説明

振動アクチュエータ駆動装置、レンズ鏡筒、カメラ

【課題】振動アクチュエータに対する入力電力の損失を低減し、効率的に電力を供給する振動アクチュエータ駆動装置を提供する。
【解決手段】振動アクチュエータ駆動装置(100)は、電圧を印加される1次側インダクタ(311A、311B)と、電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)に電圧を印加する2次側インダクタ(314A、314B)とを有するトランス部(31A、31B)と、2次側インダクタ(314A、314B)と、電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)との間に流れる電流の通電状態を切り替えるスイッチング部(34A、34B)と、1次側インダクタ(311A、311B)に流れる電流の方向に応じて、スイッチング部(34A、34B)により2次側インダクタ(314A、314B)に流れる電流の通電状態を切り替える制御部(2)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子の振動を利用した振動アクチュエータ駆動装置、レンズ鏡筒、カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属等によって円形状に形成された弾性体の一方の平面に分極処理が施された圧電素子(電気機械エネルギー変換素子)を取り付けたものを振動子として有し、圧電素子に一定の電位差を有する交流電圧を印加することにより、弾性体の他方の平面に進行波を励起する構成を備える振動アクチュエータ、いわゆる超音波モータが知られている。
【0003】
超音波モータにおける振動子の機械的な共振周波数(fr)と、超音波モータが安定して回転する最高回転数となる駆動周波数(f1)と、超音波モータが回転を始める駆動周波数(f0)との関係は、一般に、fr<f1<f0となる。
ところで、トランスを使用した超音波モータの駆動回路において、トランスの2次側巻線のインダクタンスLと、超音波モータの振動子の静電容量Cとによる共振周波数(fc)は、1/(2π√(LC))であり、fc=f0となるようにインダクタンスLと静電容量Cとを整合させることが望ましいが、超音波モータの特性によってはf0とf1との間の周波数帯域が広くなる場合がある。この場合、fc=f0とすると、駆動周波数をf0から低く変化させるとトランスと超音波モータの振動子との間で自由振動を起こし、超音波モータの駆動電圧波形が乱れて、入力電力が増大してしまうと共に、消費電力が増加してしまう。
前述の自由振動を抑制するために、トランスの2次側巻線にスイッチング素子を設けた超音波モータ制御装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−157163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において示されている超音波モータ制御装置では、トランスの1次側巻線に印加する電流が正の半サイクルと負の半サイクルとが非対称であるために、トランスの2次側巻線より超音波モータに印加される電圧波形が、正の半サイクルと負の半サイクルとが非対称となり、負の半サイクルが超音波モータの駆動に関与しておらず、入力電力の損失が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、振動アクチュエータに対する入力電力の損失を低減し、効率的に電力を供給する振動アクチュエータ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記問題を解決するために、本発明は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)により振動を発生する振動子と、該振動子が発生する振動により駆動される相対運動部材と、電圧が印加される1次側インダクタ(311A、311B)と、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)に電圧を印加する2次側インダクタ(314A、314B)とを有するトランス部(31A、31B)と、前記2次側インダクタ(314A、314B)と、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)との間に流れる電流の通電状態を切り替えるスイッチング部(34A、34B)と、前1次側インダクタ(311A、311B)に流れる電流の方向に応じて、前記スイッチング部(34A、34B)により前記2次側インダクタ(314A、314B)に流れる電流の通電状態を切り替える制御部(2)とを具備することを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0008】
