説明

太陽光発電装置の制御装置

【課題】簡易な計算で、最大電力となるように太陽光発電装置を制御することができる太陽光発電装置の制御装置を得る。
【解決手段】最大電力一次探索装置53は、電圧指令部51及び制御手段4を介して電力変換装置6を制御することにより電力変換装置6の動作可能範囲の下限から上限まで段階的に太陽光発電装置1の動作電圧を変化させ、太陽光発電装置1の電力が最大となる動作電圧を一次探索動作電圧として求め、最大電力二次探索装置55は動作電圧を一次探索動作電圧を基準にして段階的に変化させたときの電力の増減に応じて変化させる電圧の方向及び大きさを決定して探索を行い電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求め、太陽光発電装置が二次探索動作電圧で動作するように制御する。極大点が複数ある場合にも電力極大点を複数求めることなく簡易な計算で、MPPT制御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽光発電装置の制御装置においては、一般的に最大電力点追従(Maximum power point tracking、MPPT)制御が行われる。複数の太陽電池モジュール内で、影などによる日射強度に差異がある場合、複数の電力ピーク点となる極大点が存在する。複数の電力ピーク点の中から最大電力点を選んで当該最大電力点となる動作電圧で制御し、最大発電が行われる。太陽光発電装置の変動範囲の下限電圧と上限電圧の間で、動作電圧を変化させて、極大点となる電力値をメモリ等に記憶する。極大点の有無、有る場合には極大点が1つの場合、2つの以上の場合等の条件に応じて個別に処理を行って、最大電力点となる動作電圧を求めるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−230952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の太陽光発電装置の制御装置は以上のように構成され、電力変換装置が動作可能な下限電圧と上限電圧との間で、段階的に動作電圧を変化させて電力極大点を求めるものである。従って、最大電力となる動作電圧を求めるまでに、極大点が複数ある場合には、複数の極大点の中から最大電力極大点を求める演算を要し、演算が複雑になるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、極大点が複数ある場合にも電力極大点を複数求めることなく簡易な計算で、最大電力となるように太陽光発電装置を制御することができる太陽光発電装置の制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る太陽光発電装置の制御装置においては、
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と平均値算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記平均値算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの、変化させる直前と変化させた直後の上記電力の平均値である平均電力及び上記動作電圧の平均値である平均電圧を求めるものであり、
上記電力比較部は、上記平均電力と上記抽出電力とを比較して、上記平均電力が大きいとき上記抽出電力を上記平均電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記平均電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものである。
【0007】
この発明に係る太陽光発電装置の制御装置においては、
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と電力算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記電力算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの電力を発電電力として求めるものであり、
上記電力比較部は、上記発電電力と上記抽出電力とを比較して、上記発電電力が大きいとき上記抽出電力を上記発電電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記発電電力に対応する上記動作電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る太陽光発電装置の制御装置においては、
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と平均値算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記平均値算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの、変化させる直前と変化させた直後の上記電力の平均値である平均電力及び上記動作電圧の平均値である平均電圧を求めるものであり、
上記電力比較部は、上記平均電力と上記抽出電力とを比較して、上記平均電力が大きいとき上記抽出電力を上記平均電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記平均電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものであるので、
簡易な計算で、最大電力となるように太陽光発電装置を制御することができる太陽光発電装置の制御装置を得ることができる。
【0009】
