説明

多関節ロボット

【課題】多関節ロボットにおいて、関節部の内部に収容するケーブルの本数が増えても、ケーブル同士が絡まり合うことなく、円滑に関節部を回転できるようにする。
【解決手段】多関節ロボット1は、回転軸部6Bが、回転軸16aが挿通された状態で関節筐体6b内部に固定され、ケーブルを固定支持する支持板14と、回転軸16aが固定され支持板14と対向するように第3アーム7内部に固定され、ケーブルを第3アーム7内部で固定支持する連結板20と、回転軸16aを周方向に囲む筒状に設けられ、一方の筒端部が連結板20に固定され、他方の筒端部が支持板14の近傍に配置された筒状部材と、を備え、回転軸部6Bには、複数のケーブルと複数の筒状部材が同心状に設置され、筒状部材のそれぞれの外周には、支持板14および連結板20に固定されたケーブルが、筒状部材の外周面から離間した状態で周回して配回された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、種々の作業を行うマニピュレータなどの装置において、独立駆動可能な複数の関節部によって複数のアーム部材が連結された多関節ロボットが広く用いられている。
多関節ロボットの関節部は、基端側に位置する駆動側のアーム部材に対して、より先端側に位置する従動側のアーム部材を回転させる回転アクチュエータを備えている。このため、多関節ロボットの各回転アクチュエータには、動力を供給したり信号を伝達したりするためのケーブルがそれぞれ接続されている。
このケーブルの配回しは種々の方式があるが、外側に配回されている場合にはケーブルがむき出しとなるため、作業環境によっては損傷しやすく、また作業自体の障害となるおそれもある。そのため、ケーブルを関節部およびアーム部材の内部に収容する配回しが知られている。
このようなケーブルを内部に配回す多関節ロボットとして、例えば、特許文献1には、アームの回動中心軸に沿って支持柱を取り付け、エア配管あるいは電気配線等のケーブルをこの支持柱の回りに巻き方向に弾性的に巻回した状態でアームの内部に収容する水平多関節ロボットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−57792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の多関節ロボットには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術は、ケーブルを、回転中心軸に沿って形成された支持軸回りに巻き方向に弾性的に巻回すものであるため、ケーブルを複数収容するとケーブル同士が絡まり、回転時にケーブルが引張され破損や断線するおそれがあるという問題がある。
ケーブルを1本にまとめることも考えられるが、多関節ロボットは複雑な作業を行うための自由度が大きく、これに伴って、ケーブルの本数が多くなるものである。このため、ケーブルをまとめると、特に装置基端側では柔軟性がなくなり、支持軸回りに弾性的に巻き回すことができなくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、関節部の内部に収容するケーブルの本数が増えても、ケーブル同士が絡まり合うことなく、円滑に関節部を回転することができる多関節ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、駆動側筐体に設けられた回転アクチュエータの回転軸によって、従動側筐体を回転させる関節部が装置基端側から装置先端側に向かって複数配置され、動力または信号を伝達する複数のケーブルが、前記駆動側筐体、前記従動側筐体、および前記関節部の内部に収容された多関節ロボットであって、前記関節部は、前記回転軸が挿通された状態で前記駆動側筐体内部に固定され、前記ケーブルを前記駆動側筐体内部で固定支持する駆動側ケーブル支持部材と、前記回転軸が挿通または固定されるとともに前記駆動側ケーブル支持部材と対向するように前記従動側筐体内部に固定され、前記ケーブルを前記従動側筐体内部で固定支持する従動側ケーブル支持部材と、前記回転軸を周方向に囲む筒状に設けられ、一方の筒端部が前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか一方に固定され、他方の筒端部が前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか他方の近傍に配置された筒状部材と、を備え、前記関節部には、内部に貫通して収容された前記複数のケーブルと複数の前記筒状部材が同心状に設置され、前記筒状部材のそれぞれの外周には、前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材に固定された前記ケーブルが、前記筒状部材の外周面から離間した状態で周回して配回された構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の多関節ロボットにおいて、前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか他方は、前記筒状部材の前記他方の筒端部で仕切られる輪帯状の領域にそれぞれ対向する位置に、固定支持した前記複数のケーブルを前記回転軸の延びる方向に沿って案内するケーブル案内孔を備える構