平面型アンテナ
【課題】M型アンテナを基本構造とし、小型で水平面指向性が無指向性であり、さらに送受信し得る複数の周波数帯を任意に設定できる平面型アンテナを提供する。
【解決手段】接地板10から離して平行に、導電線で平面形状が正方形で対向する4隅を結んだ形状の第1の放射電極部30を設け、その中央部に給電ピン14を電気的接続し、給電ピン14を中心として対称の位置で正方形の2辺を第1のショートピン32で接地板10に電気的に短絡する。給電ピン14と第1のショートピン32の間を直線で結ばないようにして空間部30aを設ける。また、第1のショートピン32が設けられない辺と給電ピン14の間を直線で結ばないようにして空間部30bを設ける。空間部30bに第2の放射電極部34を設け、その中央部を給電ピン14に電気的接続し、その両端部を第2のショートピン36で接地板10に電気的に短絡する。
【解決手段】接地板10から離して平行に、導電線で平面形状が正方形で対向する4隅を結んだ形状の第1の放射電極部30を設け、その中央部に給電ピン14を電気的接続し、給電ピン14を中心として対称の位置で正方形の2辺を第1のショートピン32で接地板10に電気的に短絡する。給電ピン14と第1のショートピン32の間を直線で結ばないようにして空間部30aを設ける。また、第1のショートピン32が設けられない辺と給電ピン14の間を直線で結ばないようにして空間部30bを設ける。空間部30bに第2の放射電極部34を設け、その中央部を給電ピン14に電気的接続し、その両端部を第2のショートピン36で接地板10に電気的に短絡する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型かつ低背であって、複数の周波数帯を送受信でき、また水平面無指向性を備え、しかも設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の低背の平面型アンテナとして、平板状の放射電極部を有するM型アンテナが知られている。このM型アンテナを応用した技術が特開平05−136625号公報に示されている。
【特許文献1】特開平05−136625号公報
【0003】
この特許文献1記載のM型アンテナの一例を図10および図11を参照して簡単に説明する。図10は、特許文献1記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。図11は、図10の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。図10に示す構造は、接地板10から離してしかも平行に平板状の導電板からなり平面外形が正方形の放射電極部12が配設され、その平面形状の略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、この給電ピン14が配設された位置を中心として略対称な位置で、放射電極部12の正方形の平面外形の対向する2辺の略外縁部の中央の位置を接地板10に電気的に短絡させるように一対のショートピン16、16が設けられる。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。かかる構造のM型アンテナのVSWR特性は、図11に示すごときものであり、一例として約900MHzを中心とする1つの周波数帯で送受信ができる。
【0004】
また、2つの周波数帯を送受信できるアンテナとして、導電線からなる2つのM型アンテナを組み合わせた技術が特開2004−359515号公報に示されている。
【特許文献2】特開2004−359515号公報
【0005】
この特許文献2記載のM型アンテナを図12ないし図14を参照して簡単に説明する。図12は、特許文献2記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。図13は、図12の構造のM型アンテナの第1の放射電極部の水平面指向特性図である。図14は、図12の構造のM型アンテナの第2の放射電極部の水平面指向特性図である。図12に示す構造は、接地板10から離してしかも平行に棒状の導電線からなる第1の放射電極部18が配設され、その略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、第1の放射電極部18の両端部を接地板10に電気的に短絡させるように一対の第1のショートピン20、20が設けられる。また、給電ピン14の中間部位置で接地板10と第1の放射電極部18と平行に棒状の導電線からなる第2の放射電極部22が配設され、その略中央部に給電ピン14が電気的接続される。そして、第2の放射電極部22の両端部を接地板10に電気的に短絡させるように一対の第2のショートピン24、24が設けられる。かかる構造のM型アンテナの水平面指向特性は、図13および図14に示すごときものであり、第1と第2の放射電極部18、22ともに、水平面指向性が無指向性とは言い難い。
【0006】
そして、特許出願人は、特許文献1記載のアンテナをより小型化した技術を、特願2006−013684により先に提案した。この先に提案した技術は、図10に示す特許文献1記載のアンテナの放射電極部12に、給電ピン14と一対のショートピン16、16の間に空間部を設けて、給電ピン14から一対のショートピン16、16を経て接地板10に到る経路の長さがより長くなるようにして、放射電極部12の外形寸法を小さくし得るようにしたものである。
【特許文献3】特願2006−013684
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、最近の電子機器は様々なメディアやサービスに対応する機能を有し、そのために複数の周波数帯を送受信できるアンテナを必要とする。そして、一般的にアンテナの取付スペースは限られている。上記特許文献1記載のM型アンテナでは1つの周波数帯でしか送受信できないために、複数の周波数帯を送受信するためには、さらに別のアンテナを追加搭載しなければならない。かかる場合には、追加する別のアンテナは放射電極部12の横または上に設けざるを得ず、その分だけ広い設置のスペースを必要とし、または背が高いものとなる。したがって、特許文献1記載のM型アンテナを用いて、複数の周波数帯を送受信するためのアンテナを構成する場合には、その設置スペースが大きくまたは高いものとなるという不具合がある。
【0008】
