説明

変位拡大機構及び研磨装置

【課題】 作用部を自在に動かすことができる変位拡大機構であって、かつ、この変位拡大機構を研磨装置として使用しやすいように、コンパクトでシンプルな構造としたものを提供する。
【解決手段】 互いに平行に配置され電圧又は電流を供給することで各々伸縮自在の3本以上の伸縮部材11a,11b,11cと、その伸縮部材のそれぞれの一端に接続する3箇所以上のヒンジ部13a,13b,13cと、すべての前記ヒンジ部が接続する基部12と、すべての前記伸縮部材の他端で結合し前記伸縮部材の伸縮により変位を生じる作用部14と、を有し、それぞれの前記ヒンジ部から作用部までの長さが前記ヒンジ部同士の間の距離よりも長く、かつ、すべての前記ヒンジ部が一直線上に並んでいないことを特徴とする変位拡大機構10であり、また、この作用部にポリッシングツール又は被研磨物を取り付けた研磨装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮部材の変位拡大機構及びその変位拡大機構を用いてレンズ等を成形するための金型等を研磨する研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電効果によって電気エネルギーから機械エネルギーへのエネルギー変換を行う圧電素子は、変換効率が高く、小型で、微小変位の制御に優れていることから、位置決め装置等に広く用いられている。なお、歪量や応答速度に若干の違いはあるものの、磁歪や形状記憶合金といった伸縮部材も、同様に広く用いられている。
【0003】
特許文献1(特開2004−280355号公報)には、圧電素子を利用した位置決め装置が記載されている。そして、特許文献1において、圧電素子を利用した位置決め装置は超精密な位置決めには適しているものの、圧電素子そのものの変位量があまり大きくはないことから、変位拡大機構を用いることが提案されている。
【0004】
一方、圧電素子は応答性に優れているという特性も有していることから、圧電素子を振動子として用いることもある。例えば、特許文献2(特開平5−162064号公報)では、圧電素子(ピエゾ素子)による微小運動を研磨装置に利用している。しかし、ここでも位置決め装置と同様に、圧電素子の変位は相当小さいものであるから、変位拡大機構を用いなければ、広い範囲を研磨するために相当な時間を要すると考えられる。
【0005】
このように、位置決め装置や研磨装置に圧電素子を用いるときは、変位拡大機構を利用することが多くなると考えられる。特許文献3(特開2008−99399号公報)には、変位拡大機構の一例が開示されている。図7は特許文献3に記載された従来の変位拡大機構を示す図である。この変位拡大機構101は、圧電素子50が長さ方向の一端部に当接する第1の当接部材52と他端部に当接する第2の当接部材53の間に取り付けられており、電気端子51,51間に電圧が印加されることにより、圧電素子50に軸方向の変位が生じ、その発生変位がヒンジ部54,55を介してアーム56に伝達され、さらにアーム56の先端に取り付けられた板ばね57を介し、対象物に当接するセンターピース58に拡大した変位を与えることができる構成になっている。
【0006】
しかし、このような変位拡大機構101は、構造が複雑で、かつ、圧電素子50が複数あるときはそれぞれの圧電素子50に設けなければならず、圧電素子50そのものに比べてかなり大きな構造となることから、位置決め装置や研磨装置に用いるときには、変位拡大機構101同士や他の部材と接触しないように、設置するためのある程度の空間が必要になると考えられる。
【0007】
また、特許文献4(特開2008−54492号公報)には、図7とは別の変位拡大機構が記載されている。図8は特許文献4に記載された変位拡大機構を簡略化した図である。この変位拡大機構102は、圧電素子50が伸縮したときに、ヒンジ部54,55を介して、押圧部材59に圧電素子50の伸縮方向と直角方向の拡大された変位が発生する構成になっている。
【0008】
特許文献4には、このような機構を複数備え、それぞれの押圧部材59を制御する液体吐出装置が記載されている。しかし、この機構では、押圧部材59を押し引きするだけの1次元の動きしかできない。変位拡大機構を研磨装置などで用いる場合は、変位拡大機構の作用部に取り付けて被研磨物に直接又は遊離砥粒を介して当接するポリッシングツールが、所要の軌跡を描くような2次元又は3次元の動きが求められるので、特許文献4のような変位拡大機構102をそのまま利用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−280355号公報