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の多関節ロボットにおいて、前記筒状部材はそれぞれ、前記回転軸を囲む筒状部が円筒形状を有し、前記回転軸を中心とする同心円状に配置された配置された構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、前記筒状部材は、前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか一方に対して、互いに独立して着脱可能に設けられた構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、前記筒状部材は、透明材料で形成された構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の多関節ロボットによれば、関節部の内部に収容するケーブルの本数が増えても、ケーブル同士が絡まり合うことなく、円滑に関節部を回転することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る多関節ロボットの概略構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る多関節ロボットの関節部の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る多関節ロボットの駆動側ケーブル支持部材の構成を示す模式的な斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る多関節ロボットの従動側ケーブル支持部材および筒状部材の構成を示す模式的な分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る多関節ロボットの関節部の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの概略構成を示す模式的な斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの関節部の概略構成を示す模式的な断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの駆動側ケーブル支持部材の構成を示す模式的な斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの従動側ケーブル支持部材および筒状部材の構成を示す模式的な分解斜視図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る多関節ロボットについて説明する。
本実施形態の多関節ロボット1は、図1に示すように、基端部と先端部との間に複数の回転関節が複数のアームを介して配列されることにより、基端部に対して、先端部を移動および姿勢制御できるようにしたロボット本体1Aと、ロボット本体1Aの先端部に連結され作業対象を把持するハンド部11と、ロボット本体1Aおよびハンド部11の動作を制御する制御部1Bとを備える。
このため、多関節ロボット1は、例えば、部品組立工程等において部品を把持および把持解除して移動させたり、部品同士の組立作業を行ったりするのに好適に用いることができる。
【0015】
ロボット本体1Aの概略構成は、第1関節部2、第1アーム3、第2関節部4、第2アーム5、第3関節部6、第3アーム7、第4関節部8、第4アーム9、および第5関節部10を備え、これらが基端側から先端側に向かってこの順に連結されている。
なお、以下では、簡単のため、第1関節部2、第2関節部4、第3関節部6、第4関節部8、および第5関節部10を総称して、「第1関節部2等の関節部」と称する場合がある。また、第1アーム3、第2アーム5、第3アーム7、および第4アーム9を総称して、「第1アーム3等のアーム」と称する場合がある。
【0016】
第1関節部2は、第1関節部2にとっての駆動側筐体である関節筐体2aが水平面に載置され、第1関節部2にとっての従動側筐体である第1アーム3を鉛直軸に平行な回転軸線O回りに回転させるものである。
第1アーム3は、回転軸線Oに沿って延ばされた中空の筒状の筐体であり、下端部において回転軸線O回りに回転する第1関節部2の不図示の回転軸に連結されている。
【0017】
第2関節部4は、第2関節部4にとっての駆動側筐体である関節筐体4aが第1アーム3の上端部に固定され、第2関節部4にとっての従動側筐体である第2アーム5を回転軸線Oに直交する方向に延びる回転軸線O回りに回転させるものである。
第2アーム5は、回転軸線Oに直交するとともに回転軸線Oを含む平面に設定された回転軸線Oに沿って延ばされた細長い中空の筒状の筐体であり、一方の端部において第2関節部4の不図示の回転軸に連結されている。
【0018】
第3関節部6は、互いに90度をなして交差する回転軸線O、O回りの回転運動を行う屈曲軸部6A、回転軸部6Bからなり、これにより2自由度の回転自由度を有する関節部である。ここで、回転軸線Oは、回転軸線Oに直交しかつ回転軸線Oに平行となる位置関係に設定されている。
屈曲軸部6Aは、屈曲軸部6Aにとっての駆動側筐体である関節筐体6aが第2アーム5の他方の端部(第2関節部4が連結されたのと反対側の端部)に固定され、屈曲軸部6Aにとっての従動側筐体である回転軸部6Bの関節筐体6bを、回転軸線O回りに回転させるものである。
