後、図9に示されているように、ガラス基板Gは、基板搬送装置B3から基板搬送装置B4を介して基板搬送装置Aへと送り出され、ガイドローラ22によって側縁部のみが支持された状態で第1の水平方向F1に搬送される。このとき、基板搬送装置Aにおける支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置するまでは所定の上位置にある。一方、基板搬送装置Aにおいて上下動作可能なエアチャンバー10Aは、固定式のエアチャンバー10Bと上面が一致する位置にある。そのため、基板搬送装置Aへと搬送されてきたガラス基板Gは、支持手段2A,2Bのガイドローラ22によって対応する側縁部が支持された状態で第1の水平方向F1に移動する。その後、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態になると、ガイドローラ22の駆動が停止させられる。なお、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置した状態か否かは、エアステージ1の端部などに設けられたセンサ(図示略)がガラス基板Gの先端部を検出することで判定される。
【0045】
以上のようにして基板搬送装置B1から基板搬送装置Aへとガラス基板Gを搬送する際、基板搬送装置A,B1〜B4における全てのエアチャンバー10A,10Bやこれらと同じ構造をもつ支持手段2A,2B,2Cは、上面側から空気を噴出している。そのため、ガラス基板Gは、側縁部を除く部分がエアチャンバー10A,10Bや支持手段2A,2B,2Cとの間に空気圧による緩衝層を介して若干浮上させられた状態にある。これにより、ガラス基板Gの側縁部とガイドローラ22との転がり摩擦が低減することとなり、ガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きのおそれがほとんどない。
【0046】
基板搬送装置Aにおいて、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置して停止した状態になると、図10および図11に示されているように、支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、所定の下位置まで下げられる。また、その直後かあるいはそれと同時に、真空吸着盤33は、エアステージ1の中央開口部1Aを抜けて上側に突き出るように所定の上位置へと移動する。これにより、エアステージ1上におけるガラス基板Gは、その下面中央部の複数箇所に真空吸着盤33が真空吸着した状態となり、これらの真空吸着盤33によって確実に保持された状態となる。その後、ガラス基板Gを保持した状態のまま真空吸着盤33が全体的に90度回転する。その結果、ガラス基板Gは、エアステージ1上において90度方向転換した姿勢となる。ガラス基板Gが90度方向転換する際には、ガラス基板Gの一部、特にガラス基板Gの角部や側縁部などがエアステージ1から逸れて可動ブロック21の上方に差し掛かった状態になる。そのような状態になるのは一時的ではあるが、その際においても可動ブロック21の上面側から空気が噴出している。そのため、ガラス基板Gが90度方向転換するといった動作中にあっても、エアステージ1から逸れる角部や側縁部などを含めてガラス基板Gの下面全体に空気圧による緩衝層を形成することができ、これによってガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きを防ぐことができる。
【0047】
ガラス基板Gが90度方向転換した後、図12および図13に示されているように、支持手段2A,2Bの可動ブロック21は、さらに下方となる所定の下位置まで下げられる。また、基板搬送装置Cのハンド部C1と対応する位置にあるエアチャンバー10Aも、可動ブロック21と同程度の下位置まで下げられる。このとき、真空吸着盤33も真空状態を解除して所定の下位置まで下げられることにより、ガラス基板Gは、真空吸着盤33から離脱してエアチャンバー10B上に置かれた状態となる。
【0048】
そうした後、図14および図15に示されているように、基板搬送装置Cのハンド部C1が第2の水平方向F2に前進移動することでガラス基板Gとエアチャンバー10Aとの間にハンド部C1が差し込まれ、このハンド部C1が十分差し込まれた状態で上方に移動する。その結果、エアチャンバー10B上に置かれたガラス基板Gがハンド部C1に受けられた状態となる。その後、ハンド部C1は、第2の水平方向F2に沿って後退移動してから180度方向転換することで基板搬送装置Aに対して逆向きの姿勢をとり、そのまま第2の水平方向F2に沿ってさらに前進移動する。これにより、ガラス基板Gは、基板搬送装置Aから第2の水平方向F2に沿って離間した所定の箇所へとハンド部C1によって持ち運ばれる。なお、上記説明した順序とは逆の順序で各基板搬送装置A,B1〜B4,Cを動作させることにより、上記とは逆方向にガラス基板Gを搬送することも可能である。
【0049】
したがって、本実施形態の基板搬送装置Aによれば、ガラス基板Gは、その側縁部や下面中央部がガイドローラ22や真空吸着盤33に接するものの、それ以外の部分が空気圧の緩衝層を介してエアステージ1の上方に浮いた状態とされる。そのため、ガラス基板Gに対する接触面積ができる限り小さく抑えられることとなり、ガラス基板Gを第1の水平方向F1から第2の水平方向F2に90度方向転換して搬送する際には、ガイドローラ22や真空吸着盤33などを比較的高速に回転させるようにしても、静電気がそれほど発生することはない。これにより、基板搬送装置Aによれば、ガラス基板Gに対するパーティクルの付着や傷付きを防止しつつ、ガラス基板Gを迅速に方向転換して搬送することができる。