[2]また、本発明は、上記記載の発明であって、前記2次側インダクタ(314A、314B)は、前記スイッチング部(34A、34B)を介して接地され、前記スイッチング部(34A、34B)は、前記2次側インダクタ(314A、314B)から前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)に向かって流れる電流の通電状態を切り替える第1のスイッチング素子(35A、35B)と、前記電気機械エネルギー変換素子から前記2次側インダクタに向かって流れる電流の通電状態を切り替える第2のスイッチング素子(36A、36B)と、を備えることを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0009】
[3]また、本発明は、上記記載の発明であって、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)は、ソースが前記2次側インダクタ(314A、314B)に接続され、ゲートが前記制御部(2)により電圧が印加されるP型MOSFET(352A、352B)と、アノードが、前記P型MOSFET(352A、352B)のソースに接続され、カソードが前記P型MOSFET(352A、352B)のドレインに接続された第1のダイオード(353A、353B)とを有し、前記第2のスイッチング素子(36A、36B)は、ソースが接地され、ドレインが前記P型MOSFET(352A、352B)のドレインに接続され、ゲートが前記制御部(2)により電圧が印加されるN型MOSFET(362A、362B)と、アノードが前記N型MOSFET(362A、362B)のソースに接続され、カソードが前記N型MOSFET(362A、362B)のドレインに接続された第2のダイオード(363A、363B)とを有することを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0010】
[4]また、本発明は、上記記載の発明であって、前記1次側インダクタ(311A、311B)の一端に接続され、該一端を接地するか否かを切り替える第3のスイッチング素子(32A、32B)と、前記1次側インダクタ(311A、311B)の他端に接続され、該他端を接地するか否かを切り替える第4のスイッチング素子(33A、33B)とを備え、前記制御部(2)は、前記第3のスイッチング素子(32A、32B)と前記第4のスイッチング素子(33A、33B)とを交互にオン状態にすることを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0011】
[5]また、本発明は、上記記載の発明であって、前記制御部(2)は、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)に印加する電圧の周期に応じて、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)、前記第2のスイッチング素子(36A、36B)、前記第3のスイッチング素子(32A、32B)及び前記第4のスイッチング素子(33A、33B)のオンとオフとを切り替える周期を設定することを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0012】
[6]また、本発明は、上記記載の発明であって、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)及び前記第2スイッチング素子(36A、36B)は、いずれか一方のみがオン状態となり、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)及び前記第2スイッチング素子(36A、36B)のオン状態とオフ状態との切り替え周期は、半周期の位相差があり、前記第3のスイッチング素子(32A、32B)は、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)がオン状態になる前にオフ状態になり、前記第1のスイッチング素子(35A、35B)がオフ状態になると共にオフ状態になり、前記第4のスイッチング素子(33A、33B)は、前記第2のスイッチング素子(36A、36B)がオン状態になる前にオフ状態になり、前記第2のスイッチング素子(36A、36B)がオフ状態になると共にオフ状態になることを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0013】
[7]また、本発明は、上記記載の発明において、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)は、第1の電極(42A)と、該第1の電極に対応して設けられた第1の接地電極(43)と、第2の電極(42B)と、該第2の電極に対応して設けられた第2の接地電極(43)とを有し、前記第1の接地電極(43)と、前記第2の接地電極(43)とは、共通接続されて、接地されていることを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0014】
[8]また、本発明は、上記記載の発明において、前記トランス部(31A、31B)は、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)の前記第1の電極(42A)に電圧を印加する第1のトランス(31A)と、前記電気機械エネルギー変換素子(41A、41B)の前記第2の電極(42B)に電圧を印加する第2のトランス(31B)とを備え、前記第1のトランス(31A)と前記第2のトランス(31B)とは、それぞれ前記1次側インダクタ(311A、311B)と前記2次側インダクタ(314A、314B)とを有することを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置(100)である。