回転軸部6Bは、回転軸部6Bにとっての駆動側筐体である関節筐体6bが関節筐体6aに固定され、回転軸部6Bにとっての従動側筐体である第3アーム7を回転軸線O回りに回転させるものである。
第3アーム7は、回転軸線Oに沿って延ばされた細長い中空の筒状の筐体であり、一方の端部において回転軸部6Bの不図示の回転軸に連結されている。
【0019】
第4関節部8は、第4関節部8にとっての駆動側筐体である関節筐体8aが第3アーム7の他方の端部(回転軸部6Bが連結されたのと反対側の端部)に固定され、第4関節部8にとっての従動側筐体である第4アーム9を回転軸線Oに直交しかつ回転軸線Oに平行な方向に延びる回転軸線O回りに回転させるものである。
第4アーム9は、回転軸線Oに直交する軸線である回転軸線Oに沿って延ばされた細長い中空の筒状の筐体であり、一方の端部において第4関節部8の不図示の回転軸に連結されている。
【0020】
第5関節部10は、第5関節部10にとっての駆動側筐体である関節筐体10aが第4アーム9の他方の端部(第4関節部8が連結されたのと反対側の端部)に固定され、第5関節部10にとっての従動側筐体であるハンド部11のハンド部筐体11aを回転軸線O回りに回転させるものである。
ハンド部11は、回転軸線Oを挟む位置関係に設けられた1対のハンド11bが回転軸線Oに直交する方向に進退し、作業対象となる部品等を把持および把持解除することができるようにしたものである。ハンド部筐体11aは、第5関節部10の不図示の回転軸に連結されている。
【0021】
制御部1Bは、多関節ロボット1の全体動作を制御するものであって、少なくとも、多関節ロボット1の基端部である第1関節部2の設置位置に対する多関節ロボット1の先端部であるハンド部11の位置を制御するために、第1関節部2等の関節部のそれぞれの回転量を制御する。また、制御部1Bは、ハンド部11のハンド11bの動作を制御して、作業対象の把持および把持解除する動作を行う。
このような制御を行うため、制御部1Bと、第1関節部2等の関節部およびハンド部11とは、動力または信号を伝達する不図示の複数の配線によって電気的に接続されている。
また、これら複数の配線は適宜数ずつ束ねられて不図示の複数のケーブルを構成している。また、後述するように、これら不図示の複数のケーブルはロボット本体1Aの内部に配回されており、図1に示すように、ロボット本体1Aの基端部である第1関節部2の関節筐体2aからケーブル集合体12として延出されて制御部1Bに導かれている。
また、制御部1Bには、ハンド部11を移動させる位置を入力したり、ハンド部11の把持動作を制御したりする等の操作を行うため、操作パネルやキーボード等の入力手段を備える操作部1Cが接続されている。
【0022】
第1関節部2等の関節部の構成は、いずれも駆動側筐体に設けられた回転アクチュエータの回転軸によって、従動側筐体を回転させるものであり、その詳細構成はいずれも略同様である。したがっていずれか一例を説明すれば、他は当業者に容易に理解される。
以下では、本実施形態の関節部の一例として、回転軸部6Bおよび第4関節部8の詳細構成について、第3アーム7の構成とともに説明する。
なお、以下では、関節筐体6bにおける軸方向に沿う位置関係を表す場合、第3アーム7側の端部の方を関節筐体6bの先端側、屈曲軸部6A側の端部の方を関節筐体6bの基端側と称する。また第3アーム7における軸方向に沿う位置関係を表す場合、関節筐体6b側の端部の方を第3アーム7の基端側、その反対側を先端側と称する。
【0023】
回転軸部6Bの関節筐体6bは、図1に示すように中空の円筒状の部材である。
関節筐体6bの内部には、図2に示すように、支持板14、回転アクチュエータ16A、およびケーブル12A、12B、12C、12Dが設けられている。
【0024】
支持板14は、関節筐体6bの先端側の端部近傍の内側において、関節筐体6bの中心を通る回転軸線Oと直交する位置関係に固定された円板状の部材であり、中心部には回転アクチュエータ16Aの回転軸16aを挿通させる回転軸挿通孔14aが設けられている。
また、支持板14には、回転軸挿通孔14aから径方向外側に向かって、ケーブル12B、12C、12Dを挿通させるケーブル挿通孔14b、14c、14dが互いに径方向に離間して設けられている。
ケーブル挿通孔14b、14c、14dの中心からの距離は、図3に示すように、本実施形態では、それぞれ、r、r、r(ただし、r>r>r)とされている。
また、支持板14の基端側の表面には、図2に示すように、回転アクチュエータ16Aを固定するための複数の支柱15が立設されている。支持板14に対する支柱15の固定方法は特に限定されず、例えば、ねじ止め、溶接等の適宜の固定方法を採用することができる。
【0025】
回転アクチュエータ16Aは、本実施形態では、回転軸16aを回転させる電動モータからなり、回転軸16aを回転軸挿通孔14aに基端側から挿通させた状態で、支持板14に設けられた複数の支柱15を介して固定されている。
回転軸16aは、関節筐体6bの基端側の端部まで延出され、後述する第3アーム7の連結板20に固定されている。以下では、回転軸16aの半径はrと表す。
回転アクチュエータ16Aのモータ構成は、適宜の構成を採用することができるが本実施形態では、一例として、サーボモータを採用している。このため、回転アクチュエータ16Aには、回転量、回転方向、および回転速度を検出するためのエンコーダ16bと、目標の回転位置で停止するためのブレーキ16cが設けられている。
