広口チューブ体容器と凹凸壁部成形方法
【課題】 本発明は、容器の主体部分である胴部に所望するバリヤー性を容易に付与することを簡単にえるようにすること、また形状保持力高めることにより、必要とするバリヤー性を有する、また外観形状の安定した広口チューブ体容器を簡単に得ることを目的とする。
【解決手段】 合成樹脂チューブ体である胴部2に口筒部3と底部8をインサート成形により設け、口筒部3に着脱する蓋体13で開閉し、口筒部3および底部8を変形し難いものとすると共に、胴部2よりも大きい外径とすることにより、胴部2に所望の物性を付与し易くし、また胴部2の形状安定化を高め、さらに効率のよい廃棄処理を得る。
【解決手段】 合成樹脂チューブ体である胴部2に口筒部3と底部8をインサート成形により設け、口筒部3に着脱する蓋体13で開閉し、口筒部3および底部8を変形し難いものとすると共に、胴部2よりも大きい外径とすることにより、胴部2に所望の物性を付与し易くし、また胴部2の形状安定化を高め、さらに効率のよい廃棄処理を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の主体部分である胴部を、径の大きいチューブ体で構成した広口チューブ体容器と、この広口チューブ体容器の胴部に凹凸壁部を成形する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の主体部分である胴部をチューブ体で構成した容器としては、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1に示されたチューブ体容器は、柔軟性を有する薄肉な可撓性の合成樹脂製のスリーブであるチューブ体を押し出し成形によりシームレスに形成し、チューブ体の下端に、インサート成形によって当該チューブ体の外径寸法に納まる寸法で剛性を有する合成樹脂製の底部品を一体成形し、チューブ体の上端に、チューブ体内に嵌装される嵌装部とチューブ体の上端から外方へ張り出される鍔部とを備え、剛性を有する首部品を装着するとともに、チューブ体に、その下端から上端に向かってスライド自在に挿入されて嵌装部との間でチューブ体を挟み込みかつ鍔部と接合される剛性を有する押さえリングを装着する、構成となっている。
【0003】
この特許文献1に示された従来技術は、柔軟性を有するチューブ体の上端および下端に、剛性を有する嵌装部と押さえリングとの組合せ物および底部品を装着したので、容器の主体部分である胴部を柔軟なチューブ体としていても、形態が安定的で通常の容器として取扱うことができ、またチューブ体に対して底部品はインサート成形により、嵌装部と押さえリングとの組合せ物は挿入挟持によりそれぞれ装着するので、組立てが簡単である、と云う利点を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−008170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、底部品をチューブ体の下端内に位置させているので、インサート材としてのチューブ体と、このチューブ体内に挿入されるコア金型との間に底部品成形のためのキャビティの一部を形成しなければならず、その分、底部品をインサート成形する金型の構造が複雑となり、またチューブ体に対する嵌装部と押さえリングの組合せ物の挿入組付け作業は、チューブ体に対する底部品のインサート成形による組付けを行なった後、チューブ体に対して嵌装部と押さえリングを別々に挿入組付けし、かつチューブ体と嵌装部と押さえリングの三者を接合するものとなるので、成形組立作業が煩雑であり、さらにチューブ体が押し出し成形品であるので、所望するバリヤー性を簡単に付与することの難しい場合がある、と云う問題点があった。
【0006】
また、インサート材としてのチューブ体は、ある程度の柔軟性を有しているので、その上下両端が口筒部および底部で変形不能に保持されているとは云え、場合によっては保形性が十分でなく、形状保持に不安が残ることがあり、かつ容器の廃棄時にはこのチューブ体を押し潰して減容化することができるのであるが、減容化形態が一定しないので必ずしも好ましい廃棄処理を得ることができず、さらにチューブ体の表面は単純な平滑面であるので、外観体裁に好ましい変化を与えることができず、面白味の少ないものである、と云う問題があった。
【0007】
さらに、容器内に発生した減圧により、柔軟性を有するチューブ体製の胴部に不良変形を発生し易く、この胴部の不良変形により商品としての容器の外観体裁が低下する場合がある、と云う問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、容器の主体部分である胴部に所望するバリヤー性を容易に付与すること、また形状保持力高めることができるようにすることを技術的課題とし、必要とするバリヤー性を有する、また外観形状の安定した広口チューブ体容器を簡単に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
合成樹脂チューブ体製胴部の上端に口筒部を、また胴部の下端に閉塞して脚部を形成する底部を、それぞれインサート成形により設け、口筒部に着脱する蓋体で開閉される広口チューブ体容器であること、
胴部は、合成樹脂チューブ体製であること、
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒を有すること、
底部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部を有すること、
にある。
なお、広口チューブ容器における「広口」とは、インサート成形される口筒部が、チューブ製胴部を支持する金型部分から型抜きの可能な口径寸法を意味する。
【0010】
容器の主体部分である胴部を、合成樹脂チューブ体製としたので、十分に薄肉とすることができる。
【0011】
また、胴部を形成するチューブ体は、当然ながら柔軟性を有するものであるので、容器の廃棄時にはこの胴部を強引に潰し変形して減容化させることが容易である。
【0012】
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ本体筒を有し、同様に底部は変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片部を有しているので、胴部を構成するチューブ体の上下の開放部は、口筒部および底部により形状を安定して保持されることになり、これにより容器の主体部分である胴部が柔軟性を有するチューブ体で構成されたにもかかわらず、安定的に形状を維持できる。かつ口筒部および底部の外周面は、共に胴部の外表面よりも外側に位置するので、容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止される。
【0013】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂チューブ体が、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0014】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、アルミ箔が発揮する種々の優れたバリヤー機能を発揮させることができるので、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0015】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂チューブ体が、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0016】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器が密封された状態であっても、外部から収納した内容物を見えるようにすることができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形した、ことを加えたものである。
【0018】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート材である胴部を構成するチューブ体全体を、金型装置のコア金型に、単純に外装組付けした状態でインサート成形を実施することができるので、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易である。
【0019】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部の本体筒を、外周面に蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成した、ことを加えたものである。
【0020】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、膨出下部が、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができる。
