説明

屋根パネル、通気性屋根下地構造、寄棟屋根および分岐屋根の通気構造

【課題】本発明は、屋根の断熱性を確保すると共に通気性を向上せしめ、特に隅部や谷部の結露を防止することを課題とする。
【解決手段】野地面材2と断熱主板3Aとの間に、断熱介挿板3Bの厚み分の通気路4Aが形成され、上記断熱介挿板3Bに横通気路4Bを設けた屋根パネル1Bを、寄棟部17Bと主屋根部17Aの上記寄棟部17Bの両側にあたる部分と、または分岐屋根部17Cおよび上記主屋根部17Aにおける上記分岐屋根部17Cとの境界線より棟側部分と、に使用することによって屋根17に棟通気路11A、隅通気路11B、谷通気路11C、縦通気路4A、横通気路4Bを形成し円滑な換気を確保した屋根の通気構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に通気性を付与するために使用される屋根パネル、および上記屋根パネルを使用した通気性屋根下地構造、寄棟屋根および分岐屋根の通気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図1および図2に示すようなプラスチック発泡体からなる断熱主板3Aの上面に該上面の両側縁に沿ってプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板3Bを貼着することによって構成される断熱材3の複数枚を、上記断熱介挿板3Bの長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って垂木横巾分の間隙を介して野地面材2と上記断熱主板3Aとの間に上記断熱介挿板3Bの厚み分の縦通気路4を形成し、左右の断熱材3の間に垂木嵌合溝5を形成した屋根パネル1Aが提供されている。
上記屋根パネル1Aは屋根骨格の垂木6に被着され、上記屋根パネル1Aの垂木嵌合溝5に上記垂木6が嵌合され、この状態で上記垂木6の上面と上記野地面材2の下面とが面接触して屋根下地構造が構成される。
【0003】
【特許文献1】特開2008−231864号公報
【特許文献2】特開平9−49292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記屋根下地構造にあっては、垂木6と野地面材2との面接触部分には断熱材が存在しないから、熱橋が形成され断熱欠損部となる。そこでこの断熱欠損部を補完する手段としては、垂木6の側面に接触している断熱主板3Aと断熱介挿板3Bの厚みを増やす手段か、あるいは断熱介挿板3Bの横巾を拡大する手段が考えられる。
しかし断熱主板3Aや断熱介挿板3Bの厚みは垂木6の縦巾によって制限され、また断熱介挿板3Bの横巾を拡大すると縦通気路4の横巾がその分縮小され、縦通気路4の断面積が小さくなって充分な換気量が確保されないという問題点がある。
特に寄棟屋根にあっては、寄棟部や主屋根部の寄棟部の両側にあたる部分、あるいは分岐屋根にあっては、分岐屋根部および主屋根部における上記分岐屋根との境界線より棟側部分には湿気が蓄積し易く、充分な換気を確保しないとその部分で結露が生じると云う問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、プラスチック発泡体からなる断熱主板3Aの上面に、該上面の両側縁に沿ってプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板3Bをそれぞれ貼着することによって構成される断熱材3の複数枚を、上記断熱介挿板3Bの長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木6横巾分の間隙を介して野地面材2の下面に接着することによって上記断熱材3間に垂木嵌合溝5を形成し、上記野地面材2と上記断熱主板3Aとの間に上記断熱介挿板3Bの厚み分の縦通気路4Aを形成し、更に上記両側縁の断熱介挿板3Bには一個または二個以上の横通気路4Bを貫通した屋根パネル1Bを提供するものである。
更に本発明は、上記屋根パネル1Bが、垂木嵌合溝5、5Aに屋根骨格の垂木6が介挿されることにより、該屋根骨格上に被着され、該垂木6の上面と前記野地面材2の下面とが面接触した面接触部分で該垂木6と該野地面材2とが接合されている通気屋根下地構造を提供するものである。
