説明

多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法

【課題】ドライエッチング耐性が高く、他層とのミキシングや溶解を起こさず、また紫外光吸収により定在波効果を防ぐことのできる多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液は、Mを金属原子、R、R及びRを炭素数1〜8のアルキル基、aはMの価数、b、cは整数でb+c=金属原子Mの価数として、M(OR、又は RM(ORで表される金属アルコキシド誘導体を主成分とし、有機溶剤に溶解されている。MはTiであることが好ましい。この塗布液を基板に塗布後、100℃〜250℃、不活性ガス雰囲気下にベークして固化させ、多層レジスト中間層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法に関し、詳細には、優れたエッチング特性、光学特性、膜安定性を有する中間層が形成できる多層レジスト中間層形成用塗布液、およびこれを用いた半導体素子のパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高集積化に伴いそのパターン寸法の微細化が進んでいる。高集積半導体素子の製造プロセスにおけるリソグラフィー技術の分野では、パターンの微細化に適する技術として、光リソグラフィーに代わる電子線直接描画及びX線露光技術の実用化の研究が進んでいる。しかし、これらの技術は現段階では装置が高価、露光時間が長い等の問題があるので、量産レベルでは依然として光リソグラフィーが主力となっている。
【0003】
高集積半導体素子のパターン形成に用いられる光リソグラフィー技術は、所謂ステッパーを用いた縮小投影露光技術が一般的である。縮小投影露光の場合、パターンの解像度は、理論的には露光に使用する光の波長に比例するので、パターンの微細化に伴って、短波長の光を使用することが必要になってきた。一方、焦点深度も露光に使用する光の波長に比例するので、短波長化すると焦点深度は浅くなり、被露光物である感光性レジスト層の平坦性がより厳しく求められることになる。半導体の製造プロセスでは、被加工層の表面に大きな段差があることがあり、その場合表面に直接感光性レジスト層を形成させたのでは必要な解像度を確保できないことがある。そのような場合に、感光性レジスト層を平坦化する多層レジスト技術が用いられる。
多層レジスト技術は、上記のように感光性レジスト層を平坦化する目的以外にも、例えば感光性レジスト層のみでは薄くて、被加工層のドライエッチング等の加工マスクとして耐えられない場合に、必要な厚さを確保する目的で使用される。
【0004】
図5は、多層レジストの膜構成を示す断面模式図である。多層レジストの構成は、基板1上の被加工層2にある段差を吸収できる厚さで平坦化層3、その上に中間層4、さらにその上に感光性レジスト層5が積層された3層構造が基本である。この3層以外に、さらに特別な機能を有する層を付加した3層以上の多層構造レジスト、或いは逆に3層ある中の2層の機能を1層で兼ねるようにした2層構造レジストもあるが、以下、基本的な3層構造レジスト(以下、3層レジストと記す)で説明する。
【0005】
3層レジストは平坦化層3/中間層4/感光性レジスト層5からなる。半導体のパターン形成に3層レジストを用いる場合、半導体基板上のパターンを形成すべき被加工層の上に平坦化層、中間層、感光性レジスト層を順次形成させる。
【0006】
3層レジストにより基板1上の被加工層に所定のパターンを形成するには、まずリソグラフィー技術を用いて所定のパターンを感光性レジスト層5にパターニングする。リソグラフィー技術は一般には、ステッパー等を用いた光リソグラフィー技術を用いる。次に、感光性レジスト層5をマスクにして中間層4をエッチングして中間層4上にパターンを転写し、中間層4をマスクにして平坦化層3をエッチングして平坦化層3にパターンを転写し、平坦化層3をマスクにして被加工層2をエッチングして被加工層2にパターンを転写する、というように最上層の感光性レジスト層5のパターンを順次下層に転写していく。
【0007】
ここで、平坦化層3は被加工層2の段差を埋めて表面を平坦にする層であり、一般に表面が平坦化されるように粘度調整された熱硬化性の有機ポリマー材料を塗布し、硬化させて形成される。感光性レジスト層5は、一般に有機のポリマーであり、露光装置と必要なパターン精度によって素材が選ばれている。平坦化層3上に、感光性レジスト層5のパターンを直接形成すると、両者共に有機ポリマーであってエッチング特性が類似なことから、感光性レジスト層5が平坦化層3のエッチングマスクの機能を充分に果さない。そこで、平坦化層3、感光性レジスト層5とエッチング特性が異なる中間層4が必要となる。
このようなエッチング特性が必要な中間層には、スパッタ法、CVD法等で形成したSiO、Si等の無機膜、或いは塗布法で形成したSiを含む有機ポリマー等を使用することができる。実際の半導体製造工場では3層レジスト工程はリソグラフィー工程で実施されることが多く、例えば感光性レジストの塗布設備がそのまま使用できる塗布法で形成するSiを含む有機ポリマー又はSiOを主成分とする無機ポリマーが使用されることが多い。一般にSiOを主成分とする無機ポリマーをSOG(スピン・オン・グラス)、Siを含む有機ポリマーは有機SOGと呼び分けることがあるが、ここでは以後、両者をまとめてSOGと記す。
