説明

抵抗溶接の監視装置及び監視方法

【課題】電極間電圧を直接測定するリード線等は使用せず、安価に装置構成が可能で、かつ溶接の状態、即ち対となる電極で挟持されたワークの状態の監視が正確にできる抵抗溶接の監視装置及び監視方法を提供する。
【解決手段】商用交流電源を整流回路11を介して直流とし、PWM制御を行うスイッチング素子Q1〜Q4を用いて直流を、負荷電流の定電流制御を行うインバータ回路13によって交流とし、交流を溶接トランス14に印加して、溶接トランス14の二次側から抵抗溶接の溶接電流を得る抵抗溶接の監視装置及び監視方法であって、溶接時の溶接トランス14の一次側又は二次側電圧に対応するスイッチング素子Q1〜Q4のゲートオン時間の比率Tkと、整流回路11の出力電圧V2との積(Tk・V2)=Vwを求め、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲外である場合に、警告を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対となる電極で挟まれたワーク(被溶接物)を加圧し、電極からワークに電流を流しワークに抵抗発熱を生じさせて溶接を行う抵抗溶接において、溶接の状態、即ち対となる電極で挟持されたワークの状態の監視及び判定を行う抵抗溶接の監視装置及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接のシステムは、例えば、特許文献1、2に示すように、商用交流電源を整流して直流にし、インバータを用いて所定周波数の交流に変換する溶接電源制御装置、変換された交流の電圧を変える溶接トランス、溶接トランスの二次側に接続された対となる電極を有し、更に必要に応じて、溶接対象となるワークの搬送装置、及び所定位置にワークを拘束するワークの拘束装置、及び対となる電極を有する溶接ガンの位置や姿勢を制御する溶接ロボットを有している。
【0003】
そして、自動化された溶接システムにおいては、以上の装置や機器のトラブル又は故障によって、ワークの搬送間違い、溶接位置のずれ等が生じるので、これらを見逃して溶接を継続すると、欠陥のある製品を生産することになる。そこで、これら欠陥のある製品が発生するのを防止するため、1)機械的又はレーザー光を用いてワークの搬入の有無を監視する方法A、2)電極間の電圧を検出して溶接不良を検出する方法Bが一般に行われている(例えば、特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−90027号公報
【特許文献2】特開2006−187791号公報
【特許文献3】特開平06−106363号公報
【特許文献4】特許第3421387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した方法Aにおいては、1)専用の装置となってワークの種類が変わると装置も変更する必要がある、2)全体的に高価となる、3)鋼板(ワーク)が薄い場合、例えば一枚のワークの板厚が0.7mm以下になると加圧時にワークが反る又は歪む等して正確にワークの重ね枚数を検知できない等の問題がある。
【0006】
また、前記した方法Bは、電極間電圧は抵抗溶接現象を反映しているので、電極間電圧を検出して監視することは、抵抗溶接の品質管理に有効であると認められ、実験室や試験的に使用されているが、生産現場では以下のような問題があるので、実用及び運用が困難な場合が多い。即ち、1)電極間の電圧を検出するためにリード線が必要となるが、溶接部から飛散する散り(高温の金属粒)によりリード線が損傷し、断線し易い。2)溶接時に、ワークを加圧するための溶接ガンは可動するので、これに伴いリード線も動き、繰り返し応力によって疲労し断線する恐れがある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、電極間電圧を直接測定するリード線等は使用せず、安価に装置構成が可能で、かつ溶接の状態、即ち、対となる電極で挟持されたワークの状態の監視が正確にできる抵抗溶接の監視装置及び監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う第1の発明に係る抵抗溶接の監視装置は、商用交流電源を整流回路を介して直流とし、PWM制御を行うスイッチング素子を用いて前記直流を、負荷電流の定電流制御を行うインバータ回路によって交流とし、該交流を溶接トランスに印加して、該溶接トランスの二次側から溶接電流を得る抵抗溶接の監視装置であって、
