説明

工作機械における工作物の機械加工シーケンスシミュレーション装置

【課題】本発明は、工作機械の動作シーケンスのシミュレーションを可能にしさらにシミュレーションを改善した工作機械において、シーケンスのシミュレーション装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレーションするための装置に関し、全体的なシミュレーションアプローチを特徴とする。PLC制御手段723とPLCシーケンスシミュレーション手段725は、工作機械のPLC動作シーケンスをシミュレーションを支援し、これにより、全ての実質的な態様において、工作機械のリアルなシミュレーションを可能にする。その結果、特に訓練や機械稼働時間の判定中において、非常に有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械における工作物の機械加工シーケンスシミュレーション装置に関する。特に、CNC(コンピュータ数値制御)工作機械におけるシーケンスのシミュレーションを可能とする。
【背景技術】
【0002】
CNCという用語は、制御機能を実行するための1つまたは複数のマイクロプロセッサを有する数値制御のことである。CNCの外観的特徴は、ディスプレイ画面とキーボードである。数値制御(CNC)は、内挿、姿勢制御及び速度制御などのような、全ての必要な機能を網羅するCNCプログラムにより制御される。1つまたは複数のマイクロプロセッサとCNCプログラムとを使用して、通常、工作機械の操作者により指定されるCNC部品プログラムが、工作物に応じて実行される。
【0003】
CNC部品プログラムは、工作物を機械加工する工作機械の作業シーケンス全体を順に段階的に記述する文からなり、前記文は何行でもよい。プログラム内の各文は、形状の機械加工工程及び/または特定の工作機械の機能を意味している。文は、異なる命令を有することも可能である。
識別は以下の間で行われる。
・工具と工作物との間の相対運動を制御する形状に関連する命令
・送り速度、スピンドル速度及び工具を決定する技術に関連する命令
・例えば、急速動作、直線内挿、円弧補間及びレベル選択などの動作種類を決 定する移動に関する命令
・工具の選択、テーブル位置の指標付け、冷却液供給に関するスイッチング命 令
・例えば、工具の長さの補正、フライスカッター直径の補正、刃先半径の補正 及びゼロ点補正に関する補正コール
・頻繁に再帰するプログラム部分のサイクルコールまたはサブプログラムコー ル
数値制御、CNCプログラム及びCNC部品プログラムとは別に、工作機械の製造業者により作製されプログラム内蔵型論理制御(SPS:PLCプログラム可能論理制御装置)に作製または組込まれる被制御工作機械の論理制御プログラム(PLCプログラム)が、追加的に必要とされる。その中で、工具の変更、工作物の変更及び軸制限のような特定の機能シーケンスに関する全ての機械指向リンケージ及びインターロックが決定される。
【0004】
いくつかのCNCとPLCとにおける更なる制限に関する差異について重視することを目的とする。工作物を機械加工するためのCNC部品プログラムは、工作機械の操作者により作成される。CNC部品プログラムは、任意に操作者により変更または改良することが可能である。
【0005】
また、工作機械による工作物上の除去のシミュレーションに関するシミュレーションシステムは、先行技術により公知である。このような方法において、工作物及び工作機械による該工作物上で行われる除去は、例えば、3次元的に視覚化され、視覚化された工作物は様々な角度から見ることが可能である。
【0006】
これにより、工作物及び工作機械の一部を視覚化するグラフィカルな環境において、ユーザがシステムの仮想モデル上でテストできる機械加工シーケンスを指定可能であり、その後、前記シーケンスがCNC部品プログラムに変換されるシステムは公知である。
【0007】
先行技術として上記に説明した例は特許文献1に記載されている。当該明細書中で説明されているシステムは、少なくとも1つの仮想操作ユニットを使用することにより、仮想工作物に関するCNC部品プログラムの作成が可能となっている。このシステムにおいて、ユーザはデータ入力手段を使用して、仮想動作を指定することができる。仮想操作ユニット上における所定の仮想動作は、所定の機械及び制御の設定を考慮して、無衝突動作を行う制御プログラムの制御命令に自動的に変換される。このシステムでは、ユーザは機械及び制御装置の設定を知る必要はない。ユーザは単に、シミュレートされる仮想動作及び仮想操作ユニットに集中することができるように、複雑な機械及び制御装置を設定する主体は、ユーザからデータ処理手段に移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0902343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、PLCプログラムは、工作機械製造業者により作成され、例えばROM(読み出し専用メモリ)に記憶されている。PLCプログラムは、特に操作中にPLCにおいてプログラミングの実行がされないような例外的な状況においてのみ、差換えまたは変更が必要となる。そのような状況では、PLCプログラムは、各PLC(プログラム内蔵論理制御装置)に対して作製されなくてはならず、他社製のPLCに対してコンパイルされることができない。この大きな差異によって、各工作機械毎に、数千ものCNC部品プログラムを用意することとなりかねない。CNC部品プログラムは工作機械操作者により作成されるが、固定サイクル及びサブプログラムは可能な限り製造業者により供給されなければならない。通常、1つのPLCに対する固定された特定の現場仕様のプログラムが1つのみある。たいていは、利用可能な操作ユニットを使用することで、工作機械の製造業者によりプログラムは作成される。
【0010】
先行技術を発端として、本発明は、工作機械の動作シーケンスのシミュレーションを可能にしさらにシミュレーションを改善した工作機械において、シーケンスのシミュレーションに関する装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、請求項1に記載された特徴を備える装置により目的が達成される。
【0012】
本発明の効果及び好適な実施例は、下位クレームに記載してある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ユーザが目にする本発明に係る装置の実施形態を示している。
【図2】視覚化された工作機械の一例を示している。
【図3】仮想操作者用机が挿入された視覚化された工作機械を示している。
【図4】動作シーケンスの視覚化の一例を示している。
【図5】実際の工作機械のユーザが目にする視覚化のリアルさを示している。
【図6】仮想CNC表示手段を示している。
【図7】本発明に係る装置の実施形態のダイアグラムである。
【図8】工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の第1部分のフローチャートである。
【図9】工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の第2部分のフローチャートである。
【図10】工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の第3部分のフローチャートである。特に、CNCデータ及びPLCシミュレーションデータの作成に関して示している。
【図11】工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の第4部分のフローチャートである。特に、全体シミュレーションデータの作成に関して示している。
【図12】PLC工作機械シーケンスデータを作成する方法の実施形態のフローチャートである。
【図13】本発明に係るPLCシーケンスシュミレーション手段における実施形態のダイアグラムである。
【図14】本発明に係るPLCシーケンスシミュレーション手段における実施形態のユーザインターフェイスである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、工作機械における工作物を機械加工するための手順をシミュレートする装置について説明する。本発明によると、この装置は、工作機械の仮想イメージを作成するための工作機械データを記憶する第1記憶手段と、少なくとも1つの工作物の仮想イメージを作成するための工作物データを記憶する第2記憶手段と、少なくとも1つのリソースの仮想イメージを作成するためのリソースデータを記憶する第3記憶手段と、を備える。
【0015】
これらの手段により、工作機械のリアルなイメージの作成に必要とされるデータが提供される。これは、ツールテーブルと工作物のみとではなく、シミュレーション中に締付け状況を詳細に表すことも可能となる。さらに、例えば、防護キャブを有している場合を含め、工作機械の様々な設定を示すこと、即ち、工作物と工具と共にツールテーブルのみを表示するための外観図または近接図として、表示することも可能である。対応データは、全体シミュレーション装置に対応手段により供給される。その結果、工作物及び工具を装備した工作機械が仮想的に作り出される。
【0016】
特にリアルな工作機械における工作物の機械加工工程の表示は、本発明によると、CNC制御手段と、PLC制御手段と、それらの間において必要なデータ交換を行うPLCシーケンスシミュレーション手段と、を提供することにより実現される。そうすることで、入力手段等の対応手段により提供される制御データで、CNC制御手段は、工作機械及び/または工作機械の対応状態における対応制御信号に応じて、ユーザまたはデータ記憶媒体によりCNCデータを作成する。
【0017】