【特許文献2】特開平5−162064号公報
【特許文献3】特開2008−99399号公報
【特許文献4】特開2008−54492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑み、作用部を自在に動かすことができる変位拡大機構であって、かつ、この変位拡大機構を研磨装置として使用しやすいように、シンプルかつコンパクトな構造としたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の変位拡大機構は、互いに平行に配置され電圧又は電流を供給することで各々伸縮自在の3本以上の伸縮部材と、その伸縮部材のそれぞれの一端に接続する3箇所以上のヒンジ部と、すべての前記ヒンジ部が接続する基部と、すべての前記伸縮部材の他端で結合し前記伸縮部材の伸縮により変位を生じる作用部と、を有し、それぞれの前記ヒンジ部から前記作用部までの長さが前記ヒンジ部同士の間の距離よりも長く、かつ、すべてのヒンジ部が一直線上に並んでいないことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、伸縮部材が3本、かつヒンジ部が3箇所のとき、基部においてヒンジ部がL字型に並んでいることにしたり、伸縮部材が4本、かつヒンジ部が4箇所のときは、基部においてヒンジ部がロの字の四隅に配置されていることにしたり、伸縮部材が、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金のいずれかであることにすると良い。また、伸縮部材に圧縮力が作用するように、ヒンジ部と作用部とを連結する与圧機構を設けても良い。
【0013】
また、本発明の研磨装置は、ポリッシングツールと被研磨物との相対的な動きにより被研磨物の表面を研磨する研磨装置であって、互いに平行に配置され電圧又は電流を供給することで各々伸縮自在の3本以上の伸縮部材と、その伸縮部材のそれぞれの一端に接続する3箇所以上のヒンジ部と、すべての前記ヒンジ部が接続する基部と、すべての前記伸縮部材の他端で結合し前記伸縮部材の伸縮により変位を生じる作用部と、その作用部に取り付けられるポリッシングツール又は被研磨物と、を有し、それぞれの前記ヒンジ部から作用部までの長さが前記ヒンジ部同士の間の距離よりも長く、かつ、すべての前記ヒンジ部が一直線上に並んでいないことを特徴とするものである。研磨装置のときも、伸縮部材が3本、かつヒンジ部が3箇所のときに、基部において3箇所のヒンジ部がL字型に並んでいることにしたり、伸縮部材が4本、かつヒンジ部が4箇所のときは、基部においてヒンジ部がロの字の四隅に配置されていることにしたり、伸縮部材が、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金のいずれかであることにしたり、伸縮部材に圧縮力が作用するように、ヒンジ部と作用部とを連結する与圧機構を設けたりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、伸縮部材の変位を拡大して作用部に変位を生じさせることができる。そして、3本以上の伸縮部材のそれぞれに所要の電圧又は電流を供給することで、作用部を自在に、かつ3次元に動かすことができる。また、それぞれの伸縮部材に変位拡大機構を設ける構造ではなく、全体として変位拡大機構となっているので、シンプルかつコンパクトな構造である。
【0015】
さらに、与圧機構を設ければ、伸縮部材に引張力が作用しない、若しくは、作用しても小さな値にすることができるので、伸縮部材が壊れるのを防ぐ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の変位拡大機構の実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の変位拡大機構をX方向から見た正面図である。
【図3】本発明の変位拡大機構の説明図である。
【図4】与圧機構を設けた変位拡大機構の実施例の斜視図である。
【図5】変位拡大機構を用いた研磨装置の正面図である。
【図6】伸縮部材が4本の場合の実施例を示す斜視図である。
【図7】従来の変位拡大機構を示す図である。
【図8】特許文献4に記載された変位拡大機構を簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の変位拡大機構の実施例を示す斜視図である。3本の伸縮部材11a,11b,11cが互いに平行に配置され、それぞれの一端がヒンジ部13a,13b,13cを介して基部12に接続されている。そして、伸縮部材11a,11b,11cの他端は、作用部14に結合している。この作用部14にポリッシングツールや被研磨物を取り付けて、研磨装置として用いることができる。
