説明

塗膜保護シート

【課題】塗膜への糊残りが高度に防止された塗膜保護シートを提供する。
【解決手段】本発明によると、支持基材1上に粘着剤層2を有する塗膜保護シート10が提供される。粘着剤層2は、非架橋の粘着剤により構成されている。その粘着剤は、重量平均分子量が65×10〜120×10であり、且つ数平均分子量が10×10〜25×10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜を傷や汚れ等の損傷から保護する塗膜保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
塗膜を有する物品(例えば、塗装処理された自動車やその部品、あるいは鋼板等の金属板やその成形品等)の移送、保管、養生、施工等の際における塗膜表面の損傷防止等を目的として、該塗膜に保護シートを接着して保護する技術が知られている。かかる目的に使用される塗膜保護シートは、一般に、樹脂製のシート状基材の片面に粘着剤層を有し、その粘着剤層を介して被着体表面(保護対象たる塗膜)に接着されることで保護目的を達成し得るように構成されている。
【0003】
塗膜保護シートには、保護の役目を終えた塗膜保護シートを塗膜表面から剥離(除去)する際に該シートに由来する付着物(典型的には粘着剤層を構成する粘着剤の一部)が塗膜表面に残留する事象(糊残り)を起こさない性質が求められる。従来の糊残り防止手法として、接着力を低下させる成分を粘着剤に配合する手法(特許文献1)や、耐候剤を含み且つ所定の紫外線透過率を示す基材を用いることにより粘着剤層の劣化を防いで糊残りを抑制する手法(特許文献2)が例示される。他の糊残り防止手法として、基材と粘着剤との間に所定のアンカー剤を配置する手法(特許文献3)が挙げられる。また、特許文献4には、粘着層を構成するベースポリマーの重量平均分子量および分散度を所定範囲に規定することで剥離性を向上させる手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2832565号公報
【特許文献2】特開2007−238746号公報
【特許文献3】特開2005−213280号公報
【特許文献4】特開平10−176152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、商品(自動車等)の価値向上の一環として、塗膜の外観意匠の向上に対する要求が更に高度化している。このため、上記糊残りをより高度に防止する技術が求められている。例えば、新車表面のように平滑性の高い塗膜のみならず、車両の使用開始後の塗膜(細かい凹凸のある塗膜、例えば研磨補修された塗膜)のように糊残り防止の観点からは不利な表面状態の塗膜に接着されて該塗膜の保護に使用される場合等においても、より良好な糊残り防止性(耐糊残り性)を発揮し得る塗膜保護シートが提供されれば有益である。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その主要な目的は、塗膜への糊残りがより高度に防止された塗膜保護シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、支持基材上に粘着剤層を有する塗膜保護シートが提供される。その
粘着剤層は、非架橋の粘着剤により構成されている。その粘着剤の重量平均分子量(Mw)は65×10〜120×10である。また、上記粘着剤の数平均分子量(Mn)は10×10〜25×10である。かかる構成の塗膜保護シートは、研磨補修面等のように糊残りしやすい表面に対しても、より良好な糊残り防止性を示すものとなり得る。
【0008】
ここに開示される塗膜保護シートの好ましい一態様では、前記粘着剤の分散度(Mw/Mn)が3.5以上(典型的には3.5〜7.5)である。かかる塗膜保護シートによると、より高レベルの糊残り防止性が実現され得る。また、一般に粘着剤のMwが大きくなると該粘着剤の溶液粘度が高くなる傾向にあるところ、上記のように分散度を3.5以上とすることにより、Mwの割に溶液粘度の低い粘着剤とすることができる。このことは、粘着剤組成物(典型的には、適当な溶媒に粘着剤が溶解した粘着剤溶液)のハンドリング性の観点から有利である。
【0009】
ここに開示される塗膜保護シートの他の好ましい一態様では、前記粘着剤の10質量%トルエン溶液の粘度が、30℃において5mPa・s以下(典型的には0.4mPa・s〜5mPa・s)である。かかる粘着剤は、不揮発分濃度(NV)の割に溶液粘度が低いので、粘着剤溶液のハンドリング性が良い。
【0010】
前記粘着剤は、ベースポリマー(該粘着剤に含まれるポリマー成分のうちの主成分、すなわち50質量%以上を占める成分)として、互いにMwの異なる二種以上のポリマーが配合されていることが好ましい。ここで「ポリマー」とは、分子量が概ね1×10以上の重合体をいう。かかる構成によると、上記二種以上のポリマーの選択およびそれらの配合割合によって、粘着剤のMwおよびMnを所定範囲としつつ、該粘着剤の分散度および粘度の少なくとも一方(好ましくは両方)を容易に調整することができる。
【0011】
ここに開示される塗膜保護シートの好ましい一態様では、該粘着剤のベースポリマーがイソブチレン系ポリマーである。かかる組成の粘着剤を有する塗膜保護シートは、塗膜(例えば、自動車用の塗膜)に貼付跡を残しにくいので好ましい。
【0012】
前記粘着剤は、分子量2000以下の成分の含有量が、該粘着剤に含まれるベースポリマー100質量部当たり0.1〜5質量部であることが好ましい。かかる低分子量成分は、粘着剤中に適度に含まれることにより粘着性能(例えば、後述する難接着性塗膜に対する粘着力)を向上させ得る。一方、上記低分子量成分の含有量が多すぎると、塗膜の汚染や糊残り等が生じやすくなる場合がある。したがって、ここに開示される塗膜保護シートの粘着剤では、分子量2000以下の成分の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0013】
ここに開示される技術における粘着剤は、粘着付与剤を含有するものであり得る。かかる組成の粘着剤を備えた塗膜保護シートは、より広範な種類の塗膜に対して好ましく使用され得る。被着体(塗膜)の汚染や糊残りを防止するという観点から、粘着付与剤の含有量は、ベースポリマー100質量部当たり0.01〜5質量部とすることが好ましい。
【0014】
好ましい一態様では、前記粘着付与剤が、溶解性パラメータ(SP値)が8.5(cal/cm1/2以上のフェノール系化合物、SP値が8.5(cal/cm1/2以上のアミン系化合物、およびロジン類からなる群から選択される一または二以上である。前記フェノール系化合物としては、例えば、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂およびテルペン変性フェノール樹脂からなる群から選択される一または二以上を好ましく採用することができる。かかる粘着付与剤によると、少量の添加によって、粘着特性(例えば、難接着性の塗膜に対する粘着力)を効果的に向上させることができる。ベースポリマーがポリイソブチレン系ポリマーである場合には、上記群から選択される粘着付与剤を用いることが特に有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る塗膜保護シートの一構成例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
