説明

平面・立体画像表示装置とその省電力光源

【課題】大幅な製造コストアップなしで、ハイビジョン解像度の1920x1080の2倍及び4倍の解像度を有する壁掛け表示装置を提供する。また製造コストと消費電力を半減した携帯電話やノートブックPCを提供する。また個人化した画像や個人用・家庭用・劇場用の真性立体画像を提供する。
【解決手段】LCD表示板を新しいSPD表示板で置き換えて、SRDで真性立体画像描画を行うことにより、画素変化の高速化、表示板のフィルム化、新しい光源、立体空間での描画を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLCD/DMD等に類する反射・透過による平面画像表示装置の製造コストの半減とその照射光源の省電力化、及び立体画像表示装置に関連した技術分野に属する。

21世紀型自然回帰製品規律として、画像表示は等身大を旨とし、これを図1に示すように対角200インチのアスペクト比16:10、解像度7680x4800で代用し自然サイズとする。Qサイズを対角100インチ、解像度3840x2400とする。ピコサイズは対角50インチ、解像度1920x1200である。

このカテゴリー化の観点からは、2009年現在46インチの1920x1080の液晶HDTVをアナログ停波に向けて18万円前後で購入することを強いられるのは改変され、200インチの等身大表示装置を10万円で供給できるようにする。2009年現在LCD表示装置のコスト構成の過半分はLCDパネルであり、また流通コストがそれに続くのを含めてこれを大幅に低減する。そのためには基本的にフィルム型ロールアップ表示板にし、筒に入れて販売店から消費者が持ち帰れるようにする。

また新聞という媒体形式をこれまでのパルプ消費の紙から壁表示新聞とするには、NHK技術研究所の実験でも明らかなように、200インチで7680x4800の自然解像度が必要である。インターネットで新聞記事を閲覧できても画面をスクロールするのでは、新聞を置き換えることはできない。一瞥して全ページを閲覧できるのが壁新聞である。この壁新聞は家屋の構造の一部として、100年の耐久性がなければならない。

また図に示すように、記録媒体は405nmの波長のブルーレーザーで無理に詰め込んだ25GBのBDでは、立体画像や立体音像が明日に実現したときに、互換性を持って2時間記録をすることができない。背伸びした先端技術ではなく自然回帰した方法で、同じ405nmの波長を使って、12cm片面1層で40GBのEBD、12cm片面1層で100GBのSBD、回転ディスクではない15cmx25cmの250GBのNBDが既に開発を完了しており、表示装置が自然回帰するのを待っている。自然回帰とは里山で熟年者が設計・製造でき、立体表示ができ、100年の耐用性があり、そのあと穏やかに土に還って、消費電力を1/3以下にすることである。

これらの自然回帰の立体表示は、図2に示すように真性(True−Type)立体画像、または純正(Pure−Type)立体画像でなければならない。純正立体画像とは、空間画像と視聴者の眼球を結ぶ線上にレンズ等の光学素子がなくとも、その外側に立体画像を描画できるようにしたもので、ステレオ音像が2つのスピーカー幅の外側に定位できる外挿(Extrapolation)と同じ原理であり、既に開発が完了しているが本発明では記述されない。本発明で定義される真性立体画像とは、空間画像と視聴者の眼球を結ぶ線上にレンズ等の光学素子がある内挿(Interpolation)で立体画像を描画したものを言う。

【背景技術】
【0002】
カラーCRTを置き換えたこれまでのカラーLCD/単板式DMD等の表示装置では、HIDランプ、白色混合の蛍光灯、LED等を光源として使い、画素毎のまたは回転式面順次のRGB3原色カラーフィルターを使って色を表現していた。このため光源の光は1/3しか有効に利用することが出来ず、2/3の光は捨てるので消費電力が減らず、また発熱対策の問題を持っていた。本発明の目的の一つは光源の光のロスを出来る限り減らす方法を提供することである。RGB3原色のLEDをフィールド周期より高速で点滅する方法は、LEDの光量が不足し、またLCDの応答がフィールド順次には追いつかない。DMDで3原色FLを3板式で使うのは、独占されたDMDを3つ導入するコストが高すぎるとされている。

LCD表示装置の部品構成は複雑で、その製造コストの低減にはこれまで限界があった。一方DMD表示装置の構成は複雑ではないが、MEMSであるために製造コストは大画面LCD表示装置を上回っていた。

また、カラー画像より白黒画像の方が自然ではないために、白黒画像は人間に対するインパクトも大きいがストレスも大きいように、平面画像よりも自然に近く視聴者にストレスを掛けないはずの立体画像表示は、これまでの左右両眼の視差を利用した擬似的な立体画像表示で逆にストレスと煩わしさを付け加えていた。これまで真の立体画像に近いものが裸眼で得られる表示方法は見つかっていなかったが、本発明の目的の一つは真性立体画像表示の方法を提供し、またそれにより一層の省電力化を達成することである。真性立体画像は3次元空間に等価発光点としての画素を置き、それが鑑賞者の網膜上に遠近で結像し、また両眼視差情報を与えなければならない。当然のことながら鑑賞者の視点を固定する束縛を課してはならない。

最も優れた、高度の忠実度を持った立体映像装置は鏡である。鏡は立体の景色をその背後に映し出す。これに敵う装置は、全国家予算を投じても作り出すことは不可能である。人間にとって当たり前の鏡も、動物にとって見れば驚きの立体映像装置であろう。次に優れた立体映像装置は遠視や近視の矯正メガネであろう。凸レンズや凹レンズの向こう側に比較的良質の立体画像を作り出す。鏡やメガネの像を逆に平面像にするのは、簡単なことではない。両眼視差情報や、遠近のピントのずれという情報を無視するのには工夫がいる。即ち立体画像表示装置は、開発するのに平面画像表示装置を開発するより、はるかに簡単である。ホログラフィーは貧弱で幼稚な立体像しか与えることが出来ないのに、それに携わるものが未だにいるのは不思議である。劇場の芝居は立体である。この世で自然なものは立体画像である。要するに20世紀の科学者や技術者が夢見ていたものは表示装置ではなく、電波で放送し、また記録されたものを表示装置に入力する手立てが分からなかったのである。立体画像表示装置は、創造主がすでに自然の中に最初から与えていることに気づかなければならない。

立体的な風景を、単純に老眼鏡を通して見た実像・虚像はそのままで立体画像であって、この簡単な原理があるにも拘わらず、レーザービームで空間の空気をイオン化してその点を発光させるという突飛な考えしか究極の解として議論されていない。図3に示すのは、古くから知られている可干渉長が経路差より長いLD光を使って、凸レンズのメガネを通した自然の風景と同様の立体像を作るホログラフィーであるが、その原理は極めて素朴でありふれたものであり、2つに割れた凸レンズと同じである。2つのレンズをそれぞれ通った光もホログラフィーも位相合致する点に結像する。但しホログラフィーでは参照光は物体には当てないので、振幅変調がなく位相情報だけに意味がある。ホログラフィーの立体画像表示は、我々が日常見るメガネを通した立体画像表示より装置が大掛かりで、また放送するためには膨大な演算と記録容量とデータレートが必要であり、見世物の域を出ることはない。

図4に示すNTTが実験した遠近表示方法は、前後2枚の2つの画像を視聴者の視点から見た同一線上に重ね合わせて、輝度の重み付けで2つの平面スクリーンの中間の任意の奥行きに画素領域があるように目の錯覚を起こさせる方法である。この方法は視聴者の視点の動きに対して2つの投影すべき画像の大きさと位置を求める演算が膨大であり、また重ね合わせのために前のスクリーンを半透明にするためにコントラスト比が取れなくなり、幾ら開発費を掛けても実験室の装置の域を出ない。しかし、要点を突いた方法である。

立体画像表示の方法が見つからず、やむなく偏光眼鏡を掛けるか、レンチキュラーレンズを使った両眼視差の錯覚を利用する「飛び出すテレビ」とするか、または人間に極度のストレスを与えるために発売中止となったヘッドマウント2板式LCD立体メガネとかでは、情報量の増加は5割増しが必要だとしている。しかしその+50%を取り入れる12cmの2時間ブルーレイディスクは用意されておらず、また合理性を持ったコンテンツ創出が将来行われる見込みもない。

真性立体画像は、その撮像方法が簡潔な形で確立されていなければならない。それは一点から透視されたX−Y平面画像の画素領域にZ軸座標タグを付けることである。これは平面画像情報を100%とした時に、5%のタグデータ量を要求する。真性立体画像は、図5に示す前景に隠れた背景の三日月部分A・Bの片方の情報を付け加えなければならない。この左右両眼の差分情報は5%程度である。特に立体化のための画像情報演算処理を必要としないカメラは、通常のデジカメのCCD/CMOSイメージャーを置き換えた形で、平面デジカメを大幅にコストダウンして既に開発されている。立体画像投影装置も画像情報演算を必要とせず、従来の平面画像用LCDパネルやDMDプロジェクターを大幅に簡略化して実現された。

しかし、過去に平面映像として撮像されたアーカイブを立体画像に加工するためには、リアルタイムではない比較的膨大な演算を加えなければならない。そのような場合には、むしろ立体化加工をやめ、立体画像表示装置を平面画面モードで使用することを、本発明は前提としている。そのためには立体画像表示装置は平面画像表示装置とほぼ同じ構成をもっていなければならない。従来はそのような要件を満たすものは、夢にも考えられていなかった。

また真性立体画像化に際して、真性立体音像も開発され、それは従来のMPEG−Videoの10%の圧縮情報を必要とし、画像・音響合わせて図6に示すように20%増しの情報量になる。これをMPEG3D/AVとする。

【特許文献1】特開2008−42745
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は先ず光害をなくすことを最初のプライオリティとする。光害は、旅客機の座席でノートパソコンを操作する場合に隣の座席の乗客には光が届かないようにしたいこと、家庭の居間で家族の一人がTV画面を見ているときにその光と音が他の家族には基本的に届かず、共有したいときだけ家族にも届けることである。音場を個人化する手段の1つの形態であるヘッドフォン装着は単なる1次元のステレオであって、1次元を円に展開したサラウンドでは2次元にも届かず、もっとも自然な真の3D音像には程遠い。また立体画像鑑賞は裸眼で行われることが条件であり、それは視聴点の固定を要求してはならない。

本発明は基本的に光源からの光が視聴者の裸眼周辺にのみ届けられるようにする方法を確立すること課題とし、その課題が達成されたときに映像表示装置の消費電力が劇的に低減し、3次元空間に立体像を形成することで、両眼視差の錯覚による立体感に頼らない、日常にありふれた真性立体画像が単純に実現される。また大画面画像表示装置の製造コストを大幅に低減するために、液晶に代わる透過型のカラーパネルを提供することを課題とする。また、DMD等の画像表示装置で高効率・長寿命・低価格の良質な光源を与えることを課題とする。

