説明

折り畳み農作業機

【課題】手間をかけずに延長作業体の折り畳み作業を可能にする。
【解決手段】折り畳み農作業機1は、耕耘作業を行う耕耘体及びこの後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う整地体14を有する作業機本体10と、この幅方向端部に折り畳み可能に回動自在に設けられ、耕耘体の作業幅を延長する延長耕耘体及びこの後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体31を有する延長作業体30と、この外端部に回動可能に設けられ、回動により展開状態及び折り畳み状態(不使用状態)に切り換えられる補助整地体50を備える。第2延長整地板32及び補助整地体50に設けた第2回動規制手段70は、延長作業体30が折り畳まれる側に回動すると折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動規制を行い、延長作業体30が展開姿勢になると折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動規制を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延長作業体を折り畳むことができる折り畳み農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような折り畳み農作業機には、耕耘作業を行う耕耘体及びこの後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う整地体を有する作業機本体と、作業機本体の幅方向の外側端部に折り畳み可能に回動自在に設けられ、耕耘体の作業幅を延長する延長耕耘体及びこの後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体を有する延長作業体と、延長作業体の外端部に回動可能に設けられ、回動により展開状態及び折り畳み状態(不使用状態)に切り換えられる補助整地体を備えたものが知られている。
【0003】
このような折り畳み農作業機は、延長作業体を折り畳む場合、補助整地体が延長作業体に対して自重により下方に回動して垂れ下がろうとすると、運搬時等に補助整地体が揺れて延長作業体と衝突して騒音が発生また、補助整地体あるいは延長作業体が破損する虞がある。このため、補助整地体の回動を規制する手段が必要である。
【0004】
そこで、補助整地体の回動規制が可能な特許文献1に記載の折り畳み農作業機(文献では農作業機)が提案されている。この折り畳み農作業機81は、図7(a)(背面図)に示すように、補助整地体82の外側前端部に垂下防止用孔部82aを形成し、整地板87の左右方向の略中央部の表面側に垂下防止用孔部82aに対して出入り可能な挿入部84aを先端側に有する回動規制アーム84を取り付けて構成されている。この折り畳み農作業機81の作業機本体85及び延長作業体86は、作業機本体85の機枠に設けられた図示省略の操作レバーの操作によって延長整地板83及びこの延長整地板83と隣り合う作業機本体側の整地板88を作業待機姿勢及び図7(b)に示す折畳み待機姿勢に切り換え可能であり、折畳み待機姿勢になると、延長整地板83は略垂直状態となり、垂下防止用孔部82aに回動規制アーム84の挿入部84aが挿入されて補助整地体82の回動が規制される。
【0005】
【特許文献1】特許第3655896号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の折り畳み農作業機81は、延長作業体86を折り畳み姿勢にする場合には、補助整地体82を折り畳み状態(不使用状態)にした後に、整地板88及び延長整地板83を作業待機姿勢にして補助整地体82の回動を規制する必要がある。このため、従来の折り畳み農作業機81は、整地板88及び延長整地板83を作業待機姿勢にしてから延長作業体の折り畳み作業に入らなければ、延長作業体83の折り畳み作業を行うことができず、延長作業体83の折り畳み作業に手間が必要になるという問題を有する。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、手間をかけずに延長作業体の折り畳み作業ができる折り畳み農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の折り畳み農作業機は、耕耘作業を行う耕耘体及び該耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う整地体を有する作業機本体と、作業機本体の幅方向端部に折り畳み可能に回動自在に設けられ、耕耘体の作業幅を延長する延長耕耘体及び該延長耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体を有する延長作業体と、延長整地体の外端部に回動可能に補助整地体を備えた折り畳み農作業機において、延長整地体に対する補助整地体の回動を規制する回動規制手段(例えば、実施形態における第2回動規制手段70)を設け、該回動規制手段は、延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、延長整地体に対する補助整地体の回動を規制する回動規制手段は、延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことにより、延長作業体を開閉動作させるだけで不使用状態の補助整地体の回動規制や回動規制解除を行うことができる。このため、延長作業体の開閉動作に際して補助整地体の回動規制や回動規制解除を行う手間を省くことができる。
【0010】