この発明に係る太陽光発電装置の制御装置においては、
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と電力算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記電力算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの電力を発電電力として求めるものであり、
上記電力比較部は、上記発電電力と上記抽出電力とを比較して、上記発電電力が大きいとき上記抽出電力を上記発電電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記発電電力に対応する上記動作電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものであるので、
簡易な計算で、最大電力となるように太陽光発電装置を制御することができる太陽光発電装置の制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1である太陽光発電装置の制御装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1の動作電圧探索装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の最大電力一次探索装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1の平均値算出部の動作を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態2である動作電圧探索装置の構成を示す構成図である。
【図6】図5の最大電力一次探索装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図5の平均値算出部の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1〜図4は、この発明の実施の形態1を示すものであり、図1は太陽光発電装置の制御装置の構成を示す構成図、図2は、図1の動作電圧探索装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。図3は、図1の最大電力一次探索装置の動作を説明するためのフローチャート、図4は図1の平均値算出部の動作を説明するための説明図である。図1において、太陽光から電力を発生させる太陽光発電装置1に、電力変換装置6を介して負荷7が接続されている。太陽光発電装置1の電圧を検出電圧Vとして検出する電圧検出装置2と、電流を検出電流Jとして検出する電流検出装置3が設けられている。制御手段4は、太陽光発電装置1の電力が最大電力Pmaxとなる動作電流で動作するように電力変換装置6を制御する。動作電圧探索装置5は、電圧制御手段としての電圧制御指令部51と最大電力一次探索手段としての最大電力一次探索装置53と最大電力二次次探索手段としての最大電力二次探索装置55とを有する。最大電力一次探索装置53は、抽出値記憶部としてのデータ記憶部53a、電力算出部53b、平均値算出部53c、電力比較部53dを有する。動作電圧探索装置5は、所定の第1の電圧範囲内としての電力変換装置6が動作可能な電圧範囲内すなわち動作可能な最小値と最大値との間において、最大電力Pmaxとなる太陽光発電装置1の動作電圧(厳密には近傍値)である二次探索動作電圧VRsを探索する。なお、電力変換装置6として、負荷の種類に応じてDC−DCコンバータやDC−ACインバータなどが用いられる。
【0012】
次に動作を説明する。太陽光発電装置1が例えば起動する時など、まず電圧制御指令部51が、太陽光発電装置1の動作電圧VRが予め決められた値になるように、制御電圧VRcの初期値を設定し、制御手段4を介して電力変換装置6を制御する。図2は、動作電圧探索装置5の全体動作を説明するためのフローチャートであるが、起動後、次のようにして一次探索動作電圧VRp及び二次探索動作電圧VRs(詳細後述)が探索され、当該二次探索動作電圧VRsが制御電圧VRcとして設定される。図2において、タイマ値tをゼロに設定する(ステップS1)。タイマの値tに所定長さの時間増分Δtを加算する(ステップS2)。タイマ値tと時間間隔設定tmax(例えば時間間隔設定tmaxを15分と設定しておく)の比較を行う(ステップS3)。タイマ値t<=時間間隔設定tmaxの時は、ステップS2へ戻り、タイマの値tに時間増分Δtを加算する動作を繰り返す。ステップS3において、タイマ値t>時間間隔設定tmaxの時は、ステップS4において動作電圧探索装置5の最大電力一次探索装置53が、一次探索最大電力Pmaxpとなる一次探索動作電圧VRpを求め、ステップS5において最大電力二次探索装置55が一次探索動作電圧VRpを基準にして、一般に行われている最大電力点を求める山登り法などを用いて二次探索最大電力Pmaxsとなる二次探索動作電圧VRsを探索する。
【0013】
そして、電圧制御指令部51が制御手段4に電圧指令を発して電力変換装置6の制御電圧VRcを二次探索動作電圧VRsに設定し、太陽光発電装置1の動作電圧VRが二次探索動作電圧VRsになるように電力変換装置6を制御する。以上のようにして、太陽光発電装置1のMPPT制御が行われる(ステップS6)。太陽光発電装置1の停止指令の有無を判断し(ステップS7)、停止指令がある場合には、本フローチャートの処理を終了する。例えば時間間隔設定tmaxを15分とおくと、15分間隔で判定処理を実施し二次探索最大電力Pmaxsとなる二次探索動作電圧VRsを求める一連の処理が行われることになる。
【0014】