【0019】
伸縮部材11a,11b,11cとしては、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金等を用いれば良い。積層圧電素子の場合には、それぞれの伸縮部材11a,11b,11cに電圧を印加させて伸縮させれば良く、磁歪や形状記憶合金の場合には、伸縮部材11a,11b,11cにコイル等を巻き付け、そのコイル等に電流を供給することで伸縮させることができる。なお、磁歪であれば、伸縮部材11a,11b,11c、ヒンジ部13a,13b,13c、基部12及び作用部14を一体で製造することができ、この場合は接続部がなくなることから、積層圧電素子や形状記憶合金を用いるよりも壊れ難いという利点がある。
【0020】
図2は、本発明の変位拡大機構をX方向から見た正面図である。図2のように、基部12にヒンジ部13aを介して接続された伸縮部材11aに電圧や電流を供給して伸縮させると、伸縮に応じて全体的に傾斜し、作用部14にY方向の変位が生じる。当然、2本の伸縮部材11b,11cを同位相で伸縮させても同様にY方向の変位を生じさせることが可能である。また、3本の伸縮部材11a,11b,11cのすべてを同位相で伸縮させれば、作用部14をZ方向に動かすことも可能である。
【0021】
同様に、作用部14をX方向に動かしたいときは、伸縮部材11c(又は2本の伸縮部材11a,11b)に電圧や電流を供給して伸縮させれば良い。そうすると、これらの動きを組み合わせて、3本の伸縮部材11a,11b,11cにそれぞれ所要の電圧や電流を供給すれば、作用部14を自在に、かつ三次元に動かすことができるので、研磨装置に用いる場合などに、所要の軌跡を描いて研磨することが可能となる。
【0022】
なお、ここでは3本の伸縮部材11a,11b,11cの位置、つまり基部12に接続しているヒンジ部13a,13b,13cは、ヒンジ部13bから見てヒンジ部13a方向とヒンジ部13c方向とが直角になるようにL字型に配置されている。このような、L字型に配置すれば、X方向とY方向を直交させることができ、2本の伸縮部材11a,11cの伸縮だけで、作用部14に2次元の自在な動きを与えることが可能である。L字型に配置しない場合には、X方向とY方向は直交しないことになるが、それでも作用部14に2次元の動きを与えることは可能なので、特にL字型の配置に限定する必要はない。ただし、ヒンジ部13a,13b,13cを一直線上に並べて配置することはできない。一直線上に並べた場合は、自立できず、また、前述したような所要の軌跡を描くこともできないためである。
【0023】
次に、本発明が、変位拡大機構を構成する条件を説明する。図3は、本発明の変位拡大機構の説明図である。ヒンジ部13a,13b,13cから作用部14までの長さをrとし、ヒンジ部13aと13b及びヒンジ部13bと13cの間隔をdとする。そして、伸縮部材11aが11bと11cに対し、相対的にΔrだけ伸びたときに、又は、伸縮部材11cが11aと11bに対し、相対的にΔrだけ伸びたときに、変位拡大機構10が角度θ傾斜し、作用部14にΔxの変位が生じたとする。
【0024】
このとき、図3より、Δx及びΔrは、
Δx=rθ (1)
Δr=dθ (2)
と表せるから、式(1)、(2)より、
Δx=r/d・Δr (3)
という関係式が得られる。
なお、伸縮部材11bが11aと11cに対し、相対的にΔrだけ伸びたときには、ヒンジ部13bから、ヒンジ部13aとヒンジ部13cとを結ぶ直線に対して引いた垂線の長さ(d/√2)が作用部14の変位に影響し、このとき作用部14に生じる変位Δx'は、Δx'=√2×Δxになる。
【0025】
ここで、変位拡大機構10を構成するためには、伸縮部材11a,11b,11cの変位量よりも作用部14での変位量の方が大きくなければならないから、Δx>Δrでなければならない。つまり、式(3)より、r/d>1でなければならないことになる。また、r/dの値が大きいほど、変位拡大機構10としての拡大率が大きくなることから、伸縮部材11a,11b,11cの長さを長くしたり、ヒンジ部13a,13b,13c同士の間隔を狭くしたりすることで、より効率の良い変位拡大機構10とすることができ、研磨装置として用いる場合には、広範囲を短時間に研磨することが可能となる。
【0026】