溶接時の前記溶接トランスの一次側又は二次側電圧に対応する前記PWM制御のスイッチング素子のゲート信号のオン時間(ゲートオン時間)の比率Tkと、前記整流回路の出力電圧V2との積(Tk・V2)を求め、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲外である場合に、警告を発する。
【0009】
ここで、PWM制御のスイッチング素子のゲートオン時間の比率Tk[=オン時間/(オン時間+オフ時間)]及び整流回路の出力電圧V2はアナログ処理で行う場合の他、比率Tk及び整流回路の出力電圧V2を一旦A/D変換して、デジタル処理で行う場合も本発明は適用される(以下の方法発明も同様)。
【0010】
なお、第1の発明に係る抵抗溶接の監視装置において、前記上限レベルVHと前記下限レベルVLは、外部から独立に設定可能であるのが好ましい。これによって、溶接状態を監視して適正位置に上限レベルVHと下限レベルVLを設定できる。
【0011】
また、第1の発明に係る抵抗溶接の監視装置において、各溶接時において、前記積(Tk・V2)をモニター表示するのがよい。これによって、溶接状態を監視して適正位置に上限レベルVHと下限レベルVLの設定を行うのに役立てることができる。
【0012】
第1の発明に係る抵抗溶接の監視装置において、前記比率Tk、前記出力電圧V2及び前記積(Tk・V2)のいずれか1又は2以上を周辺機器に通信で伝送する手段を備えるのが好ましい。これによって、各抵抗溶接の状態を外部から監視できる。
第1の発明に係る抵抗溶接の監視装置において、前記インバータ回路によって変換された交流は、例えば100〜20000Hzの間にある。これによって、溶接トランスの鉄心量を減らすことができる。
【0013】
前記目的に沿う第2の発明に係る抵抗溶接の監視方法は、商用交流電源を整流回路を介して直流とし、PWM制御を行うスイッチング素子を用いて前記直流を負荷電流の定電流制御を行うインバータ回路によってより周波数の高い交流とし、該交流を溶接トランスに印加して、該溶接トランスの二次側から溶接電流を得る抵抗溶接の監視方法において、
溶接時の前記溶接トランスの一次側又は二次側電圧に対応する前記PWM制御のスイッチング素子のゲート信号のオン時間(ゲートオン時間)の比率Tkと、前記整流回路の出力電圧V2との積(Tk・V2)を求め、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲外である場合に、警告を発する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る抵抗溶接の監視装置及び監視方法においては、PWM制御のスイッチング素子のゲートオン時間の比率Tkと、整流回路の出力電圧V2との積(Tk・V2)を求めているが、この積が溶接トランスの二次側電圧に比例する。そして、二次側電圧は溶接トランスの二次側に接続された対となる電極で挟持されたワークの状態(即ち、ワークの重ね枚数の増加又は不足、溶接の位置ずれ、及び電極の消耗状況)によって変化するので、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲内であることを溶接中に常時確認することによって、溶接状態を把握できる。
【0015】
ここで、溶接電源制御装置の出力電圧又は溶接トランスの一次側の電圧を直接測定し、その値を上限レベルと下限レベルで監視する方法もあるが、インバータ回路で溶接トランスの一次側に供給する一次電流I1をPWM制御でオン又はオフした時に溶接電源制御装置の出力側又は溶接トランスの一次側にノイズを発生し、ノイズ除去対策が必要である。一方、PWM制御のスイッチング素子のゲートオン時間の比率Tkと、整流回路の出力電圧V2においてはノイズがなく、積(Tk・V2)は二次電圧に対応するので、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る抵抗溶接の監視装置を適用した抵抗溶接装置のブロック回路図である。
【図2】同抵抗溶接の監視装置の各部の動作説明図である。
【図3】同抵抗溶接の監視装置のフロー図である。
【図4】本発明に係る抵抗溶接の監視方法を適用した実施例1の説明図である。
【図5】実施例1において、ワークの重ね枚数による出力演算電圧の実測値と監視判定値の設定例を示すグラフである。
【図6】(A)、(B)、(C)は実施例2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照し、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る抵抗溶接の監視装置を適用した抵抗溶接装置10について説明する。
【0018】