また、最近の様々なメディアやサービスに対応する機能を有する電子機器は、移動体に搭載されることが多く、アンテナの水平面指向特性が無指向性であることが望まれる。上記特許文献2記載のM型アンテナにあっては、2つの周波数帯を送受信できるので、複数の周波数帯の送受信のアンテナとして接地スペースが小さくて足りる。しかし、水平面指向特性が無指向性でないという不具合がある。
【0009】
さらに、特許出願人が先に提案した技術にあっては、放射電極部12の形状によっては2つの周波数帯で送受信し得る場合がアンテナ特性の測定等から確認されているが、一方の低い周波数帯を固定した状態で他方の高い周波数帯のみを任意にずらして設定することは困難である。
【0010】
本発明は、上述したごとき従来技術の事情に鑑みてなされたもので、M型アンテナを基本構造として用いて、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに小型化でき、しかも水平面指向性が無指向性であり、さらに動作し得る複数の周波数帯を任意にずらして設定することのできるようにした平面型アンテナを提供することを目的とする。また、第1の放射電極部の空間部に別のアンテナを組み込むことで、設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に導電線で第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成されている。
【0012】
また、接地板から離してしかも平行に平板状の第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記第1の放射電極部に空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に平板状の第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成しても良い。
【0013】
そして、前記第1の放射電極部の平面外形を正方形とし、前記第1の放射電極部に前記正方形の辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の空間部を前記正方形の各辺にそれぞれ形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成することもできる。
【0014】
そしてまた、前記第1の放射電極部の平面外形を円形とし、前記第1の放射電極部に前記円形の辺に円弧を沿わせて頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの空間部を均等分割位置に形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成することもできる。
【0015】
そしてさらに、前記第1の放射電極部の前記空間部に別のアンテナを配設して構成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の平面型アンテナにあっては、少なくとも給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなしに空間部が形成されて導電線で第1の放射電極部が設けられているので、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線的に結ぶ距離よりも長くなり、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。また、導電線が設けられていない空間部に第2の放射電極部を設けているので、外形寸法を変えることなしに、第1と第2の放射電極部でそれぞれに異なる周波数帯を送受信することで、2つの周波数帯を送受できるアンテナを構成できる。もって、2つの周波数帯を送受信できる小型で低背なアンテナとして好適である。
【0017】
また、請求項2記載の平面型アンテナにあっては、第1の放射電極部に、少なくとも給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように空間部を形成したので、請求項1と同様に、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。また、空間部に第2の放射電極部を設けているので、外形寸法を変えることなしに、第1と第2の放射電極部でそれぞれに異なる周波数帯を送受信することで、2つの周波数帯を送受できるアンテナを構成できる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【0018】
そして、請求項3および4記載の平面型アンテナのいずれにあっても、第1の放射電極部に設けた空間部が、給電ピンを配設した中央部を中心としてほぼ点対称であり、ほぼ水平面無指向性が得られる。しかも、第1の放射電極部の第1のショートピンが設けらていない辺の空間部に、第2の放射電極部を設けたので、第2の放射電極部が第1の放射電極部に生ずる電流電圧分布に与える影響が少ない。
【0019】
そしてさらに、請求項5記載の平面型アンテナは、第1の放射電極部の空間部に別のアンテナを配設するので、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナを組み込んでも設置スペースが大きくなるようなことがなく、また背も高くなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図6を参照して説明する。図1は、本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。図2は、図1の第1実施例のVSWR特性図である。図3は、図1の第1実施例で810MHzの水平指向特性図である。図4は、図1の第1実施例で960MHzの水平指向特性図である。図5は、図1の第1実施例で1920MHzの水平指向特性図である。図6は、図1の第1実施例で2170MHzの水平指向特性図である。図1において、図10および図12と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0021】