本発明の装置において、PLCシミュレーションは特に重要である。本発明では、PLC制御出力データを作成するためのPLC制御手段と、PLCシミュレーションデータを作成するためのPLCシーケンスシミュレーション手段と、PLC制御出力データに応じたPLC制御入力データと、機械加工データと、の相互関係によりPLCシミュレーションが実現される。ここで、PLC制御手段の機能とは、PLC制御出力データを作成することである。これらは、例えば、CNC部品プログラムの文に応じて読み出され、工作機械の機械加工状態を参照する命令に対応することが可能である。それに応じて、PLCシーケンスシミュレーション手段は、工作機械の操作状態をPLC制御手段に通知するPLC制御入力データを作成する。このことにより、CNC及びPLC制御により出力される命令を有する加工作業の完全なシーケンスを記述することが可能となる。
【0018】
また、PLCシーケンスシミュレーション手段は、PLC制御動作シーケンスを記述するPLCシミュレーションデータを生成する。全体シミュレーション手段は、PLCシミュレーションデータ及びCNCデータを受取り、それにより、CNC制御手段、PLC制御手段及びPLCシーケンスシミュレーションと共同して、最初に、実際の工作機械で実行できる全ての動作シーケンスをシミュレートできるようにする。
【0019】
このコンセプトに基づき、本発明の装置は、実際の工作機械が有するような全ての機能が、容易な方法でシミュレーションに組込まれる仕組みを提供する。例えば、テーブル、ヘッド及びスピンドルのオーバーライドまたは手動での移動操作などの機械加工機能は、適切なモジュールにより容易な方法でシミュレーションに表示される。これにより、工作機械における実際のデータ処理シーケンスに広く適用され、必要であれば、逐次的に修正され得るデータ処理技術に関する基本的な仕組みを提供することが可能となる。
【0020】
即ち、CNC制御手段、PLC制御手段、PLCシーケンスシミュレーション手段及び全体シミュレーション装置間の相互関連は、特に工作物を機械加工する際に、対応する部分機能を考慮することにより、特に現実に近いシミュレーションを提供する全体的なシミュレーションアプローチを実現する。
【0021】
これにより、本発明のシミュレーション装置は、現在のところ、従来のシミュレーションアプローチに近いタスクを実行することが可能である。例えば、切迫した衝突、特にPLCシーケンスにより引き起こされる衝突を全て検知する。例えば、工具の自動変更(工具オートメーション)及び工作物の自動変更(工作物オートメーション)も同様に、シミュレートすることが可能である。このような方法で、例えば、工具入れのフラップが閉じている場合に工具変更を実行すること、スピンドルに他の工具がまだ締付けられているにも関わらずスピンドルに工具を受入れること、またはスピンドルから外された工具を他の工具が納まっている工具入れの場所に戻すこと、による衝突を検知することが可能である。工作物オートメーションのシミュレーションのフレーム内において、例えば、円形または棚形などに形成することもできるパレット収納庫もシミュレートすることが可能である。例えば、工作機械にパレットが導入される際に衝撃が起こるような、工具がパレット上に誤って締付けられていることにより引き起こされる衝突を検出することが可能である。
【0022】
さらに、本発明のシミュレーション装置は、PLC制御手段が実際のPLC制御装置の動作を再現可能であることと、PLCシーケンスの適時な動作の実際に近いシミュレートが可能なPLCシーケンスシミュレーション手段と相互関連することと、により実際に近い機械稼働時間の概算が可能である。工作物の生産コストの大部分は、機械稼働時間に関係しているため、本発明のシミュレーション装置により、素早くかつ正確に工作物の生産コストを見極めることが可能となる。
【0023】
好ましくは、CNC制御手段は、実際のCNC制御のCNCプログラムのソースコードから作成されたCNCプログラムからなる。
【0024】
それは、実際の工作機械に関する制御の製造業者が高水準プログラミング言語で当該業者用のCNCプログラムを作成し、CNC制御のオペレーティングシステム(OS)用に当該CNCプログラムをコンパイルすることが、その背景にあるからである。本発明によると、高水準プログラムミング言語で記述されたこのCNCプログラムは、本実施形態に使用され、当該CNCプログラムから作成されたCNCプログラムのバージョンは、市販のコンピュータにより実行可能である。これにより、CNC制御手段は、実際のCNC制御手段の正確な複製であり、PCにおいて実行可能なものとすることができる。
【0025】
好ましくは、PLC制御手段は、実際のPLC制御のPLCプログラムまたは当該プログラムのソースコードから作成されたPLCプログラムを備える。
【0026】
この場合の背景も、CNCプログラムの背景に類似している。実際のPLC制御のPLCプログラムが直接PLC制御手段により実行される場合、実際のPLC制御のPLCプログラムは、本実施形態において、如何なる変更もなしに適用される。しかしながら、たいていは、PLC制御手段の製造業者は、高水準プログラミング言語でPLCプログラムを組み、PLC制御のOSに合わせてプログラムをコンパイルする。このような場合、高水準プログラミング言語で記述されたこのPLCプログラムを正確に利用して、市販のコンピュータで実行可能なようにこのプログラムをコンパイルまたはインタープリトするのが好ましい。PLC制御手段も、実際のPLC制御手段の正確な複製であることが可能である。
【0027】
好ましい実施形態において、制御データを提供する手段は、CNC部品プログラムが実際の工作機械で実行可能なので、少なくとも1つのCNC部品プログラムを記憶する記憶手段を備える。
【0028】
本発明の装置において、実際の工作機械で実行されるようなCNC部品プログラムに対応するCNC部品プログラムは、記憶され使用されることが可能である。全般的に見て、実際の工作機械を現実に近い形でシミュレートできることが有利な点である。
【0029】
好適には、さらに、制御データを提供する手段は、工作機械の動作状態を変更するために、ユーザによる制御データの手動入力用の入力手段を備える。
【0030】
この入力手段により、全体シミュレーションのフレーム内で再生される制御命令を、ユーザが手動で入力可能となる利点が得られる。例えば、誰かが工作機械チャンバーのドアを仮想的に開いた場合、ヘッド及びスピンドルを手動で移動させた場合、もしくは冷却液供給を開始または終了する場合などである。この機能性により、CNC工作機械の操作者の訓練が可能である。単なるシミュレーションのため、訓練課程において、訓練生は工作機械を損傷することがない。しかし、工作機械の仮想イメージとはいえ、現実感を伴うものである。ユーザが実際の工作機械に入力または入力しなければならない全ての手動入力も、シミュレーション上の工作機械に入力可能である。そのため、現実感はあるが、コスト効率の高く危険の伴わない訓練が可能となる。
【0031】
好適には、入力手段は、工作機械でCNCプログラムを実行する際に、CNC部品プログラムと変更された送り速度及び回転速度とにそれぞれ従い、送り速度と回転速度との比率としてオーバーライドをそれぞれ入力するためのオーバーライド入力手段を備える。このオーバーライド入力手段を用いて、実際の工作機械のノブを回すオーバーライドをエミュレートする。ノブを回すこのオーバーライドを使用することで、CNC工作機械のユーザは、新たにインストールされたCNC部品プログラムを初期段階でゆっくりと実行させて、更に確実にシーケンスをチェックし衝突を防止できる。
【0032】
また、有利な実施形において、入力手段は、スピンドル、ヘッド及び/またはテーブルを手動で移動するための制御データを入力する手動移動パス入力手段を備える。この手動移動パス入力手段を用いることで、シミュレーションのユーザは、スピンドル、ヘッド及び/またはテーブルを実際の工作機械のもののように手動で移動可能である。その結果、シミュレーションは、この点についても、実際の工作機械をリアルに表示する。
【0033】
また、入力手段は、工作物を締付ける制御データを入力するための締付け入力手段を備える。この締付け入力手段は、シミュレーションのユーザが、工作物の締付けを練習し、CNC部品プログラムのシーケンスに関する工作機械の仮想イメージを準備することが可能である。
【0034】
また、入力手段は、好適には、ゼロ点を確定するゼロ点決め入力手段を備える。このゼロ点決め入力手段を使用して、シミュレーションのユーザは、実際の工作機械で行うようにゼロ点を確定することが可能である。工作物のゼロ点の確定は、実際の操作において非常に重要な役割を担っている。ゼロ点決め入力手段を用いて、ユーザはゼロ点の確定を練習することができる。
【0035】
有利な実施形態において、入力手段はさらに、工作機械が操作即応性の状態に達するために実際の工作機械を起動した後に、工作機械の操作者により入力される制御データを手動で入力するスイッチオン手順入力手段を備える。このスイッチオン手順入力手段を使用して、工作機械が起動された後に、工作機械を操作即応性の状態にするために、実際の工作機械において必要な全ての手動入力が行われる。これらのスイッチオン命令は、例えば、工具の挿入や締付けなどが可能なようにドアの開閉を含む。
【0036】
好ましい実施形態において、入力手段は、好適には、CNC操作パネル及び/またはPLC操作パネルを有する、実際の工作機械の操作者用机を備える。一方では、実際の操作者用机と、他方では、本発明のシミュレーション装置によりレンダリング可能となった機械加工操作の全体的シミュレーションと、の組合わせにより、初歩的段階にあるユーザに対して、実際の工作機械で仕事をする感覚を直接持てるため、擬似的な現実を提供することができる。即ち、実際に近い訓練が可能となる。
【0037】
また、入力手段は、実際の操作者用机の仮想イメージである仮想的な操作者用机を備える。好適には、仮想的な操作者用机は、接続されたマウスの使用またはタッチセンサ式のモニタを介して、操作することが可能である。実際の操作者用机を購入したくないユーザに関してでさえ、仮想的な操作者用机により、実際に近い操作状況が作り出される。
