多層積層体履物中敷
最上層および少なくとも一つのクッション層のある底層がある多層積層体履物中敷であって、溝が中敷の最上層を横切しており、溝における1以上の区切り部が中敷の底層を横切している中敷が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層積層体履物中敷、中敷の製造方法、ならびに中敷のサイジング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
着脱式中敷は通常、靴に挿入することで、靴の着用者に追加的なクッション性や支持を提供するものである。これらの中敷は代表的には、フリーサイズ製品として製造され、中敷を購入する消費者が、ハサミや中敷の材料を切る類似の手段を用いて適切な大きさにそれを切り揃えなければならない。
【0003】
中敷は通常、複数の材料層で構成されており、それらの層の多くについて消費者がハサミで切るのは容易ではない。その材料を切るには、消費者は、中敷の上に印刷されているか、それに成形して作られているか、それに付与されている切り揃えパターンに注意深く従わなければならない。消費者は通常は、切る際にパターンの位置がずれたり、パターン上の正確なマークを切っていないのではないかという恐れがあって、ハサミでインソールを切り揃えるのを好まない。
【0004】
米国特許第4864740号には、スパンボンデッドのポリプロピレン材料の最上層、最上層にメルトブローされたパルプ繊維およびポリプロピレン繊維の複合材層および複合材層にメルトブローされたポリエチレン−酢酸ビニルの底層という3層を有する使い捨ての衛生的な靴中敷が記載されている。その中敷には、中敷の前および内側アーチ状部分に線状に穿孔があることで、ユーザーが中敷の長さや幅を小さくできるようになっている。さらに、その中敷には、インソールのアーチ領域を横切る穿孔の線がある。これらの後者の穿孔線は、インソールのアーチ領域の一部を裂き、次にインソールのつま先部分およびかかと部分を再度取り付けることで、中敷の長さを短くできるようにするものである。
【0005】
米国特許第6526676号には、ポリウレタンフォームに積層されたファブリックを含むシート材料片で形成された使い捨てサンダルが記載されている。そのサンダルのソールのかかと部分および/またはつま先部分には、一連の穿孔が設けられていることで、サンダルのサイズをユーザーの足に合わせることができるようになっている。
【0006】
米国特許第3925914号には、熱可塑性材料の底層と繊維質材料の最上層を有する積層体でソール部材が構成されていることができるサンダルが記載されている。そのソール部材には、つま先端部およびかかと端部には穴の列が設けられていることで、その穴でソール部材の一部を破り取ることによってサンダルを短くすることができる。その穴は、ソール全体に貫通しているのではなく、各穴の底部では破り取り部分または裂き取り部分が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4864740号
【特許文献2】米国特許第6526676号
【特許文献3】米国特許第3925914号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記引用文献で、機械的切断器具を用いることなく消費者がきれいにサイズ合わせできる中敷について記載しているものはない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、消費者が簡単に、きれいに、しかも機械的切断器具を用いずにサイズ合わせすることができる履物中敷が必要とされていることは認識されている。
【0010】
本発明の非限定的実施形態では、最上表面を有する最上層、底表面を有する底層(前記底層は、少なくとも一つのクッション層を含む。)、中敷における溝(前記溝は、前記中敷の前記最上層を横切する。)、および前記溝における1以上の区切り部(前記区切り部は、前記中敷の底層を横切する。)を有する多層積層体履物中敷が提供される。
【0011】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記最上層を完全に横切している。
【0012】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝における前記区切り部が、前記底層の前記底表面を横切している。
【0013】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記底層の少なくとも一部を貫通している。
【0014】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記中敷の対向する縁部から前記最上層に前記最上表面を横断している。
【0015】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記少なくとも一つのクッション層がフォーム層である。
【0016】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記フォーム層が、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンのうちの少なくとも一つを含む。
【0017】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記少なくとも一つのクッション層がゲル層である。
【0018】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記ゲル層が、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーンまたはヒドロゲルのうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記最上層が少なくとも一つのファブリック層を含む。
【0020】
別の本発明の非限定的実施形態では、少なくとも一つのファブリック層が、ポリマーまたは天然繊維のうちの少なくとも一つを含む。
【0021】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝がレーザーで切り込まれている。
【0022】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記区切り部が所定のパターンで作られている。
【0023】
別の本発明の非限定的実施形態では、最上表面を有する最上層、底表面を有する底層(前記底層には少なくとも一つのクッション層が含まれる。)を有する多層積層体履物中敷の製造方法であって、前記中敷の前記最上層の前記最上表面に溝を切り込んで形成する段階(前記溝は前記中敷の前記最上層を横節している。)および前記底層を前記溝で区切る段階を有する方法が提供される。
【0024】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記区切り部が前記中敷の前記底層の前記底表面を横切している。
【0025】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記切り込みが、2以上の溝を切り込む段階を含んでいる。
【0026】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記最上層が前記溝によって部分的に横切されている。