【0026】
ケーブル12Aは、回転軸部6Bに設けられた回転アクチュエータ16Aに電気的に接続され、回転アクチュエータ16Aに動力を供給する電源線と駆動制御信号を供給する配線12aと、エンコーダ16bに接続されエンコーダ16bの信号出力を制御部1Bに伝達する配線12bと、ブレーキ16cに制御信号を供給する配線12cとが、1本に束ねられたケーブルである。
ケーブル12Aの関節筐体6b内の端部は、回転アクチュエータ16Aの近傍における関節筐体6bの内壁部にケーブル固定部材13を介して固定されている。
ケーブル固定部材13としては、適宜のケーブルクランプや結束バンドなどを採用することができる。
ケーブル12Aの配線12a、12b、12cは、ケーブル固定部材13で固定された端部からそれぞれ個別に分岐して延出され、それぞれ、回転アクチュエータ16A、エンコーダ16b、ブレーキ16cと電気的に接続されている。
【0027】
ケーブル12Bは、後述する第4関節部8に設けられた回転アクチュエータ16Aと同様の構成を有する回転アクチュエータ16Bに動力を伝達し、回転アクチュエータ16Bと、回転アクチュエータ16Bのエンコーダ16b、ブレーキ16cと、制御部1Bとの間で信号の授受を行うためのもので、ケーブル12Aと同様な配線12a、12b、12cが1本に束ねられたケーブルからなる。
ケーブル12Cは、第5関節部10に設けられた回転アクチュエータ16Aと同様の構成を有する回転アクチュエータ(不図示)に動力を伝達し、この回転アクチュエータと、そのエンコーダおよびブレーキ(いずれも不図示)と、制御部1Bとの間で信号の授受を行うためのもので、ケーブル12Aと同様な配線12a、12b、12cが1本に束ねられたケーブルからなる。
ケーブル12Dは、ハンド部11に設けられた不図示のハンド駆動機構に動力を伝達するとともに、制御部1Bとの間で信号の授受を行うためのもので、ハンド部11の制御構成に応じた複数の配線が1本に束ねられたケーブルからなる。
これら、ケーブル12B、12C、12Dの配回しは、第3アーム7、第4関節部8の構成を説明した後にまとめて説明する。
【0028】
第3アーム7は、図1に示すように断面が矩形状の筒状の部材であり、基端側の内部には、連結板20が固定され、先端側の端部には、第4関節部8の関節筐体8aが固定されている。
連結板20は、図2、4に示すように、第3アーム7の基端側の端部において、関節筐体6bの内側に回転軸線Oと直交する位置関係に固定された円板状の部材であり、中心部には回転軸部6Bの回転アクチュエータ16の回転軸16aを固定する回転軸固定孔20aが設けられている。このため、回転軸固定孔20aに回転軸16aが固定された組立状態では、連結板20は、支持板14と距離hだけ離間して平行に対向されている。
また、連結板20には、回転軸固定孔20aから径方向外側に向かって、ケーブル12B、12C、12Dを挿通させるケーブル挿通孔20b、20c、20dが互いに径方向に離間して設けられている。
ケーブル挿通孔20b、20c、20dの中心からの距離は、図4に示すように、本実施形態では、それぞれ、r、r、rとされている。
また、連結板20の少なくとも基端側の面には、筒状部材17、18、19を固定するため、例えば、回転軸固定孔20aの中心を中心とする半径r、r、rの同心円上に雌ねじ部20eが設けられている。
【0029】
連結板20の基端側の板面には、回転軸16aを周方向に囲む円筒状の円筒部17aと円筒部17aの端部から径方向外側に延ばされた円環状のフランジ部17bとを備える筒状部材17が回転軸16aと同軸となるように固定されている。
円筒部17aの外半径r17は、円筒部17aが連結板20のケーブル挿通孔20b、20cとの間を通る位置関係になるように、r>r17>rとされている。
また、フランジ部17bの外半径は連結板20の外半径と同一もしくはわずかに小さい大きさとされている。
また、円筒部17aの軸方向の長さは、支持板14と連結板20との間の距離hよりもわずかに短い設定とされる。
フランジ部17bには、連結板20に設けられたケーブル挿通孔20bと重なる位置にケーブル挿通孔20bよりもわずかに大きく開口されたケーブル挿通孔17cがフランジ部17bの厚さ方向に貫通して設けられている。
また、フランジ部17bには連結板20に設けられた複数の雌ねじ部20eと重なる位置に雌ねじ部20eよりもわずかに大きく開口されたねじ挿通孔17dがフランジ部17bの厚さ方向に貫通して設けられている。
このため、本実施形態では、筒状部材17は、ケーブル挿通孔17cを連結板20のケーブル挿通孔20bに重ねた位置で、各ねじ挿通孔17dに挿通した雄ねじ24(図4参照)を雌ねじ部20eに螺合することによって、連結板20に着脱可能に固定されている。
【0030】
筒状部材17の内側には、回転軸16aを周方向に囲む円筒状の円筒部18aと円筒部18aの端部から径方向外側に延ばされた円環状のフランジ部18bとを備える筒状部材18が回転軸16aと同軸となるように固定されている。
円筒部18aの外半径r18は、円筒部18aが連結板20のケーブル挿通孔20c、20dとの間を通る位置関係になるように、r>r18>rとされている。
また、フランジ部18bの外半径は筒状部材17の内半径と同一もしくはわずかに小さい大きさとされている。
