説明

情報処理端末、情報処理方法、およびプログラム

【課題】ユーザにとって見やすい形で情報を表示することができるようにする。
【解決手段】本技術の一側面の情報処理端末は、端末自身の揺れの方向を検出する検出部と、所定の視点から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った方向にある他の視点から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成する生成部と、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う表示部とを備える。本技術は、タブレット端末に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、特に、ユーザにとって見やすい形で情報を表示することができるようにした情報処理端末、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末などの、比較的大きなディスプレイを有する携帯型の端末が普及してきている。ユーザは、例えばタブレット端末を使って、歩きながら調べごとをしたり、電車内で読書をしたりすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“Interactions in Multi-Display Environment” URL<http://www-human.ist.osaka-u.ac.jp/CI/MDE/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
机上に置かれたパーソナルコンピュータなどのような機器とは異なり、歩きながら使ったり電車内で使うといったように、携帯型の端末の使用環境としては様々な環境が考えられる。例えばユーザが歩いたり電車内にいたりすれば振動が発生する。
【0005】
使用環境によっては、ディスプレイに表示される情報が見づらくなることもある。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザにとって見やすい形で情報を表示することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の情報処理端末は、端末自身の揺れの方向を検出する検出部と、所定の視点から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った方向にある他の視点から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成する生成部と、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う表示部とを備える。
【0008】
前記検出部には、ユーザの揺れをさらに検出させ、前記ユーザの位置に対する前記端末自身の揺れの方向を検出させることができる。
【0009】
前記端末自身の揺れの方向と前記多視点表示が可能な方向が同じ方向になる前記端末の向きを判定する判定部と、前記判定部により判定された前記端末の向きを提示する提示部とをさらに設けることができる。
【0010】
前記生成部には、複数の前記他の視点から見たときの表示内容をそれぞれ表す複数の前記第2の情報を生成させることができる。
【0011】
前記生成部には、前記他の視点から見たときの表示内容が、前記所定の視点から見たときの表示内容と同じ内容になるように、または、近い内容になるように、前記第2の情報を生成させることができる。
【0012】
前記所定の視点は、前記表示部の面の垂線方向にある視点であるようにすることができる。
【0013】
本技術の一側面においては、端末自身の揺れの方向が検出され、所定の方向から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った他の方向から見たときの表示内容を表す第2の情報が生成され、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示が行われる。
【発明の効果】
【0014】
本技術によれば、ユーザにとって見やすい形で情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本技術の一実施形態に係る情報処理端末の外観の例を示す図である。
【図2】表示部の構成例を示す図である。
【図3】デバイスに生じた揺れについて説明する図である。
【図4】デバイスの持ち方の提示画面の例を示す図である。
【図5】正面用の表示情報と角度別の表示情報の例を示す図である。
【図6】正面用の表示情報と角度別の表示情報に基づく表示の例を示す図である。
【図7】情報処理端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図8】情報処理端末の機能構成例を示すブロック図である。
【図9】情報処理端末の処理について説明するフローチャートである。
【図10】ユーザの見え方について説明する図である。
【図11】余白モードについて説明する図である。
【図12】ヘッダ、フッタをマージンとして利用するモードについて説明する図である。
【図13】フォーカス位置を優先表示するモードについて説明する図である。
【図14】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.多視点表示の概念
2.情報処理端末の構成例
3.情報処理端末の動作
4.変形例
【0017】
<多視点表示の概念>
図1は、本技術の一実施形態に係る情報処理端末の外観の例を示す図である。
【0018】
