説明

工作機械及び機械加工方法

【課題】多数の工具を収納しておくことができるとともにコンパクトな構成でしかも安定性の高い工作機械を提供する。
【解決手段】工作機械システム10は、隣接して平行に設けられた第1工作機械11a及び第2工作機械11bと、コントローラ12と、ワーク移動装置14とを備える。第1工作機械11a及び第2工作機械11bは、鉛直平面内において360°回転する回転アーム32と、該回転アーム32に設けられた加工主軸36と、加工主軸36に着脱自在な複数の工具Tを備えた回転マガジン80とを有する。回転マガジン80は、第1工作機械11a及び第2工作機械11bの上方に設けられている。回転アーム32の回転中心軸と、回転マガジン80の回転軸は同一鉛直面上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛直面内で回転する回転アームと、該回転アームの先端近傍に水平指向する加工主軸とを有する工作機械が複数設けられた工作機械、及びワークの加工に必要な複数の工具を保持するストッカが設けられた工作機械による機械加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、設置のスペース効率向上、隣接する工作機械へのワークの搬送、及び操作者の操作性の観点から、占有面積が小さいことが好ましく、特に正面視の幅が小さいことが好ましい。このように占有面積を小さくするという目的のため、例えば特許文献1では、水平方向に進退自在な可動コラムに昇降及び水平移動が可能な2つのスピンドルユニットが設けられた工作機械が提案されている。この特許文献1の工作機械は、低コスト且つ省スペースであって好適である。
【0003】
また、特許文献2では、加工軸を鉛直方向に向ける構成により、省スペース及び単位面積あたりの設置台数を増加して生産性を向上することのできるNC旋盤が提案されている。
【0004】
ところで、引用文献1及び引用文献2に記載された工作機械では、正面視で直交する2軸のスライド機構が設けられていることから構造が複雑であって、しかも重量のあるスライド部材が移動をすることから、十分な安定性を得るためにはベース部分を相当に強固に設定しておかなければならなず、全体としての重量が重くなる。
【0005】
このような観点から、特許文献3では、水平方向のスライド機構に対して、鉛直面内で回転するアームを設け、該アームを回転させることにより垂直方向に変位させる工作機械が提案されている。このような工作機械によれば、正面視のスライド機構は1軸分で足り、簡便な構成とすることができて好適である。
【0006】
【特許文献1】特許3278135号公報
【特許文献2】特許2003−266203号公報
【特許文献3】特公平5−2446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献3に記載された工作機械は、簡便な構成であるが、その一方、水平面上で直交する2軸のスライド機構(Xテーブル及びZテーブル)を有しており、占有面積は必ずしも小さくはない。また、正面視ではX方向のスライド機構が設けられていることから機幅についても、必ずしも狭くはない。
【0008】
そこで、特許文献3における工作機械の水平のX方向のスライド機構が鉛直方向となるように90°回転させた機構を採用すると、正面視の機幅が非常に小さくなる。
【0009】
一方、工作機械ではワークに対して複数の工具を着脱しながら加工を行う場合があり、種々のワークに対応可能なように多数の工具を格納しておくことが望ましいが、工作機械の占有面積を小さくすると多数の工具を格納しておくためのスペースもなくなる。
【0010】
工作機械に対して、多数の工具を格納しておく機構を増設すると、占有面積が大きくなって工作機械自体を小型化した趣旨が没却されることになる。
【0011】
また、前記のように特許文献3における工作機械の水平のX方向のスライド機構が鉛直方向となるように90°回転させた機構を採用した場合、該工作機械は縦長形状となることから、工具を格納する機構を増設すると、バランスが悪くなり揺れ等が発生して加工精度の低下を招く。
【0012】
さらに、多数の工具を格納する機構を設けた場合、全ての工具が正常であることを確認することは作業者にとって負担であり、加工を行う前に自動的な確認がなされることが望ましい。
【0013】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、多数の工具を収納しておくことができるとともにコンパクトな構成でしかも安定性の高い工作機械を提供することを目的とする。また、本発明は、加工を行う前の適切なタイミングで工具が正常であることを自動的に確認することのできる機械加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る工作機械は、水平面内の一方向であるZ方向にスライド移動するコラムと、前記コラム上に設けられ、且つ鉛直方向にスライド移動する支持体と、前記支持体に支承してZ方向に向いたワークに臨む鉛直平面内において360°回転する回転アームと、前記回転アームを回転させるアーム駆動源と、前記回転アーム上の回転中心から離れた位置に設けられ、前記回転アームに対して回転自在に支承されてZ方向を指向する加工主軸と、前記加工主軸を回転させる主軸駆動源と、前記加工主軸に着脱自在な複数の工具をメインストッカに備えた自動工具交換機構とを有し、前記回転アームの回転中心軸と、前記メインストッカの回転軸は同一鉛直面上に配置されていることを特徴とする。
【0015】