【0008】
本発明は、多層構造レジストにおける中間層を形成するための塗布液、及び、この塗布液を用いて形成した中間層を含むパターン形成方法を指向しており、以下中間層を中心に述べる。
上記のように中間層4は平坦化層3のエッチングマスクとなるので、平坦化層3のエッチングに対してマスクとなり得るエッチング特性を有することが必要である。平坦化層3は、一般には有機ポリマーであり、酸素(O)を用いたドライエッチングでエッチングされるので、中間層4はOドライエッチングに対して充分なドライエッチ耐性が要求される。
また、塗布液は保管中の塗布液の安定性が重要である。
また、中間層4は平坦化層3と感光性レジスト層5に挟まれていることから、これらの層とミキシングの起きる可能性がある相溶性物質は好ましくない。
さらに、感光性レジスト層の露光に影響を及ぼさない光学的特性を有することも要求される。その表面が曇りのない鏡面であることは当然であるが、更に、感光性レジスト層が露光、現像されて所定のパターンを形成する段階でパターン精度を低下させる要因の1つである定在波、即ち、感光性レジスト層の表面の入射光と裏面での反射光が互いに干渉して発生する定在波を防ぐ必要がある。多層レジストに於いて、この定在波形成を防ぐには、感光性レジスト層の下にある中間層での反射を防ぐと共に、中間層の下層からの反射をできるだけ少なくすることであり、中間層での光吸収率が高いことが望まれる。
【0009】
従来、多層レジストの中間層は、主として塗布法で形成するSOG塗布膜が使われてきた。SOGのドライエッチング特性は、SOGがSiO系の膜であるので、Oによるドライエッチに対しては所要の耐性があり、有機ポリマーの平坦化層のエッチングマスクとしての機能を有している。しかし、最近の半導体素子のパターンの微細化に伴って、被加工層を加工するエッチングマスクとして有機ポリマーである平坦化層のみでは所望の加工精度が得られず、中間層を補助的に被加工層のエッチングマスクとして用いる必要が生じている。このような要求に対してSOGのドライエッチング耐性では不十分となってきた。
【0010】
また、SOGは、塗布液の保存時の安定性については、実用上問題はないが、感光性レジスト層とのミキシングに関しては、シリコン系アルコキシドを原料にした回転塗布液を用いた時、300℃程度の温度でベークしないと硬化が不十分で、感光性レジスト層とミキシングを起こさない安定な中間層とならない。一般にリソグラフィー工程で用いられるベーク温度は200℃程度であり、感光性レジスト層とミキシングを起こし易い。
【0011】
感光性レジスト層とのミキシングの問題を解決するために、例えば、特定の有機ケイ素化合物でポリマー分子の末端を封止したポリオルガノシロキサン樹脂からなる3層レジスト用中間層が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構造によれば、上層の感光性レジスト層を塗布する時に中間層が溶解し難く、感光性レジスト層との界面にミキシング層が形成され難いが、ドライエッチング耐性が充分高いとは言えず、高精度なパターン形成が達成できないという問題点は依然として残っている。
【0012】
更に、光学的特性に関して、SOGは最近の光リソグラフィーで用いられるKrFレーザー(波長:248nm)やArFレーザー(波長:193nm)などの紫外線領域ではほとんど吸収がなく、従って、露光機から照射された紫外線は3層レジスト層を透過して下地まで到達し下地面で反射して定在波効果を引き起こし、その結果レジストパターンの寸法精度を著しく低下させる問題がある。
【0013】
定在波効果の低減策として、SiO層の下にチタン及び窒化チタンの積層からなる下置き反射防止膜と像形成用の感光性レジストの上に上塗り反射防止膜を付ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、下置き及び上塗り反射防止膜を膜付けすると工程が増え、プロセスが複雑でコストアップとなり好ましくない。
【0014】
上記のように3層レジストの中間層は、(1)エッチング特性、(2)光学特性、更に中間層を塗布液を塗布法で形成する場合には、(3)塗布液の安定性、(4)中間層が上の感光性レジストと下の平坦化層とミキシングしない耐ミキシング性、が所望の特性を有することが必要である。
(1)(2)の特性は主として中間層に含まれる酸化物の種類に依存し、(3)(4)の特性は有機ポリマー、有機溶剤、添加物の組成に依存する。
SOGによる中間層にはSiOが含まれるが、大幅に(1)(2)の特性を変えるには、SiOに替わる酸化物が必要である。特許文献3にはTiOが形成される塗布液が開示されている。しかし、この塗布液は3層レジストの中間層に用いることを目的としていないので、塗布液の安定性が十分でないという問題点がある。
【特許文献1】特開2003−177544号公報
【特許文献2】特開平10−209005号公報
