説明

媒体に含有されるハロゲン化芳香族化合物の高反応性水素による分解方法

【課題】 分解副生成物を処理する必要がなく、またさらなる有害物質(副生物)等を生成せずにPCB等を含むハロゲン化芳香族化合物を実質的に完全に分解するとともに、主溶剤の分解率を抑制することも可能な、化学的に安全で、対費用効果の高いハロゲン化芳香族化合物の分解処理方法を確立すること。
【解決手段】 ハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体と、強アルカリ性物質と、該強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質とを、触媒と、耐熱耐アルカリ性極性溶剤とに、常温〜250℃で接触させることにより、前記ハロゲン化芳香族化合物を分解する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリクロロビフェニル類(以下PCBと称する)に代表される有害なハロゲン化芳香族化合物を安全に化学分解処理する方法に関する。特に、急激な反応熱を伴うことなくハロゲン化芳香族化合物を分解するとともに、前記化合物を分解した後に生成されうる有害物質の生成をほぼ完全に抑制し、反応後の反応液から高効率で耐熱耐アルカリ性極性溶剤をリサイクルすることを可能とした、新規のハロゲン化芳香族化合物の分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有害物質であるハロゲン化芳香族化合物を安全に化学分解し、無害化処理することは、環境保全の観点から最重要課題となっている。従来から、ハロゲン化芳香族化合物の分解に関して、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、金属ナトリウムによる分解処理(特許文献1)、電子線照射による分解処理(特許文献2,3及び4)、酸化カルシウムを加えたボールミルによるメカノケミカル処理(特許文献5)等が公開されている。
【0004】
しかし、これらの方法には、それぞれ以下のような問題点が指摘されている。
金属ナトリウムによりハロゲン化芳香族化合物を分解する方法においては、発火性の金属ナトリウムを使用するため、この取り扱いに危険を伴い、安全性に課題がある。また、電子線照射による分解処理は、使用する装置が高価であるため、処理コストが高くなってしまうという問題がある。さらにメカノケミカル処理においては、ボールミル等の衝撃粉砕装置を用いるが、このときに使用する装置が高価であるという問題がある。すなわち、いずれの方法も安全性及びコストの観点から満足のいく方法であるとは言えない。
【0005】
上記のような従来法に存在する問題点を解決すべく、ハロゲン化芳香族化合物を化学的に分解処理する方法として、化学抽出分解法が提案されている。化学抽出分解法は、ポリクロロビフェニル類及びPCB含有絶縁油の処理方法(特許文献6,7及び8)として公開されている。具体的には、ハロゲン化芳香族化合物(PCB)を、溶解性にすぐれた耐熱耐アルカリ性極性溶剤(主に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)中で強アルカリ性物質(水酸化カリウム又は、水酸化ナトリウム)を用いて脱ハロゲン化する方法である。これらの方法は、PCBを分解し、この濃度を基準値(0.5mg/kg以下)まで減少させることができる点で画期的な方法である。ところが、分解反応に伴う分解副生成物として、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類が残存するという課題がある。後に詳述するが、この方法によるPCB分解反応メカニズムは、水酸化物イオン(OH-)によるPCBへの求核置換反応である。ところが、PCBに存在する複数の置換塩素の全てが水酸基(−OH)によって置き換わっていない形(すなわち、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類)が残存してしまうおそれがある。このPCB分解中間体とも言える、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類は、内分泌撹乱物質の疑いが濃厚であるとされる物質である。したがって、分解反応の後にこれら副生物を除去する工程が別途必要となる。したがって、特許文献6,7及び8に記載される方法によってPCB濃度を基準値以下にすることができる一方、別の有害物質類を生成してしまうこととなり、これらを除去する別工程がさらに必須である。
【0006】
尚、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開2000−246002号
【特許文献2】特開2001−9408号
【特許文献3】特開2001−9409号
【特許文献4】特開2001−70913号
【特許文献5】特開2001−47026号
【特許文献6】特開平6−25691号
【特許文献7】特開平7−8572号