このように、メインストッカを工作機械の上部に設けることにより、設置面積を拡げることなく多数の工具を格納しておくことができる。また、回転アームの回転中心軸とメインストッカの回転軸が同一鉛直面上に配置されていることから、回転アームの昇降にともなって発生する力のベクトルはメインストッカの方向に向き、モーメントが発生することがないため、安定性が高い。
【0016】
この場合、水平面内でZ方向に直交するX方向の側面に、前記工具を複数格納するサブストッカを有し、前記サブストッカは、前記工具がX方向を指向するように保持する保持アームと、前記工具の1つを前記保持アームから抜き取りZ方向に向きを変えて前記加工主軸に受け渡す工具受渡交換機構と、前記保持アームを間欠移動させるインデックス機構とを有していてもよい。このようなサブストッカによれば、一層多くの工具を格納しておくことができ、しかも占有幅は工具の長さ程度にしか広がらない。
【0017】
また、前記加工主軸は、前記メインストッカに対する前記工具の着脱操作を直接的に行うようにしてもよい。これにより、専用の着脱機構等が不要になり、簡便となる。
【0018】
さらに、前記加工主軸に装着された前記工具の長さを計測するセンサを有していてもよい。該センサによれば、工具の誤装着や折損等を検出し、所定の対応をとることができる。
【0019】
次に、本発明に係る機械加工方法は、水平面内の一方向であるZ方向にスライド移動するコラムと、前記コラム上に設けられ、且つ鉛直方向にスライド移動する支持体と、前記支持体に設けられたスピンドルユニットと、前記スピンドルユニットの加工主軸に装着された工具の長さを計測するセンサと、少なくとも所定のワークの加工に必要な複数の工具を保持し、保持された前記工具を前記加工主軸に対して着脱を行うメインストッカと、他のワークの加工に必要な工具を含めて保持し、保持された前記工具を前記加工主軸に対して着脱を行うサブストッカとを備えた工作機械の機械加工方法であって、前記サブストッカから前記加工主軸に供給された工具を前記メインストッカに移す際、前記センサにより前記工具の長さを計測し、該長さが予め記録された長さと異なるときに所定の警告を出力することを特徴とする。
【0020】
このように、サブストッカからメインストッカに工具を移す際に工具長さをセンサによって自動的に確認することにより、加工を行う前に誤装着や折損等の異常を見つけることができ、加工を停止させる必要がなく、工作機械の稼働率及び生産効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る工作機械によれば、メインストッカを工作機械の上部に設けることにより、設置面積を拡げることなく多数の工具を格納しておくことができる。また、回転アームの回転中心軸とメインストッカの回転軸が同一鉛直面上に配置されていることから、回転アームの昇降にともなって発生する力のベクトルはメインストッカの方向に向き、モーメントが発生することがないため、安定性が高い。
【0022】
また、本発明に係る機械加工方法によれば、サブストッカからメインストッカに工具を移す際に工具長さをセンサによって自動的に確認することにより、加工を行う前に誤装着や折損等の異常を見つけることができ、加工を停止させる必要がなく、工作機械の稼働率及び生産効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る工作機械について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図13を参照しながら説明する。
【0024】
図1〜図3は、本実施の形態に係る工作機械システム10の斜視図、正面図及び側面図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る工作機械システム10は、ワークWに対してドリル加工、中ぐり加工及びホーニング加工等を行うものであって、正面視(図2参照)で幅狭に構成されている。以下、工作機械システム10の向きを特定するために、図2における左右方向をX方向、高さ方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する奥行きの方向をZ方向(図3参照)とする。X方向及びY方向は、水平面内の所定の一方向であって、直交している。
【0025】
工作機械システム10は、正面視向かって左側の第1工作機械11aと右側の第2工作機械11bと、これらの第1工作機械11a及び第2工作機械11bを統合的・協調的に制御するコントローラ12とを有する。第1工作機械11aと第2工作機械11bは隣接して平行に設けられており、定盤13、ワーク移動装置14及びフレーム15は共用となっている。もちろん、これらの定盤13、ワーク移動装置14及びフレーム15は、第1工作機械11a及び第2工作機械11bに専用のものを用いても良い。第1工作機械11aと第2工作機械11bは同構造であり、以下第1工作機械11aを代表的に説明する。
【0026】
第1工作機械11aは、床に固定された定盤13をベースに構成されている。定盤13はX方向に幅狭で、Y方向に低い形状である。定盤13には、ワーク移動装置14及びフレーム15が取り付けられている。ワーク移動装置14は、定盤13の上面の正面側(矢印Z1側)の近傍に設けられており、該ワーク移動装置14の上方にはワーク押圧固定装置17a、17b(図3参照)が設けられている。なお、支持体22、回転アーム32等を視認できるように図1、図2、図5及び図11ではワーク押圧固定装置17a、17bを省略して図示している。
【0027】