抵抗溶接装置10は、三相(又は単相)の商用交流電源に接続される整流回路11と、整流回路11の出力側に接続される平滑用コンデンサ12と、所定のゲート信号を受けて、整流回路11によって変換された直流を交流に変換するインバータ回路13と、インバータ回路13の負荷となる溶接トランス14と、溶接トランス14の二次側に接続される整流器15と、整流器15に二次導体16、17を介して接続される対となる電極18、19を有している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0019】
整流回路11は三相のブリッジ回路からなって、平滑用のコンデンサ12が並列に接続されて略電圧一定の直流になっている。インバータ回路13はスイッチング素子の一例であるパワートランジスタQ1〜Q4を有し、パワートランジスタQ1、Q4とパワートランジスタQ2、Q3をゲート信号1、2(図2のb、c参照)によって交互にオン、オフして、PWM制御を行い、溶接トランス14の一次側に交流電圧(例えば、100〜20000Hz)を印加している。
【0020】
溶接トランス14の一次側には、CT(電流変成器)20が設けられ、溶接トランス14の一次電流を検出し、A/D変換回路21を通じて測定電流Isがマイクロコンピュータ22に入力されている。マイクロコンピュータ22では、予め外部から決められた基準電流に対応する値Iwが入力され、測定電流Isと基準電流Iwとを比較し、溶接中はその差が常時小さくなるように、PWM制御部23を介してゲート信号1、2が制御されている。
【0021】
なお、このパワートランジスタQ1〜Q4のゲート信号でのPWM制御は周知であり、溶接の負荷、即ち電極で挟持されたワークの状態、商用電源電圧の変動にも影響されず、溶接中は常時一定の電流(I1)を溶接トランス14の一次側に流すように制御している。
溶接トランス14では二次側に整流器15を通して溶接電流が二次導体16、17を介して電極18、19間に流れている。なお、この溶接電流I2wは溶接トランス14の一次電流I1に比例して、溶接中は常時一定である。
【0022】
整流回路11の出力電圧V2は、出力電圧測定回路25及びA/D変換回路27を介してマイクロコンピュータ22に入力されている。このマイクロコンピュータ22には、内部にCPU、RAM、ROMを有し、前記した溶接トランス14の一次電流を一定にするプログラムの他に、図3に示すフローを実現化するプログラムが組み込まれている。
【0023】
マイクロコンピュータ22からの信号を受けて作動するPWM制御部23からパワートランジスタQ1〜Q4に送られるゲート信号1、2は、ゲートON/OFF時間測定部28に出力される。ゲート信号1、2のオン時間は、パワートランジスタQ1〜Q4のオンしている時間となるので、これを測定し、出力電圧演算部29で半サイクル(又は1サイクル又は複数サイクル)の平均化処理を行う。パワートランジスタQ1〜Q4のオン時間をTon、オフ時間をToffとし、ゲートオン時間の比率Tk=[Ton/(Ton+Toff)]となる。この比率TkはパワートランジスタQ1〜Q4のオン時間の平均値に対応する。
【0024】
出力電圧測定回路25、A/D変換回路27、及びマイクロコンピュータ22を介して得られた整流回路11の出力電圧V2と、出力電圧演算部29で演算された比率Tkとの積(Tk・V2)に対応する信号を、出力電圧演算部29から比較回路30に出力している。なお、整流回路11の出力電圧V2も一定の周期(即ち、比率Tkを測定している時間)に対応する半サイクル又は1サイクル単位で平均化処理を行って求める。この積(Tk・V2)からなる出力電圧演算平均値Vwは、表示器31にモニター表示される。
【0025】
比較回路30では監視電圧の上限レベルVHと監視電圧の下限レベルVLが入力され、出力電圧演算平均値Vwの値が上限レベルVHより大きい場合、警報回路32に信号出力して、警報出力が発せられる。また、出力電圧演算平均値Vwの値が下限レベルVLより小さい場合には、警報回路32から警報が出力される。なお、上限レベルVH及び下限レベルVLは、監視電圧上限設定部33及び監視電圧下限設定部34のスイッチ手段(又はボリューム)を用いて外部から任意に設定できる。
【0026】
この場合、上限レベルVH及び下限レベルVLの設定は、通電開始後、任意の時間を任意回数設定できる(例えば、4サイクル目と8サイクル目)。
マイクロコンピュータ22には、別に入出力回路35が接続されて、ゲートオン時間の比率Tk、出力電圧V2及び積(Tk・V2)のいずれか1又は2以上を周辺機器(例えば、パソコン36)に通信で伝送する。
【0027】