また更に本発明においては、主屋根部17Aと、上記主屋根部17Aの両端に形成した寄棟部17Bとからなる寄棟屋根において、プラスチック発泡体からなる断熱主板3Aと、上記断熱主板3Aの上面の両側縁に沿って貼着されプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板3Bとからなる断熱材3の複数枚を、上記断熱介挿板3Bの長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木6横巾分の間隙を介して野地面材2の下面に配設して接着することによって上記断熱材3間に垂木嵌合溝5を形成し、上記野地面材2と上記断熱主板3Aとの間に上記断熱介挿板3Bの厚み分の縦通気路4Aを形成した屋根パネル1Aを使用し、上記屋根パネル1Aは、屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1Aの上記断熱材3の垂木嵌合溝5、5Aに嵌合し、また屋根の軒先にあっては、上記屋根パネル1Aの縦通気路4Aの軒先端を外気に直接開放しておき、上記屋根の棟部171にあっては、棟木7Cに沿って一対の屋根パネル1A、1Aを対向せしめ、該棟木7Cの上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル1A、1A間に棟通気路11Aを設けて、該棟通気路11Aに該屋根パネル1A、1Aの縦通気路4Aの棟側端を開放し、上記寄棟部17Bと上記主屋根部17Aの上記寄棟部17Bの両側にあたる部分と、には上記屋根パネル1Bを使用した寄棟屋根の通気構造が提供される。
この場合、上記主屋根部17Aと上記寄棟部17Bとの境界線である隅部172にあっては、一対の屋根パネル1B、1Bを隅木7Dに沿って対向させ、上記断熱材3の断熱主板3A上面を該隅木7Dの天面と一致せしめて隅木7Dによって該断熱材3の縦通気路4Aが閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル1B、1B間に隅通気路11Bを設けて、該隅通気路11Bに該屋根パネル1Bの縦通気路4Aの隅側端を開放しておくことが望ましく、また上記屋根パネル1B、1Bの野地面材2の上面に屋根材を葺設し、棟部171と隅部172の所定個所に換気部材16を被着することにより、棟通気路11Aと隅通気路11Bとを該換気部材16を介して外気に開放することが望ましい。
更に本発明においては、主屋根部17Aと、上記主屋根部17Aの一側から分岐屋根部17Cが分岐された分岐屋根において、プラスチック発泡体からなる断熱主板3Aと、上記断熱主板3Aの上面の両側縁に沿って貼着されプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板3Bとからなる断熱材3の複数枚を、上記断熱介挿板3Bの長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木6横巾分の間隙を介して野地面材2の下面に配設して接着することによって上記断熱材3間に垂木嵌合溝5を形成し、上記野地面材2と上記断熱主板3Aとの間に上記断熱介挿板3Bの厚み分の縦通気路4Aを形成した屋根パネル1Aを使用し、上記屋根パネル1Aは、屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1Aの上記断熱材3の垂木嵌合溝5、5Aに嵌合し、また屋根の軒先にあっては、上記屋根パネル1Aの縦通気路4Aの軒先端を外気に直接開放しておき、上記屋根の棟部171にあっては、棟木7Cに沿って一対の屋根パネル1A、1Aを対向せしめ、該棟木7Cの上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル1A、1A間に棟通気路11Aを設けて、該棟通気路11Aに該屋根パネル1A、1Aの縦通気路4Aの棟側端を開放し、上記分岐屋根部17Cおよび上記主屋根部17Aにおける上記分岐屋根部17Cとの境界線より棟側部分と、には上記屋根パネル1Bを使用した分岐屋根の通気構造が提供される。
この場合、上記主屋根部17Aと上記分岐屋根部17Cとの境界線である谷部173にあっては、対向する一対の屋根パネル1B、1Bを、谷木7Eを介して対向させ、該断熱材3の断熱主板3A上面を谷木7Eの天面と一致せしめて谷木7Eによって該断熱材3の縦通気路4Aが閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル1B、1B間に谷通気路11Cを設けて、該谷通気路11Cを該屋根パネル1B、1Bの縦通気路4Aを介して棟通気路11Aに連通せしめることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明の屋根パネル1Bを使用した屋根は、上記屋根パネル1Bの垂木嵌合溝5に垂木6を嵌合した状態で、野地面材2の下面と上記垂木6の上面とが断熱材3を介することなく直接接触して熱橋を形成し、断熱欠損部となる。上記断熱欠損部を補完するために上記屋根パネル1Bの断熱介挿板3Bの横巾を拡大すると、断熱主板3Aと上記野地面材2との間に形成されている縦通気路4Aの横巾が縮小されるが、上記屋根パネル1Bの断熱材3の断熱介挿板3Bには横通気路4Bが形成されているので、上記縦通気路4A相互が上記横通気路4Bによって連通し、その結果縦横方向に換気が行われる。
