説明

微粒子油性懸濁液を含む医薬組成物

【課題】難水溶性の有効成分の腸管からの吸収を高めて生物学的利用率を向上させるための手段を提供する。
【解決手段】消化器関連疾患の予防及び/又は治療のための平均粒径10μm以下の医薬有効成分微粒子の基剤油中懸濁液を含む経口投与用の医薬組成物であって、医薬有効成分が難水溶性のp38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又は生理学的に許容されるその塩である医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬有効成分微粒子の基剤油中懸濁液を含み、高い生物学的利用率を達成することができる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬等の有効成分の生物学的利用率を向上させるために、これまでに種々の製剤学的工夫がなされている。例えば、特開2004−99442号公報には、難溶性薬物、ポリビニルピロリドン、及びドデシル硫酸ナトリウムの混合物を乾式粉砕することにより、難溶性薬物を平均粒径数百nmの微粒子とする方法が記載されている。しかしながら、数百nmの微粒子を調製するには特殊な粉砕機や粉砕工程が必要であり、さらに、このレベルの微粒子は水に濡れにくく水媒体中で凝集するなどの取扱い上の欠点も有する。また、この刊行物には、有効成分の油性懸濁については何も記載されていない。
【0003】
特開2005−112753号公報には、有効成分が油脂類に懸濁化されたソフトカプセルにおいて、内容物に水素添加加工油脂をさらに配合することにより生物学的利用率が向上することが記載されている。しかしながら、この刊行物には、油性懸濁製剤における有効成分の平均粒径と生物学的利用率との関係について何ら述べられていない。
【0004】
特開平7−138151号公報には、5〜40質量%の難油溶性粉末原料と60〜95質量%の油溶性原料とが配合されたソフトカプセル剤が開示されている。上記公報の[0008]段落には、難油溶性粉末原料の平均粒径として0.1nm〜1mmの数値が記載されているが、この刊行物に記載された製剤は、難油溶性粉末原料及び油溶性原料を同時に高用量で摂取できるというものであり、有効成分の生物学的利用率の向上を目的としたものではない。また、この刊行物には、有効成分の平均粒径と生物学的利用率との関係については何も記載されていない。
【0005】
国際公開WO2004/073692号パンフレットの第3頁、第29〜39行には、「最近になって免疫抑制剤であるシクロスポリン約15質量%と可溶化剤と界面活性剤を配合し、水溶性が増大し、経口投与後消化管内で析出せず、経口吸収性の変動が少なく、経口吸収が改善したゼラチンソフトカプセル剤(ネオーラル(登録商標):Clin. Transplantation,Vol.10,364−373(1996))や、カプトプリルを油脂で単に懸濁した半固形油性懸濁マトリックスを充填した徐放性ハードカプセル剤(International Journal of Pharmaceutics,Vol.41,245−254(1988))が市販されている」旨が記載されている。しかしながら、ネオーラルは直径が0.15μm未満のマイクロエマルジョン製剤であって、微粒子化された有効成分が油性懸濁されたものではなく、また、上記カプトプリルハードカプセル剤は徐放化を指向したものであって、有効成分は微粒子化されていない。
【0006】
また、特開平10−81621号公報、特開平11−302156号公報、特表2000−516244号公報、特表2006−513267号公報、及び再公表2005−13938号公報には、微粒子化された難水溶性化合物の懸濁についての記載があるが、これらの刊行物には微粒子化された難水溶性化合物を懸濁する工程に関して具体的な記載や実施例等はない。従って、これらの刊行物における上記の「懸濁」の記述は単なる一般的説明であり、実施可能な程度に記載されたものではない。
【0007】
さらに、特開平6−16556号公報、特開2004−99442号公報、及び特表2005−516943号公報には、微粒子化された難水溶性化合物の水性懸濁剤に関する記載があるが、油性懸濁とすることにより生物学的利用率が向上することは何ら示唆ないし教示されていない。
【0008】
特表2002−528492号公報には、抵抗性嚢腫性挫瘡の処置に使用されるイソトレチノインの平均粒径約90〜100μmの油中懸濁物をそのまま微粒子化して平均粒径5〜30μmとすることにより、生物学的利用率が向上する旨が記載されている。また、特開2007−039408号公報には、クレアチンを非水系溶媒(エタノール)に分散させた後ビーズミルにて粉砕することにより、平均粒径2μm以下の微粉化クレアチンを製造する方法が記載されている。しかしながら、これら2つの刊行物は粒径を小さくすることにより生物学的利用率が向上することを教示しているものの、薬物を微粒子化しかつ油性懸濁とすることにより、単に薬物を微粒子化しただけの場合よりもさらに高い生物学的利用率を達成できることを示唆ないし教示するものではない。
【0009】
ところで、IBD(Inflammatory Bowel Disease:炎症性腸疾患)はクローン病及び潰瘍性大腸炎の総称であるが、これら2つの疾患はどちらも再発と寛解を繰り返す難治性疾患である。IBDの病態においては、免疫機能が亢進し、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1(IL−1)などの炎症性サイトカインの上昇が見られるため、これら炎症性サイトカインあるいはそれらの炎症反応経路の上流に位置するp38MAPキナーゼを阻害すれば、IBDの治療に有効となることが期待される(例えば、J.Pharmacol.Exp.Ther.,284,687−692(1998)、N.Engl.J.Med.,337,1029−1035(1997)、Gut.,40,628−633(1997)参照)。