また、円筒部18aの軸方向の長さは、支持板14と連結板20との間の距離hよりもわずかに短い設定とされる。
フランジ部18bには、連結板20に設けられたケーブル挿通孔20cと重なる位置にケーブル挿通孔20cよりもわずかに大きく開口されたケーブル挿通孔18cがフランジ部18bの厚さ方向に貫通して設けられている。
また、フランジ部18bには連結板20に設けられた複数の雌ねじ部20eと重なる位置に雌ねじ部20eよりもわずかに大きく開口されたねじ挿通孔18dがフランジ部18bの厚さ方向に貫通して設けられている。
このため、本実施形態では、筒状部材18は、ケーブル挿通孔18cを連結板20のケーブル挿通孔20cに重ねた位置で、各ねじ挿通孔18dに挿通した雄ねじ24(図4参照)を雌ねじ部20eに螺合することによって、連結板20に着脱可能に固定されている。
【0031】
筒状部材18の内側には、回転軸16aを周方向に囲む円筒状の円筒部19aと円筒部19aの端部から径方向外側に延ばされた円環状のフランジ部19bとを備える筒状部材19が回転軸16aと同軸となるように固定されている。
円筒部19aの外半径r19は、円筒部19aが連結板20のケーブル挿通孔20dと回転軸16aとの間を通る位置関係になるように、r>r19>rとされている。
また、フランジ部18bの外半径は筒状部材17の内半径と同一もしくはわずかに小さい大きさとされている。
また、円筒部19aの軸方向の長さは、支持板14と連結板20との間の距離hよりもわずかに短い設定とされる。
フランジ部19bには、連結板20に設けられたケーブル挿通孔20dと重なる位置にケーブル挿通孔20dよりもわずかに大きく開口されたケーブル挿通孔19cがフランジ部19bの厚さ方向に貫通して設けられている。
また、フランジ部19bには連結板20に設けられた複数の雌ねじ部20eと重なる位置に雌ねじ部20eよりもわずかに大きく開口されたねじ挿通孔19dがフランジ部19bの厚さ方向に貫通して設けられている。
このため、本実施形態では、筒状部材19は、ケーブル挿通孔19cを連結板20のケーブル挿通孔20dに重ねた位置で、各ねじ挿通孔19dに挿通した雄ねじ24(図4参照)を雌ねじ部20eに螺合することによって、連結板20に着脱可能に固定されている。
【0032】
このように、筒状部材17、18、19は、回転軸16aを周方向に囲む筒状に設けられ、一方の筒端部が従動側ケーブル支持部材である連結板20固定され、他方の筒端部が駆動側ケーブル支持部材である支持板14の近傍に配置された部材となっている。
また、連結板20上において、筒状部材17、18、19は、円筒部17a、18a、19aが、それぞれ回転軸16aの中心軸である回転軸線Oを中心とする同心円上に、径方向に入れ子構造をなして配置されている。そして、筒状部材17、18、19は、互いに独立に着脱することが可能になっている。
【0033】
また、このような組立状態において、円筒部17a、18a、19aは、支持板14と連結板20との間の空間を4つの同心円筒状の領域に仕切る仕切り板となっている。このため、図2に示すように、ケーブル挿通孔20b、14bは、関節筐体6aの内壁部と円筒部17aの外周面との間の領域Sに開口しており、ケーブル挿通孔20c、14cは、円筒部17aの内周面と円筒部18aの外周面との間の領域Sに開口しており、ケーブル挿通孔20d、14dは、円筒部18aの内周面と円筒部19aの外周面との間の領域Sに開口している。
【0034】
このように、ケーブル挿通孔20b、20c、20d、14b、14c、14dは、筒状部材17、18、19の他方の筒端部で仕切られる輪帯状の領域にそれぞれ対向する位置に、固定支持した複数のケーブルであるケーブル12B、12C、12Dを回転軸16aの延びる方向に沿って案内するケーブル案内孔を構成している。
このような位置関係にケーブル案内孔を設けることにより、各ケーブルを、径方向に配回すことなく軸方向の基端側、先端側に案内することができる。このため、支持板14と連結板20との間の空間を省スペース化することができるとともに、ケーブルを支持板14や連結板20上で径方向に配回す場合に比べて、ケーブルの全長を短縮することができる。
【0035】
筒状部材17、18、19の材質は、適宜の合成樹脂や金属材料を採用することができる。特に、合成樹脂を採用する場合、例えば、ポリカーボネート樹脂やポリメタクリル酸メチル樹脂等の透明材料を採用することができる。
本実施形態では、筒状部材17、18、19として、ポリカーボネートの透明グレードを採用している。
このように、筒状部材17、18、19を透明材料で構成する場合、配回されたケーブルの視認性が向上し、製造工程において、ケーブルの配回し不良になっていないか、ただちに目視で確認できるため、生産性を向上することができる。
【0036】
第3アーム7の先端側の内壁部には、図2に示すように、回転軸線Oに沿う方向に複数の支柱21が立設され、各支柱21の先端部に支持板22が固定されている。
支持板22は、第4関節部8の内部に挿通されるケーブルがケーブル12C、12Dの2本であることに対応して、支持板14からケーブル挿通孔14bを削除したものである。
支持板22において、支柱21で支持された板面には、支持板14と同様に、支柱15を介して、第4関節部8の回転アクチュエータ16Bが固定されている。このため、第4関節部8の回転アクチュエータ16Bの回転軸16aは、支持板22の回転軸挿通孔14aを挿通して、回転軸線Oと同軸に延ばされている。