また家庭に於いて、1つの自然画面(等身大200インチ)で家族がそれぞれフルスクリーン表示で別の番組の鑑賞やPC作業ができるようにしたい。そのためには、ヘッドフォンに依存しない音場分離がなされなければならない。

また立体画像表示と合わせて、立体撮像が実現されなければならない。それは膨大な画像演算処理ではなく、物体深度と視差情報がカメラから物理的に取り出せるものでなければならない。これは既に開発されているが本記述ではそれに言及しない。

【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は平面画像・立体画像表示装置が現在直面している環境破壊・資源枯渇の世紀末的諸問題を、先端技術を一切使わず、既存の技術だけで解決する手段であるアーキテクチャーIについて述べるものである。本発明とは別に、より自然回帰された技術・概念で表示装置を開拓・解決したアーキテクチャーII、アーキテクチャーIIIは別途既に開発済みであるが、本論術ではそれには触れない。

<SPD構造によるLCDの置換>
SPD(Switched Polarizer Display)は、液晶のもっているこれまでの学者の理解・説明とは異なる本質的な機能だけを抽出し、それを単純に電磁アンテナ(金属または誘電体)で置き換えるものである。表示板としての液晶の機能は光シャッターである。この機能を実現するために、たとえばイカは進化の過程で身体の表面の色を瞬時に変えるような仕組みを持ったが、金属を体内に蓄えるような手段は取らず、より間接的な液晶のような手段を取った。直交する2枚の偏光版を重ね合わせると光を透過しないが、それに挟まれる物質が直交する2枚の偏光方向をブリッジすれば光が透過するのが光シャッターの本質的な機能である。液晶は螺旋滑り台のように捩じれて直交する偏光版を段階的にブリッジしている。段階的なブリッジとは、等価的に比較的広帯域に共振するダイポールが、段階的に回転偏位していて、誘導と再放射を繰り返して、順次下層に伝播するに従って偏光方向を回転している。このように多層に分割すると本来は透過率が向上するが、液晶という手段による損失のために、実際の透過率は低い。SPD素子は微小ダイポールが45度回転偏位した角度に置かれて直交する偏光版を1度でブリッジする。

液晶とSPDのブリッジ透過率には大きな差はないが、液晶の場合は分子が捩じれてこのブリッジ機能を果たすために変化に数mSecの時間が掛かり、SPDでは微小ダイポールの給電点がON−OFFしてブリッジ機能を果たすために変化が高速である。

液晶は色フィルター機能を持っておらず、RGB3原色の波長に対して光シャッターが広帯域に機能する。これに対してSPDはRGB3原色の波長でそれぞれ共振する3種類の共振ダイポール配列を持っている。図7の(A)に示すのはLCDに用いられるRGB色フィルターの代表的な特性である。(B)にSPDのQ=4の共振ダイポールの給電点をON−OFFした時の白色光源に対する透過率を示す。アンテナ長の違う3種類の共振ダイポールはそれぞれRGB色フィルターの役割を果たす。

共振ダイポールとは、図の(C)に示すように長さ1波長程度のダイポールの中央からずれた部分を直角に折り曲げて、誘導性の放射性ダイポールと非放射性の装荷容量で、図の(D)に示すようなQ=4程度の共振特性を持たせたものである。ダイポールの偏波方向は水平偏光と垂直偏光の中間の45度程度回転した角度であって、給電点がOFFしていると、入力偏光で誘導された電流による再放射は偏波面が傾いているので、偏光の直交成分が現れて出力側の偏光板を透過する(ノーマリーホワイト)。液晶層の本質的な機能は正にこれであり、液晶が連続的に捩じれることは本質的ではなく、液晶の再放射軸が平均的に45度傾いていることが実は本質的なことが分かる。

共振ダイポールが例えばQ=4程度で、スイッチON−OFFの利得の比が6程度なら、表示板としてのコントラスト比は36:1程度になる。これでは不十分であるので固定的に短絡された軸対称の微小ダイポールを加えて1000:1以上のコントラスト比が取れるようになっている。

SPD共振ダイポール素子を簡単に理解するには、クロスポールから出発するのがよい。クロスポールでは半波長より長いダイポールと、半波長より短いダイポールを直交させて、その給電点を並列接続したものである。正規化クロスポールは直交する2つのダイポールの誘起電圧が90度ずれて加算されるので円偏波アンテナでもある。半波長ダイポールにはリアクタンス成分がなく、放射抵抗だけがある。半波長より短いダイポールは放射抵抗が半波長ダイポールより小さく、容量性のリアクタンスを持つ。半波長より長いダイポールは放射抵抗が半波長ダイポールより少し大きく、誘導性のリアクタンスを持つ。この2つを並列接続すると容量性のリアクタンスと誘導性のリアクタンスが打ち消して、Q=4程度の共振クロスポールにすることが出来る。ダイポールの線径を細くするとQが高くなろうとする一方、銅損が増えてQが小さくなろうとする。大抵の場合は、短いダイポールと長いダイポールの長さを合わせて1波長になるのが共振周波数である。クロスポールは円偏波を検出するので、並列接続の片方を裏返して、放射性ダイポールと非放射性装荷容量として使用する。

人間にとっての色とは、図8の(A)に示すように、本来1次元の波長という変数に対して、感覚のくびれを設け、色相平面として認識するようになったものである。一般的なインコヒーレント光を分光器で測定すると、可視領域で50〜100nm程度の電力半値スペクトル幅を持っている。これは発光過程が熱によって格子振動の影響を受けるからスペクトルが分散すると説明する学者がいて、他の学者もその受け売りをしているが、これはまったくの出任せである。分光器による計測が分散するのは、図の(B)に示すように、発光の軌道遷移が数サイクルのバースト(波束)であるために、フーリエ展開した結果を見ている分光器による計測が分散するのである。これから理解できるように、3原色のスペクトルは理想的に線スペクトルでありたいと思うのは、単なる観念的な不理解である。3原色のスペクトルの軌道遷移が数サイクルのバーストで形成されている程度に分散しているのが好ましく自然である。

軌道遷移発光の位相が無相関(インコヒーレント)の自然光の強さの定義は、光電流に変換して2倍になると強さを2倍と定義する。これは無相関な雑音と同様の扱いであり、電界強度では1.4倍になる。その定義で、通常のLCD表示板の透過率は0.07程度である。十分に密な離散的配列のSPDの透過率はこれより少し大きい。

水平偏光板で強さが半分になった光は、45度傾いた銅損を考慮しない場合の再放射ダイポールで更に半分になり、両側に再放射するが片側への放射分は半分ではなく、再放射ダイポールと垂直偏光板が45度ずれていることで更に半分になるので全体では1/7程度になる。液晶で1/14程度になるのは、両側への再放射と45度の損失が段階的な回転偏位で軽減しているが、RGB3源色フィルターで電力が1/3に減衰するのである。銅損を考慮した場合のSPD素子では、1/7ではなく1/9程度になるので、LCDとSPDの透過率の差は1.5倍程度である。

SPD素子は、3/4波長程度の誘導性(インダクティブ)のダイポールの給電点に容量性(キャパシティブ)の装荷を行って最適な波長選択性を与えるQ値を得るが、それはダイポールの長さと線径で決まるリアクタンス成分Xを放射抵抗rrと銅損rcの和で割った値である。RGB3原色それぞれに対応した共振周波数とQ値を選ぶ。色フィルター機能をすでに持っているSPD素子でRGB各画素の明るさを制御するのは、短絡のON−OFFの時間割合で行い、それはLCDパネルのTFTでON−OFFを行い、またDMDでON−OFF制御を行うのと同様である。図9にLCDとSPDの駆動の差を示す。

SPD素子をフィルム上に形成する加工精度は、再生専用ブルーレイ光ディスクをスタンピングで複製するのと同様の精度である。通常の半導体製造工程のフォトレジストよりは微細な工程であるので、半導体露光技術の65nm程度の最先端短波長化が役立つ。SPD共振ダイポールは、代表的に2つの構造が考えられる。その一つは、図10に示すように、光ディスクのピットのような誘電体の不連続で形成することである。もう一つの方法は通常の電磁アンテナのようにアルミ等の金属を使う方法である。誘電体では電子は原子核や原子核の結合に拘束されて、分極の程度にしか移動できない。その代わり金属と比べて損失が少ない。一方金属は、自由電子が原子核の拘束を離れて移動できるが、銅損という形で比較的大きな抵抗を持つ。光学的な観測では、鏡は通常金属でできており、自由電子が動くことで再放射という反射が起きる。誘電体の無反射コーティングでは分極の程度でその役割が果たされている。金属でも誘電体でも、電磁波と呼ばれる波長領域を可視光と呼ばれる波長領域でも電子の振る舞いに差はない。即ち光学機能素子は電磁界シミュレーションでほぼ完全に解析がされるので、設計の試行錯誤を行うことにはならない。問題なのは、電波と光は同じものであるが、ニュートン以来、光を特別視して来た頭を切り替えることである。

我々は、SPD素子に金属の共振ダイポールを用いる場合は、自然律として与えられる銅やアルミの銅損をそのまま受け入れなければならない。超伝導のようなものに観念的に挑戦してはならない。自然の驚異の一つは夜行性動物の高い眼底反射率である。これは金属層によらず、極めて高い反射率を具現している。本論術では主として共振ダイポールに金属を用いる形態で説明がなされる。そのほか、金属の開口共振アンテナ、金属のパッチ共振アンテナ等を使ってもよい。図11に示すようにアンテナ等価長Leと線幅wがあるときに、光周波数での浸透の厚さは数式1で表される。銅とアルミの導電率は数式2で表される。数式3は銅損である。数式4は共振のQ値であり、放射損rrに対して銅損は小さいが無視できない。

【数1】


【数2】


【数3】


【数4】


SPDはLCDのように液晶層を両側から挟む薄いガラスやスペーサボールのようなものを持っていない。従って何かが割れる心配はない。SPDフィルを何かで支える必要があれば、それが強度を持つ導光板である場合がある。しかしロールアップ表示装置なら、導光板もフィルムであり、暖簾に腕押しである。

SPD構造をLCD構造と比べると、図12に示すように、11枚構成のLCD表示板は3〜4枚構成のSPD表示板で置き換えられる。LCDパネルの構成部品から液晶部、その両面のガラス、カラーフィルターを取り除いたものがSPDパネルであり、その製造工程はロールツーロールで単純化され、マザーグラスを基本とするLCD表示板の製造工程の1/3程度のステップ数で作られる。200インチの自然サイズ、100インチのQサイズ、50インチのピコサイズで、社運をかけるような設備投資は必要ではなくなる。またLCD表示板の製造工程で必要であったTFTアレーとRGB色フィルターアレーの位置合わせ要求精度がSPD板では存在しない。導光板はフィルムで構成できるので、SPD表示装置はロールアップ型である。このため200インチでも丸めて持ち帰ることができ、流通コストは壁紙を売るのと大差がない。