【0015】
[9]また、本発明は、上記記載の発明の振動アクチュエータ駆動装置(100)を備えたレンズ鏡筒(13)である。
【0016】
[10]また、本発明は、上記記載の発明の振動アクチュエータ駆動装置(100)を備えたカメラ(10)である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、振動アクチュエータの振動子に対する入力電力の損失を低減し、効率的に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態による超音波モータ駆動装置の構成、及び、超音波モータ駆動装置と超音波モータとの間の接続を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態のゲートドライブ回路の構成を示す回路図である。
【図3】本実施形態の超音波モータ駆動装置が超音波モータを駆動する際のA相側の波形図である。
【図4】比較例における超音波モータ駆動装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】比較例において超音波モータ駆動装置が超音波モータの回転を始める周波数(f0)で駆動するときのA相側の波形図である。
【図6】比較例において、超音波モータ駆動装置が超音波モータの回転速度が最高になる周波数(f1)で駆動するときのA相側の波形図である。
【図7】本実施形態の超音波モータ駆動装置を備えたカメラシステムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による超音波モータ駆動装置を図面を参照して説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態による超音波モータ駆動装置100の構成、及び、超音波モータ駆動装置100と超音波モータ4との間の接続を示す概略ブロック図である。
本実施形態において、超音波モータ4は、不図示の円環状の振動子と、不図示の相対移動部材(回転子、あるいは、移動子という。)を有し、相対移動部材が回転して回転出力が得られる。振動子は、不図示の円環状の弾性体と、当該弾性体に接合された圧電体41A、41Bを有している。
【0021】
圧電体41A、41Bは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械エネルギー変換素子であり、例えば、圧電素子や電歪素子などが用いられる。圧電体41A、41Bは、略円環状の部材であり、弾性体の円周方向に沿って2つの相(A相、B相)の電気信号が入力される2つの部位に分かれている。圧電体41Aには、A相の電気信号が入力され、圧電体41Bには、B相の電気信号が入力される。圧電体41Aと圧電体41Bとは、1/2波長ごとにそれぞれの分極が交互に並べられており、更に、圧電体41Aの分極と圧電体41Bの分極とは、1/4波長の間隔が設けられている。圧電体41A、41Bは、例えば、接着剤を用いて弾性体と接合されている。
また、圧電体41A、41Bの一方の面には、それぞれの分極ごとに駆動電圧を印加できるように電極42A(第1の電極)と電極42B(第2の電極)とが形成されている。また、圧電体41A、41Bの他方の面には、共通の接地電極43が形成され接地されている。
【0022】
超音波モータ駆動装置100は、直流電源回路1と、パルス生成回路2(制御回路)と、駆動回路3A、3Bとを具備している。直流電源回路1は、駆動回路3A、3Bに接続され、それぞれに正電位の直流電圧(Vcc)を供給すると共に、負電位の直流電圧(−5V)を供給する。パルス生成回路2は、駆動回路3A、3Bに接続され、外部から入力される周波数指示信号に応じて、超音波モータ4を駆動するためのパルス信号A1〜A4を入力された周波数指示信号に応じた周期を設定し、設定した周期に応じてパルス信号A1〜A4を駆動回路3Aに出力する。また、パルス生成回路2は、設定した周期に応じてパルス信号B1〜B4を駆動回路3Bに出力する。
パルス生成回路2から駆動回路3Aに出力されるパルス信号A1〜A4と、パルス生成回路2から駆動回路3Bに出力されるパルス信号B1〜B4とは、1/4周期(90度)の位相差がある以外、同じ波形のパルス信号である。
【0023】
駆動回路3Aは、A相用の駆動回路であり、駆動回路3Bは、B相用の駆動回路である。駆動回路3A、3Bは、同じ構成を有しており、それぞれパルス生成回路2から入力されるパルス信号が90度の位相差がある信号が入力される点を除いて、超音波モータ4に対する動作も同じである。以下、特に言及しない限り、駆動回路3Aについてのみ説明し、駆動回路3Bについての説明を省略する。また、駆動回路3Aに対しての構成については、全ての符号の末尾に「A」を付し、駆動回路3Bに対しての構成については、全ての符号の末尾に「B」を付して、駆動回路3Aと駆動回路3Bとの符号中の数字が一致する箇所がそれぞれ対応する箇所であることを示している。例えば、後述する駆動回路3Aのスイッチング素子32Aと、駆動回路3Bのスイッチング素子32Bとは、対応する構成であり、同一の構成を有している。