また本発明の回動規制手段は、延長作業体が折り畳まれる側に回動すると不使用状態の補助整地体の回動規制を行い、延長作業体が展開姿勢になると不使用状態の補助整地体の回動規制解除を行うことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、回動規制手段は、延長作業体が折り畳まれる側に回動すると不使用状態の補助整地体の回動規制を行い、延長作業体が展開姿勢になると不使用状態の補助整地体の回動規制解除を行うことにより、延長作業体を折り畳み姿勢側に回動すると、回動規制手段が延長作業体の閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動を規制する。このため、延長作業体を折り畳み姿勢にする際に不使用状態の補助整地体の回動を規制する手間を省くことができる。また折り畳み姿勢にある延長作業体を展開姿勢にすると、回動規制手段が延長作業体の開動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制を解除する。このため、延長作業体を展開姿勢にする際に補助整地体の回動規制を解除する手間を省くことができる。
【0012】
また本発明の回動規制手段は、切換手段により整地体及び延長整地体が圃場の凹凸に応じて上下方向に回動可能な通常作業姿勢と圃場の状態に拘わらずに回動不能な土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢に切り換えられても、延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、回動規制手段は、整地体及び延長整地体の姿勢が通常作業姿勢と土寄せ作業姿勢のいずれであっても、延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことにより、整地体及び延長整地体の姿勢に影響されることなく、不使用状態の補助整地体の回動を規制したままで延長作業体を折り畳むことができ、また展開姿勢にある延長作業体から補助整地体を展開することができる。このように、延長作業体が展開姿勢になると不使用状態の補助整地体の回動規制が解除されるので、整地体及び延長整地体が土寄せ作業姿勢にあっても、補助整地体の開閉を行うことができ、農作業機の使い勝手を向上することができる。
【0014】
さらに本発明の回動規制手段は、切換手段により整地体及び延長整地体が通常作業姿勢や土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢に切り換えられても、延長作業体が折り畳み姿勢側に回動すると不使用状態の補助整地体の回動を規制することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、回動規制手段は、整地体及び延長整地体が通常作業姿勢や土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢であっても、延長作業体が折り畳まれる側に回動すると不使用状態の補助整地体の回動規制を行うことにより、整地体及び延長整地体の姿勢に拘わらずに延長作業体が折り畳まれる側に回動すると不使用状態の補助整地体の回動が規制される。このため、延長作業体の折り畳み作業に際して不使用状態の補助整地体が回動して他の部品と衝突して騒音が発生また、補助整地体あるいは延長作業体が破損する事態を確実に防止することができる。
【0016】
また本発明の回動規制手段は、延長作業体の回動に連動して延長整地体の第1延長整地板に対する第2延長整地板の回動を規制し及び規制解除を行う延長整地体回動規制手段(例えば、実施形態における第2回動規制手段70)に設けられた係合部材(例えば、実施形態における係合ピン72)と、補助整地体に設けられて係合部材と係合して不使用状態の補助整地体の回動を規制する係止部材(例えば、実施形態におけるフック73)とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、回動規制手段は、延長整地体回動規制手段に設けられた係合部材と補助整地体に設けられた係止部材とを有してなることにより、既存の部品(延長整地体回動規制手段及び補助整地体)を利用して回動規制手段を構成することができる。このため、部品点数の増大を抑制して農作業機のコストアップを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係わる折り畳み農作業機によれば、延長整地体に対する補助整地体の回動を規制する回動規制手段を設け、この回動規制手段は、延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことにより、手間をかけずに延長作業体の折り畳み作業が可能な折り畳み農作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の折り畳み農作業機の好ましい実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。本実施の形態は、折り畳み農作業機のうち代かき用の折り畳み農作業機を例にして以下説明する。なお、説明の都合上、図1(平面図)に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として、以下説明する。
【0020】
折り畳み農作業機1は、図1に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、左右方向の中央部に配置された作業機本体10と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた延長作業体30と、延長作業体30の左右方向の外側端部に上下方向に回動可能に取り付けられた補助整地体50とを備え、作業機本体10及び延長作業体30,30によって3分割構造になっている。