97インチSPD板で1画素が1mmx1mmの大きさであるときに、これにRGB3個のON−OFFのTFTが割り当てられる。1画素の構成方法には3通りの方法がある。

1)マイクロレンズ方式
2)集光パッシブリピータ方式
3)並列アンテナ駆動方式

この内、マイクロレンズ方式、集光パッシブリピータ方式のSPD表示板は希少資源でもあるITO(透明電極)を使う意味はない。他方並列アンテナ駆動方式では、不透明電極が表示板の開口率を若干低下させる性向をもっているが、敢えてITOを使うほどではない。LCD表示板では透過率が理論限界に近い7%程度であり、希少金属を使ってそれを8%に改善しても、透過率が低いことには変わりがない。

図13にマイクロレンズ方式に属する幾つかの事例を示す。1画素当たり1組又は数組のRGB共振ダイポールに対してマイクロレンズが機能するためには、光源が遠くにあって、マイクロレンズに入射する光が平行光線に近い場合と、導光板のRGBドットか白ドットのピッチが画素ピッチと同じで位置ずれがない場合である。

図の(A)と(B)はUFOL光源が比較的遠くにあり、選択的再放射板としての偏光板を介して、SPD板への白色光の入射が平行光線として扱える場合のマイクロレンズである。衛星放送受信のパラボラ反射鏡で半波長ダイポール放射器の場所の電界強度が数百倍〜数千に増強されるのと同様に、SPDのRGB3原色共振ダイポールは、増倍された電界強度を得て、光を再放射する。それ以外の部分は黒で覆い、またTFT駆動の不透明配線を形成することができ、外光がある場合のコントラスト比を大きく取れ、また希少金属を使わなくてもよい。(A)は共振ダイポール・ON−OFFトランジスタと反対側にマイクロレンズがモールドで形成されるが、共振ダイポールとの位置合わせが必要である。(B)は共振ダイポール・ON−OFFトランジスタと同じ側にマイクロレンズが形成されるので位置合わせの問題がないが、マイクロレンズが形成に特別な工程が必要である。

(C)と(D)は、導光板のドット(白ドット、または3原色ドット)と画素の位置合わせを行い光束がほぼ3原色共振ダイポールで収束するようにしたものである。

古いアンテナ理論では、到来電界Eに対して受信アンテナの放射抵抗と同じ大きさの負荷抵抗を接続して、その間を結ぶ給電ケーブルでの反射妨害を避ける鉄則がある。この場合は負荷抵抗が受け取る電力と、アンテナからの再放射電力は同じ大きさである。ICチップをアンテナの給電点に置く場合は、このインピーダンス整合は無意味であり、負荷抵抗を使わなければ、数式5に示すように、整合させた場合の4倍の再放射電力となる。再放射電力はアンテナの等価長Leに無関係である。アンテナは大きくても小さくてもその魂は皆同じ大きさである。電力の観念を持ち込むと、魂の面積は数式6である。この面積を円に置き換えると、その直径dは数式7で表される。

【数5】


【数6】


【数7】


【数8】


【数9】


【数10】


半径がaのレンズ/パラボラ反射鏡で平行電磁波を集光したときの焦点のスポットサイズDは回折限界として誰もが知るように、数式8で表される。通常Dはdよりかなり大きいことが分かる。焦点での電磁界増倍率はよく知られているように、数式9で表される。したがって前方の半球面(視野角180度に拘るとすれば)への再放射等価断面は数式10であり、レンズの面積の3倍であることが分かる。正面方向だけを考えれば、小さな魂が1つ入れば、レンズを通過する光をほぼ100%変調して漏らさず再放射することが分かる。

同じ大きさの電力は後方の半球面へも再放射される(それは入射光を打ち消そうとするが)ので、反射型SPD表示板、または半反射型SPD表示板を考えたときに、極めて高い反射率が得られ、また偏光板を必ずしも必要としないことが分かる。

図14に集光パッシブリピータ方式の原理を示す。OFF状態の(即ちパッシブの)狭帯域共振ダイポールアレー、または広帯域ダイポールアレーを規則的なピッチで適切に2次配置すると、1つのアレー素子が光源から受けた光電界による再放射の位相と、その素子が隣接する素子の再放射から受けた光電界による再放射の位相が揃うときに、アレーは全体に強め合い、または平面方向の電力の流れとなって、パッシブアレーの中の1つまたは複数の帯域共振アクティブダイポールにON−OFF機能を持たせれば、そこを再放射する発光点とすることができる。発光点以外のパッシブアレー領域は、金属層の反射層か、黒い吸収層を1/4波長又は有用な距離離して、SPD板の用途に応じた使い分けをして、発光点の変調再放射だけが視聴者の目に届くようにする。これは平面集光レンズであり、マイクロレンズ方式との違いは位置合わせが要らないことである。

しかしながら、アレーが集光できる光の到来方向又は波長は、アレー面積が大きくなると狭い範囲になるので、アレー面積を小さい大きさにとどめるか、アクティブ素子を分散するか、アレーピッチを分散させるかを行う。

図15に全並列アンテナ駆動方式をしめす。この方法では1画素領域に多くの共振ダイポールアンテナが敷き詰められ、その給電点がON−OFF制御層で連結される。

図16に、共振ダイポールのON−OFFの手段を示す。SPDは原則的にノーマリーホワイトである。ON−OFFの手段は主に4つある。微小ダイポールの給電点を遠隔的に、抵抗層の低効率を変化させる、誘電体の誘電率を変化させる、磁性体の透磁率を変化させる3つの方法か、MEMSでON−OFFする方法である。その中で代表的に使われるのは空乏層を広げてピンチオフの状態で無負荷にするか、ピンチオフを解消して負荷を与えるかの方法である。SPD表示板のコントラスト比はこのON−OFFの性能には依存せず、偏光軸対称のクロスポールで打ち消してコントラスト比を確保している。

【0005】
<透過型SPD表示板>
図17に、ハコモノとしてのLCD表示装置と、軸モノのSPD表示板の様態を示す。その製品の特徴を表1で比較する。2009年現在で対角46インチのLCDパネル(ドライバー、バックライトを含む)の製造原価は9万円程度である。これを対角89インチ(長辺1920mm、短辺1200mm)としたSPDパネルの製造原価は5万円程度である。この大きさが異なる2つのパネルの消費電力は、SPDでの無電極FLの採用により同程度になる。



この表示装置に携帯電話端末大のチューナーユニット(製造原価5000円程度)を有線か無線で接続したものはテレビ受像機兼コンピュータモニターである。

この垂れ幕SPD表示シートは、LCDディスプレイの欠点を全て解消する形で製造・供給される。

1)一度購入すれば一生の間陳腐化しない
2)ACコード以外はワイヤレス駆動である
3)故障は通常考えられない(プラスチックの架橋による劣化が主要因)
4)バックライトは十数年に一度消費者が取り替え、代金は1000円である
5)SPDパネルは従来の設備投資の1/5でよい

透過型SPDパネルは、偏光板フィルム、SPD基板フィルム、偏光板フィルム、導光板の4枚構成である。図18にLCDパネルとSPDパネルの画面サイズと製造コストを比較する。

十数年に一度のバックライトの交換は図19に示すように無電極のUFOL管またはSPFL管をホルダーの中に差し入れるだけであり、アライメントは不要である。ディスプレイを分解する必要はない。

透過型SPD表示板は、垂れ幕型ディスプレイとして、図20に示すように表示面を切り替えることができる。両側の偏光板は導光板を兼ね、導光偏光板を用いるので3枚構成で紙程度の厚さである。SPD表示装置は最初から薄いので、有機EL等でディスプレイシートの薄さを謳うのは唇が寒い。この方式は反対側の景色が薄く透けて見えることになる。

【0006】
<無伝電極FL>
LCD表示板のバックライトCCFLは頻繁に故障し、また寿命(半減期)が3〜5万時間と短く、次第に発光量が低下し、バックライトの交換は照明用のFL間の交換にように消費者個人で行うことは困難で、本来数百円であるべき交換コストは数万円である。LCDの故障の2大要因は、FL間の電極部の劣化とインバータ高圧発生基板の不具合である。この生産者・消費者・生活者にとって邪悪なシステムは、無電極低圧駆動のSPFLまたはUFOLの採用で、全て解消する。図21に無電極FLを示す。

無電極FLは10万時間以上の耐用年数があり、輝度むらがなく一様の明るさで、消費者が横穴から差し替えるだけで容易に管を交換できる。

FL管にはHCFL(熱陰極蛍光灯)、CCFL(冷陰極蛍光灯)、EEFL(外部電極蛍光灯)があり、HCFLが最も寿命が短く、EEFLが最も寿命が長い。これらのFL間は電子の流れが自動車のレシプロエンジンのような往復運動であり、そのため両端で高電圧が発生し、また両端が劣化して寿命を迎える。またこれを駆動する高圧インバータも頻繁に故障する。ノートパソコンでCCFL管やインバータが故障した場合、新しいノートパソコンに買い換えるのを余儀なくされるのが平均的な姿である。

UFOL球やSPFL管は、自動車のロータリーエンジンのような、または無限軌道のキャタピラーのような連続的な電子の流れであり、2点間の電位差はない。従来のFL管が高電圧であるのに対して、UFOL管やSPFL管は低電圧であるのではなく、無電圧である。管内のプラズマとしての陽光柱は単なる渦電流である。従来のFL管は両端の電極部の損失があったが、無電極FLにはそれに該当するものが存在しない。

無電極FLは容易に連続的に明るさを変えることができる。外光のない状態で無電極FLの始動をするのは紫外線を照射して部分的な電離を起こすのが最も一般的である。

【0007】
<偏光導光板>
偏光板フィルムは100um程度の厚さのPVA(ポリビニルアルコール)膜を引き伸ばして偏光性を持たせたものであるから製造工程は単純である。しかし透過型LCDパネルの構成に於いて、導光板と偏光板フィルムは明らかに機能として重複している。通常の導光板は大きさをプログレッシブに変化させた白インクドット面アレーをテーパーが付けられたプラスチック板の片面に配し、反対側は反射のための金属箔を貼って構成され、この導光板はLCDパネルの強度を支えている。CCFL光源をプラスチック板のテーパーの厚い断面から入射させている。

白インクドット面アレーの代わりに、プラスチック板に、図22に示すように、回折格子ピットを光記録ディスクと同様にスタンピングで形成すれば偏光板を兼ねた導光板となる。偏光導光板ではSPFL(スパイラル無電極FL)が用いられ、10万時間のFL管寿命が得られ、またFL管の交換を消費者が行うことが出来る。従来の白インクドットではCCFL管から遠ざかるに従ってドット径を大きくしていたものは、偏光導光板では通常SPFL管から遠ざかるに従ってピット高を高くする。回折格子ピットは、アレーのピッチや間隔を選んで、RGBの帯域で応答がほぼ平坦になるようにすることができる。

