説明

平面導波路型レーザ装置

【課題】平面導波路の内部を周回する寄生発振光やASEの発生を抑制することができるようにする。
【解決手段】励起光2によって励起されるコア層11と、コア層11の上面に接合された第一クラッド層12と、コア層11の下面及び第一クラッド層12の上面に接合された第二クラッド層13と、第二クラッド層13の外側に形成された吸収層14と、励起光2が入射される平面導波路3の側面3aと異なる側面に形成された全反射膜15とを備え、コア層11で増幅されるレーザ光4が全反射膜15に反射されながら伝播される一方、平面導波路3の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光やASE5が吸収層14によって吸収されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固体を励起媒質とする固体レーザ装置に関し、特に導波路内部で発生する寄生発振光とASE(Amplified Spontaneous Emission)を抑制して、レーザ光を発振又は増幅する平面導波路型レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屈折率がnの媒質Aと、屈折率がnの媒質Bとが接合されている固体媒質において(n>n)、屈折率が大きい媒質Aから屈折率が小さい媒質Bに光が進行するとき、θ>sin−1(n/n)を満たす入射角では、図15に示すように、媒質Aと媒質Bの界面で全反射が起きる性質がある。
平面導波路型レーザ装置は、この性質を用いて、励起光とレーザ光を特定の空間に閉じ込めるようにしている。
【0003】
図16は一般的な平面導波路型レーザ装置における励起光とレーザ光の閉じ込めを説明する説明図である。
図16の平面導波路型レーザ装置は、レーザ光を閉じ込めるコア層101と、コア層101の上部に接合される第一クラッド層102と、コア層101の下部及び第一クラッド層102の上部に接合される第二クラッド層103とから構成されている。
このとき、コア層101の屈折率がn、第一クラッド層102の屈折率がn、第二クラッド層103の屈折率がnであるとする。
【0004】
この場合、コア層101内を進行するレーザ光104が、第一クラッド層102又は第二クラッド層103に入射する角度をθとするとき、下記の式(1)(2)を満たす入射角θのレーザ光104は、第一クラッド層102又は第二クラッド層103との界面で全反射するため、コア層101内に閉じ込められる。
θ>sin−1(n/n) (1)
θ>sin−1(n/n) (2)
【0005】
また、コア層101及び第一クラッド層102内を進行する励起光105が、第二クラッド層103に入射する角度をθ2とするとき、下記の式(3)(4)を満たす入射角θの励起光105は、第二クラッド層103との界面で全反射するため、コア層101及び第一クラッド層102内に閉じ込められる(例えば、特許文献1を参照)。
θ>sin−1(n/n) (3)
θ>sin−1(n/n) (4)
【0006】
ここで、図17に示すように、平面導波路の外部の屈折率をnとする。
第二クラッド層103内を進行する光が、下記の式(5)を満たす入射角αで平面導波路の外部との界面(上面又は下面)に入射すると、その平面導波路の外部との界面(上面又は下面)で全反射する。
α>sin−1(n/n) (5)
また、コア層101内を進行する光が、下記の式(6)を満たす入射角αで平面導波路の外部との界面(側面)に入射すると、その平面導波路の外部との界面(側面)で全反射する。
α>sin−1(n/n) (6)
また、第一クラッド層102内を進行する光が、下記の式(7)を満たす入射角αで平面導波路の外部との界面(側面)に入射すると、その平面導波路の外部との界面(側面)で全反射する。
α>sin−1(n/n) (7)
【0007】
このように、平面導波路の上面、下面及び側面で全反射する光は、平面導波路の内部を周回する周回モードとなって寄生発振光106あるいはASE106となる。
このような寄生発振光やASE106が発生することで、レーザ光104の増幅に使われるべき反転分布が寄生発振光やASE106の増幅で消費される。
その結果、レーザ光104の発振出力や増幅出力が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−110039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の平面導波路型レーザ装置は以上のように構成されているので、平面導波路の内部を周回する寄生発振光やASE106が発生する。この寄生発振光やASE106が発生することで、レーザ光104の増幅に使われるべき反転分布が寄生発振光やASE106の増幅で消費されるため、レーザ光104の発振出力や増幅出力が低下してしまうなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、平面導波路の内部を周回する寄生発振光やASEの発生を抑制することができる平面導波路型レーザ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る平面導波路型レーザ装置は、励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、無添加母材及び下部クラッドの外側に形成された吸収層と、励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜とを備え、レーザ媒質によって増幅されるレーザ光が反射膜に反射されながら伝播される一方、平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEが吸収層によって吸収されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、無添加母材及び下部クラッドの外側に形成された吸収層と、励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜とを備え、レーザ媒質によって増幅されるレーザ光が反射膜に反射されながら伝播される一方、平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEが吸収層によって吸収されるように構成したので、平面導波路の内部を周回する寄生発振光及びASEの発生を抑制することができるようになり、その結果、レーザ光の発振効率や増幅効率を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置を示す側面図であり、(b)はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態2による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態3による平面導波路型レーザ装置を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態4による平面導波路型レーザ装置を示す平面図である。