本発明に係る塗膜保護シート(例えば、自動車やその部品の保護に使用される自動車塗膜保護シート)は、シート状の支持基材上に粘着剤層を有する。例えば図1に模式的に示すように、塗膜保護シート10は、支持基材1の片面1Aに粘着剤層2が設けられた構成を有し、粘着剤層2を被着体(保護対象物品、例えば自動車やその部品等の塗膜を有する物品)に貼り付けて使用される。使用前(すなわち、被着体への貼付前)の塗膜保護シート10は、粘着剤層2の表面(接着面)が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー(図示せず)によって保護された形態であり得る。また、基材1の他面(背面)1Bが剥離面となっており、塗膜保護シート10がロール状に巻回されることにより該他面に粘着剤層2が当接してその表面が保護された形態の塗膜保護シート10であってもよい。
【0018】
ここに開示される技術は、ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))等の樹脂成分を主体とする樹脂シート(典型的には、このような樹脂成分を主体とする樹脂組成物を膜状に成形してなる樹脂フィルム)を支持基材とする塗膜保護シートに好ましく適用され得る。特に好ましい適用対象として、基材を構成する樹脂成分のうちの主成分がポリオレフィン系樹脂である(すなわち、ポリオレフィン系樹脂シートを支持基材とする)塗膜保護シートが挙げられる。かかる組成の基材はリサイクル性等の観点からも好ましい。例えば、基材全体の50質量%以上がポリエチレン(PE)樹脂またはポリプロピレン(PP)樹脂である(換言すれば、PE樹脂とPP樹脂との合計量が基材全体の50質量%以上を占める)ポリオレフィン系樹脂シートを好ましく採用することができる。
【0019】
上記ポリオレフィン系樹脂シート(フィルム)としては、該シートを構成する樹脂成分が主としてPP樹脂である(換言すれば、樹脂成分が50質量%を超えてPP樹脂を含む)樹脂シート(PP樹脂シート)を好ましく採用することができる。例えば、樹脂成分の凡そ60質量%以上(より好ましくは凡そ75質量%以上)がPP樹脂である樹脂シートが好ましい。耐熱性等の観点から、PP樹脂による連続構造(連続相)が形成されている樹脂シートを好ましく採用することができる。樹脂成分が一種または二種以上のPP樹脂から実質的に構成される(すなわち、樹脂成分としてPP樹脂を単独で含む)樹脂シートであってもよい。このようにPP樹脂の連続構造を有する樹脂シートを基材に用いた塗膜保護シートは、例えば屋外養生中の温度上昇等の熱履歴によって被着体(塗膜)から塗膜保護シートが浮く事態の発生を防止しやすいので好ましい。
【0020】
支持基材は、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、少なくとも一つの層は上記PP樹脂の連続構造を有する層であることが好ましい。上記樹脂成分の残部は、エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンを主モノマーとするオレフィン系ポリマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂(PE樹脂等)であってもよく、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であってもよい。ここに開示される塗膜保護シートの支持基材として好ましく使用し得る樹脂シートの一例として、樹脂成分が実質的にPP樹脂およびPE樹脂からなるポリオレフィン系樹脂シート(典型的には、樹脂成分のうちの主成分がPP樹脂であり、残部がPE樹脂であるPP樹脂シート)が挙げられる。
【0021】
上記PP樹脂は、プロピレンを成分とする種々のポリマー(プロピレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。一種または二種以上のプロピレン系ポリマーから実質的に構成されるPP樹脂であってもよい。ここでいうプロピレン系ポリマーの概念には、例えば、以下のようなポリプロピレンが包含される。
プロピレンのホモポリマー(ホモポリプロピレン)。例えばアイソタクチックポリプロピレン。
プロピレンと他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンから選択される一種または二種以上)とのランダムコポリマー(ランダムポリプロピレン)。好ましくは、プロピレンを主モノマー(主構成単量体、すなわち単量体全体の50質量%以上を占める成分)とするランダムポリプロピレン。例えば、プロピレン96〜99.9モル%と上記他のα−オレフィン(好ましくはエチレンおよび/またはブテン)0.1〜4モル%とをランダム共重合したランダムポリプロピレン。
プロピレンに他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンから選択される一種または二種以上)をブロック共重合したコポリマー(プロピレンを主モノマーとするものが好ましい。)を含み、典型的には副生成物としてプロピレンおよび上記他のα−オレフィンのうち少なくとも一種を成分とするゴム成分をさらに含むブロックコポリマー(ブロックポリプロピレン)。例えば、プロピレン90〜99.9モル%に上記他のα−オレフィン(好ましくはエチレンおよび/またはブテン)0.1〜10モル%をブロック共重合したポリマーと、副生成物としてプロピレンおよび上記他のα−オレフィンのうち少なくとも一種を成分とするゴム成分をさらに含むブロックポリプロピレン。
【0022】
上記PP樹脂は、このようなプロピレン系ポリマーの一種または二種以上から実質的に構成されるものであってもよく、該プロピレン系ポリマーに多量のゴム成分を共重合させて得られるリアクターブレンドタイプもしくは該ゴム成分を機械的に分散させて得られるドライブレンドタイプの熱可塑性オレフィン樹脂(TPO)や熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。また、重合性官能基に加えて他の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)とプロピレンとのコポリマーを含むPP樹脂、かかる官能基含有モノマーをプロピレン系ポリマーに共重合させたPP樹脂等であってもよい。
【0023】
また、上記PE樹脂は、エチレンを成分とする種々のポリマー(エチレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。一種または二種以上のエチレン系ポリマーから実質的に構成されるPE樹脂であってもよい。上記エチレン系ポリマーは、エチレンのホモポリマーであってもよく、主モノマーとしてのエチレンに他のα−オレフィンを共重合(ランダム共重合、ブロック共重合等)させたものであってもよい。上記α−オレフィンの好適例としては、プロピレン、1−ブテン(分岐1−ブテンであり得る。)、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが挙げられる。また、重合性官能基に加えて別の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)とエチレンとのコポリマーを含むPE樹脂、かかる官能基含有モノマーをエチレン系ポリマーに共重合させたPE樹脂等であってもよい。エチレンと官能基含有モノマーとのコポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸および/またはメタクリル酸)共重合体が金属イオンで架橋されたもの、等が挙げられる。
