建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置
【課題】オペレータ個人の運転操作結果(たとえば燃料消費量)を、客観的な基準値と比べることで、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようにする。
【解決手段】オペレータが建設機械を運転操作中、第1の車体側操作結果記憶部24に記憶された自己の建設機械おける過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置40に表示させる。キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。
【解決手段】オペレータが建設機械を運転操作中、第1の車体側操作結果記憶部24に記憶された自己の建設機械おける過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置40に表示させる。キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の送受信システムにおいて、オペレータに運転操作のガイダンスを行うことができる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械は、オペレータの個々の運転操作能力、技量の違いによって、燃料消費量が大きく異なる。
【0003】
また、建設機械は、オペレータによってひとたびエンジンが始動されると、長時間連続して稼動する。たとえば朝、エンジンが始動されると、昼休みに小休止する他は夕方まで連続して稼動する。このような建設機械に特有な使い方では、オペレータの能力、技量の違いによって1日に消費される燃料の量が大きく異なり、燃料コストが大きく異なってくる。このためオペレータを管理する管理者としては、オペレータが建設機械を運転操作するたびに燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを指導、ガイダンスすることが重要な課題となっている。
【0004】
(従来における実施技術1)
建設機械の分野では、地球上の各位置に存在する複数の建設機械と地上局との間でデータを相互に送受信する送受信システムが既に導入されている。この送受信システムでは、複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対して、データを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる。
【0005】
(従来における実施技術2)
建設機械の分野では、一台の建設機械を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械の運転操作を行うという使われ方をする。このため各オペレータはエンジンキーを個別に所有している場合が多く、オペレータが所有しているエンジンキーは、複数台の建設機械のエンジン始動に対応している。
【0006】
(特許文献にみられる従来技術)
特許文献1には、一般自動車の分野において、自動車の整備状態の良否を判断する目的のために燃料消費量を管理するという発明が記載されている。すなわち、特許文献1には、一台の自動車で燃料消費量を各ユーザ毎に記録し、ユーザが運転するたびにそのユーザの過去の平均燃費と最近の平均燃費とを対比して自動車の整備状態の良否を判断するという発明が記載されている。
【特許文献1】特開2002−166999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の発明は、あくまでも自動車の整備状態の良否を判断する目的のために燃料消費量を管理するというものであって、必ずしもオペレータ個人の燃料消費量を、客観的な基準値と比べてオペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを判断するものではない。つまり特許文献1では、ユーザの最近の燃料消費量と対比する比較対象は、自分自身の過去の燃料消費量であって、客観的な基準値ではない。
【0008】
また、特許文献1では、複数のユーザが一台の自動車を運転操作することを想定しているが、ユーザが所有している1つのキーで複数台の自動車を運転操作することまでは想定していない。
【0009】
また、建設機械の分野における既存の送受信システムは、地上局から通信によって建設機械にデータを送ることを前提としている。そこで、管理者としては、オペレータが建設機械を運転操作するたびに、燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを通信にて地上局側から建設機械側に送ることが考えられる。
【0010】
しかし、世界中の多数の建設機械に対して、オペレータが運転操作を変わる毎に必要なデータを送ることは、通信負荷が大きくなるという問題が起きるおそれがある。また、通信状況が良くない状況では、データそのものを地上局から建設機械に送ることが困難になる。
【0011】
a)本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、通信負荷が大きくなることを回避するとともに、通信状況が良くない状況でも確実に、建設機械の車体内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込めるようにすることを課題とするものである。
【0012】
b)また、本発明は、一台の建設機械を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械の運転操作を行うという使われ方に好適なシステムを構築することを課題とするものである。
【0013】
c)また、本発明は、オペレータ個人の運転操作結果(たとえば燃料消費量)を、客観的な基準値と比べることで、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明は、
複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対してデータを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる建設機械の送受信システムに適用され、
携行自在のキー手段には、
オペレータを識別するオペレータ識別IDを記憶するオペレータ識別ID記憶部と、
キーオン操作に応じて建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラと送受信を行うキー側通信部と、
オペレータが操作した過去の建設機械の操作結果を、建設機械を識別する建設機械識別IDに対応づけて記憶するキー側操作結果記憶部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部から読み出してキー側通信部を介して車体内ネットワークに送出するキー側読み出し制御部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部の対応する箇所の操作結果を更新するキー側書き込み制御部と
が備えられ、
地上局には、
複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する地上局側操作結果記憶部
が備えられ、
車体内コントローラには、
操作結果を計測する操作結果計測部と、
車体内ネットワークに接続され、キー側通信部と送受信を行う車体側通信部と、
キーオン操作に応じて車体側通信部を介してキー手段のオペレータ識別ID記憶部に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する認証制御部と、
キー側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果を記憶するとともに、地上局の地上局側操作結果記憶部に記憶された複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する第1の車体側操作結果記憶部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、自己の建設機械を識別する建設機械識別IDを車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出して、キー側読み出し制御部によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部に自己の建設機械の過去の操作結果として書き込む第1の車体側書き込み制御部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、エンジン始動を許可するエンジン制御部と、
第1の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置に表示させる表示制御部と、
エンジンが始動されてからエンジンの稼動が停止するまでに操作結果計測部で計測された操作結果を、自己の建設機械における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけて記憶する第2の車体側操作結果記憶部と、
キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出する第1の車体側読み出し制御部と、
地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に記憶されている複数の建設機械の過去の操作結果を取り込み、第1の操作結果記憶部に書き込む第2の車体側書き込み制御部と、
第2の車体側操作結果記憶部に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に送出する第2の車体側読み出し制御部と
が備えられている建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置であることを特徴とする。
【0015】
第2発明は、第1発明において、
操作結果は、燃料消費量の情報であること
を特徴とする。
【0016】
第3発明は、
建設機械の運転室に設けられた表示装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする。
【0017】
第4発明は、第1発明において、
携行自在の端末装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする。
【0018】
第5発明は、第2発明において、
表示装置には、現在の燃料消費量の情報が併せて表示されること
を特徴とする。
【0019】
第1発明では、図5に示すように、オペレータがキー手段50をキーオン操作すると(ステップ201の判断YES)、キー手段50のキー側通信部52と、車体内コントローラ20の車体側通信部22とが車体内ネットワーク15を介して相互に送受信可能な状態になる。
【0020】
そこで、車体内コントローラ20の認証制御部23では、キーオン操作に応じて車体側通信部22を介してキー手段50のオペレータ識別ID記憶部51に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する(ステップ202)。
【0021】
認証制御部23で認証がなされると、第1の車体側書き込み制御部25は、自己の建設機械1を識別する建設機械識別IDを車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側読み出し制御部54は、建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部53から読み出してキー側通信部52を介して車体内ネットワーク15に送出する。これにより第1の車体側書き込み制御部25は、キー側読み出し制御部54によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部24に自己の建設機械1の過去の操作結果として書き込む(ステップ203)。ここで、「操作結果」とは、燃料消費量の情報、作業機を操作した時間、回数、作業時におけるエンジン使用回転数、作業時におけるエンジン使用トルクなど、オペレータが建設機械1を操作した結果、得たれた情報であれば、任意のものを選択することができる。第2発明では、操作結果は、燃料消費量の情報である。
【0022】
認証制御部23で認証がなされると、エンジン制御部26は、エンジン3の始動を許可する。すなわち、キー手段50がエンジン始動のためのエンジン始動操作をすると、認証がなされたこと(ステップ202の判断がYESであること)を条件として、スタータモータ4を作動させ、エンジン3を始動させる(ステップ204)。
【0023】
第1の車体側操作結果記憶部24には、キー側操作結果記憶部53に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果が記憶されているとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶された複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果が記憶されている。そこで、オペレータが建設機械1を運転操作中、表示制御部27は、第1の車体側操作結果記憶部24に記憶された自己の建設機械1おける過去の操作結果を表示装置40に表示させる。よって、オペレータは、オペレータ個人の運転操作結果を、客観的な基準値と比べることで、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようにすることができる。一方、オペレータ、建設機械1を管理する管理者としては、オペレータが建設機械1を運転操作するたびに、燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを的確に指導、ガイダンスすることができる。表示装置40には、現在の燃料消費量情報を併せて表示させてもよい(図3参照;第5発明)。