【0027】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝を、レーザーを用いて切り込み形成する。
【0028】
さらに別の本発明の非限定的実施形態では、所定の区切り溝を有する中敷のサイズを変えるために多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法は、前記所定の区切り溝に沿って手で前記中敷を裂く段階を有する。
【0029】
本発明の他の特徴および態様については、下記の図面の簡単な説明、非限定的な実施形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面から、理解がさらに深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的な履物中敷の1実施形態の模式的平面図である。
【図2】図1の例示的履物中敷の実施形態のA−A′線での模式的断面図である。
【図3A】本発明の非限定的実施形態による、履物中敷に溝を切り込むレーザーカッターの模式図である。
【図3B】図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する図3Aの履物中敷の実施形態の模式的断面図である。
【図3C】図3Bで示した模式的断面図の詳細図である。
【図3D】最上層を部分的に横切している、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する、図3Aの履物中敷の本発明の別形態の非限定的実施形態の模式的断面図である。
【図3E】図3Dで示した模式的断面図の詳細図である。
【図4A】複数の溝を有する本発明の非限定的実施形態による履物中敷の模式的平面図である。
【図4B】最上層を完全に横切している図4Aの履物中敷の非限定的実施形態のB−B′線での模式的断面図である。
【図5A】最上層を横切る6本の溝を有して描かれている、本発明の別の非限定的実施形態による履物中敷の模式的平面図である。
【図5B】図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のD−D′線での模式的断面図である。
【図5C】図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のC−C′線での模式的断面図である。
【図5D】区切り部が底層の底表面を横切していない、図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のC−C′線での別形態の模式的断面図である。
【図6】本発明の非限定的実施形態による多層積層体履物中敷の製造方法のフローチャートである。
【図7】本発明の非限定的実施形態による多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
中敷が高強度ファブリックおよび/または高強度および/または弾性クッション材料の層またはそれの複数層を含む場合であったとしても、ハサミなどの機械的切断器具を用いずに消費者がサイズを調節可能な履物中敷が必要とされていることは知られている。
【0032】
図1は例示的履物中敷10の非限定的実施形態の模式的平面図であり、図2はそれのA−A′線での模式的断面図である。履物中敷10には、つま先部分20、かかと部分30およびつま先部分とかかと部分20、30をつなぐ中央アーチ部分40がある。中敷には、最上層50および最上層50に固定された底層60があっても良い。最上層50には1以上のファブリック層があっても良く、底層60にはフォーム層およびゲル層などの1以上のクッション層があっても良い。しかしながら、最上層50にはフォーム層および/またはゲル層があっても良い。ただし、簡潔さを期して、以下で説明する実施形態には、ファブリックの層で作られた最上層50とフォームもしくはゲルの層で作られた底層60を含める。ファブリック層50には、ポリエステル、アセテート、ポリエテン、アクリル、ナイロン、レーヨン、スパンデックス、羊毛、綿、絹、竹、リンネル、麻、ウレタンまたはレーザーによって切断可能な材料などの少なくとも一つのポリマーまたは天然繊維が含まれていても良い。さらに、ファブリック層50には、ポリエチレン、ポリウレタンまたはレーザーによって切断可能な他の材料などの少なくとも一つのフィルムが含まれていても良い。底層60として用いられるフォーム層は、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンまたは他のクッションに好適な材料のうちの少なくとも一つを含んでいても良い。底層60として用いられるゲル層は、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーン、ヒドロゲルまたは他のクッションに好適な材料のうちの少なくとも一つを含んでいても良い。履物中敷10は、多様な靴の中で装着するために多様な形状を取ることができる。さらに、履物中敷10は、多様な靴の中で装着するために、多様な起伏のある表面、平坦な表面、曲がった表面または他の表面のうちのいずれかを有することができる。さらに、最上層の引裂強度は、底層の引裂強度より大きいものであることができる。
【0033】
図3Aは、本発明の1実施形態による、履物中敷110に溝を切り込むレーザーカッターの模式図である。レーザーーカッター112は、レーザー光114を履物中敷110上に集光し(断面図に図示)、履物中敷110に履物中敷110の表面を通って移動して、凹部すなわち溝116を切り込む。レーザーカッターは、幅および深さを変えた溝を切り込むことができる。溝116を切り込むのに用いられるレーザーカッターの1例に、エピログレーザー(Epilog Laser,Golden,Colorado)製造のエピログ・ミニ(Epilog Mini)24、35ワットレーザーがある。図3Bは、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する、図3Aの履物中敷110の非限定的実施形態の模式的断面図であり、図3Cは、破線の円118によって示された図3Bに示した模式的断面図の詳細図である。図3Bおよび3Cに示したように、溝116は、履物中敷110の最上ファブリック層150を完全に通過して切り込まれていても良い。さらに、溝116は、底フォームまたはゲル層160に部分的に伸びていても良い。
【0034】
実質的に例示的ポリエステルニット積層体のファブリック層150のみをレーザーが焼き通すことができるようにしたエピローグ・ミニ24レーザーの設定の例は、速度100%、パワー50%、400DPI(ドット/インチ)および500Hzであった。この例示的ポリエステルニット積層体は、ホットメルトウレタン接着剤を用いてウレタンフィルムに貼り付けられたポリエステルニットファブリックからなるものであり、ファブリック積層体はオープン鋳造ウレタン成形技術を用いてウレタンフォームに成形した。ファブリック層を構成することが可能な各種材料に関しては、当業者であれば、厚さ、密度、含水量および他の特性などのファブリック層の各種材料特性に応じて、レーザーの設定を変えることが可能であると考えられる。例えば、より厚いファブリック層を得るために、当業者であれば、ファブリック層を通過して切り込むためにパワーなどのレーザーの各種設定を調節することができると考えられる。
【0035】