【0050】
図16〜27は、本願発明に係る基板搬送装置の他の実施形態を示している。なお、先述した実施形態の構成要素と同一あるいは類似のものについては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図16〜19の実施形態に係る基板搬送装置A1も、第1の水平方向F1から第2の水平方向F2にガラス基板Gを90度方向転換して搬送しうるように設置されたものであるが、この基板搬送装置A1は、ロボットハンドのハンド部C1に対してガラス基板Gを第1の水平方向F1に沿って受け渡ししうるように設置されている。
【0052】
図16によく示されているように、エアステージ1は、複数のエアチャンバー10A,10Bを平面視矩形状に並べて構成されており、支持手段2A,2Bは、複数の可動ブロック21をエアステージ1の両側部に沿うように並べて構成されている。これらエアチャンバー10A,10Bおよび可動ブロック21は、ガラス基板Gの回転移動範囲G1を全面的に占めるように配置されている。このような配置形態によれば、ガラス基板Gがエアステージ1上において回転させられる際、ガラス基板Gの下面全体にわたって空気圧の緩衝層が形成されるため、ガラス基板Gの側縁部や角部が中央部よりも垂れてエアステージ1の端部などに引っ掛かるといったおそれがない。
【0053】
図17〜19に示されているように、回転手段3は、先述した実施形態によるものと同様に回転ユニット32や真空吸着盤33などを有するのに加え、エアステージ1の中央開口部1Aを平坦に塞ぐための補助プレート34と、この補助プレート34の下面中央部を回転ユニット32の上部に弾性的に支持する緩衝器35とを有して構成されている。補助プレート34には、各真空吸着盤33に対応してこれらの嵌入可能な穴34Aが設けられている。緩衝器35は、ピストン状の可動部材35Aとシリンダ状の固定部材35Bとの間にバネ35Cを装填して構成されている。
【0054】
図17に示されているように、ガラス基板Gがエアステージ1上に搬送されてくる際には、可動ベース(図示略)などとともに回転ユニット32が所定の下位置まで引き下げられた状態にある。このとき、補助プレート34は、緩衝器35を介して真空吸着盤33よりも上方に支持された状態にあり、隣接するエアチャンバー10Bと上面が概ね一致している。つまり、エアステージ1の中央開口部1Aが補助プレート34によって平坦に塞がれている。そのため、ガラス基板Gの先端部が中央開口部1Aを通過する際には、ガラス基板Gの先端部付近にも空気圧による緩衝層が確実に形成される。これにより、ガラス基板Gの先端部が垂れて中央開口部1Aの縁に引っ掛かるといったおそれはない。
【0055】
その後、図18に示されているように、ガラス基板G全体がエアステージ1上に位置して停止した状態になると、回転ユニット32が所定の下位置から上位置へと上昇させられる。このとき、ガラス基板Gは、空気圧の緩衝層によってエアステージ1上で浮上させられた状態にあり、このガラス基板Gの下面中央部に補助プレート34が当接する。補助プレート34がガラス基板Gに当接すると、このガラス基板Gによって緩衝器35のバネ35Cが徐々に縮められ、それに伴い補助プレート34と真空吸着盤33との距離が次第に短くなる。
【0056】
さらにそうして回転ユニット32が所定の上位置まで上昇すると、図19に示されているように、真空吸着盤33は、中央開口部1Aを抜けて上側に突き出た状態で補助プレート34の穴34Aに嵌入し、この補助プレート34と一体になってガラス基板Gの下面中央部に接する。これにより、エアステージ1上のガラス基板Gは、真空吸着盤33によって真空吸着された状態で保持される。その後、ガラス基板Gを保持した状態のまま真空吸着盤33が全体的に90度回転する。その結果、ガラス基板Gは、エアステージ1上において90度方向転換した姿勢となる。このとき、補助プレート34は、ガラス基板Gと静的に接した状態で真空吸着盤33とともに回転するため、ガラス基板Gに傷などが付くおそれはない。
【0057】
ガラス基板Gが90度方向転換した後、真空吸着盤33は、真空状態を解除して図17に示されるような元の所定の下位置まで下げられる。その後、真空吸着盤33から離脱したガラス基板Gは、先述した実施形態と同様にハンド部C1によってエアステージ上1から他の箇所へと持ち運ばれる。
【0058】
したがって、本実施形態の基板搬送装置A1によれば、先述した実施形態によるものと同様の効果が得られるのに加え、エアステージ1上へとガラス基板Gを適切に搬送することができるとともに、エアステージ1上においてもガラス基板Gを安定して回転させることができる。
【0059】
なお、図20に示されているように、補助プレート34とこれに隣接するエアチャンバー10A,10Bとの間隔が比較的大きくなる場合には、補助プレート34に対向するエアチャンバー10A,10Bの側部にこれらと同様の空気を噴出するエアパイプ40を設けてもよい。これによれば、エアステージ1上へとガラス基板Gが搬送されてくる際、ガラス基板Gの先端部が補助プレート34とエアチャンバー10A,10Bとの間に引っ掛かるといったことを効果的に防止することができる。
【0060】