【0021】
作業機本体10の前部には、走行機体90の後部に設けられた3点リンク連結機構に連結される連結部が設けられており、折り畳み農作業機1は、この連結部によって昇降可能に連結される。また作業機本体10の前部にはギアボックス12が設けられ、走行機体90のPTO軸からの動力がユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介してギアボックス12に伝達されるようになっている。
【0022】
作業機本体10は、耕耘作業を行うロータリ等の図示省略の耕耘体を有し、この耕耘体の上方がカバー体を兼ねた機枠13によって覆われている。この機枠13の後端部に耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行う略板状の整地体14が設けられている。
【0023】
整地体14は、機枠13の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第1整地板(エプロン)15と、第1整地板15の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第2整地板(均平板)16とを有して構成されている。
【0024】
左右両側に配設された延長作業体30は、左右対称の構造を有し、作業機本体10の耕耘体の作業幅を側方に延長するロータリ等の図示省略の延長耕耘体と、延長耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体31とを有してなる。延長耕耘体の上方はカバー体を兼ねた延長機枠35によって覆われている。
【0025】
延長整地体31は、延長機枠35の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行う略板状の部材である。この延長整地体31は延長作業体30の展開状態時に整地体14の外端部に接合してこの整地体14と連結され、延長整地体31の折り畳み状態時には整地体14の外端部から離反してこの整地体14との接合が解除されるようになっている。
【0026】
延長整地体31は、延長機枠35の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第1延長整地板(エプロン)32と、第1延長整地板32の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第2延長整地板(均平板)33とを有して構成されている。
【0027】
また延長整地体31の第2延長整地板33の外端部には、上下方向に回動可能に取り付けられた補助整地体50が設けられている。この補助整地体50は、第2延長整地板33の表側の外端部に設けられた枢支軸34を回動中心として回動可能であり、展開状態時には対応する第2延長整地板33の外側に延びて第2延長整地板33の整地作業を補助し、折り畳んだ状態(不使用状態)時には第2延長整地板33の表面側に折り畳まれて第2延長整地板33と重なった状態となる。
【0028】
このように構成された作業機本体10と延長作業体30には、第1回動規制手段60が設けられている。この第1回動規制手段60は、第1延長整地板32の内端部に左右方向に移動自在に取り付けられた固定ロッド61と、第1整地板15の外側端部に設けられて固定ロッド61と対向配置された図示しない係止部とを有してなる。固定ロッド61は、圧縮ばね62により軸方向内側に付勢され、延長作業体30を展開状態にすると係止部に当接して両整地板(15、32)を連結し、延長作業体30を折り畳み状態にすると固定ロッド61の先端部が係止部から外れることにより両整地板(15、32)の連結状態を解除するように作動する。
【0029】
また第2延長整地板33と第2整地板16には、図2(a)(背面図)に示すように、図1に示す第1延長整地板32に対する第2延長整地板33の回動を規制するとともに、第2延長整地板33に対する補助整地体50の回動を規制する第2回動規制手段70が設けられている。この第2回動規制手段70は、第2延長整地板33の表側の内端部に左右方向に移動自在に取り付けられた固定ロッド71と、第2整地板16の外側端部に設けられて固定ロッド71と対向配置される後述する固定孔部と、固定ロッド71の左右方向外側端部に設けられた図2(b)に示す係合ピン72と、補助整地体50の先端部に設けられて係合ピン72と係合して折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動を規制するフック73とを有してなる。なお、図2(b)は、図2(a)のII−II矢視に相当する部分の第2回動規制手段70の部分平面図である。
【0030】
固定ロッド71の外側端部は、折り畳み状態(不使用状態)にある補助整地体50の先端部内側近傍まで延び、固定ロッド71が軸方向に移動することで、係合ピン72がフック73に係合あるいは係合解除される。固定ロッド71は、圧縮ばね74により軸方向内側(矢印A方向)に付勢されており、延長作業体30が展開姿勢になると、図3(b)(背面図)に示すように、圧縮ばね74の付勢力に抗して第2整地板16から離反する側に移動することにより、係合ピン72とフック73との係合状態を解除して折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動規制を解除する。また固定ロッド71は、延長作業体30が折り畳み姿勢側に回動すると、図3(a)(背面図)に示すように、図2(a)で示す矢印A方向に移動する。そして、両整地板(16、33)の連結状態が解除されるとともに、係合ピン72がフック73に係合して補助整地体50の回動を規制する。