図1に示す本発明の平面型アンテナの第1実施例において、接地板10から離してしかも平行な平面内で、導電線により平面外形が正方形の枠部に対向する隅を互いに結んで中央部で交叉する第1の放射電極部30が配設される。そして、給電ピン14が、第1の放射電極部30の正方形の対向する隅を互いに結んで中央部で交叉する点に、接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。また、給電ピン14を中心とする対象な位置で、枠部の正方形の対向する2辺の略中央部に、第1の放射電極部30の枠部と接地板10を電気的に短絡させる一対の第1のショ−トピン32、32が配設される。この第1の放射電極部30にあっては、給電ピン14と第1のショートピン32、32の間を直線的に結ぶ導電線が設けられておらず、三角形の空間部30a、30aが形成されている。また、第1のショートピン32、32が設けられていない正方形の枠部の辺と給電ピン14を直線的に結ぶ導電線も設けられておらず、三角形の空間部30b、30bが同様に形成されている。さらに、第1の放射電極部30が配設された同じ平面内で、第1の放射電極部30で第1のショートピン32、32が設けられていない正方形の枠部の辺と給電ピン14を直線的に結ぶ導電線が設けられずに形成された三角形の空間部30b、30bに、導電線により平面形状がコ字状の第2の放射電極部34が配設され、その両端部と接地板10を電気的に短絡させる一対の第2のショートピン36、36が配設される、また、第2の放射電極部34の中央部に給電ピン14が電気的接続される。なお、第2の放射電極部34のコ字状は、一例として第1の放射電極部30の正方形の枠部に平行となるように配設される。また、給電ピン14が、接地板10に電気的接続されていないことは勿論である。
【0022】
この第1の放射電極部30の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10から離れた高さを16.5mmとし、第2の放射電極部34のコ字状の長さを適宜に調整設定した本発明の平面型アンテナにあっては、図2に示すごとく、2つの周波数帯で動作し得る。第1の放射電極部30は、第1の周波数帯としての携帯電話用のPDC800に設定されており、第2の放射電極部34は、第2の周波数帯としてのITM−2000の2GHz帯に設定されている。ここで、第2の放射電極部34の長さは、給電ピン14と第2のショートピン36が接続される間の長さと給電ピン14と第2のショートピン36のそれぞれの長さの総和が、第2の周波数帯の中心周波数の1/2波長となるように設定されれば良い。図2に示すVSWR特性において、第1の周波数帯としてのPDC800の810MHzではVSWRが3.75で仰角θ=0°で利得が−2.85dBiであり、960MHzではVSWRが3.16で利得が0.01dBiであり、また第2の周波数帯としてのIMT−2000の1920MHzではVSWRが1.40で利得が0.52dBiであり、2170MHzではVSWRが2.06で利得が−1.96dBiであった。しかも、図3、図4に示すごとく、PDC800で810MHzと960MHzのいずれであっても、ほぼ水平面無指向性が得られている。また、図5、図6に示すごとく、IMT−2000で1920MHzと2170MHzのいずれであっても、ほぼ水平面無指向が得られている。
【0023】
しかも、第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに、第2の放射電極部34を設けているので、この第2の放射電極部34を介して第1の放射電極部30に接続される給電ピン14と第1のショートピン32、32の間に電磁結合または容量結合等を生ずる虞がなく、第2の放射電極部34を設けることで第1の放射電極部30の電流電圧分布に対する影響が少なく、アンテナ特性に大きく影響を及ぼすことがない。
【0024】
次に、本発明の第2実施例を図7を参照して説明する。図7は、本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。図7において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
図7に示す本発明の平面型アンテナの第2実施例において、図1に示す第1実施例と相違するところは、導電線に代えて、平板状の導電板をプレス加工等により、平面形状が第1実施例と略同じとなるように、第1と第2の放射電極部30、34と一対の第1と第2のショ−トピン32、32、36、36および給電ピン14が帯状に形成され、さらに適宜に折り曲げられて構成されている。第1と第2の放射電極部30、34は、接地板10から離して平行に配設されることは第1実施例と同様である。かかる構成の第2の実施例の平面型アンテナにあっても、第1実施例の平面型アンテナと同様のアンテナ特性が得られる。しかも、第1実施例の導電線に比べて、第1と第2の放射電極部30、34の帯状の幅が広いために、送受信帯域が広くなる。
【0026】
なお、第2実施例にあっては、第1と第2の放射電極部30、34等が導電板で形成されているが、第1と第2の放射電極部30、34が設けられる高さに、絶縁樹脂板等を設け、その表面に導電薄膜等で第1と第2の放射電極部30、34を形成し、これらの導電薄膜等からなる第1と第2の放射電極部30、34に第1と第2のショートピン32、32、36、36および給電ピン14を電気的接続するように構成しても良い。
【0027】
さらに、本発明の第3実施例を図8を参照して説明する。図8は、本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。図8において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0028】
図8に示す本発明の平面型アンテナの第3実施例において、図1に示す第1実施例と相違するところは、導電線で形成される第1の放射電極40の平面形状が円形であるとともに、第2の放射電極部44が直線状に形成されていることにある。かかる構成の第3の実施例の平面型アンテナにあっても、第1実施例の平面型アンテナと同様のアンテナ特性が得られる。
【0029】
そしてまた、本発明の第4実施例を図9を参照して説明する。図9は、本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。図9において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0030】
図9に示す本発明の平面型アンテナの第4実施例にあっては、第2の放射電極部34、34が設けられていない空間部30a、30aに、GPS受信用の別のアンテナ50や衛星デジタルラジオ放送受信用の別のアンテナ52等が配設されている。かかる構成にあっては、スペースを有効に利用でき、別のアンテナ50、52を配設するにも係わらず、接地スペースが大きくなるようなことがない。これらの別のアンテナ50、52としては、ETCを含むDSRCや無線LANおよびBluetooth等のアンテナであっても良いことは、勿論である。
