説明

微細パターン成形品の製造方法、スタンパおよび微細パターン成形品

【課題】2P法を用いて作製される微細構造転写物の厚みムラを低減すること。
【解決手段】(i)微細パターンAを備えたスタンパと透明基板とを用意し、スタンパまたは透明基板上に光硬化性樹脂原料を供する工程、(ii)光硬化性樹脂原料を挟むようにしてスタンパと透明基板とを対向配置させる工程、および、(iii)透明基板を介して光硬化性樹脂原料に光を照射して樹脂原料を硬化させ、それによって、微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成されて成る成形品を得る工程を含んで成り、工程(i)のスタンパとして、微細パターンAの形成領域内に隆起パターンBが設けられたスタンパを用い、工程(ii)では、隆起パターンBを介在させてスタンパと透明基板とを一定の間隔で対向配置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細パターン成形品の製造方法、スタンパおよび微細パターン成形品に関する。より詳細には、微細パターンを備えた樹脂成形品の製造方法、および、かかる製造方法で用いる金型スタンパに関すると共に、その金型スタンパから得られる樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ミクロンオーダー以下の微細な構造を有する構造体は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)やμ-TAS(Micro Total Analysis System)、MLA(Micro Lens Array)など幅広い分野で用いられている。その作製方法としては、機械加工やエッチング、フォトリソグラフィーなどの技術が応用されている。
【0003】
これらミクロンオーダーの構造物を作製する場合、金型に所望形状の反転パターンを作製し、それを樹脂などで転写して所望形状を得る方法が一般的に用いられている。かかる手法は、微細なパターンを1つ1つ加工する必要がなく、転写することによって微細なパターンを得ることができるので低コスト化が可能である。
【0004】
樹脂による転写方法としては、光ディスクなどに用いられている射出成形技術や原版を基板に押し当てることで微細加工を実現するナノインプリントと称される技術が用いられている。
【0005】
2P(Photo Polymer)法と呼ばれる、常温で流動性のある光硬化性樹脂を用いた転写方法も良く用いられる。2P法では、金型と基板との間に光硬化性樹脂を塗布し、樹脂部分に光を当てて樹脂を硬化させた後、金型から基板を樹脂ごと剥離することで微細パターンの転写を行う。この手法は他の転写方法と比べて大掛かりな設備を必要とせず、簡便に微細パターンの転写を行うことができるので従来から広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−73967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
射出成形においては、固定側(凹型・雌型・キャビティ側)と可動側(凸型・雄型・コア側)との金型内部空間(射出成形品の形状を有する空間)によって成形品の厚みが決定される。
【0008】
しかしながら、2P法では、微細パターンを有する金型面と基板面との間に光硬化樹脂が挟まる構造であるため、この金型面と基板面との離隔距離によって転写物の厚みがほぼ決定してしまう。このため、金型面と基板間との間の距離を制御することは非常に重要となる。
【0009】
微細構造作製技術は光学分野においても使用されており、特に微細なレンズを多数備えたマイクロレンズアレイ(MLA)においては、1つ1つ機械加工等で作製するよりも転写により一括して作製する方がコスト面において圧倒的に有利である。
【0010】
本願発明者らは、プロジェクタやセンサなどの光学機器に用いられるMLAを2P法を用いて転写することにより作製した。まず、所望のMLAを作製するため、シミュレーションにより形状を決定し、MLA用の金型を作製した。1つのMLAには1万個以上のレンズを集積し、そのMLAを金属製の金型面に多数配置し、それを石英基板を用いて2P法により転写することで、一度に大量のMLAを作製することを試みた。本願発明者らは、この2P法によるMLA作製工程を鋭意検討する段階において、大きな問題を見出した。
【0011】
それは、石英基板上に作製したMLAの厚みにムラが発生するという現象である(図25参照)。この厚みムラは、同一石英基板内に発生していた。作製したMLAの厚みバラツキは、単に製品にバラツキがあるという問題に留まらず、同じ工程で作製したにもかかわらず、個々のレンズの焦点位置がずれるというレンズとしての機能にかかわる重大な問題に発展する可能性がある。このような現象は、2P法において極めて重要な“金型面と石英基板との距離”に留意し、治具によって正確にギャップ制御を行ったにもかかわらず発生した。
【0012】
本願発明者らは、この厚みのバラツキが、金型面と基板面との間の距離にバラツキが存在していることが原因ではないかと考えた。つまり、金型面と基板面との間の離隔距離(ギャップ)にムラがあり、その状態で光硬化性樹脂が充填されて成形されるので、最終的なMLAの厚みにムラが発生しているのではないかと考えた。そこで、鋭意検討した結果、このような現象は、金型面と基板面との内部空間が適正に制御されず、その局所的な厚みムラが同一基板内に存在することが原因となっていることを本願発明者らは突き止めた。
【0013】
かかる原因は、基板のたわみ及び金型と石英基板とを密着させたときの圧力ムラによって発生していると考えられる。このことから金型および石英基板の外周のみを拘束し、これにより両者のギャップを制御する方法では限界があることが分かってきた。
【0014】
射出成形においては、パターンが作製された雄型と樹脂の容積を決める雌型により、微細パターンの転写と樹脂の容量が決定され、高精度で同じ厚みの転写物が作製される。
【0015】
しかしながら、2P法では工程上、微細パターン側の金型と基板との間隔を規制する構造が外側のみにしか存在しないため、厚み調整の再現性が非常に悪くなる。更にパターン面と基板面を押し付ける際に面内で予想不可能なバラツキが面内に発生することもある。
【0016】
この問題を解決するために、2P用の金型を固定し、石英基板側を専用装置を用いて高精度にZ軸方向の制御を行う方法も考えられるが、構造が複雑となり、微細パターンを簡便に転写できる2Pのメリットを失うことになる。
【0017】
また、スペーサなどのギャップ調整用の治具を別途使用する方法も考えられるが、治具を挿入するための間隔の制限や硬化後の取り出し、樹脂の洗浄など工程が複雑になるなど、“簡便に転写物が得られる2P法のメリット”を失ってしまうことになる。
【0018】
更には、装置によって金型あるいは石英基板外周もしくはその両方を保持する構造としても、石英基板内に発生する厚みに分布があるため、個々の石英自体のたわみや押し付け圧力に起因する厚みムラを除去することは出来ない。
【0019】
このように“金型面と基板面との間の距離”が一定に定まらないという現象は、金型面と基板面との間に光硬化性樹脂の原料流体を挟んで硬化させるという2P法の特徴に起因しており、それゆえ、2P法特有の問題であるといえる。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、2P法を用いて作製される微細構造転写物の厚みムラを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願発明者らは、射出成形法におけるキャビティに該当する領域を確保するため、2P用の金型に新たな構造を作り出す事でこの問題を解決した。具体的には、本願発明は、微細パターン成形品を製造する方法であって、