図3Dは、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する履物中敷110の非限定的実施形態の別形態の模式的断面図であり、図3Eは破線円119によって示された図3Dに示した別形態の模式的断面図の詳細図である。図3Dおよび3Eに示したように、溝116が底フォームまたはゲル層160に延伸しないように、溝116を、実質的に履物中敷110の最上ファブリック層150に切り込むことができる。さらに、最上ファブリック層150への部分的切り込みのみから最上ファブリック層150を通過しての完全切り込みおよび履物中敷110の底フォームまたはゲル層160への実質的切り込みの両方に至る範囲の他の各種深さまで溝を切り込むことが可能である(不図示)。これらの非限定的実施形態のそれぞれにおいて、消費者が所定の溝に沿って裂くと、きれいですっきりとした引き裂き線が得られる。
【0036】
図4Aは、本発明の非限定的実施形態による履物中敷210の模式的平面図であり、図4Bは図4Aの履物中敷210の実施形態のB−B′線での模式的断面図である。履物中敷210には、つま先部分220、かかと部分230およびつま先とかかと部分220、230をつなぐ中央アーチ部分240がある。中敷210には、ファブリックの最上層250および最上層250に固定されたクッション材料の底層260がある。しかしながら、最上層250には、複数のファブリック層があっても良く、底層260には複数のクッション材料層があっても良い。レーザーカッター112によって切り込まれた溝216は、中敷210のつま先部分220に位置している。図4Aには、中敷210のつま先部分220に3個の別個の溝切り込み216を示してある。溝216は中敷210の最上表面を横切って横方向に曲線状で伸びており、ユーザーの可能な靴サイズに相当するように構成されている。さらに、図4Bに示したように、溝216は、ほぼ垂直に、最上層250を通過し、部分的に底層260にまで伸びていることができる。適宜に、レーザーカッター112によって切り込まれた溝226は、中敷210のかかと部分230に位置している。図4Aには、中敷210のかかと部分230における別個の溝切り込み226を示してある。溝226は、中敷210の最上表面を横切って横方向に曲線状で伸びており、湾曲の方向は溝216の湾曲方向と反対である。レーザーカッター112によって切り込まれた溝236は、中敷210の中央アーチ部分240に位置しており、曲線状で、中敷210に関して長手方向に伸びている。中敷210は、つま先部分220における1以上の溝216、かかと部分230における1以上の溝226、および/または中央アーチ部分240における1以上の溝236を含むことができる。さらに、溝216、226、236に関しては、レーザーカッター112による溝216、226、236の切り込みにより、ファブリック層250に明瞭な切り込み線が作られるという利点がある。さらに、ファブリック層250にポリマーファブリックがある場合、レーザー光114がファブリック層250を焼くことで、ファブリックが切断線で摩損するのを防止する。
【0037】
さらに図4Aおよび4Bに関して、底フォーム層260は、ユーザーが溝216、226、236に沿って中敷210をきれいにかつ容易に裂けるように、例えば10lbsf未満の比較的低い引裂強度を有することができる。しかしながら、底フォーム層260は、履物の品物に滑り込ませた時に、中敷210が溝216、226、236に沿って永久的に曲がったり、皺を生じたりすることがないようにするだけの十分に高い弾性係数または曲げ弾性率を有することもできる。
【0038】
図5Aは、本発明の別の非限定的実施形態による履物中敷310の模式的平面図である。図5Bは、D−D′線での図5Aの履物中敷310の非限定的実施形態の模式的断面図である。図5Cおよび5Dは、C−C′線での図5Aの履物中敷310の非限定的実施形態の別形態の模式的断面図である。図4Aで示した実施形態のように、履物中敷310には、つま先部分320、かかと部分330およびつま先部分とかかと部分320、330をつなぐ中央アーチ部分340がある。さらに、履物中敷310には、ファブリックの最上層350およびクッション材料製の底層360がある。中敷310にはさらに、レーザー切り込み溝316があり、それは中敷310のつま先部分320に位置し、中敷310の最上表面を横切って横方向で曲線状に伸びている。図5Bに示したように、溝316は最上層350を通過して、部分的に底層360まで伸びていることができる。図5Aには、中敷310のつま先部分320における3個の別個の溝切り込み316を示している。さらに、中敷310にはさらに、レーザー切り込み溝326があっても良く、それは中敷310のかかと部分330に位置し、中敷310の最上表面を横切って横方向に曲線状に伸びており、湾曲方向は溝316の湾曲方向と反対である。図5Aには、中敷310のかかと部分330における別個の溝切り込み326を示してある。レーザー切り込み溝336は、中敷310の中央アーチ部分340に位置していても良く、曲線状に、中敷310に関して長手方向に伸びている。図4Aおよび4Bに示した実施形態に関して説明したように、中敷310には、つま先部分320における1以上の溝316、かかと部分330における1以上の溝326および/または中敷310の中央アーチ部分340における1以上の溝336があっても良い。
【0039】
しかしながら、図4Aおよび4Bに示した実施形態とは対照的に、中敷310には、底ゲル層360に区切り部317がある。これらの区切り部は、ダイス(不図示)によって作ることができる。図5Cに示したように、区切り部317は、底層360を完全に通過して伸び、溝316、326、336に沿って伸びることができる。別の形態として、図5Dに示したように、区切り部317は、底層360に実質的に伸びているが、それを完全に通過しているわけではなく、溝316、326、336に沿って伸びていることができる。さらに、図5Aに示したように、区切り部317は、ウェブ要素318によって溝316、326、336の方向で互いに分離されている。区切り部317の間隔、従ってウェブ要素318の厚さを調節して、中敷310のユーザーが溝316、326、336に沿ってきれいにかつ容易に中敷310を裂くことができるようにしながら、中敷310を履物の品物に滑り込ませた時に、同時に中敷310が中敷310での裂かれていない溝に沿って曲がったり、皺を形成しないようにすることができる。区切り部317とウェブ要素318は、円形、正方形、長方形、多角形および他の形状ならびにこれらの組み合わせなど(これらに限定されるものではない)の各種パターンで形成することができる。さらに、本発明に記載の区切り部にはパターンがあり、それは他の表現では、穿孔、鋸歯形状、切り込み、区切り部、ノッチ、穴、スロットなどと称される場合があり、それらの一部を図5Aに示してある。
【0040】
図6は、本発明の非限定的実施形態による、多層積層体履物中敷の製造方法のフローチャートである。その方法は段階400で開始する。段階410では、積層履物中敷を組み立てる。その中敷は、少なくとも最上層および底層を有する。最上層には1以上のファブリックまたはフィルムの層があっても良く、底層には1以上のフォームまたはゲルの層があっても良い。段階420では、例えばレーザーカッターによって中敷の最上層に溝を切り込む。その溝は、人間の足の大きさに相当し、最上層を通過して伸びており、部分的に底層中に伸びても良い。段階430では、例えばレーザーカッターによって別の溝を中敷の最上層に切り込むべきか否かに関して照会を行う。実行することになった場合、その方法では段階420を繰り返す。実行しない場合、方法段階440で、底層に溝で区切りを設けるべきか否かに関して照会を行う。区切りを行わない場合、方法は段階460で終了である。区切りを行う場合、段階450で底層を溝で区切る。そして方法は段階460で終了する。