次に、本実施の形態における最大の特徴である上記ステップS4における動作電圧探索装置5の詳細動作を図3のフローチャートにより説明する。図3において、データ記憶部53aは、現在の電力Pを抽出電力P0の初期値として設定(記憶)し、この時の動作電圧VRを抽出電圧V0の初期値として設定する(ステップS11)。電圧制御指令部51は、制御手段4を介して例えば電力変換装置6がDC/DCコンバータならば導通比を変更するなどして、太陽光発電装置1の動作電圧VRを電力変換装置6が動作可能な下限電圧Vminに設定する(ステップS12)。電力算出部53bは、電圧検出装置2から検出電圧V1を求め(ステップS13)、電流検出装置3から検出電流J1を求め(ステップS14)、検出電圧V1と検出電流J1から電力P1=V1×J1を求める(ステップS15)。
【0015】
ここで、電力P1(=V1×J1)及び電力P2(=V2×J2)は図4に示すような太陽光発電装置1の検出電圧V対検出電流Jの特性曲線Jcにより決まる値であり、電力P1は動作電圧VRを段階的に変化させた直後の動作電圧VRにおける電力であり、電力P2は動作電圧VRを段階的に変化させる直前の動作電圧VRにおける電力である。動作電圧VRを段階的に変化させる直前の動作電圧VR及びこのときの電力Pは、動作電圧VR2及び電力P2として、データ記憶部53aに記憶されている。平均値算出部53cは、電力P1と電力P2との平均電力Pav(=(P1+P2)/2)を求め(ステップS16)、平均値算出部53cは平均電力Pavと抽出電力P0とを比較して大小を判定する(ステップS17)。なお、電力P2及び動作電圧VR2は、データ記憶部53aに初期値として記憶された値、例えば0を用いる。
【0016】
ステップS17において平均電力Pavが抽出電力P0より大きい(Yes)の場合には、抽出電力P0を平均電力Pavに置き換え、抽出電圧V0を動作電圧VRと電圧VR2との平均電圧値Vav(=(VR+VR2)/2)に置き換える。すなわち、P0=Pav,V0=Vavと設定する(ステップS18)。ステップS17において、平均電力Pavが抽出電力P0以下(No)の場合には、ステップS19へ行く。ステップS19においては、動作電圧VR2に電圧VRの値を設定し、電力P2に電力P1の値を設定する。次に、電圧制御指令部51が、制御手段4を介して電力変換装置6を制御して段階的に太陽光発電装置1の動作電圧VRを変化させ、例えば電圧変動幅ΔVを10Vにして、動作電圧VRを電圧変動幅ΔVだけ増加させる(ステップS20)。電力比較部53dが、動作電圧VRが、電力変換装置6が動作可能となる上限電圧Vmaxを越えるかどうかを判定する(ステップS21)。動作電圧VRが上限電圧Vmax以下ならば、電圧検出装置2から検出電圧V1を求める処理(ステップS13)へ戻る。動作電圧VRが上限電圧Vmaxを越えた場合は、抽出電圧V0を一次探索動作電圧VRpとして採用し(ステップS22)、本フローチャートの処理を終了する。これにより、抽出電力の最大値が太陽光発電装置1の最大電力として求められるとともに、この抽出電力の最大値に対応する抽出電圧V0が求められ、この抽出電圧V0が一次探索動作電圧VRpとして採用されることになる。なお、一次探索動作電圧VRpは、次のステップS5(図2)における最大電力を求める山登り法などに適用する初期電圧となる。最大電力一次探索装置53は、以上のように動作する。
【0017】
次に、最大電力二次探索装置55は、最大電力一次探索装置53によって求められた一次探索動作電圧VRpに基づいて太陽光発電装置1の電力Pが二次探索最大電力Pmaxsとなる二次探索動作電圧VRsを求める。具体的には、例えば次のように、山登り法にて二次探索動作電圧VRsを求める。最大電力二次探索装置55は、電圧制御指令部51により制御手段4を介して電力変換装置6を制御して太陽光発電装置1の動作電圧VRを一次探索動作電圧VRpから所定幅の電圧ΔVs(例えば1V)(ΔVs<ΔVに設定する)上昇させて、太陽光発電装置1の電力Pmaxが一次探索最大電力Pmaxpよりも大きければさらに電圧ΔVsだけ増加させる。動作電圧VR=VRs+2ΔVsとしたときの電力が、動作電圧VR=VRs+ΔVsのときの電力よりも減少していれば、変化させる方向を逆にし、かつ変化させる電圧の大きさを調整して動作電圧を電圧ΔVsよりも小さい電圧ΔVs2だけ減少させる。そして、電圧を変化させたときの電力の増減の方向を判定しながら逐次電圧の変化幅を調整しながらすなわち小さくしながら探索を繰り返し、電力の増減の幅が所定値以下になったら探索を終了する。このとき、太陽光発電装置1の電力がほぼ最大となる。そして、得られた動作電圧VRを二次探索動作電圧VRsとして選定し、制御電圧VRcを二次探索動作電圧VRsに設定し、太陽光発電装置1の動作電圧VRが二次探索動作電圧VRsとなるように電圧制御指令部51及び制御手段4を介して電力変換装置6を制御する。
以上が、図2におけるステップS5,S6における動作である。
なお、この実施の形態における電力変換装置6の動作可能範囲の下限と上限との間がこの発明における所定の第1の範囲である。また、二次探索動作電圧VRsが探索される電圧範囲がこの発明における第2の電圧範囲であり、この第2の電圧範囲は上記第1の電圧範囲よりも狭い電圧範囲となる。
【0018】
以上のような動作によって、電力極大点を複数求めることなく、二次探索最大電力Pmaxsとなる二次探索動作電圧VRsを求め、太陽光発電装置1を二次探索電圧VRsにて動作させるように制御することができるので、極大点が複数ある場合にも電力極大点を複数求めることなく一次探索動作電圧VRpを探索するための演算が簡易となり、簡易な計算で、最大電力となるように太陽光発電装置を制御することができる。
【0019】
実施の形態2.
