説明

太陽光発電システム

【課題】太陽電池モジュールを最大電力点で動作させるようにシステム全体の発電電力を高めることが可能な太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール10と、太陽電池モジュール10から入力される電圧V1を所定の電圧V2に変換して出力する電圧変換回路20と、電圧変換回路20の出力電力P2(=V2×I2)を監視してこれが最大となるように電圧変換回路20の駆動制御(電圧V1の可変制御)を行う最大電力点追従回路30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、太陽光発電システムの一従来例を示すブロック図である。本従来例の太陽光発電システム100において、最大電力点追従回路130(以下では、MPPT[maximum power point tracking]回路130と呼ぶ)は、太陽電池モジュール110の出力電力P1(電圧V1と電流I1の積)を監視し、太陽電池モジュール110を最大電力点で動作させるように、電圧変換回路120の駆動制御(電圧V1の電圧値調整)を行う。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−39634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に入力電圧Viから出力電圧Voを生成する電圧変換回路の効率ηは、電圧変換回路の入出力電圧差(出力電圧Voの目標値に対する入力電圧Viの乖離度)が大きいほど低下する。
【0006】
図5は、電圧変換回路の出力電流Ioと効率ηとの相関を示す図である。本図の横軸は出力電流Ioを示しており、縦軸は効率ηを示している。また、本図中には、出力電圧Vo=3.3Vに対して入力電圧Vi=6V、12V、18V、及び、24Vであるときの(Io−η)曲線が描写されている。本図から分かる通り、電圧変換回路の効率ηは、出力電流Ioの全範囲において、電圧変換回路の入出力電圧差ΔV(=|Vi−Vo|)が大きいほど低下する。
【0007】
しかしながら、従来例の太陽光発電システム100では、入出力電圧差ΔVに応じた電圧変換回路120の効率変化が何ら考慮されておらず、太陽電池モジュール110の最大電力点のみに着目したMPPT制御が行われていた。そのため、従来例の太陽光発電システム100では、太陽電池モジュール110を最大電力点で動作させていても、システム全体の発電電力にさらなる向上の余地を残している場合があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、システム全体の発電電力を高めることが可能な太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る太陽光発電システムは、太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールから入力される第1電圧を所定の第2電圧に変換して出力する電圧変換回路と、前記電圧変換回路の出力電力を監視してこれが最大となるように前記電圧変換回路の駆動制御を行う最大電力点追従回路と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0010】
なお、上記第1の構成から成る太陽光発電システムは、前記太陽電池モジュールと前記電圧変換回路を複数組有し、前記最大電力点追従回路は、各組の電圧変換回路で得られた出力電力の総和を監視してこれが最大となるように各組の電圧変換回路の駆動制御を行う構成(第2の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1または第2の構成から成る太陽光発電システムは、前記電圧変換回路の出力電力が供給される後段回路をさらに有する構成(第3の構成)にするとよい。
【0012】
なお、上記第3の構成から成る太陽光発電システムにおいて、前記後段回路は、負荷、二次電池、及び系統連系インバータのいずれかである構成(第4の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池モジュールは、太陽電池パネルと、接続箱と、集電盤と、を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る太陽光発電システムにおいて、前記電圧変換回路は、スイッチングレギュレータである構成(第6の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第6の構成から成る太陽光発電システムにおいて、前記最大電力点追従回路は、前記電圧変換回路の駆動制御として、スイッチング周波数やスイッチングデューティの可変制御を行う構成(第7の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成る太陽光発電システムにおいて、前記最大電力点追従回路は、前記電圧変換回路の出力電力とスイッチング周波数またはスイッチングデューティとを関連付けたテーブルを参照して前記電圧変換回路の駆動制御を行う構成(第8の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、システム全体を最大電力点で動作させて発電電力を高めることが可能な太陽光発電システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】太陽光発電システムの第1実施形態を示すブロック図
【図2A】V1と(P1、P2、η)との相関を示す図
【図2B】図2Aの部分拡大図
【図3】太陽光発電システムの第2実施形態を示すブロック図
【図4】太陽光発電システムの一従来例を示すブロック図
【図5】電圧変換回路の出力電流Ioと効率ηとの相関を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1は、太陽光発電システムの第1実施形態を示すブロック図である。第1実施形態の太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール10と、電圧変換回路20と、最大電力点追従回路30(以下ではMPPT回路30と呼ぶ)と、後段回路40と、を有する。
【0020】
太陽電池モジュール10は、太陽光などの光を受けて出力電力P1(電圧V1、電流I1)を生成する。太陽電池モジュール10は、光起電力効果を利用して光エネルギを電気エネルギ(出力電力P1)に変換する太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネル(またはそれらを複数枚直列接続させた太陽電池ストリングス)から入力される直流電力を並列接続させて後段に出力する接続箱と、複数の接続箱から入力される直流電力を並列接続させて後段に出力する集電盤と、を含む。なお、太陽電池モジュール10の構成によっては、接続箱や集電盤が省略されることもある。
【0021】
電圧変換回路20は、太陽電池モジュール10から入力される電圧V1を所定の電圧V2に変換して後段回路40に出力する。電圧変換回路20としては、スイッチングレギュレータなどを用いることができる。
【0022】
