説明

学習支援装置、学習支援方法、およびプログラム

【課題】学習者の学力を向上させること。
【解決手段】学習支援装置10は、問題、問題の正答、問題の困難度、および問題の指導情報を格納する問題蓄積部11と、問題蓄積部の問題を学習者に順次提示する問題提示部12と、提示されている問題の解答を受け付ける解答受付部13と、受け付けた解答と、問題蓄積手段の正答とを比較し、正誤結果を取得する正誤結果取得部14と、順次提示される問題について、取得された正誤結果と、正誤結果に対応する問題に対応付けて問題蓄積部に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に格納する解答結果テーブル21と、解答結果格納部の時系列の解答結果に基づいて、提示されている問題の指導が必要か否かを判断する指導判断部15と、指導が必要と判断された場合に、問題蓄積部において、提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示する指導実施部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種分野において、学習者の学力を向上できる学習支援装置、学習支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンピュータを用いた学習支援が行われている。例えば、問題の困難度と、問題に対する学習者の解答の正誤とによって、学習者の学力レベルを正確に測定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、学習者の過去の成績や学習者が誤答した問題の分野等に基づいて、問題群を作成することにより、学習者に弱点を反復学習させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−209678号公報
【特許文献2】特開平08−160850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、学習者の学力レベルを正確に測定することができるが、学習者が解法を必要としている問題がわからないため、学習者の学力を向上させるための適切な指導を行うことができないという問題点があった。また、特許文献2に開示された技術では、学習者の弱点を反復学習させることにより学習者の学力を向上させることができるが、学習者が解答困難な問題について、その問題の解法を学習者が理解できないでいる限り、反復学習しても学力を向上させることはできないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、学習者の解答の状況に基づいて指導を行う適切なタイミングを検出し、検出したタイミングにおいて問題の指導を行うことにより、学習者の学力を向上させる学習支援装置、学習支援方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
(1) 本発明は、問題、当該問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段(例えば、図1の問題蓄積部11に相当)と、前記問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に順次提示する問題提示手段(例えば、図1の問題提示部12に相当)と、前記問題提示手段で提示されている問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける解答受付手段(例えば、図1の解答受付部13に相当)と、前記解答受付手段で受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する正誤結果取得手段(例えば、図1の正誤結果取得部14に相当)と、前記問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題の前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に格納する解答結果格納手段(例えば、図1の学習結果格納部20の解答結果テーブル21に相当)と、前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示されている問題の指導が必要か否かを判断する指導判断手段(例えば、図1の指導判断部15に相当)と、前記指導判断手段にて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示する指導実施手段(例えば、図1の指導実施部16に相当)と、を備えた学習支援装置を提案している。
【0008】
この発明によれば、問題蓄積手段は、問題、問題の正答、問題の困難度、および問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する。問題提示手段は、問題蓄積手段に格納された問題を学習者に順次提示する。解答受付手段は、問題提示手段で提示されている問題に対し、学習者が入力した解答を受け付ける。正誤結果取得手段は、解答受付手段で受け付けた解答と、問題蓄積手段に格納されている提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する解答結果格納手段は、問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、正誤結果に対応する問題の問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に格納する。指導判断手段は、解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、提示されている問題の指導が必要か否を判断する。指導実施手段は、指導判断手段にて指導が必要と判断された場合に、問題蓄積手段において、提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示する。したがって、学習者の解答状況として、問題の困難度とその問題の正誤結果とを関連付けた解答結果を時系列に記憶した情報を用いて、学習者に指導が必要な問題について、指導を逐次行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。
【0009】