【0024】
PE樹脂の密度は特に限定されず、例えば0.9〜0.94g/cm程度であり得る。好ましいPE樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。上記PE樹脂は、一種または二種以上のLDPEと、一種または二種以上のLLDPEとを含むものであってもよい。各LDPEまたはLLDPEのブレンド比や、LDPEとLLDPEとのブレンド比は特に限定されず、所望の特性を示すPE樹脂となるように適宜設定することができる。
【0025】
特に限定するものではないが、支持基材を構成する樹脂材料としては、MFRが0.5〜80g/10分(例えば0.5〜10g/10分)程度の樹脂材料を好ましく使用することができる。ここでMFRとは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定して得られる値をいう。上記樹脂材料は、MFRが上記範囲にあるポリオレフィン系樹脂(例えば、PP樹脂、PE樹脂、PP樹脂とPE樹脂とのブレンド樹脂等)であり得る。
【0026】
ここに開示される塗膜保護シートの基材として用いられる樹脂シート(好ましくはポリオレフィン系樹脂シート)は、遮光性、耐候性、耐熱性、製膜安定性、粘着特性等の要求特性に応じて、当該基材への含有が許容される適宜の成分を必要に応じて含有するものであり得る。例えば、顔料(典型的には無機顔料)、充填材、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等を包含する意味である。)、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜配合することができる。顔料または充填材として好ましく使用し得る材料の例として、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の無機粉末が挙げられる。無機顔料や充填材の配合量は、該配合により得られる効果の程度や樹脂シートの成形方法(キャスト成形、インフレーション成形等)に応じた基材の成形性等を考慮して、適宜設定することができる。通常は、無機顔料および充填材の配合量(複数種類を配合する場合にはそれらの合計量)を、樹脂成分100質量部に対して凡そ2〜20質量部(より好ましくは凡そ5〜15質量部)程度とすることが好ましい。各添加剤の配合量は、例えば、塗膜保護シート(例えば、自動車塗膜保護シート)の支持基材等として用いられる樹脂シートの分野における通常の配合量と同程度とすることができる。
【0027】
上記樹脂シート(好ましくはポリオレフィン系樹脂シート)は、従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用して製造することができる。例えば、上記樹脂成分(好ましくは、PP樹脂を単独で含むかまたはPP樹脂を主成分とし副成分としてPE樹脂を含む樹脂成分)と必要に応じて配合される添加剤等とを含む成形材料を押出成形する方法を好ましく採用することができる。
【0028】
図1に示す支持基材(典型的には樹脂シート)1のうち粘着剤層2が設けられる側の面には、酸処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。また、基材1のうち粘着剤層2が設けられる面とは反対側の面(背面)には、必要に応じて離型処理(例えば、一般的なシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の離型処理剤を、典型的には0.01μm〜0.1μm程度の薄膜状に付与する処理)が施されていてもよい。かかる離型処理を施すことにより、塗膜保護シート10をロール状に巻回したものの巻き戻しを容易にする等の効果が得られる。
支持基材の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜選択し得る。通常は、厚みが凡そ300μm以下(例えば凡そ10μm〜200μm)の基材を用いることが適当である。ここに開示される塗膜保護シートの好ましい一態様では、基材の厚みが凡そ10μm〜100μm(例えば凡そ20μm〜60μm)である。かかる厚みの基材を用いてなる塗膜保護シートは、例えば、自動車塗膜用保護シートとして好適である。
【0029】
ここに開示される塗膜保護シートに具備される粘着剤層は、ゴム系、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系、ポリα−オレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、等の公知の各種粘着剤から選択される一種または二種以上の粘着剤を含んで構成された粘着剤層であり得る。好ましい一態様では、上記粘着剤層が、ゴム系ポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分)とする粘着剤組成物から形成されたゴム系粘着剤層である。上記ベースポリマーの例としては、天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリイソプレン;ブテン(1−ブテン、cis−またはtrans−2−ブテン、および2−メチルプロペン(イソブチレン)を包含する意味である。)を主モノマーとするブテン系ポリマー;A−B−A型ブロック共重合体ゴムおよびその水素化物、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SIS)、スチレン−ビニル・イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SVIS)、SBSの水素化物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、SISの水素化物であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS);等の種々のゴム系ポリマーが挙げられる。上記ブテン系ポリマーの好適例として、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン共重合体等の、イソブチレン系ポリマーが挙げられる。
【0030】
ここに開示される技術は、非架橋タイプの粘着剤からなる粘着剤層を備えた塗膜保護シートに好ましく適用され得る。ここで、非架橋タイプの粘着剤からなる粘着剤層とは、該粘着剤層を形成する際に、粘着剤を構成するポリマー間に化学結合を形成するための意図的な処理(すなわち架橋処理、例えば架橋剤の配合など)が行われていない粘着剤層をいう。かかる粘着剤層は、実質的に歪が蓄積されない(一時的に歪みが生じたとしても容易に解消し得る)ので塗膜に貼付跡を残しにくい等、塗膜保護シート用の粘着剤層として好適な性質を有する。
【0031】