(i)微細パターンAを備えたスタンパと透明基板とを用意し、スタンパまたは透明基板上に光硬化性樹脂原料を供する工程、
(ii)光硬化性樹脂原料を挟むようにしてスタンパと透明基板とを対向配置させる工程、および
(iii)透明基板を介して光硬化性樹脂原料に光を照射して樹脂原料を硬化させ、それによって、微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成されて成る成形品を得る工程
を含んで成り、
工程(i)のスタンパとして、微細パターンAの形成領域内に隆起パターンBが設けられたスタンパを用い、工程(ii)では、スタンパと透明基板との間に隆起パターンBを介在させてスタンパと透明基板とを一定の間隔で対向配置させる。
【0022】
本発明の特徴の1つは、スタンパの微細パターンAの形成領域内に形成された隆起パターンBでもって金型面と基板面間との距離を高精度に制御することであって、それによって、厚みムラの無い微細構造物が得られる。
【0023】
本発明において、「微細パターン」とは、微細な凹凸形状から形成されて成るパターンを意味しており、その微細な凹凸形状を構成する“微細凹部(もしくは微細な窪み)”または“微細凸部(もしくは微細な隆起部)”の寸法(幅・高さ・深さなどの寸法)が、ミクロンメートル〜ミリメートルのオーダー(1μm〜10mm程度)であるものを実質的に意味している。
【0024】
また、本明細書において「隆起パターン」とは、微細な凸形状から成るパターンを意味しており、特にそのパターンを構成する“微細凸部”の寸法(幅・高さ・深さなどの寸法)が、ミクロンメートル〜ミリメートルのオーダー(1μm〜10mm程度)であるものを実質的に意味している。例えば、「隆起パターン」は局所的に隆起した複数の突起状バンプから構成されている。
【0025】
ある好適な態様では、規則正しく縦横にアレイ状に配置された複数のサブ微細パターンA’から微細パターンAが構成され、隆起パターンBが各サブ微細パターンA’の周囲に隣接して配置されているスタンパを用いる。
【0026】
別のある好適な態様では、隆起パターンBを構成する複数の突起状バンプが対を成して配置されているスタンパを用いる。
【0027】
更に別のある好適な態様では、微細パターン成形品としてマイクロレンズアレイ(MLA)を製造する。本明細書における「マイクロレンズアレイ」とは基板上に微少なレンズが集積配列されたものを実質的に意味している。例えば、マイクロレンズアレイでは、レンズ径5〜500μm程度の微小レンズが1チップあたり数千から数万個(例えば9千個〜6万個程度)アレイ配列されている。
【0028】
本発明では、上記の製造方法で用いるスタンパも提供される。かかるスタンパは、微細パターン成形品を製造するためのスタンパであって、
成形品の微細パターンの型となる微細パターンAを有して成り、微細パターンAの形成領域内に隆起パターンBが設けられている。
【0029】
本発明のスタンパにおいては、バンプ構造部(即ち“隆起パターンB”)が樹脂原料の流動を邪魔することなく正確にスタンパと透明基板との間隔を保持できるように微細構造部の形成領域内に配置されており、特に微細構造部を構成するサブ微細構造部の各々に近接して配置されている。
【0030】
ここでいう「微細パターン」および「隆起パターン」は上記と同様である。つまり、「微細パターン」とは、微細な凹凸形状から形成されて成るパターンを意味しており、その微細な凹凸形状を構成する“微細凹部(もしくは微細な窪み)”または“微細凸部(もしくは微細な隆起部)”の寸法(幅・高さ・深さなどの寸法)が、ミクロンメートル〜ミリメートルのオーダー(1μm〜10mm程度)であるものを実質的に意味している。また、「隆起パターン」は、、微細な凸形状から成るパターンを意味しており、特にそのパターンを形成する“微細凸部”の寸法(幅・高さ・深さなどの寸法)が、ミクロンメートル〜ミリメートルのオーダー(1μm〜10mm程度)であるものを実質的に意味している。
【0031】
ある好適な態様では、微細パターンAが、規則正しく縦横にアレイ状に配置された複数のサブ微細パターンA’から構成されており、その各サブ微細パターンA’の周囲に隆起パターンBが設けられている。
【0032】
別のある好適な態様では、隆起パターンBが複数の突起状バンプから構成されている。「突起状バンプ」とは、局所的に盛り上がった部分を意味しており、特に図1に示すようにスタンパの成形面(凹凸面)よりも局所的に盛り上がった部分を意味している。このような隆起パターンBにおいては複数の突起状バンプは相互に離隔した状態で配置されている。従って、「突起状バンプ」は、“局所的隆起部”または“突起状隆起部”などと称すことができるものである。
【0033】
突起状バンプはスタンパのボディと一体化して形成されていることが好ましい。また、好ましくは、複数の突起状バンプは対を成して設けられている。更には、突起状バンプは以下の形態を有していることが好ましい。

・突起状バンプがテーパ形状を有している。
・突起状バンプが面取り形状またはRが付いた形状を有している。
・突起状バンプの断面形状(スタンパの主面に平行な面で切り取った断面形状)が円形または楕円形となっている。
・突起状バンプの頂部が平坦化されている(つまり、突起状バンプが平面状頂部を有している)。
【0034】
ある好適な態様では、スタンパが2P法で用いられる金属製スタンパとなっている。つまり、本発明のスタンパが、フォトポリマープロセス法で用いられる金属製スタンパとなっている。
【0035】
本発明では、上述のスタンパを金型・鋳型として用いた成形によって得られる樹脂成形品も提供される。本発明の樹脂成形品は、スタンパの微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成されており、その成形品の微細パターン形成領域内においては、隆起パターンBの反転形状に相当する凹部パターンが形成されていることを特徴とする。
【0036】
例えば、上記のような成形品は、マイクロレンズアレイであって、特に各チップへと分割される前の状態のマイクロレンズアレイ成形品である(かかる場合、微細パターンAを構成する複数のサブ微細パターンA’の各々がマイクロレンズアレイの各チップに相当し得る)。
【発明の効果】
【0037】
本発明に従えば、2P法で作製される微細構造の転写物(即ちMLAなどの成形品)の厚みムラを低減することができる。具体的には、微細パターン内に隆起パターンが設けられたスタンパを用いることによって、「2P工程に起因する成形品の面内の厚みバラツキ」を実質的に無くすことができ、「ウエハ間の厚みバラツキ」なども低減させることができる。換言すれば、2Pに用いられる個々の基板(透明基板などの2P用基板)が有し得る“たわみ”や“厚みムラ”などに拘わらず、隆起パターンによって金型と基板との間の空間を常に一定に保つことができるので、厚みの一定した微細パターン成形品を同時に多数作製することができる。
【0038】