フレーム15は、後述する回転マガジン(自動工具交換機構、メインストッカ)80a、80b、サブストッカ100a、100b及び工具長検査装置101a、101bを支持するためのものであって、定盤13の矢印Z方向の両端から上方に延在する4本の支柱15aと、これらの支柱15aを介して支えられたプレート15bとを有する。
【0028】
第1工作機械11aは、定盤13の上面に設けられたZ方向に延在する一対のZレール16と、該Zレール16に案内されてZ方向にスライドするコラム18と、該コラム18の正面においてY方向に延在する一対のYレール20と、該Yレール20に案内されてY方向にスライドする支持体22とを有する。Zレール16上におけるコラム18のZ方向の位置はZ位置センサ16aによって検出され、Yレール20上における支持体22のY方向の位置はY位置センサ20aによって検出され、それぞれコントローラ12に供給される。
【0029】
コラム18は、定盤13の後方に設けられたZモータ24の作用下にボールねじ機構26を介してZ方向に移動をする。支持体22は、定盤13の内部に配置されたYモータ28の作用下にボールねじ機構30を介してY方向に往復移動をする。コラム18及びYレール20は、Y方向に適度に長い形状であって、支持体22を比較的長距離移動させることができる。
【0030】
図4に示すように、支持体22は、Z1方向に向いたワークWに臨む鉛直平面内において回転する回転アーム32と、該回転アーム32を回転させるアームモータ(アーム回転駆動源)34と、回転アーム32の遠心方向端部近傍に設けられ、回転アーム32に対して回転自在に支承されてZ1方向を指向する加工主軸36と、該加工主軸36を回転させるスピンドルモータ(主軸回転駆動源)38とを有する。アームモータ34は、例えば、ダイレクトモータである。
【0031】
支持体22は、枠体40をベースに構成されており、該枠体40の内部にアームモータ34が設けられている。アームモータ34は、枠体40に固定されたステータ34aと、該ステータ34aの内側に設けられた中空のロータ34bとを有する。
【0032】
回転アーム32は、ロータ34bの矢印Z1方向端部に固定されており、アームモータ34の作用下に回転する。支持体22に対する回転アーム32の角度は、角度センサ41によって計測されコントローラ12に供給される。
【0033】
なお、図4からも明らかなように、回転アーム32はエンドレスに回転が可能であるが、最低限1回転(360°)の回転が可能であればよい。加工主軸36は、回転アーム32の回転中心Cから距離Rだけ離れた箇所に設けられている。また、回転中心Cから回転アーム32の外側端部までの長さをLとする。
【0034】
回転アーム32において、加工主軸36が設けられている側と反対側(図4における上側)にはバランサ42が設けられている。バランサ42は、クーラント等の液体が入った液体タンクであり、加工主軸36に取り付けられる工具に応じて、内部の液量を変化させてバランスをとることができる。バランサ42は金属製の錘であってもよい。該バランサ42が設けられている箇所以外の回転アーム32の内部は中空構造となっている。回転アーム32は、支持体22と比較すると相当に軽量であり、回転させたときにも支持体22や第1工作機械11aに対する安定性を損なうことがない。
【0035】
スピンドルモータ38は矢印Z2方向に突出しており、アームモータ34と同軸となるように、支持体22における枠体40の後面に対して固定されている。スピンドルモータ38とアームモータ34は同軸上に配置されていることから、支持体22をコンパクトなユニットとして構成することができる。すなわち、加工主軸36の軸線上にスピンドルモータ38が存在せず、回転アーム32の中心に近い箇所にスピンドルモータ38があると、前記のバランサ42の質量及び大きさが小さくてすみ、支持体22を全体的にコンパクトにすることができる。したがって、スピンドルモータ38の軸を回転アーム32の軸とが同軸上にあることが好ましい。
【0036】
シャフト(動力伝達部)44は、ロータ34bの中空部を貫通して設けられ、一端がスピンドルモータ38の回転軸に固定され、他端は、枠体40から突出して回転アーム32の矢印Z1側の側板まで達している。シャフト44は、回転アーム32の矢印Z1側端部、矢印Z2側端部及び枠体40の矢印Z2側端部の3箇所で、順にベアリング45a、45b及び45cによって軸支されている。
【0037】
プーリ機構46は、ベアリング45aとベアリング45bとの間でシャフト44に固定された駆動プーリ46aと、加工主軸36の矢印Z2方向端部に固定された従動プーリ46bと、これらの駆動プーリ46aと従動プーリ46bとの間に張架されたベルト46cとを有する。また、プーリを用いた駆動機構は回転アーム32を軽量化できて好適である。
【0038】
また、プーリを用いた駆動機構以外にも、例えば、駆動プーリ46aをギアへ置換するとともに、従動プーリ46bをピニオンに置換し、サイレントチェーンを利用した駆動伝達機構を用いてもよい。この場合、ギアとピニオンとの間を複数のギア等を介して駆動力を伝達してもよい。
【0039】
プーリ機構46は、回転アーム32内の中空部に設けられており、所定のテンション機構によってベルト46cの張り調整がなされている。このような構造により、スピンドルモータ38の回転は、シャフト44及びプーリ機構46を介して加工主軸36に伝達される。
【0040】
加工主軸36は、回転アーム32と一体的に設けられた主軸カバー48内に収納されており、矢印Z1方向の先端部には工具Tが装着されるツールヘッド50が設けられている。また、矢印Z2方向端部には、ツールヘッド50に対する工具Tのクランプ状態を解除して、工具Tを離脱可能にするアンクランプレバー52が設けられている。アンクランプレバー52は、回転中心Cから見て外向きにやや突出する形状であり、後述するアンクランプブロック78によって回転中心Cの方向に押圧されることにより操作され、工具Tをアンクランプすることができる。また、アンクランプレバー52は、アンクランプブロック78が離れることにより図示しない弾性体によって元の位置に戻され、ツールヘッド50内の工具Tをクランプすることができる。