【0007】
〔効果〕
したがって本発明にあっては、断熱材3の垂木嵌合部分の断熱欠損部を補完するために垂木に接している断熱材3の断熱介挿板3Bの横巾を拡大して縦通気路4Aの断面積を縮小しても、充分な換気量が確保出来、屋根の結露、特に寄棟屋根や分岐屋根の結露が効果的に防止出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図1〜図12に示す一実施例によって以下に説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の屋根の通気構造で使用する屋根パネル1Aは、野地面材2と、該野地面材2の下面に接着剤によって接着されている断熱材3とによって構成されている。
上記断熱材3は、断熱主板3Aと、上記断熱主板3Aの上面に該上面の両側縁に沿って貼着される細長の断熱介挿板3Bとからなる。該断熱主板3A及び該断熱介挿板3Bは、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、上下両面にプラスチックフィルムが貼着されている半硬質ポリウレタン発泡体、あるいはフェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体等のプラスチック発泡体を材料として形成されている。
該断熱材3の複数枚は野地面材2の下面に接着されるがこの際、該断熱材3相互は垂木巾を介して(垂木6の巾だけ間隔を空けて)上記断熱介挿板3Bの長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って配置されることにより、一対の断熱材3の間に垂木嵌合溝5が形成されている。そして、該野地面材2と、該断熱材3の断熱主板3Aとの間には、該断熱介挿板3Bの厚み分の縦巾の縦通気路4Aが形成されている。
また、該屋根パネル1Aの両端においては、野地面材2を断熱介挿板3Bの側縁から延出せしめ、該延出部分3Cの横巾を垂木嵌合溝5Aの横巾の1/2に設定しておく。かくして図3に示すように、上記屋根パネル1Aを横方向に配設した状態で、上記屋根パネル1Aの相互間に垂木嵌合溝5Aが形成されることになる。
【0009】
更に図4に示す屋根パネル1Bは、上記屋根パネル1Aの断熱介挿板3Bに一個または二個以上の横通気路4Bを形成したものである。
上記屋根パネル1A、1Bにおいて、例えば断熱主板3Aの厚さは55mm、横巾は410mm、断熱介挿板3Bの厚さは20mm、横巾は30〜120mmの範囲に設定される。そして垂木6の横巾は45mm、野地面材2の厚さは12mm、屋根パネル1A、1Bの全横巾は910mm、横通気路4Bの巾は100mm以上、深さは10mm以上である。
【0010】
本発明が適用される屋根骨格の一例を図5に示す。図5イ)において上記屋根17は両端に寄棟部17Bを形成した寄棟主屋根部17Aの一端から分岐屋根部17Cを分岐させた寄棟分岐屋根であって、棟部171、隅部172、谷部173が存在する。図5ロ)は上記屋根17において屋根パネル1Bが適用される箇所を斜線部にて示した図であり、図中の矢印は本発明における屋根構造の通気方向を示す。
【0011】
図6に示すように、上記屋根パネル1Aは、断熱材3の垂木嵌合溝5,5Aを垂木6に嵌合させることにより、屋根骨格の垂木6上に被着される。
断熱効率を高めるため、該断熱介挿板3Bの厚みは20mm以上とすることが望ましい。そして、該屋根パネル1Aの横方向の相互接続部においては、図6に示すように該断熱材3と垂木6との間に垂木シール材8を介在させることによって気密性を確保している。
【0012】
図7に示すように、主屋根部17Aと分岐屋根部17Cにおいて、該垂木6は、軒桁7A、母屋7B、棟木7Cによって下方側(屋内側)から支持されている。また特に図示はしないが、該垂木6は、軒桁7A、母屋7Bによって下方側(屋内側)から支持され、隅木7Dの側面に接合されている。そして該主屋根部17Aと該分岐屋根部17Cの軒先部にあって該屋根パネル1A(1B)の通気路4Aの軒先側端は、外気に開放されている。