【0041】
図7は、本発明の非限定的実施形態による、多層積層体履物中敷寸法を小さくする方法のフローチャートである。その方法は段階500で開始する。段階510では、中敷のつま先領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階530に進む。ある場合は、段階520で、つま先領域の上記溝に沿って中敷を手で裂き、その後に方法は段階530に進む。段階530では、中敷のかかと領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階550に進む。ある場合は、段階540で、かかと領域の上記溝に沿って中敷を手で裂き、その後に方法は段階550に進む。段階550では、中敷の中央アーチ領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階570で終了する。ある場合には、段階560で、中央アーチ領域の上記溝に沿って中敷を手で裂く。そして方法は段階570で終了する。別法として、照会510と段階520、照会530と段階540、そして照会550と段階560を、消費者が所望に応じて並べ替えても良い。
【0042】
本発明のある好ましい非限定的実施形態において、最上表面を有する最上層および底表面を有する底層を有し、前記底層に少なくとも一つのクッション層がある多層積層体履物中敷では、中敷の最上層を横切する中敷の溝と、その溝の1以上の区切り部があり、その区切り部は中敷の底層を横切している。多層積層体履物中敷は、所定の区切り溝に従って各種サイズに調節することが可能な単一のフリーサイズ中敷であることができる。各溝は、その溝内に好ましい区切り部を有することができる。さらに、消費者は、手で各所定の区切り溝に沿って裂くことで、中敷のサイズを調節して、靴の中で適合するようにすることができる。
【0043】
以上の説明は、本発明の非限定的実施形態のみを開示したものである。本発明の範囲に包含される、上記で開示の多層積層体履物中敷ならびにそれの製造方法およびそれの使用方法についての変更に関しては、当業者であれば容易に理解できよう。
【0044】
従って、上記の非限定的実施形態との関連で本発明を開示してきたが、理解すべき点として、他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲に包含され得るものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層積層体履物中敷、中敷の製造方法、ならびに中敷のサイジング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
着脱式中敷は通常、靴に挿入することで、靴の着用者に追加的なクッション性や支持を提供するものである。これらの中敷は代表的には、フリーサイズ製品として製造され、中敷を購入する消費者が、ハサミや中敷の材料を切る類似の手段を用いて適切な大きさにそれを切り揃えなければならない。
【0003】
中敷は通常、複数の材料層で構成されており、それらの層の多くについて消費者がハサミで切るのは容易ではない。その材料を切るには、消費者は、中敷の上に印刷されているか、それに成形して作られているか、それに付与されている切り揃えパターンに注意深く従わなければならない。消費者は通常は、切る際にパターンの位置がずれたり、パターン上の正確なマークを切っていないのではないかという恐れがあって、ハサミでインソールを切り揃えるのを好まない。
【0004】
米国特許第4864740号には、スパンボンデッドのポリプロピレン材料の最上層、最上層にメルトブローされたパルプ繊維およびポリプロピレン繊維の複合材層および複合材層にメルトブローされたポリエチレン−酢酸ビニルの底層という3層を有する使い捨ての衛生的な靴中敷が記載されている。その中敷には、中敷の前および内側アーチ状部分に線状に穿孔があることで、ユーザーが中敷の長さや幅を小さくできるようになっている。さらに、その中敷には、インソールのアーチ領域を横切る穿孔の線がある。これらの後者の穿孔線は、インソールのアーチ領域の一部を裂き、次にインソールのつま先部分およびかかと部分を再度取り付けることで、中敷の長さを短くできるようにするものである。
【0005】
米国特許第6526676号には、ポリウレタンフォームに積層されたファブリックを含むシート材料片で形成された使い捨てサンダルが記載されている。そのサンダルのソールのかかと部分および/またはつま先部分には、一連の穿孔が設けられていることで、サンダルのサイズをユーザーの足に合わせることができるようになっている。
【0006】
米国特許第3925914号には、熱可塑性材料の底層と繊維質材料の最上層を有する積層体でソール部材が構成されていることができるサンダルが記載されている。そのソール部材には、つま先端部およびかかと端部には穴の列が設けられていることで、その穴でソール部材の一部を破り取ることによってサンダルを短くすることができる。その穴は、ソール全体に貫通しているのではなく、各穴の底部では破り取り部分または裂き取り部分が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4864740号
【特許文献2】米国特許第6526676号
【特許文献3】米国特許第3925914号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記引用文献で、機械的切断器具を用いることなく消費者がきれいにサイズ合わせできる中敷について記載しているものはない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、消費者が簡単に、きれいに、しかも機械的切断器具を用いずにサイズ合わせすることができる履物中敷が必要とされていることは認識されている。
【0010】
本発明の非限定的実施形態では、最上表面を有する最上層、底表面を有する底層(前記底層は、少なくとも一つのクッション層を含む。)、中敷における溝(前記溝は、前記中敷の前記最上層を横切する。)、および前記溝における1以上の区切り部(前記区切り部は、前記中敷の底層を横切する。)を有する多層積層体履物中敷が提供される。
【0011】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記最上層を完全に横切している。
【0012】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝における前記区切り部が、前記底層の前記底表面を横切している。
【0013】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記底層の少なくとも一部を貫通している。
【0014】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝が前記中敷の対向する縁部から前記最上層に前記最上表面を横断している。
【0015】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記少なくとも一つのクッション層がフォーム層である。