図1の情報処理端末1は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、PND(Portable Navigation Device)などの携帯型の端末であり、ユーザが片手で持ち運ぶことが可能な大きさの筐体を有している。
【0019】
情報処理端末1の筐体の前面にはLCD(Liquid Crystal Display)などよりなる表示部11が設けられる。表示部11にはタッチパネルが設けられており、ユーザは、表示部11に表示された情報を指などで直接操作することができるようになされている。表示部11の下には複数のボタンからなる操作部12が設けられる。
【0020】
図2は、表示部11の構成例を示す図である。表示部11は多視点表示が可能なディスプレイである。多視点表示は、複数の視点に対してそれぞれ異なる画素の光を届け、視点毎に異なる情報を認識させる表示方式である。
【0021】
表示部11は、LCD11Aの前面(ユーザ側)にパララックスバリア11Bが積層して設けられることによって構成される。タッチパネルは、例えばパララックスバリア11Bのさらに前面に積層して設けられる。
【0022】
LCD11Aは8視点表示が可能なディスプレイであり、視点1乃至8の各視点から見たときの表示内容を表示するRGBの3つの画素が所定の順番で配列して構成される。
【0023】
図2においてRの文字を付して示す画素はR画素を表し、Gの文字を付して示す画素はG画素を表し、Bの文字を付して示す画素はB画素を表す。各画素の右側に示す数字は、その画素からの光が届く視点を表す。例えば、R1画素、G1画素、B1画素は視点1に対応する画素であり、R1画素はRの光を、G1画素はGの光を、B1画素はBの光を、それぞれ視点1(視点1の位置にある目)に届ける。
【0024】
パララックスバリア11Bにより、各画素からの光が、対応する視点に導かれる。図2の例においては、R3画素、G3画素、B3画素の各画素からの光が、視点3としてのユーザの右目に導かれている。また、R6画素、G6画素、B6画素の各画素からの光が、視点6としてのユーザの左目に導かれている。
【0025】
各視点に対する表示内容を同時に表示することによって、図2の上下方向に並ぶ8視点に対する多視点表示が可能になる。なお、多視点表示の方法は、図2に示すようなパララックスバリア11Bを用いた方式に限られない。
【0026】
多視点表示が可能な表示部11を有する情報処理端末1においては、情報処理端末1自体、すなわちデバイス自体に生じた揺れと、ユーザに生じた揺れが検出される。また、ユーザに対する相対的なデバイスの揺れの方向に応じて、情報処理端末1を縦向きで持って使った方がいいのか、横向きで持って使った方がいいのかが提示される。単に、デバイスに生じた揺れの方向に応じて情報処理端末1の向きが提示されるようにしてもよい。
【0027】
図3は、デバイスに生じた揺れについて説明する図である。図3Aは縦揺れについて説明する図であり、図3Bは横揺れについて説明する図である。
【0028】
図3に示すように、情報処理端末1の表示部11は、ほぼ長方形の形状を有する。以下、ユーザの位置を基準として、表示部11の一方の短辺がユーザの手前にある場合の情報処理端末1の向きを縦向き、表示部11の一方の長辺がユーザの手前にある場合の情報処理端末1の向きを横向きとして説明する。図3に示す情報処理端末1の向きが縦向きとなり、xy平面上で90度回転させた向きが横向きとなる。表示部11は、縦向きで使う場合の表示と横向きで使う場合の表示とに対応したディスプレイである。
【0029】
ユーザが縦向きで情報処理端末1を使っており、縦方向の揺れがある場合、図3Aの白抜き矢印#1で示すように、ユーザから見て上下方向にデバイスが平行移動し、矢印#2で示すように、表示部11のディスプレイ面がx軸周りに回転する。縦方向の揺れは、例えば、バスの座席に座るなどして、進行方向にユーザが正面を向いて情報処理端末1を操作しているときに生じる。
【0030】
ユーザが縦向きで情報処理端末1を使っており、横方向の揺れがある場合、図3Bの白抜き矢印#11で示すように、ユーザから見て左右方向にデバイスが平行移動し、矢印#12で示すように、表示部11のディスプレイ面がy軸周りに回転する。横方向の揺れは、例えば、電車の座席に座るなどして、進行方向と垂直の方向にユーザが正面を向いて情報処理端末1を操作しているときに生じる。
【0031】
情報処理端末1は、縦方向の揺れを検出した場合、縦方向の視点数が多くなる持ち方をユーザに提示する。例えば、ユーザが情報処理端末1を縦向きに持っており、図2のLCD11Aの各画素が表示部11の短辺方向に並んでいることによって多視点表示が可能な方向が短辺方向である場合、縦方向の揺れが検出されたときには横向きに持つことが提示される。
【0032】
図4Aは、情報処理端末1を横向きに持つことを提示する画面の例を示す図である。図4Aの例においては、縦方向の揺れが検出されたことに応じて、情報処理端末1を横向きに持つことを提示するメッセージを含むポップアップダイアログPが、表示内容Dに重ねて表示されている。表示内容Dは、例えばネットワーク上のサーバにアクセスすることによって表示されているWebページの画面であり、表示部11の全体に表示されている。
【0033】
メッセージを含むポップアップダイアログではなく、アイコンの表示によって端末の持ち方が提示されるようにしてもよいし、音声によって端末の持ち方が提示されるようにしてもよい。
【0034】
一方、情報処理端末1は、横方向の揺れを検出した場合、横方向の視点数が多くなる持ち方を提示する。例えば、ユーザが情報処理端末1を横向きに持っており、図2のLCD11Aの各画素が表示部11の短辺方向に並んでいることによって多視点表示が可能な方向が短辺方向である場合、横方向の揺れが検出されたときには縦向きに持つことが提示される。