また主屋根部17Aと分岐屋根部17Cの軒先部にあっては、該断熱材3の断熱主板3Aの下面を壁断熱材20の上端に当接させ、さらに該屋根パネル1A(1B)の断熱材3の断熱主板3Aの下面と該壁断熱材20の上端との間に形成された隙間に軒先シール材9を充填することにより、屋根の断熱材3と壁断熱材20との接合部で断熱構造の連続性が断たれることを防止している。該軒先シール材9は、軟質ポリウレタン発泡体、軟質ポリ塩化ビニル発泡体、合成ゴムスポンジ等の軟質プラスチック発泡体からなる。
主屋根部17Aと分岐屋根部17Cの棟部171にあっては、左右の屋根パネル1A,1Aが棟木7Cの上方で互いに突き合わされており、これら屋根パネル1A,1Aの接合部の隙間に棟部シール材10を充填することにより、断熱構造の連続性が断たれることを防止している。該棟部シール材10は、上記軒先シール材9と同様の軟質プラスチック発泡体からなる。該棟部シール材10は、該屋根パネル1Aの通気路4Aを閉塞しないようにするため、該屋根パネル1Aの断熱材3の断熱主板3A間に充填されている。また左右の屋根パネル1A,1A間には、棟部171に沿って棟通気路11Aが形成されており、該屋根パネル1A,1Aの各通気路4A,4Aの棟側端が該棟通気路11Aに開放されるように設定されている。
【0013】
図8に示すように、該屋根パネル1Aの野地面材2の上面には、屋根材12が葺設される。棟部171にあっては、笠木13,13を介して水切り板14が被覆されている。
そして、図9に示すように、棟部171の所定個所には換気部材16が被着されており、主屋根部17Aの該棟通気路11Aが該換気部材16を介して外気に開放されるように設定されている。
図10に示すように、該換気部材16は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックを材料とし、笠形の水切り板16Aと、該水切り板16Aの下面両側に接着される通気性ブロック16Bとからなる。該通気性ブロック16Bには、例えばハニカム状に多数の連通孔が設けられている。
【0014】
図11に示すように、上記主屋根部17Aと分岐屋根部17Cの隅部172において、対向する左右の屋根パネル1B,1Bは、垂木6A上に被着されるとともに、隅木7Dを介して対向しており、さらに上記断熱材3の断熱主板3A上面が隅木7Dの左右天面と一致せしめられている。また左右の屋根パネル1B,1B間には、隅部172に沿って隅通気路11Bが形成されており、該屋根パネル1B,1Bの各通気路4A,4Aの隅側端が該隅通気路11Bに開放されるように設定されている。そして、隅部172の所定個所には換気部材16が被着されており、該隅通気路11Bが該換気部材16を介して外気に開放されるように設定されている。
なお隅木7D側面にはその両側の屋根パネル1B,1Bの断熱材3の端面を密接させ、更に該断熱主板3Aの接合部下端を断熱シール材によってシールして、隅部はその気密性が確保される。
【0015】
上記主屋根部17Aおよび上記分岐屋根部17Cの棟部171にあっては、軒先側の換気は屋根パネル1Aの通気路4Aの軒先端が直接外気に開放していることによって行なわれ、棟側換気は屋根パネル1Aの通気路4Aが棟通気路11Aに開放され、該棟通気路11Aが該換気部材16を介して外気に開放されることによって行なわれる。
また隅部172にあっては、谷部173を除く軒先側の換気は屋根パネル1Bの通気路4Aの軒先端が直接外気に開放していることによって行なわれ、隅側換気は屋根パネル1Bの通気路4Aが隅通気路11Bに開放され、該隅通気路11Bが該換気部材16を介して外気に開放され、更に各屋根パネル1Bの横通気路4Bが、各屋根パネル1Bの通気路4A間の通気を図ることによって行なわれる。
【0016】
一方、谷部173にあっては、図12に示すように、左右の屋根パネル1B,1Bの断熱材3の断熱主板3Aの間に谷木7Eが嵌合された状態とし、該断熱主板3Aの上面、即ち垂木6の上面と谷木7Eの左右天面とを一致させている。その際、左右の屋根パネル1B,1Bの各野地面材2と各断熱材3の断熱介挿板3Bの間には、谷に沿って谷通気路11Cが形成され、該谷通気路11Cの上部を塞ぐように、逆笠形の水切り板14Aが被着されている。なお谷木7E側面には、その両側の屋根パネル1B,1Bの断熱材3の端面を密接させ、更に該断熱主板3Aの接合部下端は断熱シール材10Bによってシールして、気密性を確保する。
【0017】