【0024】
建設機械1の運転室2aに設けられた表示装置40の表示画面40aに上述の表示を行ってもよく(図1参照;第3発明)、携行自在の端末装置の表示画面(たとえば携帯電話機の表示画面;第4発明)に同様の表示を行ってもよい(ステップ207)。
【0025】
エンジン稼働中は、操作結果計測部21で操作結果が計測される。第2の車体側操作結果記憶部28には、エンジン3が始動されてからエンジン3の稼動が停止するまでに操作結果計測部21で計測された操作結果が、自己の建設機械1における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけられて記憶される(ステップ205、206)。
【0026】
第1の車体側読み出し制御部29は、キーオフ操作(ステップ208)に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械1における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側書き込み制御部55は、キー側通信部52を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部53の対応する箇所の操作結果を更新する。以上のようにしてオペレータが所有するキー手段50には、建設機械1を運転操作する毎に、その建設機械1の過去の操作結果のデータが更新されていく。同じオペレータが他の建設機械1、1…を運転操作する場合も同様である。オペレータが所有するキー手段50には、各建設機械1、1、1…を運転操作するたびに、各建設機械1、1、1…毎に過去の操作結果のデータが更新されていく(図4(b)参照;ステップ209)。
【0027】
一方、図6に示すように、第2の車体側書き込み制御部30は、地上局160と送受信することにより(ステップ301)、地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果を車体2内に取り込み、第1の操作結果記憶部24に書き込む(ステップ302)。
【0028】
また、第2の車体側読み出し制御部31は、地上局160と送受信することにより(ステップ301)、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し(ステップ303)、地上局160と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部61に送出する(ステップ304)。これにより個々の建設機械1に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果のデータは、全世界の多数の建設機械1、1、1…で取得された最新のデータによって更新されるとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果のデータについても個々の建設機械1で取得された最新のデータによって更新される。
【0029】
以上のように本発明によれば、つぎのような効果が得られる。
【0030】
a)キー手段50と建設機械1の車体2との間で送受信を行うことにより、建設機械1の車体2内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込むことができる。よって、オペレータが運転操作するたびに、建設機械1と地上局160との間で送受信を行って地上局160にあるデータを建設機械1側に取り込むことは必ずしも必要ではない。
【0031】
よって、オペレータが運転操作する毎に地上局160と建設機械1との間で送受信を行うことが回避され、それによって通信負荷が大きくなることを回避できる。また通信状況が良くない状況でも確実に、建設機械1の車体2内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込むことが可能となる。
【0032】
b)オペレータ個人がそれぞれ所有するキー手段50には、オペレータが各建設機械1、1、1…を運転操作する毎に、建設機械1の種類毎に過去の操作結果のデータが更新される。このため、一台の建設機械1を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械1、1、1…の運転操作を行うという使われ方に好適なシステムを構築することができる。
【0033】
c)オペレータ個人の運転操作結果(たとえば平均燃料消費量)を、客観的な基準値(世界中の多数の建設機械1、1、1…で取得された平均燃料消費量)と比べることができ、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようになる。
【0034】
d)また、地上局160側には、ユーザ毎の燃料消費量の情報が、全世界の燃料消費量の情報、国毎の燃料消費量の情報と併せて記憶されていることから(図4(a)参照)、端末80から地上局160のサーバ161にアクセスすることにより、これら燃料消費量の情報を端末80の画面上に表示させることができる。このためユーザの管理者の社長は、たとえば自己の会社が所有する建設機械の平均燃料消費量を全世界の平均燃料消費量や日本の平均燃料消費量と比較することができる。これによりユーザの支配下にある全オペレータに対して的確に燃費改善等の指導を行うことができる。なお、地上局160側で、各オペレータ毎に燃料消費量情報を分類して記憶してもよい。これにより、ユーザの管理者の社長は、たとえば自己の会社が所有する建設機械の平均燃料消費量を、オペレータ個人毎に、全世界の平均燃料消費量や日本の平均燃料消費量と比較することができる。これによりユーザの支配下にある各オペレータ個別に的確に燃費改善等の指導を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明に係る「建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置」の実施の形態について説明する。なお、以下では、建設機械として油圧ショベルを想定して説明する。また、以下では、本発明における「操作結果」が「燃料消費量の情報」であるとして説明する。
【0036】
図1は、実施形態の全体の装置構成を示している。また、図2は、実施形態の構成をブロック図にて示している。
【0037】
実施例の送受信システム100では、複数の建設機械1、1、1…の個々の建設機械1の車体内ネットワーク15を介して車体内コントローラ20から取り込まれた内部情報DTを地上局160に送信するとともに、地上局160で複数の建設機械1、1、1…の内部情報DTを受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局160から個々の建設機械1に対してデータを送信し、個々の建設機械1では、受信したデータに基づき処理が行われる。
【0038】
すなわち、本発明に係る装置は、大きくは、オペレータが所有し、携行自在のキー手段50と、複数の建設機械1、1、1…と、地上局160とからなる。
【0039】
図2に示すように、キー手段50には、オペレータ識別ID記憶部51と、キー側通信部52と、キー側操作結果記憶部53と、キー側読み出し制御部54と、キー側書き込み制御部55とが備えられている。キー手段50は、電子IDキーまたはRFIDなどによって構成されている。
【0040】
地上局160には、地上局側操作結果記憶部61が備えられている。
【0041】
建設機械1の車体2には、車体内コントローラ20が設けられている。車体内コントローラ20は、エンジンコントローラ20Aと、モニタコントローラ20Bと、通信コントローラ20Cとを含んで構成されている。エンジンコントローラ20Aは、操作結果計測部21と、車体側通信部22と、認証制御部23と、エンジン制御部26とを含んで構成されている。
【0042】
モニタコントローラ20Bは、第1の車体側操作結果記憶部24と、第1の車体側書き込み制御部25と、表示制御部27と、第2の車体側操作結果記憶部28と、第1の車体側読み出し制御部29と、第2の車体側書き込み制御部30と、第2の車体側読み出し制御部31とを含んで構成されている。なお、これら第1の車体側操作結果記憶部24、第1の車体側書き込み制御部25、表示制御部27、第2の車体側操作結果記憶部28、第1の車体側読み出し制御部29、第2の車体側書き込み制御部30、第2の車体側読み出し制御部31を通信コントローラ20Cに設けるようにしてもよい。
【0043】
図1に示すように、建設機械1の車体2には、エンジン3が設けられている。エンジン3は、エンジンコントローラ20Aによって制御される。エンジンコントローラ20Aの操作結果計測部21では、燃料消費量の情報が計測される。
【0044】
まず、単位時間ΔT当りに、エンジン3の気筒内に噴射される燃料の消費量ΔL(単位はリットルL)が計測される。単位時間ΔTは、たとえば1秒である。単位時間ΔT当りの燃料消費量ΔLのことを、瞬間燃料消費量ΔL/ΔTというものとする。また、単位時間ΔT当りの燃料消費量ΔLの累積値のことを、累積燃料消費量SL(単位はリットルLである)というものとする。累積燃料消費量SLは、下記式のごとく、瞬間燃料消費量ΔL/ΔTの積算値に、その燃料消費に要した時間Tを掛け算することにより得られる。
【0045】
SL=(ΔL/ΔT+ΔL/ΔT+ΔL/ΔT+…)×T …(1)
また、累積燃料消費量SLの時間平均値で、リットルL/時間Hの単位に換算した値のことを、平均燃料消費量ΔLaというものとする。平均燃料消費量ΔLaは、累積燃料消費量SL(単位はリットルL)を、その燃料消費に要したエンジン稼働時間SMR(単位は時間H)で割り算することにより得られる。
【0046】
エンジンコントローラ20Aの操作結果計測部21では、エンジン稼動時間SMR(単位は時間H)がサービスメータの積算値として積算される。
【0047】
エンジン3は、スタータモータ4が作動することにより始動する。エンジンコントローラ20Aのエンジン制御部26は、認証制御部23で認証がなされると、エンジン3の始動を許可する。すなわち、キー手段50がエンジン始動のための操作、つまりエンジン始動オン操作をすると、認証がなされたことを条件として、スタータモータ4が作動し、エンジン3が始動する。
【0048】
建設機械1の車体2には、送受信手段7が設けられている。送受信手段7は、アンテナ7aを介して地上局160との間で相互にデータを送受信する。送受信手段7は、通信コントローラ20Cによって制御される。
【0049】
建設機械1の車体2の運転室2aには、モニタパネル8が設けられている。モニタパネル8には、表示装置40が設けられている。モニタパネル8の表示装置40の表示画面40aには、図3で後述するように、オペレータにとって必要な情報が表示される。モニタパネル8は、モニタコントローラ20Bによって制御される。
【0050】
建設機械1の車体2内には、エンジンコントローラ20Aと、モニタコントローラ20Bと、通信コントローラ20Cとがシリアル通信が可能となるように信号線14によってデジーチェーン状に接続されており、車体内ネットワーク15を構成している。なお、実際の建設機械1には、エンジンコントローラ20A、モニタコントローラ20B、通信コントローラ20C以外の車体内コントローラが存在するが、図1では、本発明に係る部分のみ示している。
【0051】
信号線14上には所定のプロトコルのフレーム信号、たとえばCAN(private)のフレーム信号が伝送される。フレーム信号が各コントローラ20A、20B、20Cに伝送されるとフレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラ20A、20B、20Cに接続された制御対象機器、アクチュエータ(エンジン3、モニタパネル8、送受信手段7など)に駆動信号が出力されこれら各制御対象機器、アクチュエータが駆動制御されるとともに、各コントローラ20A、20B、20Cに接続された各センサで検出された検出データあるいは制御対象機器内部の情報を示すデータが取得されフレーム信号に記述される。
【0052】
上述した各コントローラで取得されたデータはフレーム信号に記述され、信号線14を介して通信コントローラ20Cに送出される。
【0053】
通信コントローラ20Cでは、フレーム信号に記述されたデータが取り出される。
【0054】
通信コントローラ20Cでは、車体内で取得されたデータを地上局160における処理に適合した形式に加工する処理が行われ、車体内部情報DTが作成される。
【0055】
車体内部情報DTの送信は、地上局160からの要求に応じて行われる。
【0056】
建設機械1の車体2から離れた場所には、地上局160が設けられている。地上局160は、送受信手段60と、サーバ161を含んで構成されている。サーバ161には、データベースとして構築された地上局側操作結果記憶部61が備えられている。
【0057】
建設機械1の車体2および地上局160のサーバ161から離れた場所には、端末80が設けられている。
【0058】
建設機械1の送受信手段7と地上局160の送受信手段60とは、有線または無線の通信線71によって通信自在に接続されている。地上局160のサーバ161と端末80とは、図示しない送受信手段を介して有線または無線の通信線72、たとえばインターネットによって通信自在に接続されている。
【0059】
