説明

基板検査装置、基板検査方法および半導体装置の製造方法

【課題】 基板の欠陥を高感度で検出する。
【解決手段】 二次電子ビームの焦点面に、検査対象部位に応じた形状およびサイズの複数の開口絞りが設けられた可動絞り板81を設置し、任意の検査対象部位から高い二次電子放出比で放出される二次電子ビームが可動絞り板81を通過してMCP検出器31の検出面で結像するように絞り81Bα〜81Bγ,81Dα〜81Dγを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置、基板検査方法および半導体装置の製造方法に関し、例えば電子ビームを用いた半導体パターン等の観察および検査を対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体パターンの欠陥検査のために電子ビームが利用されている。例えば特許文献1には、矩形状の電子ビームを電子照射手段にて形成して一次電子ビームとして試料に照射し、その試料表面の形状/材質/電位の変化に応じて発生した二次電子、反射電子および後方散乱電子である二次電子ビームを写像投影光学手段にて電子検出部に拡大投影し、試料表面画像を得る手法が開示されている。さらに、この手法に加えて一次電子ビームを電子ビーム偏向手段であるウィーンフィルタにて偏向させ、試料表面に対して垂直に入射させ、なおかつ二次電子ビームを同一のウィーンフィルタ内を直進させて写像投影光学系に導入する方法も提案されている(例えば特許文献2)。
【0003】
しかしながら、例えば特許文献2に記載の装置では、検出系にて収集される二次電子、反射電子および後方散乱電子の放出角度範囲(垂直方向を基準とする)−θb〜+θbが、二次電子ビーム焦点面に配設されている円孔形状の開き角絞りによって一律に制限されていた。そのため、得られる二次電子像においては、SEM(Scanning Electron Microscope)方式の欠陥検査装置で得られる二次電子像に比べ、エッジ部でのコントラストが低く、また、側壁部の明度も劣っていた。このため、正確な形状認識ができず、パターン欠陥検出感度の低下を招く等の問題があった。
【特許文献1】特開平7−249393号公報
【特許文献2】特開平11−132975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板の欠陥を高感度で検出することができる基板検査装置および基板検査方法、並びに歩留まりに優れた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段により上記課題の解決を図る。
【0006】
即ち、本発明によれば、
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する工程と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影し、結像させる写像投影工程と、
結像した前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する工程と、
を備える基板検査方法であって、
前記写像投影工程は、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位の画像信号の量が他の部位の画像信号の量よりも増大するように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に結像させる工程を含む、
基板検査方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する工程と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影し、結像させる写像投影工程と、
結像した前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する工程と、
を備える基板検査方法であって、
前記写像投影工程は、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位とこれに隣接する部位との画像コントラストが高くなるように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に結像させる工程を含む、
基板検査方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する一次ビーム照射手段と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影して結像させる写像投影手段と、
前記二次電子ビームが結像する検出面を有し、前記検出面で前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する電子ビーム検出手段と、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位の画像信号の量が他の部位の画像信号の量よりも増大するように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に前記電子ビーム検出手段の前記検出面に結像させる電子選択手段と、
を備える基板検査装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する一次電子ビーム照射手段と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影して結像させる写像投影手段と、