【特許文献8】特開平7−289656号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことより、分解副生成物を処理する必要がなく、すなわち有害物質(副生物)等を生成せずにPCB等を含むハロゲン化芳香族化合物をほぼ完全に分解するとともに、主溶剤の分解率を抑制することも可能な、化学的に安全で、対費用効果の高いハロゲン化芳香族化合物の分解処理方法の確立が望まれている。そこで本発明の目的は、PCB等を含むハロゲン化芳香族化合物を完全かつ安全に分解処理し、分解処理によって生成される各種ヒドロキシ塩素化ビフェニル類等の分解副生成物の生成を完全に抑制すると共に、分解後の分解生成物から、高効率で耐熱耐アルカリ性極性溶剤のリサイクルを可能とする新規な処理方法を提供することにある。本発明に係る方法では、全く新規な反応メカニズムによるPCB分解法を確立し、これにより副生物であるヒドロキシ塩素化PCB類を生成することなく、したがってかかる副生物類を除去する別工程を必要としない画期的なPCB分解処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るハロゲン化芳香族化合物を分解する方法は、ハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体と、強アルカリ性物質と、該強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質とを、触媒と、耐熱耐アルカリ性極性溶剤とに、常温〜250℃で接触させることにより、前記ハロゲン化芳香族化合物を分解することを特徴とする。
【0009】
ハロゲン化芳香族化合物は、人体、動植物に対して強い毒性を示す化合物であり、特に催奇形性などのおそれから、有害物質として廃棄物の処理及び清掃に関する法律により指定されているものが多数ある。これら化合物が土壌、地下水、焼却灰、洗浄水、機械油等に存在する場合は、何らかの処理を施してこれらの濃度を基準値以下に減少させなければならないことが厳密に定められている。本発明において「ハロゲン化芳香族化合物」とは、芳香族化合物にフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が1以上置換した化合物全般を指す。本発明では、例えばポリクロロビフェニル類(PCB)、ダイオキシン類、フロン類、およびポリクロロベンゼン類等を指す。PCBとは、ビフェニル骨格に塩素原子が数個置換した化合物の総称であり、塩素原子の置換位置、置換数により多数の異性体が存在する。またダイオキシン類とは、狭義の意味ではダイオキシン類対策特別措置法で指定される特定の化合物を指すが、本発明では、いわゆる内分泌撹乱物質(環境ホルモン)として疑われるハロゲン化化合物を全て含む。
【0010】
上記のハロゲン化芳香族化合物を「分解する」とは、以下に詳しく述べる化学反応により、これらハロゲン化芳香族化合物を他の無害な化合物に転換することを意味し、特にハロゲン化芳香族化合物の脱ハロゲン化反応によって、別の化合物を生成することを意味する。
【0011】
本発明において「ハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体」とは、一般に高圧トランス、高圧コンデンサ、安定器などに使用される絶縁油;集中暖房、パネルヒータ、及び各種工業において使用される加熱冷却用熱媒体;油圧オイル、真空ポンプ油、切削油、極圧添加剤などを含む潤滑油;電線被覆用絶縁テープ用可塑剤、樹脂混合用可塑剤、接着剤、ニス・ワックス、アスファルト等混合用可塑剤;ノンカーボン紙や感圧複写紙用塗料、難燃性、耐食性、耐薬品性、耐水性等の性質を有する各種塗料及び印刷用インキなどに代表される熱安定性の高い油のことである。かかる媒体の一部では、かつてハロゲン化芳香族化合物が使用されていた。また、例えば重電機器用トランスに用いられる絶縁油や、絶縁油を用いる地中送電線などは、ポリ塩化ビフェニル類(PCB)を絶縁油として用いていなくても微量のPCBが混入している場合があり、かかる媒体中の微量混入PCBが大きな問題となっている。このような媒体中にハロゲン化芳香族化合物(PCB)が溶解している場合、それが如何に低濃度であっても廃棄することはできず、保管し、一定の期間内に処分しなければならない。したがって本発明の方法によりハロゲン化芳香族化合物を分解し、規定の濃度にまで低減させる必要がある。
【0012】
本発明において「強アルカリ性物質」とは、陽子受容体あるいは電子対供与体となる物質全般を指し、例えば、アルカリ金属元素、およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミン類等が挙げられる。特に本発明の方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、及びこれらの混合物を好適に用いることができる。
【0013】
また、前記強アルカリ性物質は、粉末アルカリ性物質であることが好ましく、粉末アルカリ性物質は、アルカリ性物質を粉砕し、粉末化するなどして得ることができる。ここで、粉砕するとは、機械的な力を利用して固体を破壊して細かくし、表面積を増大させる物理的操作であれば良い。具体的には砕料を粉砕機中に充填し、排出口を閉じたまま希望する細かさになるまで粉砕操作を継続する方法が挙げられ、また、乾式において粉砕する場合、吸湿の懸念がある時は粉砕機内を真空にしたり、不活性気体を充填することができる。