【0041】
回転アーム32の背面側(矢印Z2側)にはねじ60によって板ばね等からなるディスク62を挟持して回転アーム32を所定位置にて固定する固定装置64を設けている。
【0042】
この固定装置64はディスク62の背面側と当接する受け座66とこの受け座66との間でディスク62を挟持する押圧片68とからなり、押圧片68は皿ばね70によって挟持方向に付勢されるロッド72先端部に設けられ、皿ばね70に抗してロッド72を前方に押すことでディスク62の挟持状態を解除し、回転アーム32の回転が可能となる。
【0043】
なお、本実施例ではディスク62を板ばねにて構成したため、ディスク62を挟持することで回転アーム32が倒れることなく確実に回転が阻止される。
【0044】
図5に示すように、第1工作機械11aにおけるコラム18の上部の矢印Z1側の面には、前記のアンクランプレバー52を押圧するためのアンクランプブロック78が設けられている。したがって、回転アーム32を上方に指向させた状態で、支持体22を上昇させることにより、アンクランプブロック78によってアンクランプレバー52を操作してツールヘッド50内の工具Tをアンクランプすることができる。
【0045】
フレーム15におけるプレート15bの上面やや左側には、第1工作機械11aに対応し、加工主軸36に着脱自在な複数の工具Tを格納した回転マガジン80aが設けられている。なお、フレーム15におけるプレート15bの上面やや右側には、第2工作機械11bに対応し、回転マガジン80aと同機構の回転マガジン80bが設けられている。以下、回転マガジン80aを例に説明する。
【0046】
回転マガジン80aは、矢印Z方向に延在する回転軸82と、該回転軸82を駆動するマガジンモータ83と、回転軸82を中心として正面視(図2参照)で略270°の範囲で放射状に設けられた保持アーム84とを有する。各保持アーム84の先端には工具Tを保持するC字状のグリップが設けられている。グリップは弾性体であって、C字の開口部から工具Tを押し込むことにより弾性的に拡開して工具Tが挿入可能となり、挿入された後には閉じて工具Tを挟持・保持することができる。また、保持された工具Tは、C字の開口部から引き抜きが可能である。保持アーム84の数は、例えば16本程度とするとよい。
【0047】
回転マガジン80aは、通常、保持アーム84のない略90°の部分が下向きとなっており、全体がプレート15bよりも上方にあり、コラム18及び支持体22の動作の支障とならない。ツールヘッド50の工具Tを交換する際には、回転マガジン80aを回転させて、プレート15bの端から所定の保持アーム84を下方に指向させる(図5参照)。
【0048】
具体的には、工具Tを保持していない空の保持アーム84を下方に指向させておき、コラム18のZ方向位置を調整した後に、支持体22を上昇させる。これにより、図6に示すように、工具Tが保持アーム84に保持されるとともに、アンクランプレバー52がアンクランプブロック78に当接して操作され、工具Tはツールヘッド50に対してアンクランプされる。したがって、コラム18を矢印Z2方向に後退されることにより、工具Tはツールヘッド50から抜き取られる。
【0049】
次いで、回転マガジン80aを回転させて、これから使用する予定の工具Tが保持されている保持アーム84を下方に指向させ、コラム18を矢印Z1方向に進出させる。これにより目的の工具Tがツールヘッド50に挿入されるので、支持体22を下降させることにより、アンクランプレバー52がアンクランプブロック78から離間して工具Tをクランプすることができる。この後、回転マガジン80aを回転させて、全ての保持アーム84がプレート15bよりも上方に配置されるように設定する。
【0050】
このように、回転マガジン80aと加工主軸36との間では、途中で工具Tを受け渡すために介在する機構はなく、コラム18、支持体22及び回転アーム32の動作作用下に工具Tの着脱操作を直接的に行うことができる。これにより、専用の着脱機構等が不要であることから簡便構造となり、しかも工具の脱着に要する時間が短縮される。
【0051】
なお、図2から明らかなように、回転マガジン80aは第1工作機械11aの上部に設けられており、設置面積を拡げることなく多数の工具Tを格納しておくことができる。また、回転アーム32の回転中心軸と、回転マガジン80aの回転軸82は同一鉛直面上に配置されていると、回転アーム32の昇降にともなって発生する力のベクトルは回転マガジン80aの方向に向き、モーメントが発生することがない。これについて図7A及び図7Bのモデルで検討する。図7A及び図7Bの質量点M1は回転マガジン80aの重心点を示し、質量点M2は支持体22の重心点を示し、これらの質量点M1とM2とを接続する摩擦ダンパDは、回転マガジン80aと支持体22との間のレール20やフレーム15等の接続部の等価機構である。なお、質量点M2は、回転アーム32の角度によって変動するが、該回転アーム32の質量は支持体22の質量と比較して小さいことから変動幅も小さく、このモデルでは省略できる。
【0052】
図7Aのように、質量点M1と質量点M2が、同一鉛直面上に配置されていると、質量点M2は支持体22を示すことからレール20に沿って鉛直方向に動作することになり、その移動を示すベクトルVは質量点M1の方向を指向する。つまり、ベクトルVは摩擦ダンパDを伸縮させる力のみを発生させ、モーメントの発生はなく、モデルを回転させる力は発生しない。