【0031】
なお、第1の放射電極部30、40の平面形状は、上記実施例の形状に限られない。例えば、第1実施例のごとく平面形状を「正方形に対向する4隅を結ぶ十文字」状で、その十文字状の部分を折り曲げてその長さを長くしても良く、また十文字状の部分の一部分を折り曲げてその長さを長くし他の部分は折り曲げることなしに構成しても良く、また十文字状の部分を、4方向に放射状の中央部付近を1本の直線にまとめ、このまとめられた1本の直線の両端部がそれぞれ2つに分岐されて正方形の4隅にそれぞれに連結されたごとき形状に代えて構成しても良く、また十文字状の部分をH字状に代えて構成しても良く、十文字状の部分をミアンダ状に折り曲げてその長さを長くしても良い。また、平面形状を基本的には「正方形に対向する4隅を結ぶ十文字」状であるが、第1のショートピンが配設されていな辺部を省いた構造としても良い。そして、平面形状を「田」の字状とし、中央部に給電ピン14を電気的接続し、「田」の字状の外縁の対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設されても良い。さらに、平面形状を基本的には「丸に十の字」状であるが、第1のショートピンが配設されていない円弧状の縁部を省いた構造としても良い。また、平面形状を2つの同形の円をその一部が接するようにまたは重なるように配置して構成し、2つの円が接する部分に給電ピン14を配設し、この給電ピン14の配設位置を通過する直径方向で円の他方の位置に第1のショートピンをそれぞれに配設して構成しても良い。そしてまた、平面形状を「日」の字状に形成し、中央辺の中間位置に給電ピンを配設し、上下辺の中間位置に第1のショートピンをそれぞれに配設して構成しても良い。また、平面形状が菱形の外縁形状と対向する2隅を結ぶ1本の中央辺とで形成され、中央辺の中間位置に給電ピンを配設し、菱形の中央辺が結ばれていない対向する2隅に第1のショートピンが配設されて構成されても良い。
【0032】
さらに、第2の放射電極部34、44は、上記実施例のごとく「コ字状」や「直線状」に限られず、適宜に折り曲げられた平面形状が「く字状」や「円弧状」等であっても良い。また、第2の放射電極部34、44は、上記実施例のごとく第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに設けられたものに限られず、第1のショートピン32、32が設けられている他の空間部30b、30bに配設されても良い。しかし、第2の放射電極部34、44が第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに設けられたものに比較して、第1のショートピン32、32が設けられている空間部30b、30bに配設されたものは、第1のショートピン32、32と第2のショートピン36、36が近接して配設されるために、電磁結合を生じさせ易く、水平面の指向性がやや悪化する傾向にある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。
【図2】図1の第1実施例のVSWR特性図である。
【図3】図1の第1実施例で810MHzの水平指向特性図である。
【図4】図1の第1実施例で960MHzの水平指向特性図である。
【図5】図1の第1実施例で1920MHzの水平指向特性図である。
【図6】図1の第1実施例で2170MHzの水平指向特性図である。
【図7】本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。
【図8】本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。
【図9】本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。
【図10】特許文献1記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。
【図11】図10の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。
【図12】特許文献2記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。
【図13】図12の構造のM型アンテナの第1の放射電極部の水平面指向特性図である。
【図14】図12の構造のM型アンテナの第2の放射電極部の水平面指向特性図である。
【符号の説明】
【0034】
10 接地板
12 放射電極部
14 給電ピン
16 ショートピン
18、30、40 第1の放射電極部
20、32 第1のショートピン
22、34、44 第2の放射電極部
24、36 第2のショートピン
30a、30b 空間部
50、52 別のアンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型かつ低背であって、複数の周波数帯を送受信でき、また水平面無指向性を備え、しかも設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の低背の平面型アンテナとして、平板状の放射電極部を有するM型アンテナが知られている。このM型アンテナを応用した技術が特開平05−136625号公報に示されている。
【特許文献1】特開平05−136625号公報
【0003】
この特許文献1記載のM型アンテナの一例を図10および図11を参照して簡単に説明する。図10は、特許文献1記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。図11は、図10の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。図10に示す構造は、接地板10から離してしかも平行に平板状の導電板からなり平面外形が正方形の放射電極部12が配設され、その平面形状の略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、この給電ピン14が配設された位置を中心として略対称な位置で、放射電極部12の正方形の平面外形の対向する2辺の略外縁部の中央の位置を接地板10に電気的に短絡させるように一対のショートピン16、16が設けられる。なお、給電ピン14は、接地板10に電気的接続されないことは勿論である。かかる構造のM型アンテナのVSWR特性は、図11に示すごときものであり、一例として約900MHzを中心とする1つの周波数帯で送受信ができる。