【0038】
好適には、PLC制御手段は、制御データに応じたPLC制御出力データを作成することが可能である。この利点は、工作機械チャンバーのドアを開く命令のような、入力手段を介する制御データの入力がPLC制御手段により実行されることが可能なことである。
【0039】
しかしながら、PLC制御手段は制御データを直接実行する際にアクティブになるだけでなく、CNC制御手段がCNC部品プログラムを実行し、それにより、いくつかの命令の実行をPLC制御手段に任せる状況も頻繁に発生する。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、CNC部品プログラム内の文の選択が、入力手段と、CNC部品プログラムの開始時点における全体シミュレーションデータを作成する全体シミュレーション手段と、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを表示するために、選択された文の位置において選択された文から開始する全体シミュレーションデータを視覚化する視覚化手段と、を介して可能となるように適用される。
【0041】
従って、この好ましい実施形態において、入力手段を介してCNC部品プログラム内のセンテンスを選択することが可能である。よって、ユーザはこのセンテンスの位置における動作シーケンスを確認したいことを示す。この位置において視覚化を開始できるように、部品プログラムがこの位置で有している工作機械の状態を作り出すことが必要である。よって、ある種の高速経路における開始地点から、部品プログラムは実行される。しかしながら、視覚化は選択されたセンテンスからのみ開始する。選択可能なセンテンスから視覚化を開始できるということは、訓練分野において新たな訓練方法の機会を広げるものである。
【0042】
好適には、表示手段は、実際の工作機械の実際のCNC表示手段を備える。従って、実際の工作機械のそばに立つユーザの感覚がさらに向上し、実際に近い訓練が可能である。
【0043】
また、表示手段は、実際の工作機械の実際のCNC表示手段の仮想イメージである仮想CNC表示手段を備える。これは、市販のディスプレイ画面に実際のCNC表示手段を真似たことを意味する。たとえ実際のCNC表示手段が利用可能でなくても、これにより実際に近い訓練状況を作り出す。
【0044】
好適には、視覚化手段は、全体シミュレーションデータを3次元的に視覚化するために適用する。これにより、実際に近い感覚を得る。
【0045】
好ましい実施形態において、第1記憶手段は、工作機械の力学的動作を記述するための力学的データを記憶する手段を備える。力学的データは、工作機械が動作中に如何に動作するかを記述する情報を有する。例えば、力学的データは、特定の動作シーケンスの実行時間を有する。
【0046】
さらに、第1記憶手段は、工作機械要素の仮想イメージを作成するための工作機械要素データを記憶する手段を備えることが可能である。また、第1記憶手段は、工作機械要素データ、力学的データ及び設定データに応じて、工作機械の仮想イメージを作成するための設定データを記憶する手段を備えることが可能である。
【0047】
設定データを用いて、個々の工作機械要素から工作機械の仮想イメージを構成することで、特に効率的な方法で様々な種類の工作機械を表示することが可能である。それは、異なる種類の工作機械においても、多くの工作機械要素は同一だからである。これは、完全な工作機械モデルを得るために、所定の工作機械要素を如何に組合わせるかを、設定データが示していることを意味する。
【0048】
好ましい実施形態において、第3記憶手段は、少なくとも1つの工具の仮想イメージを作成するための工具データを記憶する手段を備える。その結果、工作機械により使用される工具をモデル化することが可能であることが有利な点となる。
【0049】
好適には、第3記憶手段は、少なくとも1つの締付け手段の仮想イメージを作成するための締付け手段を記憶する手段を備える。これにより、工作物が締付けられる締付け手段をモデル化することが可能となる。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、CNC制御手段及び/またはPLC制御手段をパラメータ化するためのパラメータ化手段を備える。好適には、このパラメータ化手段は、移動範囲パラメータ、閉ループ制御動作パラメータ、補正パラメータ及び工具入れパラメータからなるグループの少なくとも1つのパラメータに関するCNC制御手段及び/またはPLC制御手段をパラメータ化するために適用される。このパラメータ化手段により、実際のCNC制御手段及び/またはPLC制御手段のようなCNC制御手段及び/またはPLC制御手段のパラメータ化が可能である。
【0051】
好適には、本発明の装置は、CNC制御手段と全体シミュレーション手段との間の情報通信用のインターフェイスを備える。このインターフェイスは、DCOMまたはCORBA(共通オブジェクト・リクエスト・ブローカー機構)のようなミドルウェアに基づいて実現されることが可能である。CNC制御手段と全体シミュレーション手段との間の情報通信用のインターフェイスは、CNC制御手段からインターフェイスにより得られる非オブジェクト指向のCNCデータを、全体シミュレーション手段に送る前に、オブジェクト指向形式に変換するために適用されることが好ましい。
【0052】
視覚化手段は、好適には、OpenGLに基づいて実現される。OpenGLは、オブジェクト指向である。それと比較すると、既に確立されたCNC制御手段の多くのCNCプログラムは、C言語によりプログラムされている。即ち、非オブジェクト指向の言語である。そのため、CNC制御手段と視覚化手段との間の相互運用性を作り出すために、非オブジェクト指向のCNCデータをオブジェクト指向形式に変換する必要がある。
【0053】
好適には、CNC制御手段と全体シミュレーション手段との間の情報通信用のインターフェイスは、全体シミュレーション手段がCNC制御手段により送られるCNCデータの量から一部分のみを得られるように、CNC制御手段によりインターフェイスに送られるCNCデータの量をフィルタにかけるフィルタ手段を備える。
【0054】
例えば、CNC制御手段は、新たなCNCデータを15ミリ秒毎に送るために、適用されることが可能である。全てのCNCデータが全体シミュレーション手段に送られる場合は、全体シミュレーション手段は15ミリ秒毎に工作機械モデルを更新しなければならない。この計算量は、とても15ミリ秒内で実行されるものではなく、リアルタイムのシミュレーションはとても難しい。CNCデータの量の一部分のみ、例えば、CNCデータが150ミリ秒毎に全体シミュレーションを通過すること、即ち10番目のCNCデータ組ごとに、フィルタ手段を介して全体シミュレーションに送られる。たとえ10番目のCNCデータ組ごとだけを送るにしても、工作機械の動作シーケンスを完全に再生することが可能である。しかしながら、全体シミュレーション手段は、計算量が少なく済むようにしてリアルタイムのシミュレーションが実現可能なように、それほど頻繁でない程度に、工作機械モデルを更新する必要がある。
【0055】
好適には、本発明の装置は、フィルタ手段の設定に関する設定データを入力するための入力手段を備える。この入力手段を使用することにより、例えば、フィルタ手段が、どの程度の度合いでCNCデータをフィルタにかけるかを決めることができる。例えば、5番目のCNCデータ組ごと、または15番目のCNCデータ組ごとが、全体シミュレーション手段に送られるように入力可能となる。
【0056】
好適には、CNC制御手段と全体シミュレーションとの間の情報通信のインターフェイスは、CNC制御手段と全体シミュレーションとの間の情報通信を同期するための同期手段を備える。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、PLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスを備える。好適には、インターフェイスは、信号装置を介してPLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の同期が可能なように適用される。PLCシーケンスシミュレーション手段がPLC制御出力データを記憶装置から読込む前に、インターフェイスは、記憶手段を有しかつPLC制御手段が1周期間に作成される全てのPLC制御出力データを記憶手段に書き込むことを確実にする同期手段を備える。同様の方法で、PLC制御手段がPLC制御入力データを記憶装置から読込む前に、インターフェイスは、記憶手段を有しかつPLCシーケンスシミュレーション手段が1周期間に作成される全てのPLC制御入力データを記憶手段に書き込むことを確実にする同期手段を備える。
【0058】
このようにして、PLCシーケンスシミュレーション手段がPLC制御出力データの完全な組を読み出す前に、PLC制御手段は常にそれらを最初に書き込むことが保証される。これは、1周期の全ての出力データの原子性が得られることを意味し、実際のPLC制御手段の動作をよりリアルに表示するためにも好ましい。なお反対に、PLCシーケンスシミュレーション手段は、PLC制御手段がPLC制御入力データの完全な組を読み出す前に、それらをそれぞれ作成し、記憶手段に書き込む。この場合も、1周期の全てのPLC制御入力データの原子性が得られる。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、全体シミュレーション手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスを備える。これは、ミドルウェアに基づいて実現されることが可能である。好適には、全体シミュレーション手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスは、全体シミュレーション手段がPLCシーケンスシミュレーション手段により送られるPLCデータの量から一部分のみを得るように、PLCシーケンスシミュレーション手段によりインターフェイスに送られるPLCデータの量をフィルタにかけるフィルタ手段を備える。この場合も、全体シミュレーション手段が工作機械モデルを頻繁に更新する必要がなく、その結果、リアルタイムのシミュレーションが大量の計算量の理由でさらに難しくならないように、フィルタリングがもう一度行われる。好適には、どの程度の度合いでフィルタ手段がPLCデータをフィルタにかけるかの調整を行えるように、フィルタ手段は入力手段を介して順に設定されることが可能である。好適には、全体シミュレーション手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスは、全体シミュレーション手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間の情報通信を同期するための同期手段を備える。