本発明のスタンパでは、「微細パターンAを構成するサブ微細パターンA’」の近傍において局所的に突出したバンプから隆起パターンBが構成されている。従って、2P時に樹脂原料の流動を邪魔することなく金型面と基板面との間のキャビティ空間を一定の厚みで安定して保持することができ、品質を損ねることなく2P成形品の厚みバラツキ(より具体的には“チップ間における厚みバラツキ”や“各チップ内における厚みバラツキ”など)を効果的に抑制することができる。
【0039】
本発明は、微細パターンAの領域内に微細な隆起パターンBを設けるという簡便な機構であり、また、隆起パターンBは微細パターンAの形成に際して容易に形成することができる。そのような簡易な機構・容易な手段でありながらも、本発明は、2P法においてキャビティ領域を一定の厚さで確保でき、厚みムラのないMLAを再現性良く効率的に作製することができる。
【0040】
本発明では厚みムラのないMLAを再現性良く効率的に作製できるので、その点に鑑みれば、マイクロレンズアレイなどの微細構造物作製における製造歩留まりも向上する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明のスタンパを模式的に示した上面側平面図(図1(a))および断面図(図1(b))である。
【図2】図2は、本発明のスタンパの一部を模式的に示した斜視図である。
【図3】図3は、スタンパの微細パターンA(図3(a))および隆起パターンB(図3(b))である。
【図4】図4(a)〜(d)は、本発明の微細パターン成形品の製造工程を模式的に示す工程断面図である。
【図5】図5は、本発明の樹脂成形品を模式的に示した断面図(図5(a))および斜視図(図5(b))である。
【図6】図6(a)は、本発明の樹脂成形品の一部を模式的に示した斜視図であり、図6(b)は、かかる樹脂成形品を製造するためのスタンパの一部を模式的に示した斜視図である。
【図7】図7(a)は、レジスト原盤の模式的斜視図であり、図7(b)は、かかるレジスト原盤から得られるスタンパの模式的斜視図であり、図7(c)は、かかるスタンパから得られる樹脂成形品の模式的斜視図である。
【図8】図8は、グレイマスクの模式図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、レーザ加工態様の一例を示す模式図である。
【図10】図10(a)〜(d)は、突起状バンプの種々の配置態様を示した模式図である。
【図11】図11(a)〜(f)は、突起状バンプの種々の形態を模式的に示した斜視図である。
【図12】図12は、複数のMLAを有する基盤の模式図である。
【図13】図13は、MLAを作製するマスクの模式図である(比較例1)。
【図14】図14は、2P工程の模式図である(比較例1)。
【図15】図15は、チップ番号を示す模式図である。
【図16】図16は、チップの厚み測定結果を示すグラフである(比較例1および実施例1)。
【図17】図17は、従来工法の2工程の態様を示す模式図である。
【図18】図18(a)〜(c)は、実施例1におけるスタンパ製造工程の一部を模式的に示す工程図である。
【図19】図19は、実施例1のグレイマスクの態様を示した模式図である。
【図20】図20は、実施例1のバンプ形状を示した模式図である。
【図21】図21(a)〜(c)は、実施例1におけるスタンパ製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図22】図22は、2P工程の模式図である(実施例1)
【図23】図23は、チップ厚み再現性結果のグラフである。
【図24】図24(a)〜(d)は、実施例3におけるレジスト原盤の製造工程図である。
【図25】図25は、MLAに発生する厚みムラの態様(従来技術)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。まず、本発明の「スタンパ」について説明を行う。それに伴って、かかるスタンパを用いた「微細パターン成形品の製造方法」およびそれによって得られる「微細パターン成形品」についても説明する。
【0043】
《本発明のスタンパ》
本発明のスタンパ(100)は、図1(a)に示すように、成形品の微細パターンの型となる微細パターンA(10)を有して成り、微細パターンA(10)の形成領域内に隆起パターンB(20)が設けられている。
【0044】
微細パターンA(10)は、微細な凹形状および/または凸形状から成る凹凸形状を有しており、成形品の微細パターンを形作る部分に相当する(図1(b)参照)。例えば、スタンパからマイクロレンズアレイ(MLA)を作製する場合、微細パターンA(10)は図1(b)および図2に示すように半円状の窪みがアレイ状に配置された領域を構成している(かかる場合、窪み寸法は、例えば5μm〜400μm、好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは50μm〜200μmであり得る)。また、微細パターンA(10)は、全体としては、図1(a)に示すように、規則正しく縦横にアレイ状に配置された複数のサブ微細パターンA’(10’)から構成されている。「複数のサブ微細パターンA’」における“複数”とは、好ましくは2〜100程度、より好ましくは5〜60程度、更に好ましくは10〜40程度である。
【0045】
一方、隆起パターンB(20)は、微細な凸形状から構成されている。好ましくは、隆起パターンB(20)は、図1(a)および(b)ならびに図2などに示されるように、複数の突起状バンプ(22)から構成されている。つまり、微細パターンB(20)は、スタンパの微細パターンAの形成面よりも局所的に盛り上がって形成されている。尚、「複数の突起状バンプ」における“複数”とは、数個〜数百個であり、好ましくは2〜900個、より好ましくは4個〜200個(例えば20〜100個程度)である。
【0046】
本発明のスタンパでは、隆起パターンB(20)が、微細パターンA(10)の形成領域内に形成されている。具体的には、微細パターンA(10)のサブ微細パターンA’(10’)の周囲に隆起パターンB(20)が配置されている。つまり、図3(a)に示すような微細パターンA(10)の領域内に、図3(b)に示すような隆起パターンB(20)が形成されているといえる。
【0047】
図2に示すように、隆起パターンB(20)は、複数の突起状バンプ(22)から構成されていることが好ましい。かかる場合、複数の突起状バンプ(22)が、サブ微細パターンA’(10’)に隣接するように、サブ微細パターンA’(10’)の周囲に配置されていることが好ましい。例えば、突起状バンプ(22)が、サブ微細パターンA’(10’)の最外に位置する凹部エッジから好ましくは30〜1000μm程度、より好ましくは100〜500μm程度離隔している(つまり、図2で示す「L」がそのような数値範囲を有していることが好ましい)。突起状バンプ(22)の寸法についていうと、突起状バンプの平均幅寸法(図2で示す「W」)は、好ましくは5〜600μm程度、より好ましくは50〜500μm、更に好ましくは100〜400μm程度であり、突起状バンプの高さ寸法(図2で示す「H」)は、好ましくは5〜100μm程度、より好ましくは10〜60μm、更に好ましくは15〜45μm程度である。
【0048】