【0010】
これまでに、p38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物としては、例えば、イミダゾール誘導体(Bioorganic & Medicinal Chemistry,Vol.5,No.1,49−64(1997))及び国際公開WO93/14081号パンフレット参照)、ピラゾール誘導体(国際公開WO98/52940号パンフレット及び国際公開WO00/39116号パンフレット参照)、イソオキサゾール誘導体(特開2000−86657号公報、国際公開WO96/25405号パンフレット、国際公開WO2004/17968号パンフレット、国際公開WO2004/22555号パンフレット、及び国際公開WO2006/070927号パンフレット参照)、チアゾール誘導体(国際公開WO00/64894号パンフレット参照)、トリアゾロピリジン誘導体(国際公開WO2004/72072号パンフレット参照)、ピリドピリミジン誘導体(国際公開WO2004/14907号パンフレット参照)、ナフチリジン誘導体(国際公開WO2004/73628号パンフレット参照)、6員環縮合ピラゾール誘導体(国際公開WO2005/73189号パンフレット及び国際公開WO2005/85249号パンフレット参照)、二環式複素芳香環化合物(国際公開WO2004/00846号パンフレット参照)等が知られている。しかしながら、これまでに医薬品として上市されたp38MAPキナーゼ阻害剤はない。
【0011】
p38MAPキナーゼ阻害剤は、その作用機序から、主にリウマチのような全身性の炎症性疾患を適応症として開発が進められてきたが、p38MAPキナーゼ阻害剤には中枢移行性や肝毒性、腎毒性等多くの問題が存在し、これを一定の血中濃度を保持して疾患を処置するための薬剤として開発することは困難であった。しかし、IBDのような局所性の炎症性疾患に対してならばp38MAPキナーゼ阻害剤が好適である可能性があるため、腸管等の局所で作用するIBD治療剤の開発が期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、有効成分の生物学的利用率を高めた医薬を提供することにある。特に、難水溶性の有効成分の腸管からの吸収を高めて生物学的利用率を向上させるための手段を提供すること、及び該手段により難水溶性の有効成分の生物学的利用率が高められた医薬を提供することが本発明の主たる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
薬物の中には、通常に経口投与してもほとんど未変化体のまま糞中に排泄されてしまうものが多く存在する。特に、薬物が難水溶性の場合はその傾向が強い。薬物を微粒子化することにより糞中排泄率を低下させる(すなわち生物学的利用率を高める)ことができるものの、微粒子化することによる糞中排泄率の低下にも限界があることは当業者の技術常識である。
【0014】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行っていたが、有効成分を微粒子化し、かつその微粒子を油性懸濁化することにより、有効成分を腸壁及び腸管組織内に存在させることができ、糞中排泄率が大きく低下して生物学的利用率が顕著に高まることを見出した。また、この糞中排泄率の低下は、有効成分の平均粒径と関係があることも見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0015】
すなわち、本発明により、平均粒径20μm以下の医薬有効成分微粒子の基剤油中懸濁液を含む医薬組成物が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、該医薬有効成分が難水溶性の医薬有効成分である上記の医薬組成物が提供され、また、別の好ましい態様によれば、該医薬有効成分が炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬有効成分である上記の医薬組成物が提供される。さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、該医薬有効成分がp38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又は生理学的に許容されるその塩である上記の医薬組成物;該医薬有効成分微粒子の平均粒径が10μm以下である上記の医薬組成物;炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のために用いる経口投与用の上記医薬組成物が提供される。
【0016】
本発明の別の好ましい態様によれば、該懸濁液中に懸濁化剤、ワックス類、及び分散剤からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の製剤用添加物を含む上記の医薬組成物;該製剤用添加物のそれぞれを該懸濁液全質量に対して0.1〜10質量%の範囲で含む上記の医薬組成物;医薬有効成分を該懸濁液全質量に対して1〜30質量%の範囲で含む上記の医薬組成物;基剤油を該懸濁液全質量に対して70〜99質量%の範囲で含む上記の医薬組成物;及び該懸濁液が充填されたソフトカプセルの形態である上記の医薬組成物が提供される。
【0017】