【図6】この発明の実施の形態5による平面導波路型レーザ装置を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態6による平面導波路型レーザ装置を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態7による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図9】この発明の実施の形態8による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図10】この発明の実施の形態9による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図11】この発明の実施の形態10による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図12】この発明の実施の形態11による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図13】この発明の実施の形態12による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図14】この発明の実施の形態13による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
【図15】屈折率の異なる媒質での全反射を説明する説明図である。
【図16】一般的な平面導波路型レーザ装置における励起光とレーザ光の閉じ込めを説明する説明図である。
【図17】寄生発振光とASEの発生を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置を示す構成図であり、特に(a)は平面導波路型レーザ装置の側面図、(b)は平面導波路型レーザ装置の平面図である。
また、図2はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図である。
図1及び図2において、励起用半導体レーザ1は励起光2を発振し、その励起光2を平面導波路3内に入射する励起光源である。
【0015】
平面導波路3のコア層11は平面状のレーザ媒質であり、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2が平面導波路3の側面3aより入射されると、その励起光2によって励起される。
コア層11の材質は固体であり、一般的なレーザ媒質(レーザ遷移媒質が添加されて、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2を吸収する材質)を使用することができる。
コア層11の媒質としては、例えば、Nd:YAG、Yb:YAG、Er:YAG、Tm:YAG、Ho:YAG、Nd:YLF、Yb:YLF、Er:YLF、Tm:YLF、Ho:YLF、Nd:Glass、Cr:LiSAF、Ti:Sapphireなどが用いられる。
【0016】
平面導波路3の第一クラッド層12はコア層11の上面(一方の平面)に接合されている無添加母材であり、レーザ光4をコア層11内に閉じ込めるために、クラッド材としてコア層11の屈折率nよりも低い屈折率n(n>n)の媒質で構成されている。
第一クラッド層12の媒質としては、例えば、無添加YAG、無添加YLF、無添加Glass、無添加LiSAF、無添加Sapphireなどが用いられる。
【0017】
第二クラッド層13はコア層11の下面(他方の平面)及び第一クラッド層12の上面に接合されており、励起光2をコア層11及び第一クラッド層12内に閉じ込めるために、クラッド材としてコア層11及び第一クラッド層12の屈折率n,nよりも低い屈折率n(n>n>n)の媒質で構成されている。
第二クラッド層13の媒質としては、例えば、SiO、Al、MgFなどを用いることができる。
なお、コア層11の下面に接合されている第二クラッド層13は下部クラッドを構成している。
【0018】
吸収層14は寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する媒質であり、第二クラッド層13の外側に形成されている。
吸収層14の媒質としては、例えば、CrやTiなどを用いることができる。
なお、吸収層14は第二クラッド層13への成膜や拡散接合、プラズマ接合などの接合で形成することができる。
【0019】
全反射膜15はレーザ光4を反射する媒質であり、励起光2が入射される平面導波路3の側面3aと異なる平面導波路3の平面に垂直な側面(対向している2つの側面)に形成されている。
反射防止膜16はレーザ光4を透過する媒質であり、全反射膜15が形成されている側面の一部に施されている。
【0020】
次に動作について説明する。
図1の平面導波路型レーザ装置は、レーザ増幅器やレーザ発振器として動作するものである。
まず、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2は、平面導波路3の側面3aより入射される。
即ち、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2は、コア層11及び第一クラッド層12の側面より入射される。
【0021】
平面導波路3内に入射された励起光2は、コア層11の下面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
また、平面導波路3内に入射された励起光2は、第一クラッド層12の上面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
これにより、平面導波路3内に入射された励起光2は、コア層11と第一クラッド層12の内部に閉じ込められて導波される。
【0022】
レーザ光4は、コア層11の下面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
また、レーザ光4は、コア層11の上面である第一クラッド層12との界面で全反射される。
これにより、レーザ光4は、コア層11の内部に閉じ込められて導波される。
【0023】
ただし、レーザ光4は、導波方向と垂直な方向では、平面導波路3の側面に形成されている全反射膜15の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し(図1(b)を参照)、励起用半導体レーザ1によって平面導波路3内に誘起されるレーザ利得により増幅される。