回転軸16aの先端には、円筒状の連結板固定部材8bに固定された円板状の連結板23が固定されている。
連結板23は、連結板20からケーブル挿通孔20bと、回転軸固定孔20aを中心としてケーブル挿通孔20bと同じ同心円上にある雌ねじ部20eを削除した部材であり、外径が連結板固定部材8bに内嵌できる大きさに調整されたものである。
このため、連結板23の回転軸固定孔20aに回転アクチュエータ16の回転軸16aが固定された組立状態では、連結板23は、支持板22と距離hだけ離間して平行に対向されている。
連結板23の支持板22側の板面には、筒状部材18、19が、連結板20におけるのと同様な位置関係で着脱可能に固定されている。
【0037】
連結板固定部材8bは、関節筐体8a内で、回転軸線O回りに回転可能に収容され、関節筐体8aに設けられた不図示の開口を通して、第4アーム9と連結されている。
【0038】
次に、回転軸部6Bにおけるケーブル12B、12C、12Dの配回しについて説明する。
図2に示すように、関節筐体6b内でケーブル固定部材13によって固定されたケーブル12Bは、回転アクチュエータ16Aの回転の中立位置では、ケーブル挿通孔14bに挿通されて、支持板14の先端側の板面で、ケーブル固定部材13によって固定された後、筒状部材17の外周面に沿って、外周面から離間した状態で螺旋状に周回され、本実施形態では3回転半だけ周回されてから、連結板20のケーブル挿通孔20bに挿通されて第3アーム7の内部に導かれている。
ケーブル12Bの周回方向は、一例として、支持板14から連結板20に向かうにしたがって反時計回り(右ねじの回転方向と反対回り)に周回されている。
【0039】
また、ケーブル12Bは、ケーブル挿通孔20bの近傍のフランジ部17b上で、ケーブル固定部材13によって位置が固定されている。
このため、筒状部材17を周回するケーブル12Bの長さは領域S内で一定に保たれている。この結果、回転アクチュエータ16が回転することにより、支持板14に対して連結板20が回転すると、領域S内のケーブル12Bが、支持板14および連結板20と固定しているケーブル固定部材13の間で、回転方向にねじられることになる。
本実施形態では、回転アクチュエータ16が1回転しても、ケーブル12Bが、筒状部材17の外周面および関節筐体6bの内壁部に接触しないようにケーブル固定部材13の固定位置と、ケーブル固定部材13間のケーブル12Bの長さとが調整されている。
【0040】
同様に、関節筐体6b内でケーブル固定部材13によって固定されたケーブル12C(D)は、回転アクチュエータ16Aの回転の中立位置では、ケーブル挿通孔14c(14d)に挿通されて、支持板14の先端側の板面で、ケーブル固定部材13によって固定された後、筒状部材18(19)の外周面に沿って、外周面から離間した状態で螺旋状に周回され、本実施形態では3回転半だけ周回されてから、連結板20のケーブル挿通孔2c(20d)に挿通されて第3アーム7の内部に導かれている。
また、ケーブル12C(12D)は、ケーブル挿通孔20c(20d)の近傍のフランジ部18b(19b)上で、ケーブル固定部材13によって位置が固定されている。
このため、筒状部材18(19)を周回するケーブル12C(12D)の長さは領域S(S)内で一定に保たれている。この結果、回転アクチュエータ16が回転することにより、支持板14に対して連結板20が回転すると、領域S(S)内のケーブル12C(12D)が、支持板14および連結板20と固定しているケーブル固定部材13の間で、回転方向にねじられることになる。
本実施形態では、回転アクチュエータ16が1回転しても、ケーブル12C(12D)が、筒状部材18(19)の外周面および筒状部材17(18)の内周面に接触しないようにケーブル固定部材13の固定位置と、ケーブル固定部材13間のケーブル12Bの長さとが調整されている。
【0041】
第3アーム7内に導かれたケーブル12Bは、支柱21においてケーブル固定部材13によって固定されてから、回転軸部6Bにおけるケーブル12Aと同様に、ケーブル12B内の配線12a、12b、12cが、それぞれ第4関節部8の回転アクチュエータ16B、および回転アクチュエータ16Bのエンコーダ16b、ブレーキ16cに電気的に接続されている。
また、第3アーム7内に導かれたケーブル12C、12Dは、支柱21においてケーブル固定部材13に固定されてから、回転軸部6Bにおけるのと同様に、第4関節部8の支持板22および連結板23の間に配回されている。
連結板23上にケーブル固定部材13によって固定されたケーブル12C、12Dは、それぞれ連結板23のケーブル挿通孔20c、20dに挿通され、連結板固定部材8b、連結板23、および関節筐体8aで囲まれた空間に導入され、不図示の第4アーム9内に導かれている。
【0042】
同様にして、ロボット本体1Aにおける第1関節部2等の関節部には、それぞれ回転アクチュエータ16Aと同様な構成の回転アクチュエータが設けられており、各回転アクチュエータには、回転アクチュエータの駆動および駆動制御に必要な動力や信号を伝達するケーブルが電気的に接続されている。そして、各ケーブルは、ロボット本体1Aの内部に配回されている。
第1関節部2等の関節部におけるケーブルの配回しは、各関節部に配回されるケーブルの本数に応じて、筒状部材の数のみが異なっている。