【0004】
また、2つの周波数帯を送受信できるアンテナとして、導電線からなる2つのM型アンテナを組み合わせた技術が特開2004−359515号公報に示されている。
【特許文献2】特開2004−359515号公報
【0005】
この特許文献2記載のM型アンテナを図12ないし図14を参照して簡単に説明する。図12は、特許文献2記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。図13は、図12の構造のM型アンテナの第1の放射電極部の水平面指向特性図である。図14は、図12の構造のM型アンテナの第2の放射電極部の水平面指向特性図である。図12に示す構造は、接地板10から離してしかも平行に棒状の導電線からなる第1の放射電極部18が配設され、その略中央部に給電ピン14が接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。そして、第1の放射電極部18の両端部を接地板10に電気的に短絡させるように一対の第1のショートピン20、20が設けられる。また、給電ピン14の中間部位置で接地板10と第1の放射電極部18と平行に棒状の導電線からなる第2の放射電極部22が配設され、その略中央部に給電ピン14が電気的接続される。そして、第2の放射電極部22の両端部を接地板10に電気的に短絡させるように一対の第2のショートピン24、24が設けられる。かかる構造のM型アンテナの水平面指向特性は、図13および図14に示すごときものであり、第1と第2の放射電極部18、22ともに、水平面指向性が無指向性とは言い難い。
【0006】
そして、特許出願人は、特許文献1記載のアンテナをより小型化した技術を、特願2006−013684により先に提案した。この先に提案した技術は、図10に示す特許文献1記載のアンテナの放射電極部12に、給電ピン14と一対のショートピン16、16の間に空間部を設けて、給電ピン14から一対のショートピン16、16を経て接地板10に到る経路の長さがより長くなるようにして、放射電極部12の外形寸法を小さくし得るようにしたものである。
【特許文献3】特願2006−013684
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、最近の電子機器は様々なメディアやサービスに対応する機能を有し、そのために複数の周波数帯を送受信できるアンテナを必要とする。そして、一般的にアンテナの取付スペースは限られている。上記特許文献1記載のM型アンテナでは1つの周波数帯でしか送受信できないために、複数の周波数帯を送受信するためには、さらに別のアンテナを追加搭載しなければならない。かかる場合には、追加する別のアンテナは放射電極部12の横または上に設けざるを得ず、その分だけ広い設置のスペースを必要とし、または背が高いものとなる。したがって、特許文献1記載のM型アンテナを用いて、複数の周波数帯を送受信するためのアンテナを構成する場合には、その設置スペースが大きくまたは高いものとなるという不具合がある。
【0008】
また、最近の様々なメディアやサービスに対応する機能を有する電子機器は、移動体に搭載されることが多く、アンテナの水平面指向特性が無指向性であることが望まれる。上記特許文献2記載のM型アンテナにあっては、2つの周波数帯を送受信できるので、複数の周波数帯の送受信のアンテナとして接地スペースが小さくて足りる。しかし、水平面指向特性が無指向性でないという不具合がある。
【0009】
さらに、特許出願人が先に提案した技術にあっては、放射電極部12の形状によっては2つの周波数帯で送受信し得る場合がアンテナ特性の測定等から確認されているが、一方の低い周波数帯を固定した状態で他方の高い周波数帯のみを任意にずらして設定することは困難である。
【0010】
本発明は、上述したごとき従来技術の事情に鑑みてなされたもので、M型アンテナを基本構造として用いて、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに小型化でき、しかも水平面指向性が無指向性であり、さらに動作し得る複数の周波数帯を任意にずらして設定することのできるようにした平面型アンテナを提供することを目的とする。また、第1の放射電極部の空間部に別のアンテナを組み込むことで、設置スペースを大きくすることなしに別のアンテナを配設することのできる平面型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明の平面型アンテナは、接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に導電線で第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成されている。
【0012】
また、接地板から離してしかも平行に平板状の第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記第1の放射電極部に空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に平板状の第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成しても良い。
【0013】
そして、前記第1の放射電極部の平面外形を正方形とし、前記第1の放射電極部に前記正方形の辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の空間部を前記正方形の各辺にそれぞれ形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成することもできる。
【0014】
そしてまた、前記第1の放射電極部の平面外形を円形とし、前記第1の放射電極部に前記円形の辺に円弧を沿わせて頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの空間部を均等分割位置に形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成することもできる。
【0015】