【0035】
図4Bは、情報処理端末1を縦向きに持つことを提示する画面の例を示す図である。図4Bの例においては、横方向の揺れが検出されたことに応じて、情報処理端末1を縦向きに持つことを提示するメッセージを含むポップアップダイアログPが表示内容Dに重ねて表示されている。
【0036】
このように、情報処理端末1は、表示部11による多視点表示が可能な方向が短辺方向と長辺方向のうちのいずれか一方向である場合、揺れの方向と多視点表示が可能な方向とが同じ方向になる持ち方を提示する。
【0037】
以下、図2のLCD11Aの各画素が表示部11の短辺方向に並んでいることによって多視点表示が可能な方向が短辺方向である場合について主に説明するが、LCD11Aの各画素が表示部11の長辺方向に並んでいる場合も基本的に同様の処理が行われる。
【0038】
また、情報処理端末1は、揺れを検出した場合、正面用の表示情報に基づいて、角度別の表示情報を視点の数と同じ数だけ生成する。正面用の表示情報は、表示部11に対して正面にある視点から見ることを想定した表示内容を表す情報であり、アプリケーションなどにより生成される。表示部11に対して正面にある視点は、例えば、図3において表示部11の中心位置となるx軸とy軸の交点におけるディスプレイ面の垂線方向にある視点である。
【0039】
一方、角度別の表示情報は、揺れの方向に沿った方向にある各視点から見たときの表示内容を表す情報である。角度別の表示情報は、各視点の、表示部11のディスプレイ面に対する角度に基づいて、例えば正面用の表示情報に対してアフィン変換を施すことによって生成される。
【0040】
図5は、正面用の表示情報と角度別の表示情報の例を示す図である。
【0041】
中央に示す表示内容Dは、正面用の表示情報に基づいて表示部11の全体に表示される内容を表す。表示内容Dの形状は、表示部11の形状と同一であり、歪みのない長方形である。
【0042】
右側に示す表示内容Dは、右側用、すなわち正面に対して右側から見たときの表示内容を表す。右側から見たときに正面から見たときと同じ形状の内容が見えるように、表示内容Dの形状は、視点に近い右側に近づくほど小さくなり、視点から遠い左側に近づくほど大きくなるような形状である。
【0043】
左側に示す表示内容Dは、左側用、すなわち正面に対して左側から見たときの表示内容を表す。左側から見たときに正面から見たときと同じ形状の内容が見えるように、表示内容Dの形状は、視点に近い左側に近づくほど小さくなり、視点から遠い右側に近づくほど大きくなるような形状である。
【0044】
このような各視点から見たときの表示内容を表す表示情報がそれぞれ生成され、各視点に対応する画素を用いて表示される。
【0045】
図6は、図5の正面用の表示情報と角度別の表示情報に基づく画面表示の例を示す図である。
【0046】
中央に示すように、正面にある視点に対する表示内容Dが、正面用の表示情報に基づいて表示部11に表示される。
【0047】
また、右側に示すように、正面に対して右側にある視点に対する表示内容Dが、右側用の角度別の表示情報に基づいて表示部11に表示される。表示部11の範囲のうちの斜線で示す範囲は黒などの所定の色で表示される。表示内容Dを正面に対して右側から見た場合、表示内容Dの各位置までの距離が異なることによって、表示内容Dと同一、またはそれに近い内容をユーザは見ることができる。
【0048】
左側に示すように、正面に対して左側にある視点に対する表示内容Dが、左側用の角度別の表示情報に基づいて表示部11に表示される。表示部11の範囲のうちの斜線で示す範囲は所定の色で表示される。表示内容Dを正面に対して左側から見た場合、表示内容Dの各位置までの距離が異なることによって、表示内容Dと同一、またはそれに近い内容をユーザは見ることができる。
【0049】
すなわち、ユーザは、揺れがある場合であっても、正面から見たときとほぼ同じ内容を常に見ることが可能になる。情報処理端末1は、ユーザにとって見やすい形で情報を表示することができる。
【0050】
<情報処理端末の構成例>
図7は、情報処理端末1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0051】
情報処理端末1は、コントローラ21に対して、表示部11と操作部12の他に、センサ部22、カメラ23、および通信部24が接続されることによって構成される。
【0052】
コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などより構成される。コントローラ21のCPUは、ROMからプログラムをロードしてRAMを用いて実行し、情報処理端末1の全体の動作を制御する。
【0053】
センサ部22はジャイロセンサなどよりなり、デバイスに生じた揺れを検出する。センサ部22は、検出した揺れの情報をコントローラ21に出力する。
【0054】
カメラ23は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子よりなり、情報処理端末1の筐体の正面側に設けられたレンズにより取り込まれた光の光電変換を行い、画像データを生成する。例えば、ユーザの頭部を含む画像がカメラ23により撮影され、コントローラ21に供給される。
【0055】
通信部24は、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワーク上の機器と通信を行う。例えば、通信部24により受信されたWebページなどの情報が表示部11に表示される。
【0056】