【0053】
これに対して、図7Bのように、質量点M1と質量点M2が、同一鉛直面上ではない位置に配置されていると、質量点M2の移動を示すベクトルVは、鉛直向きであることには変わりないため、摩擦ダンパDを伸縮させる力F1と、モデルを回転させるモーメントM=F2・aが発生する。ここで、力F2は、ベクトルVが示す力の、摩擦ダンパDの延在方向と直交する方向の分力であり、パラメータaはその時点における摩擦ダンパDの長さである。
【0054】
つまり、これらのモデルから、回転アーム32の回転中心軸と、回転マガジン80aの回転軸82は同一鉛直面上でないと、第1工作機械11aを回転させるモーメントMが発生して揺れが生じ得るが、回転アーム32の回転中心軸と、回転マガジン80aの回転軸82が同一鉛直面に配置されていると、モーメント及び揺れが生じることがなく、安定性が高いことが理解されよう。
【0055】
次に、サブストッカ100a及び100bについて説明する。図1に示すように、フレーム15の左側面には、第1工作機械11aに対応し加工主軸36に着脱自在な複数の工具Tを格納したサブストッカ100aが設けられている。同様に、フレーム15の右側面には、第2工作機械11bに対応しサブストッカ100aと左右対称機構のサブストッカ100bが設けられている。サブストッカ100aとサブストッカ100bは左右対称に設けられておりバランスがよい。以下、サブストッカ100aを例に説明する。
【0056】
サブストッカ100aは、チェーンやタイミングベルト等の循環回転手段102と、該循環回転手段102を4隅で支持するプーリやスプロケット等の案内輪104と、循環回転手段102に設けられた複数本(例えば40本)の保持アーム106と、該保持アーム106に保持された工具Tを加工主軸36に対して着脱する工具受渡機構108(図8参照)と、案内輪104を間欠的に駆動して保持アーム106のいずれか1つを工具受渡機構108に配置させるモータ(インデックス機構)109とを有する。サブストッカ100aは、側面視(図3参照)で、側壁に沿ってZ方向に長い形状である。また、正面視(図2参照)ではX方向の幅は非常に短く、実質的には保持する工具Tの長さがX方向の幅となっている。保持アーム106は、前記の保持アーム84と同機構であって、工具Tが矢印X方向に突出する向きに保持することができる。
【0057】
図8に示すように、工具受渡機構108は、サブストッカ100aの矢印Z1方向端部近傍に設けられており、符号を付さない架台にブラケット103に揺動可能に支承されたシリンダ110と、該シリンダ110のロッド110aの先端に設けられたチャック111とを有する。工具受渡機構108はサブストッカ100aの矢印Z1方向端部に配置された保持アーム106の一部をチャック111で把持し、ロッド110aを伸縮させることによって保持アーム106及び工具Tを90°回転させることができる。これにより、保持アーム106は矢印X方向を指向し、工具Tは矢印Z方向を指向することになる。この状態で加工主軸36を矢印Z1方向に進出させることにより工具Tを装着することができる。また、逆の動作により加工主軸36から工具Tを抜き取り、保持アーム106に戻すことができる。
【0058】
このような工具受渡機構108を含むサブストッカ100aでは、長尺な工具軸方向を一方向に備えているので、多数の工具Tを格納しておくことができて好適である。また、簡便な工具受渡機構で、工具軸方向を変更して矢印Z1方向に指向できるので、一層多数の工具を取り扱うことができ、サブストッカ100aの設置位置の自由度が向上する。
【0059】
回転マガジン80aとサブストッカ100aは、共に工具Tを格納しておくことができるが、用途に応じて使い分けるようにしてもよい。例えば、一週間の作業で必要な工具Tをサブストッカ100aに格納しておき、そのうち1日の作業で必要な工具Tを回転マガジン80aに格納させてもよい。この場合、回転マガジン80aとサブストッカ100aとの間の工具Tの受け渡しは、工具受渡機構108及び加工主軸36を介して行うことができ、例えば、作業のない夜間に受け渡しを自動的に完了させておくとよい。
【0060】
次に、工具長検査装置101a及び101bについて説明する。プレート15bの左側下面には、第1工作機械11aに対応し、加工主軸36に装着された工具Tの長さを検査する工具長検査装置101aが設けられている。なお、プレート15bの右側下面には、第2工作機械11bに対応し、工具長検査装置101aと同機構の工具長検査装置101bが設けられている。以下、工具長検査装置101aを例に説明する。
【0061】
図9に示すように、工具長検査装置101aは、Z方向に延在するボールねじ202と、該ボールねじ202の一端に接続されたモータ204と、ボールねじ202の他端に設けられた軸受体206と、ボールねじ202に螺合しながらモータ204の回転作用下にZ方向に進退するナット体208と、該ナット体208をZ方向に案内するレール210と、ナット体208に接続されて下方を指向する非接触センサ212とを有する。レール210には図示しないリニア変位センサが設けられており、非接触センサ212のZ方向位置を検出してコントローラ12に供給する。
【0062】
非接触センサ212は第1工作機械11aのコラム18、支持体22及び回転アーム32が所定の基準計測位置に移動したときに、加工主軸36に装着された工具Tの上方近傍となる位置に配置可能である。基準計測位置は、例えば、加工主軸36の先端が軸受体206の端面とZ方向位置が一致し、支持体22が最上位位置で、且つ、回転アーム32が、正面視で左斜め45°となる位置に設定しておくとよい。また、非接触センサ212は、回転アーム32の動作範囲外にあり、回転アーム32、加工主軸36及び工具Tに対する干渉のおそれがない。
