説明

指針計器

【課題】簡便な手段に指針の回転中心側にLCD等の表示部を配設する。フロントウィンドシールドに少なくとも2つの画像を同時に表示でき、かつ、表示サイズおよび表示位置をそれぞれ異なるようにする。
【解決手段】基板116に設けられた第1、2LED117a、117bからの光を第1、2プリズム118a、118bを介して表示部114に導く。これにより、LCD用の光源を指針の回転中心側に設ける必要がなく、速度計110(指針計器)の構造を単純なものとすることができるので、速度計110(指針計器)の大型化及び製造原価上昇を抑制しつつ、簡便な手段に指針の回転中心側にLCD製の表示部114を配設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する指針及び目盛盤を有する指針計器に関するもので、車両用の速度計や回転計に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
車両用の速度計(回転計も含む。)として、例えば特開2000−108722号公報に記載の発明では、目盛盤の目盛部より指針の回転中心側に液晶ディスプレイ(以下、LCDと表記する。)を設けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、通常のLCDでは、バックライト等の光源を必要とするので、LCD用の光源を指針の回転中心側に設けると、この光源に電力を供給する電気配線を指針の回転中心側に設けなければならないので、指針計器の構造が複雑になり、指針計器の大型化及び製造原価上昇を招いてしまう。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、簡便な手段に指針の回転中心側にLCD等の表示手段を配設することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、回転する指針(113)及び目盛盤(111)を有する指針計器であって、目盛盤(111)の目盛部(112)より指針(113)の回転中心側に位置し、かつ指針(113)の上方に設けられ、信号線を介して入力される信号に応じて情報を表示する表示手段(114)と、指針(113)を回転させる回動内機(115)と、回動内機(115)が固定された基板(116)と、基板(116)に設けられた二つの光源(117a、117b)と、光源(117a、117b)の光を表示手段(114)に導く二つの導光手段(118a、118b)とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、表示手段(114)用の光源を指針(113)の回転中心側に設ける必要がないので、指針計器の構造を単純なものとすることができる。したがって、指針計器の大型化及び製造原価上昇を抑制しつつ、簡便な手段に指針の回転中心側に表示手段(114)を配設することができる。
【0007】
なお、指針(113)を照らす指針用光源(117a、117b)は、請求項2に記載の発明のごとく、光源(117a、117b)が設けられた基板(116)に設けてもよい。
【0008】
また、請求項3に記載の発明のごとく、その二つの光源の発光色を互いに相違させてもよい。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明のごとく、表示手段を液晶ディスプレイから構成してもよい。
【0010】
また、請求項5に記載の発明のごとく、目盛盤を平面が環状の形状とし、表示手段をこの環状形状の目盛盤の環状内側に位置せしめてもよい。
【0011】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態)
本実施形態は、本発明に係る指針計器を車両用の速度計に適用したものであって、図1は車両速度を表示する速度計110、エンジン回転を表示する回転計120、エンジン冷却水の温度を表示する水温計130、及び燃料の残量を表示する燃料計140等からなるコンビネーションメータ100の正面図である。
【0013】
因みに、101は方向指示灯(図示せず。)の点灯を示すインジケータであり、102はオートマチィックトランスミッション(AT)のギヤポジションを示すポジションインジケータである。
【0014】
以下、本発明の実施形態である速度計110について述べる。
【0015】
111は速度目盛り112aが印刷された目盛部112を有する目盛盤であり、113は目盛部112(速度目盛り112a)を指し示す指針である。そして、目盛部112より指針113の回転中心側には、走行距離を示すオドメータ114a、シートベルトの着用を促す警告灯114b、及びカーナビションシステムからの情報を表示する簡易ナビ表示部114cからなるLCD製の表示部(表示手段)114が設けられている。なお、図1から明白なように、目盛盤111は平面が環状の形状を有しており、LCD製の表示部114はこの環状形状目盛盤111の環状内側に位置していことが理解できる。
【0016】
図2は速度計110の断面図であり、115は指針113を回転させる回動内機(ムーブメント)であり、116は回動内機115が固定された樹脂製の基板である。そして、基板116には、回動内機115に電気信号を供給する電気配線が形成されているとともに、表示部114を照らす光源をなす第1、2LED(発光ダイオード)117a、117b、及び指針を照らす指針用光源をなす第3LED117cが設けられている。
【0017】
なお、第1〜3LED117a〜117cも基板116上に形成された電気配線から電力を供給を受けている。
【0018】
また、118aは第1LED117aからの光を表示部114の上部(警告灯114b側)に導く第1プリズム(導光手段)であり、118bは第2LED117bからの光を表示部114の中央部から下部(簡易ナビ表示部114c及びオドメータ114a側)に導く第2プリズム(導光手段)である。
【0019】