このとき、全反射膜15が施されている平面導波路3の対向の側面が平行でないため、レーザ光4は、全反射膜15の各面での反射毎に反射角を狭めながら反射を繰り返すようになる。
その後、レーザ光4は、全反射膜15に対して垂直に入射すると、反転して元のパスを反対に進行し、反射防止膜16を透過して、平面導波路3の外に出射される。
【0024】
コア層11と第一クラッド層12の内部に閉じ込められて導波する励起光2は、コア層11で吸収されて、レーザ利得を発生させる。
励起光2によってコア層11内に発生したレーザ利得によって、コア層11内を導波するレーザ光4が増幅される。
なお、コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0025】
この実施の形態1では、平面導波路3の上面及び下面に、寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する吸収層14を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第二クラッド層13の外側に吸収層14が形成されている場合、寄生発振光やASE5が吸収層14に吸収されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、吸収層14による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0026】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、励起光2を平面導波路3内に入射する励起用半導体レーザ1と、励起用半導体レーザ1により平面導波路3内に入射された励起光2によって励起されるコア層11と、コア層11の上面に接合された第一クラッド層12と、コア層11の下面及び第一クラッド層12の上面に接合された第二クラッド層13と、第二クラッド層13の外側に形成された吸収層14と、励起光2が入射される平面導波路3の側面3aと異なる側面に形成された全反射膜15とを備え、コア層11で増幅されるレーザ光4が全反射膜15に反射されながら伝播される一方、平面導波路3の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光やASE5が吸収層14によって吸収されるように構成したので、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制することができるようになり、その結果、レーザ光4の発振効率や増幅効率を高めることができる効果を奏する。
【0027】
また、レーザ光4、励起光2及び寄生発振光やASE5を分離し、それぞれの光に対して最適な導波路条件の設計が可能になる。
また、寄生発振光やASE5の発生を抑制して、レーザ光4への光−光変換効率を高めることにより、同じレーザ出力を得る場合でも、必要な励起光2の出力を少なくすることができるので、システムの電力効率を高めることができる。
また、光−光変換効率を高めることにより、レーザ光4に変換されずに、コア層11から排熱される余分な熱が少なくなり、コア層11の冷却能力を低く抑えることができる効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、第二クラッド層13の外側に吸収層14を形成することで、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制するものを示したが、第二クラッド層13の外側に散乱層を形成するようにしても、上記実施の形態1と同様に、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0029】
図3はこの発明の実施の形態2による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
散乱層17は寄生発振光やASE5を散乱する部材であり、第二クラッド層13の外側に形成されている。
散乱層17は第二クラッド層13の外側の表面精度を低くする(例えば、サンドブラストなどで表面を荒らす)ことで形成することができる。
【0030】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0031】
この実施の形態2では、平面導波路3の上面及び下面に、寄生発振光やASE5を散乱する散乱層17を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第二クラッド層13の外側に散乱層17が形成されている場合、寄生発振光やASE5の一部が散乱層17で散乱されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、散乱層17による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0032】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による平面導波路型レーザ装置を示す平面図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
二色性膜21は励起用半導体レーザ1から出射された励起光2が入射される平面導波路3の側面に形成される膜であり、二色性膜21は励起光2を透過する一方、レーザ光4を反射する。
吸収層22は寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する媒質であり、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に形成されている。
吸収層22の媒質としては、例えば、CrやTiなどを用いることができる。
なお、吸収層22は平面導波路3の側面への成膜や拡散接合、プラズマ接合などの接合で形成することができる。
【0033】
この実施の形態3では、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に吸収層22が形成されているため、上記実施の形態1のように、第二クラッド層13の外側に吸収層14が形成されている必要はないが、第二クラッド層13の外側に吸収層14が形成されていても構わない。
【0034】
次に動作について説明する。
まず、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2は、平面導波路3の側面に形成されている二色性膜21を透過して、平面導波路3の内部に入射される。
平面導波路3内に入射された励起光2は、上記実施の形態1と同様に、コア層11の下面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
また、平面導波路3内に入射された励起光2は、第一クラッド層12の上面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