(2) 本発明は、(1)の学習支援装置について、前記指導判断手段は、所定の条件に基づいて、前記提示された問題の指導を前記指導実施手段により行うか、教師により行うかを判断し、前記指導実施手段は、前記指導判断手段により前記提示された問題の指導を前記指導実施手段が行うと判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、前記指導判断手段により前記提示された問題の指導を教師が行うと判断された場合に、前記教師に指導を指示する通知を行う通知手段(例えば、図1の通知部17に相当)、を備えることを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、指導判断手段は、所定の条件に基づいて、提示された問題の指導を指導実施手段により行うか、教師により行うかを判断する。指導実施手段は、指導判断手段により提示された問題の指導を指導実施手段が行うと判断された場合に、問題蓄積手段において、提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示する。通知手段は、指導判断手段により提示された問題の指導を教師が行うと判断された場合に、教師に指導を指示する通知を行う。したがって、指導を、指導実施手段にて自動で行う場合と、教師により行う場合の2つの方法を用意し、問題に対する指導を、指導実施手段にて自動で行うか、教師により行うかを判断することにより、適切な方法にて指導を行うことができる。
【0011】
(3) 本発明は、(1)または(2)の学習支援装置について、前記解答受付手段は、前記問題提示手段にて問題が提示されてからの経過時間を取得し、前記指導判断手段は、前記解答受付手段で計測された経過時間が所定時間を超えた場合に、前記提示されている問題の指導が必要と判断することを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、解答受付手段は、問題提示手段にて問題が提示されてからの経過時間を取得する。指導判断手段は、解答受付手段で計測された経過時間が所定時間を超えた場合に、提示されている問題の指導が必要と判断する。したがって、解答ができず長く考えている問題について、早期に指導を行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。
【0013】
(4) 本発明は、(3)の学習支援装置について、前記解答受付手段は、更に、問題が提示されてから解答が入力されるまでの解答時間を取得し、前記解答結果格納手段は、前記問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題の前記問題蓄積手段に格納されている困難度とともに、前記解答受付手段で取得した解答時間を関連付けた解答結果を時系列に格納し、前記指導判断手段は、前記解答結果格納手段の時系列の解答結果に含まれる各問題の解答時間と、前記解答受付手段で取得された経過時間と、に基づいて、提示されている問題の指導が必要か否かを判断することを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、解答受付手段は、更に、問題が提示されてから解答が入力されるまでの解答時間を取得する。解答結果格納手段は、問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、正誤結果に対応する問題の問題蓄積手段に格納されている困難度とともに、解答受付手段で取得した解答時間を関連付けた解答結果を時系列に格納する。指導判断手段は、解答結果格納手段の時系列の解答結果に含まれる各問題の解答時間と、解答受付手段で取得された経過時間とに基づいて、提示されている問題の指導が必要か否かを判断する。したがって、解答ができず長く考えている問題について、早期に指導を行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。
【0015】
(5) 本発明は、(1)から(4)の学習支援装置について、前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記学習者の学力を判定する学力判定手段(例えば、図7の学力判定部101)を備えることを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、学力判定手段は、解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、学習者の学力を判定する。したがって、解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果から、学習者の学力を測定することができる。
【0017】
(6) 本発明は、(5)の学習支援装置について、前記問題提示手段は、前記問題蓄積手段に格納されている困難度と、前記学力判定手段で判定された前記学習者の学力とに基づいて、問題を選択し、選択した問題を順次提示することを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0018】
この発明によれば、問題提示手段は、問題蓄積手段に格納されている困難度と、学力判定手段で判定された学習者の学力とに基づいて、問題を選択し、選択した問題を順次提示する。したがって、学習者の学力に合った問題を提示することができる。
【0019】
(7) 本発明は、(1)から(6)の学習支援装置について、前記指導情報は、1以上の指導内容を含み、前記指導実施手段は、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報に含まれる1以上の指導内容を、予め設定された順番に従って、前記学習者に順次提示し、前記学習者から前記提示されている問題を理解した旨の入力を受け付けた場合に、提示を終了することを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0020】
この発明によれば、指導情報は、1以上の指導内容を含む。指導実施手段は、問題蓄積手段において、提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報に含まれる1以上の指導内容を、予め設定された順番に従って、前記学習者に順次提示し、学習者から提示されている問題を理解した旨の入力が合った際に、提示を終了する。したがって、学習者に段階的に指導を行うことにより、学習者が必要としている指導を提供することができ、きめ細かく学習者の理解を促すことができる。
【0021】
(8) 本発明は、(7)の学習支援装置について、前記指導実施手段は、所定の時間内に前記学習者から前記提示されている問題を理解した旨の入力を受け付けなかった場合に、次の指導内容を前記学習者に提示することを特徴とする学習支援装置を提案している。