そしてさらに、前記第1の放射電極部の前記空間部に別のアンテナを配設して構成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の平面型アンテナにあっては、少なくとも給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ導電線が設けられることなしに空間部が形成されて導電線で第1の放射電極部が設けられているので、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線的に結ぶ距離よりも長くなり、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。また、導電線が設けられていない空間部に第2の放射電極部を設けているので、外形寸法を変えることなしに、第1と第2の放射電極部でそれぞれに異なる周波数帯を送受信することで、2つの周波数帯を送受できるアンテナを構成できる。もって、2つの周波数帯を送受信できる小型で低背なアンテナとして好適である。
【0017】
また、請求項2記載の平面型アンテナにあっては、第1の放射電極部に、少なくとも給電ピンの配設位置とショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように空間部を形成したので、請求項1と同様に、給電ピンとショートピンの間の電流経路が直線で結ぶ距離よりも長くなり、接地板から第1の放射電極部を離す高さを大きくすることなしに、また第1の放射電極部の平面形状を大きくすることなしに共振周波数を低くすることができる。また、空間部に第2の放射電極部を設けているので、外形寸法を変えることなしに、第1と第2の放射電極部でそれぞれに異なる周波数帯を送受信することで、2つの周波数帯を送受できるアンテナを構成できる。もって、小型で低背なアンテナとして好適である。
【0018】
そして、請求項3および4記載の平面型アンテナのいずれにあっても、第1の放射電極部に設けた空間部が、給電ピンを配設した中央部を中心としてほぼ点対称であり、ほぼ水平面無指向性が得られる。しかも、第1の放射電極部の第1のショートピンが設けらていない辺の空間部に、第2の放射電極部を設けたので、第2の放射電極部が第1の放射電極部に生ずる電流電圧分布に与える影響が少ない。
【0019】
そしてさらに、請求項5記載の平面型アンテナは、第1の放射電極部の空間部に別のアンテナを配設するので、スペースを有効に利用することができ、別のアンテナを組み込んでも設置スペースが大きくなるようなことがなく、また背も高くなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図6を参照して説明する。図1は、本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。図2は、図1の第1実施例のVSWR特性図である。図3は、図1の第1実施例で810MHzの水平指向特性図である。図4は、図1の第1実施例で960MHzの水平指向特性図である。図5は、図1の第1実施例で1920MHzの水平指向特性図である。図6は、図1の第1実施例で2170MHzの水平指向特性図である。図1において、図10および図12と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0021】
図1に示す本発明の平面型アンテナの第1実施例において、接地板10から離してしかも平行な平面内で、導電線により平面外形が正方形の枠部に対向する隅を互いに結んで中央部で交叉する第1の放射電極部30が配設される。そして、給電ピン14が、第1の放射電極部30の正方形の対向する隅を互いに結んで中央部で交叉する点に、接地板10側から立ち上げられて電気的接続される。また、給電ピン14を中心とする対象な位置で、枠部の正方形の対向する2辺の略中央部に、第1の放射電極部30の枠部と接地板10を電気的に短絡させる一対の第1のショ−トピン32、32が配設される。この第1の放射電極部30にあっては、給電ピン14と第1のショートピン32、32の間を直線的に結ぶ導電線が設けられておらず、三角形の空間部30a、30aが形成されている。また、第1のショートピン32、32が設けられていない正方形の枠部の辺と給電ピン14を直線的に結ぶ導電線も設けられておらず、三角形の空間部30b、30bが同様に形成されている。さらに、第1の放射電極部30が配設された同じ平面内で、第1の放射電極部30で第1のショートピン32、32が設けられていない正方形の枠部の辺と給電ピン14を直線的に結ぶ導電線が設けられずに形成された三角形の空間部30b、30bに、導電線により平面形状がコ字状の第2の放射電極部34が配設され、その両端部と接地板10を電気的に短絡させる一対の第2のショートピン36、36が配設される、また、第2の放射電極部34の中央部に給電ピン14が電気的接続される。なお、第2の放射電極部34のコ字状は、一例として第1の放射電極部30の正方形の枠部に平行となるように配設される。また、給電ピン14が、接地板10に電気的接続されていないことは勿論である。
【0022】
この第1の放射電極部30の正方形の一辺の寸法を84mmとし、接地板10から離れた高さを16.5mmとし、第2の放射電極部34のコ字状の長さを適宜に調整設定した本発明の平面型アンテナにあっては、図2に示すごとく、2つの周波数帯で動作し得る。第1の放射電極部30は、第1の周波数帯としての携帯電話用のPDC800に設定されており、第2の放射電極部34は、第2の周波数帯としてのITM−2000の2GHz帯に設定されている。ここで、第2の放射電極部34の長さは、給電ピン14と第2のショートピン36が接続される間の長さと給電ピン14と第2のショートピン36のそれぞれの長さの総和が、第2の周波数帯の中心周波数の1/2波長となるように設定されれば良い。図2に示すVSWR特性において、第1の周波数帯としてのPDC800の810MHzではVSWRが3.75で仰角θ=0°で利得が−2.85dBiであり、960MHzではVSWRが3.16で利得が0.01dBiであり、また第2の周波数帯としてのIMT−2000の1920MHzではVSWRが1.40で利得が0.52dBiであり、2170MHzではVSWRが2.06で利得が−1.96dBiであった。しかも、図3、図4に示すごとく、PDC800で810MHzと960MHzのいずれであっても、ほぼ水平面無指向性が得られている。また、図5、図6に示すごとく、IMT−2000で1920MHzと2170MHzのいずれであっても、ほぼ水平面無指向が得られている。