これにより、平面導波路3内に入射された励起光2は、コア層11と第一クラッド層12の内部に閉じ込められて導波される。
【0035】
レーザ光4についても、上記実施の形態1と同様に、コア層11の下面である第二クラッド層13との界面で全反射される。
また、レーザ光4は、コア層11の上面である第一クラッド層12との界面で全反射される。
これにより、レーザ光4は、コア層11の内部に閉じ込められて導波される。
【0036】
ただし、レーザ光4は、導波方向と垂直な方向では、平面導波路3の側面に形成されている二色性膜21の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、励起用半導体レーザ1によって平面導波路3内に誘起されるレーザ利得により増幅される。
このとき、二色性膜21が形成されている平面導波路3の対向の側面が平行でないため、レーザ光4は、二色性膜21の各面での反射毎に反射角を狭めながら反射を繰り返すようになる。
その後、レーザ光4は、二色性膜21に対して垂直に入射すると、反転して元のパスを反対に進行し、反射防止膜16を透過して、平面導波路3の外に出射される。
【0037】
コア層11と第一クラッド層12の内部に閉じ込められて導波する励起光2は、コア層11で吸収されて、レーザ利得を発生させる。
励起光2によってコア層11内に発生したレーザ利得によって、コア層11内を導波するレーザ光4が増幅される。
なお、コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜21)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0038】
この実施の形態3では、平面導波路3の側面に、寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する吸収層22を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、平面導波路3の側面に吸収層22が形成されている場合、寄生発振光やASE5が吸収層22に吸収されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、吸収層22による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0039】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、平面導波路3の側面に吸収層22を形成することで、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制するものを示したが、平面導波路3の側面に散乱層を形成するようにしても、上記実施の形態3と同様に、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0040】
図5はこの発明の実施の形態4による平面導波路型レーザ装置を示す平面図であり、図において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
散乱層23は寄生発振光やASE5を散乱する部材であり、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に形成されている。
散乱層23は平面導波路3の側面の表面精度を低くする(例えば、サンドブラストなどで表面を荒らし面とする)ことで形成することができる。
【0041】
この実施の形態4では、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に散乱層23が形成されているため、上記実施の形態2のように、第二クラッド層13の外側に散乱層17が形成されている必要はないが、第二クラッド層13の外側に散乱層17が形成されていても構わない。
【0042】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜21)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0043】
この実施の形態4では、平面導波路3の側面に、寄生発振光やASE5を散乱する散乱層23を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、平面導波路3の側面に散乱層23が形成されている場合、寄生発振光やASE5の一部が散乱層23で散乱されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、散乱層23による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0044】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5による平面導波路型レーザ装置を示す平面図であり、図において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
二色性膜24は励起用半導体レーザ1から出射された励起光2が入射される平面導波路3の側面に形成される膜であり、二色性膜21は励起光2を透過する一方、レーザ光4を反射する。
全反射膜25はレーザ光4を反射する媒質であり、二色性膜24が形成されている側面と対向する側面に形成されている。
【0045】
この実施の形態5では、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に吸収層22が形成されているため、上記実施の形態1のように、第二クラッド層13の外側に吸収層14が形成されている必要はないが、第二クラッド層13の外側に吸収層14が形成されていても構わない。
【0046】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜24、全反射膜25)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0047】
この実施の形態5では、平面導波路3の側面に、寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する吸収層22を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、平面導波路3の側面に吸収層22が形成されている場合、寄生発振光やASE5が吸収層22に吸収されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、吸収層22による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0048】
実施の形態6.