また、図21に示されているように、補助プレート34を支持する緩衝器35については、補助プレート34の複数箇所を支えるように設けてもよい。これによれば、補助プレート34をより安定した水平姿勢に保つことができる。
【0061】
図22の実施形態に係る基板搬送装置A2においては、エアステージ1上に保持された例えばガラス基板Gの角部を対角方向(第1の水平方向F1あるいは第2の水平方向F2と45度をなす水平方向)から挟持するように、エアステージ1の4箇所にクランプ機構7が設けられている。このクランプ機構7は、エアステージ1の下方適部から対角方向に沿って外側に延びる水平ロッド70と、水平ロッド70の先端に固定された平面視M字状の金具71と、この金具71の各先端に回転自在に支持されたローラ72を有して構成されている。特に図示しないが、エアステージ1の下方適部には、水平ロッド70を対角方向に動かすためのアクチュエータが設けられている。このようなクランプ機構7によれば、ガラス基板Gがガイドローラ22から真空吸着盤33へと移る際や、真空吸着盤33からエアステージ1へと移った直後、ガラス基板Gの角部にローラ72が当接するように水平ロッド70が動かされる。これにより、ガラス基板Gがガイドローラ22によって規制されない状態となっても、ガラス基板Gの角部が対角方向から挟持されるため、ガラス基板Gの姿勢を適切な姿勢に矯正することができる。
【0062】
図23〜27の実施形態に係る基板搬送装置A3においては、クランプ機構7がエアステージ1の端部上方に設けられており(図23参照)、ガラス基板Gの角部に当接するローラ72が鉛直方向移動用のアクチュエータ73および水平方向移動用のアクチュエータ74によって移動させられるように構成されている(図25〜27参照)。ローラ72の下部中心には、他の部材に接しながら回転するボール72Aが設けられている。また、図24によく示されているように、クランプ機構7が位置するエアステージ1の端部には、ガラス基板Gの角部に対応して切り欠き端部1Bが形成されている。この切り欠き端部1Bには、エアステージ1の下方適部に緩衝器85を介して支持された補助プレート84が設けられている(図25〜27参照)。補助プレート84は、切り欠き端部1Bを平坦に塞ぐように設けられており、緩衝器85は、先述した実施形態と同様に、ピストン状の可動部材85Aとシリンダ状の固定部材85Bとの間にバネ85Cを装填して構成されている。
【0063】
図25に示されているように、ガラス基板Gがエアステージ1上に搬送されてくる際や回転させられる際には、クランプ機構7のローラ72がガラス基板Gに当接しない所定の上位置にあり、補助プレート84は、エアチャンバー10Bと上面が概ね一致した状態で緩衝器85に保持されている。つまり、エアステージ1の切り欠き端部1Bが補助プレート84によって平坦に塞がれている。そのため、エアステージ1上においてガラス基板Gが移動や回転する際には、ガラス基板Gの角部が垂れて切り欠き部1Bの縁に引っ掛かるといったおそれはない。
【0064】
その後、図26に示されているように、ガラス基板Gの姿勢を矯正する際には、クランプ機構7のローラ72が所定の上位置から下位置へと下降させられる。このとき、ローラ72の下部中心に設けられたボール72Aが補助プレート84に当接しながら補助プレート84を押し下げる。これにより、緩衝器85のバネ85Cが縮められ、補助プレート84がエアチャンバー10Bの上面よりも下方に位置した状態となる。その結果、ローラ72も、エアチャンバー10Bの上面より若干下がった位置に配置され、ガラス基板Gの角部に対して適切に当接可能な体勢をなる。
【0065】
さらにそうした後、図27に示されているように、補助プレート84を押し下げた状態のままローラ72が水平方向に前進移動させられ、このローラ72がガラス基板Gの角部に当接する。これにより、ガラス基板Gの角部がローラ72によって挟持された状態となり、エアステージ1上におけるガラス基板Gの姿勢が適切に矯正される。以上のようにしてガラス基板Gの姿勢を矯正した後、ローラ72は、図25に示されるような元の所定の上位置まで引き上げられ、さらにその後、ガラス基板Gは、適正な姿勢を保ちながら搬送される。
【0066】
したがって、本実施形態の基板搬送装置A3によれば、先述した実施形態によるものと同様の効果が得られるほか、例えばエアステージ1上においてガラス基板Gが回転させられる際には、ガラス基板Gの角部が通過するエアステージ1の切り欠き端部1Bが補助プレート84によって平坦な面をなすため、ガラス基板Gの角部が垂れてエアステージ1の切り欠き端部1Bに引っ掛かるといったことを防ぐことができる。一方、ガラス基板Gの姿勢を矯正する際には、補助プレート84に妨げられることなくこの補助プレート84を弾性的に押し下げるようにしてガラス基板Gの角部に姿勢矯正用のローラ72を当接させることができる。また、クランプ機構7は、エアステージ1の上方に設けられているため、クランプ機構7を含む基板搬送装置A3の設置スペースをできる限り抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願発明に係る基板搬送装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す基板搬送装置の上面図である。
【図3】図1に示す基板搬送装置の側面図である。
【図4】図1に示す基板搬送装置の内部構造図である。
【図5】図1に示す基板搬送装置に含まれる支持手段の一部断面図である。
【図6】図1に示す基板搬送装置に含まれるエアステージの一部断面図である。