【0016】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記フォーム層が、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンのうちの少なくとも一つを含む。
【0017】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記少なくとも一つのクッション層がゲル層である。
【0018】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記ゲル層が、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーンまたはヒドロゲルのうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記最上層が少なくとも一つのファブリック層を含む。
【0020】
別の本発明の非限定的実施形態では、少なくとも一つのファブリック層が、ポリマーまたは天然繊維のうちの少なくとも一つを含む。
【0021】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝がレーザーで切り込まれている。
【0022】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記区切り部が所定のパターンで作られている。
【0023】
別の本発明の非限定的実施形態では、最上表面を有する最上層、底表面を有する底層(前記底層には少なくとも一つのクッション層が含まれる。)を有する多層積層体履物中敷の製造方法であって、前記中敷の前記最上層の前記最上表面に溝を切り込んで形成する段階(前記溝は前記中敷の前記最上層を横節している。)および前記底層を前記溝で区切る段階を有する方法が提供される。
【0024】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記区切り部が前記中敷の前記底層の前記底表面を横切している。
【0025】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記切り込みが、2以上の溝を切り込む段階を含んでいる。
【0026】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記最上層が前記溝によって部分的に横切されている。
【0027】
別の本発明の非限定的実施形態では、前記溝を、レーザーを用いて切り込み形成する。
【0028】
さらに別の本発明の非限定的実施形態では、所定の区切り溝を有する中敷のサイズを変えるために多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法は、前記所定の区切り溝に沿って手で前記中敷を裂く段階を有する。
【0029】
本発明の他の特徴および態様については、下記の図面の簡単な説明、非限定的な実施形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面から、理解がさらに深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的な履物中敷の1実施形態の模式的平面図である。
【図2】図1の例示的履物中敷の実施形態のA−A′線での模式的断面図である。
【図3A】本発明の非限定的実施形態による、履物中敷に溝を切り込むレーザーカッターの模式図である。
【図3B】図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する図3Aの履物中敷の実施形態の模式的断面図である。
【図3C】図3Bで示した模式的断面図の詳細図である。
【図3D】最上層を部分的に横切している、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する、図3Aの履物中敷の本発明の別形態の非限定的実施形態の模式的断面図である。
【図3E】図3Dで示した模式的断面図の詳細図である。
【図4A】複数の溝を有する本発明の非限定的実施形態による履物中敷の模式的平面図である。
【図4B】最上層を完全に横切している図4Aの履物中敷の非限定的実施形態のB−B′線での模式的断面図である。
【図5A】最上層を横切る6本の溝を有して描かれている、本発明の別の非限定的実施形態による履物中敷の模式的平面図である。
【図5B】図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のD−D′線での模式的断面図である。
【図5C】図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のC−C′線での模式的断面図である。
【図5D】区切り部が底層の底表面を横切していない、図5Aの履物中敷の非限定的実施形態のC−C′線での別形態の模式的断面図である。
【図6】本発明の非限定的実施形態による多層積層体履物中敷の製造方法のフローチャートである。
【図7】本発明の非限定的実施形態による多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
中敷が高強度ファブリックおよび/または高強度および/または弾性クッション材料の層またはそれの複数層を含む場合であったとしても、ハサミなどの機械的切断器具を用いずに消費者がサイズを調節可能な履物中敷が必要とされていることは知られている。
【0032】
図1は例示的履物中敷10の非限定的実施形態の模式的平面図であり、図2はそれのA−A′線での模式的断面図である。履物中敷10には、つま先部分20、かかと部分30およびつま先部分とかかと部分20、30をつなぐ中央アーチ部分40がある。中敷には、最上層50および最上層50に固定された底層60があっても良い。最上層50には1以上のファブリック層があっても良く、底層60にはフォーム層およびゲル層などの1以上のクッション層があっても良い。しかしながら、最上層50にはフォーム層および/またはゲル層があっても良い。ただし、簡潔さを期して、以下で説明する実施形態には、ファブリックの層で作られた最上層50とフォームもしくはゲルの層で作られた底層60を含める。ファブリック層50には、ポリエステル、アセテート、ポリエテン、アクリル、ナイロン、レーヨン、スパンデックス、羊毛、綿、絹、竹、リンネル、麻、ウレタンまたはレーザーによって切断可能な材料などの少なくとも一つのポリマーまたは天然繊維が含まれていても良い。さらに、ファブリック層50には、ポリエチレン、ポリウレタンまたはレーザーによって切断可能な他の材料などの少なくとも一つのフィルムが含まれていても良い。底層60として用いられるフォーム層は、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンまたは他のクッションに好適な材料のうちの少なくとも一つを含んでいても良い。底層60として用いられるゲル層は、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーン、ヒドロゲルまたは他のクッションに好適な材料のうちの少なくとも一つを含んでいても良い。履物中敷10は、多様な靴の中で装着するために多様な形状を取ることができる。さらに、履物中敷10は、多様な靴の中で装着するために、多様な起伏のある表面、平坦な表面、曲がった表面または他の表面のうちのいずれかを有することができる。さらに、最上層の引裂強度は、底層の引裂強度より大きいものであることができる。