【0021】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部と平板状の底板部とからなる有底短筒片状に構成し、底板部に開放部を設け、底板部の上面を覆ってインモールド材である底フィルムを位置させ、この底フィルムを底板部に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在とした、ことを加えたものである。
【0022】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に底フィルムを組付けたものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態では、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、底板部上面から浮き上がり状に変位し、これにより容器内に発生した減圧を消滅させる。
【0023】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、この底フィルムで底板部の開放部を閉塞した、ことを加えたものである。
【0024】
底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態で、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、容器内部に膨出状変形し、容器内の減圧を消滅させる。
【0025】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部に屈曲構造の凹凸壁部を設け、この凹凸壁部は、胴部に成形されるチューブ体の筒壁の一部を、容器本体の成形時に曲げて形成されるものとした、ことを加えたものである。
【0026】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、この凹凸壁部が屈曲構造であることから、その形状により胴部に対して機械的な補強作用を発揮し、また凹凸による立体感と陰影により、胴部の外観体裁に深みのある変化を与えることになる。また、上記したように凹凸壁部は胴部を補強するので、底部に底フィルムを組付けた構造と組合せた場合、胴部の減圧による不正変形の発生は、略完全に防止されることになる。
【0027】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、螺旋条状に形成した、ことを加えたものである。
【0028】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、容器の廃棄時に、凹凸壁部の螺旋に従った方向に回動させながら胴部に押下げ力を作用させることにより、胴部を一定形態に押し潰すことができ、これにより十分な減容化を安定的に得ることができ、また螺旋条状の凹凸壁部は周リブ機能を発揮することになるので、胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を発揮することになる。
【0029】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、縦条状に形成した、ことを加えたものである。
【0030】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、胴部に対する上下および側方から作用する力に対して凹凸壁部が補強リブとして機能するので、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができる。
【0031】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、凹凸により表示を現出させる形状に形成した、ことを加えたものである。
【0032】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、凹凸壁部が現出する陰影が胴部の外表面に、凹凸模様や商品名などの表示を現出するが、この表示は凹凸により現出されるので立体感に富んだものとなり、これにより容器本体の外表面に深みのある表示を現出させることができる。
【0033】
上記技術的課題を解決するための本発明の別の主たる構成は、
容器本体をインサート成形する金型装置は、雄型と一対の割金型である雌型を有する構成とすること、
インサート材であるチューブ体を挟み付ける雄型および/または雌型の型面部分に、チューブ体に屈曲構造の凹凸壁部分成形用の凹凸型面部を形成すること、
金型装置の雄型の型面部分にチューブ体を外装組付けしてから、雄型と雌型を型締めし、この型締めにより凹凸壁部を成形すること、
にある。
【0034】
容器本体をインサート成形する金型装置の雄型と雌型の、相互に対向する型面部分に、予め凹凸壁部を押圧成形するための凹凸型面部が形成されているので、筒状のチューブ体を雄型に外装組付けした状態で、雄型と雌型を型合せ、すなわち型締めすると、凹凸型面部を設けた雄型部分と雌型部分の間に挟まれたチューブ体部分には、屈曲壁構造の凹凸壁部が凹凸型面部により押圧成形される。
【0035】
すなわち、容器本体の胴部の凹凸壁部は、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるものであり、専用の成形操作および設備を要することなく、容器本体のインサート成形操作を利用して成形される。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、容器の主体部分を構成する胴部を薄肉なチューブ体で構成したので、一つの容器に消費される樹脂量を大幅に削減することができ、これにより省資源化を得ることができる。
【0037】
また、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したので、この胴部を強引に潰して十分な減容変形させることができ、これにより容器の排気処理を簡単にかつ効率よく達成できる。
【0038】
さらに、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したにもかかわらず、安定的に形状を維持でき、かつ容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止されるので、容器の安全な取り扱いを確実に得ることができる。
【0039】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができるので、優れた収納保持能力を発揮する容器を得ることができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0040】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、外部から収納した内容物を見えるようにすることができるので、商品である容器を安心して購入することができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0041】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易であるので、製品としての容器の製造に要する経費を低く抑えることができ、これにより容器を安価に提供することが可能となる。
【0042】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができるので、蓋体の安定した組付きと、着脱操作とを得ることができる。
【0043】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に底フィルムを組付けたもの、また底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、底フィルムが変位して減圧を消滅させるので、柔軟性を有する胴部に減圧による不都合な変形が現出することがなく、良好な外観体裁を維持することができる。底フィルムの変位により減圧を吸収するものにあっては、その減圧吸収能力が大きいので、大きい減圧が発生し易い内容物を高温充填する用途に十分に対応することができる。
【0044】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、凹凸壁部が胴部に対して機械的な補強作用や外観体裁の変化を与えることができ、これにより構造的な安定性や外観の面白味を得ることが可能となる。
【0045】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、十分な減容化を安定的に得ることができるので、容器の廃棄処理を効率的に行なうことができ、また胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を得ることが可能であるので、胴部の安定した保形性を得ることができる。
【0046】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができるので、その運搬や格納の取扱いが行ない易いものとすることができる。
【0047】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、容器本体の外表面に好ましい変化を与えることが可能となるので、容器の商品イメージを良好なものとすることが可能である。