【0014】
また、前記粉末アルカリ性物質の粒径は、10〜1000μmとするのが好ましい。
本発明において「強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質」とは、上述の強アルカリ性物質の働きにより分解されて、本発明の方法の反応メカニズムにとって非常に重要なヒドリドイオン(H-)を生成することができる物質をいう。本明細書においては、「強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質」の例として「アミド化合物」及び「アルデヒド化合物」が挙げられる。なお、「強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質」について、本明細書において「ヒドリドイオン供給源」「ヒドリドイオン供給物質」などと称することがある。
【0015】
本発明において「アミド化合物」とは、アンモニア(NH3)またはアミン(RNH2)の水素が金属原子またはアシル原子団で置換された構造を有する環状または非環状化合物全般を指し、例えば金属アミド、酸アミド、アミノ酸、及びアミノ酸誘導体等が挙げられる。本発明の方法で好適に使用されるアミド化合物は、以下の式:
【0016】
【化1】

【0017】
(ここでR1は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択される)により表されるアミド化合物及びそれらの塩、及び以下の式:
【0018】
【化2】

【0019】
(ここでR2は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択され;R3は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択され;R4は、水素、C1〜C3アルキル、及び=Oからなる群より選択され;R5は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択される)により表されるアミド化合物及びそれらの塩があげられる。特に好適な非環状アミド化合物として、例えば、N−(2−ジメチルアミノエチル)ホルムアミド、エチレンビス(ホルムアミド)、好適な環状アミド化合物としてN−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルホルムアミド、1−メチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルヒダントイン、1,3,5−トリメチルヒダントインが挙げられ、これらを単独でまたは複数混合して用いることができる。
【0020】
本発明の方法に使用される「アルデヒド化合物」とは、アルデヒド基−CHOをもつ化合物の総称である。本発明の方法において、上述のアミド化合物の代わりに、アルデヒド化合物を用いることができる。アルデヒド化合物を加えることにより、ハロゲン化芳香族化合物の分解副生物としてのヒドロキシ塩素化ビフェニル類の生成を抑制することができる。アルデヒドは、上述の強アルカリ性物質の存在下で、カニッツァロ反応(Cannizzaro reaction)し、対応するアルコールとカルボン酸とを生成する。特に好ましくは、二種のアルデヒド化合物を併用し、交差カニッツァロ反応(Crossing Cannizzaro reaction)させる。アルデヒド化合物が本発明の反応に対して及ぼす影響については、後に詳しく述べる。
【0021】
本発明において「触媒」とは、ハロゲン化芳香族化合物の脱ハロゲン化を促進させることができる触媒化合物全般を指す。特に本発明の方法では、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブテン、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、これらの合金、及びこれらの混合物を好適に用いることができる。
【0022】
本発明において「耐熱耐アルカリ性極性溶剤」とは、反応時に高温(少なくとも100℃以上、好ましくは160℃以上、特に好ましくは200℃以上)にした場合でも、分解、消失などをすることがほとんどない溶剤であって、この溶剤中に前記強アルカリ性物質を溶解した時に、分解、消失などをすることがほぼない極性の溶剤全般を指す。耐熱耐アルカリ性極性溶剤は、無機溶剤、有機溶剤のいずれを用いることもできるが、ハロゲン化芳香族化合物の溶解性などの点から、有機溶剤、特に脂肪族炭化水素溶剤、脂環族炭化水素溶剤等を用いることが好ましい。本発明で好適に用いられる耐熱耐アルカリ性極性溶剤として、例えば1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと称する)、スルホラン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、低級アルキルエーテル類、トリメチレングリコール、ブチレングリコール及びこれらの混合物などが挙げられる。このうち、ハロゲン化芳香族化合物をよく溶解し、耐熱性が高く、さらに高温にしたときの悪臭がない、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを使用することが好ましい。