サーバ161は、WWW(ワールド ワイド ウエブ)のサービスを提供すべくHTTP(ハイパー テキスト トランスファー プロトコル)サーバとして機能する。サーバ131は、HTML(ハイバー テキスト マークアップ ランゲージ)で記述されたインターネット情報画面を要求元の端末80の表示装置に表示する。
【0060】
図4(a)は、地上局側操作結果記憶部61に記憶されたデータの内容を示している。
【0061】
同図4(a)に示すように、地上局側操作結果記憶部61は、複数の建設機械1、1、1…の内部情報DTに基づき作成されたものである。地上局側操作結果記憶部61には、複数の建設機械1、1、1…の平均燃料消費量ΔLa(単位はリットルL/時間H)のデータが記憶されている。
【0062】
平均燃料消費量ΔLaは、建設機械1の種類(機種、型式)毎に分類されて記憶されている。さらに平均燃料消費量ΔLaは、全世界の建設機械1の種類毎に、また、各国(日本国、米国など)の建設機械1の種類毎に、また各ユーザが所有する建設機械1の種類毎に、分類されて記憶されている。建設機械1の種類は、機種および形式によって特定される。たとえば油圧ショベルは、機種「PC200」および型式「8」の組み合わせ、つまり「PC200−8」というデータの内容で建設機械1の種類を特定することができる。同様にして、「PC220−8」、「PC400−7」、「D155−5」、「LW250M−5」、「WA380−5」という各機種、各型式の組み合わせて、建設機械1の種類が特定される。「全世界毎の建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1であれば、同種類(「PC200−8」)の世界中に存在する多数の建設機械1、1、1…についての平均燃料消費量ΔLa(たとえば11.3(L/H))のことである。同様に、「各国の建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1で、国が日本であれば、同種類(「PC200−8」)の日本中に存在する多数の建設機械1、1、1…についての平均燃料消費量ΔLa(たとえば11.7(L/H))のことである。同様に、「各ユーザが所有する建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1で、ユーザが「CDE土木(株)」であれば、同ユーザ(「CDE土木(株)」)が所有する同種類(「PC200−8」)の建設機械1について各オペレータが運転操作したときの平均燃料消費量ΔLa(たとえば12.8(L/H))のことである。
【0063】
個々の建設機械1は、上述した建設機械1の種類と、製造番号との組み合わせによって特定される。たとえば、建設機械1の種類が「PC200−8」で製造番号が「123」であれば、それらの組み合わせのデータ「PC200−8−123」でその建設機械1を特定することができる。このように建設機械1の種類と製造番号の組み合わせからなり、個々の建設機械1を特定し他の建設機械1から識別できる符号のことを、本明細書では、建設機械識別IDと呼ぶものとする。たとえば、「PC200−8−123」という建設機械1であれば、その建設機械1の建設機械識別IDの内容は、「PC200−8−123」であるとして説明する。
【0064】
また、本明細書では、各オペレータが個別にキー手段50を所有していることを前提としている。そこで、オペレータ個人、キー手段50自身を特定し他のオペレータ、他のキー手段50から識別できる符号のことを、オペレータ識別IDと呼ぶこととする。たとえば、オペレータが「A山B太郎」であるとすると、そのオペレータ、そのオペレータが所有するキー手段50のオペレータ識別IDの内容は、「A山B太郎」であるとして説明する。また、以下では、オペレータ「A山B太郎」は、ユーザ「CDE土木(株)」の管理下にあるオペレータであり、「PC200−8−123」という建設機械1を「X月Y日」に運転操作するものとして説明する。
【0065】
一方、図4(b)は、キー手段50のキー側操作結果記憶部53に記憶されたデータの内容を示している。
【0066】
キー側操作結果記憶部53には、オペレータ識別IDで特定されるオペレータ(「A山B太郎」)が運転操作した各建設機械1、1、1…の過去の燃料消費量の情報が記憶されている。各建設機械1、1、1…は、ユーザ「CDE土木(株)」が所有する各建設機械1、1、1…(「PC200−8−123」、「PC220−8−124」、「PC400−7−125」、「D155−5−126」、「LW250M−5−127」、「WA380−5−128」)のことである。燃料消費量の情報とは、累積エンジン稼動時間SMR(単位H)と、累積燃料消費量SL(単位L)のことである。たとえば、オペレータ識別IDで特定されるオペレータ(「A山B太郎」)は、過去に「PC200−8−123」という建設機械1に、「230」時間搭乗しており、その搭乗時間における累積燃料消費量SLは、「2346」リットルであるという内容のデータが記憶されている。以下では、キー手段50側に記憶されている累積エンジン稼動時間SMR、累積燃料消費量SLをそれぞれ、後述する制御アルゴリズムの説明の便宜上、Skey、Nkeyとして説明する。
【0067】
以下、図5、図6に示すフローチャートを参照して本実施例における処理手順について説明する。
【0068】
図5に示すように、オペレータがキー手段50をキーオン操作すると(図2参照、ステップ201の判断YES)、キー手段50のキー側通信部52と、エンジンコントローラ20Aの車体側通信部22とが車体内ネットワーク15を介して相互に送受信可能な状態になる。
【0069】
そこで、車体内コントローラ20の認証制御部23では、キーオン操作に応じて車体側通信部22を介してキー手段50のオペレータ識別ID記憶部51に記憶されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)を取り込み、車体2側で登録されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)と照合して両者が一致することを認証する(ステップ202)。
【0070】
認証制御部23で認証がなされると(ステップ202の判断YES)、第1の車体側書き込み制御部25は、自己の建設機械1を識別する建設機械識別ID(「PC200−8−123」)を車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側読み出し制御部54は、建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkeyをキー側操作結果記憶部53(図4(b)参照)から読み出してキー側通信部52を介して車体内ネットワーク15に送出する。これにより第1の車体側書き込み制御部25は、キー側読み出し制御部54によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkeyを取り込み、第1の車体側操作結果記憶部24に自己の建設機械1の過去の燃料消費量情報(「A山B太郎」が運転操作した「PC200−8−123」の過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkey)として書き込む。
【0071】
また、新たな累積燃料消費量Ntmp、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpが0にクリアされる(ステップ203)。
認証制御部23で認証がなされると(ステップ202の判断YES)、エンジン制御部26は、エンジン3の始動を許可する(ステップ204)。すなわち、キー手段50がエンジン始動のためにエンジンオン操作されると、認証がなされたことを条件(ステップ202の判断がYESであること)として、スタータモータ4が作動し、エンジン3が始動する(図2参照;ステップ204の判断YES)。
【0072】
エンジン稼働中は、操作結果計測部21で瞬間燃料消費量ΔL/ΔTが計測される。そして、上記(1)式の演算処理を単位時間ΔTごとに行う。それにより次式(2)のごとく新たな累積燃料消費量Ntmpの内容を単位時間ΔTごとに更新する。
【0073】
Ntmp+(ΔL/ΔT×ΔT)→Ntmp …(2)
第2の車体側操作結果記憶部28には、新たな累積燃料消費量Ntmpが、オペレータ識別ID(「A山B太郎」)および建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて記憶される(ステップ205)
また、一定時間ΔT(1秒)が経過するごとに、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpの内容が次式(3)のように更新される。
【0074】
Ctmp+1(秒)→Ctmp …(3)
第2の車体側操作結果記憶部28には、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpがオペレータ識別ID(「A山B太郎」)および建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて記憶される(ステップ206)
第1の車体側操作結果記憶部24には、オペレータ識別ID「A山B太郎」、建設機械識別ID「PC200−8−123」に関連する過去の燃料消費量情報が下記に示すように、記憶されている(図4(a)、(b)参照)。
【0075】
・全世界の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(「全世界の平均燃費」;たとえば11.3L/H)
・日本国の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(「日本の平均燃費」;たとえば11.7L/H)
・ 「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の平均料消費量ΔLa(「今までの平均燃費」;たとえば10.2L/H)
これは、過去の累積燃料消費量Nkeyを、過去の累積エンジン稼動時間Skeyで
割り算することにより取得される。
【0076】
・ 「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去累積
エンジン稼動時間Skey(「今までの累積運転時間」:230H)
一方、第2の車体側操作結果記憶部28には、エンジン3が始動されてからの新たな累積燃料消費量Ntmp、エンジン3が始動されてからの新たな累積エンジン稼動時間Ctmpが上記(2)、(3)式のごとく演算によって得られ、記憶される。第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されたデータから下記に示すように、燃料消費量情報が得られる。
【0077】
・「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)平均燃料消費量ΔLa(「今日の平均燃費」;たとえば12.3L/H)
これは、新たな累積燃料消費量Ntmpを、新たな累積燃料消費量Ctmpで割り算す
ることにより取得される。
【0078】
・「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)新たな累積エンジン稼動時間Ctmp(「今日の累積運転時間」;たとえば4.1H)
そこで、オペレータが建設機械1を運転操作中、表示制御部27は、上述した1の車体側操作結果記憶部24および第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された燃料消費量情報を用いて、モニタパネル8の表示装置40の表示画面40aに、図3に示す表示を行う。
【0079】
すなわち、同図3に示すごとく、表示画面40aの「全世界の平均燃費」という表示箇所には、全世界の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(11.3L/H)が表示され、「日本の平均燃費」という表示箇所には、日本国の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(11.7L/H)が表示される。これら表示と併せて、「今までの平均燃費」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の平均料消費量ΔLa(=Nkey/Skey;10.2L/H)が表示され、「今までの累積運転時間」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の累積エンジン稼動時間Skey(「今までの累積運転時間」:230H)が表示される。
【0080】
さらに、表示装置40の表示画面40aの「今日の平均燃費」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)平均燃料消費量ΔLa(=Ntmp/Ctmp;12.3L/H)が表示され、「今日の運転時間」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)新たな累積エンジン稼動時間Ctmp(4.1H)が表示される。
【0081】
表示画面40aへの表示は、図3に示す上述の表示内容をエンジン稼動中常時行ってもよい。また、「今日の平均燃費」が「全世界の平均燃費」あるいは「日本の平均燃費」を上回っているときのみに表示を行う実施も可能である。
【0082】
また、たとえば、油圧ショベルなどでは、作業の負荷の大きさに応じて各種作業モードが選択され、それに応じてエンジン3の最大トルクが変化し、それによって燃料消費量が変動する。よって、現在選択されている作業モードの種類(たとえば「重負荷作業のP1モード」)を併せて表示装置40の表示画面40aに表示させてもよい。これにより図3に示すように、表示装置40の表示画面40aの「現在の使用モード」という表示箇所に、現在選択されている作業モード「P1」(重負荷作業モード)が表示される(ステップ207)。