続いて、図2、図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る抵抗溶接の監視装置及び抵抗溶接の監視方法について更に詳細に説明する。
抵抗溶接装置10は、溶接中は、常に溶接トランス14の一次電流I1が一定となるように、パワートランジスタQ1〜Q4のゲート信号1、2を周知の技術で制御している。
図2のa)には、パワートランジスタQ1〜Q4のゲートオンオフ時間を、b)にはゲート信号1及びこれによるパワートランジスタQ1、Q4のスイッチ動作、c)にはゲート信号2及びパワートランジスタQ2、Q3のスイッチ動作をそれぞれ示す。これによるインバータ回路13の出力電圧Vo(即ち、図1に破線で示す溶接電源制御装置10aの出力電圧Vo)を図2のd)に示す。なお、Tcはインバータのサイクルタイムである。
【0028】
図2のd)から明らかなように、出力電圧VoはパワートランジスタQ1〜Q4のオン時間、即ちゲート信号1、2の「オン時間/(オン時間+オフ時間)」に比例することになる。従って、ゲートON/OFF時間測定部28でオン時間とオフ時間を測定し、出力電圧演算部29でゲート信号1、2のオン時間の比率Tk[=オン時間/(オン時間+オフ時間)]を算出する(以上、ステップS1)。
【0029】
一方、溶接電源制御装置10aのパワートランジスタQ1〜Q4がオンしている時間の出力電圧Voの波高値は図2のe)に示すように、整流回路11の出力電圧V2に比例することは明らかであるので、整流回路11の出力電圧の平均値の演算を行う(ステップS2)。そして、ゲートのオン時間の比率Tkと出力電圧V2の積が溶接電源制御装置10a(溶接トランス14の一次側)に対応する出力電圧Voになり、図2のf)に示すように、この積(Tk・V2)の演算電圧Vwが表示器31に表示される(ステップS3)。
【0030】
一方、抵抗溶接装置10は定電流制御をしているので、電極18、19の間に挟持されるワーク(被溶接物)37の状態によって、溶接トランス14の一次側の電圧Voは変わる。そして、電圧Vo∝(Tk・V2)=Vwの関係が成立するので、Vwの値を監視すれば、溶接状態を把握できる。即ち、溶接トランス14及び二次導体16、17、整流器15の抵抗(インピーダンス)は、同一であるので、固定した溶接状態で複数回溶接を行っても、一次側の電圧Voは変化がなく一定であるが、例えば、電極18、19間のワーク37の抵抗が小さくなる場合には、一次側の電圧Voは下がることになり、電極18、19間のワーク37の抵抗が大きくなる場合には、一次側の電圧Voは上がることになる。
【0031】
この一次側の電圧VoはVwの値に比例するので、出力電圧演算平均値Vwを監視することになり、出力電圧演算平均値Vwが上限レベル(監視上限設定値)VHより高い場合は(ステップS4)、警報回路32から警報出力を発する(ステップS6)。そして、出力電圧演算平均値Vwが下限レベル(監視下限設定値)VLより低い場合は(ステップS5)は、警報回路32から警報出力を発する(ステップS6)。
【実施例1】
【0032】
続いて、図4、図5を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。
図4に示すように、電極18、19の間に、1)ワークを挿入しない場合、2)ワークの挿入1枚の場合、3)目標のワーク重ね2枚の場合、4)ワーク重ね3枚の場合の溶接実験を行った。この場合、ワークは0.8mmの軟鋼板、溶接電流7kA、通電時間10サイクル、加圧力は2.45kNであった。
【0033】
この場合の出力電圧演算平均値Vwと時間(通電サイクル)の関係を図5に示す。なお、この場合の1サイクルは、1/60秒(60Hzでの1周期)である。そして、出力電圧演算平均値Vwは表示器31に表示され、パソコン36で得ることもできる。
【0034】
図5において、4サイクル目の116Vを下限レベルVLに、128Vを上限レベルVHに設定し、更に8サイクル目の112Vを下限レベルVLに、123Vを上限レベルVHに設定した。この設定は、監視電圧上限設定部33と監視電圧下限設定部34で行われる。この設定によって、溶接開始後、4サイクル目と8サイクル目が上限レベルVH及び下限レベルVLの間を外れた場合に警報を発する。
【実施例2】
【0035】
以上の実施例1によって設定した上限レベルVH及び下限レベルVLを使用して、実施例2として図6(A)〜(C)に示すようにワークの挟持が異なる状態について実験を行った。