【0048】
本発明の別の主たる構成である凹凸壁部成形方法にあっては、凹凸壁部が、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるので、特別な処理手段を要することなく、従来通りの容器本体のインサート成形操作により、凹凸壁部を簡単にかつ確実に成形でき、その実施が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一の実施形態例を示す、全体正面図である。
【図2】図1に示した第一の実施形態例の、全体縦断面図である。
【図3】図1に示した第一の実施形態例の、全体平面図である。
【図4】第一の実施形態例の減容変形状態を示す、縦断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態例を示す、全体縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態例の変形例を示す、全体縦断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態例の一構造例を示す、全体正面図である。
【図8】図7に示した第三の実施形態例の一構造例の、全体縦断面図である。
【図9】図7に示した一構造例の減容変形状態を示す、外観正面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態例の他の変形例を示す、全体正面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態例の別の変形例を示す、全体正面図である。
【図12】本発明の第三の実施形態例の成形手順の、説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態例を、図面を参照しながら説明する。
本発明による広口チューブ体容器(図1参照)は、容器本体1と蓋体13とから構成され、容器本体1は、径の大きい合成樹脂チューブ体18製の胴部2と、この胴部2の上端開放部にインサート成形により取付けられて、胴部2の内径と略等しい口径の開口部を形成する口筒部3と、胴部2の下端開放部にインサート成形により取付けられた底部8とから構成され、蓋体13は、口筒部3に着脱して容器本体1を開閉する。
【0051】
容器本体1の胴部2は、合成樹脂積層シートを丸めて成形されたチューブ体18で形成されており、この合成樹脂積層シートを構成する各層を選択して組合せることにより、胴部2に所望する物性を簡単に附与することができる。また、胴部2は、柔軟性を有するチューブ体18製であるので、強引な潰し変形が可能であり、それゆえ廃棄時には上下から押し潰すとか、捻りながら押し潰す等する(図4、図9参照)ことにより容器の十分な減容化を得ることができ、これにより容器の廃棄を効率良く達成できる。特に、胴部2を形成するチューブ体18の径が大きい場合は、上記した潰し変形を適正にかつ簡単に得ることができる。
【0052】
例えば、胴部2を形成するチューブ体18として、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シートを用いた場合は、アルミ箔が発揮する各種のバリヤー機能、例えば各種の気体に対するガスバリヤー性、液体成分に対するバリヤー性、さらに遮光性を得ることができ、優れた内容物保存効果を得ることがでる。また、胴部2を形成するチューブ体18として、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シートを用いた場合は、ガスバリヤー性を得ることができる状態で、容器外から内容物を直接観察することができるので、商品である容器を安心して購入することができる。
【0053】
口筒部3および底部8は、変形し難いすなわち剛性を有しているので、柔軟性を有する胴部2の上端部および下端部を、安定して一定形状に保持することができ、これにより容器として要求される一定形状を維持することになる。また、胴部2よりも大きい外径を有しているので、容器を並列配置して取扱う際には、隣接する容器同士は、口筒部3および底部8が突き当ったり擦れ合ったりすることはあっても、柔軟性のある胴部2が接触したり擦れ合ったりすることがなく、これにより胴部2に施された表示の状態が劣化するのを、効果的に防止することになる。
【0054】
口筒部3および底部8は、胴部2の外表面にインサート成形されており、口筒部3(図1参照)は、主体部分である円筒状の本体筒4と、この本体筒4の上端に内鍔状に位置して、胴部2の上端面を覆う内鍔6とから構成され、本体筒4は、上半部分外周面に蓋体13の装着機能部分である螺条5を刻設し、下半部分を外方に肉厚に膨出した膨出下部7としている。この膨出下部7は、容器の最も大きい外径部分を形成するので、容器の取扱い時には、他の物品が蓋体13に擦れ状に接触するのを邪魔することになり、これにより蓋体13の螺着組付きを安定させ、また蓋体13の着脱操作時には、容器本体1側の支持部として安定して機能する。
【0055】
底部8(図1参照)は、短円筒状の筒片部9と、胴部2の下端開放部を閉塞する平板状の底板部10とから有底短筒形状に構成され、底板部10の上面周端は段状となっていて、胴部2の下端面を覆っている。この底部8は、胴部2の下端開放部を塞ぐと共に、容器の脚機能部を形成する部分であるが、安定した脚機能を得るため、底板部10の下面は、周端部を突条状に下方に突出させた形状とするのがよい。
【0056】
このように、口筒部3および底部8は、胴部2を構成するインサート材であるチューブ体18の外表面にインサート成形されるので、インサート材であるチューブ体18は、その内表面全域を雄型19(図12参照)に密接させ、金型装置は、チューブ体18の外側だけにキャビティを形成すればよく、その構造がきわめて簡単なものとなる。
【0057】
蓋体13(図1参照)は、図2に示すように、頂壁14と筒壁15とを有する有頂短円筒形状をしていて、頂壁14の下面周端部には、シール筒片16とシール条17とが垂下突片状に設けられており、シール筒片16は、容器本体1に組付いた状態で、容器本体1の上端開孔部に密嵌入し、シール条17は、容器本体1に組付いた状態で、容器本体1の上端面に、全周に亘って密に弾接し、このシール筒片16およびシール条17により、蓋体13による容器本体1の密閉が確保される。また、筒壁15の内周面には、口筒部3の螺条5に螺合する螺条が刻設されていて、この筒壁15の口筒部3に対する螺着により、容器本体1の密閉が維持される。なお、この筒壁15の外周面には細かい縦条であるローレットが形成されて、蓋体13の容器本体1に対する着脱操作が行い易くしており、また筒壁15の外径は、口筒部3の膨出下部7の外径よりも小さく設定されている。
【0058】
図5に示した第二の実施形態例の場合、底部8の底板部10の中央部に通孔状の開放部11を設け、底板部10の上面を覆ってインモールド材である底フィルム12を位置させ、この底フィルム12を底板部10に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在に組付けたものである。
【0059】
この第二の実施形態例の場合、底フィルム12がその変位により大きな減圧吸収能力を発揮するので、容器内に内容物を高温充填することにより、大きな減圧が発生する用途に適用するのがよい。
【0060】
図6は、図5に示した第二の実施形態例の変形例を示すもので、底部8の底板部10をリング板状に構成し、インモールド材である底フィルム12で底板部10の開放部11を閉塞するように構成した。
【0061】
この図6に示した第二の実施形態例の変形例の場合、撓み変形した底フィルム12は、底板部10の開放部11から外側に膨出することになるが、この状態で充填された高温内容物が冷却されて容器内に減圧が発生すると、外側に膨出状に位置していた底フィルム12が容器内側に変位し、これにより容器内に発生した減圧を吸収する。この際、底フィルム12の容器内側への変位量が、図5に示した第二の実施形態例よりも大きくなるように変えることが可能となる。
【0062】
図5および図6に示した第二の実施形態例の場合、射出成形された底部8の離型後における収縮変形により、底フィルム12に撓み変形が発生することがあり、この底フィルム12の撓み変形は、容器内に発生した減圧に伴う底フィルム12の変位をし易くするように作用するので、底フィルム12による減圧吸収効果は、より高められることになる。図5に示した実施形態例の場合は、底板部10が柔らかい底フィルム12を支えると共に、他の物品との接触から保護することになり、図6に示した実施形態例の場合は、消費樹脂材量のさらなる省資源化を得ることができることになる。
【0063】
また、図5および図6に示した第二の実施形態例において、胴部2をバリヤー性が附与された合成樹脂積層チューブ体で形成した場合には、底フィルム12にも同様のバリヤー性を附与するのが望ましいので、底フィルム12をバリヤー性が附与された合成樹脂積層フィルムで構成するのがよい。このように、薄肉部分となっている合成樹脂積層チューブ体製の胴部2および底フィルム12にバリヤー性を附与することにより、容器全体のバリヤー性を高めることができる。
【0064】
