説明

大電流用コンタクトプローブ

【課題】電池に当接するコンタクトピンの交換及び取り付け作業が簡単な大電流用コンタクトプローブを提供する。
【解決手段】下部には第1のフランジ18を備え、上部に第2の雄ねじ部19を有する筒状のソケット20と、第2の雄ねじ部19に螺合する取り付けナット21と、下部には第2のフランジ23を備え、第2のフランジ23と第1のフランジ18との間に配置されるバネ材24を挟んで、ソケット20に下方から装着され、ソケット20の上端から第1の雄ねじ部16が突出する筒状のアダプター25と、第1の雄ねじ部16に螺合し、接続端子15をアダプター25に固定する複数の締結ナット26〜28と、接触端子13を下部に備えて、アダプター25に下方から装着されるコンタクトピン30と、アダプター25の内側空間部31に配置され、コンタクトピン30に弾性的に接するコンタクト部材32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、二次電池等の電極(ターミナル)に当接して二次電池のテスト等を行う大電流用コンタクトプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、二次電池の電極に当接して電流を得る手段として、コンタクトプローブが使用され、このコンタクトプローブを介して電池から電流を流して、電池又はそれに接続される機器の試験が行われている。そして、複数の大型(例えば、自動車用)の電池を同時に試験する場合は、並べて配置された電池の上に水平配置されたフィクスチャ(支持部材)を設け、このフィクスチャに電極の数に応じて必要数の大電流用コンタクトプローブを取付けるのが一般的である。
【0003】
図4(A)〜(E)に以上の装置に用いる従来例に係る大電流用コンタクトプローブ60を示すが、フィクスチャ61の取り付け孔に装着するソケット62とソケット62に下から嵌入するコンタクトピン63とを有し、コンタクトピン63をソケット62に装着した状態で、コンタクトピン63の上部に形成された雄ねじ部64に第1〜第3のナット65〜67を螺合させ、圧着端子68を接続するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−101327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンタクトピン63の底部に設けられている接触端子(コンタクター)69、70は磨耗によって消耗するので、定期的にコンタクトピン63を交換する必要があった。このコンタクトピン63の交換にあっては、図4(B)に示すように、まず第3のナット67を外して圧着端子68を図4(C)に示すように外す。そして、図4(D)に示すように第2、第1のナット66、65を雄ねじ部64から外した後、図4(E)に示すようにコンタクトピン63を下から引き抜く作業が必要であり、コンタクトピン63の交換はかなり手間の要る作業であった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、コンタクトピンの交換及び取り付け作業が簡単な大電流用コンタクトプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る大電流用コンタクトプローブは、試験される電池の上方に配置されるフィクスチャの取り付け孔に固定されて使用され、前記電池の電極端子に接する接触端子を下部に備え、中央に丸孔を有する接続端子が装着される第1の雄ねじ部を上部に有する大電流用コンタクトプローブにおいて、
前記取り付け孔に装着され下部には第1のフランジを備え、上部に前記取り付け孔から突出する第2の雄ねじ部を有する筒状のソケットと、
前記第2の雄ねじ部に螺合する取り付けナットと、
下部には第2のフランジを備え、該第2のフランジと前記第1のフランジとの間に配置されるバネ材を挟んで、前記ソケットに下方から装着され、前記ソケットの上端から前記第1の雄ねじ部が突出する筒状のアダプターと、
前記第1の雄ねじ部に螺合し、前記接続端子を前記アダプターに固定する複数の締結ナットと、
前記接触端子を下部に備えて、前記アダプターに下方から装着されるコンタクトピンと、前記アダプターの内側空間部に配置され、下方から挿入された前記コンタクトピンに弾性的に接するコンタクト部材とを有する。
【0008】
本発明に係る大電流用コンタクトプローブにおいて、最下段の前記締結ナットは前記アダプターの位置決めに使用し、最上段の前記締結ナットは前記接続端子の締結に使用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る大電流用コンタクトプローブにおいて、ソケットにアダプターが装着され、このアダプターに、中央に丸孔を有する接続端子が接続され、このアダプターに下方からコンタクトピンが取り外し可能に装着されているので、コンタクトピンを交換する場合には、接続端子を外す必要がなくなる。これによって、簡便にコンタクトピン、即ち接触端子(コンタクター)の交換ができる。
また、アダプター内に装着されたコンタクトピンは、アダプター内に配置されたコンタクト部材に弾性的に接触するので、通電を確保できると共に、コンタクトピンの下方落下を防止している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る大電流用コンタクトプローブの正断面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同大電流用コンタクトプローブを組立てた状態の断面図、同大電流用コンタクトプローブからコンタクトピンを外した状態の断面図である。
【図3】(A)〜(C)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係る大電流用コンタクトプローブの平面図、正断面図、底面図である。
【図4】(A)〜(E)はそれぞれ従来例に係る大電流用コンタクトプローブの構造及び分解手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る大電流用コンタクトプローブ10は、銅又は銅合金、場合によっては通電性が確保されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなって、試験される電池の上方に配置されるフィクスチャ11の取り付け孔12に固定されて使用され、電池の電極端子に接する環状の接触端子(コンタクター)13を下部に備え、中央に丸孔14を有する接続端子(通称、圧着端子)15が装着される第1の雄ねじ部16を上部に有する。
【0012】