該谷部173において、屋根パネル1Bの縦通気路4Aの谷側端は、谷通気路11Cに開放され、また該屋根パネル1Bの縦通気路4Aの棟側あるいは隅側は、棟部171の棟通気路11A、あるいは隅部172の隅通気路11Bに開放され、各屋根パネル1Bの縦通気路4A間は横通気路4Bによって連絡されている。
上記谷部173の換気は、谷通気路11Cが屋根パネル1Bの縦通気路4Aを介して棟部171の棟通気路11A、あるいは隅部172の隅通気路11Bに開放され、該棟通気路11Aまたは隅通気路11Bが該換気部材16を介して外気に開放され、更に各屋根パネル1Bの横通気路4Bによって各屋根パネル1B間の通気を図ることによって行なわれる。従って、谷部173に集中しようとする湿気は、谷通気路11Cに集まりつつ、通気路4Aを介して棟部171の棟通気路11A、あるいは隅部172の隅通気路11Bに流れ、該棟通気路11Aまたは隅通気路11Bから換気部材16を介して外気に開放されるため、谷部173の結露が防止される。
上記実施例では、寄棟部と分岐屋根部との両方を有する屋根を取り上げたが、本発明は寄棟部のみを有する屋根あるいは分岐屋根部のみを有する屋根に適用されてもよい。
なお、屋根パネル1Bは主屋根部17A全体に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明においては、屋根構造の断熱欠損部を補完して屋根断熱効果を向上させた場合でも、特に寄棟部や分岐屋根部において効率よく屋根の換気を図る事が出来、もって結露を効果的に防止するものであるから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1〜図12は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】屋根パネル1Aの部分斜視図である。
【図2】屋根パネル1Aの横断面図である。
【図3】屋根パネル1Aを横方向に配設した状態を示す横断面図である。
【図4】屋根パネル1Bの部分斜視図である。
【図5】寄棟分岐屋根の説明図である。
【図6】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態の部分横断面図である。
【図7】図5におけるA−A断面図である。
【図8】棟部の横断面図(水切り板取付け部分)である。
【図9】棟部の横断面図(換気部材取付け部分)である。
【図10】換気部材の正面図である。
【図11】図5におけるB−B断面図である。
【図12】図5におけるC−C断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1A,1B 屋根パネル
2 野地面材
3 断熱材
3A 断熱主板
3B 断熱介挿板
4A 縦通気路
4B 横通気路
5,5A 垂木嵌合溝
6,6A 垂木
7C 棟木
7D 隅木
7E 谷木
8,9,10 シール材
11A 棟通気路
11B 隅通気路
11C 谷通気路
16 換気部材
17 屋根
17A 主屋根部
17B 寄棟部
17C 分岐屋根部
173 谷部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック発泡体からなる断熱主板の上面に、該上面の両側縁に沿ってプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板をそれぞれ貼着することによって構成される断熱材の複数枚を、
上記断熱介挿板の長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木横巾分の間隙を介して野地面材の下面に接着することによって上記断熱材間に垂木嵌合溝を形成し、
上記野地面材と上記断熱主板との間に上記断熱介挿板の厚み分の縦通気路を形成し、
更に上記両側縁の断熱介挿板には一個または二個以上の横通気路を貫通した
ことを特徴とする屋根パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根パネルが、垂木嵌合溝に屋根骨格の垂木が介挿されることにより、該屋根骨格上に被着され、該垂木の上面と前記野地面材の下面とが面接触した面接触部分で該垂木と該野地面材とが接合されている
ことを特徴とする通気屋根下地構造。
【請求項3】
主屋根部と、上記主屋根部の両端に形成した寄棟部とからなる寄棟屋根において、
プラスチック発泡体からなる断熱主板と、上記断熱主板の上面の両側縁に沿って貼着されプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板とからなる断熱材の複数枚を、
