説明

履物

【課題】 違和感なく履くことかでき、いずれの場所であっても磁着可能な箇所があるとそこに磁着させて保管できるようにした履物を提供する。
【解決手段】 履物本体(20,20')とソール(30,30')とから履物(10,10')を構成する。ソールは低発泡合成樹脂材料で製作し、ソール上面にはソール厚みの1/2以上の深さを有する凹部(31,31')を形成し、凹部内には磁石板(40,40')をソール上面と面一になるように嵌め込む。履物本体は軟質な合成樹脂材料を用いて有底形状に製作し、その底面はソール上面に固着する。履物は磁着可能な外面にソールを磁着させて保管する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関し、特に違和感なく履くことができ、しかもいずれの場所であっても磁着可能な箇所があるとそこに磁着させて保管でるようにした履物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、風呂場を掃除する場合、床面が風呂の湯や水で濡れていることから、靴下を履いたままで浴室に入ると、靴下がぬれてしまう一方、靴下を脱いで裸足で浴室に入ると足裏が濡れてしまうばかりでなく、冬期には足裏が非常に冷える。
【0003】
そこで、風呂場用ブーツが商品化されているが、風呂場用ブーツはこれを使用しないときには浴室や脱衣所にそのまま脱いでおいたり、スリップ立てに立て掛けたりすることが行われていたが、浴室や脱衣所内の狭いスペースが風呂場用ブーツによって更に狭く感じ、邪魔になっていた。
【0004】
これに対し、ベースにフックを設けてブーツ掛けとし、ベース裏面の磁石を洗濯機の外面などに磁着させ、ベースのフックに風呂場用ブーツを引っ掛けて保管するようにした方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、スリッパの底部に磁石を設け、ボードなどに磁着させて保管する方法、スリッパなどの履物の底部を磁性材料で構成し、壁面に設けた磁石に磁着させて保管する方法、が提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4))。
【0006】
なお、従来より、履物の底部や中敷に磁石を突出して設け、磁力線と磁石の刺激によって足裏の血行を促進するという考え方が知られている(特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−159410号公報
【特許文献2】実用新案登録第3122235号公報
【特許文献3】実開昭60−158471号公報
【特許文献4】実開昭57−192301号公報
【特許文献5】特開20060129989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、3、4記載の方法ではブーツや履物を履いたまま風呂場から他の場所、例えばトイレまで移動してトイレを掃除した後にはブーツ掛けや磁石のある風呂場まで戻ってブーツをフックに引っ掛けあるいは磁着させる必要があり、非常に煩わしかった。
【0009】
また、人間の足裏の皮膚は非常に敏感であり、例えば靴内に小石が入り込んで足裏に当たると、違和感だけでなく苦痛を感じるほどであるが、特許文献2記載の方法ではこのような点については全く考慮されておらず、磁石の違和感を感じ、長時間にわたって履くと苦痛を感じるおそれがある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑み、違和感なく履くことができ、いずれの場所であっても磁着可能な箇所があるとそこに磁着させて保管できるようにした履物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明に係る履物は、履物本体とソールとからなり、上記ソールは低発泡合成樹脂材料で製作され、ソール上面にはソール厚みの1/2以上の深さを有する凹部が形成され、該凹部内には磁石板がソール上面と面一になるように嵌め込まれている一方、上記履物本体は軟質な合成樹脂材料を用いて有底形状に製作され、その底面は上記ソール上面に固着されており、磁着可能な外面に上記ソールを磁着させて保管し得るようになしたことを特徴とする。
【0012】
本発明の特徴の1つは履物を履物本体とソールとから構成し、ソールに磁石板を設けるようにした点にある。これにより、磁着可能な箇所、例えば風呂場に置かれた洗濯機の外面にブーツを磁着させることにより、邪魔になることなく保管することができる。
【0013】
また、風呂場以外の場所で履物を使用した場合にも、履物を磁着可能な箇所、例えばトイレや洗面所の鉄系金属材料の箇所に磁着させることにより、風呂場まで戻ることなく保管することができる。
【0014】
ところで、磁石板をソールの裏面に露出させることが考えられるが、その場合には磁石板によって風呂場その他の場所の床面、例えば床面のタイルを傷つけるおそれがある。本発明の第2の特徴はソールの上面に凹部を形成して磁石板を面一に嵌め込むようにした点にある。これにより、磁石板が床面のタイルなどを傷つけることはなく、不安なく使用できる。
【0015】
また、本発明の第3の特徴は履物本体を軟質の合成樹脂材料で有底形状に製作し、ソールを低発泡合成樹脂材料で製作し、しかも凹部をソール厚みの1/2以上、好ましくは1/2以上3/4以下の深さに形成して磁石板をソール上面と面一に嵌め込み、履物本体の底面をソールの上面に面一に固着するようにした点にある。
【0016】
これにより、合成樹脂材料性の底部によって磁石板が直接足裏に当たらず、しかも磁石板下側のソール部分がクッションとなって床面からの衝撃が磁石板に直接的に伝わらず、さらには磁石板がソール上面と面一であるので、履物を履いたときに感じる違和感を少なくできる。
【0017】
また、違和感が大きい場合には足裏の土踏まず部分に対応するソールの部位に凹部を形成し、その凹部に磁石板を嵌め込むようにすると、硬い磁石板が足裏を直接的に刺激せず、違和感をより少なくできる。
【0018】
履物本体及びソールの材料は特に限定されないが、市販の風呂場用ブーツと同様の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などを用いることができる。履物本体についてはブロー成形によって製作するのがよい。
【0019】
また、人間の足裏の皮膚は非常に敏感であり、例えば靴内に小石が入り込んで足裏に当たると、違和感だけでなく苦痛を感じるほどである。
【0020】