別の観点からは、上記の医薬組成物の製造方法であって、平均粒径20μm以下の医薬有効成分微粒子を基剤油中に懸濁する工程を含む方法;及び該方法により得ることができる上記のいずれかの医薬組成物が本発明により提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の医薬組成物は、医薬有効成分の腸管からの吸収が高められ、生物学的利用率が顕著に改善された医薬組成物であり、特に医薬有効成分が難水溶性である場合にも極めて高い腸管吸収及び生物学的利用率を達成できるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】糞中排泄率における医薬有効成分の平均粒径及び濃度の影響を示した図である(例19)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の医薬組成物に使用できる医薬有効成分の種類は特に制限されないが、水に対して難溶な医薬有効成分を本発明の医薬組成物とすることにより、生物学的利用率を顕著に高めることができるので、このような性質を有する医薬有効成分は本発明の医薬組成物において好ましく用いられる。水に対して難溶な性質としては、例えば、日本薬局方において「溶けにくい」又はそれ以下として定義されている溶解性(化合物の水に対する溶解度が10mg/mL以下である溶解性)を挙げることができ、そのような難溶な性質のうち、日本薬局方において「ほとんど溶けない」として定義されている溶解性(化合物の水に対する溶解度が0.1mg/mL以下である溶解性:この性質を本明細書において「難水溶性」と呼ぶ)を有する医薬有効成分を本発明において好適に用いることができる。
【0021】
本発明の医薬組成物に使用する医薬有効成分が持つ薬理作用、及び本発明の医薬組成物の適用対象となる疾患は特に限定されないが、本発明の医薬組成物においては、難水溶性の医薬有効成分であっても、その有効成分の大部分が腸管内に移行及び滞留することから、消化器関連疾患の予防及び/又は治療に対して本発明の医薬組成物を好ましく用いることができる。また、本発明の医薬組成物に使用する医薬有効成分としては、例えば、消化器関連疾患、好ましくは炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に用いるための医薬有効成分を挙げることができる。このような医薬有効成分を本発明の医薬組成物として経口投与することにより、該有効成分が腸管壁や腸管組織内に局在化ないし滞留し、該有効成分の薬理作用が腸管において発揮される。
【0022】
炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に用いるための医薬有効成分としては、例えば、p38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又はその塩、ステロイド化合物又はその塩、炎症性サイトカインに対する抗体、又は免疫抑制作用を有する化合物又はその塩などを挙げることができる。これらのうち、p38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又はその塩が好ましく、そのような化合物又はその塩の具体例として、例えば、前記に述べた刊行物に種々記載されているものを挙げることができる。そして、それらの化合物又はその塩が難水溶性であっても、これらを本発明の医薬組成物として好適に用いることができる。
【0023】
難水溶性のp38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又はその塩としては、例えば、国際公開WO2006/070927号パンフレットに記載されている下記一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水素原子、低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、フェニル低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、又は低級アルキルスルフィニル基を示し;R2は未置換のアリール基若しくは未置換のヘテロアリール基、又はハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルキル基、低級アルキレンジオキシ基、若しくはベンジルオキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基によって置換されたアリール基若しくは1〜3個の該置換基によって置換されたヘテロアリール基を示し;R3は水素原子又は低級アルキル基を示し;R4は置換若しくは未置換のフェニル基又は置換若しくは未置換の複素環式基を示し;Yは−(CH2n−、−CO−、−CH(CH3)−、−O−、−NH−、−C(CH32−又は−C(−CH2CH2−)−で表される基を示し;nは0〜3の整数を示す)で表される化合物又はその塩を挙げることができる。上記式中の置換基等の定義については、国際公開WO2006/070927号パンフレットに説明されており、該国際公開パンフレットの全てを参照により本明細書の開示に含める。
【0024】
上記一般式(I)に包含される化合物又はその塩のうち好ましいものとして、例えば、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)アセチルアミノ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(4−クロロフェニル)−5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[(3−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチルフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−ブロモフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチルフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(3−メチルフェニル)−5−[(2−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(3−メチルフェニル)−5−[(3−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−5−(フェニルアセチルアミノ)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(3−メトキシフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、及び