【0033】
図3Aは、本発明の1実施形態による、履物中敷110に溝を切り込むレーザーカッターの模式図である。レーザーーカッター112は、レーザー光114を履物中敷110上に集光し(断面図に図示)、履物中敷110に履物中敷110の表面を通って移動して、凹部すなわち溝116を切り込む。レーザーカッターは、幅および深さを変えた溝を切り込むことができる。溝116を切り込むのに用いられるレーザーカッターの1例に、エピログレーザー(Epilog Laser,Golden,Colorado)製造のエピログ・ミニ(Epilog Mini)24、35ワットレーザーがある。図3Bは、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する、図3Aの履物中敷110の非限定的実施形態の模式的断面図であり、図3Cは、破線の円118によって示された図3Bに示した模式的断面図の詳細図である。図3Bおよび3Cに示したように、溝116は、履物中敷110の最上ファブリック層150を完全に通過して切り込まれていても良い。さらに、溝116は、底フォームまたはゲル層160に部分的に伸びていても良い。
【0034】
実質的に例示的ポリエステルニット積層体のファブリック層150のみをレーザーが焼き通すことができるようにしたエピローグ・ミニ24レーザーの設定の例は、速度100%、パワー50%、400DPI(ドット/インチ)および500Hzであった。この例示的ポリエステルニット積層体は、ホットメルトウレタン接着剤を用いてウレタンフィルムに貼り付けられたポリエステルニットファブリックからなるものであり、ファブリック積層体はオープン鋳造ウレタン成形技術を用いてウレタンフォームに成形した。ファブリック層を構成することが可能な各種材料に関しては、当業者であれば、厚さ、密度、含水量および他の特性などのファブリック層の各種材料特性に応じて、レーザーの設定を変えることが可能であると考えられる。例えば、より厚いファブリック層を得るために、当業者であれば、ファブリック層を通過して切り込むためにパワーなどのレーザーの各種設定を調節することができると考えられる。
【0035】
図3Dは、図3Aのレーザーカッターによって作られた溝を有する履物中敷110の非限定的実施形態の別形態の模式的断面図であり、図3Eは破線円119によって示された図3Dに示した別形態の模式的断面図の詳細図である。図3Dおよび3Eに示したように、溝116が底フォームまたはゲル層160に延伸しないように、溝116を、実質的に履物中敷110の最上ファブリック層150に切り込むことができる。さらに、最上ファブリック層150への部分的切り込みのみから最上ファブリック層150を通過しての完全切り込みおよび履物中敷110の底フォームまたはゲル層160への実質的切り込みの両方に至る範囲の他の各種深さまで溝を切り込むことが可能である(不図示)。これらの非限定的実施形態のそれぞれにおいて、消費者が所定の溝に沿って裂くと、きれいですっきりとした引き裂き線が得られる。
【0036】
図4Aは、本発明の非限定的実施形態による履物中敷210の模式的平面図であり、図4Bは図4Aの履物中敷210の実施形態のB−B′線での模式的断面図である。履物中敷210には、つま先部分220、かかと部分230およびつま先とかかと部分220、230をつなぐ中央アーチ部分240がある。中敷210には、ファブリックの最上層250および最上層250に固定されたクッション材料の底層260がある。しかしながら、最上層250には、複数のファブリック層があっても良く、底層260には複数のクッション材料層があっても良い。レーザーカッター112によって切り込まれた溝216は、中敷210のつま先部分220に位置している。図4Aには、中敷210のつま先部分220に3個の別個の溝切り込み216を示してある。溝216は中敷210の最上表面を横切って横方向に曲線状で伸びており、ユーザーの可能な靴サイズに相当するように構成されている。さらに、図4Bに示したように、溝216は、ほぼ垂直に、最上層250を通過し、部分的に底層260にまで伸びていることができる。適宜に、レーザーカッター112によって切り込まれた溝226は、中敷210のかかと部分230に位置している。図4Aには、中敷210のかかと部分230における別個の溝切り込み226を示してある。溝226は、中敷210の最上表面を横切って横方向に曲線状で伸びており、湾曲の方向は溝216の湾曲方向と反対である。レーザーカッター112によって切り込まれた溝236は、中敷210の中央アーチ部分240に位置しており、曲線状で、中敷210に関して長手方向に伸びている。中敷210は、つま先部分220における1以上の溝216、かかと部分230における1以上の溝226、および/または中央アーチ部分240における1以上の溝236を含むことができる。さらに、溝216、226、236に関しては、レーザーカッター112による溝216、226、236の切り込みにより、ファブリック層250に明瞭な切り込み線が作られるという利点がある。さらに、ファブリック層250にポリマーファブリックがある場合、レーザー光114がファブリック層250を焼くことで、ファブリックが切断線で摩損するのを防止する。
【0037】
さらに図4Aおよび4Bに関して、底フォーム層260は、ユーザーが溝216、226、236に沿って中敷210をきれいにかつ容易に裂けるように、例えば10lbsf未満の比較的低い引裂強度を有することができる。しかしながら、底フォーム層260は、履物の品物に滑り込ませた時に、中敷210が溝216、226、236に沿って永久的に曲がったり、皺を生じたりすることがないようにするだけの十分に高い弾性係数または曲げ弾性率を有することもできる。
【0038】
図5Aは、本発明の別の非限定的実施形態による履物中敷310の模式的平面図である。図5Bは、D−D′線での図5Aの履物中敷310の非限定的実施形態の模式的断面図である。図5Cおよび5Dは、C−C′線での図5Aの履物中敷310の非限定的実施形態の別形態の模式的断面図である。図4Aで示した実施形態のように、履物中敷310には、つま先部分320、かかと部分330およびつま先部分とかかと部分320、330をつなぐ中央アーチ部分340がある。さらに、履物中敷310には、ファブリックの最上層350およびクッション材料製の底層360がある。中敷310にはさらに、レーザー切り込み溝316があり、それは中敷310のつま先部分320に位置し、中敷310の最上表面を横切って横方向で曲線状に伸びている。図5Bに示したように、溝316は最上層350を通過して、部分的に底層360まで伸びていることができる。図5Aには、中敷310のつま先部分320における3個の別個の溝切り込み316を示している。さらに、中敷310にはさらに、レーザー切り込み溝326があっても良く、それは中敷310のかかと部分330に位置し、中敷310の最上表面を横切って横方向に曲線状に伸びており、湾曲方向は溝316の湾曲方向と反対である。図5Aには、中敷310のかかと部分330における別個の溝切り込み326を示してある。レーザー切り込み溝336は、中敷310の中央アーチ部分340に位置していても良く、曲線状に、中敷310に関して長手方向に伸びている。図4Aおよび4Bに示した実施形態に関して説明したように、中敷310には、つま先部分320における1以上の溝316、かかと部分330における1以上の溝326および/または中敷310の中央アーチ部分340における1以上の溝336があっても良い。