【0023】
しかも、第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに、第2の放射電極部34を設けているので、この第2の放射電極部34を介して第1の放射電極部30に接続される給電ピン14と第1のショートピン32、32の間に電磁結合または容量結合等を生ずる虞がなく、第2の放射電極部34を設けることで第1の放射電極部30の電流電圧分布に対する影響が少なく、アンテナ特性に大きく影響を及ぼすことがない。
【0024】
次に、本発明の第2実施例を図7を参照して説明する。図7は、本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。図7において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
図7に示す本発明の平面型アンテナの第2実施例において、図1に示す第1実施例と相違するところは、導電線に代えて、平板状の導電板をプレス加工等により、平面形状が第1実施例と略同じとなるように、第1と第2の放射電極部30、34と一対の第1と第2のショ−トピン32、32、36、36および給電ピン14が帯状に形成され、さらに適宜に折り曲げられて構成されている。第1と第2の放射電極部30、34は、接地板10から離して平行に配設されることは第1実施例と同様である。かかる構成の第2の実施例の平面型アンテナにあっても、第1実施例の平面型アンテナと同様のアンテナ特性が得られる。しかも、第1実施例の導電線に比べて、第1と第2の放射電極部30、34の帯状の幅が広いために、送受信帯域が広くなる。
【0026】
なお、第2実施例にあっては、第1と第2の放射電極部30、34等が導電板で形成されているが、第1と第2の放射電極部30、34が設けられる高さに、絶縁樹脂板等を設け、その表面に導電薄膜等で第1と第2の放射電極部30、34を形成し、これらの導電薄膜等からなる第1と第2の放射電極部30、34に第1と第2のショートピン32、32、36、36および給電ピン14を電気的接続するように構成しても良い。
【0027】
さらに、本発明の第3実施例を図8を参照して説明する。図8は、本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。図8において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0028】
図8に示す本発明の平面型アンテナの第3実施例において、図1に示す第1実施例と相違するところは、導電線で形成される第1の放射電極40の平面形状が円形であるとともに、第2の放射電極部44が直線状に形成されていることにある。かかる構成の第3の実施例の平面型アンテナにあっても、第1実施例の平面型アンテナと同様のアンテナ特性が得られる。
【0029】
そしてまた、本発明の第4実施例を図9を参照して説明する。図9は、本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。図9において、図1と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0030】
図9に示す本発明の平面型アンテナの第4実施例にあっては、第2の放射電極部34、34が設けられていない空間部30a、30aに、GPS受信用の別のアンテナ50や衛星デジタルラジオ放送受信用の別のアンテナ52等が配設されている。かかる構成にあっては、スペースを有効に利用でき、別のアンテナ50、52を配設するにも係わらず、接地スペースが大きくなるようなことがない。これらの別のアンテナ50、52としては、ETCを含むDSRCや無線LANおよびBluetooth等のアンテナであっても良いことは、勿論である。
【0031】
なお、第1の放射電極部30、40の平面形状は、上記実施例の形状に限られない。例えば、第1実施例のごとく平面形状を「正方形に対向する4隅を結ぶ十文字」状で、その十文字状の部分を折り曲げてその長さを長くしても良く、また十文字状の部分の一部分を折り曲げてその長さを長くし他の部分は折り曲げることなしに構成しても良く、また十文字状の部分を、4方向に放射状の中央部付近を1本の直線にまとめ、このまとめられた1本の直線の両端部がそれぞれ2つに分岐されて正方形の4隅にそれぞれに連結されたごとき形状に代えて構成しても良く、また十文字状の部分をH字状に代えて構成しても良く、十文字状の部分をミアンダ状に折り曲げてその長さを長くしても良い。また、平面形状を基本的には「正方形に対向する4隅を結ぶ十文字」状であるが、第1のショートピンが配設されていな辺部を省いた構造としても良い。そして、平面形状を「田」の字状とし、中央部に給電ピン14を電気的接続し、「田」の字状の外縁の対向する2隅に一対のショートピン16、16が配設されても良い。さらに、平面形状を基本的には「丸に十の字」状であるが、第1のショートピンが配設されていない円弧状の縁部を省いた構造としても良い。また、平面形状を2つの同形の円をその一部が接するようにまたは重なるように配置して構成し、2つの円が接する部分に給電ピン14を配設し、この給電ピン14の配設位置を通過する直径方向で円の他方の位置に第1のショートピンをそれぞれに配設して構成しても良い。そしてまた、平面形状を「日」の字状に形成し、中央辺の中間位置に給電ピンを配設し、上下辺の中間位置に第1のショートピンをそれぞれに配設して構成しても良い。また、平面形状が菱形の外縁形状と対向する2隅を結ぶ1本の中央辺とで形成され、中央辺の中間位置に給電ピンを配設し、菱形の中央辺が結ばれていない対向する2隅に第1のショートピンが配設されて構成されても良い。
【0032】
さらに、第2の放射電極部34、44は、上記実施例のごとく「コ字状」や「直線状」に限られず、適宜に折り曲げられた平面形状が「く字状」や「円弧状」等であっても良い。また、第2の放射電極部34、44は、上記実施例のごとく第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに設けられたものに限られず、第1のショートピン32、32が設けられている他の空間部30b、30bに配設されても良い。しかし、第2の放射電極部34、44が第1のショートピン32、32が設けられていない空間部30b、30bに設けられたものに比較して、第1のショートピン32、32が設けられている空間部30b、30bに配設されたものは、第1のショートピン32、32と第2のショートピン36、36が近接して配設されるために、電磁結合を生じさせ易く、水平面の指向性がやや悪化する傾向にある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の平面型アンテナの第1実施例の外観斜視図である。