【0043】
このように多関節ロボット1では、例えば、支持板14、22は、それぞれ、関節部である回転軸部6B、第4関節部8において、回転軸16aが挿通された状態で駆動側筐体内部に固定され、ケーブルを駆動側筐体内部で固定支持する駆動側ケーブル支持部材を構成している。
また、例えば、連結板20、23は、それぞれ、関節部である回転軸部6B、第4関節部8において、回転軸16aが固定されるとともに駆動側ケーブル支持部材と対向するように従動側筐体内部に固定され、ケーブルを従動側筐体内部で固定支持する従動側ケーブル支持部材を構成している。
なお、本実施形態では、連結板20、23は、回転軸が固定される部材を兼ねているが、従動側ケーブル支持部材は、従動側筐体に対してケーブルのみを固定する部材であってもよい。この場合には、回転軸は、従動側ケーブル支持部材に挿通され、従動側ケーブル支持部材と別に設けられた連結板等の部材に固定される。
【0044】
次に、多関節ロボット1の動作について、関節部の作用を中心に説明する。
図5(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの関節部の動作説明図である。
【0045】
操作部1Cを通して、ハンド部11の移動位置が入力されると、制御部1Bは、入力された移動位置にハンド部11を移動させるのに必要な、第1関節部2等の関節部の回転量を演算し、ケーブル集合体12を通して、各関節部の回転アクチュエータ16に制御信号を送出して、各回転アクチュエータ16を回転させる。
例えば、回転軸部6Bの回転の中立位置から、回転軸線Oを中心として、回転軸部6Bから見て時計回りとなる方向(図1、図5(a)の矢印R方向)に第3アーム7を1回転させると、図5(a)に示すように、領域S、S、S内のケーブル12B、12C、12Dが、1周分巻き戻される。このとき、領域S、S、S内のケーブル12B、12C、12Dは、それぞれ関節筐体6bの内壁面、筒状部材17の内周面、筒状部材18の内周面に当接することなく周回径を拡径することができる。また、ケーブル12B、12C、12Dは、それぞれ筒状部材17、18、19によって、個別の空間に収容されているため、互いに絡まり合うことがない。
このため、ケーブル12B、12C、12Dは、回転軸部6Bの回転の負荷を増大させたり回転の支障となったりすることはない。
【0046】
また、同様にして、例えば、回転軸部6Bの回転の中立位置から、回転軸線Oを中心として、回転軸部6Bから見て反時計回りとなる方向(図1、図5(b)の矢印L方向)に第3アーム7を1回転させると、図5(b)に示すように、領域S、S、S内のケーブル12B、12C、12Dが、1周分巻き進められる。このとき、領域S、S、S内のケーブル12B、12C、12Dは、それぞれ関節筐体6bの内壁面、筒状部材17の内周面、筒状部材18の内周面に当接することなく周回径を縮径することができる。また、ケーブル12B、12C、12Dは、それぞれ筒状部材17、18、19によって、個別の空間に収容されているため、互いに絡まり合うことがない。
このため、ケーブル12B、12C、12Dは、回転軸部6Bの回転の負荷を増大させたり回転の支障となったりすることはない。
【0047】
また、第1関節部2等の関節部は、すべて、回転軸部6Bと同様のケーブル配回し構造を備えているため、回転軸部6Bと同様な作用を備える。
したがって、本実施形態の多関節ロボット1によれば、関節部の内部に収容するケーブルの本数が増えても、ケーブル同士が絡まり合うことなく、円滑に関節部を回転することができる。
【0048】
なお、上記の説明では、筒状部材が、従動側ケーブル支持部材に固定された場合の例で説明したが、筒状部材は、駆動側ケーブル支持部材に固定された構成としてもよい。
【0049】
また、上記の説明では、複数の筒状部材が円筒状であって、回転軸を中心として同心円状に設けられた場合の例で説明したが、ケーブルを外周面から離間した状態で配回すことができる領域を確保することができれば、筒状部材は円筒以外の形状、例えば、四角断面や楕円断面等の筒状としてもよい。
【0050】
また、上記の説明では、ケーブル案内孔が、筒状部材の他方の筒端部で仕切られる輪帯状の領域にそれぞれ対向する位置に、固定支持した複数のケーブルを回転軸の延びる方向に沿って案内する場合の例で説明した。このような構成とすれば、筒状部材と、ケーブル案内孔が設けられた駆動側ケーブル支持部材または従動側ケーブル支持部材との間の距離を短縮することができ、装置の小型化が可能となる。
ただし、筒状部材の他方の筒端部とこれに対向する駆動側ケーブル支持部材との間に、ケーブルを通す隙間を設けてもよい場合には、ケーブル案内孔の位置は、輪帯状の領域に対向する位置からずれた位置に設けてもよい。
【0051】
また、上記の説明では、1つの従動側ケーブル支持部材に固定された複数の筒状部材が独立に着脱可能に設けられた場合の例で説明したが、筒状部材の部品共通化が不要である場合には、独立に着脱可能としなくてもよい。また、容易に外せない固定方法を採用してもよい。
【0052】
また、上記の説明では、回転アクチュエータが電動モータの場合の例で説明したが、回転アクチュエータは、ガスやオイル等の流体圧力によって動作する流体アクチュエータを採用してもよい。この場合、ケーブルは流体を供給するチューブを含むものであってもよい。