図7〜図11に示した第三の実施形態例の場合、胴部2に屈曲構造の凹凸壁部2aを設けたもので、この凹凸壁部2aは、胴部2に成形されるチューブ体18の筒壁の一部を、容器本体1の成形時に曲げて成形されるものである。
【0065】
この第三の実施形態例の場合、凹凸壁部2aは、その凹凸により補強リブ機能を発揮させることが可能であり、また凹凸による陰影により胴部2の外観に変化を与えることが可能である。すなわち、第三の実施形態例にあっては、凹凸壁部2aが、胴部2を機械的に補強することが可能であり、および/または胴部2の外観体裁に所望する表示を現出させることが可能なのである。
【0066】
図7および図8は、第三の実施形態例の一構造例を示すもので、凹凸壁部2aとして、三つの螺旋条状を成形したものである。この第三の実施形態例の一構造例の場合、各凹凸壁部2aは胴部2に周条状に近い構造で形成されるので、胴部2に対する側方からの外力に対して補強作用を発揮すると共に、上下方向から押し潰して減容変形させる際に、この凹凸壁部2aが押し潰れ変形の起点となって、図9に示される一定した形態で容器を容易に減容変形させることができる。
【0067】
この第三の実施形態例の一構造例において、この上下からの押し潰し変形の際には、凹凸壁部2aの螺旋方向に従って回動力を加えることにより、図9に示すように、胴部2を捩れ状に一定して減容変形させることが容易となる。なお、廃棄時の大きな減容変形が要求されない場合は、凹凸壁部2aを螺旋条状ではなく、単純な周条状としてもよい。
【0068】
図10は、第三の実施形態例の他の構造例を示すもので、凹凸壁部2aを、六つの縦条状に成形したものである。この第三の実施形態例の他の構造例の場合、各凹凸壁部2aは胴部2の補強リブとして機能することを主な目的として構成されたもので、胴部2に作用する外力に対して十分な補強作用を発揮することになる。特に、各凹凸壁部2aが縦条状となっているので、胴部2の座屈強度を十分に高めることができる。
【0069】
図11は、第三の実施形態例の別の構造例を示すもので、凹凸壁部2aを、凹凸により表示を現出させる形状に形成したものである。この凹凸壁部2aが現出する表示とは、装飾を目的としたものや商品名を表すことを目的としたものであるが、現出される表示は凹凸およびこの凹凸による陰影により現出されるものであるので、十分な立体感を持って現出されることになり、高い表示効果を発揮するものとになる。特に凹凸壁部2aで装飾模様を形成した場合には、印刷やラベル貼着では得られない深みのある装飾効果を得ることができる
【0070】
図12は、第三の実施形態例の成形手順の説明に供するもので、容器本体1をインサート成形する金型装置は、雄型19と一対の割り金型である雌型20を有する構成となっており、インサート材であるチューブ体18を挟み付ける雌型20の型面部分に、予め凹状の凹凸型面部21が形成されており、金型装置の型締めにより、雌型20の凹凸型面部21にチューブ体18の筒壁部分を押込んで凹凸壁部2aを成形している。この凹凸型面部21は、離型に支障を生じない凹凸程度範囲内であれば、雄型19と雌型20のどちらか一方、または両方に設けても良い。
【0071】
金型装置が型開きしている状態(図12の図示状態)で、予め一定長さの筒形状に成形したチューブ体18を図中A矢印方向から雄型19に外装組付け(図12中、二点鎖線参照)する。次いで、一対の割り金型である雌型20を図中B矢印方向から雄型19に組付けて型締めし、チューブ体18を挟み付け、この挟み付けによりチューブ体18の筒壁に凹凸壁部2aを押圧成形する。
【0072】
この凹凸壁部2aの押圧成形の際に、雄型19および雌型20の少なくとも一方の凹凸型面部分21を局部的に加熱可能に構成しておくことにより、凹凸壁部2aの押圧成形を良好なものとすることが可能である。この凹凸型面部分21に対する局部的な加熱は、冷却と切替えることができる。
【0073】
なお、容器本体1に対する蓋体13の着脱は、螺合組付き構造に限定されることはなく、他の適当な密な組付けを得ることのできる組付け手段を採用してもよい。また、口筒部3の膨出下部7は、その全体が大きな肉厚である必要はなく、一部を大きな肉厚にした構成で、他の部分は把持力を支えることができる剛性を発揮できる程度の小さい肉厚にしてもよい。さらに、胴部2に成形される凹凸壁部2aの凹凸は、インサート成形された容器本体1が雄型19から適正に離型できる凹凸程度および凹凸形状であることは、云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明の広口チューブ体容器は、容器の主体部分である胴部を合成樹脂チューブ体で構成し、このチューブ体をインサート材として成形したので、十分に樹脂量を抑えた省資源化と安全な取扱いを容易に得ることができるようにしたものであり、また高い効率の廃棄処理を得ることのできるものであり、容器本体の主体部分である胴部をチューブ体で構成した広口チューブ体容器に関して幅広い利用展開が期待される。
【符号の説明】
【0075】
1 ;容器本体
2 ;胴部
2a;凹凸壁部
3 ;口筒部
4 ;本体筒
5 ;螺条
6 ;内鍔
7 ;膨出下部
8 ;底部
9 ;筒片部
10;底板部
11;開放部
12;底フィルム
13;蓋体
14;頂壁
15;筒壁
16;シール筒片
17;シール条
18;チューブ体
19;雄型
20;雌型
21;凹凸型面部
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の主体部分である胴部を、径の大きいチューブ体で構成した広口チューブ体容器と、この広口チューブ体容器の胴部に凹凸壁部を成形する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の主体部分である胴部をチューブ体で構成した容器としては、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1に示されたチューブ体容器は、柔軟性を有する薄肉な可撓性の合成樹脂製のスリーブであるチューブ体を押し出し成形によりシームレスに形成し、チューブ体の下端に、インサート成形によって当該チューブ体の外径寸法に納まる寸法で剛性を有する合成樹脂製の底部品を一体成形し、チューブ体の上端に、チューブ体内に嵌装される嵌装部とチューブ体の上端から外方へ張り出される鍔部とを備え、剛性を有する首部品を装着するとともに、チューブ体に、その下端から上端に向かってスライド自在に挿入されて嵌装部との間でチューブ体を挟み込みかつ鍔部と接合される剛性を有する押さえリングを装着する、構成となっている。
【0003】
この特許文献1に示された従来技術は、柔軟性を有するチューブ体の上端および下端に、剛性を有する嵌装部と押さえリングとの組合せ物および底部品を装着したので、容器の主体部分である胴部を柔軟なチューブ体としていても、形態が安定的で通常の容器として取扱うことができ、またチューブ体に対して底部品はインサート成形により、嵌装部と押さえリングとの組合せ物は挿入挟持によりそれぞれ装着するので、組立てが簡単である、と云う利点を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−008170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、底部品をチューブ体の下端内に位置させているので、インサート材としてのチューブ体と、このチューブ体内に挿入されるコア金型との間に底部品成形のためのキャビティの一部を形成しなければならず、その分、底部品をインサート成形する金型の構造が複雑となり、またチューブ体に対する嵌装部と押さえリングの組合せ物の挿入組付け作業は、チューブ体に対する底部品のインサート成形による組付けを行なった後、チューブ体に対して嵌装部と押さえリングを別々に挿入組付けし、かつチューブ体と嵌装部と押さえリングの三者を接合するものとなるので、成形組立作業が煩雑であり、さらにチューブ体が押し出し成形品であるので、所望するバリヤー性を簡単に付与することの難しい場合がある、と云う問題点があった。
【0006】
また、インサート材としてのチューブ体は、ある程度の柔軟性を有しているので、その上下両端が口筒部および底部で変形不能に保持されているとは云え、場合によっては保形性が十分でなく、形状保持に不安が残ることがあり、かつ容器の廃棄時にはこのチューブ体を押し潰して減容化することができるのであるが、減容化形態が一定しないので必ずしも好ましい廃棄処理を得ることができず、さらにチューブ体の表面は単純な平滑面であるので、外観体裁に好ましい変化を与えることができず、面白味の少ないものである、と云う問題があった。
【0007】
さらに、容器内に発生した減圧により、柔軟性を有するチューブ体製の胴部に不良変形を発生し易く、この胴部の不良変形により商品としての容器の外観体裁が低下する場合がある、と云う問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、容器の主体部分である胴部に所望するバリヤー性を容易に付与すること、また形状保持力高めることができるようにすることを技術的課題とし、必要とするバリヤー性を有する、また外観形状の安定した広口チューブ体容器を簡単に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