【0083】
つぎに、キー手段50がキーオフ操作され、エンジン3の稼動が停止する(ステップ208の判断YES)。
【0084】
エンジン3が始動されてからエンジン3の稼動が停止するまで、上記(2)式、上記(3)式で示す演算処理が行われており、キー手段50がキーオフ操作されエンジン3が稼動を停止すると、上記(2)式、上記(3)式で示す演算処理が終了する。このため第2の車体側操作結果記憶部28には、自己の建設機械1(「PC200−8−123」)の「X月Y日」におけるエンジン始動からエンジン稼動停止までの新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpが記憶されることになる。
【0085】
そこで、第1の車体側読み出し制御部29は、キー手段50のキーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械1(「PC200−8−123」)の「X月Y日」におけるエンジン始動からエンジン稼動停止までの新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側書き込み制御部55は、キー側通信部52を介して建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけられた新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp
を取り込む。そして、下記(4)式のごとく、加算演算を行うことにより、取り込んだ新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpに基づきキー側操作結果記憶部53の対応する箇所の燃料消費量情報、つまり「A山B太郎」が運転操作した「PC200−8−123」
の過去の累積エンジン稼動時間Skey、過去の累積燃料消費量Nkey(図4(b)参照)を更新する。
【0086】
Nkey+Ntmp→Nkey
Skey+Ctmp→Skey …(4)
以上のようにしてオペレータ(「A山B太郎」)が所有するキー手段50には、建設機械1を運転操作する毎に、その建設機械1の過去の燃料消費量情報が更新されていく。同じオペレータ(「A山B太郎」)が他の建設機械1、1…を運転操作する場合も同様である。オペレータ(「A山B太郎」)が所有するキー手段50には、各建設機械1、1、1…を運転操作するたびに、各建設機械1、1、1…毎に過去の燃料消費量の情報が更新されていく(ステップ209)。
【0087】
一方、図6に示すように、地上局160からは定期的に、たとえば毎日または一週間ごとに、または1ヶ月ごとに、各建設機械1、1、1…に対して、地上局160側に記憶されている燃料消費量情報を送信するとともに、送信命令指令を送る。
【0088】
すなわち、地上局側操作結果記憶部61から全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が読み出され、建設機械識別IDが「PC200-8-123」の建設機械1に対して最新の燃料消費量情報として送信される。
【0089】
また、地上局160から、建設機械識別IDが「PC200-8-123」の建設機械1に対して送信命令指令が送信される(ステップ301)。
【0090】
建設機械1が送受信手段7で、全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が受信されると、車体内ネットワーク15を介して、第1の操作結果記憶部24に受信した内容が書き込まれる(図4(a)参照;ステップ302)。
【0091】
また、建設機械1が送信命令指令を送受信手段7で受信すると、第2の車体側読み出し制御部31は、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)、建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応する新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを読み出す(ステップ303)。
【0092】
そして、新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpをオペレータ識別ID(「A山B太郎」)、建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて、車体内ネットワーク15を介して建設機械1の送受信部7から地上局160に向けて送信する(ステップ304)。
【0093】
これにより地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶された全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、ユーザ(「CDE土木(株)」)の建設機械(「PC200-8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が、新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを用いて計算し直され、更新される。
【0094】
このようにして個々の建設機械1に記憶されている過去の燃料消費量情報(全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報)は、全世界の多数の建設機械1、1、1…で取得された最新のデータ(新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp)によって更新されるとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の燃料消費量情報(全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、ユーザ(「CDE土木(株)」)の建設機械(「PC200-8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報)についても個々の建設機械1で取得された最新の燃料消費量情報(新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp)によって更新される。
【0095】
なお、上述した実施例では、表示装置40が、建設機械1の運転室2aに設けられているものとし、この表示装置40の表示画面40aに燃料消費量の情報を表示することを想定している。しかし、建設機械1とは別体のものとして表示装置、たとえば携帯電話機の表示画面など、携行自在の端末装置の表示画面に同様の表示を行う実施も可能である。
【0096】
また、上述した実施例では、燃料消費量の情報を、建設機械の種類毎、全世界、国毎、ユーザ毎、オペレータ毎に分類しているが、他の分類方法によって燃料消費量の情報を分類してもよい。たとえば、上述したように、油圧ショベルなどの建設機械は、現在選択されている作業モードの種類によって燃料消費量が異なる。そこで、選択された作業モードの種類によって燃料消費量の情報を分類してもよい。たとえば、作業モードとして重負荷作業モード「P1」と軽負荷作業モード「E」が選択可能である場合には、同一建設機械識別ID「PC200-8-123」の建設機械1から得られた燃料消費量情報であっても、更に重負荷作業モード「P1」選択時に得られた燃料消費量情報(たとえば平均燃料消費量)と、軽負荷作業モード「E」選択時に得られた燃料消費量情報(平均燃料消費量)とに分類される。
【0097】
また、上述した実施例では、「操作結果」が、燃料消費量の情報であるとして説明したが、これはあくまでも一例であり、作業機を操作した時間、回数、作業時におけるエンジン使用回転数、作業時におけるエンジン使用トルクなど、オペレータが建設機械1を操作した結果、得られた情報であれば、任意のものを選択して、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、実施形態の全体の装置構成を示した図である。
【図2】図2は、実施例の装置をブロック図にて示したものである。
【図3】図3は、モニタパネルの表示装置の表示画面の表示例を示した図である。
【図4】図4(a)は、地上局側操作結果記憶部に記憶されたデータの内容を示した図で、図4(b)は、キー手段のキー側操作結果記憶部に記憶されたデータの内容を示した図である。
【図5】図5は、実施例における処理手順を示したフローチャートであり、建設機械とキー手段の間で行われる処理内容を示しものである。
【図6】図6は、実施例における処理手順を示したフローチャートであり、建設機械と地上局の間で行われる処理内容を示しものである。
【符号の説明】
【0099】
100 送受信システム、1 建設機械、160 地上局、50 キー手段、51 オペレータ識別ID記憶部、52 キー側通信部、53 キー側操作結果記憶部、54 キー側読み出し制御部、55 キー側書き込み制御部、61 地上局側操作結果記憶部、20 車体内コントローラ、21 操作結果計測部、22 車体側通信部、23 認証制御部、24 第1の車体側操作結果記憶部、25 第1の車体側書き込み制御部、26 エンジン制御部、27 表示制御部、28 第2の車体側操作結果記憶部、29 第1の車体側読み出し制御部、30 第2の車体側書き込み制御部、31 第2の車体側読み出し制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の送受信システムにおいて、オペレータに運転操作のガイダンスを行うことができる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械は、オペレータの個々の運転操作能力、技量の違いによって、燃料消費量が大きく異なる。
【0003】
また、建設機械は、オペレータによってひとたびエンジンが始動されると、長時間連続して稼動する。たとえば朝、エンジンが始動されると、昼休みに小休止する他は夕方まで連続して稼動する。このような建設機械に特有な使い方では、オペレータの能力、技量の違いによって1日に消費される燃料の量が大きく異なり、燃料コストが大きく異なってくる。このためオペレータを管理する管理者としては、オペレータが建設機械を運転操作するたびに燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを指導、ガイダンスすることが重要な課題となっている。
【0004】
(従来における実施技術1)
建設機械の分野では、地球上の各位置に存在する複数の建設機械と地上局との間でデータを相互に送受信する送受信システムが既に導入されている。この送受信システムでは、複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対して、データを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる。
【0005】
(従来における実施技術2)
建設機械の分野では、一台の建設機械を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械の運転操作を行うという使われ方をする。このため各オペレータはエンジンキーを個別に所有している場合が多く、オペレータが所有しているエンジンキーは、複数台の建設機械のエンジン始動に対応している。
【0006】
(特許文献にみられる従来技術)
特許文献1には、一般自動車の分野において、自動車の整備状態の良否を判断する目的のために燃料消費量を管理するという発明が記載されている。すなわち、特許文献1には、一台の自動車で燃料消費量を各ユーザ毎に記録し、ユーザが運転するたびにそのユーザの過去の平均燃費と最近の平均燃費とを対比して自動車の整備状態の良否を判断するという発明が記載されている。
【特許文献1】特開2002−166999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の発明は、あくまでも自動車の整備状態の良否を判断する目的のために燃料消費量を管理するというものであって、必ずしもオペレータ個人の燃料消費量を、客観的な基準値と比べてオペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを判断するものではない。つまり特許文献1では、ユーザの最近の燃料消費量と対比する比較対象は、自分自身の過去の燃料消費量であって、客観的な基準値ではない。
【0008】
また、特許文献1では、複数のユーザが一台の自動車を運転操作することを想定しているが、ユーザが所有している1つのキーで複数台の自動車を運転操作することまでは想定していない。
【0009】
また、建設機械の分野における既存の送受信システムは、地上局から通信によって建設機械にデータを送ることを前提としている。そこで、管理者としては、オペレータが建設機械を運転操作するたびに、燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを通信にて地上局側から建設機械側に送ることが考えられる。
【0010】
しかし、世界中の多数の建設機械に対して、オペレータが運転操作を変わる毎に必要なデータを送ることは、通信負荷が大きくなるという問題が起きるおそれがある。また、通信状況が良くない状況では、データそのものを地上局から建設機械に送ることが困難になる。
【0011】
a)本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、通信負荷が大きくなることを回避するとともに、通信状況が良くない状況でも確実に、建設機械の車体内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込めるようにすることを課題とするものである。