【0022】
この発明によれば、指導実施手段は、所定の時間内に学習者から提示されている問題を理解した旨の入力を受け付けなかった場合に、次の指導内容を学習者に提示する。したがって、学習者が提示されている指導内容が理解できていない場合に、次に指導内容を提示することにより、学習者が必要としている指導を提供することができ、きめ細かく学習者の理解を促すことができる。
【0023】
(9) 本発明は、問題、当該問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に提示する第1のステップ(例えば、図6のステップS11に相当)と、前記第1のステップで提示された問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける第2のステップ(例えば、図6のステップS12に相当)と、前記第2のステップで受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する第3のステップ(例えば、図6のステップS13に相当)と、前記第1のステップで提示された問題について、前記第3のステップで取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題に対応付けて前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する第4のステップ(例えば、図6のステップS14に相当)と、前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に前記第1のステップに戻る第5のステップ(例えば、図6のステップS15、S19に相当)と、前記第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、前記第1のステップに戻る第6のステップ(例えば、図6のステップS16、S17、S19に相当)と、を含む学習支援方法を提案している。
【0024】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、問題、問題の正答、問題の困難度、および問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を学習者に提示する。次に、第2のステップにおいて、第1のステップで提示された問題に対し、学習者が入力した解答を受け付ける。次に、第3のステップにおいて、第2のステップで受け付けた解答と、問題蓄積手段に格納されている提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する。次に、第4のステップにおいて、第1のステップで提示された問題について、第3のステップで取得された正誤結果と、正誤結果に対応する問題に対応付けて問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する。次に、第5のステップにおいて、解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に第1のステップに戻す。次に、第6のステップにおいて、第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、問題蓄積手段において、提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示し、第1のステップに戻す。したがって、学習者の解答状況として、問題の困難度とその問題の正誤結果とを関連付けた解答結果を時系列に記憶した情報を用いて、学習者に指導が必要な問題について、指導を逐次行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。
【0025】
(10) 本発明は、問題、当該問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に提示する第1のステップ(例えば、図6のステップS11に相当)と、前記第1のステップで提示された問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける第2のステップ(例えば、図6のステップS12に相当)と、前記第2のステップで受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する第3のステップ(例えば、図6のステップS13に相当)と、前記第1のステップで提示された問題について、前記第3のステップで取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題に対応付けて前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する第4のステップ(例えば、図6のステップS14に相当)と、前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に前記第1のステップに戻る第5のステップ(例えば、図6のステップS15、S19に相当)と、前記第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、前記第1のステップに戻る第6のステップ(例えば、図6のステップS16、S17、S19に相当)と、を含む学習支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0026】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、問題、問題の正答、問題の困難度、および問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を学習者に提示する。次に、第2のステップにおいて、第1のステップで提示された問題に対し、学習者が入力した解答を受け付ける。次に、第3のステップにおいて、第2のステップで受け付けた解答と、問題蓄積手段に格納されている提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する。次に、第4のステップにおいて、第1のステップで提示された問題について、第3のステップで取得された正誤結果と、正誤結果に対応する問題に対応付けて問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する。