非架橋タイプの粘着剤としては、上述のようなA−B−A型ブロック共重合体ゴムまたはその水素化物をベースポリマーとする粘着剤、イソブチレン系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤等が例示される。なかでもイソブチレン系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤組成物から形成された非架橋の粘着剤(ポリイソブチレン系粘着剤)からなる粘着剤層が好ましい。ポリイソブチレン系粘着剤は、塗膜(例えば、自動車用の塗膜)との溶解性パラメータ(SP値)の差異が大きいことから、両者の間で物質移動が生じ難く、塗膜に貼付跡を生じにくい。また、かかる粘着剤層は弾性率が高く、塗膜保護シートのように再剥離される態様で使用される粘着シート用の粘着剤(再剥離型粘着剤)として好適である。
【0032】
上記イソブチレン系ポリマーは、イソブチレンのホモポリマー(ホモポリイソブチレン)であってもよく、イソブチレンを主モノマーとするコポリマー(換言すれば、イソブチレンが50モル%を超える割合で共重合されたコポリマー)であってもよい。該コポリマーは、例えば、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等であり得る。接着強度の安定性(例えば、経時や熱履歴によって接着強度が過剰に上昇しない性質)の観点から好ましく使用されるイソブチレン系ポリマーとして、ホモポリイソブチレンおよびイソブチレン−ノルマルブチレン共重合体が挙げられる。なかでもホモポリイソブチレンが好ましい。
【0033】
ここに開示される技術における粘着剤は、Mwが65×10〜120×10(例えば65×10〜90×10)であり、且つMnが10×10〜25×10(例えば10×10〜20×10)であることが好ましい。かかる平均分子量(Mw,Mn)を満たす粘着剤は、高い凝集力と、塗膜保護シートとして適切な粘着力とを兼ね備えたものとなり得る。したがって、かかる粘着剤を備えた塗膜保護シートは、研磨補修面等のように糊残りしやすい表面に対しても良好な糊残り防止性を示すものとなり得る。MwまたはMnが上記範囲よりも大きすぎると、粘着剤の溶液粘度が高くなりすぎてハンドリング性(例えば塗工安定性)が低下する傾向にある。MwまたはMnが上記範囲よりも小さすぎると、粘着剤の凝集力が不足しがちとなり、厳しい条件で使用された場合(例えば、研磨補修面に貼り付けられた場合)に糊残りを生じやすくなる。
【0034】
なお、ここで粘着剤のMwおよびMnとは、塗膜保護シートから採取した粘着剤をテトラヒドロフラン(THF)に溶かして調製したサンプルにつきゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行って求められる、ポリスチレン換算の値をいう。具体的には、後述する実施例に記載の方法でGPC測定を行うことにより、粘着剤のMwおよびMnを求めることができる。
【0035】
好ましい一態様では、粘着剤の分散度(Mw/Mn)が3.5以上であり、より好ましくは5以上である。かかる粘着剤を備えた塗膜保護シートによると、より高レベルの糊残り防止性が実現され得る。また、一般に粘着剤のMwが大きくなると該粘着剤の溶液粘度は上昇する傾向にあるところ、上記のように分散度を所定値以上とすることにより、Mwの割に溶液粘度の低い粘着剤とすることができる。このことは、粘着剤組成物のハンドリング性(例えば、粘着剤組成物の調製、送液、塗工等の際におけるハンドリングしやすさ)の観点から有利である。したがって、ここに開示される好ましいMw,Mnおよび分散度を満たす粘着剤は、高い凝集力と、塗膜保護シートとして適切な粘着力と、良好なハンドリング性とを兼ね備えたものとなり得る。粘着剤の分散度は、5以上であってもよく、5.5以上、さらには6以上であってもよい。粘着剤の分散度の上限は特に限定されないが、通常は7.5以下(例えば7以下)であることが好ましい。
【0036】
ここに開示される技術における粘着剤は、その10質量%トルエン溶液の30℃における粘度が10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以下であることがより好ましく、1.5mPa・s以下であることがより好ましい。かかる粘着剤は、固形分濃度(NV)の割に溶液粘度が低いのでハンドリング性が良い。このことは、塗膜保護シートの生産性向上や、溶剤使用量低減等の観点から好ましい。粘度の下限は特に限定されないが、通常は0.2mPa・s以上(例えば0.4mPa・s以上)が好ましい。なお、ここでは粘着剤の10質量%トルエン溶液を基準として該粘着剤の溶液粘度を規定しているが、塗膜保護シートの作製時(特に粘着剤層の形成時)に用いられる粘着剤組成物のNVは10質量%に限定されず、塗工安定性や生産性等を考慮して適宜のNV(例えば5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%)とすることができる。また、粘着剤組成物を構成する溶媒もトルエンに限定されず、種々の溶媒(典型的には有機溶媒)を単独で、あるいは適宜の割合で混合して用いることができる。粘着剤組成物に用いられる有機溶媒の好適例として、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0037】
粘着剤のベースポリマー(例えばイソブチレン系ポリマー、典型的にはポリイソブチレン)としては、互いに分子量分布の異なる二種以上のポリマーが配合されていることが好ましい。ここで分子量分布が異なるとは、GPC測定における溶出ピークの位置および/または形状が異なることをいう。かかる組成の粘着剤によると、上記二種以上のポリマーの選択およびそれらの配合割合によって、粘着剤のMwおよびMnを所定範囲としつつ、該粘着剤の分散度および粘度の少なくとも一方(好ましくは両方)をここに開示される好ましい範囲に容易に調整することができる。ベースポリマーとして、互いにMwの異なる二種以上のポリマーが配合されていることが特に好ましい。Mwの異なる二種以上のポリマーが配合されていることは、例えば、GPC測定において頂点の位置の異なる二つ以上の溶出ピークを有する(すなわち、バイモーダル(二峰性)またはそれ以上の)分子量分布がみられることにより把握され得る。なお、上記二種以上のポリマーの各々は、典型的にはユニモーダルな(単峰性の)分子量分布を示す。
【0038】
上記Mwの異なる二種以上のポリマーとしては、例えば、Mwが1×10〜130×10の範囲にあるポリマーを適宜組み合わせて使用することができる。上記二種以上のポリマーは、最も高分子量のポリマーと最も低分子量のポリマーとでMwが5倍以上(例えば5〜20倍、典型的には8〜12倍程度)異なるように組み合わせることが好ましい。各ポリマーの分散度は、例えば1.5以上(より好ましくは2以上、例えば2〜5)であることが好ましい。
【0039】
好ましい一態様では、ベースポリマーとして、Mwが70×10〜130×10(好ましくは70×10〜120×10、例えば70×10〜100×10)の範囲にある少なくとも一種の高分子量ポリマーPと、Mwが3×10〜20×10(典型的には4×10〜10×10)の範囲にある少なくとも一種の低分子量ポリマーPとを組み合わせて使用する。上記高分子量ポリマーPとしては、分散度2〜5のものを好ましく使用することができる。上記低分子量ポリマーPとしては、分散度1.5〜3.5のものを好ましく使用することができる。MwがPとPとの間にあるポリマーがさらに配合されたベースポリマーであってもよい。PとPとの合計量がベースポリマー全体の70質量%以上であることが好ましい。ベースポリマーが実質的にPとPとからなる粘着剤であってもよい。
【0040】