なお、本実施形態では、第1LED117aと第2LED117bの発光色が相違する異種の光源であるので、導光手段をなすプリズムも第1プリズム118a及び第2プリズム118bの2種としている。
【0020】
また、第1、2プリズム118a、118bの外表面は、光を反射させることによりプリズムから118a、118bから光が漏れることを防止すべく、図2の太い実線部分は白色にて塗装されている。
【0021】
因みに、第3LED117cからの光は、指針113内を通過することにより指針113を照らすように作用する。また、113aは指針113の偶力を打ち消すバランサーであり、114dは表示部114dに信号電流を供給する信号線である。
【0022】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0023】
本実施形態によれば、基板116に設けられた第1、2LED117a、117bからの光を第1、2プリズム118a、118bを介して表示部114に導くので、LCD用の光源を指針の回転中心側に設け必要がなく、速度計110(指針計器)の構造を単純なものとすることができる。
【0024】
したがって、速度計110(指針計器)の大型化及び製造原価上昇を抑制しつつ、簡便な手段に指針の回転中心側にLCD製の表示部114を配設することができる。
【0025】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、表示部114としてLCDを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、CRT(ブラウン管)、LED(発光ダイオード)からなる表示パネル、EL(エレクトロルミネッセンス)、プラズマディスプレイ、VFD(冷電極放電管)等のその他の表示手段であってもよい。
【0026】
また、上述の実施形態では、指針用光源(第3LED117c)を有していたが、第3LED117cを廃止し、表示部114に光を供給する第1、2LED117a、117bの光を指針113に供給してもよい。
【0027】
また、上述の実施形態では、表示部114に2種類以上の光を供給する必要があったので、2種以上の光源(第1、2LED117a、117b)を有していたが、本発明はこれ限定されるものではなく、1種類の光源にて表示部114用の光源を構成してもよい。なお、この場合は、導光手段をなすプリズムを1個としてもよい。
【0028】
また、上述の実施形態では、表示部114に光を導く導光手段としてプリズムを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光ファイバー等のその他の導光手段を採用してもよい。
【0029】
また、光源はLEDに限定されるものではなく、電球(バルブ)等のその他のものであってもよい。
【0030】
また、上述の実施形態では、車両用の速度計を例に本発明を説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、その他用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る指針計器(コンビネーションメータ)の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンビネーションメータのうち速度計の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
111…目盛盤、113…指針、114…表示部、115…回動内機、116…基板、117a…第1LED(光源)、117b…第2LED(光源)、117c…第3LED(指針用光源)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する指針(113)及び目盛盤(111)を有する指針計器であって、
前記目盛盤(111)の目盛部(112)より前記指針(113)の回転中心側に位置し、かつ前記指針の上方に設けられ、信号線を介して入力される信号に応じて情報を表示する表示手段(114)と、
前記指針(113)を回転させる回動内機(115)と、
前記回動内機(115)が固定された基板(116)と、
前記基板(116)に設けられた二つの光源(117a、117b)と、
前記光源(117a、117b)の光を前記表示手段(114)に導く二つの導光手段(118a、118b)とを備え、
前記光源を前記指針の非回転中心側に設けたことを特徴とする指針計器。
【請求項2】
前記指針(113)を照らす指針用光源(117c)は、前記光源(117a、117b)が設けられた前記基板(116)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の指針計器。
【請求項3】
前記光源(117a、117b)の発光色が互いに相違することを特徴とする請求項1または2に記載の指針計器。
【請求項4】
前記表示手段(114)は、液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の指針計器。
【請求項5】
前記目盛盤は平面が環状の形状を有しており、前記表示手段はこの環状形状の前記目盛盤の環状内側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の指針計器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−300958(P2006−300958A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159975(P2006−159975)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【分割の表示】特願2004−298539(P2004−298539)の分割
【原出願日】平成12年7月21日(2000.7.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】