次に、第5のステップにおいて、解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に第1のステップに戻す。次に、第6のステップにおいて、第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、問題蓄積手段において、提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示し、第1のステップに戻す。したがって、学習者の解答状況として、問題の困難度とその問題の正誤結果とを関連付けた解答結果を時系列に記憶した情報を用いて、学習者に指導が必要な問題について、指導を逐次行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、学習者の解答の状況に基づいて指導を行うタイミングを検出し、検出したタイミングにおいて問題の指導を行うことにより、学習者の学力を向上させることができるという効果がある。また、学習者が必要としている指導を提供し、きめ細かく学習者の理解を促すことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係る学習支援装置の機能構成を示す図である。
【図2】学習結果格納部の解答結果テーブルの一例を示す図である。
【図3】学習結果格納部の指導結果テーブルの一例を示す図である。
【図4】指導判断部による指導の要否の具体例を示す図である。
【図5】指導実施部による指導フローの一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る学習支援装置の処理フロー図である。
【図7】第2の実施形態に係る学習支援装置の機能構成を示す図である。
【図8】学習者の学力の判定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含むさまざまなバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0030】
<第1の実施形態>
図1から図6を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0031】
<学習支援装置の機能構成>
図1は、本実施形態に係る学習支援装置10の機能構成を示す図である。図1に示すように、学習支援装置10は、問題蓄積部11、問題提示部12、解答受付部13、正誤結果取得部14、学習結果格納部20、指導判断部15、通知部17、および指導実施部16を備える。
【0032】
問題蓄積部11は、学習者に提示する複数の問題、各問題を識別する問題ID、各問題の正答、各問題のメタデータ、および各問題の指導情報を格納する。各問題のメタデータは、例えば、問題の困難度や、問題の教科、単元、項目等である。ここで、問題の困難度は、例えば、「項目応答理論」を用いて問題の困難度を数値で表したものであって、本実施形態において、困難度は1.0から5.0の値で表す。また、問題の指導情報とは、後述する指導実施部16で問題の指導を行う場合に学習者に提示する指導内容、または、後述する指導判断部15で教師により問題の指導を行うと判断した場合に、通知部17が教師に提示する指導内容である。具体的には、学習要素、問題の説明、よくある誤答の理由、具体的な解法等である。
【0033】
問題蓄積部11に格納されている情報は、例えば、問題を蓄積しているサーバ等から予めダウンロードする。また、問題蓄積部11を学習支援装置10とネットワークで接続された異なる装置に備え、後述する問題提示部12等が問題蓄積部11に格納されている情報を必要とする際に、その装置からネットワークを介して受信してもよい。
【0034】
問題提示部12は、問題蓄積部11の問題を学習者に順次提示する。例えば、学習支援装置10の表示部(図示せず)や、学習支援装置10と接続されたPCやタブレット端末等の表示部(図示せず)に選択した問題を表示して、選択した問題を学習者に提示する。本実施形態において、問題提示部12は、問題蓄積部11の問題を1問ずつ提示し、直前の問題の学習が終了すると、次の問題を提示する。なお、問題提示部12は、何問かまとめて提示してもよい。
【0035】
問題提示部12は、学習者の要求に応じて、問題蓄積部11のメタデータに基づいて問題を選択し、学習者に順次提示するのが望ましい。ここで、学習者の要求は、学習者が学習したい教科、単元、項目や、問題の困難度や、これらの組み合わせであって、キーボードやタッチパネル等の入力部(図示せず)を介して問題提示部12は学習者の要求を受け付ける。例えば、学習者が「小学4年算数、四則演算、分数」を入力部に入力することにより、問題提示部12は、入力された「小学4年算数、四則演算、分数」に応じて問題蓄積部11から問題を選択し、提示する。
【0036】
また、問題提示部12は、後述する学習結果格納部20に格納されている、前に提示された問題の解答結果に基づいて提示する問題の困難度を決定し、決定した困難度に基づいて問題蓄積部11から問題を選択し、学習者に提示する。なお、提示する問題の困難度の決定は、学習結果格納部20に基づいて、1問毎に、直前の問題の正誤により決定してもよいし、複数問毎に、前に提示された複数問の正誤により決定してもよい。例えば、1問毎に提示する問題の困難度の決定する場合には、直前に提示された問題が不正解であった場合に、直前に提示された問題より低い困難度の問題を提示し、一方、直前に提示された問題が正解であった場合に、直前に提示された問題より高い困難度の問題を提示する。
【0037】
解答受付部13は、問題提示部12で提示された問題に対して、学習者が入力部に入力した、解答を受け付ける。また、解答受付部13は、問題提示部12が問題を提示してからの時間を計測し、経過時間として取得する。更に、解答受付部13は、解答の入力を受け付けた場合には、問題提示部12が問題を提示してから解答の入力を受け付けるまでの時間を、解答時間として取得する。
【0038】
正誤結果取得部14は、まず、問題提示部12が提示した問題の問題IDに基づいて、問題蓄積部11から正答を取得する。そして、正誤結果取得部14は、取得した正答と解答受付部13で受け付けた解答とを比較し、解答が正解か不正解かを判断し、判断した結果を正誤結果として取得する。
【0039】
学習結果格納部20は、前記正誤結果取得部14で取得した正誤結果と、正誤結果に対応する問題、すなわち、問題提示部12が提示した問題に対応付けて問題蓄積部11に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に記憶する解答結果テーブル21を格納する。