合成樹脂チューブ体製胴部の上端に口筒部を、また胴部の下端に閉塞して脚部を形成する底部を、それぞれインサート成形により設け、口筒部に着脱する蓋体で開閉される広口チューブ体容器であること、
胴部は、合成樹脂チューブ体製であること、
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒を有すること、
底部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部を有すること、
にある。
なお、広口チューブ容器における「広口」とは、インサート成形される口筒部が、チューブ製胴部を支持する金型部分から型抜きの可能な口径寸法を意味する。
【0010】
容器の主体部分である胴部を、合成樹脂チューブ体製としたので、十分に薄肉とすることができる。
【0011】
また、胴部を形成するチューブ体は、当然ながら柔軟性を有するものであるので、容器の廃棄時にはこの胴部を強引に潰し変形して減容化させることが容易である。
【0012】
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ本体筒を有し、同様に底部は変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片部を有しているので、胴部を構成するチューブ体の上下の開放部は、口筒部および底部により形状を安定して保持されることになり、これにより容器の主体部分である胴部が柔軟性を有するチューブ体で構成されたにもかかわらず、安定的に形状を維持できる。かつ口筒部および底部の外周面は、共に胴部の外表面よりも外側に位置するので、容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止される。
【0013】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂チューブ体が、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0014】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、アルミ箔が発揮する種々の優れたバリヤー機能を発揮させることができるので、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0015】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂チューブ体が、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0016】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器が密封された状態であっても、外部から収納した内容物を見えるようにすることができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形した、ことを加えたものである。
【0018】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート材である胴部を構成するチューブ体全体を、金型装置のコア金型に、単純に外装組付けした状態でインサート成形を実施することができるので、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易である。
【0019】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部の本体筒を、外周面に蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成した、ことを加えたものである。
【0020】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、膨出下部が、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができる。
【0021】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部と平板状の底板部とからなる有底短筒片状に構成し、底板部に開放部を設け、底板部の上面を覆ってインモールド材である底フィルムを位置させ、この底フィルムを底板部に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在とした、ことを加えたものである。
【0022】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に底フィルムを組付けたものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態では、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、底板部上面から浮き上がり状に変位し、これにより容器内に発生した減圧を消滅させる。
【0023】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、この底フィルムで底板部の開放部を閉塞した、ことを加えたものである。
【0024】
底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態で、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、容器内部に膨出状変形し、容器内の減圧を消滅させる。
【0025】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部に屈曲構造の凹凸壁部を設け、この凹凸壁部は、胴部に成形されるチューブ体の筒壁の一部を、容器本体の成形時に曲げて形成されるものとした、ことを加えたものである。
【0026】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、この凹凸壁部が屈曲構造であることから、その形状により胴部に対して機械的な補強作用を発揮し、また凹凸による立体感と陰影により、胴部の外観体裁に深みのある変化を与えることになる。また、上記したように凹凸壁部は胴部を補強するので、底部に底フィルムを組付けた構造と組合せた場合、胴部の減圧による不正変形の発生は、略完全に防止されることになる。
【0027】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、螺旋条状に形成した、ことを加えたものである。
【0028】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、容器の廃棄時に、凹凸壁部の螺旋に従った方向に回動させながら胴部に押下げ力を作用させることにより、胴部を一定形態に押し潰すことができ、これにより十分な減容化を安定的に得ることができ、また螺旋条状の凹凸壁部は周リブ機能を発揮することになるので、胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を発揮することになる。
【0029】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、縦条状に形成した、ことを加えたものである。
【0030】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、胴部に対する上下および側方から作用する力に対して凹凸壁部が補強リブとして機能するので、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができる。
【0031】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、凹凸により表示を現出させる形状に形成した、ことを加えたものである。
【0032】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、凹凸壁部が現出する陰影が胴部の外表面に、凹凸模様や商品名などの表示を現出するが、この表示は凹凸により現出されるので立体感に富んだものとなり、これにより容器本体の外表面に深みのある表示を現出させることができる。
【0033】
上記技術的課題を解決するための本発明の別の主たる構成は、
容器本体をインサート成形する金型装置は、雄型と一対の割金型である雌型を有する構成とすること、
インサート材であるチューブ体を挟み付ける雄型および/または雌型の型面部分に、チューブ体に屈曲構造の凹凸壁部分成形用の凹凸型面部を形成すること、
金型装置の雄型の型面部分にチューブ体を外装組付けしてから、雄型と雌型を型締めし、この型締めにより凹凸壁部を成形すること、
にある。
【0034】
容器本体をインサート成形する金型装置の雄型と雌型の、相互に対向する型面部分に、予め凹凸壁部を押圧成形するための凹凸型面部が形成されているので、筒状のチューブ体を雄型に外装組付けした状態で、雄型と雌型を型合せ、すなわち型締めすると、凹凸型面部を設けた雄型部分と雌型部分の間に挟まれたチューブ体部分には、屈曲壁構造の凹凸壁部が凹凸型面部により押圧成形される。