上記実施の形態5では、平面導波路3の側面に吸収層22を形成することで、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制するものを示したが、図7に示すように、平面導波路3の側面に散乱層23を形成するようにしても、上記実施の形態5と同様に、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0049】
この実施の形態6では、二色性膜21が形成されている側面と異なる平面導波路3の側面に散乱層23が形成されているため、上記実施の形態2のように、第二クラッド層13の外側に散乱層17が形成されている必要はないが、第二クラッド層13の外側に散乱層17が形成されていても構わない。
【0050】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜24、全反射膜25)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0051】
この実施の形態6では、平面導波路3の側面に、寄生発振光やASE5を散乱する散乱層23を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、平面導波路3の側面に散乱層23が形成されている場合、寄生発振光やASE5の一部が散乱層23で散乱されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、散乱層23による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0052】
実施の形態7.
図8はこの発明の実施の形態7による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図8の平面導波路では、第二クラッド層13の外側に吸収層14や散乱層17が形成されていないが、第二クラッド層13の外側に吸収層14や散乱層17が形成されていてもよい。
この実施の形態7は、上記実施の形態3〜6の平面導波路型レーザ装置に適用するものである。
【0053】
この実施の形態7は、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2が、二色性膜21(または、24)が形成されている平面導波路3の側面のうち、第一クラッド層12が設けられている部分から入射されるように調整されている点に特徴がある。
このように、コア層11を避けて、第一クラッド層12が設けられている部分から励起光2が入射されるように調整することで、コア層11の励起光2を多重反射する面付近の励起光吸収を避けることができる。
これにより、高い励起光パワー密度においても、コア層11におけるレーザ光4の反射面の内部熱応力による歪みを抑制し、安定なレーザ光4の光路を得ることができる。
【0054】
実施の形態8.
図9はこの発明の実施の形態8による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
励起光全反射膜26は励起光2を遮蔽する部材であり、二色性膜21(または、24)が形成されている平面導波路3の側面のうち、コア層11が設けられている部分に形成されている。
【0055】
上記実施の形態7では、励起用半導体レーザ1から出射された励起光2が、二色性膜21(または、24)が形成されている平面導波路3の側面のうち、第一クラッド層12が設けられている部分から入射されるように調整されているものを示したが、さらに、励起光2を遮蔽する励起光全反射膜26をコア層11が設けられている部分に形成することで、コア層11が設けられている部分から励起光2が入射されることを確実に避けるようにしてもよい。
【0056】
実施の形態9.
上記実施の形態1では、第二クラッド層13の外側に吸収層14を形成することで、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制するものを示したが、反射膜15が形成されている平面導波路3の側面に垂直な面が、上記平面導波路3の平面に対して、所定のテーパ角βをもって形成することでも、上記実施の形態1と同様に、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0057】
図10はこの発明の実施の形態9による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図10の平面導波路では、反射膜15が形成されている平面導波路3の側面(例えば、図1(a)を参照)に垂直な面3bが、平面導波路3の平面に対して、sin−1(n/n)−sin−1(n/n)以下の角度で形成されている。
ただし、nは平面導波路3の外部の屈折率、nはコア層11の屈折率、nは第二クラッド層13の屈折率である。
【0058】
この場合、第二クラッド層13の下面又は上面に入射角αで全反射され、かつ、平面導波路3の側面に全反射された光は、対向する第二クラッド層13の上面あるいは下面に入射角α−βで入射される。
コア層11、第一クラッド層12及び第二クラッド層13の中で、平面導波路3の側面における全反射臨界角が最も小さいのは、屈折率が大きいコア層11である。
したがって、再び、第二クラッド層13で全反射する角度αに対して、テーパ角βが、下記の式(8)を満たすように形成されていれば、第二クラッド層13の上下面及び側面で全反射した光は、対向する第二クラッド層13の下面あるいは上面で全反射されず、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
β>sin−1(n/n)−sin−1(n/n) (8)
【0059】
実施の形態10.