【0012】
b)また、本発明は、一台の建設機械を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械の運転操作を行うという使われ方に好適なシステムを構築することを課題とするものである。
【0013】
c)また、本発明は、オペレータ個人の運転操作結果(たとえば燃料消費量)を、客観的な基準値と比べることで、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明は、
複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対してデータを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる建設機械の送受信システムに適用され、
携行自在のキー手段には、
オペレータを識別するオペレータ識別IDを記憶するオペレータ識別ID記憶部と、
キーオン操作に応じて建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラと送受信を行うキー側通信部と、
オペレータが操作した過去の建設機械の操作結果を、建設機械を識別する建設機械識別IDに対応づけて記憶するキー側操作結果記憶部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部から読み出してキー側通信部を介して車体内ネットワークに送出するキー側読み出し制御部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部の対応する箇所の操作結果を更新するキー側書き込み制御部と
が備えられ、
地上局には、
複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する地上局側操作結果記憶部
が備えられ、
車体内コントローラには、
操作結果を計測する操作結果計測部と、
車体内ネットワークに接続され、キー側通信部と送受信を行う車体側通信部と、
キーオン操作に応じて車体側通信部を介してキー手段のオペレータ識別ID記憶部に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する認証制御部と、
キー側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果を記憶するとともに、地上局の地上局側操作結果記憶部に記憶された複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する第1の車体側操作結果記憶部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、自己の建設機械を識別する建設機械識別IDを車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出して、キー側読み出し制御部によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部に自己の建設機械の過去の操作結果として書き込む第1の車体側書き込み制御部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、エンジン始動を許可するエンジン制御部と、
第1の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置に表示させる表示制御部と、
エンジンが始動されてからエンジンの稼動が停止するまでに操作結果計測部で計測された操作結果を、自己の建設機械における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけて記憶する第2の車体側操作結果記憶部と、
キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出する第1の車体側読み出し制御部と、
地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に記憶されている複数の建設機械の過去の操作結果を取り込み、第1の操作結果記憶部に書き込む第2の車体側書き込み制御部と、
第2の車体側操作結果記憶部に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に送出する第2の車体側読み出し制御部と
が備えられている建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置であることを特徴とする。
【0015】
第2発明は、第1発明において、
操作結果は、燃料消費量の情報であること
を特徴とする。
【0016】
第3発明は、
建設機械の運転室に設けられた表示装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする。
【0017】
第4発明は、第1発明において、
携行自在の端末装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする。
【0018】
第5発明は、第2発明において、
表示装置には、現在の燃料消費量の情報が併せて表示されること
を特徴とする。
【0019】
第1発明では、図5に示すように、オペレータがキー手段50をキーオン操作すると(ステップ201の判断YES)、キー手段50のキー側通信部52と、車体内コントローラ20の車体側通信部22とが車体内ネットワーク15を介して相互に送受信可能な状態になる。
【0020】
そこで、車体内コントローラ20の認証制御部23では、キーオン操作に応じて車体側通信部22を介してキー手段50のオペレータ識別ID記憶部51に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する(ステップ202)。
【0021】
認証制御部23で認証がなされると、第1の車体側書き込み制御部25は、自己の建設機械1を識別する建設機械識別IDを車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側読み出し制御部54は、建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部53から読み出してキー側通信部52を介して車体内ネットワーク15に送出する。これにより第1の車体側書き込み制御部25は、キー側読み出し制御部54によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部24に自己の建設機械1の過去の操作結果として書き込む(ステップ203)。ここで、「操作結果」とは、燃料消費量の情報、作業機を操作した時間、回数、作業時におけるエンジン使用回転数、作業時におけるエンジン使用トルクなど、オペレータが建設機械1を操作した結果、得たれた情報であれば、任意のものを選択することができる。第2発明では、操作結果は、燃料消費量の情報である。
【0022】
認証制御部23で認証がなされると、エンジン制御部26は、エンジン3の始動を許可する。すなわち、キー手段50がエンジン始動のためのエンジン始動操作をすると、認証がなされたこと(ステップ202の判断がYESであること)を条件として、スタータモータ4を作動させ、エンジン3を始動させる(ステップ204)。
【0023】
第1の車体側操作結果記憶部24には、キー側操作結果記憶部53に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果が記憶されているとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶された複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果が記憶されている。そこで、オペレータが建設機械1を運転操作中、表示制御部27は、第1の車体側操作結果記憶部24に記憶された自己の建設機械1おける過去の操作結果を表示装置40に表示させる。よって、オペレータは、オペレータ個人の運転操作結果を、客観的な基準値と比べることで、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようにすることができる。一方、オペレータ、建設機械1を管理する管理者としては、オペレータが建設機械1を運転操作するたびに、燃料消費量を極力小さく抑えるようにオペレータを的確に指導、ガイダンスすることができる。表示装置40には、現在の燃料消費量情報を併せて表示させてもよい(図3参照;第5発明)。
【0024】
建設機械1の運転室2aに設けられた表示装置40の表示画面40aに上述の表示を行ってもよく(図1参照;第3発明)、携行自在の端末装置の表示画面(たとえば携帯電話機の表示画面;第4発明)に同様の表示を行ってもよい(ステップ207)。
【0025】
エンジン稼働中は、操作結果計測部21で操作結果が計測される。第2の車体側操作結果記憶部28には、エンジン3が始動されてからエンジン3の稼動が停止するまでに操作結果計測部21で計測された操作結果が、自己の建設機械1における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけられて記憶される(ステップ205、206)。
【0026】
第1の車体側読み出し制御部29は、キーオフ操作(ステップ208)に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械1における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側書き込み制御部55は、キー側通信部52を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部53の対応する箇所の操作結果を更新する。以上のようにしてオペレータが所有するキー手段50には、建設機械1を運転操作する毎に、その建設機械1の過去の操作結果のデータが更新されていく。同じオペレータが他の建設機械1、1…を運転操作する場合も同様である。オペレータが所有するキー手段50には、各建設機械1、1、1…を運転操作するたびに、各建設機械1、1、1…毎に過去の操作結果のデータが更新されていく(図4(b)参照;ステップ209)。
【0027】
一方、図6に示すように、第2の車体側書き込み制御部30は、地上局160と送受信することにより(ステップ301)、地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果を車体2内に取り込み、第1の操作結果記憶部24に書き込む(ステップ302)。
【0028】
また、第2の車体側読み出し制御部31は、地上局160と送受信することにより(ステップ301)、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し(ステップ303)、地上局160と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部61に送出する(ステップ304)。これにより個々の建設機械1に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果のデータは、全世界の多数の建設機械1、1、1…で取得された最新のデータによって更新されるとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の操作結果のデータについても個々の建設機械1で取得された最新のデータによって更新される。
【0029】
以上のように本発明によれば、つぎのような効果が得られる。
【0030】
a)キー手段50と建設機械1の車体2との間で送受信を行うことにより、建設機械1の車体2内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込むことができる。よって、オペレータが運転操作するたびに、建設機械1と地上局160との間で送受信を行って地上局160にあるデータを建設機械1側に取り込むことは必ずしも必要ではない。
【0031】
よって、オペレータが運転操作する毎に地上局160と建設機械1との間で送受信を行うことが回避され、それによって通信負荷が大きくなることを回避できる。また通信状況が良くない状況でも確実に、建設機械1の車体2内にオペレータを指導、ガイダンスするためのデータを取り込むことが可能となる。
【0032】
b)オペレータ個人がそれぞれ所有するキー手段50には、オペレータが各建設機械1、1、1…を運転操作する毎に、建設機械1の種類毎に過去の操作結果のデータが更新される。このため、一台の建設機械1を複数のオペレータが運転操作し、逆に一人のオペレータは複数台の建設機械1、1、1…の運転操作を行うという使われ方に好適なシステムを構築することができる。
【0033】
c)オペレータ個人の運転操作結果(たとえば平均燃料消費量)を、客観的な基準値(世界中の多数の建設機械1、1、1…で取得された平均燃料消費量)と比べることができ、オペレータ個人の運転操作能力、技量が良いか悪いかを正確に判断できるようになる。
【0034】