【0035】
すなわち、容器本体の胴部の凹凸壁部は、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるものであり、専用の成形操作および設備を要することなく、容器本体のインサート成形操作を利用して成形される。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、容器の主体部分を構成する胴部を薄肉なチューブ体で構成したので、一つの容器に消費される樹脂量を大幅に削減することができ、これにより省資源化を得ることができる。
【0037】
また、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したので、この胴部を強引に潰して十分な減容変形させることができ、これにより容器の排気処理を簡単にかつ効率よく達成できる。
【0038】
さらに、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したにもかかわらず、安定的に形状を維持でき、かつ容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止されるので、容器の安全な取り扱いを確実に得ることができる。
【0039】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができるので、優れた収納保持能力を発揮する容器を得ることができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0040】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、外部から収納した内容物を見えるようにすることができるので、商品である容器を安心して購入することができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0041】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易であるので、製品としての容器の製造に要する経費を低く抑えることができ、これにより容器を安価に提供することが可能となる。
【0042】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができるので、蓋体の安定した組付きと、着脱操作とを得ることができる。
【0043】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に底フィルムを組付けたもの、また底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、底フィルムが変位して減圧を消滅させるので、柔軟性を有する胴部に減圧による不都合な変形が現出することがなく、良好な外観体裁を維持することができる。底フィルムの変位により減圧を吸収するものにあっては、その減圧吸収能力が大きいので、大きい減圧が発生し易い内容物を高温充填する用途に十分に対応することができる。
【0044】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、凹凸壁部が胴部に対して機械的な補強作用や外観体裁の変化を与えることができ、これにより構造的な安定性や外観の面白味を得ることが可能となる。
【0045】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、十分な減容化を安定的に得ることができるので、容器の廃棄処理を効率的に行なうことができ、また胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を得ることが可能であるので、胴部の安定した保形性を得ることができる。
【0046】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができるので、その運搬や格納の取扱いが行ない易いものとすることができる。
【0047】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、容器本体の外表面に好ましい変化を与えることが可能となるので、容器の商品イメージを良好なものとすることが可能である。
【0048】
本発明の別の主たる構成である凹凸壁部成形方法にあっては、凹凸壁部が、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるので、特別な処理手段を要することなく、従来通りの容器本体のインサート成形操作により、凹凸壁部を簡単にかつ確実に成形でき、その実施が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一の実施形態例を示す、全体正面図である。
【図2】図1に示した第一の実施形態例の、全体縦断面図である。
【図3】図1に示した第一の実施形態例の、全体平面図である。
【図4】第一の実施形態例の減容変形状態を示す、縦断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態例を示す、全体縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態例の変形例を示す、全体縦断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態例の一構造例を示す、全体正面図である。
【図8】図7に示した第三の実施形態例の一構造例の、全体縦断面図である。
【図9】図7に示した一構造例の減容変形状態を示す、外観正面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態例の他の変形例を示す、全体正面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態例の別の変形例を示す、全体正面図である。
【図12】本発明の第三の実施形態例の成形手順の、説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態例を、図面を参照しながら説明する。
本発明による広口チューブ体容器(図1参照)は、容器本体1と蓋体13とから構成され、容器本体1は、径の大きい合成樹脂チューブ体18製の胴部2と、この胴部2の上端開放部にインサート成形により取付けられて、胴部2の内径と略等しい口径の開口部を形成する口筒部3と、胴部2の下端開放部にインサート成形により取付けられた底部8とから構成され、蓋体13は、口筒部3に着脱して容器本体1を開閉する。
【0051】
容器本体1の胴部2は、合成樹脂積層シートを丸めて成形されたチューブ体18で形成されており、この合成樹脂積層シートを構成する各層を選択して組合せることにより、胴部2に所望する物性を簡単に附与することができる。また、胴部2は、柔軟性を有するチューブ体18製であるので、強引な潰し変形が可能であり、それゆえ廃棄時には上下から押し潰すとか、捻りながら押し潰す等する(図4、図9参照)ことにより容器の十分な減容化を得ることができ、これにより容器の廃棄を効率良く達成できる。特に、胴部2を形成するチューブ体18の径が大きい場合は、上記した潰し変形を適正にかつ簡単に得ることができる。
【0052】
例えば、胴部2を形成するチューブ体18として、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シートを用いた場合は、アルミ箔が発揮する各種のバリヤー機能、例えば各種の気体に対するガスバリヤー性、液体成分に対するバリヤー性、さらに遮光性を得ることができ、優れた内容物保存効果を得ることがでる。また、胴部2を形成するチューブ体18として、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シートを用いた場合は、ガスバリヤー性を得ることができる状態で、容器外から内容物を直接観察することができるので、商品である容器を安心して購入することができる。
【0053】
口筒部3および底部8は、変形し難いすなわち剛性を有しているので、柔軟性を有する胴部2の上端部および下端部を、安定して一定形状に保持することができ、これにより容器として要求される一定形状を維持することになる。また、胴部2よりも大きい外径を有しているので、容器を並列配置して取扱う際には、隣接する容器同士は、口筒部3および底部8が突き当ったり擦れ合ったりすることはあっても、柔軟性のある胴部2が接触したり擦れ合ったりすることがなく、これにより胴部2に施された表示の状態が劣化するのを、効果的に防止することになる。
【0054】
口筒部3および底部8は、胴部2の外表面にインサート成形されており、口筒部3(図1参照)は、主体部分である円筒状の本体筒4と、この本体筒4の上端に内鍔状に位置して、胴部2の上端面を覆う内鍔6とから構成され、本体筒4は、上半部分外周面に蓋体13の装着機能部分である螺条5を刻設し、下半部分を外方に肉厚に膨出した膨出下部7としている。この膨出下部7は、容器の最も大きい外径部分を形成するので、容器の取扱い時には、他の物品が蓋体13に擦れ状に接触するのを邪魔することになり、これにより蓋体13の螺着組付きを安定させ、また蓋体13の着脱操作時には、容器本体1側の支持部として安定して機能する。