【0008】
<透過型SPDによる散乱光スクリーン投影プロジェクター>
透過型LCDプロジェクターや反射型LCOSプロジェクターは、入射する光のほぼ全部を反射するDMDプロジェクターと比べて、入射する光の50%以上をLCDパネルが吸収して発熱する。このためLCD/LCOSプロジェクターは画サイズをある程度大きくして熱の集中を緩和する必要がある。LCD/LCOS表示板を殆どの分野で置き換えるSPD板は、LCD/LCOSプロジェクターの熱の問題を解消し、また冷却ファンを不要とする。SPD板は白色光源に含まれるRGB3原色の光をすべて利用できるが、LCD/LCOS表示板では色フィルターを用いるためにRGB3原色の2/3を捨てなければならず、その多くがLCD板の熱になる。またSPDプロジェクターに使われる無電極UFOL球の効率はCCFLの倍程度である。

プロジェクターとしてLCD/LCOS板をSPD板に置き換える意味合いは、次の点である。

1)10万円前後の市場価格のLCDプロジェクターを2万円程度にする
2)1920x1200の解像度を標準とする
3)冷却ファンを用いない
4)光源ランプの寿命を10万時間とする
5)光源ランプの交換費用を数万円から500円程度に引き下げる
6)プロジェクターをコンパクトサイズ・軽量にする

従来のLCDプロジェクターは前方投影型もリアプロジェクターも全て散乱光スクリーンを使用する。散乱光スクリーンは広い角度からスクリーン上の映像を鑑賞できるが、200Watt程度の光源からの光束がLCD透過パネルを通過するので、熱の集中の点からLCDパネルの大きさは対角0.5インチ程度より小さくすることができない。また光源ランプの寿命は〜3000時間程度である。

図23に示す透過型SPDプロジェクターの構成は、アスペクト比16:10のWUXGA(1920x1200)の有効画素領域の大きさを6.4mmx4.0mmまたはそれ以下で構成することができる。またSPD透過プロジェクターでは発熱の少ない5万時間保証の白色LEDか白色UFOL光源を使うことができる。

SPD板の損失は共振ダイポールの銅損による発熱とその放熱である。また多層構造で放熱が困難なLCD板と比べて、SPD板では両側の偏光板は離されて、共振ダイポールが形成された1枚のシートだけの放熱であるから有利である。共振ダイポールの銅損は自然界から与えられたものであり、その形状から光の波長では10オーム程度は避けられない。SPD板の大きさはこの放熱性能によって決まる。

【0009】
<透過型SPDによる個人化された直視型表示装置>
散乱型スクリーンを用いたSPDプロジェクターをフレネル凹面鏡かフレネル凸レンズとしたものが、SPD直視型表示装置である。この場合光源は無電極UFOL球ではなく、点光源としての白色LEDが使用される。点光源の光は視聴者の両眼付近に収束し、SPDパネル上の像は視聴者の網膜上で結像する。

これまでのFPD(平面表示板)では視野角を180度に近づけることを理想として来た。本発明ではこの考えを180度転換し、視聴者の両眼にのみ光を届け、視聴者の両耳にのみ音を届けることを理想とする。ノートパソコンの画面は操作者以外に光害を与えないようにする。また180度に近い視野角を謳いながら、実際には視野角制限フィルターを被せるような矛盾を避ける。これを実現するためには視聴者の眼底反射を追尾しなければならない

光源の光を視聴者の両眼にのみ届けるようにすると、視野角170度を目指すのと比べて光量を1/100以下にすることができる。フレネル凹面鏡、フレネル凸レンズ等を使ったSPDによる直視型表示装置を図24に示す。直視型とは、SPD板上の画像が対物レンズを通して散乱光型のスクリーンに結像したものを視聴者の網膜上に再結像する従来の方法ではなく、視聴者の網膜上に直接結像する方法である。

直視型SPD表示装置に用いられるLED点光源は、ハーフミラーを介してPDアレーと鏡像関係にあり、視聴者の眼底反射が捕捉されるので、視聴者は自由に動くことが出来る。

図25に示すように、光源の白色LEDとPDアレーの組を複数設けて、複数の視聴者が同一の番組を視聴できる。また複数のSPDを使って共通のフレネル凹面鏡、フレネル凸レンズ等を通して別々の映像を家族で視聴することができる。その場合立体音像分離がなされる。またHDTVの1920x1080の2倍、または4倍の解像度の表示装置を大きなコストアップなしで製造できる。

SPDによる直視型表示装置はLCD表示板を使った16インチノートパソコンや24インチモニターの厚みを顕著に増すことなく、実現することができる。

1)表示板の消費電力をほぼ無視できる
2)製造原価が極めて低い
3)1920x1200の解像度が標準である

【0010】
<SPDによる立体画像表示装置>
2枚のSPD、凹面鏡、またはフレネル凹面鏡、またはフレネル凸レンズを使って、図26に示す真性立体画像表示装置を構成することができる。背景用のLCDが画像表示を行う場合は前景用のLCDは全開状態になり、前景用のLCDが画像表示を行う場合は背景用のLCDは全開状態になる。発光点の像は視聴者の両眼で焦点を結び、SPDの画素の像は視聴者の前方で焦点を結ぶようにして、単一の視聴者または複数の視聴者の両眼にのみ光が届くように個人化される。ハーフミラーを通して視聴者の眼底反射が捕捉される。視聴者から見た2枚のSPDの画素表示座標は常に自動的に合致し、その強度の割合を変えることで前景と背景の任意の位置で視覚上の画像の奥行きを画素領域(レンダリング)毎に選ぶことができる。

家族で立体映像を見る場合や、劇場で立体映像を提供する場合は、凹面鏡、またはフレネル凹面鏡、またはフレネル凸レンズを共用して、複数のSPDペアを用いることで背景と前景のずれのない立体映像を提供できる。

【0011】
<SPDによる半透過・半反射型表示パネル>
LCD表示板でバックライトをスイッチオフして、自然光の前面からの入射を導光板の裏面の金属層やCCFL光取り入れ面で反射させる半反射型を、SPD表示板で置き換えた場合の最適化について述べる。この形式の問題点の一つは自分の姿を鏡に映して、それを本来の画像で輝度変調するために、2つの像が重なることである。これを避けるには、裏面の金属層やCCFL光取り入れ面での反射を出来るだけ散乱させなければならない。

SPDの場合は導光板と偏光板の組み合わせを導光偏光板にすることが出来、その分だけ光のロスを減らすことができる。暗闇で測定したコントラスト比が5000:1と威張っていても、透過モードで外光が強ければでは2:1にまで小さくなってしまうので、徒にカタログ値を競うのをやめ、実用値を求めなければならない。

図26に示すように、SPD素子がバックライトをスイッチオフしたときの外光による反射モードの輝度が液晶と比べて数倍明るいのは、回転偏位した共振ダイポールが表裏両方向に直接再放射し、液晶のように層の中に入り込まないからである。特にダイポールの偏位角を前面の偏光板の偏光角と45度とするのではなく、例えば30度とすれば、バックライトを使う透過モードでは光が14%減るが、反射モードでは直接反射が22%増加する。また45度偏位したダイポールと0度の反射モード用のダイポールを切り替えて使うことができる。

SPD表示板はブラックマトリックスで外光の反射を極端に抑えることができる。SPD素子は外光を光源として平均化してRGB輝度変調するので、鏡として前面の景色を映し出すことはない。LCDでは半透過・半反射型は限られた製品にしか応用されていなかったが、SPDではこれを本格的に検討する意味がある。

【0012】
<LD光源>
雑音と同じ扱いであるインコヒーレントな自然光は、人間の明るさに対する感覚に拘わらず、照度計に同じ電流が流れる2個のLEDを合わせた光電流が1個のLEDに対して2倍になる。電磁波としての振幅は2個のLEDでは1個のLEDの1.4倍である。光電流は電界強度の二乗和の平方根で加算性がある。一方LDでは、LEDと異なり、電流を倍にすると光電流も2倍になるが、電磁波としての振幅も2倍になる、

LCD板やSPD板では光が最初に入射する偏光板で光量の半分を捨てることになる。端面発光の3原色LEDを電流の閾値を超えてLD動作させた場合は、通常は偏光となるので偏光板で光量の半分を捨てなくてもよい。また最初の偏光板を省略することができる。この点では、LEDとLDでは効率が2倍違う。

端面発光の3原色LEDの電流を増やして行くと、閾値を超えてLD動作に移行し、前方で測定する光量は、図28に示すように、100倍程度に飛躍し、LD動作に移行後の指向性係数としての飛躍量は、図に示したように単純に計算できる。これは、発光量は電流に比例して連続して増加するが、閾値で放射が前方に集中するからである。これを微分外部量子効率と呼ぶ。通常のLEDでは材料の高い屈折率のために、前面から十分に光を取り出すことが出来ず、横からの光をコーンリフレクターで前方に反射させ、また背面への光を反射させるような工夫もしている。そのような工夫をして、必要な指向角の外部量子効率ではLEDはLDの25%(1/4)程度である。使われない発光の一部は熱になる問題もある。偏光による損失と合わせて、LDはLEDより8倍程度効率がよい。

全ての端面発光LEDは活性層の背面を鏡面にし、前面を1%〜99%の透過率を持つ半鏡面としてLD動作させることができる。レーザー発振という言葉が使われるが、これは学者やレーザー光学の権威の錯誤であって、閾値電流の前後で負性抵抗などがあって発振が起こるのではなく、I−V特性は連続であり、発光の位相が揃うだけである。

ブルーレイなど、光ディスクの専門家は、LD活性層前面の半鏡面の透過率を1%程度にしたがるが、これは雑音を増幅し、また必要な前方への光量の99倍の光量が活性層を往復することになる。これは活性層の結晶の格子を固く結びつけるべき外殻電子が全部出払うことになり、固体でありながら結晶の格子が均一に融けた一種のプラズマ状態であり、駆動電流をゼロに戻した時に元の結晶構造で落ち着くかどうかは確実ではない。結晶構造が変化して行くのを、ダークラインが成長するという。室温でレーザー発振を1秒続けるのに成功した、などと言う表現や理解は無知も甚だしい。格子が融けた状態でも電流をそっとゼロにすれば元の格子に戻れるが、擾乱があると結晶が違う形に落ち着く。戻り光擾乱はその一つである。LDが熱で壊れるのではなくLD発光していること自体が高熱であり、成功したLD発光とは、LD動作中に結晶格子が融けていても電流を切ると元の格子結晶になることをいう。光ディスクで再生専用ディスクのピットを読むもの、相変化で記録するものにコヒーレント性は必要なく、LEDでもLDでも性能は全く同じである。LDが寄与しているのは点光源性だけである。図29に点光源の大きさを示す。