【図7】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図8】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図9】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図10】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図11】図10に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図12】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図13】図12に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図14】図1に示す基板搬送装置の動作を説明するための全体斜視図である。
【図15】図14に示す状態の基板搬送装置の内部構造図である。
【図16】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図17】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図18】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図19】図16に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図20】他の実施形態に係る基板搬送装置の要部断面図である。
【図21】他の実施形態に係る基板搬送装置の要部上面図である。
【図22】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図23】他の実施形態に係る基板搬送装置の上面図である。
【図24】図23に示す基板搬送装置の要部上面図である。
【図25】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図26】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【図27】図23に示す基板搬送装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0068】
A 基板搬送装置
G ガラス基板
F1 第1の水平方向
F2 第2の水平方向
1 エアステージ
1A 中央開口部
1B 切り欠き端部
10b 空気噴出孔
10A,10B エアチャンバー
2A,2B 支持手段
20 アクチュエータ
21 可動ブロック
21b 空気噴出孔
22 ガイドローラ
3 回転手段
30 可動ベース
31 回転用のモータ
32 回転ユニット
33 真空吸着盤
34 補助プレート
35 緩衝器
7 クランプ機構
72 ローラ
84 補助プレート
85 緩衝器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の基板を水平に保ちながら当該基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置であって、
上記基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージと、
上記エアステージに隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の側縁部を第1の水平方向に沿って移動しうるように支持する支持手段と、
上記エアステージの中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第1の水平方向から異なる第2の水平方向にあるいはその逆方向に方向転換させる回転手段と、
を備えたことを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項2】
上記支持手段は、上記第1の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の側縁部を支持し、その後、上記回転手段は、上記支持手段に替わって上記基板の下面中央部を支持しつつ鉛直軸周りに回転することにより、当該基板を上記第1の水平方向から上記第2の水平方向に方向転換させる、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
上記回転手段は、上記第2の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第2の水平方向から上記第1の水平方向に方向転換させ、その後、上記支持手段は、上記回転手段に替わって上記基板の側縁部を支持することにより、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させる、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
上記エアステージは、全体的に平面視矩形状を呈して上記基板と略同一の面積をもつように構成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
上記支持手段は、上記エアステージの相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている、請求項4に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