【0055】
底部8(図1参照)は、短円筒状の筒片部9と、胴部2の下端開放部を閉塞する平板状の底板部10とから有底短筒形状に構成され、底板部10の上面周端は段状となっていて、胴部2の下端面を覆っている。この底部8は、胴部2の下端開放部を塞ぐと共に、容器の脚機能部を形成する部分であるが、安定した脚機能を得るため、底板部10の下面は、周端部を突条状に下方に突出させた形状とするのがよい。
【0056】
このように、口筒部3および底部8は、胴部2を構成するインサート材であるチューブ体18の外表面にインサート成形されるので、インサート材であるチューブ体18は、その内表面全域を雄型19(図12参照)に密接させ、金型装置は、チューブ体18の外側だけにキャビティを形成すればよく、その構造がきわめて簡単なものとなる。
【0057】
蓋体13(図1参照)は、図2に示すように、頂壁14と筒壁15とを有する有頂短円筒形状をしていて、頂壁14の下面周端部には、シール筒片16とシール条17とが垂下突片状に設けられており、シール筒片16は、容器本体1に組付いた状態で、容器本体1の上端開孔部に密嵌入し、シール条17は、容器本体1に組付いた状態で、容器本体1の上端面に、全周に亘って密に弾接し、このシール筒片16およびシール条17により、蓋体13による容器本体1の密閉が確保される。また、筒壁15の内周面には、口筒部3の螺条5に螺合する螺条が刻設されていて、この筒壁15の口筒部3に対する螺着により、容器本体1の密閉が維持される。なお、この筒壁15の外周面には細かい縦条であるローレットが形成されて、蓋体13の容器本体1に対する着脱操作が行い易くしており、また筒壁15の外径は、口筒部3の膨出下部7の外径よりも小さく設定されている。
【0058】
図5に示した第二の実施形態例の場合、底部8の底板部10の中央部に通孔状の開放部11を設け、底板部10の上面を覆ってインモールド材である底フィルム12を位置させ、この底フィルム12を底板部10に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在に組付けたものである。
【0059】
この第二の実施形態例の場合、底フィルム12がその変位により大きな減圧吸収能力を発揮するので、容器内に内容物を高温充填することにより、大きな減圧が発生する用途に適用するのがよい。
【0060】
図6は、図5に示した第二の実施形態例の変形例を示すもので、底部8の底板部10をリング板状に構成し、インモールド材である底フィルム12で底板部10の開放部11を閉塞するように構成した。
【0061】
この図6に示した第二の実施形態例の変形例の場合、撓み変形した底フィルム12は、底板部10の開放部11から外側に膨出することになるが、この状態で充填された高温内容物が冷却されて容器内に減圧が発生すると、外側に膨出状に位置していた底フィルム12が容器内側に変位し、これにより容器内に発生した減圧を吸収する。この際、底フィルム12の容器内側への変位量が、図5に示した第二の実施形態例よりも大きくなるように変えることが可能となる。
【0062】
図5および図6に示した第二の実施形態例の場合、射出成形された底部8の離型後における収縮変形により、底フィルム12に撓み変形が発生することがあり、この底フィルム12の撓み変形は、容器内に発生した減圧に伴う底フィルム12の変位をし易くするように作用するので、底フィルム12による減圧吸収効果は、より高められることになる。図5に示した実施形態例の場合は、底板部10が柔らかい底フィルム12を支えると共に、他の物品との接触から保護することになり、図6に示した実施形態例の場合は、消費樹脂材量のさらなる省資源化を得ることができることになる。
【0063】
また、図5および図6に示した第二の実施形態例において、胴部2をバリヤー性が附与された合成樹脂積層チューブ体で形成した場合には、底フィルム12にも同様のバリヤー性を附与するのが望ましいので、底フィルム12をバリヤー性が附与された合成樹脂積層フィルムで構成するのがよい。このように、薄肉部分となっている合成樹脂積層チューブ体製の胴部2および底フィルム12にバリヤー性を附与することにより、容器全体のバリヤー性を高めることができる。
【0064】
図7〜図11に示した第三の実施形態例の場合、胴部2に屈曲構造の凹凸壁部2aを設けたもので、この凹凸壁部2aは、胴部2に成形されるチューブ体18の筒壁の一部を、容器本体1の成形時に曲げて成形されるものである。
【0065】
この第三の実施形態例の場合、凹凸壁部2aは、その凹凸により補強リブ機能を発揮させることが可能であり、また凹凸による陰影により胴部2の外観に変化を与えることが可能である。すなわち、第三の実施形態例にあっては、凹凸壁部2aが、胴部2を機械的に補強することが可能であり、および/または胴部2の外観体裁に所望する表示を現出させることが可能なのである。
【0066】
図7および図8は、第三の実施形態例の一構造例を示すもので、凹凸壁部2aとして、三つの螺旋条状を成形したものである。この第三の実施形態例の一構造例の場合、各凹凸壁部2aは胴部2に周条状に近い構造で形成されるので、胴部2に対する側方からの外力に対して補強作用を発揮すると共に、上下方向から押し潰して減容変形させる際に、この凹凸壁部2aが押し潰れ変形の起点となって、図9に示される一定した形態で容器を容易に減容変形させることができる。
【0067】
この第三の実施形態例の一構造例において、この上下からの押し潰し変形の際には、凹凸壁部2aの螺旋方向に従って回動力を加えることにより、図9に示すように、胴部2を捩れ状に一定して減容変形させることが容易となる。なお、廃棄時の大きな減容変形が要求されない場合は、凹凸壁部2aを螺旋条状ではなく、単純な周条状としてもよい。
【0068】
図10は、第三の実施形態例の他の構造例を示すもので、凹凸壁部2aを、六つの縦条状に成形したものである。この第三の実施形態例の他の構造例の場合、各凹凸壁部2aは胴部2の補強リブとして機能することを主な目的として構成されたもので、胴部2に作用する外力に対して十分な補強作用を発揮することになる。特に、各凹凸壁部2aが縦条状となっているので、胴部2の座屈強度を十分に高めることができる。
【0069】
図11は、第三の実施形態例の別の構造例を示すもので、凹凸壁部2aを、凹凸により表示を現出させる形状に形成したものである。この凹凸壁部2aが現出する表示とは、装飾を目的としたものや商品名を表すことを目的としたものであるが、現出される表示は凹凸およびこの凹凸による陰影により現出されるものであるので、十分な立体感を持って現出されることになり、高い表示効果を発揮するものとになる。特に凹凸壁部2aで装飾模様を形成した場合には、印刷やラベル貼着では得られない深みのある装飾効果を得ることができる
【0070】
図12は、第三の実施形態例の成形手順の説明に供するもので、容器本体1をインサート成形する金型装置は、雄型19と一対の割り金型である雌型20を有する構成となっており、インサート材であるチューブ体18を挟み付ける雌型20の型面部分に、予め凹状の凹凸型面部21が形成されており、金型装置の型締めにより、雌型20の凹凸型面部21にチューブ体18の筒壁部分を押込んで凹凸壁部2aを成形している。この凹凸型面部21は、離型に支障を生じない凹凸程度範囲内であれば、雄型19と雌型20のどちらか一方、または両方に設けても良い。
【0071】
金型装置が型開きしている状態(図12の図示状態)で、予め一定長さの筒形状に成形したチューブ体18を図中A矢印方向から雄型19に外装組付け(図12中、二点鎖線参照)する。次いで、一対の割り金型である雌型20を図中B矢印方向から雄型19に組付けて型締めし、チューブ体18を挟み付け、この挟み付けによりチューブ体18の筒壁に凹凸壁部2aを押圧成形する。
【0072】
この凹凸壁部2aの押圧成形の際に、雄型19および雌型20の少なくとも一方の凹凸型面部分21を局部的に加熱可能に構成しておくことにより、凹凸壁部2aの押圧成形を良好なものとすることが可能である。この凹凸型面部分21に対する局部的な加熱は、冷却と切替えることができる。
【0073】
なお、容器本体1に対する蓋体13の着脱は、螺合組付き構造に限定されることはなく、他の適当な密な組付けを得ることのできる組付け手段を採用してもよい。また、口筒部3の膨出下部7は、その全体が大きな肉厚である必要はなく、一部を大きな肉厚にした構成で、他の部分は把持力を支えることができる剛性を発揮できる程度の小さい肉厚にしてもよい。さらに、胴部2に成形される凹凸壁部2aの凹凸は、インサート成形された容器本体1が雄型19から適正に離型できる凹凸程度および凹凸形状であることは、云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明の広口チューブ体容器は、容器の主体部分である胴部を合成樹脂チューブ体で構成し、このチューブ体をインサート材として成形したので、十分に樹脂量を抑えた省資源化と安全な取扱いを容易に得ることができるようにしたものであり、また高い効率の廃棄処理を得ることのできるものであり、容器本体の主体部分である胴部をチューブ体で構成した広口チューブ体容器に関して幅広い利用展開が期待される。
【符号の説明】