図5〜図7は、実施の形態2を示すものであり、図5は動作電圧探索装置の構成を示す構成図、図6は、動作電圧探索装置の動作を説明するためのフローチャート、図7は図5の電力算出部の動作を説明するための説明図である。図5において、動作電圧探索装置25は、最大電力一次探索手段としての最大電力一次探索装置253を有する。最大電力一次探索装置253は、抽出値記憶部としてのデータ記憶部253a、電力算出部253b、電力比較部253dを有する。この実施の形態は、実施の形態1において、最大電力探索装置の動作が、図3のフローチャートから図6のフローチャートのように変更されたものである。その他の構成については、図1に示した実施の形態1と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
図2のフローチャートにおけるステップS4に相当する処理を、動作電圧探索装置25が行う。すなわち、二次探索開始のための一次探索動作電圧VRpを求める処理を行う。図6のフローチャートにおいて、現在の太陽光発電装置1の電力Pを抽出電力P0としてデータ記憶部253aに設定し、この時の動作電圧VRを抽出電圧V0として同じくデータ記憶部253aに設定する(ステップS41)。次に、電圧制御指令部51が制御手段4を介して例えば電力変換装置6がDC/DCコンバータならば導通比を変更するなどして、動作電圧VRを電力変換装置6が動作可能な下限電圧Vminに設定する(ステップS42)。電圧検出装置2から検出電圧V1を求める(ステップS43)。電流検出装置3から検出電流J1を求める(ステップS44)。
【0021】
電圧検出装置2から得た検出電圧V1と電力検出装置から得た検出電流J1から動作電圧を段階的に変化させたときの発電電力としての電力P1=V1×J1を求める(ステップS45)。この電力P1は、図7に示す特性曲線Jc上に示される値である。求めた電力P1と抽出電力P0を比較して大小を判定する(ステップS46)。ステップS46において、電力P1が抽出電力P0以下の場合は、ステップS48へ行く。電力P1が抽出電力P0より大きい場合には、ステップS47に行き、抽出電力P0を電力P1の値に置き換え、抽出電圧V0を動作電圧VRの値に設定する。ステップS48においては、電圧制御指令部51により制御手段4を介して電力変換装置6を制御して、例えば電圧変動幅ΔVを10Vとして、動作電圧VRを電圧変動幅ΔVだけ増加させる。
【0022】
次に、動作電圧VRが、電力変換装置6が動作可能となる上限電圧Vmaxを越えるかどうかを判定する(ステップS49)。動作電圧VRが上限電圧Vmaxを越えない場合は、ステップS43へ戻り、電圧検出装置2から検出電圧V1を求める。上限電圧Vmaxを越える場合には、抽出電圧V0を、一次探索動作電圧VRpとして採用し(ステップS50)、本フローチャートの処理を終了する。上記実施の形態1と同様にしかる後、最大電力二次探索装置55(図1(b))が上記一次探索動作電圧VRpに基づいて、最大発電電力となる二次探索動作電圧VRsを探索し(図2のステップS5)、電圧制御指令部51を介して電力変換装置6を制御する制御電圧VRcを二次探索動作電圧VRsに設定し、電力変換装置6を制御する(図2のステップS6)。
【0023】
以上のように、この実施の形態によれば実施の形態1に比し平均電力及び平均動作電圧を求める演算を要しないので、一次探索動作電圧VRpを探索するための演算がより簡易になる。
【0024】
なお、上記では一次探索動作電圧VRpの探索に際し、太陽光発電装置1の動作電圧VRを電力変換装置6の動作可能範囲の下限から増加方向へ変化させる例を示したが、動作可能範囲の上限から減少方向へ変化させ探索してもよい。また、上記各実施の形態においては電力変換装置6の動作可能範囲の下限と上限との間を動作電圧VRを変化させるものを示したが、これに限られるものではなく、例えば一次探索最大電力の存在する動作電圧が存在する電圧範囲を実績データ等に基づいて予測可能な場合は、当該予測される電圧範囲内を変化させて探索すればよいし、この場合は当該予測される電圧範囲がこの発明における第1の範囲となる。
また、上記では最大電力二次探索装置55が、太陽光発電装置1の動作電圧を一次探索動作電圧VRpを基準にして段階的に変化させたときの太陽光発電装置1の電力の増減に応じて段階的に変化させる電圧の方向を決めるとともに変化させる電圧の大きさを調整して、すなわち変化させる電圧の方向及び大きさを決定して、電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧VRsとして求めるものを示したが、この実施の形態に述べたものに限られるものではなく、例えば特開昭56−141733号公報に記載された電力の電圧微分値を利用するものや、特開昭62−85312号公報に記載された山登り法など、公知のものを適宜用いることができる。