本発明のスタンパは、電鋳によって製造することができ、それゆえ、金属製であることが好ましい。つまり、本発明のスタンパは金属スタンパであることが好ましい。金属スタンパの材質は、電鋳に用いためっき金属(即ち“電鋳金属”)の種類に依存しており、例えばNi、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Pd、Pt、Ru、SnおよびZnから成る群から選択される少なくとも1種類以上の金属材料である。また、スタンパの厚さ(図1(b)で示す“t”)は、電鋳時のめっき厚に依存しているが、例えば50〜1000μm程度である。スタンパのサイズ・形状などは、特に制限がなく、2P法で常套的に採用されているサイズ・形状であってもよい。例えばスタンパは全体として円盤形・円形であり、その直径サイズが10cm〜80cm程度(例えば15cm〜45cm程度)であってよい。
【0049】
《本発明の製造方法》
次に、上記スタンパを用いた微細パターン成形品の製造方法について説明する。本発明の製造方法の実施に際しては、まず、工程(i)を実施する。つまり、図4(a)に示すように、スタンパ(100)と透明基板(200)とを用意し、スタンパ(100)または透明基板(200)上に光硬化性樹脂原料(300)を供する。スタンパとしては、上述したような「成形品の微細パターンの型となる微細パターンA(10)の形成領域内に隆起パターンB(20)が設けられているスタンパ」を用意する。一方、透明基板(200)は、2P法で常套的に使用されている透明な平板状の基板であれば特に制限はなく、例えば、石英基板である。このような透明基板の厚みも、2P法で常套的に使用されている基板厚みであれば特に制限はなく、好ましくは50μm〜500μm、より好ましくは100μm〜400μm、更に好ましくは150μm〜350μmである。また、透明基板のサイズ・形状は、スタンパと同様であってよく、例えば全体として円盤形・円形であり、その直径サイズが10cm〜80cm程度(例えば15cm〜45cm程度)であってよい。しかしながら、透明基板のサイズ(およびスタンパのサイズ)についていうと、本発明では隆起パターンBによって効果的にスタンパと透明基板との間を一定の間隔に保つことができるので、常套に採用される透明基板のサイズ(およびスタンパのサイズ)よりも大きいサイズが可能である(つまり、本発明では、大きいサイズであっても隆起パターンBによって透明基板の撓みを効果的に防止することができる)。
【0050】
スタンパまたは透明基板上に供給される光硬化性樹脂原料は、光の照射によって硬化する性質を備えた樹脂であれば特に制限はなく、2P法で常套的に使用されている樹脂原料であってよい。かかる光硬化性樹脂原料としては、例えばアクリル系紫外線硬化樹脂を挙げることができる。光硬化性樹脂原料(300)の供給箇所は、図4(a)に示すように、例えば、スタンパ(100)の中央部であってよい。
【0051】
工程(i)に引き続いて工程(ii)を実施する。つまり、図4(b)に示すように、光硬化性樹脂原料(300)を挟むようにしてスタンパ(100)と透明基板(200)とを対向配置させる。図示するように、石定盤(150)に載せられたスタンパ(100)に対して、透明樹脂原料(300)を介して透明基板(200)を重ねるように配置する。透明基板(200)の背面側には剛体透明基板(250)を配置してよい(かかる剛体透明基板は、例えば剛体石英基板であってよい)。スタンパ(100)と透明基板(200)とが対向配置されると、それらの間で光硬化性樹脂原料(300)が押し広げられることになる。
【0052】
本発明では、スタンパに隆起パターンB(20)が設けられているので、その隆起パターンB(20)によって、スタンパ(100)と透明基板(200)とが一定の間隔を空けて対向配置されることになる。つまり、微細パターンA(10)の形成領域内に設けられた隆起パターンB(20)がスタンパ(100)と透明基板(200)との間に挟み込まれるように存在することになるので、スタンパ(100)と透明基板(200)との間隔が水平方向に沿って実質的に一定に保持される。スタンパと透明基板との間隔、即ち“一定の間隔”は、隆起パターンBの隆起高さ、即ち、突起状バンプの高さに依存し得るものである。例えば、スタンパと透明基板との一定の間隔(図4(b)に示す“g”)は、好ましくは5〜100μm程度、より好ましくは10〜60μm、更に好ましくは15〜45μm程度である。
【0053】
尚、隆起パターンBは、あくまでも局所的に形成されているので、スタンパ(100)と透明基板(200)との間で光硬化性樹脂原料(300)が押し広げられる際にその押し広がり自体を阻害しないようになっている。つまり、隆起パターンB(20)は、成形品の型となる微細パターンA(10)の領域内に形成されているといえども、あくまでも“局所的”であるので(例えば図1および2を参照)、押し広がりは実質的に阻害されないし、その押し広がり時の樹脂流動に際しては空気が「スタンパと透明基板との間の空間」に取り込まれないようになっている。
【0054】
工程(ii)に引き続いては、工程(iii)を実施する。つまり、図4(b)の下側にて示すように、透明基板(200)(および剛体透明基板(250))を介して光硬化性樹脂原料(300)に光を照射して樹脂原料を硬化させる。硬化させると、微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンを備えた成形物が得られることになる。
【0055】
照射する光は、樹脂原料(300)が硬化するのであれば、特に制限はない。例えば光硬化性樹脂原料として紫外線硬化樹脂を用いた場合では、紫外線(UV光)であってよい。樹脂原料の硬化が行われることによって、スタンパ(100)と透明基板(200)との間において“微細パターンを備えた成形品”が得られることになるが、その成形品の微細パターンは、スタンパの構造に起因して、微細パターンAの反転形状に相当する。
【0056】
硬化後においては離型作業を行う。これにより、図4(c)に示すように、「微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成されて成る樹脂成形品(400)」が取り出されることになる。意図される製品がマイクロレンズアレイの場合、離型によって取り出された樹脂成形品は、最終的には図4(d)に示すように、各チップ(400A,400B,400C,400D,・・・)へと分割される(この場合、スタンパのサブ微細パターンA’に相当する成形品サブパターンがレンズアレイの各チップに相当する)。
【0057】
《本発明の成形品》
本発明の成形品は、上記製法で得られる樹脂成形品である。つまり、かかる成形品は、本発明のスタンパを金型・鋳型として用いた成形によって得られる樹脂成形品(400)である。本発明の樹脂成形品は、図5および図6(a)に示されるように、スタンパの微細パターンAの反転形状に相当する微細パターン(410)が形成されており、その成形品の微細パターン形成領域においては、隆起パターンBの反転形状に相当する凹部パターン(420)が形成されている。樹脂成形品がマイクロレンズアレイの場合では、微細パターン(410)が各マイクロレンズに相当する。かかる樹脂成形品(400)では、スタンパの隆起パターンBに起因して、厚みムラが減じられており、好ましくは厚みムラが全くないものとなっている。つまり、樹脂成形品(400)の厚み寸法はどの箇所でも実質的に同じになっており(特に同じ形状ポイントでは厚みが一定となっており)、それゆえ、“チップ間における厚みバラツキ”や“各チップ内におけるレンズ厚みのバラツキ”などは回避されている。従って、本発明で得られるマイクロレンズアレイは、同一工程で大量に作られた場合であっても、個々のレンズの焦点位置がずれていることはなく、本来のレンズとしての機能がバラツキなく確保されている(つまり、レンズ間、特にチップ間においてバラツキなく品質が一定している)。