【0060】
言及した全てのインターフェイスは、リモートインターフェイスとしても適用可能である。リモートインターフェイスは、異なる場所にいる通信相手との間でリモート通信が行えるように適用される。これは、個々の手段をいくつかのコンピュータに分散させることが可能である。例えば、PLC制御手段と、CNC制御手段と、PLCシーケンスシミュレーションと、が第2コンピュータで処理されている間、全体シミュレーション手段と視覚化手段とを第1コンピュータで処理することが利点となりうる。これは、全体シミュレーション手段及び視覚化手段には、高い計算能力を必要とするため、これらは利点となる。これは、CNC制御手段と全体シミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスと同様に、PLCシーケンスシミュレーション手段と全体シミュレーション手段との間の情報通信のインターフェイスも、リモートインターフェイスとして適用されることにより、全体シミュレーションのより速い実行が可能であることを意味する。
【0061】
さらに、全ての言及したインターフェイスは、一方の通信相手が使用可能な技術を、他方の通信相手に呼び出すことが可能である。これにより、個々の手段がそれらの間でデータを交換するだけでなく、相互にそれらの技術を使用することが可能である。
【0062】
好適には、本発明に係る装置は、リソースを有する工作機械と工作物との間で、全体シミュレーションに応じて、衝突を検知するために適用した衝突検知手段を備える。このようにして、CNC部品プログラムまたは手動入力された制御データも衝突に至るかどうか確認可能となる。特に、リソースには使用した工具を含む。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、工作機械が近づくことのできる所定位置か否かを確認する移動範囲確認手段を備える。所定の位置は、例えば、CNC部品プログラムに起因するか、または手動で入力することが可能である。移動範囲確認手段を用いて、例えば、特定の工作物がある工作機械で作成されているかどうかを見つけ出すことが可能である。また、本発明の販売支援用の装置を使用することが可能である。販売員は、例えば、工作機械の購入を考えている顧客に対して、ラップトップ上で仮想的に工作機械をプレゼンテーションすることができ、要求された工作物がこの工作機械によりどのように作成されるかを、顧客に対して見せることが可能である。工作機械が十分な大きさを持つかどうか、所望の工作物を作成するために適したものであるかどうか、確認することが可能である。
【0064】
好ましい実施形態において、視覚化手段は、全体シミュレーションデータを、所定時間帯の間、工作機械における工作物を機械加工するための実際のシーケンスの速度に対して一定比率の速度で表示するために適用される。特に、視覚化手段は、リアルタイムでシミュレーションデータを表示するために適用することが可能である。このようにして、実際に工作機械における工作物の機械加工がどのように進んでいくのかリアルな印象を得れるように、工作機械における工作物の機械加工するためのシーケンスをリアルに視覚化することが可能である。
【0065】
好適には、制御データを提供するための手段は、5軸工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを行うための制御データを提供するように適用される。5軸となっているため、ユーザが機械加工シーケンスを想像するのが特に難しいので、機械加工シーケンスの視覚化は特に5軸工作機械にとって利点がある。
【0066】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、第1時間帯の間に第1工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを、第2時間帯の間に第2工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートするように適用される。
【0067】
本発明によると、これにより、第1工作機械に関連するCNC制御手段及びPLC制御手段、即ち、CNCプログラム、PLCプログラム及びパラメータを含む上記全てを、第2工作機械に関連するCNC制御手段及びPLC制御手段に完全に置き換えることにより達成できる。これにより、例えば、第1事例ではシーメンス(Siemens)社製制御と、第2事例ではハイデンハイン(Heidenhain)社製制御とを、それぞれ使用し表示することが可能である。その結果、異なる工作機械及び/または異なる工作機械制御をシミュレートすることが可能となる。これにより、例えば、容易で費用効率の高い方法により、見習い操作者がいくつかの工作機械と工作機械制御とを訓練できる利点が得られる。
【0068】
あるいは、異なる工作機械をシミュレートする機能は、PLCプログラム及びCNC制御手段のパラメータ化を交換可能とすることにより、達成されることが可能である。これにより、例えば、ディッケル・マホ・ギルドマイスター(Deckel-Maho-Gildemeister)等の同じ工作機械メーカーの異なる工作機械を、容易で費用効率の高い方法でシミュレートすることが可能となる。
【0069】
好適には、本発明の装置は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスのシミュレーションのフレーム内で使用される制御を選択するための制御選択手段を備える。例えば、対応するCNC制御手段と対応するPLC制御手段とを選択すること、または対応するPLCプログラムと対応するパラメータとを選択することにより、制御を選択することが可能である。従って、シミュレーション手段のユーザは制御を選択でき、選択した制御に基づいて、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートすることが可能である。
【0070】
本発明に係る装置は、多くの有利な点を有する。まず、工作機械のリアルなシミュレーションを可能にする。その結果、衝突がより良く検出されることが可能である。特に、PLC動作シーケンスにより生ずるそのような衝突を検出することが可能である。全体的なシミュレーション、即ち、シミュレーションにおける工作機械の全ての態様を含むものは、機械利用時間のより良い予測が可能となる。また、工作機械のユーザは、シミュレーションの支援により訓練されることが可能である。訓練を行う企業は、もはや工作機械を絶対的に購入する必要なくシミュレーションを使用することが可能である。これにより、資金の運用を低減する。同時に、シミュレーションの支援により様々な制御機器製造業者の異なる工作機械及び異なる制御をシミュレートすることが可能である。シミュレーションの仮想工作機械は損傷しないため、不慣れなユーザによる工作機械への損傷が防止される。また、シミュレーションは販売支援に使用される。工作機械は、例えば、工作機械の購入を考慮している顧客に対して、ラップトップコンピュータに視覚化されることが可能である。さらに、シミュレーションの結果から、工作機械の構築の最終結果を描くことが可能である。これにより、工作機械の絶え間ない改善が可能となる。同時に、工作機械の構築に関する新たなアイデアを、如何なるリスクもなしにモデル上でテストすることが可能である。
【0071】
さらに、本発明は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法を備える。本発明によると、前記方法は、工作機械の仮想イメージを作成するための工作機械データを提供する工程と、少なくとも1つの工作物の仮想イメージを作成するための工作物データを提供する工程と、少なくとも1つのリソースの仮想イメージを作成するためのリソースデータを提供する工程と、工作機械における工作物の機械加工と協働してシーケンスを実行するための制御データを提供する工程と、前記制御データに応じてCNCデータを作成する工程と、PLC制御出力データを作成する工程と、前記PLC制御出力データと前記工作機械データとに応じてPLCシミュレーションデータ及びPLC制御入力データを作成する工程と、前記CNCデータ、前記PLCシミュレーションデータ、前記工作機械データ、前記工作物データ及び前記リソースデータに応じて、前記工作機械における工作物を機械加工するための前記シーケンスに関する全体シミュレーションデータを作成する工程と、前記工作機械における工作物を機械加工するための前記シーケンスを表示する工程を備える前記全体シミュレーションデータを視覚化する工程と、を備える。
【0072】
工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスのシミュレーションに関する本発明の方法は、本発明の装置と同様の利点を提供する。
【0073】
好適には、前記方法は、実際のCNC制御のCNCプログラムのソースコードからCNCプログラムを作成する工程を備える。また、前記方法は、実際のPLC制御のPLCプログラムを提供する工程、または実際のPLC制御のPLCプログラムのソースコードからPLCプログラムを作成する工程を備えることが可能である。