前記二次電子ビームが結像する検出面を有し、前記検出面で前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する電子ビーム検出手段と、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位とこれに隣接する部位との画像コントラストが高くなるように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に前記電子ビーム検出手段の前記検出面に結像させる電子選択手段と、
を備える基板検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の欠陥を高感度で検出することができる。
また、本発明によれば、上記効果を奏する基板検査方法を用いるので、高い歩留まりで半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本明細書においては、すべての検査対象部位で二次電子等の放出する角度の基準を共通にするため、二次光学系の光軸方向を基準として採用し、二次電子等の放出する方向と二次光学系の光軸方向とがなす角度を「光軸基準放出角度」と定義する。また、角度の正負の符号について反時計方向を正の方向とする。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる基板検査装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の特徴は、検査対象部位の幾何学的形状に対応した形状およびサイズを有する複数の絞り81Bα〜81Bγ,81Dα〜81Dγを可動絞り板81に設け、可動絞り板駆動部83により可動絞り板81を移動させることにより検査対象部位に応じた絞りを選択する点にある。この点は後に詳述する。
【0013】
図1に示す基板検査装置1は、一次光学系10と、二次光学系20と、電子検出部30と、ウィーンフィルタ(Wien filter)41と、ステージ43と、各種制御部16,17,51〜55,57と、画像信号処理部58と、ホストコンピュータ60と、表示部62と、を備える。
【0014】
一次光学系10は、電子銃部11と複数段の四極子レンズ15を含む。電子銃部11は、例えば一次電子ビーム照射手段に対応し、長軸100〜700μm、短軸15μmの矩形の電子放出面を有するLaB6線状陰極112、ウエーネルト電極114、電子ビームの引き出しを行う陽極116、光軸調整用の偏向器118を有する。LaB6線状陰極112、ウエーネルト電極114、陽極116および偏向器118は制御部16に接続され、この制御部16からの信号により一次電子ビームBpの加速電圧、出射電流、光軸Apが制御される。四極子レンズ15は、四極子レンズ制御部17に接続される。線状陰極112より放出した一次電子ビームBpは、四極子レンズ制御部17からの信号により制御される四極子レンズ15によって収束され、ウィーンフィルタ41に対して斜めから入射する。一次電子ビームBpはウィーンフィルタ41によって偏向され、試料である基板Sに対して垂直な方向に進行する。一次電子ビームBpはその後、二次光学系20内の回転対称静電レンズであるカソードレンズ21によってレンズ作用を受け、基板Sに対して垂直に照射される。
【0015】
基板Sはステージ43の上面に設置され、ステージ電圧制御部51により基板Sに負電圧が印加できるようになっている。この機構は、一次電子ビームBpによる基板Sへの入射ダメージを低減し、一次電子ビームBpの照射によって、基板S表面の形状/材質/電位の変化に応じて発生した二次電子、反射電子および後方散乱電子で構成される二次電子ビームBsのエネルギ向上を目的としたものである。二次電子、反射電子および後方散乱電子は、例えば二次電子、反射電子および後方散乱電子に対応する。以下では、二次電子、反射電子および後方散乱電子を単に二次電子等という。
【0016】
ウィーンフィルタ41の具体的構成を図2に示し、その作動原理を図3および図4を参照しながら簡単に説明する。図2に示すように、ウィーンフィルタ41の場は、二次光学系の光軸Asに垂直な平面CSw(図3,図4参照)内で電界Eと磁界Bとを直交させた構造になっており、入射した電子に対して、ウィーン条件qE=vB(qは粒子電荷、vは直進電子の速度)を満たす電子のみを直進させる働きをする。図3に示すように、この検査装置1では、一次電子ビームBpに対しては磁界による力FBと電界による力FEが同一方向に作用して、一次電子ビームBpは基板Sに対して垂直に入射するように偏向される。また、二次電子ビームBsに対しては、図4に示すように、FBとFEが逆方向に作用し、なおかつウィーン条件FB=FEが成立しているため、二次電子ビームBsは偏向されずに直進して二次光学系に入射する。
【0017】