【特許文献3】特開昭55−25487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記従来技術の問題点に鑑み本発明の目的は、ドライエッチング耐性が高く、保管時の安定性が高く、感光性レジスト層とのミキシングやレジスト現像液での溶解を起こさず、また中間層自体の紫外光吸収により、基板側からの反射光による定在波効果を防ぐことのできる多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法は、一般式M(OR、又はRM(OR〔式中、MはMg、Al、Ti、Zn、Zrから選ばれる金属原子であり、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、aはMの価数であり、b、cはそれぞれ1以上の整数でb+cがMの価数である〕で表される金属アルコキシド、これらの部分加水分解物、および縮合物から選ばれる一種以上の金属アルコキシド誘導体を主成分として有機溶剤に溶解してなっている。
また、金属アルコキシド誘導体に加え、水、あるいは水とキレート剤を含んでもよい。
ここで、金属原子Mは好ましくはTiである。
【0017】
本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成方法は、基板の被加工層の上に平坦化層/中間層/感光性レジスト層を順次積層した3層を含む多層レジスト層を形成し、感光性レジスト層にリソグラフィー技術を用いて所定のパターンを形成し、感光性レジスト層のパターンをマスクにして中間層をエッチングして中間層にパターンを転写し、中間層のパターンをマスクにして平坦化層をエッチングして前記平坦化層に前記パターンを転写し、平坦化層あるいは中間層と平坦化層からなるパターンをマスクにして被加工層をエッチングして被加工層にパターンを転写する、工程を含む被加工層のパターン形成において、中間層が、上記の多層レジスト中間層形成用塗布液が塗布された後、不活性ガス雰囲気下、150℃〜250℃でベークして形成されることを特徴とする。
【0018】
中間層のエッチングは、好ましくはドライエッチング法、より好ましくはフッ素及び/又は塩素を含むガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法を用いる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いて形成する多層レジストの中間層は、ドライエッチング耐性、耐溶剤性、耐現像液性に優れており、また、深紫外(DUV)光を吸収する反射防止膜としての機能も有しているので、光リソグラフィーによる露光工程での定在波の発生がなく、微細なパターンを高精度に形成することができ、高集積半導体素子の製造に対して有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、基板の被加工層の上に平坦化層/中間層/感光性レジスト層を含む多層レジスト層を形成させる際の中間層形成に使用される。
【0021】
本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、一般式M(OR、又はRM(ORで表される金属アルコキシド、これらの部分加水分解物、および縮合物から選ばれる金属アルコキシド誘導体〔以降、単に「金属アルコキシド誘導体」と記す。〕を主成分とし、これを有機溶剤に溶解してなっている。式中、Mは、Mg、Al、Ti、Zn、Zr、から選ばれる金属原子であり、より好ましくはTiである。R、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−アミル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基などが挙げられる。aはMの価数であり、b、cはそれぞれ1以上の整数でb+cがMの価数である。
ここで、部分加水分解物は、金属アルコキシド中の一部のアルコキシド基が加水分解されて水酸基となった一般式M(ORa−1(OH)、又はRM(ORc−1(OH)などであり、縮合物は、加熱などにより金属アルコキシド誘導体が脱アルコール(場合により脱水)して2分子以上が縮合したダイマー、トリマー、テトラマー等である。部分加水分解物、縮合物は、高度に加水分解されたもの、高度に縮合が進んだものは有機溶剤に不溶となるので、用いられる有機溶剤との関連で溶解性が許される範囲で選ばれるべきである。金属アルコキシド誘導体は、1種単独でもよく、あるいは2種類以上を組み合わせてもよい。また、本発明の金属アルコキシド誘導体とともに、Siアルコキシド誘導体、あるいはSiを含む有機ポリマーを本発明の効果が損なわれない範囲で一部混合して用いてもよい。
【0022】
また、本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、特定の金属アルコキシド誘導体から選ばれた1種以上を主成分とするが、これ以外に本発明が目的とする効果が損われない範囲において、シロキサン樹脂、アルコキシSi化合物などのSi化合物、Ca、Sr、Nb、Sn、Sb、Ba、Ta、Biから選ばれる金属の金属アルコキシド誘導体、あるいはMg、Al、Ca、Ti、Zn、Sr、Zr、Nb、Sn、Sb、Ba、Ta、Biから選ばれる金属原子を含む炭素数1〜8の脂肪酸塩を一部含んでいてもよい。しかし、脂肪酸塩は、塗布液として用いた場合いわゆるストリエーション(塗布ムラ)の問題が生じることがあり、脂肪酸塩は固形分全体の30重量%以下とするのが好ましい。