図11はこの発明の実施の形態10による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
吸収層14は寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する媒質であり、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に形成されている。
【0060】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜24、全反射膜25)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0061】
この実施の形態10では、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に、寄生発振光やASE5の波長帯を吸収する吸収層14を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に吸収層14が形成されている場合、寄生発振光やASE5が吸収層14に吸収されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、吸収層14による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0062】
図1のような方向から励起光2で励起し、吸収層14を励起光2が入力される面と異なる側面に形成することにより、励起光2の平面導波路3への入力に対する影響を少なくすることができる。
【0063】
実施の形態11.
上記実施の形態10では、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に吸収層14を形成することで、平面導波路3の内部を周回する寄生発振光やASE5の発生を抑制するものを示したが、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に散乱層を形成するようにしても、上記実施の形態10と同様に、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0064】
図12はこの発明の実施の形態11による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図11と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
散乱層17は寄生発振光やASE5を散乱する部材であり、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に形成されている。
散乱層17は第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の表面精度を低くする(例えば、サンドブラストなどで表面を荒らす)ことで形成することができる。
【0065】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0066】
この実施の形態11では、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に、寄生発振光やASE5を散乱する散乱層17を形成することで、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面に散乱層17が形成されている場合、寄生発振光やASE5の一部が散乱層17で散乱されて、寄生発振光やASE5の損失となる。
このため、散乱層17による寄生発振光やASE5の損失が、レーザ利得よりも高ければ、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0067】
図1のような方向から励起光2で励起し、散乱層17を励起光2が入力される面と異なる側面に形成することにより、励起光2の平面導波路3への入力に対する影響を少なくすることができる。
【0068】
実施の形態12.
図13はこの発明の実施の形態12による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の一部はコア層11の側面に対して角度γをもって形成された傾斜面27となっている。
【0069】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜24、全反射膜25)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0070】
この実施の形態12では、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面をコア層11の側面に対して角度γをもって形成された傾斜面27とすることによって、コア層11に閉じ込められず、第一クラッド層12に透過してきた寄生発振光やASE5の傾斜面27に対する入射角を全反射角よりも小さくし、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の一部がコア層11の側面に対して角度γをもって形成された傾斜面27となっている場合、寄生発振光やASE5が第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面より外部へ出射されるため、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0071】
実施の形態10と実施の形態11では、隣接するコア層11と第一クラッド層12、第二クラッド層13を異なる仕様で加工するため、加工が困難であるが、実施の形態12では、コア層11と距離が離れた部分を加工できるため、加工が容易になる。
【0072】
図1のような方向から励起光2で励起し、傾斜面27を励起光2が入力される面と異なる側面に形成することにより、励起光2の平面導波路3への入力に対する影響を少なくすることができる。
【0073】
実施の形態13.
図14はこの発明の実施の形態13による平面導波路型レーザ装置の平面導波路を示す側面図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の一部はコア層11の側面に対して角度γをもって形成され、表面は散乱層となっている散乱面28が形成されている。
【0074】
次に動作について説明する。
コア層11内を導波されない光の中で、上記の式(5)〜(7)を同時に満たす入射角の光は、平面導波路3の上下面及び側面(二色性膜24、全反射膜25)で全反射し、平面導波路3の内部を周回する周回モードとなる。
この周回モードの光は、励起用半導体レーザ1によってコア層11内に誘起されるレーザ利得により増幅されて寄生発振光やASE5になる。
【0075】
この実施の形態13では、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の一部をコア層11の側面に対して角度γをもって形成し、表面を散乱層にした散乱面28とすることによって、コア層11に閉じ込められず、第一クラッド層12に透過してきた寄生発振光やASE5が散乱面28で散乱されることによって、寄生発振光やASE5の発生を抑制している。
即ち、第一クラッド層12と第二クラッド層13の側面の一部がコア層11の側面に対して角度γをもって形成され、表面が散乱層となった散乱面28になっている場合、寄生発振光やASE5が散乱面28により散乱されるため、寄生発振光やASE5の発生を抑制することができる。
【0076】
実施の形態10と実施の形態11では、隣接するコア層11と第一クラッド層12、第二クラッド層13を異なる仕様で加工するため、加工が困難であるが、実施の形態13では、コア層11と距離が離れた部分を加工できるため、加工が容易になる。
【0077】
図1のような方向から励起光2で励起し、散乱面28を励起光2が入力される面と異なる側面に形成することにより、励起光2の平面導波路3への入力に対する影響を少なくすることができる。