【0074】
有利な実施形態において、CNC部品プログラムは実際の工作機械で実行可能なので、制御データを提供する工程はCNC部品プログラムを提供する工程を備える。
【0075】
好適には、制御データを提供する工程は、工作機械の動作状態を変更するためにユーザが手動で制御データを入力する工程を備える。
【0076】
手動で制御データを入力する工程は、工作機械のCNC部品プログラムを実行する際に、CNC部品プログラムに従い送り速度と変更された送り速度の比率としてオーバーライドを入力する工程を備えることが可能である。
【0077】
同様に、手動で制御データを入力する工程は、スピンドル、ヘッド及び/またはテーブルを手動で移動するための制御データを入力する工程を備えることが可能である。
【0078】
好適には、手動で制御データを入力する工程も、工作物を締付けるための制御データを入力する工程を備える。
【0079】
特に好ましい実施形態において、手動で制御データを入力する工程は、ゼロ点を確定するための制御データを入力する工程を備える。
【0080】
好適には、手動で制御データを入力する工程は、工作機械の操作即応性の状態にするために実際の工作機械を起動した後、工作機械の操作者により入力される制御データを入力する工程を備える。
【0081】
好ましい実施形態において、手動で制御データを入力する工程では、CNC操作パネル及び/またはPLC操作パネルを備える実際の工作機械の実際の操作者用机を介して入力が行われる。
【0082】
同様に、手動で制御データを入力する工程では、実際の操作者用机の仮想イメージとして仮想操作者用机を介して入力が行われる。
【0083】
好適には、PLC制御出力データを作成する工程において、PLC制御出力データは制御データに応じて作成される。
【0084】
好ましい実施形態において、前記方法は、CNC部品プログラム内の文の選択を入力する工程と、CNC部品プログラムの開始点から全体シミュレーションを作成する工程と、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを表示するために、選択された文の位置において選択された文から開始する全体シミュレーションデータを視覚化する工程と、を備える。
【0085】
好適には、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを表示する工程において、表示は実際の工作機械の実際のCNC表示手段を介して行われる。
【0086】
別の方法または追加として、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスを表示する工程において、表示は実際の工作機械の実際のCNC表示手段の仮想イメージとして、仮想CNC表示手段を介して可能である。
【0087】
好適には、全体シミュレーションデータを視覚化する工程において、全体シミュレーションデータは、3次元で視覚化される。
【0088】
工作機械データを提供する工程は、工作機械の力学的動作を記述するための力学的データを提供する工程を備えることが可能である。同様に、工作機械データを提供する工程は、工作機械要素の仮想イメージを作成するための工作機械要素データを提供する工程を備えることが可能である。好適には、工作機械データを提供する工程は、工作機械要素データ、力学的データ及び設定データに応じて、工作機械の仮想イメージを作成するための設定データを提供する工程を備える。
【0089】
好ましい実施形態において、リソースデータを提供する工程は、少なくとも1つの工具の仮想イメージを作成するための工具データを提供する工程を備える。同様に、リソースデータを提供する工程は、少なくとも1つの締付け手段の仮想イメージを作成するための締付け手段データを提供する工程を備える。
【0090】
好ましい実施形において、本発明の工程は、CNCデータを作成する工程及び/またはPLC制御出力データを作成する工程をパラメータ化する工程を備える。
【0091】
好適には、CNCデータを作成する工程及び/またはPLC制御出力データを作成する工程をパラメータ化する工程において、パラメータ化は、移動範囲パラメータと、閉ループ制御動作パラメータと、補正パラメータと、工具入れパラメータと、からなるグループから、少なくとも1つのパラメータに関して行われる。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、CNC制御手段から全体シミュレーション手段にCNCデータを伝達する工程を備える。
【0093】
好ましくは、CNC制御手段から全体シミュレーション手段にCNCデータを伝達する工程において、情報伝達はミドルウェアを介して行われる。
【0094】
CNC制御手段から全体シミュレーション手段にCNCデータを伝達する工程は、非オブジェクト指向のCNCデータをオブジェクト指向の形式に変換する工程を備えることが可能である。
【0095】
好適には、CNC制御手段から全体シミュレーション手段にCNCデータを伝達する工程は、全体シミュレーション手段がCNC制御手段により伝達されるCNCデータの量の一部の量のみを取得するように、CNCデータの量をフィルタリングする工程を備える。本発明の方法は、CNCデータの量をフィルタリングする工程に対して設定データを入力して設定する工程を備えることが可能である。
【0096】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、PLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間でPLC制御出力データ及びPLC制御入力データを送る工程を備える。
【0097】
PLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間でPLC制御出力データ及びPLC制御入力データを伝達する工程は、信号装置を介してPLC制御手段及びPLCシーケンスシミュレーション手段を同期する工程を備えることが可能である。
【0098】
好適には、PLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間でPLC制御出力データ及びPLC制御入力データを伝達する工程において、PLC制御手段は、PLCシーケンスシミュレーション手段がPLC制御出力データを記憶手段から読込む前に、1周期の間に作成された全てのPLC制御出力データを記憶手段に書き込む。
【0099】
好適には、PLC制御手段とPLCシーケンスシミュレーション手段との間でPLC制御出力データ及びPLC制御入力データを伝達する工程において、
PLCシーケンスシミュレーション手段は、PLC制御手段がPLC制御入力データを記憶手段から読込む前に、1周期の間に作成された全てのPLC制御入力データを記憶手段に書き込む。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明の工程は、PLCシーケンスシミュレーション手段と全体シミュレーション手段との間でPLCシミュレーションデータを伝達する工程を備える。
【0101】
好適には、PLCシーケンスシミュレーション手段と全体シミュレーション手段との間でPLCシミュレーションデータを伝達する工程において、情報伝達はミドルウェアを介して行われる。
【0102】
PLCシーケンスシミュレーション手段と全体シミュレーション手段との間でPLCシミュレーションデータを伝達する工程は、全体シミュレーション手段がPLCシーケンスシミュレーション手段により伝達されるPLCシミュレーションデータの量の一部のみを取得するように、PLCシミュレーションデータの量をフィルタリングする工程を備えることが可能である。
【0103】
好適には、少なくとも1つの情報伝達工程において、遠隔通信は異なる場所に位置する通信相手との間で行う。
【0104】
好適には、少なくとも1つの情報伝達工程は、他方の通信相手に一方の通信相手が利用可能な技術を呼び出す工程を備える。
【0105】
有利な実施形態において、本発明の方法は、全体シミュレーションデータに応じて、リソースを有する工作機械と工作物との間の衝突を検知する工程を備える。
【0106】
また、本発明の方法は、工作機械が所定の位置に接近するか否か確認する工程を備えることが可能である。
【0107】
好適には、全体シミュレーションデータを視覚化する工程において、全体シミュレーションデータは、所定時間帯の間、工作機械における工作物を機械加工するための実際のシーケンスの速度に応じて一定比率の速度で表示される。
【0108】
好適には、全体シミュレーションデータを視覚化する工程において、全体シミュレーションデータはリアルタイムで表示される。
【0109】
特に好ましい実施形態において、制御データを提供する工程は、5軸工作機械で工作物を機械加工するシーケンスを実行するための制御データを備える。
【0110】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、第1工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートし、第2工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする第2CNC制御手段及び第2PLC制御手段を提供するための第1CNC制御手段及び第1PLC制御手段を提供する工程を備える。さらに、本発明に係る方法は、第1工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートするためのCNC制御手段をパラメータ化するための第1PLCプログラム及び第1パラメータを提供し、第2工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートするためのCNC制御手段をパラメータ化するための第2PLCプログラム及び第2パラメータを提供する工程を備えることが可能である。好適には、本発明の方法は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスのシミュレーションのフレーム内で使用する制御を選択する工程を備える。