次に、本発明の変位拡大機構に与圧機構を設けた実施例を示す。図4は、与圧機構を設けた変位拡大機構の実施例の斜視図である。このような与圧機構15は、伸縮部材11a,11b,11cに引張力が作用すると、伸縮部材11a,11b,11cそのものの破壊や接続部の剥離等を引き起こすことがあるため、予め圧縮力を与えておき、引張力が作用しない、若しくは、作用しても小さな値になるように設けられる。
【0027】
与圧機構15は、ヒンジ部13a,13b,13cと作用部14との間の距離が、伸縮部材11a,11b,11cの自然状態での長さよりも短くなるように、ヒンジ部13a,13b,13cと作用部14とを接続するものである。そして、ヒンジ部13a,13b,13cと作用部14との間に伸縮部材11a,11b,11cをこじ入れることにより、伸縮部材11a,11b,11cに圧縮力を与える構造になっている。図の実施例では、2本の伸縮部材11a,11cについてのみ与圧機構15を設けた構成にしているが、特にこのような構成に限定するものではない。また、与圧機構15の形状も特に限定するものではなく、ヒンジ部13a,13b,13cと作用部14を繋ぎ、板バネ等の弾性体を用いて圧縮力を与えられるものであれば良い。
【0028】
次に、本発明の変位拡大機構を研磨装置に用いる場合について説明する。図5は、変位拡大機構を用いた研磨装置の正面図である。変位拡大機構10の作用部14に取り付けられたポリッシングツール20は、その先端を被研磨物21に当接し、もしくは遊離砥粒22を介した状態で被研磨物21と接している。ここで例示する研磨方法は、研磨位置に液体に混ぜた遊離砥粒22を備え、所要の伸縮部材11a,11b,11cを伸縮させることでポリッシングツール20が被研磨物21の面上を摺動し、被研磨物21を研磨するものとしているが、ポリッシングツール20に直接ダイヤモンド砥粒等を固定したもので研磨する場合もある。
【0029】
また、図5とは逆に作用部14に被研磨物21を取り付け、ポリッシングツール20を固定するという構成にしても、ポリッシングツール20と被研磨物21との相対的な動きには変わりはないので、同様な研磨を行うことができる。
【0030】
このような構成の研磨装置にすることで、それぞれの伸縮部材11a,11b,11cに所要の電圧又は電流が供給されると、拡大した変位が作用部14に発生する。そして、それぞれの伸縮部材11a,11b,11cに供給する電圧や電流を制御すれば、直線的な動きだけでなく、複雑な軌道を自在に描くことが可能であり、また、3次元で動作させることも可能である。つまり、広範囲を短時間で研磨することが可能であり、また、溝幅に比べて溝深さが大きいような研磨も可能である。なお、伸縮部材11a,11b,11cは、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金のいずれかにすると良く、応答性に優れる伸縮部材を用いれば、より高精度な制御が可能となる。
【0031】
ここまでに示した実施例は、伸縮部材が3本のものであるが、伸縮部材を4本若しくはそれ以上にすることも可能である。伸縮部材の本数を増やし過ぎると制御が複雑になるものの、ヒンジ部の配置が基部上で一直線上に並んでいなければ、変位拡大機構及び研磨装置としての機能は果たすことができる。図6は、伸縮部材が4本の場合の実施例を示す斜視図である。このように、伸縮部材11a,11b,11c,11dが4本の場合は、基部12の面上において、ヒンジ部13a,13b,13c,13dを正方形などのロの字の四隅に配置すれば良く、そのときの正面図は図2と同様(ただし、11aと11d及び13aと13dは重なっているものとする)になるので、隣接する2本の伸縮部材(11aと11b、11aと11d、11bと11c、11cと11d)を同位相で伸縮させれば、X方向やY方向の動きを与えることができる。そうすると、電圧又は電流を供給する伸縮部材の組合せによって、自在な動きを与えることが可能になるので、変位拡大機構や研磨装置として使用することができる。
【0032】
従来の変位拡大機構は、伸縮部材ごとに設けられていたため、研磨装置等に変位拡大機構を設けると、互いの変位拡大機構が衝突したり、研磨装置全体が大きくなったりするという問題があった。しかし、実施例に示したように、本発明の変位拡大機構は、すべての伸縮部材を使って全体として一つの変位拡大機構を構成しているため、研磨装置として構造をシンプルかつコンパクトにすることが可能となった。
【0033】
また、本発明の研磨装置では、ポリッシングツールを3次元で動かすことができるので、アスペック比(溝深さ/溝幅)の高い溝を有する微細構造のような被研磨物を研磨することも可能である。
【0034】