【0031】
また図1に示すように、延長作業体30を展開し第2整地板16と第2延長整地板33を連結した状態時においては、互いに連結されて一体化した第2整地板16及び第2延長整地板33は、作業機本体10の機枠13の中央部に設けられた図示しない切換手段を介して支持されており、この切換手段によって両整地板(16、33)が通常作業姿勢及び土寄せ作業姿勢に切り換え可能になっている。
【0032】
なお、通常作業姿勢は、図4(a)(側面図)に示すように、互いに連結されて一体化した第2整地板16及び第2延長整地板33が圃場の凹凸に応じて上下方向に回動可能な代掻き作業姿勢であり、この代掻き作業姿勢では第2整地板16及び第2延長整地板33は水平面に略沿った状態になる。
【0033】
また土寄せ作業姿勢は、図4(b)(側面図)に示すように、互いに連結されて一体化した第2整地板16及び第2延長整地板33を下方側へ回動した後、固定し、上方への回動を規制して代掻き土壌の土寄せ等を行うことができる作業姿勢である。
【0034】
これらの作業姿勢の選択は、図1に示す走行機体90に搭乗した作業者が運転状態のままで操作可能になっている。なお、第1回動規制手段60及び第2回動規制手段70は、一体化した第2整地板16及び第2延長整地板33が通常作業姿勢や土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢にあってもこれらの規制手段の作動内容が変わるものではない。
【0035】
前述した固定孔部75は、図5(斜視図)に示すように、第2整地板16の外側端部に設けられて上方へ延びる固定板16aの先端部に形成されている。この固定孔部75は、第2整地板16の回動中心軸線jを回動中心として回動して、固定ロッド71と対向配置されて固定ロッド71と嵌合する。
【0036】
次に、折り畳み農作業機1の動作について説明する。
【0037】
先ず、図1に示すように、最大の作業幅で代掻き作業を行う場合には、左右両側の延長作業体30を展開状態にするとともに、左右両側の補助整地体50を展開状態にし、且つ第2整地板16を通常作業姿勢にする。そして、農作業機全体を3点リンク連結機構によって所望位置まで降下させて、代掻き作業を行う。作業を開始すると、その接地圧により、第2延長整地板33はやがて上方へ回動し、付勢された固定ロッド71が図5に示す固定孔部75に嵌合することで、第2整地板16と一体化する。
【0038】
また、中央の作業機本体10のみで作業をする場合や、中央の作業機本体10と左右いずれかの延長作業体30で作業をする場合には、図6(側面図)に示すように、延長作業体30を折り畳み状態にする必要がある。なお、図6は延長作業体30を折り畳み状態にした折り畳み農作業機1をキャスタスタンド80に設置した状態の側面図を示している。
【0039】
これらの場合には、先ず、補助整地体50を折り畳み状態(不使用状態)にした上で展開状態にある延長作業体30を折り畳み側に回動させる。そして、延長作業体30が回動すると、図3(a)に示す第2回動規制手段70の固定ロッド71が固定孔部75から抜脱されて両整地板(16、33)の連結状態を解除するとともに、係合ピン72がフック73に係合して補助整地体50の回動を規制する。なお、延長作業体30が展開姿勢にあるときには、図3(b)に示す第2回動規制手段70の係合ピン72は補助整地体50のフック73と非係合状態にあるので、補助整地体50は延長整地体31に対して回動可能な状態となっている。
【0040】
このように展開状態にある延長作業体30を折り畳み側に回動させると、折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動が規制されるので、展開状態の延長作業体30を折り畳み側に回動させても、補助整地体50が暴れることはなく、補助整地体50と他部品とが衝突して騒音が発生したりこれらが破損したりする事態を未然に防止することができる。
【0041】
一方、折り畳み状態にある延長作業体30を回動させて展開姿勢にすると、図1及び図3(b)に示すように、第1回動規制手段60の固定ロッド61は、圧縮ばね62により軸方向内側に付勢されて係止部に当接して両整地板(15、32)を連結する。また第2回動規制手段70の固定ロッド71は、圧縮ばね74の付勢に抗して軸方向外側に移動して固定ロッド71の先端部が第2整地板16の端部に当接した状態となって両整地板(16、33)の連結解除状態を維持するとともに、補助整地体50の回動規制を解除する。なお、前述したように、農作業機が作業を開始すると、その接地圧により第2延長整地板33が上方へ回動して、付勢された固定ロッド71が図5に示す固定板16aに当接しながら移動して固定孔部75に嵌合することで、第2延長整地板33が第2整地板16に連結されて一体化する。
【0042】
このように、延長作業体30を折り畳み姿勢にする場合には、第2回動規制手段70は延長作業体30の折り畳み動作に連動して補助整地体50の回動を規制する。また延長作業体30を展開姿勢にする場合には、第2回動規制手段70は延長作業体30の折り畳み動作に連動して補助整地体50の回動規制を解除する。このため、延長作業体30を開閉する際における補助整地体50の回動規制や回動規制解除を行う手間を省くことができる。
【0043】