【0075】
1 ;容器本体
2 ;胴部
2a;凹凸壁部
3 ;口筒部
4 ;本体筒
5 ;螺条
6 ;内鍔
7 ;膨出下部
8 ;底部
9 ;筒片部
10;底板部
11;開放部
12;底フィルム
13;蓋体
14;頂壁
15;筒壁
16;シール筒片
17;シール条
18;チューブ体
19;雄型
20;雌型
21;凹凸型面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂チューブ体製胴部(2)の上端に口筒部(3)を、また前記胴部(2)の下端に閉塞して脚部を形成する底部(8)を、それぞれインサート成形により設け、前記口筒部(3)に着脱する蓋体(13)で開閉される広口チューブ体容器であって、前記胴部(2)は、合成樹脂チューブ体製であり、前記口筒部(3)は、変形し難くかつ胴部(2)よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒(4)を有し、前記底部(8)は、変形し難くかつ胴部(2)よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部(9)を有することを特徴とする広口チューブ体容器。
【請求項2】
胴部(2)を構成する合成樹脂チューブ体が、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製である請求項1に記載の広口チューブ体容器。
【請求項3】
胴部(2)を構成する合成樹脂チューブ体が、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製である請求項1に記載の広口チューブ体容器。
【請求項4】
口筒部(3)および底部(8)を、胴部(2)の外表面にインサート成形した請求項1〜3の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項5】
口筒部(3)の本体筒(4)を、外周面に蓋体(13)の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部(7)を形成した下半部分とから構成した請求項1〜4の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項6】
胴部(2)の下端を閉塞する底部(8)を、筒片部(9)と平板状の底板部(10)とからなる有底短筒片状に構成し、前記底板部(10)に開放部(11)を設け、前記底板部(10)の上面を覆ってインモールド材である底フィルム(12)を位置させ、該底フィルム(12)を底板部(10)に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在とした請求項1〜5の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項7】
胴部(2)の下端を閉塞する底部(8)を、筒片部(9)とリング板状の底板部(10)とインモールド材である底フィルム(12)とから構成し、該底フィルム(12)で底板部(10)の開放部(11)を閉塞した請求項1〜5の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項8】
胴部(2)に屈曲構造の凹凸壁部(2a)を設け、該凹凸壁部(2a)は、前記胴部(2)に成形されるチューブ体(18)の筒壁の一部を、容器本体(1)の成形時に曲げて形成されるものとした請求項1〜7の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項9】
凹凸壁部(2a)を、螺旋条状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項10】
凹凸壁部(2a)を、縦条状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項11】
凹凸壁部(2a)を、凹凸により表示を現出させる形状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項12】
容器本体(1)をインサート成形する金型装置は、雄型(19)と一対の割金型である雌型(20)を有する構成であり、インサート材であるチューブ体(18)を挟み付ける前記雄型(19)および/または雌型(20)の型面部分に、前記チューブ体(18)に屈曲構造の凹凸壁部分(2a)成形用の凹凸型面部(21)を形成し、前記雄型(19)の型面部分にチューブ体(18)を外装組付けしてから、前記雄型(19)と雌型(20)を型締めし、該型締めにより凹凸壁部(2a)を成形する凹凸壁部成形方法。
【請求項1】
合成樹脂チューブ体製胴部(2)の上端に口筒部(3)を、また前記胴部(2)の下端に閉塞して脚部を形成する底部(8)を、それぞれインサート成形により設け、前記口筒部(3)に着脱する蓋体(13)で開閉される広口チューブ体容器であって、前記胴部(2)は、合成樹脂チューブ体製であり、前記口筒部(3)は、変形し難くかつ胴部(2)よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒(4)を有し、前記底部(8)は、変形し難くかつ胴部(2)よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部(9)を有することを特徴とする広口チューブ体容器。
【請求項2】
胴部(2)を構成する合成樹脂チューブ体が、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製である請求項1に記載の広口チューブ体容器。
【請求項3】
胴部(2)を構成する合成樹脂チューブ体が、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製である請求項1に記載の広口チューブ体容器。
【請求項4】
口筒部(3)および底部(8)を、胴部(2)の外表面にインサート成形した請求項1〜3の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項5】
口筒部(3)の本体筒(4)を、外周面に蓋体(13)の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部(7)を形成した下半部分とから構成した請求項1〜4の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項6】
胴部(2)の下端を閉塞する底部(8)を、筒片部(9)と平板状の底板部(10)とからなる有底短筒片状に構成し、前記底板部(10)に開放部(11)を設け、前記底板部(10)の上面を覆ってインモールド材である底フィルム(12)を位置させ、該底フィルム(12)を底板部(10)に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在とした請求項1〜5の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項7】
胴部(2)の下端を閉塞する底部(8)を、筒片部(9)とリング板状の底板部(10)とインモールド材である底フィルム(12)とから構成し、該底フィルム(12)で底板部(10)の開放部(11)を閉塞した請求項1〜5の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項8】
胴部(2)に屈曲構造の凹凸壁部(2a)を設け、該凹凸壁部(2a)は、前記胴部(2)に成形されるチューブ体(18)の筒壁の一部を、容器本体(1)の成形時に曲げて形成されるものとした請求項1〜7の何れか1項に記載の広口チューブ体容器。
【請求項9】
凹凸壁部(2a)を、螺旋条状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項10】
凹凸壁部(2a)を、縦条状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項11】
凹凸壁部(2a)を、凹凸により表示を現出させる形状に形成した請求項8に記載の広口チューブ体容器。
【請求項12】
容器本体(1)をインサート成形する金型装置は、雄型(19)と一対の割金型である雌型(20)を有する構成であり、インサート材であるチューブ体(18)を挟み付ける前記雄型(19)および/または雌型(20)の型面部分に、前記チューブ体(18)に屈曲構造の凹凸壁部分(2a)成形用の凹凸型面部(21)を形成し、前記雄型(19)の型面部分にチューブ体(18)を外装組付けしてから、前記雄型(19)と雌型(20)を型締めし、該型締めにより凹凸壁部(2a)を成形する凹凸壁部成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−236648(P2012−236648A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121455(P2011−121455)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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