【0023】
多層レジスト中間層形成用塗布液は、上記金属アルコキシド誘導体から選ばれた一種以上を有機溶剤に溶解したものである。多層レジスト中間層形成用塗布液における金属アルコキシド誘導体の濃度は、有機溶剤との関連でできるだけ高濃度にするのが好ましいが、通常5〜70重量%である。
このとき使用できる有機溶剤は、選ばれた金属アルコキシド誘導体に対して溶解能があり、かつ基板の被加工層、平坦化層に影響を及ぼさないもの、成形されたパターンの機能において有害な元素を含まないものが選ばれる。具体的な例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2‐ブタノール、などのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノンなどのケトン類、N−メチルピロリドンが挙げられる。有機溶剤は一種単独でもよく、2種以上の混合であってもよい。
【0024】
本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、金属アルコキシド誘導体に加えさらに水を加えることができる。水は、ベーク段階で金属アルコキシドを加水分解し、M−OR(ここでRは上記R、R、Rと同じである)をM−OHの形にすることにより縮合物膜の形成を円滑にさせる効果を有する。しかし、水の量が多すぎると塗布液はゲル化してしまい、製造(調製)直後に透明であっても、保存時にゲル化してしまい安定性に欠けることになる。従って、加えられる水の量は制限されなければならない。最適量は主としてキレート剤の種類と添加量に依って決められるが、通常金属アルコキシド1モルに対して20モル以下、好ましくは、0.1モル〜8モル、より好ましくは0.1モル〜1モルである。水の量を最適化することにより保存中にゲル化が起き難くなり、また塗布時にストリエーションが生じ難くなる。尚、金属アルコキシド誘導体とともに水を加える場合には、上記のアルコール類、グリコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどの親水性の有機溶剤を用いるか、あるいは疎水性有機溶剤とともに親水性有機溶剤を適宜組み合わせるのがよい。
【0025】
また、本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、キレート化剤を適宜加えることができる。キレート化剤は、金属アルコキシドの金属原子に配位して、金属アルコキシドを安定化させる効果があり、ベンゾイルアセトン、アセチルアセトンなどのβ―ジケトン類、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテートなどのβ―ケトエステル類を1種以上が任意に選ばれる。特に、金属アルコキシド誘導体とともに水を加える場合には、キレート化剤を加えて金属アルコキシドを安定化しておくのが好ましい。
また、アルコキシド誘導体の凝集、ゲル化を防ぐために硝酸等の酸を加えてもよい。
【0026】
本発明のパターン形成方法は、基板の被加工層の上に平坦化層/中間層/感光性レジスト層を含む多層レジスト層を形成させ、次いで感光性レジスト層にリソグラフィー技術を用いて所定のパターンを形成し、エッチングを繰り返して被加工層にパターンを転写するパターン形成方法において、その中間層形成に本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液を用いることに特徴がある。
【0027】
中間層の形成は、被塗布面となる平坦化層の表面に多層レジスト中間層形成用塗布液を塗布し、通常100〜150℃でベークして有機溶剤を蒸発させ、さらに150〜250℃でベークして透明な被膜を形成させ中間層とする。
塗布の方法は、特に限定するものではなく、浸漬法、回転塗布法など通常の塗布方法が用いられる。集積回路素子の製造における多層レジストでは、塗布膜の厚さを特定範囲に制御し、かつ膜厚の均一性が要求されるので、回転塗布法が一般的に使用される。
塗布の後のベークは、用いた有機溶剤の沸点より低い温度からゆっくりと昇温し、150℃〜250℃とし、この温度にて1分以上、通常1〜10分保持して行われる。特に、半導体集積回路素子を製造する多層レジスト工程の中間層として使用する場合にはクラックを防ぐため、ベークを数段階に分けて実施するのが好ましく、例えば前述の如く100〜150℃のベークと150〜250℃でベークの2段階に分ける。
【0028】
塗布液は100℃〜150℃で有機溶剤及び水の蒸発が起きる。しかし、この温度では縮合は不完全で、膜中には−OHや原料由来の有機物が微量残っている状態である。温度を上げていくと、こういった有機溶剤や水の蒸発及び縮合が進行して緻密化が進むが、結晶化温度が400℃以上であるから、150〜250℃のベークでは縮合が不完全なアモルファス状態である。しかし、後述する実施例に示すように、多層レジストの中間層として十分な特性を有している。
中間層の厚さは、多層レジストの用途などから決められるものであるが、通常ベーク後で50〜200nmとなるようにされ、この膜厚で5μmの平坦化層のエッチングマスクとしては十分である。