【0111】
また、本発明は、コンピュータ可読媒体及び前記媒体に記録されたコンピュータプログラムからなるコンピュータプログラム製品を備え、前記コンピュータプログラムは状態シーケンスの形式で記憶され、前記状態シーケンスは、本発明に係る装置が形成される、または工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートするための本発明の方法が実行されるように、データ処理手段のデータ処理媒体により処理されるように適用される命令に対応する。
【0112】
本発明の装置の説明のフレーム内で記述されたPLCシーケンスシミュレーション手段は、時間に関してPLCシーケンスをシミュレートできるようにするために、シミュレートされる工作機械の適時の動作に関するデータを必要とする。このため、本発明はさらに、PLC工作機械シーケンスデータを作成する方法は、PLC制御データのシーケンスを作成し、前記シーケンスは少なくとも1つのPLC制御データからなる工程と、前記シーケンスの各前記PLC制御データに関する初期状態と最終状態とを確定し、前記初期状態と前記最終状態はPLC制御入力データに関する工程と、前記シーケンスの各前記PLC制御データにおける前記初期状態の発生と前記最終状態の発生との間の時間を測定するために適用される測定ユニットを提供する工程と、実際のPLC制御ユニットにより、実際の工作機械に関する前記PLC制御データの前記シーケンスを実行し、前記測定ユニットは、前記シーケンスの各前記PLC制御データにおける前記初期状態の発生と前記最終状態の発生との間の時間を測定する工程と、前記測定ユニットの測定データからPLC工作機械シーケンスデータを作成する工程と、前記PLC工作機械シーケンスデータを記憶する工程と、を備える
この方法の背景は、工作機械がアクチュエータとセンサを備えることである。アクチュエータは、PLC制御手段によりPLC制御出力データを介して制御される。PLC制御手段は、センサからPLC制御入力データを受け取る。
PLC工作機械シーケンスデータを作成する方法の目的は、PLC制御手段が(それにより)工作機械を運転するPLC制御出力データに対する応答としてどのPLC制御入力データをいつ実際の工作機械のセンサーが発生するのかに係る情報を提供するデータを作成することが目的である。
【0113】
PLC工作機械シーケンスデータを作成する方法の利点は、この方法を使用することにより、PLC制御命令が実行される際に関する工作機械の実際の動作を表示するデータを作成することができることである。また、本発明は、PLC工作機械シーケンスデータを提供する手段と、前記工作機械の前記PLCシーケンスが前記PLC工作機械シーケンスデータにより記述されるように、前記工作機械のシーケンスシミュレーションをクロックするクロック手段と、前記工作機械のアクチュエータを制御するためのPLC制御出力データを受け取るための入力と、前記工作機械のセンサの出力信号をシミュレートするための出力と、前記入力を介して受け取る前記PLC制御出力データと、前記PLC工作機械シーケンスデータと、クロックと、に応じて、PLCシミュレーションデータとPLC制御入力データとを作成するための内部シーケンスシミュレーション手段と、前記PLCシミュレーションデータを出力し、前記出力を介して前記PLC制御入力データを出力する出力手段と、を備える。
【0114】
本発明のPLCシーケンスシミュレーション手段の利点は、特に時間に関して、適切な方法で実際の工作機械で実行されるPLCシーケンスをシミュレートすることが可能となる。
【0115】
また、本発明は、コンピュータ可読媒体と前記媒体に記憶されたコンピュータプログラムとからなるコンピュータプログラム製品を備え、前記コンピュータプログラムは状態シーケンスの形式で記憶され、前記状態シーケンスは、本発明に係るPLCシーケンスシミュレーション手段が形成されるように、データ処理手段のデータ処理媒体により処理されるように適用された命令に対応する。
【0116】
有利な成果及びさらなる本発明の詳細は、図面を参照して様々な実施形態を用いて以下に記述される。
【0117】
図1は、本発明に係る装置の実施形態を示したものである。特に、図は、本実施形態の事例において、本発明装置のユーザが目にするものである。ユーザは仮想CNC表示手段を表示する第1表示手段101を目にする。本実施例において、その左手側には工作機械の仮想イメージを表示するための第2表示手段102がある。実際の工作機械の実際の操作者用机103がユーザに対して備えられている。また、ユーザはキーボード104を介してデータを入力することが可能である。
【0118】
図2は、さらに詳細な工作機械の仮想イメージの一例を示したものである。実質的には、全ての部品は、工作機械においても見られるようなものである。例えば、工作機械チャンバー201が視覚化されている。さらに、工作機械の機械加工ヘッド202及び工作物を支えるための対応するテーブル203を見ることができる。同様に、CNC操作者用机204及びCNC表示手段205も見ることができる。工作機械の形式表示207及びドアの窓208を有する工作機械チャンバーのドア206でさえ表示される。このことにより、極めてリアルな工作機械のイメージが本発明に係る装置のユーザに対して示されていることは明確である。
【0119】
図3は、図2の工作機械の仮想イメージに仮想操作者用机301を追加したものである。仮想操作者用机は、CNC操作パネル302及びPLC操作パネル303を備える。参照番号304は、ノブを回すオーバーライドを意味する。
【0120】
図4は、本実施形態において、工作機械の多くの要素を隠すことができることを示している。示された例において、工作機械チャンバー201はもはや見える必要がないため、ユーザがテーブル203の画像を遮るものなしに見れるようにする。工作機械ヘッド202は、締付け工具401が工作物402に入る程度の範囲を移動する。工作物402は、締付け手段403を介してテーブル203上に固定される。工作物402から取除かれた材料404は、工作機械の仮想イメージに視覚化される。要するに、ユーザはこの設定における工作機械における工作物を機械加工する全体の動作シーケンスを見ることが可能である。
【0121】
図5は、シミュレーションに関する装置のユーザが、実際の工作機械の傍に立つ際に持つようなリアルな印象を得ることができることを明らかにしたものである。ユーザは仮想工作機械の傍に立ち、ドア206の窓208から工作機械のテーブル203を見ることになる。ユーザは工作物402上の機械加工シーケンスを見ることになる。同時に、ユーザは操作者用机204とCNC表示手段205を見ることになる。
【0122】
図6は、仮想CNC表示手段601の一例を示したものである。特に、仮想CNC表示手段601は、個々の文603からなる実行されるCNC部品プログラム602を示している。さらに、他の部品の間に、工作機械のヘッドの位置が領域604に見られる。
【0123】
図7は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする本発明の装置の実施形態の概略的構造を示している。装置701は、工作機械データを記憶する第1記憶手段702を備える。第1記憶手段はさらに記憶手段を備える。一方の記憶手段は力学的データ703を記憶する。もう一方の記憶手段は工作機械要素データ704を記憶する。さらに、第1記憶手段が有しているもう一方の記憶手段は、設定データ705を記憶する。また、装置701は工作物データを記憶する第2記憶手段706を備える。リソースデータは装置701が有する第3記憶手段707に記憶される。第3記憶手段707は、工具データを記憶する別の記憶手段708と、さらに締付け手段データを記憶する別の記憶手段709とを備える。
【0124】
装置701は、本実施例の5軸工作機械の制御データにおいて、制御データ710を提供する手段を備える。制御データ710を提供する手段は、少なくとも1つのCNC部品プログラムを記憶する記憶手段711を備える。さらに、制御データ710を提供する手段は、入力手段712を備える。入力手段712は、複数のさらなる入力手段を備える。特に、入力手段712は、オーバーライド713を入力する入力手段と、工作物714を締付けるための制御データを入力する入力手段と、起動手順715を実行するための制御データを入力する入力手段と、手動で移動パス716を入力する入力手段と、ゼロ点717を確定するための制御データを入力する入力手段と、CNC部品プログラム718内で文を選択するための入力手段と、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスのシミュレーションのフレーム内で使用されることを意図する制御719を選択するための入力手段と、を備える。入力手段712が有する入力手段のエミュレーションは、最終的なものと理解されるべきものではなく、単に入力手段のいくつかの態様を明らかにするために用いているに過ぎない。
【0125】
また、工作機械701における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする装置は、CNC制御手段720を備える。CNC制御手段720は、CNCプログラム721を備える。さらに、本実施形態において、CNC制御手段をパラメータ化するCNC制御手段はパラメータ722を備える。
【0126】
また、装置701は、PLCプログラム724を有するPLC制御手段723を備える。PLCプログラムは、実際の工作機械の実際のPLC制御を描画する。
【0127】