図1に戻り、二次光学系20は、例えば写像投影手段に対応し、カソードレンズ21、第二レンズ22、第三レンズ23と、第二レンズ22と第三レンズ23との間に設置された可動絞り板81と視野絞り26とを含む。可動絞り板81および視野絞り26は、後述するホストコンピュータ60とともに、例えば電子選択手段に対応する。可動絞り板81は、基板Sと電子検出部30との間で二次電子ビームBsの焦点面24に配置され、可動絞り板駆動部83に接続される。可動絞り板駆動部83は、ホストコンピュータ60に接続され、その指令信号を受けて検査対象部位に応じた絞りが光軸上に配置されるように、可動絞り板81を焦点面24内で移動させる。カソードレンズ21、第二レンズ22、第三レンズ23は、二次光学系レンズ制御部52、54、55にそれぞれ接続され、これらの制御部から与えられる制御信号により、二次電子ビームBsを拡大投影し、二次電子ビーム像をMCP(Micro Channel Plate)検出器31の検出面に結像させる。
【0018】
電子検出部30は、例えば電子ビーム検出手段に対応し、基板Sに対向する検出面を有するMCP検出器31と、蛍光板32と、ライトガイド33と、CCD(Charged Coupled Device)等の撮像素子34とを含む。MCP検出器31の検出面に入射した二次電子ビームBsはMCPにより増幅されて蛍光板32に照射する。蛍光板32で発生した蛍光像はライトガイド33を介して撮像素子34で検出される。撮像素子34により検出された信号は、画像処理部58で処理されて画像データとしてホストコンピュータ60に転送される。
【0019】
ホストコンピュータ60は、各種制御部16,17,51〜55,57に接続され、これらの制御部を介して装置全体を制御する。ホストコンピュータ60はまた可動絞り板駆動部83に接続され、所望の検査対象部位の画像信号の量が増大するように、または、所望の検査対象部位とこれに隣接する部位とのコントラストが向上するように、可動絞り板81による二次電子ビームBsの通過制限を調整するための指令信号を生成して可動絞り板駆動部83に供給する。さらに、ホストコンピュータ60は画像信号処理部58および表示部62にも接続され、画像信号処理部58から画像データの供給を受け、図示しない画像メモリに保存し、二次電子ビーム像を表示装置60により表示させる他、検査目的に応じた画像処理等により欠陥検出処理等を実行する。
【0020】
図5に示すように、可動絞り板81には円孔形状の絞り81Bα〜81Bγとリング形状の開口を有する絞り81Dα〜81Dγとが設けられている。図5のA−A断面図を図6に示し、図5のB−B断面図を図7に示す。
【0021】
図1に示す基板検査装置1は、可動絞り板駆動部83により可動絞り板81を移動させることにより、検査対象部位の幾何学的形状に応じて所望の角度で放出する二次電子等で構成される二次電子ビームがMCP検出器31の検出面で結像するように、検査対象部位に対応する絞りを選択して光軸上に配置する。
【0022】
一般的に、二次電子等の放出角度φ(二次電子等が放出する方向と二次電子等が放出する表面の放線方向となす角度)とその放出比S(放出する二次電子等の量/入射する電子の量)との間には、
S=Acosφ(Aは係数) (1)
の関係が成り立つ。即ち、ある面からの二次電子等の放出比は、その面の法線方向が最大となる。ここで、図8のパターンPに示すように、同一または類似の材質で構成される検査対象パターンがテーパ状の側壁部または傾斜部SWを有する場合、パターンPの頂面TSおよび底面BSでは、二次電子等の放出面の法線方向は二次光学系の光軸方向Asと一致するように設置されるため、頂面TSおよび底面BSに垂直な方向で二次電子等の放出比が最大になる。従って、光軸となす角度のうち相対的に小さな鋭角、同図では−θ1〜+θ1の範囲に含まれる放出角度の二次電子等をMCP検出器31の検出面で投影結像させれば、パターンPの頂面TSおよび底面BSが明部となる画像が得られる。この場合は相対的に大きな鋭角、図8ではθ2〜θ3の範囲に含まれる放出角度の二次電子等はMCP検出器31で結像しないように写像投影光学系内で遮断される。
【0023】
この一方、パターンPの側壁部または傾斜部SWでは、二次電子等の放出面の法線方向は二次光学系の光軸方向Asと相対的に大きな鋭角、図8では(θ2+θ3)/2の角度をなし、θ2〜θ3の範囲に含まれる角度で放出される二次電子をMCP検出器31の検出面で投影結像させれば、パターンPの側壁部または傾斜部SWが明部となる画像を得ることができる。この場合、相対的に小さな鋭角、図8では−θ1〜+θ1の範囲に含まれる角度で放出される二次電子等はMCP検出器31で結像しないように写像投影光学系内で遮断される。
【0024】
本明細書においては、パターンの頂面および底面が明部となり、パターンエッジ部、または側壁部もしくは傾斜部が暗部となって検出系に投影される光学系モードを「明視野モード」と定義し、この一方、パターンエッジ部または側壁部もしくは傾斜部が明部となり、パターンの頂面TSおよび底面BSが暗部となって検出系に投影される光学系モードを「暗視野モード」と定義する。「明視野モード」では、二次電子等の放出比が最大になる光軸方向を中心に(図8では光軸基準放出角度−θ1〜+θ1の範囲で)パターンの頂面および底面から放出した二次電子等で構成される二次電子ビームの通過を許容する開口絞りを選択する。図5に示す例では、円孔絞り81Bα〜81Bγを使用すればよい。また、「暗視野モード」では、二次電子等の放出比が最大になる、放出面の法線方向を中心に(図8では光軸基準放出角度θ2〜θ3の範囲で)パターンの側壁部または傾斜部SWから放出した二次電子等で構成される二次電子ビームの通過を許容し、かつ、光軸基準放出角度−θ1〜+θ1の二次電子等で構成される二次電子ビームを遮断する開口絞りを選択する。図5に示す例では、リング形状の開口を有する絞り81Dα〜81Dγを使用すればよい。検査・計測したいパターンの部位が明部となる最適な絞りが選択されるように、ホストコンピュータ60が可動絞り板駆動部83へ制御信号を供給する。可動絞り駆動部83はホストコンピュータ60からの制御信号に従い、可動絞り板81を駆動させ、可動絞り板81上で検査・計測に最適な絞りによる二次電子ビームBsの通過制限調整を行う。可動絞り駆動部83を介してホストコンピュータ60により絞りの位置が調整された可動絞り板81は、検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度以外の光軸基準放出角度を有する二次電子等で構成される二次電子ビームを前記基板と前記電子ビーム検出手段との間で遮蔽する。