【0029】
本発明の多層レジスト中間層形成用塗布液は、保存時にゲル化が起こらず安定性に優れ、中間層の形成段階において、200℃程度のベークで縮合が進んで良質な膜が形成され、下層の平坦化層、上層の感光性レジスト層との界面でミキシングを起こさない。又、形成された中間層は、深紫外(DUV)光を吸収するので、反射防止膜を付けなくても基板からの反射が生じることはなく、露光工程での定在波効果を防ぐことが可能となる。更に優れたドライエッチング耐性を有するので、寸法精度よくパターン形成ができる。
【0030】
本発明による中間層を含む多層レジストからのパターン形成方法を説明する。
図1は3層レジストを用いたパターン加工の工程を例として工程順に断面図で示している。
同図(a)に示すように、段差のある被加工層2が形成された基板1上に、平坦性の良い有機ポリマー、例えばノボラック樹脂を回転塗布し、100℃〜150℃、1分のベーク、さらに200℃〜250℃、1分〜30分のベークを行い平坦化層3を形成する。その厚さは、被加工層2の厚さ及び段差や被加工層2とその加工の際のエッチングマスクとなる平坦下層3のエッチング選択比等によって決定されるが、概ね0.5〜5μmである。
【0031】
次に、平坦化層3上に本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を回転塗布し、100℃〜150℃でベークし、更に150〜250℃でベークをし、中間層4を形成する。中間層4は平坦化層3でエッチングマスクとして機能するものであるが、0.5〜5μmの平坦下層3をOガスを用いてドライエッチングするには、中間層4のベーク後の膜厚は50〜200nmでよい。
【0032】
その後中間層の上にパターン形成用の感光性レジスト層5を塗布、ベークして、3層レジストの膜構造が完成する。一般には、感光性レジスト層5の膜厚は0.1μm〜1μmでベーク条件は80℃〜200℃で、1〜10分である。
【0033】
パターンニングは、まず同図(b)に示すように、感光性レジスト層5を所定のマスクを用いて露光し、現像、ベークすることにより感光性レジスト層5に所定のパターンを形成する。
感光性レジスト層5のパターニングは、X線露光、マスクを用いない電子線直接描画等あらゆるリソグラフィー技術を用いることが可能であるが、後述するように、短波長の紫外線を用いた光リソグラフィーにおいて、本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いた光学的メリットが最も発揮される。
【0034】
次に同図(c)に示すように、感光性レジスト層5をマスクにして中間層4をエッチングして、感光性レジスト層5のパターンを中間層4に転写する。このエッチングは、フッ素及び/又は塩素を含むガスを用いた反応性イオンエッチング法(RIE:リアクティブ イオン エッチング。以下、RIEという)、マイクロ波プラズマエッチング法、マグネトロンエッチング法、電子サイクロトロン共鳴プラズマエッチング法、マイクロ波プラズマエッチング法、マグネトロンエッチング法、電子サイクロトロン共鳴プラズマエッチング法等を用いことができる。具体的には、例えばSF+Heガス、Cl+O+Arガス、CCl+O+ArガスよるRIE法が用いられる。
【0035】
次に同図(d)に示すように、中間層4をマスクとして平坦化層3をエッチングして、中間層4のパターンを平坦化層3に転写する。平坦化層3のエッチングには、Oガスを用いるRIEが用いられるので、この場合、感光性レジスト層5も除去される。従って、中間層4をエッチングするマスクとして用いた感光性レジスト層5のパターンを、エッチング後にアッシングして除去する必要は必ずしもない。
また、平坦化層3をエッチングするマスクとして用いた中間層4のパターンは、除去せずそのまま残して平坦化層3と共に被加工層2のエッチングマスクとして用いるのが好ましい。それは、前述したように本発明に係る中間層が、従来のSOG等のSiO2系膜に比べてSiOなどの絶縁膜、AlやPtなどのメタルのエッチング時に使用されるフッ素を含んだガスや塩素を含んだガスに対して、極めて高いエッチング耐性を有しているからである。
一方、中間層4のパターンを除去する必要がある場合は、フッ酸1%溶液に1分浸漬するか、フッ素を含んだガスを用いたドライエッチングを行う。
【0036】
次に同図(e)に示すように、平坦化層3をマスクとして被加工層2をエッチングして、平坦化層3のパターンを被加工層2に転写する。
このようにして感光性レジスト層5のパターンが最終的に被加工層2に転写される。
最後に同図(f)に示すように、平坦化層3をアッシング除去する。通常、中間層4は薄く形成されており、平坦化層3と共に被加工層2のエッチングマスクとして用いる場合でも、被加工層2のエッチングの過程で消失するが、別途、中間層4を除去する工程を設けてもよい。
【実施例】
【0037】
〔多層レジスト中間層形成用塗布液の調製〕
塗布液1
テトラ(イソプロポキシ)チタン 〔Ti[(OCH(CH]:5.68g(0.02モル)をエタノール:22.08g(0.48モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.2g及び脱イオン水:0.26g(0.014モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO換算で5.6重量%である。