3−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−5−[(2−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール
又はそれらの塩を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0025】
本発明の医薬組成物に含まれる医薬有効成分の微粒子は平均粒径20μm以下の微粒子であり、好ましくは平均粒径10μm以下の微粒子である。微粒子の平均粒径の下限は特に限定されることはないが、例えば0.5μm以上、好ましくは1μm以上である。
【0026】
本明細書において「平均粒径」は、積算分布曲線の50%積算値を示す粒子径であるメジアン径を用いて表しており、また、平均粒径の測定方法は当業者に周知かつ慣用の方法である。本発明の医薬組成物に含まれる医薬有効成分の粒径分布曲線は、単峰性ピークからなる粒径分布曲線のほか、多峰性ピークを含む粒径分布曲線であってもよく、2以上のピークが一部重なり合った粒径分布曲線であってもよい。粒径分布曲線が多峰性ピークを含む場合には、それぞれのピークの相対的な大きさは特に限定されない。粒径分布曲線におけるピークの形状も特に限定されず、シャープな山形ピークのほか、ブロードな台形型ピークを含むもであってもよい。粒径分布曲線が多峰性ピークを含む場合には、最小粒径に相当するピークにおける粒径最大値を例えば50μm以下程度、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下とすることができる。
【0027】
平均粒径が数100nmの微粒子は、例えば、特開2004−99442号公報に記載の方法により得ることができる。また、平均粒径が例えば2〜4μm程度の微粒子は市販の気流式粉砕機又は機械式粉砕機等を使用することにより容易に得ることができる。市販の気流式粉砕機としては、例えば、アルティマイザー(登録商標)、ジェットミル等を挙げることができる。アルティマイザーを用いて湿式粉砕することにより平均粒径約4μmの微粒子を得ることができ、ジェットミルを用いて乾式粉砕することにより平均粒径約2μmの微粒子を得ることができる。ここで、ジェットミルを用いて乾式粉砕する際にノズルエアー圧を調整することにより、平均粒径約4μmの微粒子を得ることもできる。さらに粉砕条件を種々変更することにより平均粒径約1μmの微粒子も容易に得ることができる。また、市販の機械式粉砕機としては、例えば、ロールミル、ハンマーミル、ピンミル、サンプルミル、ボールミル等を挙げることができる。一般に、機械式粉砕機を用いて乾式粉砕を行う際に粉砕条件を種々変更することにより、例えば10μmや20μmの平均粒径とすることができる。
【0028】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、後記実施例の「イヌに腸溶性コーティングカプセルを経口投与した場合の医薬有効成分の糞中排泄率の測定」において示すように、医薬有効成分を基剤油に懸濁させた腸溶性コーティングカプセルをイヌに経口投与した場合の糞中排泄率は、平均粒径が20μmのときに50%を下回るようになる。これは、粒径が小さくなるにつれて、消化管内での医薬有効成分の溶解速度が上昇するだけでなく、粒径が大きい場合には消化管内容物の移動と共に医薬有効成分も移動して排泄されてしまうが、粒径が小さくなるにしたがって粒子が消化管粘膜のより深部に侵入しやすくなって腸壁及び腸管組織内での滞留率が上昇するためと考えられる。そして、平均粒径が約10μm以下となると、糞中排泄率は10%台又はそれ以下にまで低下するという驚くべき効果が得られる。糞中排泄率の低下は生物学的利用率が高まることを意味しており、難水溶性の医薬有効成分に関して、本発明の医薬組成物により極めて高い生物学的利用率が達成できることが後記実施例の試験結果により明らかにされている。本発明の医薬組成物における医薬有効成分の平均粒径は、動物種の消化管内壁の大きさや構造、もしくは消化管の長さや構造、あるいは有効成分の種類などの条件に応じて適宜選択することができる。なお、Drug Delivery System 17-4, 321-329(2002)には、粒径が小さくなるほど粒子が消化管粘膜のより深部に侵入するようになる旨の記載があり、また、Pharmaceutical Research Vol.18, No.6, 788-793(2001)には、正常な消化管においては粒径による消化管粘膜への付着量に差は見られないが、大腸炎発症ラットでは粒径が小さいほど付着量の増加が認められる旨の記載がある。
【0029】