【0078】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 励起用半導体レーザ(励起光源)、2 励起光、3 平面導波路、3a 側面、3b 側面、4 レーザ光、5 寄生発振光・ASE、11 コア層(レーザ媒質)、12 第一クラッド層(無添加母材)、13 第二クラッド層(下部クラッド)、14 吸収層、15 全反射膜、16 反射防止膜、17 散乱層、21 二色性膜、22 吸収層、23 散乱層、24 二色性膜、25 全反射膜、26 励起光全反射膜、27 傾斜面、28 散乱面、101 コア層、102 第一クラッド層、103 第二クラッド層、104 レーザ光、105 励起光、106 寄生発振光・ASE。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記無添加母材及び上記下部クラッドの外側に形成された吸収層と、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記吸収層によって吸収されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項2】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記無添加母材及び上記下部クラッドの外側に形成された散乱層と、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記散乱層によって散乱されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項3】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面に形成され、上記励起光を透過する一方、レーザ光を反射する二色性膜と、上記二色性膜が形成されている平面導波路の側面と異なる側面に形成された吸収層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記二色性膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記吸収層によって吸収されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項4】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面に形成され、上記励起光を透過する一方、レーザ光を反射する二色性膜と、上記二色性膜が形成されている平面導波路の側面と異なる側面に形成された散乱層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記二色性膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記散乱層によって散乱されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項5】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面に形成され、上記励起光を透過する一方、レーザ光を反射する二色性膜と、上記二色性膜が形成されている平面導波路の側面に対向する側面に形成された反射膜と、上記二色性膜及び上記反射膜が形成されている平面導波路の側面と異なる側面に形成された吸収層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記二色性膜及び上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記吸収層によって吸収されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項6】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面に形成され、上記励起光を透過する一方、レーザ光を反射する二色性膜と、上記二色性膜が形成されている平面導波路の側面に対向する側面に形成された反射膜と、上記二色性膜及び上記反射膜が形成されている側面と異なる側面に形成された散乱層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記二色性膜及び上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記散乱層によって散乱されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項7】
励起光源は、二色性膜が形成されている平面導波路の側面のうち、無添加母材が設けられている部分から励起光を入射することを特徴とする請求項3から請求項6のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
【請求項8】
二色性膜が形成されている平面導波路の側面のうち、レーザ媒質が設けられている部分に励起光を遮蔽する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項7記載の平面導波路型レーザ装置。
【請求項9】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記平面導波路の側面に形成された反射膜とを備え、
上記平面導波路の外部の屈折率がn、上記レーザ媒質の屈折率がn、上記下部クラッドの屈折率がnであるとき、上記反射膜が形成されている平面導波路の側面に垂直な面は、上記平面導波路の平面に対して、sin−1(n/n)−sin−1(n/n)以下の角度で形成されていることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項10】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜と、上記無添加母材の励起光が入射される側面と異なる側面に形成された吸収層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記吸収層によって吸収されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項11】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜と、上記無添加母材の励起光が入射される側面と異なる側面に形成された散乱層とを備え、
上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記散乱層によって散乱されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項12】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜を備え、上記無添加母材の側面の一部は上記レーザ媒質の側面に対して角度をもって形成され、上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記無添加母材の側面の一部によって外部へ出力されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。
【請求項13】
励起光を平面導波路内に入射する励起光源と、上記励起光源により平面導波路内に入射された励起光によって励起される平面状のレーザ媒質と、上記レーザ媒質における一方の平面に接合された無添加母材と、上記レーザ媒質における他方の平面に接合された下部クラッドと、上記励起光が入射される平面導波路の側面と異なる側面に形成された反射膜を備え、上記無添加母材の側面の一部は上記レーザ媒質の側面に対して角度をもち、その表面は散乱層が形成され、上記レーザ媒質によって増幅されるレーザ光は上記反射膜に反射されながら伝播される一方、上記平面導波路の内部に閉じ込められて周回する寄生発振光及びASEは上記無添加母材の側面の一部によって散乱されることを特徴とする平面導波路型レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−38096(P2013−38096A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170250(P2011−170250)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】