上記二種以上のポリマーの配合比は、ここに開示される好ましい分子量分布(MwおよびMn、好ましくはさらに分散度)または粘度が実現されるように適宜設定することができる。例えば、PとPとを95/5〜50/50の質量比で含む粘着剤が好ましい。より高い糊残り防止性を実現するためには、Pがベースポリマー全体の60質量%以上(典型的には60〜95質量%、例えば70〜95質量%)を占める組成とすることが好ましい。ここに開示される技術における粘着剤のベースポリマーは、少なくとも一種のPと、少なくとも一種のPとからなるものであり得る。好ましい一態様では、P,Pがいずれもイソブチレン系ポリマー(典型的にはポリイソブチレン)である。
【0041】
上記粘着剤は、必要に応じて粘着付与剤を含むことができる。かかる組成の粘着剤を備えた塗膜保護シートは、難接着性の塗膜に対しても、より適切な粘着力を示すものとなり得る。したがって、より汎用性の高い塗膜保護シートとなり得る。例えば、より広範な種類の塗膜を保護する用途に好ましく利用可能な塗膜保護シートとなり得る。粘着付与剤としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、アルキド樹脂等から選択される一種または二種以上を用いることができる。なお、ここで難接着性の塗膜とは、例えば、塗膜面に対するn−ヘキサデカンの接触角が15度以上である塗膜をいう。上記接触角は、塗膜を水平に保持し、その塗膜上に23℃、65%RHの雰囲気下で約2μLのn−ヘキサデカンの液滴を滴下し、液滴端部の接線と塗膜表面とのなす角度を液滴の滴下から1分以内に測定することにより得られる。
【0042】
ここに開示される粘着剤(例えば、ポリイソブチレン系粘着剤)にとり特に好適な粘着付与剤として、SP値8.5(単位[(cal/cm1/2]。以下同じ。)以上(典型的には8.5〜15)のフェノール系化合物、SP値8.5以上(典型的には8.5〜15)のアミン系化合物、およびロジン類が挙げられる。かかる粘着付与剤によると、少量(例えば、粘着剤のベースポリマー100質量部当たり0.01〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部)の添加によって、粘着特性(例えば、難接着性の塗膜に対する粘着力)を効果的に向上させることができる。ベースポリマーがポリイソブチレン系ポリマーである場合には、上記粘着特性の向上効果が特によく発揮され得る。このような粘着付与剤は、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0043】
上記フェノール系化合物および上記アミン系化合物としては、ヒンダード系の化合物を用いることが好ましい。上記フェノール系化合物の好適例として、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂(例えば、tert−ブチルフェノール樹脂、tert−アミルフェノール樹脂、tert−オクチルフェノール樹脂のように、炭素原子数が3以上のアルキル基を側鎖に有するアルキルフェノール樹脂)、ロジン変性フェノール系樹脂およびテルペン変性フェノール樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ロジン(特に、SP値8.5以上のロジン)を好ましく使用し得る。
【0044】
なお、ここでSP値とは、化合物の溶解性を示すものであって、フェドーズ(Fedors)が提案した方法で化合物の基本構造から計算される値である。具体的には、25℃における各原子または原子団の蒸発エネルギー△e(cal)と、同温度における各原子または原子団のモル容積△v(cm)とから、以下の式に従ってSP値が計算される。
SP値(δ)=(Σ△e/Σ△v)1/2
(参考文献:山本秀樹著、「SP値 基礎・応用と計算方法」、第4刷、株式会社情報機構出版、2006年4月3日発行、第66〜67頁)。
【0045】
SP値8.5以上のフェノール系化合物の市販品としては、住友デュレズ社製の商品名「デュレズ(Durez)19900」、日本チバガイギー社製の商品名「イルガノックス1010」、同「イルガノックス1330」、同「イルガノックス3114」、同「イルガノックス565」、同「イルガノックス5057」等が例示される。SP値8.5以上のアミン系化合物の市販品としては、日本チバガイギー社製の商品名「キマソーブ944」、同「チヌビン770」等が例示される。
【0046】
上記SP値を有するフェノール系化合物やアミン系化合物は、特にイソブチレン系ポリマー(ポリイソブチレン、ブチルゴム等)、水添スチレン・ジエン型ブロックコポリマー(例えば、水添処理したスチレン・ブタジエン・スチレン等のA−B−A型ブロック共重合体ゴム)等のゴム系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤に添加されて、該粘着剤と被着体(塗膜)との界面付近に偏在する特異な相溶状態を形成することで、難接着性塗膜への粘着力向上に寄与するものと考えられる。上記相溶状態の形成性および粘着力向上性等の観点から、通常は、重量平均分子量300以上(より好ましくは400以上、例えば500以上)の粘着付与剤を用いることが好ましい。また、重量平均分子量が3×10以下の粘着付与剤が好ましい。
【0047】
ここに開示される技術における粘着剤に用いられる粘着付与剤の好適例として、SP値9.5以上(典型的には9.5〜15)のフェノール系化合物およびアミン系化合物が挙げられる。例えば、特開平9−3420号公報に記載されたSP値9.5以上のフェノール系化合物およびSP値9.5以上のアミン系化合物を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0048】
粘着剤が粘着付与剤を含む場合において、その配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば50質量部以下(好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、典型的には0.01質量部以上)とすることができる。被着体の汚染や糊残りを防止するという観点から、通常は、ベースポリマー100質量部に対する配合量を0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.01〜2質量部(典型的には0.05〜1質量部、例えば0.1〜1質量部)とすることがより好ましい。
【0049】
ここに開示される塗膜保護シートに用いられる粘着剤は、当該粘着剤への含有が許容される適宜の成分(添加剤)を必要に応じて配合したものであり得る。かかる添加剤の例として、軟化剤、剥離助剤、顔料、充填材、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等を包含する意味である。)等が挙げられる。軟化剤の例としては、低分子量のゴム系材料、プロセスオイル(典型的にはパラフィン系オイル)、石油系軟化剤、エポキシ系化合物等が挙げられる。剥離助剤の例としては、シリコーン系剥離助剤、パラフィン系剥離助剤、ポリエチレンワックス、アクリル系重合体等が挙げられる。剥離助剤を使用する場合の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば凡そ0.01〜5質量部とすることができる。あるいは、かかる剥離助剤を添加しない組成の粘着剤であってもよい。顔料または充填材の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ等の無機粉末が挙げられる。このような添加剤は、それぞれ、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。各添加剤の配合量は、例えば、塗膜保護シート(例えば、自動車塗膜保護シート)用粘着剤の分野における通常の配合量と同程度とすることができる。上記粘着付与剤および添加剤の合計量は、ベースポリマー100質量部当たり30質量部以下(より好ましくは15質量部以下)とすることが好ましい。