【0058】
(スタンパの製造方法について)
次に、本発明のスタンパの製造法について詳述する。本発明のスタンパは、その形状が模された「レジスト原盤」なるものから得ることができる。かかる一連の製造工程を経時的に説明していく。
【0059】
(レジスト原盤の作製)
まず、“レジスト原盤”の原型となる基板を用意する。用意する基板は、その表面が平坦かつ平滑であれば、どのような種類のものであってよい。例えば、表面が平滑であって鏡面状に研磨されており、表面に熱酸化膜が形成されたシリコンウエハを用いることができる。また、石英や金属から成る基板を用いてもよい。
【0060】
次いで、かかる基板の表面にレジストを形成する。そして、レジストを形成した後、レジスト上にマスクを配して露光を行う。露光は、マスクによる一括露光に限定されるものでなく、直接レーザや電子線により露光パワーを変更した描写によって作製してよい。更には、LIGA (Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスのように、シンクロトロン放射光を使用してもよい。
【0061】
マスクを介した露光に際しては、そのマスクの階調を自由に変えることが可能な多階調フォトマスクを使用してよい。かかる多階調フォトマスクとしてはグレイトーンマスクおよび/またはハーフトーンマスクを用いることができる。グレイトーンマスクは、露光機の解像度以下のスリットを作り、そのスリット部が光の一部を遮り、中間露光を実現する。一方、ハーフトーンマスクは“半透過”の膜を利用することで中間露光を実現する。いずれも、1回の露光で「露光部分」「中間露光部分」「未露光部分」の3つの露光レベルを実現し、現像後に厚さが異なる微細構造部を得ることができる。本発明に関連していうと、グレイトーンマスクの濃度を調整し、現像後の深さを制御することによって微細パターンAの凹凸形状や隆起パターンBの突起形状などを自由に調整することができる。
【0062】
露光を行った後、現像処理を行う。例えば、露光された基板をTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)溶液に浸し現像を行ってよい。かかる現像によって、スタンパの形状が模された「原盤」が得られることになる(得られた「原盤」は、レジストによりパターン作製して得られたものなので、“レジスト原盤”と称すことができる)。
【0063】
次いで、「レジスト原盤」から「スタンパ」を作製する。具体的には、レジスト原盤に対してスパッタやめっき処理を行って、原盤パターンの反転パターンを有するスタンパを作製する。例えば、原盤に対してNiスパッタ膜を導電膜として形成し、スルファミン酸ニッケルめっきを行ってスタンパを作製できる。導電膜の形成をスパッタによって行うことに限定されず、無電解めっきやCVD (Chemical Vapor Deposition)などを用いて行ってもよい。
【0064】
上記めっき処理に用いるめっき液としては、応力の少ないスルファミン酸ニッケルめっき液を使用し、これにpH緩衝用の硼酸および陽極Niの溶解を促進する塩化Niを添加してもよい。また、めっき液のpH調整にスルファミン酸を用い、常にpH3.8〜4.2の範囲になるようにしてもよい。めっき液の温度は例えば50℃であってよい。更に、めっき液は常時濾過に付してもよい。
【0065】
スタンパ材質としては、Niに限定されるわけでなく、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Ni、Pd、Pt、Ru、Snおよび/またはZn等の金属を用いてもよい。
【0066】
以上のように、レジスト原盤(90)に対してスパッタやめっき処理を行うことによって、原盤パターンの反転パターンを有するスタンパ(100)を得ることができる。尚、かかるスタンパ(100)を用いた2Pプロセスを実施すると、そのスタンパのパターンの反転パターンを有する樹脂成形品(400)が得られることになる(図7を参照のこと)。
【0067】
(隆起パターンBの種々な態様)
次に、本発明の特徴的部分となる“隆起パターンB”について詳細に説明しておく。“隆起パターンB”は、微細パターンの型となる微細パターンA(10)の形成領域内に形成されており、特に、微細パターンA(10)のサブ微細パターンA’(10’)の周囲に配置されている。つまり、図3(a)に示すような微細パターンA(10)の領域内に、図3(b)に示すような隆起パターンB(20)が形成されている。隆起パターンB(20)は、複数の突起状バンプ(22)から形成されていることが好ましく、その複数の突起状バンプ(22)が、サブ微細パターンA’(10’)に隣接するように、サブ微細パターンA’(10’)の周囲に配置されていることが好ましい。
【0068】
突起状バンプ(22)は、スタンパのボディと一体化して形成されていることが好ましい。つまり、上記のスタンパの作製に伴って突起状バンプが一体的に形成されることが好ましい。一体化して成るバンプは、スタンパのボディ部と同じ材質から成り、それゆえ、例えばNi、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Pd、Pt、Ru、SnおよびZnから成る群から選択される少なくとも1種類以上の金属材料から成る。図8には、突起状バンプが形成される場合のレジスト原盤の作製態様が模式的に示されている。図示されるように、多階調マスクには、サブ微細パターンA’に相当するパターン領域に加えて、バンプに相当するパターンも形成されている。図8に示されるレジスト原盤からは、「マスクのパターン領域の反転形状に相当するサブ微細パターンA’および突起状バンプを備えたスタンパ」が得られることになる。ちなみに、レジスト原盤のバンプ相当領域は、マスク配置を介した露光・現像で形成する態様に限定されず、図9に示すように、レーザ加工で直接的に形成してもよい。
【0069】
隆起パターンBでは、複数の突起状バンプが対を成していることが好ましい。特に図10(a)に示すように、サブ微細パターンA’の周囲にてそれに隣接するような態様で対を成していることが好ましい。対を成すバンプ同士は、その高さが同じになっていることが好ましく、また、サブ微細パターンA’を中心に対称となるように対を成していることが好ましい。対を成す態様は、その他にも種々に考えられ、例えば図10(b)〜図10(d)に示されるような態様が考えられる。図10(b)は、突起状バンプ(22)がサブ微細パターンA’のコーナー部に隣接するような形態で対を成している態様であり、図10(c)は、突起状バンプ(22)がサブ微細パターンA’の辺中央部に隣接するような形態で対を成している態様である。更に、図10(d)は、図10(b)と図10(c)とを組み合わせたような態様である。
【0070】