【0038】
塗布液2
テトラ(n−ブトキシ)チタン 〔Ti(O−C〕:10.2g(0.03モル)を1−ブタノール:33g(0.45モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.03g及び脱イオン水:0.21g(0.012モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO換算で、5.6重量%である。
【0039】
塗布液3
テトラ(n−ブトキシ)チタン 〔Ti(O−C〕:3.4g(0.01モル)を乳酸エチル:11g(0.09モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.08g及び脱イオン水:0.05g(0.003モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO換算で5.6重量%である。
【0040】
塗布液4
テトラ(n−ブトキシ)チタン 〔Ti(O−C〕:17g(0.05モル)をアセチルアセトン:13g(0.13モル)に溶解させて、1‐プロパノール:5g(0.08モル)、脱イオン水:0.18g(0.01モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO換算で11.6重量%である。
【0041】
塗布液5
テトラ(n−ブトキシ)チタン 〔Ti(O−C〕:3.4g(0.01モル)をアセチルアセトン:5.5g(0.06モル)に溶解させて、エタノール:5.5g(0.12モル)、50%硝酸水:0.1g及び脱イオン水:0.13g(0.007モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO換算で5.6重量%である。
【0042】
比較例1
脱イオン水の添加重量を0.62g(0.034モル)とした以外は、塗布液1と全く同じに調整した。
比較例2
脱イオン水の添加重量を1.8g(0.1モル)とした以外は、塗布液4と全く同じに調整した。
【0043】
【表1】

表1は上記塗布液1〜5、及び比較例1、2の保存安定性を比較したものである。表1で、総水分量は脱イオン水として加えた水の量と、硝酸水に含まれる水の量を合計した水の添加量を表す。
総水分量が1モル以下の塗布液1〜5は、いずれも調製直後は淡黄色透明であり、空気中、30日間室温にて密封保存しても沈殿生成やゲル化は生じず、高い液安定性を有することが認められた。
一方、総水分量が2モルになる比較例1、2はいずれも調整後数日間は淡黄色透明な液体であるが、30日後にはゲル化して流動性が低下した。
総水分量が金属アルコキシド1モルに対して1モルを超えると、塗布液を調整直後は淡黄色透明であっても、長期間、例えば30日の保存後にはゲル化して不透明となり溶液の流動性が低下する。半導体の量産で使用するにあたっては、保存安定性に優れていることが好ましく、水の量を0.1〜1モルの範囲にするのが好ましい。
【0044】
〔中間層の調製〕
塗布液2を多層レジスト中間層形成用塗布液としてSiウエハー上に、回転数3000rpmで回転塗布し、150℃で1分ベーク後さらに200Cで1分ベークした。この硬化層を中間層のモデル皮膜(以下、「中間層皮膜」と記す)として以下評価を行った。
このベーク処理により、膜中から有機溶剤及び水分が除去され、縮合により耐溶剤性、耐現像液性に優れた、アモルファスTiO膜が形成される。
図2は上記中間層皮膜の走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−5200型(型番))による断面写真である。ここでは回転塗布の回転数を下げて、中間層として用いる場合より厚く塗布してある。図2は中間層皮膜が平坦な表面を有し、表面曇りの原因となる凹凸や異物が無いことを示している。
【0045】
〔実施例1〕
中間層皮膜を乳酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)のそれぞれに室温で5分間浸漬し、浸漬前後の膜厚を測定した。なお、膜厚測定は、エリプソメーター(株式会社溝尻光学工業所製 DHA−OLX)により行った。
乳酸エチル : 浸漬前 98.6nm 浸漬後 98.9nm
N−メチルピロリドン: 浸漬前 98.6nm 浸漬後 98.4nm
TMAH : 浸漬前 99.2nm 浸漬後 99.3nm
〔塗布液1〕、〔塗布液3〕、〔塗布液4〕、〔塗布液5〕について、〔塗布液2〕と同様の浸漬実験を行った結果は以下の通りである。
〔塗布液1〕
乳酸エチル : 浸漬前 119.1nm 浸漬後 119.0nm
N−メチルピロリドン: 浸漬前 119.3nm 浸漬後 119.1nm
TMAH : 浸漬前 119.6nm 浸漬後 119.4nm
〔塗布液3〕
乳酸エチル : 浸漬前 101.4nm 浸漬後 101.2nm
N−メチルピロリドン: 浸漬前 101.1nm 浸漬後 101.2nm
TMAH : 浸漬前 101.5nm 浸漬後 101.6nm