上記エアステージは、空気噴出孔を上面に有する複数のエアチャンバーを上記回転手段の周囲に配置するようにして構成されており、これら複数のエアチャンバーのうちの少なくとも1つは、上記第2の水平方向に沿って他の基板搬送装置との間で上記基板を受け渡ししうるように、その際には上記支持手段とともに所定の下位置をとるべく上下動作可能に設けられている、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
上記支持手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ブロックと、上記基板の側縁部を支持するように上記可動ブロックに設けられており、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させるための複数のガイドローラとを有して構成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項8】
上記可動ブロックの上面には、空気噴出孔が設けられている、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
上記回転手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ベースと、この可動ベースに設けられた回転用のモータと、このモータによって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニットと、上記基板の下面中央部を真空吸着するように上記回転ユニットの上部に設けられた複数の真空吸着盤と、これら複数の真空吸着盤に真空状態を発生させるための真空ポンプとを有して構成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項10】
上記エアステージの中央部には、開口部が形成されているとともに、この中央開口部と対応する位置に上記回転手段が配置されており、
上記回転手段はさらに、上記複数の真空吸着盤が嵌入可能な複数の穴をもち、上記回転ユニットの上部に緩衝器を介して支持された補助プレートを有しており、この補助プレートは、上記可動ベースが所定の下位置をとるとき、上記複数の真空吸着盤よりも上方に位置して上記中央開口部を平坦に塞ぐように構成されている、請求項9に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
上記補助プレートは、上記エアステージ上に上記基板が配置された状態で上記可動ベースが所定の上位置をとるとき、上記基板に押し返されることで上記緩衝器の弾力に抗して変位させられ、上記複数の真空吸着盤が上記複数の穴に嵌入した状態で当該基板の下面中央部を真空吸着するように構成されている、請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
上記エアステージには、上記基板の相対する角部を挟持可能なクランプ機構が設けられている、請求項1ないし11のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項13】
上記クランプ機構は、上記エアステージの端部上方に設けられており、上記基板の角部に当接可能なローラを鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている、請求項12に記載の基板搬送装置。
【請求項14】
上記クランプ機構が位置する上記エアステージの端部には、当該エアステージの下方適部に緩衝器を介して支持された補助プレートが設けられており、この補助プレートは、上記クランプ機構のローラが所定の上位置をとるとき、上記エアステージの上面に沿って平坦な面をなす一方、上記ローラが所定の下位置をとるとき、このローラに押されることで上記緩衝器の弾力に抗して下方に変位させられ、そのまま当該ローラが水平方向に前進移動して上記基板の角部に当接するように構成されている、請求項13に記載の基板搬送装置。
【請求項1】
平面視矩形状の基板を水平に保ちながら当該基板を方向転換して搬送するための基板搬送装置であって、
上記基板の下面との間に空気圧による緩衝層を形成するエアステージと、
上記エアステージに隣接して上下動作可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の側縁部を第1の水平方向に沿って移動しうるように支持する支持手段と、
上記エアステージの中央部において、上下動作可能かつ鉛直軸周りに回転可能に設けられており、所定の上位置をとるとき、上記エアステージ上における上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第1の水平方向から異なる第2の水平方向にあるいはその逆方向に方向転換させる回転手段と、
を備えたことを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項2】
上記支持手段は、上記第1の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の側縁部を支持し、その後、上記回転手段は、上記支持手段に替わって上記基板の下面中央部を支持しつつ鉛直軸周りに回転することにより、当該基板を上記第1の水平方向から上記第2の水平方向に方向転換させる、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