【0050】
好ましい一態様では、上記粘着剤のうち分子量2000以下の成分が、該粘着剤に含まれるベースポリマー100質量部当たり5質量部以下である。このように低分子量成分の量が抑えられた粘着剤を備える塗膜保護シートは、塗膜の汚染や糊残り等がよりよく防止されたものとなり得る。一方、上記低分子量成分は、粘着剤中に適度に含まれることにより粘着性能(例えば、後述する難接着性塗膜に対する粘着力)の向上に寄与し得る。したがって、ここに開示される塗膜保護シートの粘着剤は、分子量2000以下の成分を例えば0.01〜5質量部(好ましくは0.1〜5質量部)程度含有することが好ましい。
【0051】
また、上記粘着剤のうち分子量3×10以下の成分は、該粘着剤に含まれるベースポリマー100質量部当たり30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。かかる粘着剤を備える塗膜保護シートは、より良好な糊残り防止性を示すものとなり得る。なお、分子量2000以下の成分および分子量3×10以下の成分の含有量は、粘着剤のGPC測定により求めることができる。
【0052】
粘着剤層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。通常は凡そ100μm以下(例えば2μm〜100μm)とすることが適当であり、凡そ3μm〜30μmとすることが好ましく、凡そ5μm〜20μmとすることがより好ましい。例えば、自動車塗膜保護シートに具備される粘着剤層の厚みとして、上記範囲を好ましく採用することができる。
【0053】
粘着剤層の形成は、公知の粘着シートにおける粘着剤層形成方法に準じて行うことができる。例えば、ポリマー成分と必要に応じて配合される添加剤とを含む粘着層形成材料が適当な溶媒に溶解または分散した粘着剤組成物を、支持基材に直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を好ましく採用することができる。また、上記粘着剤組成物を剥離性のよい表面(例えば、剥離ライナーの表面、離型処理された支持基材背面等)に付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。該粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。
【0054】
ここに開示される塗膜保護シートは、後述する実施例に記載の条件で行われる糊残り性試験において、糊残りを生じない(目視において残留物が認められない)ものであり得る。また、後述する実施例に記載の方法で測定される標準塗膜粘着力が2〜10N/25mm(好ましくは5〜10N/25mm)のものであり得る。また、後述する実施例に記載の方法で測定される難接着塗膜粘着力が1〜10N/25mm(好ましくは2〜10N/25mm、例えば2〜5N/25mm)のものであり得る。上記三特性(糊残り性、標準塗膜粘着力、難接着塗膜粘着力)の一または二以上を満たす塗膜保護シートが好ましく、これら三特性の全てを満たす塗膜保護シートが特に好ましい。
【0055】
本発明を実施するにあたり、上記構成とすることにより本願の目的が達成される理由を明らかにする必要はないが、例えば次のことが考えられる。すなわち、塗膜保護シートの糊残り防止性を向上させるには、粘着剤の凝集力を高めることが望ましい。非架橋の粘着剤において凝集力を高めるためには、粘着剤の平均分子量は高いほうが有利である。しかし、単純にベースポリマーをよりMwの高いものに置き換えると、凝集力は向上しても他の特性(例えば粘着力)が低下してしまい、塗膜保護シートの貼り付け作業性や保護性能が損なわれる恐れがある。例えば、粘着力の不足により、低温輸送時等に塗膜から塗膜保護シートが剥がれる等の事象が起こり得る。ベースポリマーのMwを高くする一方で粘着付与剤や軟化剤等の低分子量成分の添加量を多くすることで粘着力を補うことも考えられるが、このように低分子量成分を多く含む粘着剤は塗膜の汚染を生じやすく、糊残り防止の点でも不利である。本発明では、ベースポリマー単独での平均分子量ではなく、粘着剤全体としての平均分子量に着目し、該粘着剤のMwおよびMnの両方(好ましくは、さらにMw/Mn)の値を所定範囲とすることにより、糊残り防止性と他の粘着特性(特に粘着力)とを高レベルで両立できたものと考えられる。
【0056】
以下、本発明に関連するいくつかの実験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
【0057】
<例1>
プロピレンのホモポリマー(日本ポリプロ株式会社製品、商品名「ノバテックPP FY4」)38部、エチレン・プロピレンブロックコポリマー(同社製品、商品名「ノバテックPP BC3F」)70部、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン株式会社製品、商品名「カーネル KF380」)20部、ルチル型二酸化チタン(石原産業製品、商品名「タイペーク(TIPAQUE) CR−95」)10部を含む基材成形材料をフィルム成形機にて溶融混練し、該成形機のTダイから押し出して、厚さ40μmのPP樹脂フィルム(支持基材)を成形した。この基材の背面側(粘着剤層を設ける側とは反対側)に、長鎖アルキル系の剥離処理剤を乾燥後の厚みが約0.05μmとなるように塗工する剥離処理を施して支持基材を得た。
【0058】
ベースポリマーとしてのイソブチレン系ポリマー100部と、粘着付与剤0.2部とをトルエンに溶解して、NV12%の粘着剤溶液を調整した。イソブチレン系ポリマーとしては、BASF社製のポリイソブチレン、商品名「Oppanol B−80」(Mw約90万、Mn約25万、Mw/Mn約3.6)と、同社製のポリイソブチレン、商品名「Oppanol B−12SFN」(Mw約7万、Mn約2.6万、Mw/Mn約2.7)との二種を、90:10の質量比で使用した。粘着付与剤としては、住友デュレズ社製のp−tert−オクチルフェノール樹脂、商品名「デュレズ(Durez)19900」(重量平均分子量1300、SP値11.2)を使用した。この粘着剤溶液を上記支持基材の片面(剥離処理されていない側の面)に塗布し、乾燥させて、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。このようにして、例1に係る粘着シートサンプルを作製した。
【0059】
<例2>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−80と、Oppanol B−12SFNとを、75:25の質量比で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0060】