さらに、上記では電力変換装置6がDC/DCコンバータである場合に導通比を変更することにより太陽光発電装置1の動作電圧を制御するものを示したが、これに限らず、例えば、太陽光発電装置1に直接接続される抵抗負荷の大きさを調整するものであっても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 太陽光発電装置、2 電圧検出装置、3 電流検出装置、4 制御手段、
5 動作電圧探索装置、6 電力変換装置、7 負荷、25 動作電圧探索装置、
51 電圧制御指令部、53 最大電力一次探索装置、53a データ記憶部、
53b 電力算出部、53c 平均値算出部、53d 電力比較部、
55 最大電力二次探索装置、253 最大電力一次探索装置、
253a データ記憶部、253b 電力算出部、253d 電力比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と平均値算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記平均値算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの、変化させる直前と変化させた直後の上記電力の平均値である平均電力及び上記動作電圧の平均値である平均電圧を求めるものであり、
上記電力比較部は、上記平均電力と上記抽出電力とを比較して、上記平均電力が大きいとき上記抽出電力を上記平均電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記平均電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものである
太陽光発電装置の制御装置。
【請求項2】
電圧制御手段と最大電力一次探索手段と最大電力二次探索手段と制御手段とを備えた太陽光発電装置の制御装置であって、
上記最大電力一次探索手段は、抽出値記憶部と電力算出部と電力比較部とを有し、
上記抽出値記憶部は、所定の時点における上記太陽光発電装置の電力及び動作電圧を、それぞれ抽出電力及び抽出電圧として記憶するものであり、
上記電力算出部は、上記電圧制御手段により所定の第1の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの電力を発電電力として求めるものであり、
上記電力比較部は、上記発電電力と上記抽出電力とを比較して、上記発電電力が大きいとき上記抽出電力を上記発電電力に置き換えるとともに上記抽出電圧を上記発電電力に対応する上記動作電圧に置き換え上記抽出電力の最大値を求め、当該抽出電力の最大値に対応する上記抽出電圧を一次探索動作電圧とするものであり、
上記最大電力二次探索手段は、上記電圧制御手段により上記一次探索動作電圧を含み上記第1の電圧範囲よりも狭い第2の電圧範囲内で上記動作電圧を段階的に変化させたときの上記太陽光発電装置の電力が最大となる動作電圧を二次探索動作電圧として求めるものであり、
上記制御手段は、上記太陽光発電装置が上記二次探索動作電圧で動作するように制御するものである
太陽光発電装置の制御装置。
【請求項3】
上記太陽光発電装置は、電力変換装置を介して負荷に電力を供給するものであり、
上記第1の範囲は、上記電力変換装置が動作可能な電圧の最小値から最大値までの間である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽光発電装置の制御装置。
【請求項4】
上記最大電力二次探索手段は、上記動作電圧を上記一次探索動作電圧を基準にして段階的に変化させたときの上記電力の増減に応じて上記段階的に変化させる電圧の方向を決めるとともに上記変化させる電圧の大きさを調整して上記電力が最大となる動作電圧を上記二次探索動作電圧として求めるものである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の太陽光発電装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221151(P2012−221151A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85340(P2011−85340)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】