LDをディスプレイ用途に使う意味は、第一に前面放射効率であり、第二に既に偏光になっていることである。面発光LDは通常偏光ではないが、端面発光LDは活性層断面が横長であれば水平方向に偏光する。閾値を超えた電流ではこの2つは必ず達成されている。LD活性層前面の半鏡面の透過率を99%にすれば、必要な前方への光量の1.01倍の光量が活性層を往復するだけである。ディスプレイ用途では図30に示すような多波長モードで動作することは何の差支えもない。

LED動作からLD動作に移行する閾値とは、化合物1分子の外殻電子のバンドギャップ電界を往復する光の定在波電界のピーク値が超えたときに、位相同期モードに移行しているのをいう。

ディスプレイ用のLDは、3原色に必要な波長のLEDがあれば、新たな開発をしなくても必ずLDモードで使用することができる。電流の閾値を超えたLDモードで熱破壊やダークラインの成長を起こさない往復光の強さが決まっている場合に、前端面の半透過面の透過率を99%とすると、1%の場合と比べ、99倍の光が前面から放射される(LD駆動電流も99倍必要であり、P/N部の抵抗の発熱は増えるが)。同じ信頼性でありながら、光の量を1/99で使用しているのは無知な設計であるが、それが現状である。図31に示すように、後部端面の全反射は活性層断面より大きなアルミ層を設ければよい。前端面の99%透過率は活性層断面より小さなアルミ層を設ければよい。この小さな全反射アルミの前部は光の影であり、中抜けになったニアフィールドパターンになっている。この前端面の半透過を屈折率が空気と活性層材料の中間の材料コーティングで実現するのは、光が電磁波であることを理屈で理解していても、2通りのルールを使い分けている。この考えでも実測は、端面の前方は影になり、ニアフィールドは全く同じ中抜けになる。

これまで、図32に示す、端面発光LDの光放射の指向性パターンを解析することは、どの学者もレーザー光学の専門家も出来なかった。しかし、それは極めて単純に、数式6、数式7、数式8を使って、水平指向性と垂直指向性が、図33示すように求められる。

【数11】


【数12】


【数13】


また活性層の長さと指向性の関係が、図34示すように求められる。

LDやガスレーザーは、電力をディスプレイの照射光に高効率で変換する有効な手立てである。しかしレーザー光を照射光に使うと、その可干渉長によって、希望しない濃淡の固定パターンが画面に現れる場合がある。LDの活性層前端面の透過率を1%ではなく、99%とすれば可干渉長は1/99になる。しかし本発明が記述する範囲の、SPD板、DMD素子応用、SRD素子(後述)などでは、この固定パターンが現れることはない。

【0013】
<DMDプロジェクター光源の個人射化>
DMDは一つの完成された技術であり、表面的には改善の余地は残されていない。プロジェクターとして使われるDMDはその優れた点が、徐々に劣化し、短い寿命で、高価なHID光源ランプ、及びその消費電力、発熱、そして放熱という大きな問題によって、興ざめになっている。1社で独占されたDMDは、そのまま変更を加えることなく、下記の環境を整えることによって、その優れた点を大いに生かすことができる。

1)発熱の少ない光源ランプ
2)交換の必要のない光源ランプ
3)場所を取らず奥行きのあるスクリーン

DMDの光源の電力が300Wであるとすればその光量の0.02%程度しか有効に利用されておらず、99.98%は無駄に捨てられている。まずRGB回転色フィルターで70%が捨てられている。残りの30%のうち、29.98%は部屋の照明になり、0.02%程度が視聴者の目に周辺に届き、眼球レンズを通して網膜を照射しているのは、その0.05%のうちごく僅かである。

29.98%と0.02%の比である1500:1は、3m離れた半球表面積56m2と視聴者の顔の周辺面積比である。

正しく設計されたDMDプロジェクターに必要な光源の電力は、300Wの0.02%であるから、60mWである。これをRGB3原色のLEDで持てば、1本当たり20mWである。消費電力・発熱。冷却ファンの騒音もさることながら、消費者の最大唯一の関心事は、光源ランプの交換である。通常はRGB1組60mWのLEDは交換の必要性はないと言える。

図35のDMDの照射方法として、300Wの白色HIDランプと回転面順次RGBフィルター及び20mWx3のRGB3原色LEDと眼底反射検出PDを示す。光ディスクのピックアップと全く同じように、眼底反射がPDで検出されて、RGBの光源が常に視聴者を高速で捕捉する。この光源照射ユニットは光ピックアップの製造原価500円以下の程度であり、製造工程も同一である。

従来のプロジェクターの100インチのスクリーンは散乱型であるが、LED方式ではフレネルレンズ/凹面反射鏡になり、その大きさは50インチである、従来3m先に置いていたスクリーンは1.5m先に置かれ、視聴者が見る画像(DMDの反射面が作る虚像)は同じく3m先にできる。しかし実際に占有する空間は1.5mであるから、狭い部屋でも広い空間として鑑賞することができる。

DMDの反射面は3m先の仮想スクリーン上で虚像として結像しているのに対して、LEDの発光中心は視聴者の顔の付近でフォーカスしている。

RGB3原色の発光中心を重ね合わせるのはダイクロイックミラーが用いられ、混合の損失は少ない。重ね合わされたRGB3原色LEDの発光点と眼底反射検出のPDアレーは、透過率:反射率が90:10程度のハーフミラーを介して鏡像関係にある。人の眼底反射は赤目である。

【0014】
<高速点滅無電極FLによるDMDプロジェクターの省電力・長寿命化>
DMDプロジェクターでは、交換ランプが短寿命で高価であるために、DMDプロジェクターそのものはまだ十分に使えるのに、交換ランプ問題でプロジェクターが廃棄されるのが常態化している。これは、交換トナーを買うのと新品のレーザープリンターを買う価格差がないのと同じであり、自由放任資本主義市場経済の末路である。

応答時間が遅く面順次の切り替えが困難なLCDと異なり、DMDプロジェクターのマイクロミラーの応答は高速であるために、光源ランプ交換を〜5千時間から5万時間にし、交換の経費を数万円から数百円にし、消費電力を1/5にし、冷却ファンを取り去るのは容易である。

100Wx3のRGB3原色LEDを使うのは工夫が足りない。ここでは、高速は点滅3原色FLを使い、輝度と発光効率が十分に高く、発光以外の発熱が少なく、寿命が十分に長く、交換が容易で、安価である。3原色FLに塗布される3原色蛍光体の燐光時間は十分に短い。

図36はUFO形状のUFOL(Uniform Fluorescent Oval Lamp)であり、無電極であり、プラズマ状態に保たれたFL管内が誘導によって電子が円運動で加速されて水銀の電離電圧5eV以上の運動エネルギーを得て237nmの紫外線放射を持続する。電極で駆動する従来の方式(たとえばCCFL)では、駆動電圧と電極間電流の間に負性抵抗が生じるが、UFOLは単純な遠隔電流駆動であるために負性抵抗として扱う問題を発生しない。UFOL球はRGBの3面順次区間でON−OFF動作をするが、OFF状態ではON時の立ち上がりを速くするために必要なアイドリング電流を流さなければならない。これは自動車のエンジンのアイドリング回転と同じである。このON時の10%程度のアイドリング電流は最低限にプラズマ状態を維持し、そのためにOFFの区間でも蛍光体は発光。この希望しないOFF区間の発光は色フィルターの波長応答の帯域幅がわずかに広くなることに相当し問題にはならない。RGB3原色UFOLの立ち上がり時間はDMDを動作させないガードバンドが必要である。

100インチのスクリーンに投影される液晶表示板に使われるCCFLの消費電力に比べて、100インチの同じ明るさのDMDプロジェクターに使われるUFOL球の消費電力は1/5程度であり、その差は色フィルター損失と無電極の故である。図37板式のDMDプロジェクターのHIDランプ光源と回転円盤色フィルターを3原色UFOLに置き換えたものである。RGB3原色UFOL球にスターターイグニッションは237nm以下の紫外線を照射して行われる。RGB球の1つを始動すれば残りの2つはそれで始動される。

【0015】
<立体画像化されたDMD表示装置>
3原色LEDを光源とした個人照射化DMDはまた、そのままの構成で真性立体画像装置である。真性立体画像装置の動作原理は、LED点光源は視聴者の両眼付近でフォーカスして、光源の発光が有効に活用される環境で、図では透過型に置きなおしたDMDをZ軸に沿って前後に動かすとフレネルスクリーンの背後の空間に結像した虚像の位置が、前後にずれるために立体描画になるものである。このままでは視聴者から見た像の大きさは、前方に位置する物体は拡大されて見える。拡大された差の分だけ、遠景は近景に隠されるので、この重なり部分は遠景を描画しないようにしなければならない。若しアクチュエータによってDMDを高速に動かすことができれば、このまま立体画像になる。DMDを前後に動かしても、LEDの光源が視聴者の両眼付近にフォーカスしている状態に変化はない。DMDが近景を描画する時の拡大を無くし、前後に動いても視聴者から見た画角が変化しないようにするためには、DMDに描画する画像の大きさを変化させなければならないが、それは煩雑なので、DMDには前景としても遠景としても、一定の大きさで描画してもよいようにするために、画角補正レンズを使う。

DMDは高価であるために、複板式の立体表示は実用性がない。単板式のDMD真性立体画像表示は、DMDの通常の入射角12度を2つの角度に分ける。このとき描画が正方で無くなるのを円筒レンズで補正する。光路を展開して考えた立体画像表示は、現実のDMDは反射型であるので、DMDが動くと、LED点光源が視聴者の両眼付近でフォーカスするという前提がなくなる。従って、3軸可動にして眼底反射を捕捉するのは対物レンズである。DMD立体画像表示装置ではスクリーン背後の室内の壁なども映るので、それらを黒くする必要がある。スクリーンを凹面鏡化して、プロジェクターの開口部付近を黒く覆うのが現実的である。

図382組のRGB3原色LEDを含んだ詳細な構成を示す。平面画像表示のDMDプロジェクターと真性立体画像表示の構成部品の差は、200円程度であるので、最初から真性立体画像化したものを作る方がよい。

眼球の位置はPDアレーで赤目を検出して、XYZ座標が得られる。こうして得られた眼球のXYZ位置情報に対してその周りに真性立体音場が音源アレーで形成できる。個人照射化されたDMD立体画像では、光源の出力は5mW程度で十分である。また従来の50W+50Wのスピーカー出力は500mW+500mW程度になり、大音響が隣の部屋や近所に漏れることはない。通常の5+1システムやヘッドフォンでは得られない真の立体音場が得られるが、視覚情報と聴覚情報の一致が自然な立体空間認識には必要である。これらの立体感はリアリティや迫力や臨場感を遥かに通り越して、自然の森に包まれるような静けさに基づくものである。