【0053】
また、上記の説明では、ロボット本体1Aと制御部1Bとは別体で構成された場合の例で説明したが、制御部1Bは、ロボット本体1Aに内蔵された構成としてもよい。
【0054】
また、上記の説明では、ケーブルは、回転アクチュエータのそれぞれに対して1本設けられた場合の例で説明したが、ケーブルの形態は、適宜まとめたり、分岐させたりしてもよい。
例えば、1本当たりのケーブルの剛性が小さい場合には、基端部側の関節部に配回す場合には、複数のケーブルを結束して1本にまとめることにより、関節部における筒状部材の個数を低減することができる。
【0055】
また、上記の説明では、筒状部材とケーブルとが回転動作の間に常に接触しない場合の例で説明したが、回転アクチュエータの回転の支障とならず、かつ、ケーブルの耐久性に影響しない程度の接触であれば、回転動作の間で一部が接触する構成としてもよい。
すなわち、筒状部材とケーブルとは、少なくとも回転アクチュエータの回転の中立位置において、筒状部材の外周面から離間して周回されていればよい。
【0056】
また、上記の実施形態で説明した構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 多関節ロボット
1A ロボット本体
1B 制御部
2 第1関節部(関節部)
2a、4a、6a、6b、8a、10a 関節筐体
2c ケーブル挿通孔
3 第1アーム
4 第2関節部(関節部)
5 第2アーム
6 第3関節部(関節部)
6A 屈曲軸部
6B 回転軸部
7 第3アーム
8 第4関節部(関節部)
9 第4アーム
10 第5関節部(関節部)
11 ハンド部
11a ハンド部筐体
12A、12B、12C、12D ケーブル
12a、12b、12c 配線
13 ケーブル固定部材
14、22 支持板(駆動側ケーブル支持部材)
14b、14c、14d ケーブル挿通孔(ケーブル案内孔)
16A、16B 回転アクチュエータ
16a 回転軸
16b エンコーダ
16c ブレーキ
17、18、19 筒状部材
17a、18a、19a 円筒部
17b、18b、19b フランジ部
17c、17d、18c、18d、19c、19d ケーブル挿通孔
20、23 連結板(従動側ケーブル支持部材)
20b、20c、20d ケーブル挿通孔
、O、O、O、O、O、O 回転軸線
、S、S 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側筐体に設けられた回転アクチュエータの回転軸によって、従動側筐体を回転させる関節部が装置基端側から装置先端側に向かって複数配置され、動力または信号を伝達する複数のケーブルが、前記駆動側筐体、前記従動側筐体、および前記関節部の内部に収容された多関節ロボットであって、
前記関節部は、
前記回転軸が挿通された状態で前記駆動側筐体内部に固定され、前記ケーブルを前記駆動側筐体内部で固定支持する駆動側ケーブル支持部材と、
前記回転軸が挿通または固定されるとともに前記駆動側ケーブル支持部材と対向するように前記従動側筐体内部に固定され、前記ケーブルを前記従動側筐体内部で固定支持する従動側ケーブル支持部材と、
前記回転軸を周方向に囲む筒状に設けられ、一方の筒端部が前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか一方に固定され、他方の筒端部が前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか他方の近傍に配置された筒状部材と、
を備え、
前記関節部には、内部に貫通して収容された前記複数のケーブルと複数の前記筒状部材が同心状に設置され、
前記筒状部材のそれぞれの外周には、前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材に固定された前記ケーブルが、前記筒状部材の外周面から離間した状態で周回して配回された
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか他方は、
前記筒状部材の前記他方の筒端部で仕切られる輪帯状の領域にそれぞれ対向する位置に、固定支持した前記複数のケーブルを前記回転軸の延びる方向に沿って案内するケーブル案内孔を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項3】
前記筒状部材はそれぞれ、
前記回転軸を囲む筒状部が円筒形状を有し、前記回転軸を中心とする同心円状に配置された配置された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の多関節ロボット。
【請求項4】
前記筒状部材は、
前記駆動側ケーブル支持部材および前記従動側ケーブル支持部材のいずれか一方に対して、互いに独立して着脱可能に設けられた
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多関節ロボット。
【請求項5】
前記筒状部材は、
透明材料で形成された
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多関節ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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