【0040】
図2に、学習結果格納部20の解答結果テーブル21の一例を示す。図に示すように、解答結果テーブル21は、問題が提示された順番を示す提示順21aに対応付けて、問題ID21b、正誤結果21cおよび困難度21dを格納する。ここで、正誤結果21cは、正誤結果取得部14で取得した正誤結果であり、困難度21dは、提示された問題の困難度である。解答結果テーブル21に問題ID21bを格納していることにより、後述する通知部17で教師に解答結果テーブル21を送信した場合に、教師は、指導が指示された問題の前に誤答している問題を知ることで学習者のつまずいている点等が把握でき、学習者に適した指導を実施することができる。
【0041】
なお、解答結果テーブル21は、提示順21aの替わりに問題が提示された時刻に対応付けて、問題ID21b、正誤結果21cおよび困難度21dを格納してもよい。また、解答結果テーブル21は、解答受付部13で解答時間を取得した場合には、解答時間も格納する。
【0042】
また、学習結果格納部20は、指導実施状況を記憶する指導結果テーブル22を格納してもよい。図3に指導結果テーブル22の一例を示す。図に示すように、提示順22aに対応付けて、指導方法22bおよび困難度22cを格納する。ここで、指導方法22bには、「自動」および「教師」のいずれかが格納され、「自動」は学習支援装置10の指導実施部16により指導を実施したことを示し、「教師」は教師により指導が実施されたことを示す。指導結果テーブル22は、後述する指導判断部15から参照され、指導実施部16により指導を行うか、教師により指導を行うか決定するのに用いられる。
【0043】
指導判断部15は、学習結果格納部20の解答結果テーブル21に基づいて、問題提示部12で提示された問題に対する指導の要否を判断する。具体的には、指導判断部15は、学力が停滞しているか、解答に長い時間かかっているか等により、指導の要否を判定する。
【0044】
図4を用いて、指導の要否を判断する具体例を2つ説明する。なお、本図において問題提示部12は、直前に提示された問題が不正解であった場合に、直前に提示された問題より低い困難度の問題を提示し、一方、直前に提示された問題が正解であった場合に、直前に提示された問題より高い困難度の問題を提示する。
【0045】
まず、図4(a)を用いて、指導判断部15が、学習者の学力が停滞していることにより、指導を必要と判断する場合について説明する。例えば、学習者の学力が停滞しているか否かは、ある困難度の間において、所定の回数留まっていることにより判断する。
【0046】
図4(a)は、図2に示した解答結果テーブル21を、グラフにしたものであって、提示順を横軸に、困難度を縦軸に取り、解答結果をグラフ上に示した図である。所定の回数が4回であるとすると、提示順3〜6は、困難度1と2との間で4回留まっていることにより、指導判断部15は、学習者の学力が停滞していると判断し、6番目に提示された問題について、指導を実施する。また、提示順8〜11は、困難度3と4との間で4回留まっていることにより、指導判断部15は、学習者の学力が停滞していると判断し、12番目に提示された問題について、指導を実施する。
【0047】
次に、図4(b)を用いて、指導判断部15が、解答に長い時間かかっていることにより、指導を必要と判断する場合について説明する。例えば、予め設定された解答制限時間以上、解答がないことや、以前に間違えた同困難度の問題の解答時間が長く、今回も長く解答にかかっていることにより、判断する。
【0048】
図4(b)は、解答時間を含む解答結果テーブル21を、グラフにしたものであって、提示順を横軸に、困難度を縦軸に取り、提示順間の幅により解答時間を示し、解答結果をグラフ上に示した図である。解答受付部13で取得した経過時間が予め設定された解答制限時間を超えたことにより、指導判断部15は、学習者が解答に長い時間がかかっていると判断し、4番目に提示された問題について、指導を実施する。また、8番目の問題が提示されている際に、以前に同じレベルで誤答した6番目の問題の解答時間と、8番目の問題の解答時間とが予め設定された解答制限時間を超えたことにより、指導判断部15は、8番目に提示された問題も解答に長い時間がかかると判断し、指導を実施する。このように、解答時間に制限を設け、それを超えた場合に指導を実施することにより、早期に指導をおこなうことができる。
【0049】
また、指導判断部15は、問題提示部12で提示された問題に対して指導が必要と判断した場合に、後述する指導実施部16が指導を行うか、教師が指導を行うかを更に判断する。なお、指導を後述する指導実施部16により全て行う、または教師により全て行う場合には、この判断は行わない。
【0050】
具体的には、指導判断部15は、解答結果テーブル21や指導結果テーブル22に基づいて、指導を指導実施部16により行うか、教師により行うか決定する。例えば、指導判断部15は、解答結果テーブル21に基づいて、同じ困難度の問題の誤答が所定回数以上か否かを判断し、誤答が、所定回数以上の場合には教師による指導とし、所定回数以下の場合には指導実施部16による指導とする。また、指導判断部15は、指導結果テーブル22に基づいて、同じ困難度の問題について以前に指導をしているか否かを判断し、以前に指導している場合には教師による指導とし、以前に指導していない場合には指導実施部16による指導とする。
【0051】
指導実施部16は、指導実施部16で指導を行うと指導判断部15により判断された場合に、問題蓄積部11において、問題提示部12で提示された問題の問題IDに対応付けて格納されている指導情報を学習者に順次提示する。なお、指導実施部16は、問題蓄積部11に格納されている問題の正答や問題のメタデータを学習者に提示してもよい。
【0052】
指導情報が1以上の指導内容を含む場合には、予め設定された順番に従って、指導内容は学習者に順次提示される。学習者が、指導実施部16により提示された指導内容を見て問題を理解した場合には、理解したことを入力部に入力すると、問題提示部12は次の問題を提示し、学習者は学習を継続することができる。一方、学習者が、指導実施部16により提示された指導内容を見ても理解できなかった場合には、理解できなかったことを入力部に入力すると、次の指導内容がある場合には、指導実施部16は次の指導内容を表示し、一方、次の指導内容がない場合には、後述する通知部17により、教師に指導を行うように通知することができる。なお、指導実施部16により指導が行われている場合であっても、学習者は教師による指導を受けたい旨入力すると、後述する通知部17により、教師に指導指示の通知が行われ、学習者は教師による指導を受けることができる。