図8は、情報処理端末1の機能構成例を示すブロック図である。図8に示す機能部のうちの少なくとも一部は、図7のコントローラ21により所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0057】
情報処理端末1においては、デバイス保持方向判定部31、提示部32、角度別表示情報生成部33、および多視点表示部34が実現される。センサ部22により検出された揺れを表す情報とカメラ23により撮影された画像がデバイス保持方向判定部31に入力され、アプリケーションなどにより生成された正面用の表示情報が角度別表示情報生成部33に入力される。
【0058】
デバイス保持方向判定部31は、センサ部22により検出された揺れに基づいて、ユーザ−デバイス間の揺れの方向を検出する。
【0059】
また、デバイス保持方向判定部31は、適宜、カメラ23により撮影された画像に基づいてユーザの頭部の位置を検出する。デバイス保持方向判定部31は、ヘッドトラックを行うことによってユーザの頭部の位置の時間的な変化を検出し、デバイスに生じている揺れと、ユーザに生じている揺れとに基づいて、ユーザ−デバイス間の揺れの方向を検出する。
【0060】
デバイス保持方向判定部31は、デバイスに生じた揺れに基づいて、または、デバイスに生じた揺れとユーザの揺れとに基づいて検出したユーザ−デバイス間の揺れの方向と、表示部11の多視点表示が可能な方向に応じて適切なデバイスの向きを判定する。上述したように、デバイス保持方向判定部31は、ユーザ−デバイス間の揺れの方向と、表示部11の多視点表示が可能な方向とが同じ方向になる向きを適切なデバイスの向きとして判定する。
【0061】
デバイス保持方向判定部31は、判定した適切なデバイスの向きを表す情報を提示部32と角度別表示情報生成部33に出力する。角度別表示情報生成部33に対しては、適宜、ユーザ−デバイス間の揺れの程度を表す情報も出力される。
【0062】
提示部32は、メッセージなどの所定の情報を表示部11に表示させ、デバイス保持方向判定部31により検出された適切なデバイスの向きをユーザに提示する。
【0063】
角度別表示情報生成部33は、正面用の表示情報に基づいて、角度別の表示情報を視点の数と同じ数だけ生成する。どの角度用の表示情報を生成するのかが、デバイス保持方向判定部31により判定されたデバイスの向きに基づいて決定される。例えば、横方向の揺れが検出されたことによって適切なデバイスの向きが縦向きとして判定された場合、図5を参照して説明したような、表示部11の短辺方向と同じ方向に並ぶ視点に対する角度別の表示情報を生成することが決定される。角度別表示情報生成部33は、正面用の表示情報とともに、生成した角度別の表示情報を多視点表示部34に出力する。
【0064】
多視点表示部34は、表示部11を制御し、正面用の表示情報により表される表示内容と、角度別表示情報生成部33により生成された角度別の表示情報により表される表示内容を、各視点に対応する画素を用いてそれぞれ表示し、多視点表示を行う。
【0065】
<情報処理端末の動作>
ここで、図9のフローチャートを参照して、情報処理端末1の処理について説明する。
【0066】
ステップS1において、センサ部22はデバイスに生じた揺れを検出する。検出された揺れの情報はデバイス保持方向判定部31に供給される。
【0067】
ステップS2において、デバイス保持方向判定部31は、カメラ23により撮影された画像に基づいてユーザの頭部の位置を検出し、ユーザに生じている揺れを検出する。
【0068】
ステップS3において、デバイス保持方向判定部31は、デバイスに生じた揺れとユーザに生じている揺れに基づいてユーザ−デバイス間の揺れの方向を検出し、適切なデバイスの向きを判定する。
【0069】
ステップS4において、提示部32は、メッセージなどを表示部11に表示させ、デバイス保持方向判定部31により判定されたデバイスの向きをユーザに提示する。
【0070】
ステップS5において、角度別表示情報生成部33は、正面用の表示情報に基づいて角度別の表示情報を生成する。
【0071】
ステップS6において、多視点表示部34は、正面用の表示情報と角度別の表示情報に基づいて多視点表示を行う。その後、処理は終了する。
【0072】
図10は、ユーザの見え方について説明する図である。図10の例においては、表示部11の多視点表示が可能な方向が長辺方向とされている。図11、図12、および図13においても同様である。
【0073】
情報処理端末1においては、縦方向の揺れが検出されることに応じて、図5のような左右方向ではなく上下方向の角度別の表示情報が生成され、多視点表示が行われる。これにより、縦方向の揺れに従って上側用の表示内容と下側用の表示内容がユーザの目に届けられことになり、ユーザは、矢印の先に示すように、常に、正面から見たときと同じ内容を見ることができる。
【0074】
また、情報処理端末1は、適切なデバイスの向きをユーザに提示することができる。表示部11が一方向の視点に対する多視点表示が可能なデバイスである場合、デバイスの揺れの方向と、多視点表示によって対応可能な視点の方向とが合わないと、生成した情報を用いて適切な表示内容を提示することができない。適切なデバイスの向きをユーザに提示し、デバイスの揺れの方向と、多視点表示によって対応可能な視点の方向とを合わせることによって、適切な多視点表示を実現することが可能になる。
【0075】
また、車内のように、揺れる環境で情報処理端末1を使用する場合であっても乗り物酔いを低減させることができる可能性がある。
【0076】
さらに、複数のユーザが横に並んで使っている場合、情報処理端末1は、横方向の視点に対して多視点表示を行うことによって、複数のユーザにとってそれぞれ見やすい表示を実現することが可能になる。