また、後記実施例の「イヌに腸溶性コーティングカプセルを経口投与した場合の医薬有効成分の糞中排泄率の測定」において比較試験結果により示すように、平均粒径1.98μmの医薬有効成分を乳糖との散剤(倍散)にしてイヌに経口投与したところ、その糞中排泄率はおよそ60%であったことから、本発明の医薬組成物において糞中排泄率の低下が達成されるメカニズムにおいては、医薬有効成分が微粒子化されていることに加えて、微粒子が油性懸濁状態となっていることが重要であると考えられる。医薬有効成分微粒子を油性懸濁状態とすることで糞中排泄率が低下する理由は必ずしも明らかではないが、基剤油の存在により有効成分の消化管内壁への分散性が高まることが一つの理由であると考えられる。なお、本明細書において「懸濁」とは、基剤油中に医薬有効成分微粒子が分散された状態を意味するが、必ずしも均一に分散している必要はない。もっとも、基剤油中に該微粒子が均一に分散していることも好ましい。
【0030】
本発明における医薬組成物の形態は特に限定されず、経口投与に適し、かつ医薬有効成分微粒子を基剤油中に懸濁して得られる懸濁液を含むものであれば、任意の形態の医薬組成物として調製することができる。好ましくは、懸濁液を内部空間に充填して封入することができるカプセル剤の形態が好ましい。カプセル剤の種類は特に制限されないが、例えば、ソフトカプセル、マイクロカプセル、シームレスソフトカプセル、又はシームレスマイクロカプセル等を挙げることができる。また、必要に応じて上記カプセルに腸溶性コーティング等の被覆を施すこともできる。
【0031】
基剤油としては、例えば、植物性油脂、動物性油脂、及び合成油脂のいずれを用いてもよい。具体的には、植物性油脂として、例えば、オリーブ油、サフラワー油、シソ油、大豆油、小麦胚芽油、紅花油、アボガド油、月見草油、胡麻油等を挙げることができ、動物性油脂として、例えば、DHA、EPA、肝油、卵黄油、オットセイ油、豚油、牛油等を挙げることができる。また、合成油脂としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(パナセート)等を挙げることができる。2種類以上の基剤油を適宜混合して用いてもよい。これらのうち、医薬有効成分の種類に応じて医薬有効成分との相互作用が少ないなど適切な基剤油を選択して用いるのが有利である。
【0032】
基剤油中に医薬有効成分を懸濁して懸濁液を調製するにあたり、懸濁化剤、ワックス類、及び分散化剤からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の製剤用添加物を用いることもできる。懸濁化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サラシミツロウ、硬化油等を挙げることができ、ワックス類としては、例えば、ミツロウ、ライスワックス等を挙げることができ、分散化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。ワックス類を懸濁化剤として使用すること、あるいは分散化剤を懸濁化剤として使用することも可能であり、上記の製剤用添加物の使用目的は上記のものに固定されているわけではない。上記の製剤用添加物を用いる場合には、一般的に、懸濁化剤、ワックス類、及び分散化剤それぞれについて、懸濁液全質量に対して0.1〜10質量%程度の範囲で配合することができ、好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%の範囲で配合することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物における医薬有効成分の配合量は特に限定されないが、懸濁液の全質量に対して1〜30質量%程度とすることができ、好ましくは2〜25質量%、さらには5〜20質量%とすることが好適である。また、懸濁液における基剤油の配合量も特に限定されないが、懸濁液の全質量に対して70〜99質量%程度とすることができ、好ましくは75〜98質量%、さらには80〜95質量%とすることが好適である。さらに必要に応じて他の製剤用添加物、例えば、乳化剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤などを1種類又は2種類以上配合することも可能である。本発明の医薬組成物の調製方法は特に限定されないが、医薬有効成分の微粒子を調製した後、適宜の手段で基剤油中に微粒子を懸濁し、得られる懸濁液をカプセルに充填するなど、当業者に周知かつ慣用の方法により容易に調製される。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されることはない。
例1:医薬有効成分の微粒子化
粉砕条件を種々検討しながら、下記表1に示す平均粒径(メジアン径D50)を有する医薬有効成分の微粒子を得た。ここで、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LDSA−1400A(東日コンピュータアプリケーションズ)にて粒度分布を測定し算出した。
【0035】
【表1】

【0036】
なお、本明細書の実施例において用いた医薬有効成分は下記式(i)の化合物である。
【化2】

【0037】
この化合物は、国際公開WO2006/070927号パンフレットの実施例13の化合物であり、優れたp38MAPキナーゼ阻害作用を有し、抗リウマチ薬やIBD治療薬等としての可能性が期待されている。この化合物の日本薬局方第1液(pH1.2)に対する37℃における溶解度は1.09μg/mL、日本薬局方第2液(pH6.8)に対する37℃における溶解度は0.88μg/mL、リン酸塩緩衝液(pH7.2)に対する37℃における溶解度は0.53μg/mLであり、室温におけるパナセートに対する溶解度は約2mg/mLである。
【0038】
例2〜4:腸溶性コーティングカプセル(医薬有効成分の平均粒径1.98μm)の調製
モノステアリン酸グリセリン200mg及びミツロウ200mgを70℃の水浴中で中鎖脂肪酸トリグリセリド(パナセート)20mLに加えて溶解したものを3つ用意した。