隆起パターンBを構成する各々の突起状バンプは、好ましくは図11(a)〜(f)に示すような形態を有している。これについて詳述する。まず、図示されるように、突起状バンプはテーパ形状を有していることが好ましい。例えば図11(a)に示されるようなテーパ角度αは、好ましくは100°〜145°程度である。“テーパ形状”の場合、スタンパに対する成形品の離型性が向上するだけでなく、スタンパと透明基板とを対向配置させて樹脂原料を押し広げる際に、空気の取り込み・巻き込みを効果的に減じることができる。また、図11(b)および(c)に示されるように、突起状バンプが面取り形状を有していてもよいし、あるいは、図11(d)に示されるように、突起状バンプが“Rが付いた形状”を有していてもよい。例えば図11(b)に示されるような面取り角度βは、テーパ角度と同様であってよく、100°〜145°程度であることが好ましい。また、Rのサイズは、角部が丸みを帯びていれば特に制限はなく、例えば5μ〜100μm程度であってよい。このような“面取り形状”/“R付き形状”の場合でもスタンパに対する成形品の離型性が向上するだけでなく、スタンパと透明基板とを対向配置させて樹脂原料を押し広げる際の空気の取り込み・巻き込みが効果的に減じられる。更には、図11(a)〜(d)および図11(f)に示されるように、突起状バンプの断面形状(スタンパの主面に平行な面で切り取った断面形状)が円形または楕円形となり得るものであったり、あるいは、例えば図11(e)に示されるように「コーナー部が丸みを帯びた矩形状」となっていてもよい。かかる場合であってもスタンパに対する成形品の離型性が向上するだけでなく、スタンパと透明基板とを対向配置させて樹脂原料を押し広げる際の空気の取り込み・巻き込みが効果的に減じられる。尚、“厚みムラの効果的な抑制”という点に特に焦点をおくと、図11(a)〜(c)ならびに(e)および(f)などに示されるように、突起状バンプの頂部が平坦化されていることが好ましい。即ち、突起状バンプが例えば截頭錐形状(錐体の頭部を底面に平行な面で切り取った形状)となっていることが好ましい(かかる場合であっても、上面の稜部分は面取りあるいはRが形成されていてよく、それによって、“厚みムラ”だけでなく“空気の取り込み・巻き込み”なども効果的に減じることができる)。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。

●スタンパ製造方法で用いる電鋳では、Ni、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Pd、Pt、Ru、SnおよびZnから成る群から選択される少なくとも1種類以上の金属を用いることができるものの、必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。例えば、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Znのいずれかの金属を主体とした合金めっきや、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)などを分散してめっき皮膜に取り込みロール状あるいは平面板のスタンパを作製することも出来る。また、Mn、Gd、Sm、W、Sb、Mo、P、B、Sなどをめっき皮膜中に積極的に取り込むことによって、硬度や潤滑性、粘り強さを高めたロール状あるいは平面板の合金製スタンパを作ることもできる。
【0072】
● 本明細書では、めっき液を用いた湿式めっきによってレジストマスタを得る態様について触れたが、必ずしもかかる態様に限定されるわけではなく、溶融めっきおよび真空めっき(PVDやCVDなど)などの乾式めっきであっても、かまわない。
【0073】
● 本明細書では主としてフォトリソグラフィーによってレジストマスタを得る態様について触れたが、必ずしもかかる態様に限定されるわけではなく、同様の微細パターンおよび凹部パターンを形成できるのであれば、いずれの作製法を採用してもよい。
【0074】
尚、本発明は、下記の態様を有するものであることを確認的に述べておく。
[第1態様]:同一形状の複数の凸型あるいは凹型の微細パターンAが作製されたX−Y平面に対して、Z軸方向に空間を設けるための構造である微細パターンBが微細パターンAの周辺に少なくとも1対以上作製されている2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第2態様]:上記第1態様において、微細パターンBの側壁形状がテーパ状になっていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第3態様]:上記第1または第2の態様において、微細パターンBの形状が、面取りあるいはRが付いていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第4態様]:上記第1〜第3の態様のいずれかにおいて、微細パターンBが、分離して配置されていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第5態様]:上記第1〜第4の態様のいずれかにおいて、微細パターンBの形状が円あるいは楕円状で作成されていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第6態様]:上記第1〜第5の態様のいずれかにおいて、微細パターンBの頂上が平坦であることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第7態様]:上記第1〜第6の態様のいずれかにおいて、対を成す微細パターンBの配置が微細パターンAの中心に対して対称に設けられていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第8態様]:上記第1〜第7の態様のいずれかにおいて、シリコンまたはガラスにより作製されていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第9態様]:上記第1〜第8の態様のいずれかにおいて、Ag、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、In、Ni、Pd、Pt、Ru、SnおよびZnから成る群から選択される少なくとも1種以上の成分を含んで成るロール状あるいは平面板となっていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
[第10態様]:上記第1〜第9の態様のいずれかにおいて、Mn、Gd、Sm、W、Sb、Mo、P、BおよびSから成る群から選択される少なくとも1種以上の成分を含んで成るロール状あるいは平面板となっていることを特徴とする2P用金型およびそれを用いた2Pプロセス。
【実施例】
【0075】
本発明の効果を確かめるために、以下の比較例1,2および実施例1〜3を実施した。
【0076】
(比較例1)
従来法により図12に模式的に示したような多数のレンズ形状を有するマイクロレンズアレイを作製した。
【0077】
マイクロレンズアレイについては、個々のレンズ径が100μmであって、縦横に200個ずつ並び、4万個のレンズで1チップが形成されたものを作製した。チップは1mm間隔で縦横に5個ずつ並ばせ、それゆえ、1つのウエハ内に25個のチップを作製した。
【0078】
まず、レジストマスタと称する原盤を作製した。基板としては表面が平滑で鏡面状に研磨され、表面に熱酸化膜が形成されたシリコンウエハを用いた。この基板上にヘキサメチルジシラザン(HMDS)を塗布し、140℃で10分間ベークした。その後、厚膜用のポジ型フォトレジスト(東京応化製PMER P−LA900PM)をスピンコート法により20μm厚になるよう塗布した。これは高さが20μmのマイクロレンズを作製するためである。
【0079】