【0063】
コントローラ12では、リニア変位センサの信号を参照しながら非接触センサ212を所定の位置に移動させることができ、該位置において非接触センサ212の直下に工具Tが存在するか否かを検査する。
【0064】
また、コントローラ12は、工程に応じて加工主軸36に装着されている工具Tの基準長さTLを記録しており、非接触センサ212が該基準長さTLよりもZ1方向に微小変位αだけ移動した位置220aで工具Tを検出せず、且つ、該基準長さTLよりもZ2方向に微小変位αだけ移動した位置220bで工具Tを検出したときに工具Tが正常長さであることを認識できる。非接触センサ212が、位置220aで工具Tを検出し、又は位置220bで工具Tを検出できなかった場合には、間違った別の工具Tが装着されているか、又は、折損していると判断できる。
【0065】
工具Tの長さを検査する手段としては、工具長検査装置101aの作用下に、非接触センサ212を基準長さTLに対して±αの範囲でZ方向に移動しながらリアルタイムに計測を行い、工具Tの一層精確な長さを調べるようにしてもよい。また、1つの非接触センサ212で工具Tの長さTLを検査するためには、これらの非接触センサ212と工具TがZ方向に相対的に移動をすればよいことから、非接触センサ212をプレート15bの下面に固定しておき、Zモータ24及びボールねじ機構26の作用下にコラム18を動かすようにしてもよい。コラム18がZ方向に移動することにより加工主軸36及び工具Tも一体的にZ方向に移動をすることから、非接触センサ212に対して相対移動をして、工具Tの長さTLを検査することができる。
【0066】
図10に示すように、コントローラ12は、第1工作機械11a及び第2工作機械11bを制御する第1工作機械制御部300a及び第2工作機械制御部300bと、ワーク移動装置14を制御するワーク保持制御部302と、回転マガジン80a及び80bを制御するマガジン制御部304と、サブストッカ100a及び100bを制御するサブストッカ制御部306と、ワーク押圧固定装置17a及び17bを制御する固定制御部308と、工具長検査装置101a及び101bを制御して工具Tが正常であるか否かを判断する工具判断部310と、該工具判断部310が工具Tの異常を検出したときに所定の警報を出力する警報部312とを有する。
【0067】
このように構成される第1工作機械11aによれば、加工主軸36の水平位置の位置Xは、アームモータ34の回転作用下に回転アーム32の向きによって変化し、例えば、図11に示すように、水平方向を0°とした角度θに対して、X=R・cosθとして表される。また、加工主軸36の鉛直方向の位置Yは、回転アーム32の向きと支持体22の高さY0によって変化し、Y=Y0+R・sinθとして表される。したがって、回転アーム32と支持体22の動作によって、ターンテーブル150に固定されたワークWに対して所望の位置に加工主軸36を配置させることができ、加工主軸36の位置決めがなされた後には、スピンドルモータ38によって加工主軸36を回転させながら、コラム18を矢印Z1方向に進出させることによって、工具TをワークWに対して当接させ、ドリル、中ぐり及びタップ等の切削加工、並びにホーニング等の研削加工をすることができる。
【0068】
第1工作機械11aを例に挙げて説明をしたが、第2工作機械11bについては第1工作機械11aと同構造であることから詳細な説明を省略する。
【0069】
次に、このように構成される工作機械システム10を用いて行う機械加工方法であって、サブストッカ100aから加工主軸36に供給された工具Tを回転マガジン80aに移す際、工具長検査装置101aにより工具Tの長さTLを計測し、該長さTLが予め記録された長さと異なるときに所定の警告を出力する方法について図12を参照しながら説明する。
【0070】
この手順は、所定の第1ワークW1を連続的に所定数又は所定時間に加工をした後に、別の第2ワークW2の加工のための準備として行うものであり、例えば、昼休み前や夜間操業の直前に行う。
【0071】
これにより、作業員が昼休み時間又は夜間で不在の場合でも、システムを稼働することができ、1日当たりの稼働率を向上させることができる。
【0072】
また、工具寿命に関して、所定の加工数に達した工具Tをサブストッカに移してスペア工具を回転マガジンに自動供給できるように、サブストッカの保持アーム106はナンバリングされている。回転マガジンの保持アーム84はナンバリングされ、その番号あるいは符号に対応したメモリがマガジン制御部304及びサブストッカ制御部306に備えられ、各保持アームに格納された工具Tの固有番号と、その工具Tの累積加工回数あるいは累積加工時間がメモリに記憶される。所定の加工回数、加工時間を超えると、スペア工具が加工主軸36を介してサブストッカ100aから回転マガジンに供給される。所定の加工回数、加工時間を超えた工具Tは、前述と逆の動作を実施し、加工主軸36を介して回転マガジンからサブストッカ100aに戻る。サブストッカ100aには保持アーム106に対応する図示しないランプが設けられており、所定の加工回数、加工時間を超え、戻った工具Tに対応して前記ランプは、例えば赤や黄色に発光して、交換が必要であることを作業員に認識させる。
【0073】
また、前述のとおり、同じ仕様の工具Tを備えてあれば、仮に後述の長さTLが異常であったときには、回転マガジンあるいはサブストッカ100aに備えられていた同じ仕様の工具Tでリトライすることができ、システムの停止を防止する。