MPPT回路30は、電圧変換回路20の出力電力P2(電圧V2と電流I2との積)を監視し、この出力電力P2が最大となるように電圧変換回路20の駆動制御(電圧V1の電圧値調整)を行う。例えば、電圧変換回路20がスイッチングレギュレータである場合には、電圧変換回路20の駆動制御として、スイッチング周波数やスイッチングデューティの可変制御を行うことが考えられる。その場合、MPPT回路30には、電圧変換回路20の出力電力P2とスイッチング周波数またはスイッチングデューティとを関連付けたテーブルを予め格納しておき、このテーブルを参照しながら電圧変換回路20の駆動制御を行う構成にするとよい。
【0023】
後段回路40は、電圧変換回路20の出力電力P2が供給される回路ブロック(負荷、二次電池、及び、系統連系インバータ(DC/DC、DC/AC)など)である。
【0024】
ここで、太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール10の出力電力P1(=V1×I1)ではなく、電圧変換回路20の出力電力P2(=V2×I2)を監視し、その監視結果に基づいてシステム全体のMPPT制御を行う点に特徴を有している。以下では、この特徴的な構成の作用効果について、具体例を挙げながら詳細な説明を行う。
【0025】
図2Aは、太陽電池モジュール10の出力電圧V1と、太陽電池モジュール10の出力電力P1、電圧変換回路20の出力電力P2、及び、電圧変換回路20の効率η(=P2/P1×100)との相関を示す図である。また、図2Bは、図2Aの部分拡大図(楕円X部分の拡大図)である。図2A及び図2Bの横軸は電圧V1を示しており、第1の縦軸(左側)は電力P1及びP2[W]を示しており、第2の縦軸(右側)は効率η[%]を示している。なお、効率η[%]は、電圧変換回路20で生成される出力電圧V2の目標値が12Vであるときの効率を示している。
【0026】
従来のMPPT制御では、太陽電池モジュール10の出力電力P1を監視してその最大電力点(P1max=166.9W@V1=91.24V、I1=1.829A)を追従するように、電圧変換回路20の駆動制御が行われていた。ここで、電圧変換回路20に供給される電圧V1が91.24Vであるとき、電圧変換回路20の効率ηは66.8%となる。従って、電圧変換回路20の出力電力P2(延いてはシステム全体の発電電力)は、111.52W(=P1×η=166.9W×66.8%)となる。
【0027】
一方、本発明のMPPT制御では、太陽電池モジュール10の出力電力P1ではなく、電圧変換回路20の出力電力P2を監視してその最大電力点(P2max=165.5W@V1=87.59V、I1=1.889A)を追従するように、電圧変換回路20の駆動制御が行われる。ここで、電圧変換回路20に供給される電圧V1が87.59Vであるとき、電圧変換回路20の効率ηは68.4%となる。従って、電圧変換回路20の出力電力P2は、113.18W(=P1×η=165.5W×68.4%)となる。
【0028】
このように、第1実施形態の太陽光発電システム1であれば、電圧変換回路120の効率ηを考慮して、システム全体を最大電力点で動作させることができるので、システム全体の発電電力を向上することが可能となる。
【0029】
<第2実施形態>
図3は、太陽光発電システムの第2実施形態を示すブロック図である。第2実施形態は先述の第1実施形態とほぼ同様の構成から成り、太陽電池モジュール10と電圧変換回路20を複数組有する点に差違がある。なお、図3では、図示を簡単とするために、第1系列の太陽電池モジュール10A及び電圧変換回路20Aと、第2系列の太陽電池モジュール10B及び電圧変換回路20Bの2組のみが描写されているが、より多くの系統を有する構成としてもよい。
【0030】
第2実施形態の太陽光発電システム1では、電圧変換回路20A及び20Bの各出力が足し合わされて最終的な出力電力P2が生成され、この出力電力P2が後段回路40に供給される。そして、MPPT回路30は、上記の出力電力P2(各組の電圧変換回路20A及び20Bで得られた出力電力の総和)を監視して、これが最大となるように各組の電圧変換回路20A及び20Bの駆動制御(電圧V1A及びV1Bの電圧値調整)を行う。
【0031】
このように、第2実施形態の太陽光発電システム1であれば、太陽電池モジュール10と電圧変換回路20を複数組有する場合についても、本発明のMPPT制御を適用して、システム全体の発電電力を向上することが可能となる。
【0032】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、太陽光発電システム全般に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 太陽光発電システム
10、10A、10B 太陽電池モジュール
20、20A、20B 電圧変換回路
30 最大電力点追従回路(MPPT回路)
40 後段回路(負荷、二次電池、系統連系インバータなど)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールから入力される第1電圧を所定の第2電圧に変換して出力する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路の出力電力を監視してこれが最大となるように前記電圧変換回路の駆動制御を行う最大電力点追従回路と、
を有することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
前記太陽電池モジュールと前記電圧変換回路を複数組有し、
前記最大電力点追従回路は、各組の電圧変換回路で得られた出力電力の総和を監視してこれが最大となるように各組の電圧変換回路の駆動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記電圧変換回路の出力電力が供給される後段回路をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記後段回路は、負荷、二次電池、及び、系統連系インバータのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記太陽電池モジュールは、太陽電池パネルと、接続箱と、集電盤と、を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記電圧変換回路は、スイッチングレギュレータであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記最大電力点追従回路は、前記電圧変換回路の駆動制御として、スイッチング周波数やスイッチングデューティの可変制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記最大電力点追従回路は、前記電圧変換回路の出力電力とスイッチング周波数またはスイッチングデューティとを関連付けたテーブルを参照して前記電圧変換回路の駆動制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の太陽光発電システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252464(P2012−252464A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123619(P2011−123619)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】