家族で同一の番組の立体画像を楽しむ場合は、図39に示すようにRGB3原色LED、DMD,遠近選択ミラーのセットを固定し、その光出力を一枚の3軸可動ミラーで人数分だけ振り分けて実現できる。

【0016】
<真性立体音像装置>
立体音像とは、これまで左右のスピーカーによってどの方向から音が来るかを再現していたものを、3次元空間のどの点から音が来るか、即ち方角と距離の情報が与えられるものをいう。図40に示すのがその形式である。

先ず2つの前置スピーカーによるステレオ、ヘッドフォン、背後や天井にもスピーカーを配置するサラウンドシステムを考え、次に自然の状態と比較する。ステレオスピーカーを音響効果のよい部屋に設置すれば、奥行きのある鑑賞ができるが、100W+100Wでお腹の皮が低音で振動するのを感じることができても、隣近所に音の公害を及ぼし、作り出した夢である。ヘッドフォンでは100mW+100mWが大音響であるが、1次元的な広がりしかない。しかし音質は優れている。また装着するのが煩わしく、外の音(雑音)や信号が通常遮断される。サラウンドは半立体角2πのあらゆる方向に音像が定位する。これも更に音の公害を及ぼす。

以上の3つは自然ではない。自然ではないから真にリラックスして音楽を聞くことができない。音を聴いているだけである。自然の状態では、音は到来方向だけではなく、音源との距離を人間は知覚している。立体画像を立体音像が一致するときに、人間は森の中で流れてくる音楽を聞くように、最もリラックスした状態である。人間は生き物として進化し、そのように造られている。

人間の鼓膜は小面積で1um以下の振幅であるのに、スピーカーが大面積で1mm以上の振幅であるのは効率が悪い。真性立体音像とはこれを1:1に出来る限り近づけ、人間を最もリラックスした状態にするものである。ヘッドフォンを装着せず、場所を取らず、10mW+10mWの大音響である。ソファーの反対側に座って同じスクリーンで別の映像を見ている家族と音は分離され、またバイリンガルで別の言語を聴いている。

【0017】
<SRDマイクロプロジェクター>
DMDは比較的大きなチップサイズであるが、より簡単なMEMSの製法を使ってSRD(シリコン反射デバイス)を対角1/4インチ程度で、1920x1200の解像度として構成することができ、フレネルレンズスクリーンを使って平面−立体画像を表示できる。

SRDは、図41に示すように、通常のCMOSプロセスのアルミ多層配線レイヤー最上位でRGB共振ダイポール/クロスポールを形成し、その下の層を全面アルミ層などとしてCMOS回路を遮蔽するものである。

全面アルミその反射を全白として、そこからOFF状態のRGB共振ダイポール/クロスポールの再放射を差し引く減色混合と、ON状態のRGB共振ダイポール/クロスポールの再放射と下の前面アルミ層の反射を合わせ、入射/反射のアレーファクターと合わせたものが全黒となり、そこから加色混合する方法がある。また直交偏光板を用いて高いコントラスト比を得るものと、そうでないものがある。表2にその概略を示す。



従来、オンチッププロジェクターとして高価なDMDの他に、反射型液晶をシリコンの上に形成するLCOSがあった。LCOSは通常のCMOSプロセスに液晶や色フィルターと言った異形の材料を積み上げる。これに対してSRDは通常のCMOSプロセスで使う材料で製造される。SRDはLCOSの夢を受け継いでいると言える。しかし個人化によって、点光源の光量は極めて少なく、また最初から真性立体画像表示の機能が備わっている。

SRDマイクロプロジェクターは24インチLCDモニターと光ディスクの光ピックアップ(製造原価は500円以下)の中間的な構造であり、表3に示すBOMで構成され、それ故に製造原価はその中間となる。



図42はSRDを使ったマイクロプロジェクターの光学系である。光源には代表的に白色LEDが使われる。点光源に近いLEDの光源像は視聴者の両眼付近で最小スポットとなり、網膜を照射している。SRD素子の像は網膜上で結像している。視聴者はフレネル反射鏡背後の結像空間の虚像を見ている。ハーフミラーを介して白色LED光源と鏡像の位置に眼底反射検出PDアレーの中心がある。

図43はSRD素子の構造である。

SRDは、製造原価が15,000円程度である解像度1920x1200の24インチのLCDモニター機能を、3,000円程度の平面/立体画像マイクロプロジェクターで置き換えるものである。これにより図44に示すように、16インチのA4サイズの、2Kg程度の重さの、電池持続時間が4時間程度のノートパソコンを、携帯電話機サイズの本体と、24インチ描画サイズのロールアップフレネルスクリーンと、胸ポケットにしまえる無電池ロールアップキーボードで構成して置き換え、500mAHの無線充電電池の持続時間を8時間とする。SRDチップ上の画面領域のうち、オーバースキャンを除く有効画面領域の大きさは4.8mmx3.0mmで、RGBトリオの1画素の大きさは2.5umx2.5umである。

【0018】
<PC画像の立体表示化>
PC画像の立体表示への移行は、その目的を明確にしなければならない。

1)操作する人のストレスを軽減する
2)リアリティを追求して仮想現実の世界に入り込んではならない
3)GUIをより人間的なものにすること
4)記憶容量・演算への負荷は20%以下の増加であること
5)ソフトウェア、コンテンツ制作の負荷はないこと
6)2次元と3次元の間の互換性があること
7)ゲーム機との互換性があること
8)立体映画との互換性があること

ゲーム機的な描画は元々3次元で製作され、それを2次元描画で表す困難さを持っていたことを考えると、3次元描画により負荷が少なくなることが理解できる。結論的に3つのことを固定して考える。

A)解像度を1920x1200に限定すること(それ以外の解像度は縮小部分表示とする)
B)PC画像は奥行きを8段階(間隔不定)に限定すること
C)操作者が両眼を水平に保った場合の視差のみを考慮すること

PCの立体画像表示に対して、立体空間ポインタが明確に定義されなければならない。立体空間ポインタは走査者の支点から見た2次元画像の点と対応する。即ち実際の3次元空間で、操作者がレーザーポインターで凹凸のある物体を走査して光ビームが当たった点が、ポインタが指している点である。その点は画像上でハイライトされるものとする。しかし両眼視差の分だけの差分情報があるために、最初に利き目を登録し、利き目から見た輝点をポインタが指している点とする。

【0019】
<フルスクリーンを別番組鑑賞で共有すること>
個人化された表示装置では、立体画像化だけではなく、スクリーンを共通に使って家族が別の番組をそれぞれスクリーン全体で見ることができる。真性立体音像装置はヘッドフォンなしで別の音をそれぞれの視聴者の両耳周辺で他の視聴者と分離して届けることができる。映像に関しては2つの異なる番組がそれぞれ漏洩することはなく、ほぼ完全に分離できる。複数の視聴者で画面を分割するために、光源の光量をその分多くしなければならない。音像の分離は100HZ〜15000Hzの広帯域のために、映像より悪くなる。また室内での反射等を補正するのは煩雑である。

最も正しい感覚は、夫婦がソファーの両側に座り、同じ窓を通して夫は雪の積もった山の方を眺め、妻は暖かい海の風景を眺めることである。このためには画像は立体でなくてはならず、窓という枠の向こう側にもっと広い空間が広がっていなくてはならない。視聴者が意識するのは、これまでは劇場ではシネラマスコープのスクリーンであり、或いは46インチのハイビジョン液晶TVのスクリーンである。しかし窓の向こう側に広い立体空間が現れるときに、それは自然の風景と同じである。立体画像であって初めてフルスクリーンの共有が真に可能になるのである。我々が求めるものは超現実(スーパーリアリティ)ではなく亜現実(クォージリアリティ)である。決して仮想現実を作ってはならない。

スクリーンの共用は、単板のSPD板、DMD素子、SRD素子を使って行うことができる。LCD表示板は液晶層の応答が遅いのでこれができない。家族4人が別々の番組をフルスクリーンで共有できる装置は、4チャンネル分のチューナ・デコーダを除いて、表示部だけでは、個人用の装置と比べて3原色LED/LDとPDアレーが4組になる。

【0020】
<SPD反射型ディスプレイ>
SPD形式はまた、従来の反射型LCDより性能のよい反射型スクリーン(バックライト無し)を可能にする。偏光板は使用しない。背景は黒である。この背景の前に1920x1200のRGBの共振クロスポールアレーが置かれている。クロスポールアレーとは、半波長より長い誘導性のダイポールと半波長より短い容量性のダイポールを直角にクロスさせて、その給電点を接続したものである。RGBの各波長では、この誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが打ち消しあい+X−X=0としてQ=X/rrで共振するものである(OFF)。これを黒字の背景の前に置き白色光を照射すると、RGB各色で再放射として発光する。給電点に抵抗性/容量性/誘導性の負荷をつなぐと共振をせず、再放射による発光が低下する(ON)。これはノーマリーホワイトである。この発光の比(Q値)がコントラスト比である。

カラースクリーンの明るさは、通常の白い紙を昼光で見る程度であり、またカラー写真を昼光で見る程度である。黒浮きが問題となるような場合には、背景の黒地にON状態のクロスポールを1/2波長離して、造り込んで置けばよい。図45にSPD低コントラスト反射専用スクリーンの
形態を示す。これは、反射だけで昼間に見える看板と同程度の演色性をもっている。

【0021】
<SPD電子書籍と電子ペーパー>
SPD形式はまた、従来と趣の異なるカラー電子書籍と電子ペーパーを可能にする。SPD電子書籍/電子ペーパーの共振ダイポールの背後は鏡面で、前面を半透明として室内の風景が映らないようにされ、背景として白地である。RGB3原色のどれかの波長の共振クロスポールをOFF状態にすれば、背景での反射が弱まってその補色が現れる、RGB全部をOFFにすれば黒となるCMYK方式である。SPD電子書籍/電子ペーパーを映像表示板とするのには向いていない。

SPD電子ペーパーは手書き入力がそのまま電子書籍としてカラー表示される。手書き入力はCMYK光ペンで行われ、SPD駆動のX−Y線が光入力検出線となる。図46に電子書籍/電子ペーパーの形態を示す。

【0022】
<立体映像撮像装置>
人が景色を自然だと感じる要素の中で、最も重要なことは、(1)音と画像が一致していることである。次に重要なことは、(2)人が集中して認識している領域は極めて狭く、そこを見つめて左右両眼の像を一致させると、その前後の景色や物体は近くのものでも決して左右の像が一致せず、注視したものに集中できる。これが立体認識の主要部分であり、正確に言うならこれまでの研究者が言う、両眼視差とは意味が違う。その次に重要なのは、(3)人が動いた時に、遠くのものより近くのものが大きく動くことである。