【0039】
しかしながら、図4Aおよび4Bに示した実施形態とは対照的に、中敷310には、底ゲル層360に区切り部317がある。これらの区切り部は、ダイス(不図示)によって作ることができる。図5Cに示したように、区切り部317は、底層360を完全に通過して伸び、溝316、326、336に沿って伸びることができる。別の形態として、図5Dに示したように、区切り部317は、底層360に実質的に伸びているが、それを完全に通過しているわけではなく、溝316、326、336に沿って伸びていることができる。さらに、図5Aに示したように、区切り部317は、ウェブ要素318によって溝316、326、336の方向で互いに分離されている。区切り部317の間隔、従ってウェブ要素318の厚さを調節して、中敷310のユーザーが溝316、326、336に沿ってきれいにかつ容易に中敷310を裂くことができるようにしながら、中敷310を履物の品物に滑り込ませた時に、同時に中敷310が中敷310での裂かれていない溝に沿って曲がったり、皺を形成しないようにすることができる。区切り部317とウェブ要素318は、円形、正方形、長方形、多角形および他の形状ならびにこれらの組み合わせなど(これらに限定されるものではない)の各種パターンで形成することができる。さらに、本発明に記載の区切り部にはパターンがあり、それは他の表現では、穿孔、鋸歯形状、切り込み、区切り部、ノッチ、穴、スロットなどと称される場合があり、それらの一部を図5Aに示してある。
【0040】
図6は、本発明の非限定的実施形態による、多層積層体履物中敷の製造方法のフローチャートである。その方法は段階400で開始する。段階410では、積層履物中敷を組み立てる。その中敷は、少なくとも最上層および底層を有する。最上層には1以上のファブリックまたはフィルムの層があっても良く、底層には1以上のフォームまたはゲルの層があっても良い。段階420では、例えばレーザーカッターによって中敷の最上層に溝を切り込む。その溝は、人間の足の大きさに相当し、最上層を通過して伸びており、部分的に底層中に伸びても良い。段階430では、例えばレーザーカッターによって別の溝を中敷の最上層に切り込むべきか否かに関して照会を行う。実行することになった場合、その方法では段階420を繰り返す。実行しない場合、方法段階440で、底層に溝で区切りを設けるべきか否かに関して照会を行う。区切りを行わない場合、方法は段階460で終了である。区切りを行う場合、段階450で底層を溝で区切る。そして方法は段階460で終了する。
【0041】
図7は、本発明の非限定的実施形態による、多層積層体履物中敷寸法を小さくする方法のフローチャートである。その方法は段階500で開始する。段階510では、中敷のつま先領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階530に進む。ある場合は、段階520で、つま先領域の上記溝に沿って中敷を手で裂き、その後に方法は段階530に進む。段階530では、中敷のかかと領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階550に進む。ある場合は、段階540で、かかと領域の上記溝に沿って中敷を手で裂き、その後に方法は段階550に進む。段階550では、中敷の中央アーチ領域に所望の足サイズに相当する溝があるか否かに関して照会を行う。ない場合、方法は段階570で終了する。ある場合には、段階560で、中央アーチ領域の上記溝に沿って中敷を手で裂く。そして方法は段階570で終了する。別法として、照会510と段階520、照会530と段階540、そして照会550と段階560を、消費者が所望に応じて並べ替えても良い。
【0042】
本発明のある好ましい非限定的実施形態において、最上表面を有する最上層および底表面を有する底層を有し、前記底層に少なくとも一つのクッション層がある多層積層体履物中敷では、中敷の最上層を横切する中敷の溝と、その溝の1以上の区切り部があり、その区切り部は中敷の底層を横切している。多層積層体履物中敷は、所定の区切り溝に従って各種サイズに調節することが可能な単一のフリーサイズ中敷であることができる。各溝は、その溝内に好ましい区切り部を有することができる。さらに、消費者は、手で各所定の区切り溝に沿って裂くことで、中敷のサイズを調節して、靴の中で適合するようにすることができる。
【0043】
以上の説明は、本発明の非限定的実施形態のみを開示したものである。本発明の範囲に包含される、上記で開示の多層積層体履物中敷ならびにそれの製造方法およびそれの使用方法についての変更に関しては、当業者であれば容易に理解できよう。
【0044】
従って、上記の非限定的実施形態との関連で本発明を開示してきたが、理解すべき点として、他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲に包含され得るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最上表面を有する最上層および底表面を有し少なくとも一つのクッション層を含む底層を有する多層積層体履物中敷において、前記中敷における前記中敷の前記最上層を横切する溝および前記溝における前記中敷の底層を横切する1以上の区切り部を有することを特徴とする多層積層体履物中敷。
【請求項2】
前記溝が前記最上層を完全に横切している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項3】
前記区切り部が前記底層の前記底表面を横切している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項4】
前記溝が前記底層の少なくとも一部を貫通している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項5】
前記溝が前記中敷の対向する縁部から前記最上層の前記最上表面を横切っている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項6】
前記少なくとも一つのクッション層がフォーム層である請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項7】
前記フォーム層がポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンのうちの少なくとも一つを含む請求項6に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項8】
前記少なくとも一つのクッション層がゲル層である請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項9】
前記ゲル層がポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーンおよびヒドロゲルのうちの少なくとも一つを含む請求項8に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項10】
前記最上層がファブリック層またはフィルム層のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項11】