【0023】
本発明において、ハロゲン化芳香族化合物と、強アルカリ性物質と、該強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質(ヒドリドイオン供給源)とを、触媒と、耐熱耐アルカリ性溶剤とに、接触させる際に、耐熱アルカリ性溶剤中に触媒が分散している状態であることが好ましい。添加の順序は特に限定されず、例えば先に触媒を耐熱耐アルカリ性溶剤に添加して分散させた後、ハロゲン化芳香族化合物とヒドリドイオン供給源と強アルカリ性物質とを添加させる態様でも、あるいは、耐熱耐アルカリ性溶剤に、ハロゲン化芳香族化合物とヒドリドイオン供給源と強アルカリ性物質とを添加し、次いで、触媒を分散させる態様でもよい。先に触媒を耐熱耐アルカリ性溶剤に添加して分散させた後、ハロゲン化芳香族化合物とヒドリドイオン供給源と強アルカリ性物質とを添加する場合には、ハロゲン化芳香族化合物は最後に反応器に添加することが特に好ましい。いずれの場合においても、ハロゲン化芳香族化合物の反応器への添加は、なるべく後にすることが好ましい。
【0024】
前記触媒を耐熱耐アルカリ性溶剤中に分散させる、とは、前記触媒を前記耐熱耐アルカリ性極性溶剤に物理的な手段により分散させることを指す。また、高沸点炭化水素溶剤の存在下で行う場合には、該高沸点炭化水素溶剤に前記触媒を分散させることも可能である。触媒は耐熱耐アルカリ性極性溶剤に溶解させる必要はなく、分散させることが出来れば良い。触媒を分散させるための物理的手段は、撹拌棒、工業的に使用される各種撹拌機等が挙げられる。
【0025】
本発明の方法は、触媒を分散させた耐熱耐アルカリ性極性溶剤中で、ハロゲン化芳香族化合物とヒドリドイオン供給物質と強アルカリ性物質とを、接触させることに特徴がある。接触させる時の温度は、常温〜250℃、好ましくは常温〜210℃である。このような温度にすることによって、ハロゲン化芳香族化合物を実質的に完全に分解することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の方法による媒体に含有されるハロゲン化芳香族化合物の高反応性水素による分解方法は、その化学反応メカニズムが従来方法とは全く異なる新規なものである。この際、副生物としてヒドロキシ塩素化ビフェニル類等を生成することがないので、これらを除去するための別工程が必要なくなる。本発明の方法による方法は、耐熱耐アルカリ性溶剤の分解を低く抑えることができ、これにより耐熱耐アルカリ性溶剤を蒸留回収してリサイクルすることが可能となる。
【0027】
また、本発明において粉末アルカリ性物質を用いることにより、接液被表面積の増加による反応系内における速度依存から、処理時間を短縮することができるので、より経済的に且つ簡易にハロゲン化芳香族化合物を分解することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の方法の具体的な実施の形態について以下に説明する。まず、本発明の方法によりハロゲン化芳香族化合物を分解させる化学反応メカニズムを、従来法(化学抽出分解法)と比較しつつ詳述する。
【0029】
従来の化学抽出分解法(特許文献6,7及び8参照)に説明される方法(DMIを溶媒として、PCBを水酸化ナトリウムで分解する反応)における化学反応メカニズムは、主に水酸化ナトリウムからの水酸化物イオンによるPCBへの求核置換反応である。すなわちこの反応では、PCB中の複数の塩素を水酸基(−OH)で置き換えることにより、PCBを別の化合物に変換することを試みているのである。ところが、この従来法では、内分泌撹乱物質の疑いが濃厚であるヒドロキシ塩素化ビフェニル類が残存してしまう可能性が非常に高い。なぜならば、塩素で置換したアリール基(ここではいわゆる芳香族環構造全般を示し、例えばベンゼン環構造、ビフェニル環構造等を全て含む)への水酸化物イオンの反応性は非常に低いことが知られているからである。たとえアリール基に置換した塩素のうち一つが水酸基で置き換わったとしても、この水酸基の電子供与性が大きいために、アリール基全体の電子密度が上昇し、さらなる水酸化物イオンによる求核置換反応は一段と進行しにくくなる。すなわち、置換塩素が複数あるPCBのうちの塩素の一つが水酸基で置換されてしまうと、二つ目の水酸基による置換はさらに困難となるのである。よって、複数ある置換塩素の全てが水酸基で置き換わっていない形のヒドロキシ塩素化ビフェニル類が、残存するという結果になる。したがって、PCB自体の濃度は基準値以下に減少したとしても、別の有害物質とされるヒドロキシ塩素化ビフェニル類が生成されるということになる。
【0030】