d)また、地上局160側には、ユーザ毎の燃料消費量の情報が、全世界の燃料消費量の情報、国毎の燃料消費量の情報と併せて記憶されていることから(図4(a)参照)、端末80から地上局160のサーバ161にアクセスすることにより、これら燃料消費量の情報を端末80の画面上に表示させることができる。このためユーザの管理者の社長は、たとえば自己の会社が所有する建設機械の平均燃料消費量を全世界の平均燃料消費量や日本の平均燃料消費量と比較することができる。これによりユーザの支配下にある全オペレータに対して的確に燃費改善等の指導を行うことができる。なお、地上局160側で、各オペレータ毎に燃料消費量情報を分類して記憶してもよい。これにより、ユーザの管理者の社長は、たとえば自己の会社が所有する建設機械の平均燃料消費量を、オペレータ個人毎に、全世界の平均燃料消費量や日本の平均燃料消費量と比較することができる。これによりユーザの支配下にある各オペレータ個別に的確に燃費改善等の指導を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明に係る「建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置」の実施の形態について説明する。なお、以下では、建設機械として油圧ショベルを想定して説明する。また、以下では、本発明における「操作結果」が「燃料消費量の情報」であるとして説明する。
【0036】
図1は、実施形態の全体の装置構成を示している。また、図2は、実施形態の構成をブロック図にて示している。
【0037】
実施例の送受信システム100では、複数の建設機械1、1、1…の個々の建設機械1の車体内ネットワーク15を介して車体内コントローラ20から取り込まれた内部情報DTを地上局160に送信するとともに、地上局160で複数の建設機械1、1、1…の内部情報DTを受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局160から個々の建設機械1に対してデータを送信し、個々の建設機械1では、受信したデータに基づき処理が行われる。
【0038】
すなわち、本発明に係る装置は、大きくは、オペレータが所有し、携行自在のキー手段50と、複数の建設機械1、1、1…と、地上局160とからなる。
【0039】
図2に示すように、キー手段50には、オペレータ識別ID記憶部51と、キー側通信部52と、キー側操作結果記憶部53と、キー側読み出し制御部54と、キー側書き込み制御部55とが備えられている。キー手段50は、電子IDキーまたはRFIDなどによって構成されている。
【0040】
地上局160には、地上局側操作結果記憶部61が備えられている。
【0041】
建設機械1の車体2には、車体内コントローラ20が設けられている。車体内コントローラ20は、エンジンコントローラ20Aと、モニタコントローラ20Bと、通信コントローラ20Cとを含んで構成されている。エンジンコントローラ20Aは、操作結果計測部21と、車体側通信部22と、認証制御部23と、エンジン制御部26とを含んで構成されている。
【0042】
モニタコントローラ20Bは、第1の車体側操作結果記憶部24と、第1の車体側書き込み制御部25と、表示制御部27と、第2の車体側操作結果記憶部28と、第1の車体側読み出し制御部29と、第2の車体側書き込み制御部30と、第2の車体側読み出し制御部31とを含んで構成されている。なお、これら第1の車体側操作結果記憶部24、第1の車体側書き込み制御部25、表示制御部27、第2の車体側操作結果記憶部28、第1の車体側読み出し制御部29、第2の車体側書き込み制御部30、第2の車体側読み出し制御部31を通信コントローラ20Cに設けるようにしてもよい。
【0043】
図1に示すように、建設機械1の車体2には、エンジン3が設けられている。エンジン3は、エンジンコントローラ20Aによって制御される。エンジンコントローラ20Aの操作結果計測部21では、燃料消費量の情報が計測される。
【0044】
まず、単位時間ΔT当りに、エンジン3の気筒内に噴射される燃料の消費量ΔL(単位はリットルL)が計測される。単位時間ΔTは、たとえば1秒である。単位時間ΔT当りの燃料消費量ΔLのことを、瞬間燃料消費量ΔL/ΔTというものとする。また、単位時間ΔT当りの燃料消費量ΔLの累積値のことを、累積燃料消費量SL(単位はリットルLである)というものとする。累積燃料消費量SLは、下記式のごとく、瞬間燃料消費量ΔL/ΔTの積算値に、その燃料消費に要した時間Tを掛け算することにより得られる。
【0045】
SL=(ΔL/ΔT+ΔL/ΔT+ΔL/ΔT+…)×T …(1)
また、累積燃料消費量SLの時間平均値で、リットルL/時間Hの単位に換算した値のことを、平均燃料消費量ΔLaというものとする。平均燃料消費量ΔLaは、累積燃料消費量SL(単位はリットルL)を、その燃料消費に要したエンジン稼働時間SMR(単位は時間H)で割り算することにより得られる。
【0046】
エンジンコントローラ20Aの操作結果計測部21では、エンジン稼動時間SMR(単位は時間H)がサービスメータの積算値として積算される。
【0047】
エンジン3は、スタータモータ4が作動することにより始動する。エンジンコントローラ20Aのエンジン制御部26は、認証制御部23で認証がなされると、エンジン3の始動を許可する。すなわち、キー手段50がエンジン始動のための操作、つまりエンジン始動オン操作をすると、認証がなされたことを条件として、スタータモータ4が作動し、エンジン3が始動する。
【0048】
建設機械1の車体2には、送受信手段7が設けられている。送受信手段7は、アンテナ7aを介して地上局160との間で相互にデータを送受信する。送受信手段7は、通信コントローラ20Cによって制御される。
【0049】
建設機械1の車体2の運転室2aには、モニタパネル8が設けられている。モニタパネル8には、表示装置40が設けられている。モニタパネル8の表示装置40の表示画面40aには、図3で後述するように、オペレータにとって必要な情報が表示される。モニタパネル8は、モニタコントローラ20Bによって制御される。
【0050】
建設機械1の車体2内には、エンジンコントローラ20Aと、モニタコントローラ20Bと、通信コントローラ20Cとがシリアル通信が可能となるように信号線14によってデジーチェーン状に接続されており、車体内ネットワーク15を構成している。なお、実際の建設機械1には、エンジンコントローラ20A、モニタコントローラ20B、通信コントローラ20C以外の車体内コントローラが存在するが、図1では、本発明に係る部分のみ示している。
【0051】
信号線14上には所定のプロトコルのフレーム信号、たとえばCAN(private)のフレーム信号が伝送される。フレーム信号が各コントローラ20A、20B、20Cに伝送されるとフレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラ20A、20B、20Cに接続された制御対象機器、アクチュエータ(エンジン3、モニタパネル8、送受信手段7など)に駆動信号が出力されこれら各制御対象機器、アクチュエータが駆動制御されるとともに、各コントローラ20A、20B、20Cに接続された各センサで検出された検出データあるいは制御対象機器内部の情報を示すデータが取得されフレーム信号に記述される。
【0052】
上述した各コントローラで取得されたデータはフレーム信号に記述され、信号線14を介して通信コントローラ20Cに送出される。
【0053】
通信コントローラ20Cでは、フレーム信号に記述されたデータが取り出される。
【0054】
通信コントローラ20Cでは、車体内で取得されたデータを地上局160における処理に適合した形式に加工する処理が行われ、車体内部情報DTが作成される。
【0055】
車体内部情報DTの送信は、地上局160からの要求に応じて行われる。
【0056】
建設機械1の車体2から離れた場所には、地上局160が設けられている。地上局160は、送受信手段60と、サーバ161を含んで構成されている。サーバ161には、データベースとして構築された地上局側操作結果記憶部61が備えられている。
【0057】
建設機械1の車体2および地上局160のサーバ161から離れた場所には、端末80が設けられている。
【0058】
建設機械1の送受信手段7と地上局160の送受信手段60とは、有線または無線の通信線71によって通信自在に接続されている。地上局160のサーバ161と端末80とは、図示しない送受信手段を介して有線または無線の通信線72、たとえばインターネットによって通信自在に接続されている。
【0059】
サーバ161は、WWW(ワールド ワイド ウエブ)のサービスを提供すべくHTTP(ハイパー テキスト トランスファー プロトコル)サーバとして機能する。サーバ131は、HTML(ハイバー テキスト マークアップ ランゲージ)で記述されたインターネット情報画面を要求元の端末80の表示装置に表示する。
【0060】
図4(a)は、地上局側操作結果記憶部61に記憶されたデータの内容を示している。
【0061】
同図4(a)に示すように、地上局側操作結果記憶部61は、複数の建設機械1、1、1…の内部情報DTに基づき作成されたものである。地上局側操作結果記憶部61には、複数の建設機械1、1、1…の平均燃料消費量ΔLa(単位はリットルL/時間H)のデータが記憶されている。
【0062】
平均燃料消費量ΔLaは、建設機械1の種類(機種、型式)毎に分類されて記憶されている。さらに平均燃料消費量ΔLaは、全世界の建設機械1の種類毎に、また、各国(日本国、米国など)の建設機械1の種類毎に、また各ユーザが所有する建設機械1の種類毎に、分類されて記憶されている。建設機械1の種類は、機種および形式によって特定される。たとえば油圧ショベルは、機種「PC200」および型式「8」の組み合わせ、つまり「PC200−8」というデータの内容で建設機械1の種類を特定することができる。同様にして、「PC220−8」、「PC400−7」、「D155−5」、「LW250M−5」、「WA380−5」という各機種、各型式の組み合わせて、建設機械1の種類が特定される。「全世界毎の建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1であれば、同種類(「PC200−8」)の世界中に存在する多数の建設機械1、1、1…についての平均燃料消費量ΔLa(たとえば11.3(L/H))のことである。同様に、「各国の建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1で、国が日本であれば、同種類(「PC200−8」)の日本中に存在する多数の建設機械1、1、1…についての平均燃料消費量ΔLa(たとえば11.7(L/H))のことである。同様に、「各ユーザが所有する建設機械1の種類毎の平均燃料消費量ΔLa」とは、たとえば「PC200−8」という建設機械1で、ユーザが「CDE土木(株)」であれば、同ユーザ(「CDE土木(株)」)が所有する同種類(「PC200−8」)の建設機械1について各オペレータが運転操作したときの平均燃料消費量ΔLa(たとえば12.8(L/H))のことである。
【0063】
個々の建設機械1は、上述した建設機械1の種類と、製造番号との組み合わせによって特定される。たとえば、建設機械1の種類が「PC200−8」で製造番号が「123」であれば、それらの組み合わせのデータ「PC200−8−123」でその建設機械1を特定することができる。このように建設機械1の種類と製造番号の組み合わせからなり、個々の建設機械1を特定し他の建設機械1から識別できる符号のことを、本明細書では、建設機械識別IDと呼ぶものとする。たとえば、「PC200−8−123」という建設機械1であれば、その建設機械1の建設機械識別IDの内容は、「PC200−8−123」であるとして説明する。
【0064】
また、本明細書では、各オペレータが個別にキー手段50を所有していることを前提としている。そこで、オペレータ個人、キー手段50自身を特定し他のオペレータ、他のキー手段50から識別できる符号のことを、オペレータ識別IDと呼ぶこととする。たとえば、オペレータが「A山B太郎」であるとすると、そのオペレータ、そのオペレータが所有するキー手段50のオペレータ識別IDの内容は、「A山B太郎」であるとして説明する。また、以下では、オペレータ「A山B太郎」は、ユーザ「CDE土木(株)」の管理下にあるオペレータであり、「PC200−8−123」という建設機械1を「X月Y日」に運転操作するものとして説明する。
【0065】
一方、図4(b)は、キー手段50のキー側操作結果記憶部53に記憶されたデータの内容を示している。
【0066】
キー側操作結果記憶部53には、オペレータ識別IDで特定されるオペレータ(「A山B太郎」)が運転操作した各建設機械1、1、1…の過去の燃料消費量の情報が記憶されている。各建設機械1、1、1…は、ユーザ「CDE土木(株)」が所有する各建設機械1、1、1…(「PC200−8−123」、「PC220−8−124」、「PC400−7−125」、「D155−5−126」、「LW250M−5−127」、「WA380−5−128」)のことである。燃料消費量の情報とは、累積エンジン稼動時間SMR(単位H)と、累積燃料消費量SL(単位L)のことである。たとえば、オペレータ識別IDで特定されるオペレータ(「A山B太郎」)は、過去に「PC200−8−123」という建設機械1に、「230」時間搭乗しており、その搭乗時間における累積燃料消費量SLは、「2346」リットルであるという内容のデータが記憶されている。以下では、キー手段50側に記憶されている累積エンジン稼動時間SMR、累積燃料消費量SLをそれぞれ、後述する制御アルゴリズムの説明の便宜上、Skey、Nkeyとして説明する。
【0067】
以下、図5、図6に示すフローチャートを参照して本実施例における処理手順について説明する。
【0068】
図5に示すように、オペレータがキー手段50をキーオン操作すると(図2参照、ステップ201の判断YES)、キー手段50のキー側通信部52と、エンジンコントローラ20Aの車体側通信部22とが車体内ネットワーク15を介して相互に送受信可能な状態になる。
【0069】