図13に比較例1で用いたグレイマスクの模式図を示す。かかるグレイマスクはφ100μmのレンズ用グレイパターンが規則正しく作製されているものである。このマスクを用いて、超高圧UV光により密着露光を行った。図13において、黒い部分は完全に光を遮断し、白い部分はUV光が透過するため、露光・現像後は白い部分が凹みとなる。白と黒の中間のグレイ部分は、その濃淡によりUV光を透過させ、高さを調節して所望のレンズ形状を作製することができる。図13では模式的に描いたが、実際は数段から数十段の濃淡を作製しレンズの形状を作製した。
【0080】
露光後に使用した現像液としては、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)3%を用いた。
【0081】
露光・現像後、レンズ形状が作製されたレジストマスタに対して導電膜としてNiスパッタ膜を作製し、スルファミン酸ニッケルめっきを行い300μm厚のスタンパを作製した。
【0082】
めっき液には応力が少ないといわれるスルファミン酸ニッケルめっき液を用い、これにpH緩衝用の硼酸および陽極Niの溶解を促進するための塩化Niを添加した。さらにpH調整にはスルファミン酸を用い、常にpH3.8〜4.2の範囲になるように調整した。めっき液の温度は50℃とし、めっき液は常時濾過した。
【0083】
上記方法で電鋳により作製したスタンパの裏面を平滑に研磨し、外形を加工して2P用スタンパを得た。
【0084】
次いで、図14に示すようにスタンパの上にアクリル系紫外線硬化樹脂を1ml垂らし、大きさ160mm角・厚み250μmの石英基板を載せた。この石英基板の上に、さらに別の剛体石英基板を載せて平滑な石定盤と平行に挟み、均等な押し付け圧力で加圧することで余分な光硬化性樹脂を押し出した。このときスタンパ面と石英基板の間隔が30μmになるように、ギャップ調整用基板保持具で間隔を調整した。この状態で、UV光を60秒間照射して光硬化樹脂を硬化させることによって、石英基板側に光硬化樹脂から成る「図12と同様のパターンを備えたマイクロレンズアレイ」を得た。ウエハ上に作製されたレンズの厚みをマイクロメータで測定した。個々のウエハを区別するため、図15に示すように左上から右下へ順番にチップ番号を割り付けた。厚さ測定の箇所はマイクロレンズが多数作成されたチップの中心付近とし、3回測定した平均値をチップ厚みとした。
【0085】
用いた石英ガラス基板250μm、スタンパ面と基板面の間隔30μm、レンズ高さ20μmであるため、理論的には膜厚は300μmとなる。
【0086】
実際の測定結果を以下の表1(チップの厚み)に示す。また、チップ番号を横軸にとり、各チップ厚みを縦軸にプロットしたグラフを図16に示す。
【0087】
図16に示した結果から、チップ中央部分がガラス基板のたわみによって凹み、そのまま光硬化樹脂が固まることによって、厚みが十分得られていないことがわかった。従来法では図17のように外周をギャップ調整用基板支持具で保持しても基板中央付近が撓んでいると考えられる。
【0088】
【表1】

【0089】
(実施例1)
本発明に従って、比較例1と同様の多数のレンズ形状を有するマイクロレンズアレイを作製した。但し、実施例1では、成形品の型となる微細パターンAの形成領域内に1対以上のバンプ構造を備えたスタンパを用いた。
【0090】
基板としては、表面が平滑で鏡面状に研磨され、表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板を用いた(図18(a)参照)。この基板上にヘキサメチルジシラザンを塗布後、140℃で10分間ベークして、厚膜用のポジ型フォトレジスト(東京応化製PMER−LA900PM)をスピンコート法により塗布した(図18(b)参照)。
【0091】
次いで、図19に模式的に示すような「濃淡を有するガラス製の多階調マスク」を用いて、超高圧UV光により密着露光を行った(図18(c)参照)。図19おいて、黒い部分は完全に光を遮断し、白い円の部分はUV光が透過し、傾斜となるグレイ部分はその濃淡の濃さに応じたUV光を透過する。この透過率を制御することによって、自在に形状を作製することができる。
【0092】
バンプ位置は、1チップに対してX−Yの各辺の角部に、チップ中心から見て対称な位置になるように計4個作製した。
【0093】
特に図20に示すようにバンプ截頭の稜部は曲線として作製した。これは2P後の剥離性を特に考慮したものである。本実施例のようにバンプは、光硬化樹脂の流動を考慮して、分離して配置した方が良い。実施例1のバンプ形状は、図20に示すように底面の直径がφ300μm、上面の形状をφ250μm、角部のRを15μm、高さを30μmとした(本実施例では、バンプ形状を円形としたが楕円形でも良く、サイズも数百nm〜数mmの範囲内で選ばれるものである)。
【0094】
露光された基板はTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)3%の溶液に浸して現像を行った。
【0095】
現像終了後、レジストによってパターンが作製された原盤(レジスト原盤)に対して導電膜としてNiスパッタ膜を成膜し(図21(a)および(b)参照)、スルファミン酸ニッケルめっきを行いスタンパを作製した(図21(c)参照)。めっき液には応力が少ないといわれるスルファミン酸ニッケルめっき液を用い、これにpH緩衝用の硼酸および陽極Niの溶解を促進するための塩化Niを添加した。更にpH調整にはスルファミン酸を用い、常にpH3.8〜4.2の範囲になるように調整した。めっき液の温度は50℃とし、めっき液は常時濾過した。
【0096】
作製したバンプ付きスタンパを用いて、図22に示されるような2P法でMLAを作製した。外周は基板支持具により保持したが、石英基板の内周ではバンプによって保持した。これにより、樹脂溜りはどれも等しい容積となった。
【0097】
本実施例により作製したMLAの厚みを比較例1と同様にマイクロメータで測定した。測定した結果を上記の表1に示す。また、チップ番号を横軸にとり、各チップ厚みを縦軸にプロットしたグラフを図16に示す。
【0098】
この結果から、本実施例1では、比較例1で存在したチップ中央部分の凹みが実施例1では存在しないことが分かった。これは、光硬化樹脂が貯えられる領域が十分確保され、厚みバラツキが発生しなくなったからと考えられる。
【0099】
(比較例2)
比較例1と同様に、従来法により作製したスタンパを3枚分作製した。作製した3枚のウエハの各チップをマイクロメータにより測定した。
【0100】
ウエハごとのチップ厚みの結果を表1に示す。従来法により作成した3枚のウエハは、比較例2−1、2−2、2−3とする。チップ番号を横軸にとり、各チップ厚みを縦軸にプロットしたグラフを図23に示す。同じ金型(スタンパ)を使用したにも拘わらず、厚みにバラツキが認められた。同一チップNoの標準偏差を算出し、平均を求めたところ0.69であった。
【0101】
(実施例2)
本発明により作製したスタンパを用いて実施例1と同様に2P工程によりマイクロレンズアレイをウエハ3枚作製した。3枚のウエハの各チップをマイクロメータにより測定した。ウエハごとのチップ厚みの結果を表1に示す。本発明により作製した3枚のウエハは、実施例2−1、2−2、2−3とする。
【0102】
チップ番号を横軸にとり、各チップ厚みを縦軸にプロットしたグラフを図23に示す。同一チップNoの標準偏差を算出し、平均を求めたところ0.16であった。標準偏差が1/4以下となりウエハごとのバラツキが非常に少ないことが分かった。
【0103】
本発明によるバンプを設けたことによって、2P工程の再現性が非常に良くなった。これは、バンプを作製したことにより、金型面とガラス基板面との距離が高精度に制御され、それにより2P工程自体の再現性が良くなったためと考えられる。