なお、本発明の変位拡大機構は、アクチュエータとして使用しても良い。その際に、複数の変位拡大機構を直列に接続するような使い方、つまり、変位拡大機構の基部と別の変位拡大機構の作用部とを接続することも可能であり、それによって、変位をより大きくすることもできる。特に、スペースの制約が厳しい箇所では、このような使い方は、有効である。また、2台の変位拡大機構を、その接続角度が90゜になるように結合する等の接続方法のバリエーションも考えられる。
【符号の説明】
【0035】
10 変位拡大機構
11a,11b,11c、11d 伸縮部材
12 基部
13a,13b,13c、13d ヒンジ部
14 作用部
15 与圧機構
20 ポリッシングツール
21 被研磨物
22 遊離砥粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置され電圧又は電流を供給することで各々伸縮自在の3本以上の伸縮部材と、
前記伸縮部材のそれぞれの一端に接続する3箇所以上のヒンジ部と、
すべての前記ヒンジ部が接続する基部と、
すべての前記伸縮部材の他端で結合し前記伸縮部材の伸縮により変位を生じる作用部と、を有し、
それぞれの前記ヒンジ部から作用部までの長さが前記ヒンジ部同士の間の距離よりも長く、かつ、すべての前記ヒンジ部が一直線上に並んでいないことを特徴とする変位拡大機構。
【請求項2】
前記伸縮部材が3本、かつ前記ヒンジ部が3箇所であって、前記基部において前記ヒンジ部がL字型に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の変位拡大機構。
【請求項3】
前記伸縮部材が4本、かつ前記ヒンジ部が4箇所であって、前記基部において前記ヒンジ部がロの字の四隅に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変位拡大機構。
【請求項4】
前記伸縮部材が、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金のいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の変位拡大機構。
【請求項5】
前記伸縮部材に圧縮力が作用するように、前記ヒンジ部と前記作用部とを連結する与圧機構を設けることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の変位拡大機構。
【請求項6】
ポリッシングツールと被研磨物との相対的な動きにより被研磨物の表面を研磨する研磨装置であって、
互いに平行に配置され電圧又は電流を供給することで各々伸縮自在の3本以上の伸縮部材と、
前記伸縮部材のそれぞれの一端に接続する3箇所以上のヒンジ部と、
すべての前記ヒンジ部が接続する基部と、
すべての前記伸縮部材の他端で結合し前記伸縮部材の伸縮により変位を生じる作用部と、
前記作用部に取り付けられるポリッシングツール又は被研磨物と、を有し、
それぞれの前記ヒンジ部から作用部までの長さが前記ヒンジ部同士の間の距離よりも長く、かつ、すべての前記ヒンジ部が一直線上に並んでいないことを特徴とする研磨装置。
【請求項7】
前記伸縮部材が3本、かつ前記ヒンジ部が3箇所であって、前記基部において前記ヒンジ部がL字型に並んでいることを特徴とする請求項6に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記伸縮部材が4本、かつ前記ヒンジ部が4箇所であって、前記基部において前記ヒンジ部がロの字の四隅に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記伸縮部材が、積層圧電素子、磁歪又は形状記憶合金のいずれかであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項10】
前記伸縮部材に圧縮力が作用するように、前記ヒンジ部と前記作用部とを連結する与圧機構を設けることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の研磨装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−175746(P2012−175746A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33033(P2011−33033)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503343613)株式会社長津製作所 (2)
【出願人】(502254796)有限会社メカノトランスフォーマ (22)
【Fターム(参考)】