その次は、(4)焦点が遠くと近くで異なることである。それに続くのが、やっと偏光メガネで知覚できる(5)左右で見えるものが違うという、よく使われる意味の両眼視差(パララックス)である。そして(6)光の当たり方や影が続く。最後に(7)遠くのものが霞んで青く見え、近くのものははっきり見えることである。

立体表示を行うときに我々は最善を尽くしてはならない。我々がやるべきことは自然を与えることである。自然を与えるということは、3次元空間に物点を置いて行くことであり、これは人の視差とは関係がない。置く物点はどの距離にあっても、フォーカスがぼけていてはならない。これで(1)〜(7)のほぼ全部が満足されるが、1つ欠けるのは(3)のうちの、人が動いた時に2次元画像では欠落する遠近の重なり部分である。

本論述では特に、図47に示すように、この重なり部分の処理について規定する。

人が動いた時に覗き込める重なり部分を、両眼間隔の倍程度の長さのステレオカメラで捉えることで、追加情報にする。

【0023】
<太陽光発電のための集光シート>
地球環境破綻救済のために行う太陽光発電では、1KW発電当たりの設置コストが、商用電源に変換するためのインバータのコストを含めて5000円程度が望ましいが、2009年現在ではこの20倍程度で、これが顕著に低減する可能性はない。これまでコストが見合わない問題を解決するきっかけを作る唯一の方法は集光装置を設けて、太陽電池セルが熱破壊しない程度にその面積を小さくすることであった。しかしこれまでの集光方式は必ず3次元空間が必要であり、家庭の屋根や壁にこれを据え付けることができなかった。

一方MITの発想で、シートに蛍光体ドットを置いて太陽光で励起して発光させ、それをシートの平面方向に伝播させて、太陽電池セルに導く方法が考えられたが、所詮1%程度の効率しか理論限界として得られない。つまり理論が要求に適合していない。

SPDのアーキテクチャーをこの平面集光に利用することができる。共振ダイポールが応答する波長領域で、太陽光の1つ波束を受けたSPD素子からの再放射が隣接する素子へ及ぼす波束と、太陽光の同じ波束がその隣接素子に至る波束が同位相になるような方向に加算されて行く流れの先で取り出した光出力を、室内に導いて照明とするか、水を加熱するに使うか、または集中した光束を小面積の光電変換素子で電力出力として、低電圧で使用するか、またそれをインバータで商用電圧に変換しまたはそれを売電するかを行う。

集光シートは、晴天下で太陽光が南中する前後の±2時間前後(地球の自転角で60度)で、有効な波長領域の70%以上を集光しなければならない。SPDアレーシートを多層にして、太陽光に含まれる幅広い波長領域を取り入れることができる。図48に太陽光発電のための集光シートの形態を示す。

【発明の効果】
【0024】
本発明は、図49の左側に示す従来の表示装置を、右側のものに置き換えた。

その要素は、(1)表示装置の10万時間の耐久性、(2)光源の発熱の低減と冷却ファンの撤廃、(3)光源の発光効率・照射効率の改善、(4)光源ランプの交換は消費者が容易に取り替えられること、(5)希少資源を使わないこと、(6)廃棄後にリサイクルでき、また速やかに土に返ること、(7)表示板の製造コストを1/3以下に低減できること、(8)大画面にして顕著なコストアップがないこと、(9)立体表示化できること、(11)小型化できること、(12)薄型化できること、(13)携帯性を有すること、(14)室内で省スペース化ができることである。

TVやPCを育てて来たCRTディスプレイはその役割を既に終えている。それを置き換えたのは、LCDディスプレイ、有機ELディスプレイ、DMDプロジェクター、LCDプロジェクター、LCOSプロジェクター等である。

これらのディスプレイの消費電力を1/100に、製造コストを1/5に、重さを1/3以下に、信頼性を5倍に、平面画像を立体画像に、光害を皆無にすることをこれまでは望めなかったが、地球環境破綻の危惧はそれを待てない。SRDを含むSPD表示板はこれらの要件を一度に解決した。

またDMDプロジェクターを生き延びさせるならば、真性立体表示が可能になり、UFOL光源で長年の懸案であったDMDのランプ問題が解消する。

21世紀の初めに我々に必要なことは、徒らに先端技術を追い求めても数百年後に行き着くのは結局自然の理に戻るしかなく、開発のための開発をやめ、200年後に実現したであろう自然製品に今気づくことである。そして真の製品とは、先ず100年間使った後に如何に土に還すかを考え、そして100年後には一層その仕様が輝くかということである。我々は未来に何かあるという開発をやめる勇気をもたなければならない。本発明のデバイスはそのためのものである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図50に、幾つかの製品の最良形態を示す。