【0074】
以下の手順は、第1工作機械11aを例にして説明するが、第2工作機械11bについても同様である。
【0075】
先ず、図12のステップS1において、その時点で回転マガジン80aに格納されている工具Tを抜き取って加工主軸36に装着する(図6参照)。ここで、加工主軸36に装着する工具Tは、それまでの第1ワークW1の加工を行うものであって、次の第2ワークW2の加工には用いないものである。以下、この工具Tを、工具T1と呼ぶ。
【0076】
ステップS2において、コラム18、支持体22及び回転アーム32を所定の交換位置まで移動させ、工具受渡機構108を介して工具T1をサブストッカ100aの所定の保持アーム106に装着する。これにより、回転マガジン80aに装着されていた所定の工具T1がサブストッカ100aに移されたことになる。
【0077】
ステップS3において、予定された数の工具T1を全てサブストッカ100aに移し終えたか否かを確認する。予定数の全ての工具T1を移し終えているときにはステップS4へ移り、未終了であればステップS1へ戻る。
【0078】
ステップS4において、サブストッカ100aにおける所定の保持アーム106に、次の第2ワークW2の加工に用いる工具T(以下、工具T2という。)を装着する。この装着処理は作業者によって行われ、図13に示すように、工具T2に示されたコード400と、保持アーム106に表示された識別用のコード402が一致することを確認して装着する。コード402は第2ワークW2の加工に先だって回転マガジン80aの正しい位置に装着するように識別のために設けられているものである。
【0079】
工具T2を装着する保持アーム106は工具T1がない空き状態であり、又はその時点で装着されている工具T1に交換して工具T2を装着する。対応する保持アーム106が工具T1にも対応している場合には、第1ワークW1用の識別用としてコード404を表記しておく。
【0080】
なお、このステップS4工具T2の装着処理は、前記のステップS1の以前で第1工作機械11aが第1ワークW1に対する加工を行っている際に同時並行的に行ってもよい。
【0081】
全ての工具T2をサブストッカ100aに装着した後、作業者はコントローラ12に対して所定の入力操作を行い、該コントローラ12はこの入力に基づいてステップS5へ移る。
【0082】
ステップS5において、コラム18、支持体22及び回転アーム32を所定の交換位置まで移動させ、サブストッカ100aの所定の保持アーム106に装着されている工具T2を工具受渡機構108を介して加工主軸36に装着する。
【0083】
ステップS6において、コラム18、支持体22及び回転アーム32を前記の基準計測位置まで移動させ、工具長検査装置101aによって工具T2の長さTLを検査する。このとき、複数の工具T2はそれぞれ長さTLが異なることから、工具長検査装置101aは、工具判断部310に記録されて供給される各工具T2の長さTLを基準として、図9に示すように、微小変位αだけZ1方向及びZ2方向に非接触センサ212を移動させて検査を行う。
【0084】
ステップS7において、工具判断部310は工具長検査装置101aによる検査結果が正常か異常かの判断を行う。つまり、位置220a(図9参照)では非接触センサ212により工具T2が検出されて、且つ位置220bでは検出されなかったときには正常であり、それ以外のときには異常であると判断する。正常であればステップS10へ移り、異常であればステップS8へ移る。
【0085】
ステップS8において、工具判断部310は警報部312を介して警報処理を行う。つまり、この場合には工具T2が誤装着又は欠損しているおそれがあることから、作業員に対して確認及び交換の催促を行うためである。警報処理とは、例えば、音響出力、画像出力、ランプ点灯、及び外部コンピュータへの通報等が挙げられる。また、このとき第1工作機械11aは一時停止する。また、前述のスペア工具を供給する方法で一時停止を回避して稼働率を向上させるようにしてもよい。
【0086】
ステップS9において、警報を認知した作業者により、工具T2の確認が行われ、誤装着又は欠損等がある場合には所定の正しい工具T2に移し替えが行われる。工具T2の確認・交換をした後、作業者はコントローラ12に対して所定の入力操作を行い、該コントローラ12はこの入力に基づいてステップS10へ移る。
【0087】
ステップS10において、加工主軸36に装着されている工具T2を回転マガジン80aにおける所定の保持アーム84に装着する。これにより、サブストッカ100aに装着されていた所定の工具T2がコード400及び402に基づいて回転マガジン80aにおける対応する保持アーム84に移されたことになる。
【0088】
ステップS11において、予定された数の工具T2を全て回転マガジン80aに移し終えたか否かを確認する。予定数の工具T2を移し終えているときには図12に示す処理を終了し、第2ワークW2の加工工程に移り、未終了であればステップS5へ戻る。
【0089】
この後の第2ワークW2の加工工程では、第1ワークW1の加工工程と同様に、加工箇所及び加工シーケンスに応じて回転マガジン80aから対応する工具T2を加工主軸36に装着し、コラム18、支持体22及び回転アーム32を動かして加工位置に合わせ、スピンドルモータ38の回転作用下に工具T2を回転させて、コラム18をさらにZ1方向に移動させることにより加工が行われる。
【0090】