そこで、車体内コントローラ20の認証制御部23では、キーオン操作に応じて車体側通信部22を介してキー手段50のオペレータ識別ID記憶部51に記憶されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)を取り込み、車体2側で登録されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)と照合して両者が一致することを認証する(ステップ202)。
【0070】
認証制御部23で認証がなされると(ステップ202の判断YES)、第1の車体側書き込み制御部25は、自己の建設機械1を識別する建設機械識別ID(「PC200−8−123」)を車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側読み出し制御部54は、建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkeyをキー側操作結果記憶部53(図4(b)参照)から読み出してキー側通信部52を介して車体内ネットワーク15に送出する。これにより第1の車体側書き込み制御部25は、キー側読み出し制御部54によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkeyを取り込み、第1の車体側操作結果記憶部24に自己の建設機械1の過去の燃料消費量情報(「A山B太郎」が運転操作した「PC200−8−123」の過去の累積エンジン稼動時間Skeyおよび累積燃料消費量Nkey)として書き込む。
【0071】
また、新たな累積燃料消費量Ntmp、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpが0にクリアされる(ステップ203)。
認証制御部23で認証がなされると(ステップ202の判断YES)、エンジン制御部26は、エンジン3の始動を許可する(ステップ204)。すなわち、キー手段50がエンジン始動のためにエンジンオン操作されると、認証がなされたことを条件(ステップ202の判断がYESであること)として、スタータモータ4が作動し、エンジン3が始動する(図2参照;ステップ204の判断YES)。
【0072】
エンジン稼働中は、操作結果計測部21で瞬間燃料消費量ΔL/ΔTが計測される。そして、上記(1)式の演算処理を単位時間ΔTごとに行う。それにより次式(2)のごとく新たな累積燃料消費量Ntmpの内容を単位時間ΔTごとに更新する。
【0073】
Ntmp+(ΔL/ΔT×ΔT)→Ntmp …(2)
第2の車体側操作結果記憶部28には、新たな累積燃料消費量Ntmpが、オペレータ識別ID(「A山B太郎」)および建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて記憶される(ステップ205)
また、一定時間ΔT(1秒)が経過するごとに、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpの内容が次式(3)のように更新される。
【0074】
Ctmp+1(秒)→Ctmp …(3)
第2の車体側操作結果記憶部28には、新たな累積エンジン稼動時間Ctmpがオペレータ識別ID(「A山B太郎」)および建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて記憶される(ステップ206)
第1の車体側操作結果記憶部24には、オペレータ識別ID「A山B太郎」、建設機械識別ID「PC200−8−123」に関連する過去の燃料消費量情報が下記に示すように、記憶されている(図4(a)、(b)参照)。
【0075】
・全世界の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(「全世界の平均燃費」;たとえば11.3L/H)
・日本国の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(「日本の平均燃費」;たとえば11.7L/H)
・ 「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の平均料消費量ΔLa(「今までの平均燃費」;たとえば10.2L/H)
これは、過去の累積燃料消費量Nkeyを、過去の累積エンジン稼動時間Skeyで
割り算することにより取得される。
【0076】
・ 「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去累積
エンジン稼動時間Skey(「今までの累積運転時間」:230H)
一方、第2の車体側操作結果記憶部28には、エンジン3が始動されてからの新たな累積燃料消費量Ntmp、エンジン3が始動されてからの新たな累積エンジン稼動時間Ctmpが上記(2)、(3)式のごとく演算によって得られ、記憶される。第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されたデータから下記に示すように、燃料消費量情報が得られる。
【0077】
・「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)平均燃料消費量ΔLa(「今日の平均燃費」;たとえば12.3L/H)
これは、新たな累積燃料消費量Ntmpを、新たな累積燃料消費量Ctmpで割り算す
ることにより取得される。
【0078】
・「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)新たな累積エンジン稼動時間Ctmp(「今日の累積運転時間」;たとえば4.1H)
そこで、オペレータが建設機械1を運転操作中、表示制御部27は、上述した1の車体側操作結果記憶部24および第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された燃料消費量情報を用いて、モニタパネル8の表示装置40の表示画面40aに、図3に示す表示を行う。
【0079】
すなわち、同図3に示すごとく、表示画面40aの「全世界の平均燃費」という表示箇所には、全世界の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(11.3L/H)が表示され、「日本の平均燃費」という表示箇所には、日本国の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa(11.7L/H)が表示される。これら表示と併せて、「今までの平均燃費」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の平均料消費量ΔLa(=Nkey/Skey;10.2L/H)が表示され、「今までの累積運転時間」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作した建設機械1(「PC200−8−123」)の過去の累積エンジン稼動時間Skey(「今までの累積運転時間」:230H)が表示される。
【0080】
さらに、表示装置40の表示画面40aの「今日の平均燃費」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)平均燃料消費量ΔLa(=Ntmp/Ctmp;12.3L/H)が表示され、「今日の運転時間」という表示箇所には、「A山B太郎」が運転操作している建設機械1(「PC200−8−123」)の現在の(X月Y日における)新たな累積エンジン稼動時間Ctmp(4.1H)が表示される。
【0081】
表示画面40aへの表示は、図3に示す上述の表示内容をエンジン稼動中常時行ってもよい。また、「今日の平均燃費」が「全世界の平均燃費」あるいは「日本の平均燃費」を上回っているときのみに表示を行う実施も可能である。
【0082】
また、たとえば、油圧ショベルなどでは、作業の負荷の大きさに応じて各種作業モードが選択され、それに応じてエンジン3の最大トルクが変化し、それによって燃料消費量が変動する。よって、現在選択されている作業モードの種類(たとえば「重負荷作業のP1モード」)を併せて表示装置40の表示画面40aに表示させてもよい。これにより図3に示すように、表示装置40の表示画面40aの「現在の使用モード」という表示箇所に、現在選択されている作業モード「P1」(重負荷作業モード)が表示される(ステップ207)。
【0083】
つぎに、キー手段50がキーオフ操作され、エンジン3の稼動が停止する(ステップ208の判断YES)。
【0084】
エンジン3が始動されてからエンジン3の稼動が停止するまで、上記(2)式、上記(3)式で示す演算処理が行われており、キー手段50がキーオフ操作されエンジン3が稼動を停止すると、上記(2)式、上記(3)式で示す演算処理が終了する。このため第2の車体側操作結果記憶部28には、自己の建設機械1(「PC200−8−123」)の「X月Y日」におけるエンジン始動からエンジン稼動停止までの新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpが記憶されることになる。
【0085】
そこで、第1の車体側読み出し制御部29は、キー手段50のキーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶された自己の建設機械1(「PC200−8−123」)の「X月Y日」におけるエンジン始動からエンジン稼動停止までの新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて、車体側通信部22を介して車体内ネットワーク15に送出する。これによりキー手段50のキー側書き込み制御部55は、キー側通信部52を介して建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけられた新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp
を取り込む。そして、下記(4)式のごとく、加算演算を行うことにより、取り込んだ新たな累積エンジン稼働時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpに基づきキー側操作結果記憶部53の対応する箇所の燃料消費量情報、つまり「A山B太郎」が運転操作した「PC200−8−123」
の過去の累積エンジン稼動時間Skey、過去の累積燃料消費量Nkey(図4(b)参照)を更新する。
【0086】
Nkey+Ntmp→Nkey
Skey+Ctmp→Skey …(4)
以上のようにしてオペレータ(「A山B太郎」)が所有するキー手段50には、建設機械1を運転操作する毎に、その建設機械1の過去の燃料消費量情報が更新されていく。同じオペレータ(「A山B太郎」)が他の建設機械1、1…を運転操作する場合も同様である。オペレータ(「A山B太郎」)が所有するキー手段50には、各建設機械1、1、1…を運転操作するたびに、各建設機械1、1、1…毎に過去の燃料消費量の情報が更新されていく(ステップ209)。
【0087】
一方、図6に示すように、地上局160からは定期的に、たとえば毎日または一週間ごとに、または1ヶ月ごとに、各建設機械1、1、1…に対して、地上局160側に記憶されている燃料消費量情報を送信するとともに、送信命令指令を送る。
【0088】
すなわち、地上局側操作結果記憶部61から全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が読み出され、建設機械識別IDが「PC200-8-123」の建設機械1に対して最新の燃料消費量情報として送信される。
【0089】
また、地上局160から、建設機械識別IDが「PC200-8-123」の建設機械1に対して送信命令指令が送信される(ステップ301)。
【0090】
建設機械1が送受信手段7で、全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が受信されると、車体内ネットワーク15を介して、第1の操作結果記憶部24に受信した内容が書き込まれる(図4(a)参照;ステップ302)。
【0091】
また、建設機械1が送信命令指令を送受信手段7で受信すると、第2の車体側読み出し制御部31は、第2の車体側操作結果記憶部28に記憶されているオペレータ識別ID(「A山B太郎」)、建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応する新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを読み出す(ステップ303)。
【0092】
そして、新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpをオペレータ識別ID(「A山B太郎」)、建設機械識別ID(「PC200−8−123」)に対応づけて、車体内ネットワーク15を介して建設機械1の送受信部7から地上局160に向けて送信する(ステップ304)。
【0093】
これにより地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶された全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、ユーザ(「CDE土木(株)」)の建設機械(「PC200-8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報が、新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmpを用いて計算し直され、更新される。
【0094】