上記回転手段は、上記第2の水平方向に沿って上記エアステージへと搬送されてきた上記基板の下面中央部を支持するとともに、鉛直軸周りに回転することで当該基板を上記第2の水平方向から上記第1の水平方向に方向転換させ、その後、上記支持手段は、上記回転手段に替わって上記基板の側縁部を支持することにより、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させる、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
上記エアステージは、全体的に平面視矩形状を呈して上記基板と略同一の面積をもつように構成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
上記支持手段は、上記エアステージの相対する側部にそれぞれ隣接して一対をなすように設けられている、請求項4に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
上記エアステージは、空気噴出孔を上面に有する複数のエアチャンバーを上記回転手段の周囲に配置するようにして構成されており、これら複数のエアチャンバーのうちの少なくとも1つは、上記第2の水平方向に沿って他の基板搬送装置との間で上記基板を受け渡ししうるように、その際には上記支持手段とともに所定の下位置をとるべく上下動作可能に設けられている、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
上記支持手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ブロックと、上記基板の側縁部を支持するように上記可動ブロックに設けられており、当該基板を上記第1の水平方向に沿って移動させるための複数のガイドローラとを有して構成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項8】
上記可動ブロックの上面には、空気噴出孔が設けられている、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
上記回転手段は、上下動作用のアクチュエータと、このアクチュエータによって上下させられる可動ベースと、この可動ベースに設けられた回転用のモータと、このモータによって鉛直軸周りに回転させられる回転ユニットと、上記基板の下面中央部を真空吸着するように上記回転ユニットの上部に設けられた複数の真空吸着盤と、これら複数の真空吸着盤に真空状態を発生させるための真空ポンプとを有して構成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項10】
上記エアステージの中央部には、開口部が形成されているとともに、この中央開口部と対応する位置に上記回転手段が配置されており、
上記回転手段はさらに、上記複数の真空吸着盤が嵌入可能な複数の穴をもち、上記回転ユニットの上部に緩衝器を介して支持された補助プレートを有しており、この補助プレートは、上記可動ベースが所定の下位置をとるとき、上記複数の真空吸着盤よりも上方に位置して上記中央開口部を平坦に塞ぐように構成されている、請求項9に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
上記補助プレートは、上記エアステージ上に上記基板が配置された状態で上記可動ベースが所定の上位置をとるとき、上記基板に押し返されることで上記緩衝器の弾力に抗して変位させられ、上記複数の真空吸着盤が上記複数の穴に嵌入した状態で当該基板の下面中央部を真空吸着するように構成されている、請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
上記エアステージには、上記基板の相対する角部を挟持可能なクランプ機構が設けられている、請求項1ないし11のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項13】
上記クランプ機構は、上記エアステージの端部上方に設けられており、上記基板の角部に当接可能なローラを鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている、請求項12に記載の基板搬送装置。
【請求項14】
上記クランプ機構が位置する上記エアステージの端部には、当該エアステージの下方適部に緩衝器を介して支持された補助プレートが設けられており、この補助プレートは、上記クランプ機構のローラが所定の上位置をとるとき、上記エアステージの上面に沿って平坦な面をなす一方、上記ローラが所定の下位置をとるとき、このローラに押されることで上記緩衝器の弾力に抗して下方に変位させられ、そのまま当該ローラが水平方向に前進移動して上記基板の角部に当接するように構成されている、請求項13に記載の基板搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−182560(P2006−182560A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174727(P2005−174727)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
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