【0053】
図5を用いて、指導実施部16による指導フローの一例を説明する。なお、各ステップにおいて、学習者に表示される指導内容の具体例も示す。
【0054】
まず、ステップS1において、指導実施部16は、指導判断部15で指導が必要と判断された問題の問題IDを取得し、問題IDに基づいて問題蓄積部11に格納されているメタデータを取得し、学習者に提示する。例えば、「学年:小学校5年 教科:算数 単元:四則計算 項目:分数の掛け算 困難度:3.7 平均解答時間:40秒」と提示する。
【0055】
次に、ステップS2において、指導実施部16は、ステップS1で取得した問題IDに基づいて、問題蓄積部11から学習要素を取得し、学習者に提示する。例えば、「分数の掛け算や割り算では、帯分数を可分数に直して計算します。3と2/3は、11/3にしてから計算しよう。」と提示する。
【0056】
次に、ステップS3において、指導実施部16は、所定時間内に、学習者から、解答が可能な旨の入力を受け付けたか否か判断する。入力を受け付けた場合(YES)には処理を終了し、一方、所定時間内に入力を受け付けなかった場合には、ステップS4に処理を進める。なお、所定時間は、予め設定された時間であってもよいし、メタデータに含まれる平均解答時間であってもよい。
【0057】
次に、ステップS4において、指導実施部16は、ステップS1で取得した問題IDに基づいて、問題蓄積部11からよくある誤答を取得し、学習者に提示する。例えば、「(1)最後に答える時に、計算結果の可分数を帯分数に直すことを忘れることが多い。16/7でなく、2と2/7に直しましょう。(2)帯分数にしたときに、更に約分できる場合があるので確認しよう」と提示する。
【0058】
次に、ステップS5において、指導実施部16は、所定時間内に、学習者から、解答が可能な旨の入力を受け付けたか否か判断する。入力を受け付けた場合(YES)には処理を終了し、一方、所定時間内に入力を受け付けなかった場合には、ステップS6に処理を進める。
【0059】
次に、ステップS6において、指導実施部16は、ステップS1で取得した問題IDに基づいて、問題蓄積部11から問題の解法を取得し、学習者に提示する。例えば、「2と1/4×3と2/3を計算する場合を見てみよう。2と1/4を9/4に直して、3と2/3を11/3に直して、分母と分子を掛け算すると99/12になります。最後に帯分数にして、8と3/12になり、更に約分して8と1/4になります。」と提示する。
【0060】
次に、ステップS7において、指導実施部16は、所定時間内に、学習者から、解答が可能な旨の入力を受け付けたか否か判断する。入力を受け付けた場合(YES)には処理を終了し、一方、所定時間内に入力を受け付けなかった場合には、ステップS8に処理を進める。
【0061】
次に、ステップS8において、指導実施部16は、後述する通知部17に、教師に対し指導を指示する通知を行うよう指示し、併せて、ステップS1で取得した問題IDを通知部17に渡す。なお、ステップS1で取得した問題IDを通知部17に渡さずに、指示のみを行ってもよい。
【0062】
このように、学習者に対し、段階的に指導を行うことにより、学習者が必要としている指導を適切に与えることができる。
【0063】
通知部17は、指導実施部16で教師により指導を行うと指導判断部15により判断された場合に、学習者を特定する情報を教師に提示し、指導の指示を通知する。例えば、学習支援装置10の表示部(図示せず)や、学習支援装置10と接続された教師が所有するPCやタブレット端末等の表示部(図示せず)に学習者を特定する情報を表示して、学習者を特定する情報を教師に提示する。ここで、学習者を特定する情報とは、学習者の氏名や、学習者が使用している端末を特定する情報等である。なお、学習者を特定する情報が提示された教師は、入力部(図示せず)を介して、学習支援装置10の指導実施部16に対し、指導を行うよう指示を行うこともできる。
【0064】
また、通知部17は、教師に学習者を特定する情報を通知する際に、問題蓄積部11に格納されている指導が必要とされている問題、その問題のメタデータ、およびその問題の指導情報や、学習結果格納部20に格納されている解答結果テーブル21や指導結果テーブル22を併せて送信してもよい。
【0065】
<学習支援装置の処理フロー>
図6は、本実施形態に係る学習支援装置10の処理フロー図である。
【0066】
まず、ステップS11において、問題提示部12は、問題蓄積部11に格納されている問題を学習者に提示する。
【0067】
次に、ステップS12において、解答受付部13は、入力部を介して、学習者からステップS11で提示された問題の解答を受け付ける。
【0068】
次に、ステップS13において、正誤結果取得部14は、ステップS12で取得した解答と、ステップS11で学習者に提示された問題について問題蓄積部11に格納されている正答とを比較し、正誤結果を取得する。
【0069】
次に、ステップS14において、学習結果格納部20は、解答結果テーブル21に、ステップS13で取得した正誤結果と、正誤結果に対応する問題、すなわち、ステップS11で提示された問題に対応付けて問題蓄積部11に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に記憶する。
【0070】
次に、ステップS15において、指導判断部15は、学習結果格納部20の解答結果テーブル21に基づいて、ステップS11で学習者に提示された問題に対する指導の要否を判断する。指導が必要と判断した場合(YSE)には、ステップS16に処理を進め、一方、指導が不要と判断した場合(NO)には、ステップS19に処理を進める。
【0071】
次に、ステップS16において、指導判断部15は、ステップS15で指導が必要と判断された問題の指導を、指導実施部16により行うか、教師により行うかを判断する。指導実施部16により指導すると判断した場合(YES)には、ステップS17に処理を進め、一方、教師により指導すると判断した場合(NO)には、ステップS18に処理を進める。
【0072】
次に、ステップS17において、指導実施部16は、問題蓄積部11において、ステップS11で学習者に提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を学習者に提示する。
【0073】