<例3>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、BASF社製のポリイソブチレン、商品名「Oppanol B−100」(Mw約130万、Mn約30万、Mw/Mn約4.3)と、Oppanol B−12SFNとの二種を、75:25の質量比で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0061】
<例4>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−80と、BASF社製のポリイソブチレン、商品名「Oppanol B−50」(Mw約45万、Mn約15万、Mw/Mn約3.0)と、Oppanol B−12SFNとの三種を、70:20:10の質量比で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0062】
<例5>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−80と、BASF社製のポリイソブチレン、商品名「Oppanol B−15SFN」(Mw約9万、Mn約3.0万、Mw/Mn約3.0)との二種を、75:25の質量比で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0063】
<例6>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−80を単独で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0064】
<例7>
本例では、粘着付与剤として、荒川化学社製のロジン、商品名「PINECRYSTAL KR−85」(重量平均分子量300、SP値9以上)を、ベースポリマー100部に対して1部使用した。その他の点については例5と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0065】
<例8>
本例では、粘着付与剤として、BASF社製のヒンダードアミン系化合物、商品名「TINUVIN770」(分子量481、SP値9.6)を、ベースポリマー100部に対して0.1部使用した。その他の点については例5と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0066】
<例9>
粘着付与剤を使用しない点以外は例5と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0067】
<例10>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−100を単独で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0068】
<例11>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−80と、Oppanol B−12SFNとを、65:35の質量比で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0069】
<例12>
本例では、ベースポリマーたるイソブチレン系ポリマーとして、Oppanol B−50を単独で使用した。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0070】
<例13>
本例では、粘着付与剤としてのPINECRYSTAL KR−85を、ベースポリマー100部に対して10部使用した。その他の点については例5と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
【0071】
例1〜10で作製した粘着シートサンプルにつき、以下の評価試験を行った。それらの結果を、各例に係る粘着剤の組成とともに表1に示す。
【0072】
[粘着剤のMw,Mnおよび分散度]
各例に係る粘着シートサンプルから粘着剤を採取し、1.0g/Lのテトラヒドロフラン(THF)溶液に調整して24時間静置した。上記THF溶液を平均孔径0.45μmのメンブレンフィルタで濾過した濾液につき、以下の条件でGPC測定を行って、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。GPC測定装置としては、東ソー(TOSOH)社製、型式「HLC−8120GPC」を使用した。得られたMwおよびMnから分散度(Mw/Mn)を算出した。
GPC測定条件
・サンプル注入量:20μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.6mL/分
・カラム:内径6.0mm×長さ150mmの4本のカラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000)を直列に接続して使用した。
・カラム温度:40℃
・検出器:RI検出器
【0073】
上記GPC測定において、例1〜12に係る粘着剤はいずれも、分子量2000以下の成分の含有量が、ベースポリマー100部当たり0.1部以上5部以下であった。例13に係る粘着剤は、分子量2000以下の成分の含有量が5部よりも多かった(10部以上であった)。また、例1〜10および例12に係る粘着剤はいずれも、分子量30000以下の成分の含有量が、ベースポリマー100部当たり15部以下であった。例11,13に係る粘着剤は、分子量30000以下の成分の含有量が15部よりも多かった。
【0074】
[粘度および塗工性]
各例に係る粘着シートサンプルから粘着剤を採取し、該粘着剤を10%の濃度で含むトルエン溶液を調製した。このトルエン溶液を30℃の温浴で1時間加温した後、TOKIMEC社製のBH型回転粘度計により、No.2のローターを用いて、10rpmの条件で、30℃における粘度を測定した。その結果、粘度が5mPa・s以下であるものを塗工性良(○)、粘度が1.5mPa・s以下であるものを塗工性優(◎)、粘度が5mPa・sを超えるものを塗工性不良(×)と評価した。
【0075】
[糊残り性]
糊残りが生じやすい表面状態を意図的に作り出すため、45cm×30cmの鋼板にアルキドメラミン系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「TM13RC」)を塗装してなる塗膜の表面を、羊毛バフ(日立工機株式会社製品、商品名「959−721」)を取り付けた電動ポリッシャー(マキタ株式会社製品、型番「PV7001C」)により、研磨剤(住友スリーエム社製品、商品名「ハード5982−1−L」)を用いて、1000rpmの運転条件で上下左右に3分間研磨した。その後、仕上げ用ネル地により表面の研磨剤を除去したものを被着体とした。以上の操作は、温度23℃、湿度50%RHの標準環境下にて行った。
各例に係る粘着シートを幅50mm、長さ100mm(粘着剤組成物の塗工方向、すなわち基材の押出方向に相当する。)の帯状に切断して試験片を作製した。該試験片を上記被着体に圧着し、上記標準環境下に96時間保持し、次いで糊残りが生じやすい0℃の環境下に4時間保持した後、同環境下において試験担当者が被着体から試験片を、剥離角度約90度、剥離速度約100mm/分の条件で手剥離にて引き剥がした。剥離後の塗膜表面を目視にて観察し、その結果を以下のように判断した。
○:目視において残留物が認められない。