【0077】
<変形例>
角度別の表示情報の生成時、および角度別の表示情報に基づく表示内容の表示時、以下のようなモードで処理を行うようにすることができる。
【0078】
図11は、余白モードについて説明する図である。
【0079】
平面を斜めから見た場合、視点から画面の各位置までの距離の関係で画面のアスペクト比が変わる。また、内接矩形のサイズは正面から見た場合に比べて小さくなる。正面用の表示情報を生成する段階で、正面用の表示情報の周りに余白を入れておくことで、表示内容のアスペクト比とサイズが変わらないような角度別の表示情報を生成することが可能になる。
【0080】
図11の左側に示す表示部11の範囲のうち、表示内容Dの外側の範囲は余白の範囲である。正面用の表示情報が表示部11全体の表示内容を表す情報である場合、そのサイズを変えることなく角度別の表示情報を生成し、表示したときには、右側用または左側用の表示内容の一部が切れてしまったりすることがある。正面用の表示内容に余白を入れ、それに基づいて角度別の表示情報を生成して表示することによってそのようなことを防ぐことができる。
【0081】
図12は、ヘッダ、フッタをマージンとして利用するモードについて説明する図である。
【0082】
一般的に、アプリケーションにより生成される画面の上下にはヘッダとフッタが表示される。情報処理端末1は、正面用の表示情報が、ヘッダとフッタを含めて表示部11全体の表示内容を表す情報である場合、右側用または左側用の表示内容において見えなくなる範囲がヘッダまたはフッタの範囲内である場合には正面用の表示内容のサイズを維持する。
【0083】
また、情報処理端末1は、それ以上の範囲が見えなくなる場合、正面用の表示内容のサイズを縮小し、縮小した正面用の表示内容に基づいて右側用または左側用の表示内容を生成して表示する。これにより、右側用または左側用の表示内容が切れてしまうことを防ぐことが可能になる。図12において斜線を付して示す表示内容Dの上側の部分がヘッダであり、下側の部分がフッタである。
【0084】
図13は、フォーカス位置を優先表示するモードについて説明する図である。
【0085】
情報処理端末1は、フォーカスの当たっている部分をユーザが注目している部分として判断し、正面用の表示内容のうち、フォーカス部分を中心にして角度別の表示内容を生成して表示する。例えば、どの角度別の表示内容においてもフォーカス部分が表示部11の表示可能範囲から外れないようにすることにより、ユーザが注目している部分が切れてしまうことを防ぐことが可能になる。図13において斜線を付して示す範囲Fがフォーカスの当たっている部分である。
【0086】
正面用の表示内容のサイズの変更があった場合、レンダリングエンジンに対して指定ウィンドウサイズでの描画を実行させるようにしてもよい。テキストのレイアウトが変わると読みにくくなるため、メインコンテンツ部分の幅は固定にすることで、テキストレイアウトの変更を最小限にすることができる。
【0087】
見た目の画面サイズが小さくなるのに合わせて、表示内容全体を縮小させることも可能である。
【0088】
視差のある情報をユーザの左目と右目にそれぞれ届けることによって、立体視が可能な形で情報を表示するようにしてもよい。
【0089】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0090】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0091】
CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0092】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107が接続される。また、入出力インタフェース105には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、リムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続される。
【0093】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを入出力インタフェース105及びバス104を介してRAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0094】
CPU101が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部108にインストールされる。
【0095】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0096】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0097】
[変形例]
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0098】
(1)
端末自身の揺れの方向を検出する検出部と、
所定の視点から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った方向にある他の視点から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成する生成部と、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う表示部と
を備える情報処理端末。
【0099】
(2)
前記検出部は、ユーザの揺れをさらに検出し、前記ユーザの位置に対する前記端末自身の揺れの方向を検出する