これに対して、本発明の方法によるハロゲン化芳香族化合物の分解処理方法は、その化学反応メカニズムが従来法とは全く異なっている。本発明に係る方法は、ハロゲン化芳香族化合物(例えばPCB)とヒドリドイオン供給物質と強アルカリ性物質(例えば水酸化ナトリウム)とを、触媒(例えばニッケル)を分散させた耐熱耐アルカリ性極性溶剤中(好ましくは水素を溶存させたDMI)で、常温〜250℃で接触させることを特徴とするが、この際、例えばヒドリドイオン供給物質としてアミド化合物(例えばN−(2−ジメチルアミノエチル)ホルムアミド)を添加する場合、添加するアミド化合物と、触媒と、そして耐熱耐アルカリ性溶剤に溶存させた水素とが大きな役割を果たす。すなわち本発明による方法の化学反応メカニズムは、水酸化物イオンと比較して非常に強い求核種であるヒドリドイオン(H-)によるPCBへの求核置換反応と、接触水素化触媒による還元反応を併用していることに非常に大きな特徴がある。
【0031】
本発明の方法において添加するアミド化合物が強アルカリ性物質によって分解されて生じるヒドリドイオン(H-)は、先に述べたとおり非常に強い求核種であることが知られており、反応系に水酸化物イオンが共存する場合でも、これに比べて非常に高い反応性を有する。これにより、PCB中の複数の置換塩素のうち一つが水素(−H)で置換されても、二つ目の塩素の置換が困難になるということがない。したがって、PCB中に複数ある塩素の置換が、逐次的に進行するのである。さらに、上記に述べたとおり本発明の方法では同時に接触水素還元反応を併用しているので、PCBに複数ある塩素の全てがよりスムーズに水素で置換されることになる。したがって、従来法で懸念されるヒドロキシ塩素化ビフェニル類の生成はほぼ抑制することができ、塩素がほぼ完全に水素、水酸基などで置換された化合物のみが生成するのである。
【0032】
また、本発明の方法では、反応系内に水酸化物イオンよりもはるかに反応性の高いヒドリドイオン、水素ラジカルなどが存在するので、PCBの重合反応よりも先に水素の付加反応が起こる。したがって、本発明の方法では、PCBの重合反応が抑制されることにより、耐熱耐アルカリ性溶剤(例えばDMI)の分解を抑制できる。さらに本発明の方法によると、反応系に存在するアルカリ性物質(例えば水酸化ナトリウム)が脱塩素で生じるHClの中和剤として働くため、HClガスの発生を抑制することが可能となるというメリットもある。
【0033】
本発明の方法による化学反応メカニズムによる利点は、以下の点である。すなわち、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類やPCB重合体などの副生物類を生成することなく、さらにHClガスを発生させることなく、ハロゲン化芳香族化合物を実質的に確実に分解することができる。したがって、本発明の方法によると、耐熱耐アルカリ性溶剤(例えばDMI)の分解率が非常に低くなる。
【0034】
ここで、耐熱耐アルカリ性溶剤の分解率が低くなるメカニズムは、アミド化合物の添加によるものである。従来法によるPCBのアルカリ分解反応においては、アルカリの水酸化物イオンによる求核置換反応が起こっていることを上述したが、この際アルカリは過剰に添加されているため、この過剰のアルカリによって溶剤であるDMIが攻撃を受ける可能性があった。
【0035】
しかし、本発明の方法で使用するアミド化合物、PCB、及びDMIをそれぞれアルカリと反応させたときの反応性を比較すると、PCB>アミド化合物>>DMIという関係が成立している。すなわち、本発明の方法で使用するアミド化合物は上記のように分子設計されているのである。したがって反応系に過剰の水酸化物イオンが存在したとしても、これがDMIを攻撃する前に、添加したアミド化合物を攻撃する。この反応によってアミド化合物からヒドリドイオンが生成され、さらにPCBの分解に寄与するわけである。こうしたメカニズムから溶剤であるDMIの分解率が抑えられるのである。
【0036】
本発明に係る方法による化学反応メカニズムを達成するために、好適に用いることができる触媒は、接触水素還元触媒となるものであって、例えばニッケル、アルミニウム、鉄、モリブテン、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、これらの合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。触媒は、耐熱耐アルカリ性溶剤の重量を基準として、0.01〜25重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%使用することが望ましい。触媒は耐熱耐アルカリ性溶剤に溶解させる必要はなく、撹拌棒、撹拌機などにより分散させることができればよい。また耐熱耐アルカリ性溶剤に触媒を分散させる上で分散剤が必要である場合には、各種分散剤を適宜加えることも可能である。
【0037】