このようにして個々の建設機械1に記憶されている過去の燃料消費量情報(全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報)は、全世界の多数の建設機械1、1、1…で取得された最新のデータ(新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp)によって更新されるとともに、地上局160の地上局側操作結果記憶部61に記憶されている複数の建設機械1、1、1…の過去の燃料消費量情報(全世界の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、日本国の同種の建設機械1(「PC200−8」)の平均燃料消費量ΔLa、ユーザ(「CDE土木(株)」)の建設機械(「PC200-8」)の平均燃料消費量ΔLaの情報)についても個々の建設機械1で取得された最新の燃料消費量情報(新たな累積エンジン稼動時間Ctmp、新たな累積燃料消費量Ntmp)によって更新される。
【0095】
なお、上述した実施例では、表示装置40が、建設機械1の運転室2aに設けられているものとし、この表示装置40の表示画面40aに燃料消費量の情報を表示することを想定している。しかし、建設機械1とは別体のものとして表示装置、たとえば携帯電話機の表示画面など、携行自在の端末装置の表示画面に同様の表示を行う実施も可能である。
【0096】
また、上述した実施例では、燃料消費量の情報を、建設機械の種類毎、全世界、国毎、ユーザ毎、オペレータ毎に分類しているが、他の分類方法によって燃料消費量の情報を分類してもよい。たとえば、上述したように、油圧ショベルなどの建設機械は、現在選択されている作業モードの種類によって燃料消費量が異なる。そこで、選択された作業モードの種類によって燃料消費量の情報を分類してもよい。たとえば、作業モードとして重負荷作業モード「P1」と軽負荷作業モード「E」が選択可能である場合には、同一建設機械識別ID「PC200-8-123」の建設機械1から得られた燃料消費量情報であっても、更に重負荷作業モード「P1」選択時に得られた燃料消費量情報(たとえば平均燃料消費量)と、軽負荷作業モード「E」選択時に得られた燃料消費量情報(平均燃料消費量)とに分類される。
【0097】
また、上述した実施例では、「操作結果」が、燃料消費量の情報であるとして説明したが、これはあくまでも一例であり、作業機を操作した時間、回数、作業時におけるエンジン使用回転数、作業時におけるエンジン使用トルクなど、オペレータが建設機械1を操作した結果、得られた情報であれば、任意のものを選択して、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、実施形態の全体の装置構成を示した図である。
【図2】図2は、実施例の装置をブロック図にて示したものである。
【図3】図3は、モニタパネルの表示装置の表示画面の表示例を示した図である。
【図4】図4(a)は、地上局側操作結果記憶部に記憶されたデータの内容を示した図で、図4(b)は、キー手段のキー側操作結果記憶部に記憶されたデータの内容を示した図である。
【図5】図5は、実施例における処理手順を示したフローチャートであり、建設機械とキー手段の間で行われる処理内容を示しものである。
【図6】図6は、実施例における処理手順を示したフローチャートであり、建設機械と地上局の間で行われる処理内容を示しものである。
【符号の説明】
【0099】
100 送受信システム、1 建設機械、160 地上局、50 キー手段、51 オペレータ識別ID記憶部、52 キー側通信部、53 キー側操作結果記憶部、54 キー側読み出し制御部、55 キー側書き込み制御部、61 地上局側操作結果記憶部、20 車体内コントローラ、21 操作結果計測部、22 車体側通信部、23 認証制御部、24 第1の車体側操作結果記憶部、25 第1の車体側書き込み制御部、26 エンジン制御部、27 表示制御部、28 第2の車体側操作結果記憶部、29 第1の車体側読み出し制御部、30 第2の車体側書き込み制御部、31 第2の車体側読み出し制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対してデータを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる建設機械の送受信システムに適用され、
携行自在のキー手段には、
オペレータを識別するオペレータ識別IDを記憶するオペレータ識別ID記憶部と、
キーオン操作に応じて建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラと送受信を行うキー側通信部と、
オペレータが操作した過去の建設機械の操作結果を、建設機械を識別する建設機械識別IDに対応づけて記憶するキー側操作結果記憶部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部から読み出してキー側通信部を介して車体内ネットワークに送出するキー側読み出し制御部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部の対応する箇所の操作結果を更新するキー側書き込み制御部と
が備えられ、
地上局には、
複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する地上局側操作結果記憶部
が備えられ、
車体内コントローラには、
操作結果を計測する操作結果計測部と、
車体内ネットワークに接続され、キー側通信部と送受信を行う車体側通信部と、
キーオン操作に応じて車体側通信部を介してキー手段のオペレータ識別ID記憶部に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する認証制御部と、
自己の建設機械における過去の操作結果を記憶するとともに、複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する第1の車体側操作結果記憶部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、自己の建設機械を識別する建設機械識別IDを車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出して、キー側読み出し制御部によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部に自己の建設機械の過去の操作結果として書き込む第1の車体側書き込み制御部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、エンジン始動を許可するエンジン制御部と、
第1の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置に表示させる表示制御部と、
エンジンが始動されてからエンジンの稼動が停止するまでに操作結果計測部で計測された操作結果を、自己の建設機械における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけて記憶する第2の車体側操作結果記憶部と、
キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出する第1の車体側読み出し制御部と、
地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に記憶されている複数の建設機械の過去の操作結果を取り込み、第1の操作結果記憶部に書き込む第2の車体側書き込み制御部と、
第2の車体側操作結果記憶部に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に送出する第2の車体側読み出し制御部と
が備えられていることを特徴とする建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項2】
操作結果は、燃料消費量の情報であること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項3】
建設機械の運転室に設けられた表示装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項4】
携行自在の端末装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項5】
表示装置には、現在の燃料消費量の情報が併せて表示されること
を特徴とする請求項2記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項1】
複数の建設機械の個々の建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラから取り込まれた内部情報を地上局に送信するとともに、地上局で複数の建設機械の内部情報を受信して処理を行い、処理結果に応じて地上局から個々の建設機械に対してデータを送信し、個々の建設機械では、受信したデータに基づき処理が行われる建設機械の送受信システムに適用され、
携行自在のキー手段には、
オペレータを識別するオペレータ識別IDを記憶するオペレータ識別ID記憶部と、
キーオン操作に応じて建設機械の車体内ネットワークを介して車体内コントローラと送受信を行うキー側通信部と、
オペレータが操作した過去の建設機械の操作結果を、建設機械を識別する建設機械識別IDに対応づけて記憶するキー側操作結果記憶部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDを取り込み、この建設機械識別IDに対応する過去の操作結果をキー側操作結果記憶部から読み出してキー側通信部を介して車体内ネットワークに送出するキー側読み出し制御部と、
キー側通信部を介して建設機械識別IDに対応づけられた新たな操作結果を取り込み、取り込んだ新たな操作結果に基づきキー側操作結果記憶部の対応する箇所の操作結果を更新するキー側書き込み制御部と
が備えられ、
地上局には、
複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する地上局側操作結果記憶部
が備えられ、
車体内コントローラには、
操作結果を計測する操作結果計測部と、
車体内ネットワークに接続され、キー側通信部と送受信を行う車体側通信部と、
キーオン操作に応じて車体側通信部を介してキー手段のオペレータ識別ID記憶部に記憶されているオペレータ識別IDを取り込み、登録されているオペレータ識別IDと照合して両者が一致することを認証する認証制御部と、
自己の建設機械における過去の操作結果を記憶するとともに、複数の建設機械の過去の操作結果を記憶する第1の車体側操作結果記憶部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、自己の建設機械を識別する建設機械識別IDを車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出して、キー側読み出し制御部によって読み出された自己の建設機械識別IDに対応する過去の操作結果を取り込み、第1の車体側操作結果記憶部に自己の建設機械の過去の操作結果として書き込む第1の車体側書き込み制御部と、
認証制御部で認証がなされた場合に、エンジン始動を許可するエンジン制御部と、
第1の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における過去の操作結果と複数の建設機械の過去の操作結果を表示装置に表示させる表示制御部と、
エンジンが始動されてからエンジンの稼動が停止するまでに操作結果計測部で計測された操作結果を、自己の建設機械における新たな操作結果として自己の建設機械識別IDに対応づけて記憶する第2の車体側操作結果記憶部と、
キーオフ操作に応じて、第2の車体側操作結果記憶部に記憶された自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、この新たな操作結果を自己の建設機械識別IDに対応づけて、車体側通信部を介して車体内ネットワークに送出する第1の車体側読み出し制御部と、
地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に記憶されている複数の建設機械の過去の操作結果を取り込み、第1の操作結果記憶部に書き込む第2の車体側書き込み制御部と、
第2の車体側操作結果記憶部に記憶されている自己の建設機械における新たな操作結果を読み出し、地上局と送受信することにより、地上局側操作結果記憶部に送出する第2の車体側読み出し制御部と
が備えられていることを特徴とする建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項2】
操作結果は、燃料消費量の情報であること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項3】
建設機械の運転室に設けられた表示装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項4】
携行自在の端末装置の表示画面に表示が行われること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【請求項5】
表示装置には、現在の燃料消費量の情報が併せて表示されること
を特徴とする請求項2記載の建設機械の送受信システムにおける運転操作ガイダンス装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−235716(P2009−235716A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81498(P2008−81498)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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