上記断熱介挿板の長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木横巾分の間隙を介して野地面材の下面に配設して接着することによって上記断熱材間に垂木嵌合溝を形成し、
上記野地面材と上記断熱主板との間に上記断熱介挿板の厚み分の縦通気路を形成した屋根パネルを使用し、
上記屋根パネルは、屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの上記断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、また屋根の軒先にあっては、上記屋根パネルの縦通気路の軒先端を外気に直接開放しておき、
上記屋根の棟部にあっては、棟木に沿って一対の屋根パネルを対向せしめ、該棟木の上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル間に棟通気路を設けて、該棟通気路に該屋根パネルの縦通気路の棟側端を開放し、
上記寄棟部と、上記主屋根部の上記寄棟部の両側にあたる部分と、には請求項1に記載の屋根パネルを使用した
ことを特徴とする寄棟屋根の通気構造。
【請求項4】
上記主屋根部と上記寄棟部との境界線である隅部にあっては、
一対の屋根パネルを隅木に沿って対向させ、上記断熱材の断熱主板上面を該隅木の天面と一致せしめて隅木によって該断熱材の縦通気路が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル間に隅通気路を設けて、該隅通気路に該屋根パネルの縦通気路の隅側端を開放しておく
請求項3に記載の寄棟屋根の通気構造。
【請求項5】
上記屋根パネルの野地面材の上面に屋根材を葺設し、棟部と隅部の所定個所に換気部材を被着することにより、棟通気路と隅通気路とを該換気部材を介して外気に開放した
請求項3または請求項4に記載の寄棟屋根の通気構造。
【請求項6】
主屋根部と、上記主屋根部の一側から分岐屋根部が分岐された分岐屋根において、
プラスチック発泡体からなる断熱主板と、上記断熱主板の上面の両側縁に沿って貼着されプラスチック発泡体からなる細長の断熱介挿板とからなる断熱材の複数枚を、
上記断熱介挿板の長手方向である縦方向に直交する横方向に沿って、垂木横巾分の間隙を介して野地面材の下面に配設して接着することによって上記断熱材間に垂木嵌合溝を形成し、
上記野地面材と上記断熱主板との間に上記断熱介挿板の厚み分の縦通気路を形成した屋根パネルを使用し、
上記屋根パネルは、屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの上記断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、また屋根の軒先にあっては、上記屋根パネルの縦通気路の軒先端を外気に直接開放しておき、
上記屋根の棟部にあっては、棟木に沿って一対の屋根パネルを対向せしめ、該棟木の上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル間に棟通気路を設けて、該棟通気路に該屋根パネルの縦通気路の棟側端を開放し、
上記分岐屋根部および上記主屋根部における上記分岐屋根部との境界線より棟側部分と、には請求項1に記載の屋根パネルを使用した
ことを特徴とする分岐屋根の通気構造。
【請求項7】
上記主屋根部と上記分岐屋根部との境界線である谷部にあっては、
対向する一対の屋根パネルを、谷木を介して対向させ、
該断熱材の断熱主板上面を谷木の天面と一致せしめて谷木によって該断熱材の縦通気路が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル間に谷通気路を設けて、該谷通気路を該屋根パネルの縦通気路を介して棟通気路に連通せしめた
請求項6に記載の分岐屋根の通気構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−121378(P2010−121378A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296843(P2008−296843)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000104548)キッコーナ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】