本発明の方法において溶剤となる耐熱耐アルカリ性溶剤は、高温での反応(例えば100℃以上)に耐えうる溶剤であればいずれを用いることもでき、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、低級アルキルエーテル類、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、ナフテン溶剤及びこれらの混合物などが挙げられる。このうち、ハロゲン化芳香族化合物をよく溶解し、耐熱性が高く、さらに高温にしたときの悪臭がない、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)を使用することが非常に好ましい。DMIを主溶剤として用い、他の溶剤を補助的に用いることもまた可能である。本発明の方法においては、ハロゲン化芳香族化合物のハロゲンを水素で置換する接触水素還元を併用することを特徴としているが、このために溶剤に水素を溶存させることが特に好ましい。耐熱耐アルカリ性溶剤は、例えば処理しようとするハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体の重量を基準として、10〜200重量%、好ましくは50〜150重量%、さらに好ましくは80〜120重量%使用することができる。
【0038】
本発明の方法において、ヒドリドイオンの供給源となるアミド化合物は、アンモニア(NH3)またはアミン(RNH2)の水素が金属原子またはアシル原子団で置換された構造を有する環状または非環状化合物全般を指し、例えば金属アミド、酸アミド、アミノ酸、及びアミノ酸誘導体等が挙げられる。本発明の方法で特に好適に使用されるアミド化合物は、以下の式:
【0039】
【化3】

【0040】
(ここでR1は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択される)により表されるアミド化合物及びそれらの塩、及び以下の式:
【0041】
【化4】

【0042】
(ここでR2は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択され;R3は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択され;R4は、水素、C1〜C3アルキル、及び=Oからなる群より選択され;R5は、水素、及びC1〜C3アルキルからなる群より選択される)により表されるアミド化合物及びそれらの塩があげられる。さらに特に好適な非環状アミド化合物として、例えば、N−(2−ジメチルアミノエチル)ホルムアミド、エチレンビス(ホルムアミド)、好適な環状アミド化合物としてN−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルホルムアミド、1−メチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルヒダントイン、1,3,5−トリメチルヒダントインが挙げられ、これらを単独でまたは複数混合して用いることができる。アミド化合物は、耐熱耐アルカリ性溶剤の重量を基準として、0.01〜25重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%使用することができる。
【0043】
本発明の方法において、ヒドリドイオン供給物質(上記の説明においてはアミド化合物)のアルカリ分解を行ったり、脱離された塩素イオンを中和する働きをする強アルカリ性物質は、ハロゲン化芳香族化合物の分解反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えば、アルカリ金属元素、およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミン類等が挙げられる。特に本発明の方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、及びこれらの混合物を好適に用いることができる。強アルカリ性物質は、耐熱耐アルカリ性溶剤の重量を基準として、例えば溶剤としてDMIを用いた場合は、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%使用することができる。但し強アルカリ性物質の使用量は、用いる耐熱耐アルカリ性溶剤の種類により、様々に変えることができる。
【0044】
強アルカリ性物質の形状は、従来のフレーク形状のものとは異なる、粉末アルカリ性物質を使用することがより好ましい。従来のフレーク形状のアルカリ性物質を使用した場合、粉末アルカリ性物質に比べ比表面積が小さく、接触面積の差により反応性が顕著に降下してしまう。
【0045】
これに対して、粉末形状のアルカリ性物質をハロゲン化芳香族化合物の分解処理へ適用した場合には、比表面積が非常に大きいのでハロゲン化芳香族化合物との接触面積が大きく、反応性が向上する。すなわち粉末形状のアルカリ物質を用いれば、強アルカリ性物質の反応性が降下することなく、処理時間の短縮により経済性向上を可能とすることに非常に大きな特徴がある。粉末アルカリ性物質の粒径は、好ましくは10〜1000μmである。従来のフレーク形状のアルカリ性物質を使用する場合には、機械的な手段を用いて上記のような粒度にまで粉砕して用いることができる。
【0046】