図6(A)に示す例では、ワークの端を溶接すると、重ねた上側のワークの端が潰れて溶接部の抵抗が減少することによって、電極間電圧とそれに比例した出力電圧Vo及び演算電圧Vwが下がり、VL>Vwとなって警報を発した。図6(B)に示す例では、電極を使いすぎて、電極先端の断面積が増加し、電極先端とワークの接触抵抗が減少し、VL>Vwとなって警報を発した。また、図6(C)に示す例では、上電極が傾斜した場合には、溶接電流でワークが発熱すると電極がワークの上を滑り、重ねた上側のワークが電極で削られて厚みが薄くなり、溶接部の抵抗が減少し、VL>Vwとなって警報を発した。
【0036】
前記実施の形態及び実施例においては、溶接トランスの二次側に整流器を配置し、溶接トランスの二次電流を整流して直流の溶接電流を用いてワークの溶接を行っていたが、溶接トランスの二次側に整流器を設けないで、インバータ回路によって変換された交流(周波数は商用交流より高い場合と低い場合がある)の溶接電流を用いて抵抗溶接する場合において、インバータ回路から出力される負荷電流を定電流制御する場合にも、本発明は適用される。
【符号の説明】
【0037】
10:抵抗溶接装置、10a:溶接電源制御装置、11:整流回路、12:平滑用コンデンサ、13:インバータ回路、14:溶接トランス、15:整流器、16、17:二次導体、18、19:電極、20:CT、21:A/D変換回路、22:マイクロコンピュータ、23:PWM制御部、25:出力電圧測定回路、27:A/D変換回路、28:ゲートON/OFF時間測定部、29:出力電圧演算部、30:比較回路、31:表示器、32:警報回路、33:監視電圧上限設定部、34:監視電圧下限設定部、35:入出力回路、36:パソコン、37:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を整流回路を介して直流とし、PWM制御を行うスイッチング素子を用いて前記直流を、負荷電流の定電流制御を行うインバータ回路によって交流とし、該交流を溶接トランスに印加して、該溶接トランスの二次側から溶接電流を得る抵抗溶接の監視装置であって、
溶接時の前記溶接トランスの一次側又は二次側電圧に対応する前記PWM制御のスイッチング素子のゲート信号のオン時間の比率Tkと、前記整流回路の出力電圧V2との積(Tk・V2)を求め、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲外である場合に、警告を発することを特徴とする抵抗溶接の監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の抵抗溶接の監視装置において、前記上限レベルVHと前記下限レベルVLは、外部から独立に設定可能であることを特徴とする抵抗溶接の監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の抵抗溶接の監視装置において、各溶接時において、前記積(Tk・V2)の値をモニター表示することを特徴とする抵抗溶接の監視装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の抵抗溶接の監視装置において、前記積(Tk・V2)の値を周辺機器に通信で伝送する手段を備えることを特徴とする抵抗溶接の監視装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の抵抗溶接の監視装置において、前記インバータ回路によって変換された交流は、100〜20000Hzの間にあることを特徴とする抵抗溶接の監視装置。
【請求項6】
商用交流電源を整流回路を介して直流とし、PWM制御を行うスイッチング素子を用いて前記直流を負荷電流の定電流制御を行うインバータ回路によってより周波数の高い交流とし、該交流を溶接トランスに印加して、該溶接トランスの二次側から溶接電流を得る抵抗溶接の監視方法において、
溶接時の前記溶接トランスの一次側又は二次側電圧に対応する前記PWM制御のスイッチング素子のゲート信号のオン時間の比率Tkと、前記整流回路の出力電圧V2との積(Tk・V2)を求め、この積(Tk・V2)が予め設定した上限レベルVHと下限レベルVLの範囲外である場合に、警告を発することを特徴とする抵抗溶接の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−62730(P2011−62730A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215783(P2009−215783)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000110594)ナストーア株式会社 (9)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】