次に、ステップS18において、通知部17は、学習者を特定する情報を教師に提示し、指導を指示する通知を教師に提示する。
【0074】
次に、ステップS19において、全問題が終了または学習者の指示により、学習が終了されたか否かを判断する。学習が終了した場合(YES)には処理を終了し、一方、学習が終了していない場合(NO)にはステップS11に処理を戻す。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、学習者の解答の状況を示す、解答結果を時系列に記憶した解答結果テーブルに基づいて、指導を行う適切なタイミングを検出し、検出したタイミングにおいて問題の指導を行うことにより、学習者の学力を向上させることができる。また、学習者が必要としている指導を提供し、きめ細かく学習者の理解を促すことができる。
【0076】
<第2の実施形態>
図7および図8を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態では、学習者の解答の状況を示す、解答結果を時系列に記憶した解答結果テーブルに基づいて、指導を行う適切なタイミングを検出し、検出したタイミングにおいて問題の指導を行う方式について説明したが、本実施形態における学習支援装置では、学習者の学力を測定し、測定した学力に基づいて問題を提示する。
【0077】
<学習支援装置の構成>
図7は、本実施形態に係る学習支援装置100の機能構成を示す図である。図に示すように、学習支援装置100は、問題蓄積部11、問題提示部112、解答受付部13、正誤結果取得部14、学力判定部101、学習結果格納部120、指導判断部15、指導実施部16、および通知部17を備える。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0078】
問題提示部112は、問題蓄積11に格納されている問題から、後述する学習結果格納部20の学力テーブル23に格納されている学習者の学力に基づいて問題を選択し、選択した問題を学習者に提示する。
【0079】
また、問題提示部112は、1問目は、学習結果格納部20の学力テーブル23に格納されている学習者の学力に基づいて選択した問題を提示し、2問目以降については、後述する学習結果格納部120に格納されている、前に提示された問題の困難度に基づいて提示する問題の困難度を決定し、決定した困難度に基づいて問題蓄積部11から問題を選択し、学習者に提示する。なお、提示する問題の困難度の決定は、1問毎に、直前の問題の正誤により決定してもよいし、複数問毎に、前に提示された複数問の正誤により決定してもよい。例えば、1問毎に提示する問題の困難度の決定する場合には、直前に提示された問題が不正解であった場合に、直前に提示された問題より低い困難度の問題を提示し、一方、直前に提示された問題が正解であった場合に、直前に提示された問題より高い困難度の問題を提示する。
【0080】
学力判定部101は、学習結果格納部120の解答結果テーブル21に基づいて、学習者の学力を判定する。なお、学力は、教科、単元、項目毎に判定してもよい。図8を用いて、学習者の学力の判定方法の一例を説明する。
【0081】
図8は、学習結果格納部120の解答結果テーブル21を、グラフにしたものであって、提示順を横軸に、困難度を縦軸に取り、解答結果をグラフ上に示した図である。なお、問題の困難度は、学習者の学力に相当する。本図において問題提示部112は、直前に提示された問題が不正解であった場合に、直前に提示された問題より低い困難度の問題を提示し、一方、直前に提示された問題が正解であった場合に、直前に提示された問題より高い困難度の問題を提示する。
【0082】
本図において、困難度2の問題は正答が連続し、困難度3の問題は誤答していることから、学力判定部101は学力を2と判定する。なお、学力は、5段階に限らず、2.4や3.5のようの詳細に区分してもよい。
【0083】
学習結果格納部120は、解答結果テーブル21、および指導結果テーブル22とともに、学力判定部101により判定された学力を記憶する学力テーブル23を格納する。学力テーブル23は、学習支援装置100が複数の学習者に使用される場合には、学習者を特定する情報に対応つけて学力を記憶する。また、学力テーブル23は、教科、単元、項目毎の学力を記憶してもよい。それにより、次回、学習者が学習する際に、学力テーブル23に記憶されている学力に基づいて、問題提示部112で提示する問題を選択することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、学習者の学力を測定し、学習者の学力に合った問題を提示して、指導を行う適切なタイミングにおいて問題の指導を行うことにより、学習者の学力をより効果的に向上させることができる。また、学習者が必要としている指導を提供し、きめ細かく学習者の理解を促すことができる。
【0085】
なお、学習支援装置の処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを学習支援装置を構成する各機器に読み込ませ、実行することによって本発明の学習支援装置を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0086】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されても良い。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0087】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0088】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 学習支援装置
11 問題蓄積部
12 問題提示部
13 解答受付部
14 正誤結果取得部
15 指導判断部
16 指導実施部
17 通知部
20 学習結果格納部
21 解答結果テーブル
22 指導結果テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題、前記問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段と、
前記問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に順次提示する問題提示手段と、
前記問題提示手段で提示されている問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける解答受付手段と、