【実施例】
【0026】
本発明の製品としての実施例の幾つかを図51に示す。

【産業上の利用可能性】
【0027】
一世代前にLCDがCRTを置き換えたように、本発明はLCD/有機EL/DMDを置き換え、また立体画像表示を可能にする。

【図面の簡単な説明】
【0028】

【図1】等身大自然サイズ表示板と消費者が商品を持ち帰る梱包筒 である。
【図2】は真性立体画像表示と純性立体画像表示 である。
【図3】はLD光ホログラフィーの立体像と割れた凸レンズの自然光の立体像 である。
【図4】はNTT型前後重み付け立体表示装置 である。
【図5】は立体撮像・収録の要素 である。
【図6】は立体映像化の画像圧縮フォーマット である。
【図7】はSPD構造とその動作原理 である。
【図8】は人の色相感覚とスペクトル=波束のフーリエ変換関係 である。
【図9】はLCD構造とSPD構造と非共振軸対称ダイポールの付加による高コントラスト比 を示す。
【図10】はSPD共振素子の形成である。
【図11】はSPD素子の銅損 である。
【図12】はSPDパネルとLCDパネルの構成比較 である。
【図13】はマイクロレンズ方式 である。
【図14】は集光リピータ方式 である。
【図15】は並列アンテナ駆動方式 である。
【図16】は共振ダイポールON−OFFの手段 である。
【図17】はLCDパネルとSPDパネル である。
【図18】はLCDパネルとSPDパネルの製造・運送コスト光源を示す。
【図19】は透過型SPDパネルの構造とバックライトの交換 である。
【図20】は両面リバーシブル表示 を示す。
【図21】はUFOL光源とSPFL光源 を示す。
【図22】は偏光導光板 である。
【図23】はSPDによる透過型プロジェクター である。
【図24】は透過型SPDによる個人化された直視型表示装置である。
【図25】はSPDによる直視型表示装置の家族視聴 ある。
【図26】はSPDによる立体画像表示装置である。
【図27】はSPDによる携帯機器用半反射型表示装置である。
【図28】はLED動作からLD動作への切り替わり である。
【図29】はLDの光源の大きさ である。
【図30】は多波長モードである。
【図31】はLD光放射のニアフィールドとファーフィールドである。
【図32】はLDの遠方放射パターン である。
【図33】はLDの放射パターンに対するWxHの影響である。
【図34】はLDの放射パターンに対するLの影響である。
【図35】はDMDプロジェクター光源の個別照射化である。
【図36】は誘導駆動無電極FL である。
【図37】は高速点滅FLによるDMD表示装置の省電力化である。
【図38】はDMD表示装置の立体画像化の原理と手段である。
【図39】は複数の視聴者のためのDMD立体画像表示装置である。
【図40】は真性立体音像装置である。
【図41】はSRD反射素子の原理である。
【図42】は反射型SRDマイクロプロジェクターの用途 である。
【図43】はSRDマイクロプロジェクターのBOMである。
【図44】はマイクロプロジェクションPCである。
【図45】はSPD反射専用スクリーンである。
【図46】はSPD電子書籍/電子ペーパー である。
【図47】は立体映像撮像装置 である。
【図48】は太陽光発電集光シート である。
【図49】はアーキテクチャーIによる従来のDisplayの置き換えである。
【図50】は最良の形態である。
【図51】は本発明の実施例 である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
<SPDによる透過型FPD>
偏光方向が直交する2枚の偏光板に挟まれた基板の上に、RGB3原色の波長でそれぞれ共振するダイポールアンテナ列を形成し、その偏波面が2偏光板直交偏波面の中間の向きにあって、入力側の偏光板を透過した偏波光が共振アンテナを駆動し、その誘導電流の再放射が出力側の偏光板を透過する量を共振アンテナを終端するインピーダンスをON−OFFする時間を変調することによって画素の輝度を制御し、RGB3原色の色フィルターフィルムが必要ないようにした、液晶に置き換わるSPD平面表示装置。またこの共振ダイポールと軸対称の、ON状態で固定された非共振ダイポールアンテナ列を加えて、ON時の光の完全な遮断を目指しコントラスト比を高めること。
【請求項2】
<SPD素子の構成>
SPD素子を、金属層をエッチングしたダイポール形状、金属層を反対にエッチングした開口ダイポールアンテナ、誘電体のダイポールピットのスタンピング、金属層で形成された共振パッチアンテナ、誘電体のスタンピングによるパッチアンテナ、またはそれに類する方法のいずれかで形成すること。SPD素子の給電点インピーダンスのON−OFFを、接触又は非接触の抵抗変化、容量変化、透磁率変化、MEMSスイッチのいずれか、またはその組み合わせで行うこと。
【請求項3】
<SPD画素の構成>
SPD素子でRGB3色の組からなる1画素を構成するために、RGBそれぞれの1つまたは複数のON−OFFされたSPD素子に、共通のマイクロレンズで集光して高い透過率を維持すること。またON−OFFする素子の周囲にON−OFF機能を持たないパッシブリピータを配して、平面的に集光すること。また画素全体にON−OFF素子を配して、その給電点を共通にON−OFFすること。
【請求項4】
<SPDによる透過型プロジェクター>
前面偏光フィルムシート、SPD板シート、背面偏光フィルムシート、導光板シートを重ね合わせたSPDシートユニットに白色FL管を加えた5点の部品からなるSPD透過板装置を構成するか、または背面偏光フィルムシートと導光板フィルムシートを単一のフィルム基板として4点の部品からなるSPD透過板を構成し、散乱型スクリーンに投影するプロジェクターとすること。
【請求項5】
<SPDによる透過型両面表示装置>
SPD表示板を、導光水平偏光板、SPDシート、導光垂直偏光板から構成し、前後の導光偏光板のいずれかに入射する光源を点灯することを切り替えて、導光偏光板には金属反射層を設けず、表示板としてどちらの側からかを切り替えて見ることができるようにすること。
【請求項6】
<SPDプロジェクターのUFOL/SPFL光源>
またSPD表示板に無電極のFL管を高周波電磁誘導駆動した光源を使用し、効率を高め、発熱を減らし、発光の半減期を10万時間程度以上に伸ばし、またFL管の交換を消費者が容易に行えるようにして、従来のCCFLやHIDランプを置き換えること。
【請求項7】
<SPD用の導光偏光板>
SPD表示板の導光偏光板として、RGB3列に分かれて伝播する金属ダイポールまたは誘電体ピットの列で構成すること。また従来の白インクドットと同じく、共振とピッチを波長スタガー混合した列で構成すること。また誘電体ピットで導光板を構成する場合に、先に行くに従ってピット高を高くすること。
【請求項8】
<SPDによる個人化された直視型表示装置>
フレネル凹面鏡、フレネル凸レンズ等を使ったSPDによる直視型拡大表示装置で、点光源を視聴者の両眼付近に収束して照射することで光源の光量を従来の1/100程度以下に減らすことができる装置に於いて、LED/LD点光源を用い、ハーフミラーを介して点光源と視聴者の眼底反射検出のPDアレーが鏡像関係にあるものを、対物レンズとLED−PDを相対的にXYZ3軸で動かすことによって、常に視聴者の両眼付近にだけ光を照射することができる。また共通の対物レンズに対して、LED−PD対を複数設けてXYZ3軸で動かすことで、複数の視聴者に両眼付近にだけ光を照射できる。これらの複数の視聴者は、主として拡大鏡の向こう側に映像を見ることができる。
【請求項9】
<SPDによる立体画像表示装置>
2枚のLED点光源からの画角が一定となるような大きさの違うSPD板とその前後の偏光板、凹面鏡またはフレネル凹面鏡またはフレネル凸レンズ、点光源白色LEDを使って真性立体画像表示装置を構成すること。背景用のSPD板が画像表示を行う場合は前景用のSPD板は全開状態とし、前景用のSPDが画像表示を行う場合は背景用のSPDは全開状態とする。発光点の像は視聴者の両眼で焦点を結び、SPDの画素の像は視聴者の前方で焦点を結ぶようにして、視聴者の両眼にのみ光が届くようにして、個人化される。ハーフミラーを通して視聴者の両眼の位置は捕捉される。視聴者から見た2枚のSPDの画素表示座標を合わせて強度の割合を変えることで前景と背景の任意の位置で視覚上の画像の奥行きを画素領域毎に選ぶことができる。また家族で立体映像を見る場合、大きいスクリーンにして幅を持たせ、SPD透過板ペア、点光源LED、PDアレーのセットを視聴者の人数分だけ装置に内蔵し、それぞれの視聴者に真性立体映像を与えることができる。またそれぞれのSPD透過板ペアに別の番組を描画することが出来る。
【請求項10】
<SPDによる携帯機器用半反射型表示パネル>
携帯機器等に於いてSPDを使う場合に、FL管光源/LED光源に加えて、前面からの自然光を取り込んでバックライトをOFFして、画面表示に使うこと。LCDでも同様のことが出来るが、SPDの方が自然光の直接の反射効率がよい。
【請求項11】
<LD光源>
ディスプレイに持いられるLED光の外部照射効率を飛躍的に高め、或いは偏光を得るために、端面発光LEDの背面は活性層断面より十分に大きい金属層とし、前面は活性層断面積より小さい金属層として前面の透過率を10%以上として、可干渉長を短くし、外部に取り出す光量に対して活性層を往復する光量を減らして熱の発生を抑え、ダークラインの発生の心配を無くし、活性層の断面を扁平にして偏光度を高めて位相同期発光になる電流の閾値を越えた場所で動作するようにした、準LD動作をする光源。
【請求項12】
<DMDプロジェクター光源の個人射化>
DMDのHIDランプ光源のコスト・寿命・冷却ファン・消費電力の問題を無くすために、光源に面順次で切り替えるRGBの点光源LEDを用いること。LED点光源の実像が視聴者の両眼周辺に照射するために、スクリーンは通常の散乱型ではなく、凹面鏡またはフレネルの凹面鏡または凸レンズとし、投射ユニットのハーフミラーでRGBのLEDと視聴者の眼底反射(赤目)を検出するPDアレーは固定された鏡像関係にあるように、アクチュエータで対物レンズとの関係を相対的に可動にして眼底反射が捕捉すること。3原色LEDとDMDは共に面順次の応答速度を持っているために、従来の単板DMDの回転色フィルターを必要としない。
【請求項13】
<高速点滅無電極FLによるDMD表示装置の省電力化>
DMDプロジェクターで散乱型スクリーンを使う場合、HID白色ランプと面順次回転色フィルターに代わるものとして、高速で点滅する3原色UFOLで、輝度と発光効率が十分に高く、発光以外の発熱が少なく、寿命が十分に長く、交換が容易で、極めて安価であるので、プラズマ状態に保たれたFL管内が誘導によって電子が円運動で加速されて水銀の電離電圧5eV以上の運動エネルギーを得て、237nmの発光をする。プラズマ状態の管内は不活性ガス圧で導電率をコントロールされた抵抗負荷となる。その駆動を共振ループによって行うこと。
【請求項14】
<立体画像化されたDMD表示装置>
単板のDMDと2組のRGBの点光源LEDと2枚のミラーを使い、光路を直線展開した形が光源と対物レンズの間隔が一定で、その間に入るDMDが2通りの位置にあるようにして、半透過ミラーを介して眼底反射検出のPDアレーがLED点光源と鏡像の位置関係にあるようにして、点光源は常に視聴者の両眼付近を捕捉して照射し、点光源から見た2通りのDMD上に描画された像が重なるようにコリメータレンズと円筒レンズで補正された、個人化立体画像表示装置。またこのユニットの出力に視聴者の人数分の可動ミラーからなる光路切り替え器を加えて、家族全員が真性立体映像を鑑賞できるようにすること。
【請求項15】
<真性立体音像装置>
立体音像とは、これまで左右のスピーカーによってどの方向から音が来るかを再現していたものを、3次元空間のどの点から音が来るか、即ち方角と距離の情報が与えられるものをいう。真性立体画像と同期して、静電スピーカーアレーユニットを用いて、視聴者それぞれに隔離された真性立体音像を提供すること。
【請求項16】
<SRDプロジェクター>
CMOSプロセスのアルミ多層配線レイヤーの最上位で直線偏波RGB共振ダイポールON−OFF素子、または円偏波RGB共振クロスポールON−OFF素子を構成するか、反転した開口アンテナとして構成し、RGB加色混合かCMYK減色混合を行い、DMDに代わる反射型表示素子を形成し、光入出力側それぞれに直交した偏光板を置くか、偏光を照射して出力側のみに直交偏光板を置くか、或いは偏光方式は用いないようにして、画像表示を行うこと。また平面画像表示では12度程度の入射角による画面の横又は縦の縮みを補正するために円筒レンズを挿入し、これを立体画像表示では2通りの入射角の違いを円筒レンズで揃え、遠近で画角が異なるのをコリメータレンズで補正して、1つのSRD素子で単一の描画が行えるようにすること。
【請求項17】
<SRDマイクロプロジェクションPC>
従来のノートパソコンを携帯電話程度の大きさにして、そこに携帯電話の機能も同居させる機器に於いて、表示には24インチ程度の画面サイズの平面・立体画像マイクロプロジェクターを使い、それをロールアップスクリーンと、テーブルクロススクリーンの2つのモードで使えるようにし、また台形画歪の補正を切り替えられるようにすること。
【請求項18】
<PC画像の立体表示化>
PC画像の真性立体画像表示への移行に際して、立体画像情報を平面画像表示モードから立体画像表示を前方に引き出して行うモードに切り替えられるようにすること。またマウスのポインタが選択すべき立体画像を、ハイライトさせること。
【請求項19】
<SPD反射型スクリーン>
SPD形式はまた、従来の反射型LCDより性能のよい反射型スクリーン(バックライト無し)が可能で、室内の光で絵画を鑑賞する程度の明るさになることを利用し、偏光板を使用せず背景は黒とし、この背景の前に1920x1200のRGBの共振クロスポールアレーを置いて白色光を照射すると、RGB各色で再放射として発光する形式の表示板を構成すること。
【請求項20】
<SPD電子書籍と電子ペーパー>
SPD形式はまた、従来と趣の異なるカラー電子書籍と電子ペーパーを可能にする。SPD電子書籍/電子ペーパーの共振ダイポールの背後は鏡面で、前面を半透明として室内の風景が映らないようにし、背景として白地である。RGB3原色のどれかの波長の共振クロスポールをOFF状態にすれば、背景での反射が弱まってその補色が現れる、RGB全部をOFFにすれば黒となるCMYK方式である。但し、黒の定義は白の下地に黒ドットを並べたものであり、SPD電子書籍/電子ペーパーを映像表示板とするのには向いていない。SPD電子ペーパーは手書き入力がそのまま電子書籍としてカラー表示される。手書き入力はCMYK光ペンで行われ、SPD駆動のX−Y線が光入力検出線となる。
【請求項21】
<立体画像撮像装置>
真性立体映像再生のための立体映像収録・撮像に於いて、画素領域の奥行き情報タグの取得は本発明では論述しないものとし、両眼視差情報の取得のために、ステレオカメラの左右の間隔を人の両眼間隔の倍程度にし、立体映像を鑑賞する人が、左右に動いたときの背景の隠れた部分が覗きこめる様にしておくこと。
【請求項22】
<太陽光発電のための集光シート>
SPDのアーキテクチャーをこの平面集光に利用することとし、共振ダイポール/クロスポールが応答する波長領域で、太陽光の1つ波束を受けたSPD素子からの再放射が隣接する素子へ及ぼす波束と、太陽光の同じ波束がその隣接素子に至る波束が同位相になるような方向に加算されて行く流れの先で取り出した光出力を、室内に導いて照明とするか、水を加熱するに使うか、または集中した光束を小面積の光電変換素子で電力出力として、低電圧で使用するか、またそれをインバータで商用電圧に変換しまたはそれを売電するかを行うようにする。集光シートは、晴天下で太陽光が南中する前後の±2時間前後(地球の自転角で60度)で、有効な波長領域の70%以上を集光しなければならない。晴天時にシートの発電量が300W程度の面積に於いて、シートが傾斜した屋根や壁に固定されるとし、南中から±2時間の太陽の軌跡と季節による太陽の高度の変化に対して、集光シートは光がシートに沿って流れる方向が変化し、それをシートの辺に置かれた円筒レンズでスポットにし、それをPOFの形で更に纏めて、照明に直接使うよう家屋内に取り入れるか、集中した多層構造の広帯域太陽電池に導くこと。一枚のシートに共振波長が分散して、またアレーの間隔も分散させ、より広い帯域で動作するようにし、またこれをシートの両面に構成し、またこれを多層にして、太陽光に含まれる幅広い波長領域を取り入れるようにすること。またアレー間隔の波長分散と共振の波長分散を打ち消して、加算と伝播の方向が広帯域で保たれるように構成すること。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2010−271551(P2010−271551A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123664(P2009−123664)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(708002676)
【Fターム(参考)】