〔塗布液4〕
乳酸エチル : 浸漬前 211.2nm 浸漬後 211.0nm
N−メチルピロリドン: 浸漬前 211.7nm 浸漬後 211.8nm
TMAH : 浸漬前 211.6nm 浸漬後 211.3nm
〔塗布液5〕
乳酸エチル : 浸漬前 132.3nm 浸漬後 132.2nm
N−メチルピロリドン: 浸漬前 132.1nm 浸漬後 132.1nm
TMAH : 浸漬前 132.5nm 浸漬後 132.6nm
この結果から、この中間層皮膜は、最近注目されている安全性の高いレジスト溶媒である乳酸エチルやN−メチルピロリドン、レジスト現像液であるTMAHに対して膜厚変化は起きないことが分かる。
即ち、この中間層皮膜は感光性レジスト層系の平坦化層と感光性レジスト層に挟まれて形成される多層レジストの中間層として、相互に溶解するミキシング等の相互干渉が起こらない安定した特性を有していることが分る。
【0046】
上記、中間層皮膜のドライエッチング特性を表2に示す。
【表2】

〔実施例2〕
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス:CF(流量100sccm)とO(流量50sccm)の混合ガス、
出力 :200W、
圧力 :300mtorr
<結果>
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは1nm/分であり、有機SOG被膜のエッチングレートは104.8nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
【0047】
〔実施例3〕
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス :SF(流量100sccm)とHe(流量50sccm)の混合ガス
出力 :100W、
圧力 :200mtorr
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは21.1nm/分であった。有機SOGのエッチングレートは114.9nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
実施例2、3のエッチング条件はいずれもSiO等の絶縁膜のエッチングに主として用いられる条件であり、このような膜のエッチングに対して、本発明の膜は、従来のSOGと比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
【0048】
〔実施例4〕
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス :Cl(流量6sccm)とO(流量9sccm)とAr(15sccm)の混合ガス
出力 :800W
圧力 :1mtorr
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは10nm/分であった。有機SOGのエッチングレートは52nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
このエッチングはPt等メタルをエッチングする場合に用いられる条件であり、メタルのエッチングに対してもSOGよりエッチング耐性が高いことが分かる。
【0049】
〔実施例5〕
光学的特性を説明する。
図3は光の吸収を測定したもので、光の波長と消衰係数κの関係を示し、図3(a)は本発明に係る中間層皮膜、図3(b)は有機SOG皮膜のものである。
測定は分光エリプソメーター(ソープラ社製 型番:SE−5−CCD−NIR)にて、Xe短アークランプ75W(浜松ホトニクス(株)製 型番:L2174−01)を光源に用いて、波長193nm〜800nmの範囲で行った。
同図に示すように、SOG膜は図の範囲の波長に対し全く光吸収がないのに対し、本発明に係る中間層皮膜は、波長が短くなると吸収があり、微細パターン露光に用いられる波長248nmのKrFレーザー光に対してはκ=0.48、波長193nmのArFレーザー光に対してはκ=0.33の吸収がある。
このように、本発明に係る中間層皮膜は微細パターン露光に用いられる光に対して吸収があり、露光に用いる光が基板で反射して生ずる定在波効果を低減することができる。
【0050】
〔実施例6〕
図4は本発明に係る塗布膜の定在波効果をシミュレーションした図で、図4(a)は波長365nmの紫外光、図4(b)は波長248nmのKrFレーザー光、図4(c)は波長193nmのArFレーザー光に対する定在波効果を示す。
図4のシミュレーションは、シリコンの基板上に、平坦化層を省いて直接中間層を形成した構成について行ったものである。
図4(a)に示すように、光の吸収が十分でない波長365nmの紫外光に対しては、定在波効果が現れるが、同図(b)、(c)に示すように、光の吸収が十分な波長248nm、193nmの光に対しては、中間層が50nm以上あれば、シリコンの基板上に直接中間層を形成するような厳しい条件下でも定在波効果が発生しないことが分かる。このことは、この本発明に係る中間層のモデル膜が微細パターンを露光するホトリソグラフィー工程に適した多層レジスト中間層であることを示している。
【0051】