また、装置701は、工作機械のPLCシーケンスをシミュレートするPLCシーケンスシミュレーション手段725を備える。PLC制御手段723は、インターフェイス726を介して、PLCシーケンスシミュレーション手段725と情報伝達を行う。このインターフェイスは、最初に、PLCシーケンスシミュレーション手段725がPLC制御出力データの完全な文を読み出す前に、常にPLC制御出力データの完全な文をPLC制御手段723に書き込ませる同期手段727を備える。反対に、同期手段727は、PLC制御手段723がPLC制御入力データを読み出す前に、PLCシーケンスシミュレーション手段725が常にPLC制御入力データの完全な文を最初に書き込むことを確認する。
【0128】
とりわけ、PLCシーケンスシミュレーション手段725は、PLCシミュレーションデータを作成する。PLCシーケンスシミュレーション手段725は、これらのPLCシミュレーションデータを全体シミュレーション手段731に対して送る。PLCシミュレーションデータの情報伝達は、フィルタ手段729と同期手段730とを備えるインターフェイス728を介して描画される。フィルタ手段729は、PLCシーケンスシミュレーション手段725により全体シミュレーションに送られるPLCシミュレーションデータの量を調節することができる。同期手段730は、PLCシーケンスシミュレーション手段725と全体シミュレーション手段731との間の情報伝達を同期する。
【0129】
また、全体シミュレーション手段731は、インターフェイス732を介してCNC制御手段720からCNCデータを受け取る。インターフェイス732も、同じようにフィルタ手段733と同期手段734とを備える。このフィルタ手段733は、CNC制御手段720により全体シミュレーション手段731に提供されるCNCデータの量を調節できる。同期手段734は、CNC制御手段720と全体シミュレーション手段731との間の情報伝達を同期する。
【0130】
全体シミュレーション手段731は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスに関する全体シミュレーションデータを作成する。全体シミュレーションデータを作成するために、全体シミュレーション手段731は、PLCシーケンスシミュレーション手段725から受け取るPLCシミュレーションデータと、CNC制御手段720から受け取るCNCデータと、第1記憶手段702からの工作機械データと、第2記憶手段706からの工作物データと、第3記憶手段707からのリソースデータと、を使用する。
【0131】
全体シミュレーション手段731は、作成された全体シミュレーションデータを視覚化手段735に送る。視覚化手段735は、3次元表示手段736を備える。3次元表示手段736を使用して、視覚化手段735は、工作物を機械加工するための工作機械の機械加工シーケンスと同様に、工作物及びリソースを有する工作機械を視覚化する。
【0132】
また、装置701は、CNC制御手段720及び/またはPLC制御手段723をパラメータ化するパラメータ化手段737を備える。
【0133】
全体シミュレーション手段731から受け取る全体シミュレーションデータにより、衝突検出手段739はリソースを有する工作機械と工作物との間の衝突を検出する。
【0134】
また、装置701は、工作機械により近づくことが可能な所定位置か否かを確認する移動範囲確認手段738を備える。
【0135】
図8は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の実施形態の第1部分を示している。工程801において、工作機械要素データが提供される。工程802において、力学的データが提供される。工程803において、設定データが提供される。その後、工程804において、工具データが提供される。次に、工程805において、締付け手段データが提供され、工程806において、工作物データが提供される。方法の説明の図中Aの位置において、図9及び図11に示される手順が開始される。
【0136】
図9は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の実施形態の第2部分を示している。工程901において、CNC部品プログラムが提供される。実質的には、工程902において、工作物を締付けるための制御データは、ユーザにより入力される。その後、工程903において、ユーザはゼロ点を確定するための制御データを入力する。図10で明らかにされた手順が、B点において開始される。
【0137】
図10は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の実施形態の第3部分を示している。工程1001において、CNCデータが作成される。工程1002において、これらのCNCデータは送られる。その後、新たなCNCデータが作成させる(工程1001)または工程1003においてPLC制御出力データが作成されるかのどちらかである。実質的には、工程1004において、作成されたPLC制御出力データが送られる。工程1005において、PLCシミュレーションデータ及びPLC制御入力データが作成される。工程1006において、これらのPLCシミュレーションデータ及びPLC制御入力データが送られる。その後、工程の流れは、工程1003または工程1001に戻る。もちろん、図10に示された工程の流れは、特にユーザによる入力またはCNC部品プログラムの最後に到達したことにより停止可能である。
【0138】
図11は、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスをシミュレートする方法の実施形態の第4部分を示している。工程1101において、全体シミュレーションデータが作成される。工程1102において、これらの全体シミュレーションデータが視覚化される。特に、工作機械における工作物を機械加工するためのシーケンスが表示される。工程1103において、終了しない限り、CNCデータ及びPLCシミュレーションデータが受け取られる。実質的には、工程1101に戻ることで、新たな全体シミュレーションデータは新たに受け取ったCNCデータ及び新たに受け取ったPLCシミュレーションデータに基づいて作成される。この図11に示された工程の流れは、好適にはユーザの入力により同様に停止されることができる。
【0139】
図12は、PLC工作機械シーケンスデータを作成する本発明の工程の実施形態を示している。工程1201において、PLC制御データのシーケンスが作成される。実質的には、工程1202において、シーケンスの各PLC制御データに関する初期状態及び最終状態が取得される。工程1203において、測定ユニットが提供される。実質的には、工程1204において、PLC制御データのシーケンスが、実際のPLC制御を使用することにより実際の工作機械で実行される。実行中に、シーケンスの各PLC制御データに関する初期状態の開始と最終状態の開始との間の時間が、測定ユニットにより測定される(工程1205)。これは、一方の後の他方のPLC制御データが実行され、初期状態及び最終状態が開始する際に測定されることを意味する。実質的には、初期状態の開始と最終状態の開始との間の適時の間隔が得られる。工程1206において、PLC工作機械シーケンスデータは、測定データから作成される。工程1207において、これらのPLC工作機械シーケンスデータは記憶される。
【0140】
図13は、本発明のPLCシーケンスシミュレーション手段の実施形態を示している。PLCシーケンスシミュレーション手段725は、PLC工作機械シーケンスデータ1301を提供する手段を備える。PLC工作機械シーケンスデータ1301を提供する手段は、例えば、PLC工作機械シーケンスデータが記憶される第1記憶手段702へのインターフェイスでもよい。さらに、特に時間に関して、工作機械のPLCシーケンスがPLC工作機械シーケンスデータにより記述されるので、PLCシーケンスシミュレーション手段725は、工作機械のシーケンスシミュレーションをクロックするクロック手段1302を備える。
【0141】
また、PLCシーケンスシミュレーション手段725は、PLC制御出力データをPLC制御手段723から受け取るための入力1303を備える。また、PLCシーケンスシミュレーション手段725は、PLC制御手段723にPLC制御入力データを送るための出力部1304を備える。また、PLCシーケンスシミュレーション手段725は、入力部1303における入力信号と、PLC工作機械シーケンスデータ1301を提供するための手段により送られるようなPLC工作機械シーケンスデータと、クロック手段1302のクロックとに応じて、PLCシミュレーションデータ及びPLC制御入力データを作成する内部シーケンスシミュレーション手段1305を備える。PLCシミュレーションデータは、出力手段1306により全体シミュレーション手段731に送られ、PLC制御入力データは、出力部1304を介して出力手段1306を用いて出力される。
【0142】
図14は、本発明のPLCシーケンスシミュレーション手段の実施形態へのユーザインターフェイスの実施形態を示している。ユーザインターフェイス1401は、入力状況が表示される出力範囲1402を備える。0(0ボルト)または1(5ボルト)が入力ワイヤに印加されるか否かを示すような各入力をイメージできる。目の前の入力のグラフィカルアイコンは、0または1が印加されていることを示している。ユーザインターフェイス1401は、さらに出力状態が示される出力範囲1403を備える。そこに表示される各入力は、出力に印加された状態を示している。また、ユーザインターフェイス1401は、PLCシーケンスの完了度を示す出力範囲1404を備える。例えば、「キャビンのドアの磁気ロックの工程が100%実行されました。」のメッセージがフィールド1405から取得することができる。
【0143】
実施形態及び図面は、単に実例であり、それによる如何なる制限を課すものではない。アプリケーションの目的に応じて最適化された方法でさらなる実施形態を提供するために、実施形態に記述された特徴から少し外れた特徴を組合わせることができる。このような変更が当業者にとって自明である限り、上記の実施形態の記述により暗黙的に開示されている。