本発明の方法において、ヒドリドイオン供給源として好ましく用いることができる別の化合物は、アルデヒド化合物である。上述のようにアルデヒド化合物を強アルカリ物質と共に存在させると、カニッツァロ反応を起こして、対応のアルコールとカルボン酸とを生成する。一般的なカニッツァロ反応は、以下の式で表される:
【0047】
【化5】

【0048】
ここで、2種のアルデヒド化合物を用いると、2種のカルボン酸と2種のアルコール混合物を得ることができる交差カニッツァロ反応が起こる。この反応では、強アルカリ物質由来の水酸化物イオンが一方のアルデヒド化合物のアルデヒド炭素(−CHOのC)を攻撃してできた中間体が分解し、ヒドリドイオンが生成する。このヒドリドイオンが上述のようにハロゲン化芳香族化合物のハロゲンを置換していく。特に一方のアルデヒドとしてホルムアルデヒドを使用すると、このホルムアルデヒドから効率的にヒドリドイオンが発生し、都合がよい。発生したヒドリドイオンは、上記のようにハロゲン化芳香族化合物のハロゲンを置換していく反応の他、もう一方のアルデヒドを攻撃し、これによりもう一方のアルデヒドに対応するアルコールが生成する(交差カニッツァロ反応)。
【0049】
【化6】

【0050】
本発明の方法の中で、上記交差カニッツァロ反応を同時に起こすことにより、反応系に強力な還元力を有するヒドリドイオンを生成することができる。ヒドリドイオンは水酸化物イオンよりも遙かに反応性が高いので、PCB類分解反応の際にヒドロキシ塩素化ビフェニル類を生成することはほとんどない。
【0051】
交差カニッツァロ反応する一方のアルデヒド化合物として、ホルムアルデヒドが挙げられる。ホルムアルデヒドは常温で気体であり、実験操作上の利便性を考慮して、ホルムアルデヒド重合体であるパラホルムアルデヒドを使用することが好ましい。反応系内にパラホルムアルデヒドを溶解し、反応系の温度を上昇させると、パラホルムアルデヒドが分解して、ホルムアルデヒドが溶解したのと同じ状態になる。もう一方のアルデヒド化合物として上式中のアルキル基Rにα水素を有しないアルデヒドが挙げられる。例えば、ベンズアルデヒド等が挙げられ、生成するアルコールの有害性などを考量すると、ベンズアルデヒドを用いることが特に好ましい。ヒドリドイオン供給物質としてアルデヒド化合物を使用した場合も、アミド化合物を用いた場合と同様の利点がある。すなわち、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類やPCB重合体などの副生物類を生成することなく、さらにHClガスを発生させることなく、ハロゲン化芳香族化合物を実質的に確実に分解することができ、耐熱耐アルカリ性溶剤(例えばDMI)の分解率が低くなる。
【0052】
本発明の方法で分解処理するハロゲン化芳香族化合物は、通常、地下水や焼却飛灰、土壌等に含まれていることが多い。これらを処理する際に、ハロゲン化芳香族化合物を基準濃度以下に減少させる必要がある。このような場合には、前記汚染された地下水、焼却飛灰、土壌等を、ハロゲン化芳香族化合物をよく溶解する溶剤類と接触させて抽出、移行させる。本発明の方法では、このように汚染物質の処理により生じた、ハロゲン化芳香族化合物が溶解した溶剤類を反応に用いて、この溶解したハロゲン化芳香族化合物を分解することができる。つまり、ハロゲン化芳香族化合物それ自体を本発明の反応に用いることも可能であり、さらにハロゲン化芳香族化合物を含む物質を抽出することによりハロゲン化芳香族化合物を含むこととなった洗浄剤類や各種油類等を本発明に適用することも可能である。
【0053】
本発明の方法によるハロゲン化芳香族化合物の分解反応を以下に実施例として説明する。本実施例は本発明の実施の態様の一部を記載したものであり、本発明の思想を制限するものと考えてはならない。
【実施例1】
【0054】
本発明の方法による反応メカニズムを用いて、ポリクロロビフェニル類の分解反応を行った。
反応液の温度を測定するための温度計、気相部の温度を測定するための温度計、撹拌棒及び撹拌機を備えた1Lの四ツ口の反応フラスコ(反応系の気相部は、不活性気体(窒素)により封入してある)に、ポリクロロビフェニル(カネクロールKC−1000、鐘淵化学工業製)25ppmを含有した絶縁油(JIS C2320相当品)200g、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ネオス製)200g、粉末状に処理された水酸化ナトリウム(旭硝子製)3g、N−(2−ジメチルアミノエチル)ホルムアミド(ネオスQ、ネオス製)2g、スポンジニッケル触媒(日興リカ製)2gを混合し、撹拌機により反応液を撹拌しながら油浴の温度を上昇させた。油浴温度を210℃に維持し、反応を4時間続行した。反応後反応液を室温まで冷却し、反応液中に含まれるPCB類、及びヒドロキシ塩素化ビフェニル類の濃度を測定した。PCB類の含有量の測定は、「特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号 改正平成10年)に基づき、高分解能ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)を用いて行った。ヒドロキシ塩素化ビフェニル類の含有量は、ガスクロマトグラフ−質量分析法/選択イオン検出(GC−MS/SIM)を用いて行った。本実施例の結果を表1に掲載する。