このように、本実施の形態に係る機械加工方法では、サブストッカ100aから回転マガジン80aに工具T2を移す際に工具長TLを非接触センサ212によって自動的に確認することにより、加工を行う前に誤装着や折損等の異常を見つけることができる。したがって、第2ワークW2に対して間違った工具で加工を行ったり、又は加工ができないという事態を防止することができる。
【0091】
また、この機械加工方法では、第2ワークW2の加工を開始する以前に、加工に必要な全ての工具T2について工具長TLの検査をして正常であることを確認できていることから、第2ワークW2の加工開始時及び加工途中に、工具T2の異常に基づく加工停止をする必要がなく、第1工作機械11aの稼働率及び生産効率の向上を図ることができる。
【0092】
本発明に係る工作機械システム及び機械加工方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施の形態に係る工作機械システムの一部断面斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る工作機械システムの正面図である。
【図3】本実施の形態に係る工作機械システムの側面図である。
【図4】支持体の断面側面図である。
【図5】工具交換をする際の加工主軸、保持アーム及びアンクランプブロックの一部断面斜視図である。
【図6】工具交換をする際のコラム、回転マガジン及びその周辺部の拡大側面図である。
【図7】図7Aは、回転アームの回転中心軸と回転マガジンの回転軸が同一鉛直面上に配置されている機構のモデル図であり、図7Bは、回転アームの回転中心軸と回転マガジンの回転軸が同一鉛直面上でない位置に配置されている機構のモデル図である。
【図8】工具受渡機構の模式平面図である。
【図9】刃具長検査機構の側面図である。
【図10】コントローラのブロック構成図である。
【図11】加工主軸の座標を示すための工作機械の模式正面図である。
【図12】本実施の形態に係る機械加工方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】保持アームに工具を装着する様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
10…工作機械システム 11a、11b…工作機械
18…コラム 22…支持体
32…回転アーム 36…加工主軸
50…ツールヘッド 80、80a、80b…回転マガジン
84、106…保持アーム 100a、100b…サブストッカ
101a、101b…工具長検査装置 108…工具受渡機構
202…ボールねじ 206…軸受体
208…ナット体 210…レール
212…非接触センサ T…工具
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内の一方向であるZ方向にスライド移動するコラムと、
前記コラム上に設けられ、且つ鉛直方向にスライド移動する支持体と、
前記支持体に支承してZ方向に向いたワークに臨む鉛直平面内において360°回転する回転アームと、
前記回転アームを回転させるアーム駆動源と、
前記回転アーム上の回転中心から離れた位置に設けられ、前記回転アームに対して回転自在に支承されてZ方向を指向する加工主軸と、
前記加工主軸を回転させる主軸駆動源と、
前記加工主軸に着脱自在な複数の工具をメインストッカに備えた自動工具交換機構と、
を有し、
前記回転アームの回転中心軸と、前記メインストッカの回転軸は同一鉛直面上に配置されていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
請求項1記載の工作機械において、
水平面内でZ方向に直交するX方向の側面に、前記工具を複数格納するサブストッカを有し、
前記サブストッカは、前記工具がX方向を指向するように保持する保持アームと、
前記工具の1つを前記保持アームから抜き取りZ方向に向きを変えて前記加工主軸に受け渡す工具受渡機構と、
前記保持アームを間欠移動させるインデックス機構と、
を有することを特徴とする工作機械。
【請求項3】
請求項1又は2記載の工作機械において、
前記加工主軸は、前記メインストッカに対する前記工具の着脱操作を直接的に行うことを特徴とする工作機械。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械において、
前記加工主軸に装着された前記工具の長さを計測するセンサを有することを特徴とする工作機械。
【請求項5】
水平面内の一方向であるZ方向にスライド移動するコラムと、
前記コラム上に設けられ、且つ鉛直方向にスライド移動する支持体と、
前記支持体に設けられたスピンドルユニットと、
前記スピンドルユニットの加工主軸に装着された工具の長さを計測するセンサと、
少なくとも所定のワークの加工に必要な複数の工具を保持し、保持された前記工具を前記加工主軸に対して着脱を行うメインストッカと、
他のワークの加工に必要な工具を含めて保持し、保持された前記工具を前記加工主軸に対して着脱を行うサブストッカと、
を備えた工作機械の機械加工方法であって、
前記サブストッカから前記加工主軸に供給された工具を前記メインストッカに移す際、前記センサにより前記工具の長さを計測し、該長さが予め記録された長さと異なるときに所定の警告を出力することを特徴とする機械加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−301674(P2007−301674A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132544(P2006−132544)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】