この3つの溶解液を水浴から取り出し、それぞれの溶解液に、平均粒径1.98μmに微粒子化した医薬有効成分937.5mg、1875mg又は3750mgを加え、混合物が室温になるまで撹拌しながら放冷した後、室温にて1分間超音波照射を行い分散化して、3通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を調製した。これらの懸濁液を00号ゼラチンカプセルに0.8mLずつ充填し、ドリアコーティング機(パウレック製)にて腸溶性フィルム(HPMCP:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、グレード:HP−55)を被覆した。それぞれの腸溶性コーティングカプセルに充填した懸濁液おける内容物の量を、下記例5〜13におけるのと併せて下記表2に示す。
【0039】
例5〜7:腸溶性コーティングカプセル(医薬有効成分の平均粒径3.88μm)の調製
平均粒径3.88μmに微粒子化した医薬有効成分について、例2〜4と同様にして、下記表2に示す3通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を含む腸溶性コーティングカプセルを調製した。
【0040】
例8〜10:腸溶性コーティングカプセル(医薬有効成分の平均粒径9.59μm)の調製
平均粒径9.59μmに微粒子化した医薬有効成分について、例2〜4と同様にして、下記表2に示す3通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を含む腸溶性コーティングカプセルを調製した。
【0041】
例11〜13:腸溶性コーティングカプセル(医薬有効成分の平均粒径19.76μm)の調製
平均粒径19.76μmに微粒子化した医薬有効成分について、例2〜4と同様にして、下記表2に示す3通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を含む腸溶性コーティングカプセルを調製した。
【表2】

【0042】
例14〜16:シームレスソフトカプセル(医薬有効成分の平均粒径1.98μm)の調製
平均粒径1.98μmに微粒子化した医薬有効成分を用い、例2〜4と同様にして、下記表3に示す3通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を調製した。次いで、二重管ノズルに懸濁液及びゼラチン溶液を入れ、シームレスソフトカプセル製造機を用いて、液中滴下法によりカプセル化した。得られたカプセルから凝固油を常法にて脱油後、速やかにドラム乾燥し、直径2.0mm、皮膜率30%、1カプセル中の内容量約3μLのシームレスソフトカプセルを製造した。なお、懸濁液の内容物の量を、例17〜18におけるのと併せて下記表3に示す。
【0043】
例17〜18:シームレスソフトカプセル(医薬有効成分の平均粒径19.76μm)の調製
平均粒径19.76μmに微粒子化した医薬有効成分を用い、例14〜16と同様にして、下記表3に示す2通りの医薬有効成分濃度を有する懸濁液を含むシームレスソフトカプセルを調製した。
【0044】
【表3】

【0045】
例19:イヌに腸溶性コーティングカプセルを経口投与した場合の医薬有効成分の糞中排泄率の測定
一晩絶食させた雄ビーグル犬(体重10〜15kg、各粒径の各濃度についてn=3、ただし平均粒径19.76μmの医薬有効成分についての46.9mg/mLの濃度及び平均粒径19.76μmの医薬有効成分についての93.8mg/mLの濃度についてはn=5)に、前記例2〜13で調製した腸溶性コーティングカプセルを、有効成分の投与量として150mgとなるように1〜4カプセルずつ精製水30mLとともに経口投与した 。なお、比較例として、平均粒径1.98μmの医薬有効成分を乳糖と混合して倍散にしたもの(300mgを00号カプセルに充填、有効成分の投与量としては150mg)を、同様にしてイヌに経口投与した。
【0046】
投与7時間後に給餌を行い、水は自由に摂取させた。投与後24時間までの糞を回収してホモジネートし、これに0.5mol/L炭酸水素ナトリウム溶液0.5mLを加え、ジエチルエーテル2mLで抽出した。遠心分離後、有機層を窒素気流下、40℃にて乾固し、残留物をアセトニトリル0.5mLに溶解した。さらに、このうちの10μLを分取して窒素気流下、40℃にて乾固した。この抽出試料をアセトニトリル100μLに溶解し、この溶液をさらに10倍に希釈し、LC/MS/MS(正イオンESI法) で分析した。ピーク面積を検量線に当てはめ、有効成分の糞中排泄量を算出し、有効成分の糞中排泄率を以下の式により算出した。
【数1】

【0047】
各群における糞中排泄率の平均値を下記表4に示す。また、これをグラフ化したものを図1に示す。
【表4】

【0048】
例20:イヌにシームレスソフトカプセルを経口投与した場合の医薬有効成分の糞中排泄率の測定
前記例14及び15で調製したシームレスソフトカプセル、すなわち、平均粒径1.98μmの医薬有効成分を50mg/mL又は100mg/mLの濃度で含有するシームレスソフトカプセルについて、例19と同様にして、イヌに20mg又は100mgを経口投与し(各濃度及び各投与量についてn=3)、医薬有効成分の糞中排泄率を測定した。この結果を下記表5に示す。
【0049】
【表5】

【0050】