【実施例2】
【0055】
ヒドリドイオン供給源としてアミド化合物の代わりにアルデヒド化合物を用いた、本発明のメカニズムに基づく別方法により、ポリクロロビフェニル類の分解反応を行った。
反応液の温度を測定するための温度計、気相部の温度を測定するための温度計、撹拌棒及び撹拌機を備えた1Lの四ツ口の反応フラスコ(反応系の気相部は、不活性気体(窒素)により封入してある)に、ポリクロロビフェニル(カネクロールKC−1000、鐘淵化学工業製)25ppmを含有した絶縁油(JIS C2320相当品)200g、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ネオス製)200g、粉末状に処理された水酸化ナトリウム(旭硝子製)3g、スポンジニッケル触媒(日興リカ製)2gを混合し、これに添加剤としてベンズアルデヒド(関東化学社製)1.5g及びパラホルムアルデヒド(アルドリッチ社製)0.5gを加え、撹拌機により反応液を撹拌しながら油浴の温度を上昇させた。油浴温度を210℃に維持し、反応を4時間続行した。反応後反応液を室温まで冷却し、反応液中に含まれるPCB類、及びヒドロキシ塩素化ビフェニル類の濃度を上記実施例と同様に測定した。本実施例の結果を表1に掲載する。
【0056】
【表1】

【0057】
本発明の方法にアルデヒド添加剤を加えてPCB類の分解反応を行うと、PCBが0.5ppm以下(すなわち基準値以下)にまで分解されているのみならず、ヒドロキシ塩素化ビフェニル類の濃度も定量下限値未満(各異性体毎は0.1ppm未満)と非常に低い値に抑えられている。すなわち、この方法でも、副生物であるヒドロキシ塩素化ビフェニル類の生成を抑制しつつ、PCBを確実に分解することが可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体と、強アルカリ性物質と、該強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質とを、触媒と、耐熱耐アルカリ性極性溶剤とに、常温〜250℃で接触させることにより、前記ハロゲン化芳香族化合物を分解する方法。
【請求項2】
強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質が、アミド化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミド化合物が、環状あるいは非環状アミド化合物から選択される1つ以上の化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記強アルカリ性物質により分解されてヒドリドイオンを生成する物質が、アルデヒド化合物から選択される1つ以上の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒は、耐熱耐アルカリ性極性溶剤に分散されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ハロゲン化芳香族化合物を含有する媒体が、絶縁油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、塗料及びインキから選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ハロゲン化芳香族化合物が、ダイオキシン類または、ポリ塩素化ビフェニル類(PCB)または、ポリ塩素化ベンゼン類である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
触媒が、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブテン、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、これらの合金、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
強アルカリ性物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
耐熱耐アルカリ性極性溶剤が、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記耐熱耐アルカリ性溶剤に、水素を溶存させたことを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【公開番号】特開2006−192115(P2006−192115A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7297(P2005−7297)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000135265)株式会社ネオス (95)
【Fターム(参考)】