前記解答受付手段で受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する正誤結果取得手段と、
前記問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題に対応付けて前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に格納する解答結果格納手段と、
前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示されている問題の指導が必要か否かを判断する指導判断手段と、
前記指導判断手段にて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示する指導実施手段と、
を備えた学習支援装置。
【請求項2】
前記指導判断手段は、所定の条件に基づいて、前記提示された問題の指導を前記指導実施手段により行うか、教師により行うかを判断し、
前記指導実施手段は、前記指導判断手段により前記提示された問題の指導を前記指導実施手段が行うと判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、
前記指導判断手段により前記提示された問題の指導を教師が行うと判断された場合に、前記教師に指導を指示する通知を行う通知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記解答受付手段は、前記問題提示手段にて問題が提示されてからの経過時間を取得し、
前記指導判断手段は、前記解答受付手段で計測された経過時間に基づいて、前記提示されている問題の指導が必要か否かを判断することを特徴とする請求項1または2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記解答受付手段は、更に、問題が提示されてから解答が入力されるまでの解答時間を取得し、
前記解答結果格納手段は、前記問題提示手段で順次提示される問題について、正誤結果取得手段で取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題の前記問題蓄積手段に格納されている困難度とともに、前記解答受付手段で取得した解答時間を関連付けた解答結果を時系列に格納し、
前記指導判断手段は、前記解答結果格納手段の時系列の解答結果に含まれる各問題の解答時間と、前記解答受付手段で取得された経過時間とに基づいて、提示されている問題の指導が必要か否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記学習者の学力を判定する学力判定手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記問題提示手段は、前記問題蓄積手段に格納されている困難度と、前記学力判定手段で判定された前記学習者の学力とに基づいて、問題を選択し、選択した問題を順次提示することを特徴とする請求項5に記載の学習支援装置。
【請求項7】
前記指導情報は、1以上の指導内容を含み、
前記指導実施手段は、前記問題蓄積手段において、前記提示されている問題に対応付けて格納されている指導情報に含まれる1以上の指導内容を、予め設定された順番に従って、前記学習者に順次提示し、前記学習者から前記提示されている問題を理解した旨の入力を受け付けた場合に、提示を終了することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の学習支援装置。
【請求項8】
前記指導実施手段は、所定の時間内に前記学習者から前記提示されている問題を理解した旨の入力を受け付けなかった場合に、次の指導内容を前記学習者に提示することを特徴とする請求項7に記載の学習支援装置。
【請求項9】
問題、当該問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に提示する第1のステップと、
前記第1のステップで提示された問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける第2のステップと、
前記第2のステップで受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する第3のステップと、
前記第1のステップで提示された問題について、前記第3のステップで取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題に対応付けて前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する第4のステップと、
前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に前記第1のステップに戻る第5のステップと、
前記第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、前記第1のステップに戻る第6のステップと、
を含む学習支援方法。
【請求項10】
問題、当該問題の正答、当該問題の困難度、および当該問題を学習者に指導する際に用いる指導情報を格納する問題蓄積手段に格納された問題を前記学習者に提示する第1のステップと、
前記第1のステップで提示された問題に対し、前記学習者が入力した解答を受け付ける第2のステップと、
前記第2のステップで受け付けた解答と、前記問題蓄積手段に格納されている前記提示されている問題の正答とを比較し、正誤結果を取得する第3のステップと、
前記第1のステップで提示された問題について、前記第3のステップで取得された正誤結果と、当該正誤結果に対応する問題に対応付けて前記問題蓄積手段に格納されている困難度とを関連付けた解答結果を時系列に解答結果格納手段に格納する第4のステップと、
前記解答結果格納手段に格納されている時系列の解答結果に基づいて、前記提示された問題の指導が必要か否かを判断し、指導が不要と判断した場合に前記第1のステップに戻る第5のステップと、
前記第5のステップにて指導が必要と判断された場合に、前記問題蓄積手段において、前記提示された問題に対応付けて格納されている指導情報を前記学習者に提示し、前記第1のステップに戻る第6のステップと、
を含む学習支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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