【0104】
(実施例3)
本発明によるバンプ構造を別の方法により作製した。その作製方法を図24に示す。基板として表面が平滑で鏡面状に研磨され、表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板を用いた(図24(a)参照)。用いる基板は、表面が平坦で平滑であれば良く、材質的には石英や金属であっても良い。
【0105】
次いで、この基板上にアクリル系紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布し、UV光に曝して樹脂を硬化させアクリル樹脂層を作製した(図24(b)参照)。さらにその上にポジ型フォトレジスト(東京応化製PMER P−LA900PM)を塗布した。この後、濃淡を有するガラス製の多階調マスクを用いて、超高圧UV光により密着露光を行い、次いで、露光された基板をTMAH (テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)3%の溶液により現像を行い、レンズ形状を得た(図24(c)参照)。
【0106】
アクリル樹脂面上にレジストで構成されたレンズが作製されたものに対して、図24(d)に示すようにMLA近傍のバンプ形成領域に加工用レーザを照射して、アクリル樹脂を局所的に除去した。加工用レーザとして熱影響が少なく有機材料等への微細加工が可能なYAG第4高調波(波長266nm)レーザを用いた。この時バンプが円錐状になるように加工用レーザを走査した。
【0107】
バンプを備えたレジスト原盤に対して、Niスパッタ膜を成膜し、スルファミン酸ニッケルめっきを行ってスタンパを作製した。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の製造方法およびスタンパを用いると、いわゆる2P法における成形品の厚みムラ・厚みバラツキを効果的に抑制することができる。それゆえ、特にMLAなどを作製する場合、個々のレンズ間または各チップ間においてバラツキがなく品質が一定となり得る。
【符号の説明】
【0109】
10 微細パターンA
10’ サブ微細パターンA’
20 隆起パターンB
22 突起状バンプ
90 レジスト原盤
100 スタンパ
150 石定盤
200 透明基板
250 剛体透明基板
300 光硬化性樹脂
400 樹脂成形品
400A,400B,400C,400D・・・ 分割された成形品
410 樹脂成形品の微細パターン(微細パターンAの反転形状の微細パターン)
420 樹脂成形品の凹部パターン(隆起パターンBの反転形状の微細パターン)
100’ 金型スタンパ(従来技術)
200’ 石英基板(従来技術)
250’ 剛体透明基板(従来技術)
400’ 微細パターン成形品(従来技術)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細パターン成形品を製造する方法であって、
(i)微細パターンAを備えたスタンパと透明基板とを用意し、該スタンパまたは該透明基板上に光硬化性樹脂原料を供する工程、
(ii)前記光硬化性樹脂原料を挟むようにして前記スタンパと前記透明基板とを対向配置させる工程、および
(iii)前記透明基板を介して前記光硬化性樹脂原料に光を照射して該樹脂原料を硬化させ、それによって、前記微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成された成形品を得る工程
を含んで成り、
前記工程(i)の前記スタンパとして、前記微細パターンAの形成領域内に隆起パターンBが設けられたスタンパを用意し、前記工程(ii)では、前記隆起パターンBが介在することにより前記スタンパと前記透明基板とが一定の間隔を空けて対向配置されることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
規則正しく縦横にアレイ状に配置された複数のサブ微細パターンA’から前記微細パターンAが構成され、前記隆起パターンBが各サブ微細パターンA’の周囲に配置されている前記スタンパを用いることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記隆起パターンBを構成する複数の突起状バンプが対を成して配置されている前記スタンパを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
微細パターン成形品として、マイクロレンズアレイを製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
微細パターン成形品を製造するためのスタンパであって、
成形品の微細パターンの型となる微細パターンAを有して成り、該微細パターンAの形成領域内に隆起パターンBが設けられていることを特徴とする、スタンパ。
【請求項6】
前記微細パターンAが、規則正しく縦横にアレイ状に配置された複数のサブ微細パターンA’から構成されており、
前記隆起パターンBが、各サブ微細パターンA’の周囲に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載のスタンパ。
【請求項7】
前記隆起パターンBが複数の突起状バンプから形成されていることを特徴とする、請求項5または6に記載のスタンパ。
【請求項8】
前記突起状バンプが前記スタンパのボディと一体化して形成されていることを特徴とす
る、請求項7に記載のスタンパ。
【請求項9】
前記複数の突起状バンプが対を成して設けられていることを特徴とする、請求項7または8に記載のスタンパ。
【請求項10】
前記突起状バンプがテーパ形状を有していることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載のスタンパ。
【請求項11】
前記突起状バンプが面取り形状またはRが付いた形状を有していることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のスタンパ。
【請求項12】
前記突起状バンプの断面形状であって、前記スタンパの主面に平行な面で切り取った該断面形状が円形または楕円形となっていることを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載のスタンパ。
【請求項13】
前記突起状バンプの頂部が平坦化されていることを特徴とする、請求項7〜12のいずれかに記載のスタンパ。
【請求項14】
前記スタンパが2P法で用いられる金属製スタンパであることを特徴とする、請求項5〜13のいずれかに記載のスタンパ。
【請求項15】
請求項5〜14のいずれかに記載のスタンパを金型として用いた成形によって得られる樹脂成形品であって、
前記スタンパの微細パターンAの反転形状に相当する微細パターンが形成されており、
前記成形品の微細パターン形成領域においては、前記隆起パターンBの反転形状に相当する凹部パターンが形成されていることを特徴とする成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−187762(P2012−187762A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51827(P2011−51827)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】