前記(1)に記載の情報処理端末。
【0100】
(3)
前記端末自身の揺れの方向と前記多視点表示が可能な方向が同じ方向になる前記端末の向きを判定する判定部と、
前記判定部により判定された前記端末の向きを提示する提示部と
をさらに備える前記(1)または(2)に記載の情報処理端末。
【0101】
(4)
前記生成部は、複数の前記他の視点から見たときの表示内容をそれぞれ表す複数の前記第2の情報を生成する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理端末。
【0102】
(5)
前記生成部は、前記他の視点から見たときの表示内容が、前記所定の視点から見たときの表示内容と同じ内容になるように、または、近い内容になるように、前記第2の情報を生成する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の情報処理端末。
【0103】
(6)
前記所定の視点は、前記表示部の面の垂線方向にある視点である
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の情報処理端末。
【0104】
(7)
端末自身の揺れの方向を検出し、
所定の方向から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った他の方向から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成し、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う
ステップを含む情報処理方法。
【0105】
(8)
端末自身の揺れの方向を検出し、
所定の方向から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った他の方向から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成し、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0106】
1 情報処理端末, 11 表示部, 22 センサ部, 23 カメラ, 31 デバイス保持方向判定部, 32 提示部, 33 角度別表示情報生成部, 34 多視点表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末自身の揺れの方向を検出する検出部と、
所定の視点から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った方向にある他の視点から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成する生成部と、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う表示部と
を備える情報処理端末。
【請求項2】
前記検出部は、ユーザの揺れをさらに検出し、前記ユーザの位置に対する前記端末自身の揺れの方向を検出する
請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記端末自身の揺れの方向と前記多視点表示が可能な方向が同じ方向になる前記端末の向きを判定する判定部と、
前記判定部により判定された前記端末の向きを提示する提示部と
をさらに備える請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記生成部は、複数の前記他の視点から見たときの表示内容をそれぞれ表す複数の前記第2の情報を生成する
請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記生成部は、前記他の視点から見たときの表示内容が、前記所定の視点から見たときの表示内容と同じ内容になるように、または、近い内容になるように、前記第2の情報を生成する
請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記所定の視点は、前記表示部の面の垂線方向にある視点である
請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項7】
端末自身の揺れの方向を検出し、
所定の方向から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った他の方向から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成し、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う
ステップを含む情報処理方法。
【請求項8】
端末自身の揺れの方向を検出し、
所定の方向から見たときの表示内容を表す第1の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向に沿った他の方向から見たときの表示内容を表す第2の情報を生成し、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記端末自身の揺れの方向と同じ方向の視点に対する多視点表示を行う
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−208260(P2012−208260A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73044(P2011−73044)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】