【0025】
明視野モードにおけるパターンP頂面TS内の1点RgAから放出した二次電子ビームBsaの光線図を図9に示し、パターンP底面BS内の2点RgB,RgCから放出した二次電子ビームBsb,Bscの光線図を図10に示し、パターンPの両側壁SW内の各点RgD,RgEから放出した二次電子ビームBse,Bsdの光線図を図11に示す。この明視野モードでは光軸基準放出角−θ1〜+θ1の二次電子等が通過できるように可動絞り板81上の対応する絞りが設定されている。例えば図11では、RgDおよびRgEから放出した二次電子ビームBse,Bsdよりも、RgA,RgB,RgCから放出した二次電子ビームBsa,Bsb,Bscの方がMCP検出器31にて検出される電子信号量が多いために、図8のパターンPを本装置の明視野モードにて撮像すると、図12のような明視野像が得られる。
【0026】
暗視野モードにおけるパターンP頂面TS内の1点RgAから放出した二次電子ビームBsaの光線図を図13に示し、パターンP底面BS内の2点RgB,RgCから放出した二次電子ビームBsb,Bscの光線図を図14に示し、パターンPの両側壁SW内の各点RgD,RgEから放出した二次電子ビームBse,Bsdの光線図を図15に示す。この暗視野モードでは光軸基準放出角−θ3〜−θ2,+θ2〜+θ3の二次電子等が透過できるように可動絞り板81上の対応する絞りが設定されている。例えば図15では、RgA,RgB,RgCから放出した二次電子ビームBsa,Bsb,Bscよりも、RgDおよびRgEから放出した二次電子ビームBsd,Bseの方がMCP検出器31にて検出される電子信号量が多いために、図8のパターンPを本装置の暗視野モードにて撮像すると、図16のような暗視野像が得られる。
【0027】
暗視野モードにおいて、パターンエッジ部のコントラストを強調したい場合は、パターンエッジ部から放出してMCP検出器31の検出面で結像する二次電子等の量と、パターンエッジ部に隣接する部位(側壁SW、頂面TS、底面BS等)から放出してMCP検出器31の検出面で結像する二次電子ビーム量の差が顕著になればよい。そのためには、図7の断面図に示すような暗視野モード用絞りを適用すればよいが、上記条件を満たすように例えば暗視野モード用絞りの遮断用円盤の直径D1と透過用絞り孔の径D2の最適化を行えばよい。このように最適化された暗視野モード絞りを使用することにより、図17に示すようにエッジ部TE,TBが強調された暗視野像が得られる。
【0028】
なお、本実施形態では、明視野モードおよび暗視野モードのための絞りとして回転対称形状のものを用いたが、絞りの形状はこれに限ることなく、測定対象パターンの幾何学的形状に応じて、例えば図18の符号81Dasに示すように非対称形状の絞りでも良い。
【0029】
このように本実施形態によれば、パターンの側壁部を含む所望の測定対象部位に応じた二次電子像を取得することができる。また、パターンエッジ部でのコントラストも強調されるので、パターン欠陥検出感度が向上する。
【0030】
上述した一連の検査方法を用いて半導体装置を製造することにより、高い歩留まりでかつ低コストで半導体装置を製造することが可能になる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記形態に限ることなく、その技術的範囲内で種々変形して適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる基板検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す基板検査装置が備えるウィーンフィルタの具体的構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示すウィーンフィルタの作動原理の説明図である。
【図4】図2に示すウィーンフィルタの作動原理の説明図である。
【図5】図1に示す基板検査装置が備える可動絞り板に設けられた絞りを示す平面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5のB−B断面図である
【図8】検査対象パターンの一例を示す断面図である。
【図9】図1に示す基板検査装置の明視野モードにおける二次電子ビームの光線図の一例を示す。
【図10】図1に示す基板検査装置の明視野モードにおける二次電子ビームの光線図の他の一例を示す。
【図11】図1に示す基板検査装置の明視野モードにおける二次電子ビームの光線図のさらに他の一例を示す。
【図12】図1に示す基板検査装置により得られた明視野像の一例を示す。
【図13】図1に示す基板検査装置の暗視野モードにおける二次電子ビームの光線図の一例を示す。