なお、本発明の技術的思想の範囲で上記実施の形態を様々に変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、多層レジスト用中間層及び多層レジスト中間層形成用塗布液を用いた微細パターン形成方法に関するもので、特に半導体やディスプレー製造時のリソグラフィープロセスで用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。(b)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。(c)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。(d)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。(e)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。(f)本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いたパターン形成法の工程を説明する断面図である。
【図2】本発明に係る中間層のモデル膜の走査型電子顕微鏡による断面写真である。
【図3】(a)本発明に係る中間層のモデル膜の消衰係数を示す図である。(b)SOGを用いた中間層のモデル膜の消衰係数を示す図である。
【図4】(a)本発明に係る中間層のモデル膜の波長365nmの紫外光に対する定在波効果のシミュレーション図である。(b)本発明に係る中間層のモデル膜の波長248nmのKrFレーザー光に対する定在波効果のシミュレーション図である。(c)本発明に係る中間層のモデル膜の波長193nmのArFレーザー光に対する定在波効果のシミュレーション図である。
【図5】多層レジストの膜構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1 基板
2 被加工層
3 平坦化層
4 中間層
5 感光性レジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式M(OR、又はRM(OR〔式中、MはMg、Al、Ti、Zn、Zrから選ばれる金属原子であり、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、aはMの価数であり、b、cはそれぞれ1以上の整数でb+cがMの価数である〕で表される金属アルコキシド、これらの部分加水分解物、および縮合物から選ばれる一種以上の金属アルコキシド誘導体を主成分として有機溶剤に溶解してなることを特徴とする多層レジスト中間層形成用塗布液。
【請求項2】
前記金属アルコキシド誘導体に加え、さらに水を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層レジスト中間層形成用塗布液。
【請求項3】
前記金属アルコキシド誘導体に加え、さらに水およびキレート剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層レジスト中間層形成用塗布液。
【請求項4】
前記金属原子MがTiであることを特徴とする請求項1に記載の多層レジスト中間層形成用塗布液。
【請求項5】
基板の被加工層の上に平坦化層/中間層/感光性レジスト層を含む多層レジスト層を形成し、前記感光性レジスト層に所定のパターンをリソグラフィー技術を用いて形成し、前記感光性レジスト層のパターンをマスクにして前記中間層をエッチングして前記中間層に前記パターンを転写し、前記中間層のパターンをマスクにして前記平坦化層をエッチングして前記平坦化層に前記パターンを転写し、前記平坦化層あるいは前記中間層と前記平坦化層からなるパターンをマスクにして前記被加工層をエッチングして前記被加工層に前記パターンを転写する、工程を含む被加工層のパターン形成において、前記中間層が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層レジスト中間層形成用塗布液が塗布された後、不活性ガス雰囲気下、150℃〜250℃でベークして形成されることを特徴とする多層レジストを用いたパターン形成方法。
【請求項6】
前記中間層のエッチングが、ドライエッチング法によって行われることを特徴とする請求項5に記載の多層レジストを用いたパターン形成方法。
【請求項7】
前記ドライエッチング法が、フッ素及び/又は塩素を含むガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法であることを特徴とする請求項6に記載の多層レジストを用いたパターン形成方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−251369(P2006−251369A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67843(P2005−67843)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000115500)ラサ工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】