×:目視において残留物が認められる。
【0076】
[SUS粘着力]
各例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mm(粘着剤組成物の塗工方向、すなわち基材の押出方向に相当する。)の帯状に切断して試験片を作製した。SUS板(SUS430BA板を使用した。)をトルエンに漬して30分間の超音波洗浄を行い、23℃、50%RHの標準環境において上記SUS板に試験片を貼り付けた。この貼り付けは、JIS Z 0237:2000に規定する2kgゴムローラを3m/分の速度で一往復させて圧着することにより行った。貼り付け後、上記の標準環境に30分間保持し、島津製作所製のAutograph AG−10G型引張試験機を用いて、剥離速度(クロスヘッドスピード)300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度[N/25mm]を測定した。測定は3回行い、それらの平均値をSUS粘着力として表1に記した。
【0077】
[標準塗膜粘着力]
各例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mmの帯状(長手方向がMD方向)に切断して試験片を作製した。鋼板に酸エポキシ架橋型アクリル系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「KINO1210TW」)を塗装してなる塗膜を石油ベンジンで脱脂し、これに上記試験片を、上記SUS粘着力測定の際と同様にして貼り付けた。貼り付け後、上記の標準環境に30分間保持し、上記引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度[N/25mm]を測定した。測定は3回行い、それらの平均値を標準塗膜粘着力として表1に記した。
【0078】
[難接着塗膜粘着力]
各例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mmの帯状(長手方向がMD方向)に切断して試験片を作製した。n−ヘキサデカンの接触角が15度の難接着性アクリルメラミン系塗膜に上記試験片を、上記SUS粘着力測定の際と同様にして貼り付けた。貼り付け後、上記の標準環境に30分間保持し、上記引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度[N/25mm]を測定した。測定は3回行い、それらの平均値を難接着塗膜粘着力として表1に記した。
【0079】
【表1】

【0080】
表1に示されるように、Mwが65×10〜120×10であり且つMnが10×10〜25×10である粘着剤からなる粘着剤層を備えたサンプル1〜9は、いずれも、上記糊残りが生じやすい表面状態の塗膜に対しても優れた糊残り防止性を示し、塗工性も良好であり、且つSUSおよび標準塗膜に対する適度な粘着力(5〜10N/25mm)を示した。ベースポリマー100部当たり0.1〜5部(ここでは0.1〜1部)の粘着付与剤を含有するサンプル1〜8は、さらに難接着性塗膜に対しても実用上十分な粘着力(2〜10N/25mm)を示した。また、サンプル1〜9は、粘着剤の分散度がいずれも3.5〜7.5の範囲にあり、10%トルエン溶液の粘度が0.4mPa・s〜5mPa・sであり、良好な塗工性を示すものであった。なかでも、粘着剤の分散度が5〜7であるサンプル1〜5および7〜9は、粘度が1.5mPa・s以下であり、特に塗工性のよいものであった。
【0081】
MwおよびMnの一方または両方が上記範囲を満たさないサンプル11〜13は、いずれも、上記糊残り性試験において糊残りを生じた。Mw,Mnが高すぎるサンプル10では、糊残りはみられなかったものの、粘着剤の溶液粘度が著しく高かった。低分子量成分の含有量が多いサンプル13では、SUSや難接着性塗膜に対する粘着力が高すぎた。
【0082】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る塗膜保護シートは、例えばアクリル系、ポリエステル系、アルキド系、メラミン系、ウレタン系、酸エポキシ架橋系、あるいはこれらの複合系(例えばアクリルメラミン系、アルキドメラミン系)等の、種々の組成の塗料で塗装処理された保護対象物品(上記塗装処理により形成された塗膜を有する物品、例えば自動車のボディやその部品、あるいは鋼板等の金属板やその成形品等)の塗膜上に貼り付けられて、該塗膜を微小物の衝突や薬品の接触等から保護する用途に好ましく使用され得る。特に、屋外で長期間保管されたり熱帯その他様々な気候の地域に移送されたりする可能性が高く、且つ塗膜の外観意匠に対する要求レベルの高い自動車用(例えば自動車ボディの外装塗膜用)の塗膜保護シートとして好適である。
【符号の説明】
【0084】
1:支持基材
2:粘着剤層
10:塗膜保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材上に粘着剤層を有する塗膜保護シートであって、
前記粘着剤層は非架橋の粘着剤により構成され、
前記粘着剤は、重量平均分子量(Mw)が65×10〜120×10であり、且つ数平均分子量(Mn)が10×10〜25×10である、塗膜保護シート。
【請求項2】
前記粘着剤の分散度(Mw/Mn)が3.5以上である、請求項1に記載の塗膜保護シート。
【請求項3】
前記粘着剤は、10質量%トルエン溶液の30℃における粘度が5mPa・s以下である、請求項1または2に記載の塗膜保護シート。
【請求項4】
前記粘着剤には、ベースポリマーとして、互いにMwの異なる二種以上のポリマーが配合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
【請求項5】
前記粘着剤のベースポリマーはイソブチレン系ポリマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
【請求項6】
前記粘着剤のうち分子量2000以下の成分が、該粘着剤のベースポリマー100質量部当たり0.1〜5質量部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
【請求項7】
前記粘着剤は、ベースポリマー100質量部当たり0.1〜5質量部の粘着付与剤を含み、
前記粘着付与剤は、溶解性パラメータが8.5(cal/cm1/2以上のフェノール系化合物、溶解性パラメータが8.5(cal/cm1/2以上のアミン系化合物、およびロジン類からなる群から選択される一または二以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
【請求項8】
前記フェノール系化合物は、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂およびテルペン変性フェノール樹脂からなる群から選択される一または二以上である、請求項7に記載の塗膜保護シート。

【図1】
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【公開番号】特開2011−84655(P2011−84655A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238651(P2009−238651)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】