【図14】図1に示す基板検査装置の暗視野モードにおける二次電子ビームの光線図の他の一例を示す。
【図15】図1に示す基板検査装置の暗視野モードにおける二次電子ビームの光線図のさらに他の一例を示す。
【図16】図1に示す基板検査装置により得られた暗視野像の一例を示す。
【図17】図1に示す基板検査装置により得られ、エッジ部が強調された暗視野像の一例を示す。
【図18】非対称形状の絞りの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 基板検査装置
10 一次光学系
11 電子銃部
15 四極子レンズ
16,17,51〜55,57 各種制御部
20 二次光学系
24 二次電子ビームの焦点面
30 電子検出部
31 MCP検出器
41 ウィーンフィルタ
43 ステージ
58 画像信号処理部
60 ホストコンピュータ
62 表示部
81 可動絞り板
81Bα〜81Bγ 円孔形状の絞り
81Dα〜81Dγ リング形状の開口を有する絞り
83 可動絞り板駆動部
112 LaB6線状陰極
Bp 一次電子ビーム
Bs 二次電子ビーム
TS 頂面
BS 底面
SW パターンの側壁部または傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する工程と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影し、結像させる写像投影工程と、
結像した前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する工程と、
を備える基板検査方法であって、
前記写像投影工程は、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位の画像信号の量が他の部位の画像信号の量よりも増大するように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に結像させる工程を含む、
基板検査方法。
【請求項2】
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する工程と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影し、結像させる写像投影工程と、
結像した前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する工程と、
を備える基板検査方法であって、
前記写像投影工程は、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位とこれに隣接する部位との画像コントラストが高くなるように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に結像させる工程を含む、
基板検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板検査方法を備える半導体装置の製造方法。
【請求項4】
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する一次ビーム照射手段と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影して結像させる写像投影手段と、
前記二次電子ビームが結像する検出面を有し、前記検出面で前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する電子ビーム検出手段と、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位の画像信号の量が他の部位の画像信号の量よりも増大するように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に前記電子ビーム検出手段の前記検出面に結像させる電子選択手段と、
を備える基板検査装置。
【請求項5】
電子ビームを生成して試料である基板に一次電子ビームとして照射する一次電子ビーム照射手段と、
前記一次電子ビームの照射を受けて前記基板から放出される二次電子、反射電子および後方散乱電子の少なくともいずれかを導いて二次電子ビームとして拡大投影して結像させる写像投影手段と、
前記二次電子ビームが結像する検出面を有し、前記検出面で前記二次電子ビームを検出して前記基板の状態を表す画像信号を出力する電子ビーム検出手段と、
前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかの放出方向と前記二次電子ビームの光軸との角度を光軸基準放出角度と定義すると、任意の検査対象部位とこれに隣接する部位との画像コントラストが高くなるように、前記検査対象部位の幾何学的形状に応じた光軸基準放出角度を有する前記二次電子、前記反射電子および前記後方散乱電子の少なくともいずれかを選択的に前記電子ビーム検出手段の前記検出面に結像させる電子選択手段と、
を備える基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−308460(P2006−308460A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132318(P2005−132318)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】