【図2】図1の第1実施例のVSWR特性図である。
【図3】図1の第1実施例で810MHzの水平指向特性図である。
【図4】図1の第1実施例で960MHzの水平指向特性図である。
【図5】図1の第1実施例で1920MHzの水平指向特性図である。
【図6】図1の第1実施例で2170MHzの水平指向特性図である。
【図7】本発明の平面型アンテナの第2実施例の外観斜視図である。
【図8】本発明の平面型アンテナの第3実施例の外観斜視図である。
【図9】本発明の平面型アンテナの第4実施例の外観斜視図である。
【図10】特許文献1記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。
【図11】図10の構造のM型アンテナのVSWR特性図である。
【図12】特許文献2記載のM型アンテナの構造の外観斜視図である。
【図13】図12の構造のM型アンテナの第1の放射電極部の水平面指向特性図である。
【図14】図12の構造のM型アンテナの第2の放射電極部の水平面指向特性図である。
【符号の説明】
【0034】
10 接地板
12 放射電極部
14 給電ピン
16 ショートピン
18、30、40 第1の放射電極部
20、32 第1のショートピン
22、34、44 第2の放射電極部
24、36 第2のショートピン
30a、30b 空間部
50、52 別のアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に導電線で第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項2】
接地板から離してしかも平行に平板状の第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記第1の放射電極部に空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に平板状の第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の平面外形を正方形とし、前記第1の放射電極部に前記正方形の辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の空間部を前記正方形の各辺にそれぞれ形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項4】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の平面外形を円形とし、前記第1の放射電極部に前記円形の辺に円弧を沿わせて頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの空間部を均等分割位置に形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項5】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の前記空間部に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項1】
接地板から離してしかも平行な平面内に導電線で第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を直線的に結ぶ前記導電線を設けることなしに空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に導電線で第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項2】
接地板から離してしかも平行に平板状の第1の放射電極部を設け、前記第1の放射電極部の平面外形の中央部に給電ピンを電気的接続し、前記給電ピンの配設位置を中心として対称の位置で前記第1の放射電極部の平面外形の外縁部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第1のショートピンを設け、少なくとも前記給電ピンの配設位置と前記第1のショートピンの配設位置の間を結ぶ直線を遮るように前記第1の放射電極部に空間部を形成し、前記第1の放射電極部と略同じ平面内に平板状の第2の放射電極部を設け、前記第2の放射電極部の中央部に前記給電ピンを電気的接続し、前記第2の放射電極部の両端部を前記接地板に電気的に短絡するように一対の第2のショートピンを設けて構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の平面外形を正方形とし、前記第1の放射電極部に前記正方形の辺に下辺を平行として頂点を前記平面形状の中央部に向けた三角形の空間部を前記正方形の各辺にそれぞれ形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項4】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の平面外形を円形とし、前記第1の放射電極部に前記円形の辺に円弧を沿わせて頂点を前記平面形状の中央部に向けた扇形の4つの空間部を均等分割位置に形成し、前記第1のショートピンが設けられていない辺の前記空間部に前記第2の放射電極部を配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【請求項5】
請求項1または2記載の平面型アンテナにおいて、前記第1の放射電極部の前記空間部に別のアンテナを配設して構成したことを特徴とする平面型アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−336296(P2007−336296A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166423(P2006−166423)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
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