前記ファブリック層またはフィルム層のうちの少なくとも一つがポリマーまたは天然繊維のうちの少なくとも一つを含む請求項10に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項12】
前記溝がレーザーで切り込まれている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項13】
前記区切り部が所定のパターンで作られている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項14】
最上表面のある最上層と底表面のある底層を有し、前記底層が少なくとも一つのクッション層を含む多層積層体履物中敷の製造方法において、前記中敷の前記最上層の前記最上表面に前記中敷の前記最上層を横切する溝を切り込む段階;および前記溝で前記底層に区切りを形成する段階を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記区切り部が前記中敷の前記底層の前記底表面を横切する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記切り込み段階が2以上の溝を切り込む段階を有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記最上層が前記溝によって部分的に横切されている請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記溝をレーザーを用いて切り込む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
所定の区切り溝を有する中敷のサイズを変えるために多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法において、前記所定の区切り溝に沿って手で前記中敷を裂く段階を有することを特徴とする方法。
【請求項1】
最上表面を有する最上層および底表面を有し少なくとも一つのクッション層を含む底層を有する多層積層体履物中敷において、前記中敷における前記中敷の前記最上層を横切する溝および前記溝における前記中敷の底層を横切する1以上の区切り部を有することを特徴とする多層積層体履物中敷。
【請求項2】
前記溝が前記最上層を完全に横切している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項3】
前記区切り部が前記底層の前記底表面を横切している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項4】
前記溝が前記底層の少なくとも一部を貫通している請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項5】
前記溝が前記中敷の対向する縁部から前記最上層の前記最上表面を横切っている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項6】
前記少なくとも一つのクッション層がフォーム層である請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項7】
前記フォーム層がポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンのうちの少なくとも一つを含む請求項6に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項8】
前記少なくとも一つのクッション層がゲル層である請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項9】
前記ゲル層がポリウレタン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、シリコーンおよびヒドロゲルのうちの少なくとも一つを含む請求項8に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項10】
前記最上層がファブリック層またはフィルム層のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項11】
前記ファブリック層またはフィルム層のうちの少なくとも一つがポリマーまたは天然繊維のうちの少なくとも一つを含む請求項10に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項12】
前記溝がレーザーで切り込まれている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項13】
前記区切り部が所定のパターンで作られている請求項1に記載の多層積層体履物中敷。
【請求項14】
最上表面のある最上層と底表面のある底層を有し、前記底層が少なくとも一つのクッション層を含む多層積層体履物中敷の製造方法において、前記中敷の前記最上層の前記最上表面に前記中敷の前記最上層を横切する溝を切り込む段階;および前記溝で前記底層に区切りを形成する段階を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記区切り部が前記中敷の前記底層の前記底表面を横切する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記切り込み段階が2以上の溝を切り込む段階を有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記最上層が前記溝によって部分的に横切されている請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記溝をレーザーを用いて切り込む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
所定の区切り溝を有する中敷のサイズを変えるために多層積層体履物中敷の寸法を小さくする方法において、前記所定の区切り溝に沿って手で前記中敷を裂く段階を有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2012−513777(P2012−513777A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530214(P2011−530214)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059186
【国際公開番号】WO2010/039929
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(398029706)エムエスディー コンシューマー ケア, インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059186
【国際公開番号】WO2010/039929
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(398029706)エムエスディー コンシューマー ケア, インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】
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