以上の結果から、本発明の医薬組成物は有効成分が難水溶性の場合であっても乳糖との混合物を含む比較例カプセルに比べて糞中排泄率が顕著に低く、高い生物学的利用率を与えることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の医薬組成物は、医薬有効成分の腸管からの吸収が高められ、生物学的利用率が顕著に改善された医薬組成物であり、特に医薬有効成分が難水溶性である場合にも極めて高い腸管吸収及び生物学的利用率を達成できるので有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器関連疾患の予防及び/又は治療のための平均粒径10μm以下の医薬有効成分微粒子の基剤油中懸濁液を含む経口投与用の医薬組成物であって、医薬有効成分が難水溶性のp38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物又は生理学的に許容されるその塩である医薬組成物。
【請求項2】
消化器関連疾患が炎症性腸疾患である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
医薬有効成分が下記一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水素原子、低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、フェニル低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、又は低級アルキルスルフィニル基を示し;R2は未置換のアリール基若しくは未置換のヘテロアリール基、又はハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルキル基、低級アルキレンジオキシ基、若しくはベンジルオキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基によって置換されたアリール基若しくは1〜3個の該置換基によって置換されたヘテロアリール基を示し;R3は水素原子又は低級アルキル基を示し;R4は置換若しくは未置換のフェニル基又は置換若しくは未置換の複素環式基を示し;Yは−(CH2)n−、−CO−、−CH(CH3)−、−O−、−NH−、−C(CH32−又は−C(−CH2CH2−)−で表される基を示し;nは0〜3の整数を示す)で表される化合物又はその塩である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬有効成分が、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)アセチルアミノ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(4−クロロフェニル)−5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[(3−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−クロロフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチルフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(2−ブロモフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチルフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(3−メチルフェニル)−5−[(2−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(3−メチルフェニル)−5−[(3−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−5−(フェニルアセチルアミノ)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、
5−[(3−メトキシフェニル)アセチルアミノ]−3−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、又は
3−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−5−[(2−メチルフェニル)アセチルアミノ]−4−(4−ピリミジニル)イソオキサゾール、あるいはその塩である請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項5】
該懸濁液中に懸濁化剤、ワックス類、及び分散剤からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の製剤用添加物を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬有効成分を該懸濁液全質量に対して1〜30質量%の範囲で含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
基剤油を該懸濁液全質量に対して70〜99質量%の範囲で含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
基剤油が中鎖脂肪酸トリグリセリドである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−120974(P2010−120974A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40362(P2010−40362)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【分割の表示】特願2008−558013(P2008−558013)の分割
【原出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000002990)あすか製薬株式会社 (39)
【Fターム(参考)】