大電流用コンタクトプローブ10は、取り付け孔12に装着され、下部にはストッパーとなる第1のフランジ18を備え、上部に取り付け孔12から突出する第2の雄ねじ部19を有する筒状のソケット20と、第2の雄ねじ部19に螺合する取り付けナット21とを有する。これによって、図1、図2に示すように、フィクスチャ11の取り付け孔12にソケット20を取付ける。
【0013】
そして、大電流用コンタクトプローブ10は、下部には第2のフランジ23を備え、第2のフランジ23と第1のフランジ18との間に配置されるバネ材の一例であるコイルバネ24を挟んで、ソケット20に下方から装着され、ソケット20の上端から第1の雄ねじ部16が突出する筒状のアダプター25と、第1の雄ねじ部16に螺合し、接続端子15をアダプター25の上部に固定する3枚(複数の一例)の締結ナット26〜28とを有している。これによって、アダプター25の上部に接続端子15を接続でき、しかもアダプター25が下方から荷重を受けた場合、コイルバネ24が縮んで、アダプター25がソケット20に対して上方に移動するようになっている。
【0014】
このアダプター25内には、環状の接触端子13を下部に備えて、アダプター25に下方から装着される筒状のコンタクトピン30を有している。アダプター25の内部に拡径して内側空間部31が形成され、この内側空間部31にはコンタクト部材32が配置されている。このコンタクト部材32は、ICORE社製のPSCO12−015−0008(型式名)が使用されている。コンタクト部材32は酸化し難く電気伝導度が確保された金属からなって、半径方向内側に多数の突起が弾性的に突出し、嵌入するコンタクトピン30の円筒部33に当接し、電流を伝えると共に円筒部33を半径方向外側から押圧し、コンタクトピン30が落下しないようにしている。
【0015】
このような構造となっているので、コンタクトピン30がアダプター25に上下動可能に装着され、環状の接触端子13からの電流がコンタクトピン30、コンタクト部材32を介してアダプター25に、そしてアダプター25から接続端子15に伝わることになる。勿論、電池の極性によってはその逆方向に伝わる。
【0016】
電池の端子に当接する接触端子(即ち、コンタクター)13(又は以下に説明する接触端子13a)が磨耗した場合には、電池がこの大電流用コンタクトプローブ10の下位置にない状態で、コンタクトピン30を下方に引き抜いて、新品のコンタクトピン30を下方からアダプター25に装着することによって行える。従って、従来と異なり、接続端子15を外す必要がないので、コンタクトピン30の交換が極めて容易となる。なお、この実施の形態において、図1に示すように接触端子13の表面(底面)は凹凸がある。また、締結ナットは複数あって、最下段の締結ナット26はアダプター25の位置決めに使用し、最上段の締結ナット28は接続端子15の締結に使用している。
【0017】
コンタクトピン30内は中空となって、先部(下端)に接触端子(コンタクター)13aを備える電圧検出ピン35が設けられている。この電圧検出ピン35はコンタクタピン30内に絶縁部材38、39を介して装着されている。電極検出ピン35の上端部は円柱状となって、上部から筒状のプローブを装着し、電池の電圧を計測できるようになっている。接触端子13aの底面には凹凸を有する。電極検出ピン35にはコイルスプリング36が設けられ、コンタクトピン30内を上下動できる構造となっている。なお、この接触端子13aは電池の電圧を検出するためのもので、電流は流れない。
【0018】
図3には、本発明の第2の実施の形態に係る大電流用コンタクトプローブ42を示すが、第1の実施の形態に係る大電流用コンタクトプローブ10と相違する点は、コンタクトピンの形状である。この大電流用コンタクトプローブ42のコンタクトピン43は、単軸ピンと称されるもので、下端にコンタクター(接触端子)45を有し、中央に突出するピンを備えていない。その他の構成は同一であるので、同一の番号を付して詳しい説明を省略する。
【0019】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成、形状を変更することもできる。
【符号の説明】
【0020】
10:大電流用コンタクトプローブ、11:フィクスチャ、12:取り付け孔、13、13a:接触端子、14:丸孔、15:接続端子、16:第1の雄ねじ部、18:第1のフランジ、19:第2の雄ねじ部、20:ソケット、21:取り付けナット、23:第2のフランジ、24:コイルバネ、25:アダプター、26〜28:締結ナット、30:コンタクトピン、31:内部空間部、32:コンタクト部材、33:円筒部、35:電圧検出ピン、36:コイルスプリング、37:ストッパーリング、38、39:絶縁部材、42:大電流用コンタクトプローブ、43:コンタクトピン、45:コンタクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験される電池の上方に配置されるフィクスチャの取り付け孔に固定されて使用され、前記電池の電極端子に接する接触端子を下部に備え、中央に丸孔を有する接続端子が装着される第1の雄ねじ部を上部に有する大電流用コンタクトプローブにおいて、
前記取り付け孔に装着され下部には第1のフランジを備え、上部に前記取り付け孔から突出する第2の雄ねじ部を有する筒状のソケットと、
前記第2の雄ねじ部に螺合する取り付けナットと、
下部には第2のフランジを備え、該第2のフランジと前記第1のフランジとの間に配置されるバネ材を挟んで、前記ソケットに下方から装着され、前記ソケットの上端から前記第1の雄ねじ部が突出する筒状のアダプターと、
前記第1の雄ねじ部に螺合し、前記接続端子を前記アダプターに固定する複数の締結ナットと、
前記接触端子を下部に備えて、前記アダプターに下方から装着されるコンタクトピンと、前記アダプターの内側空間部に配置され、下方から挿入された前記コンタクトピンに弾性的に接するコンタクト部材とを有することを特徴とする大電流用コンタクトプローブ。
【請求項2】
請求項1記載の大電流用コンタクトプローブにおいて、最下段の前記締結ナットは前記アダプターの位置決めに使用し、最上段の前記締結ナットは前記接続端子の締結に使用することを特徴とする大電流用コンタクトプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255760(P2012−255760A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130366(P2011−130366)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000233697)株式会社日鉄エレックス (51)
【Fターム(参考)】