また第2回動規制手段70は、前述したように両整地板(16、33)の通常作業姿勢及び土寄せ作業姿勢に拘わらずに延長作業体30の動作に連動するので、両整地板(16、33)の作業姿勢に拘わらずに折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50の回動を規制したままで延長整地体31を折り畳んだり、展開姿勢にした延長整地体31から回動規制を解除した折り畳み状態(不使用状態)の補助整地体50を展開したりすることができる。このように、延長作業体30が展開姿勢になると不使用状態の補助整地体50の回動規制が解除されるので、作業機本体10が土寄せ作業姿勢にあっても、補助整地体50の開閉を行うことができ、農作業機の使い勝手を向上することができる。
【0044】
さらに第2回動規制手段70はこの固定ロッド71に設けられた係合ピン72と補助整地体50に設けられたフック73とを有してなることにより、既存の固定ロッドや補助整地体50を利用して第2回動規制手段70を構成することができる。このため、農作業機全体の部品点数の増加を抑制することができ、コストの増大を防止することができる。
【0045】
なお、前述した実施例では、代かき用の折り畳み農作業機1を例にして説明したが、前述した補助整地体を耕耘・砕土用の折り畳み農作業機に取り付けてもよい。また、第2回動規制手段70は、既存の部品を利用したが、独立して構成してもよい。この場合には、延長作業体30の開閉動作に連動して第2回動規制手段が作動するように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる代掻き用の折り畳み農作業機の平面図を示す。
【図2】この折り畳み農作業機に設けられた第2回動規制手段を示し、同図(a)は第2回動規制手段の背面図であり、同図(b)は同図(a)のII−II矢視に相当する部分の第2回動規制手段の部分平面図である。
【図3】第2回動規制手段の作動を説明するための背面図を示す。
【図4】折り畳み農作業機の側面図であり、同図(a)は通常作業姿勢にある折り畳み農作業機を示し、同図(b)は土寄せ作業姿勢にある折り畳み農作業機を示す。
【図5】固定孔部を備えた第2整地板の斜視図を示す。
【図6】延長作業体が折り畳まれた折り畳み農作業機の側面図を示す。
【図7】従来の補助整地体を備えた従来の折り畳み農作業機を示し、同図(a)は折り畳まれた補助整地体を備えた折り畳み農作業機の背面図であり、同図(b)は回動規制された補助整地体の側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 折り畳み農作業機
10 作業機本体
14 整地体
30 延長作業体
31 延長整地体
32 第1延長整地板
33 第2延長整地板
50 補助整地体
70 第2回動規制手段(回動規制手段、延長整地体回動規制手段)
72 係合ピン(係合部材)
73 フック(係止部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業を行う耕耘体及び該耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う整地体を有する作業機本体と、
前記作業機本体の幅方向端部に折り畳み可能に回動自在に設けられ、前記耕耘体の作業幅を延長する延長耕耘体及び該延長耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体を有する延長作業体と、
前記延長整地体の外端部に回動可能に補助整地体を備えた折り畳み農作業機において、
前記延長整地体に対する前記補助整地体の回動を規制する回動規制手段を設け、
該回動規制手段は、前記延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の前記補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことを特徴とする折り畳み農作業機。
【請求項2】
前記回動規制手段は、前記延長作業体が折り畳まれる側に回動すると不使用状態の前記補助整地体の回動規制を行い、前記延長作業体が展開姿勢になると不使用状態の前記補助整地体の回動規制解除を行うことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み農作業機。
【請求項3】
前記回動規制手段は、切換手段により前記整地体及び前記延長整地体が圃場の凹凸に応じて上下方向に回動可能な通常作業姿勢と圃場の状態に拘わらずに回動不能な土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢に切り換えられても、前記延長作業体の開閉動作に連動して不使用状態の前記補助整地体の回動規制及び回動規制解除を行うことを特徴とする請求項2に記載の折り畳み農作業機。
【請求項4】
前記回動規制手段は、前記切換手段により前記整地体及び前記延長整地体が前記通常作業姿勢や前記土寄せ作業姿勢のいずれの姿勢に切り換えられても、前記延長作業体が折り畳み姿勢側に回動すると不使用状態の前記補助整地体の回動を規制することを特徴とする請求項3に記載の折り畳み農作業機。
【請求項5】
前記回動規制手段は、前記延長作業体の回動に連動して前記延長整地体の第1延長整地板に対する第2延長整地板の回動を規制し及び規制解除を行う延長整地体回動規制手段に設けられた係合部材と、前記補助整地体に設けられて前記係合部材と係合して不使用状態の前記補助整地体の回動を規制する係止部材とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の折り畳み農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−143468(P2007−143468A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341684(P2005−341684)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】