本発明に係る履物は風呂場、トイレや洗面所などの水回り用ブーツに適用すると、その効果が大きいが、室内で履くことのできるスリッパに適用しても同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る履物の好ましい実施形態を示す。図において、ブーツ(履物)10はブーツ本体(履物本体)20とソール30とから構成されている。
【0022】
ソール30は低発泡合成樹脂材料、例えば低発泡のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いて4mmの厚みに製作され、その上面には足裏の土踏まず部分にほぼ対応する部位に3つの凹部31が形成され、3つの凹部31はソール30の厚みの1/2以上の深さ、例えば約3mmの深さに形成され、この凹部31内には磁石板40がソール30の上面と面一となるように嵌め込まれている。
【0023】
ブーツ本体20は軟質の合成樹脂材料、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いて0.5〜0.8mm程度の厚みでかつ有底形状に製作され、ブーツ本体20の底面はソール30の上面に溶着されている。
【0024】
本例のブーツ10を製造する場合、低発泡合成樹脂材料、例えば低発泡のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いて4mmの厚みのソール30を製造する。製造方法はこの種のソールに採用されている公知の方法、例えば金型による射出成形などによって製造することができる。
【0025】
このソール30の製造時に、ソール30の上面に3つの凹部31を成形するが、通常のソール30を製造した後、3つの凹部31を機械加工によって形成してもよい。
【0026】
こうしてソール30の準備ができると、ソール30をブロー成形用金型50、51にセットする一方、溶融した軟質の合成樹脂材料、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いてパリソンを成形し、このパリソンをブロー成形用金型50、51にセットし、エアーの吹込み口52からエアーを吹込み、パリソンを金型50、51のキャビティ形状、つまりブーツ本体20の形状に成形すると、ブーツ本体20の底面とソール30の上面とが溶着される。
【0027】
最後に、金型50、51を開き、成形品を取り出して不用部分をカットすると、製品のブーツ10が得られる。このブーツ10はソール30に磁石板40が埋め込まれており、ブーツ10を鉄系素材に磁着させて保管することができるので、風呂場、洗面所、トイレなどの水回り場において磁着可能な素材、例えば鉄系素材の箇所があれば、その場所で邪魔になることなく保管することができる。
【0028】
また、ソール30の上面に凹部31を形成して磁石板40を面一に嵌め込むようにしたので、磁石板40によって床面のタイルなどが傷つくおそれはなく、不安なく使用することができる。
【0029】
さらに、ブーツ本体20を有底形状とし、底面をソール30の上面に固着し、さらにはソールの凹部をソール30の厚みの3/4の深さとして磁石板40を面一に嵌め込むようにしたので、硬い磁石板40が足裏を突き上げあるいは当たることはなく、ブーツ10を履いた人が感じる違和感は少ない。
【0030】
特に、足裏の土踏まず部分に対応するソール30の部位に凹部31を形成し、その凹部31に磁石板40を嵌め込むようにしたので、硬い磁石板40が足裏を直接的に刺激せず、違和感をより少なくできる。
【0031】
図5及び図6は第2の実施形態を示し、これはスリッパに適用した例である。図において、スリッパ(履物)1’はスリッパ本体(履物本体)20’とソール30’とから構成され、ソール30は低発泡合成樹脂材料、例えば低発泡のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いて4mmの厚みに製作され、その上面には足裏の土踏まず部分にほぼ対応する部位に3つの凹部31’が形成され、3つの凹部31’はソール30’の厚みの1/2以上の深さ、例えば約3mmの深さに形成され、この凹部31内には磁石板40’がソール30’の上面と面一となるように嵌め込まれている。
【0032】
スリッパ本体20’は軟質の合成樹脂材料、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料を用いて0.5〜0.8mm程度の厚みでかつ有底形状に製作され、スリッパ本体20’の底面はソール30’の上面に溶着されている。
【0033】
図7は本例のスリッパの製造に用いる金型の1例を示し、50’は下型、51’は上型、52’はエアーの吹き込み口である。本例のスリッパ1’の製造方法は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る水回り用ブーツの実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】上記実施形態を示す要部断面図である。
【図3】上記実施形態を示す分解斜視図である。゛
【図4】上記実施形態の製造方法を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態を示す概略斜視図である。
【図6】上記実施形態を示す要部断面図である。
【図7】上記実施形態で用いる金型を説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ブーツ(履物) 10’ スリッパ(履物)
20 ブーツ本体(履物本体)
20’ スリッパ本体(履物本体)
30、30’ ソール 31、31’ 凹部
40、40’ 磁石板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物本体とソールとからなり、
上記ソールは低発泡合成樹脂材料で製作され、ソール上面にはソール厚みの1/2以上の深さを有する凹部が形成され、該凹部内には磁石板がソール上面と面一になるように嵌め込まれている一方、
上記履物本体は軟質な合成樹脂材料を用いて有底形状に製作され、その底面は上記ソール上面に固着されており、磁着可能な外面に上記ソールを磁着させて保管し得るようになしたことを特徴とする履物。
【請求項2】
水によって濡れる可能性のある水回り場で履くのに適したブーツである請求項1記載の履物。
【請求項3】
室内で履くことのできるスリッパである請求項1記載の履物。
【請求項4】
上記凹部が足裏の土踏まず部分に対応する上記ソールの部位に設けられている請求項1記載の履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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