【0144】
例えば、任意的な多くの技術的特徴は図7に記述されている。例えば、衝突検知手段及び移動範囲確認手段のない本発明装置も考えられる。さらなる実施形態を提供するために、これらの手段が省略されることもでき、たとえこれらの手段がなくても、対応する実施形態が暗黙的に開示していると解することは当業者にとっては自明である。
【符号の説明】
【0145】
装置 701
第1記憶手段 702
第2記憶手段 706
第3記憶手段 707
制御データを提供する手段 710
CNC部品プログラム 711
CNC制御手段 720
CNCプログラム 721
PLC制御手段 723
PLCプログラム 724
PLCシーケンスシミュレーション手段 725
全体シミュレーション手段 731
表示手段 736
視覚化手段 735
工作機械データを提供する工程 801,802,803
リソースデータを提供する工程 804,805
工作物データを提供する工程 806
制御データを提供する工程 901,902,903
CNCデータを作成する工程 1001
PLC制御出力データを作成する工程 1003
PLC制御入力データを作成する工程 1005
全体シミュレーションデータを作成する工程 1101
PLC工作機械シーケンスデータを提供する手段 1301
クロック手段 1302
入力部 1303
出力部 1304
内部シーケンスシミュレーション手段 1305
出力手段 1306

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械における工作物の機械加工シーケンスシミュレーション装置(701)は、
工作テーブルのある工作空間を有する前記工作機械のリアルな3次元仮想イメージを生成する工作機械データを記憶する第1記憶手段(702)と、
少なくとも1つの前記工作物のリアルな3次元仮想イメージを生成する工作物データを記憶する第2記憶手段(706)と、
少なくとも1つの加工具及び固定器具の3次元仮想イメージを生成するリソースデータを記憶する第3記憶手段(707)と、
前記工作機械における前記工作物の機械加工の前記シーケンスを実行する制御データを提供する制御データ提供手段(710)と、
CNCプログラムの前記制御データに応じてCNCデータを生成するCNC制御手段(720)と、
実際のPLC制御のPLCプログラム(724)の機能又は前記実際のPLCプログラムのソースコードから生成される前記PLCプログラム(724)の機能を実行するPLC制御出力データを生成するPLC制御手段(723)と、
前記実際のPLC制御の前記PLCプログラム(724)の機能又は前記実際のPLCプログラムの前記ソースコードから生成される前記PLCプログラム(724)の機能を実行するPLCシミュレーションデータと、前記PLC制御出力データ及び前記工作機械データに応じたPLC制御入力データとを生成するPLCシーケンスシミュレーション手段(725)と、
前記工作機械における前記工作物を、前記CNCデータと、前記PLCシミュレーションデータと、前記工作機械データと、前記工作物データと、前記リソースデータとに応じて前記機械加工シーケンスに関する全体シミュレーションデータを生成し、前記全体シミュレーションデータが前記CNCプログラムの前記CNCデータと前記工作機械の前記PLC制御とにより決定された、前記工作機械における前記工作物の前記機械加工シーケンスのシミュレーションに適する全体シミュレーション手段(731)と、
前記全体シミュレーションデータを視覚化し、前記工作機械の前記CNCプログラム(721)及び前記PLC制御に従って、前記工作機械における前記工作物の前記機械加工シーケンスを3次元でリアルに表示する表示手段(736)を有する視覚化手段(735)と、
PLC機械加工シーケンスデータ生成機器とを備え、
前記PLC機械加工シーケンスデータ生成機器は、
PLC制御データのシーケンスを生成し(1201)、前記シーケンスが少なくとも1つの前記PLC制御データを有する手段と、
前記シーケンスの前記各PLC制御データに係る初期状態及び最終状態を決定し(1202)、前記初期状態及び前記最終状態が前記PLC制御入力データと関連する手段と、
前記シーケンスの前記各PLC制御データに係る前記初期状態の開始及び前記最終状態の開始間の時間の計測に適した測定ユニット(1203)と、
実際のPLC制御ユニットにより実機における前記PLC制御データの前記シーケンスを実行し(1204)、前記測定ユニットが前記シーケンスの前記各PLC制御データに係る前記初期状態の開始及び前記最終状態の開始間の時間を計測する手段(1205)と、
前記測定ユニットが測定した測定データからPLC工作機械シーケンスデータを生成する手段(1206)とを備え、
前記PLCシーケンスシミュレーション手段(725)は、
前記PLC工作機械シーケンスデータを生成する手段により生成された前記PLC工作機械シーケンスデータを提供する手段(1301)と、
前記工作機械の前記シーケンスのシミュレーションを時間計測し、前記工作機械のPLCシーケンスが前記PLC工作機械シーケンスデータにより記述される時間計測手段(1302)と、
前記工作機械のアクチュエーターを制御する前記PLC制御出力データを受信する入力部(1303)と、
前記工作機械のセンサーの出力信号をシミュレーションする出力部(1304)と、
前記入力部を介して受信した前記PLC制御出力データと、前記PLC工作機械シーケンスデータと、前記時間計測手段とに応じて、前記PLCシミュレーションデータ及び前記PLC制御入力データを生成する内部シーケンスシミュレーション手段(1305)と、
前記PLCシミュレーションデータを出力し、前記出力部を介して前記PLC制御入力データを出力する出力手段(1306)とを備えることを特徴とする機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項2】
前記CNC制御手段(720)は、リアルCNC制御のCNCプログラムのソースコードから生成される前記CNCプログラム(721)を備えることを特徴とする請求項1記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項3】
前記制御データ提供手段(710)は、CNC部品プログラムを記憶する記憶手段(711)を備え、前記CNC部品プログラムは、前記実機において実行可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項4】
前記制御データ提供手段(710)は、前記工作機械の操作状態を変更するために前記制御データをユーザーが手動で入力する入力手段(712)を備えることを特徴とする請求項1〜3のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項5】
前記入力手段(712)は、前記工作機械において前記CNC部品プログラムを実行中に、前記CNC部品プログラムに係る送り量と変更された前記送り量との比率としてオーバーライドを入力するオーバライド入力手段(713)を備えることを特徴とする請求項4記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項6】
前記入力手段(712)は、スピンドル、ヘッド及び/又は前記工作テーブルを手動で移動させるために、前記制御データを入力する手動移動パス入力手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項7】
前記入力手段(712)は、前記工作物を固定するための制御データを入力する固定入力手段(714)を備えることを特徴とする請求項4〜6のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項8】
前記入力手段(712)は、ゼロ点を判定するゼロ点判定入力手段(717)を備えることを特徴とする請求項4〜7のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項9】
前記入力手段(712)は、前記実機が起動された後に前記工作機械がすぐに操作可能状態となるように、前記工作機械のオペレーターにより入力された制御データを手動で入力する起動手順入力手段(715)を備えることを特徴とする請求項4〜8のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。
【請求項10】
前記機器は、前記入力手段(712)と、前記CNC部品プログラムの起動に関して前記全体シミュレーションデータを生成する前記全体シミュレーション手段(731)と、前記工作機械における前記工作物の前記機械加工シーケンスが、前記選択されたセンテンスから開始されて表示するように、前記選択されたセンテンスに関する前記全体シミュレーションデータを視覚化する視覚化手段(735)とを介して前記CNC部品プログラム内のセンテンスを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいづれかに記載の機械加工シーケンスシミュレーション装置。

【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58268(P2013−58268A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286200(P2012−286200)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−237230(P2007−237230)の分割
【原出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(509122131)デーエムゲー エレクトロニクス ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】