【0024】
駆動回路3Aは、トランス31A(第1のトランス)と、スイッチング素子32A(第3のスイッチング素子)と、スイッチング素子33A(第4のスイッチング素子)と、スイッチング部34Aと、ゲートドライブ回路37Aとを備えている。トランス31Aは、1次側インダクタ311Aと2次側インダクタ314Aとが対をなして構成され、1次側インダクタ311Aが有するタップに直流電源回路1から正電位の電源電圧が印加される。1次側インダクタ311Aは、タップから1次側インダクタ311Aの一端との間に形成される巻線312Aと、タップから1次側インダクタ311Aの他端との間に形成される巻線313Aとを含み構成されている。また、巻線312Aは、スイッチング素子32Aを介して接地されている。巻線313Aは、一端がスイッチング素子33Aを介して接地されている。
【0025】
更に、2次側インダクタ314Aは、一端が圧電体41Aの電極42Aと接続され、他端がスイッチング部34Aを介して接地されている。ここで、2次側インダクタ314Aは、超音波モータ4の圧電体41Aと直列接続されることで、LC直列共振回路を構成する。なお、1次側インダクタ311Aに設けるタップは、巻線312A、313Aそれぞれの巻き数が均等になるように中央に設けると、2次側インダクタ314Aに誘導される励磁される電流が1次側インダクタ311Aに流れる電流の向きに対して、対称となるので圧電体41Aに安定した電圧を印可できるので好適である。
【0026】
スイッチング素子32Aは、パルス生成回路2より出力されるパルス信号A1に応じて、トランス31Aの1次側インダクタ311Aに含まれる巻線312Aに電流を流すか否かを切り替える。また、スイッチング素子32Aは、抵抗321Aと、N型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)322Aとを含み構成される。
N型MOSFET322Aは、ゲートに抵抗321Aを介してパルス生成回路2よりパルス信号A1が印加され、ドレインが、トランス31Aの1次側インダクタ311Aの一端と接続され、ソースが接地されている。
【0027】
スイッチング素子33Aは、パルス生成回路2より出力されるパルス信号A2に応じて、トランス31Aの1次側インダクタ311Aに含まれる巻線313Aに電流を流すか否かを切り替える。また、スイッチング素子33Aは、抵抗331Aと、N型MOSFET332Aとを含み構成される。
N型MOSFET332Aは、ゲートに抵抗331Aを介してパルス生成回路2よりパルス信号A2が印加され、ドレインが、トランス31Aの1次側インダクタ311Aの他端と接続され、ソースが接地されている。
【0028】
上述の構成により、パルス生成回路2が正電位の電流電圧レベル(以下、ハイ(High)レベルという。)のパルス信号A1を出力すると、スイッチング素子32AのN型MOSFET322Aがオン状態となり、1次側インダクタ311Aからスイッチング素子32Aの方向に電流Ia1が流れる。また、パルス生成回路2がハイレベルのパルス信号A2を出力すると、スイッチング素子33AのN型MOSFET332Aがオン状態となり、電流Ia1と逆の方向である1次側インダクタ311Aからスイッチング素子33Aの方向に電流Ia2が流れる。すなわち、パルス生成回路2から出力されるパルス信号A1、A2によりトランス31Aの1次側インダクタ311Aに電流を流すか否かと、電流の流す方向とを制御することができる。
【0029】
スイッチング部34Aは、スイッチング素子35A、36Aを含み構成され、スイッチング素子35Aとスイッチング素子36Aとが、トランス31Aの2次側インダクタ314Aの他端と接地との間に接続点J1Aを介して直列に接続されている。また、スイッチング部34Aは、パルス生成回路2から印加されるパルス信号A4と、ゲートドライブ回路37Aから印加されるパルス信号A31とに応じて、2次側インダクタ314Aに流れる電流を通電するか遮断するかを切り替える。
スイッチング素子35Aは、抵抗351Aと、P型MOSFET352Aと、ダイオード353A(第1のダイオード)とを含み構成される。P型MOSFET352Aは、ゲートに抵抗351Aを介してゲートドライブ回路37Aから出力されるパルス信号A31が抵抗351Aを介して印加され、ドレインが2次側インダクタ314Aの他端に接続され、ソースが接続点J1Aに接続されている。ダイオード353Aは、アノードがP型MOSFET352Aのドレインに接続され、カソードがP型MOSFET352Aのソースに接続されている。
【0030】
スイッチング素子36Aは、抵抗361Aと、N型MOSFET362Aと、ダイオード363A(第2のダイオード)とを含み構成されている。N型MOSFET362Aは、ゲートにパルス生成回路2から出力されるパルス信号A4が抵抗361Aを介して印加され、ドレインが接続点J1Aに接続され、ソースが接地されている。ダイオード363Aは、アノードがN型MOSFET362Aのソースに接続され、カソードがN型MOSFET362Aのドレインに接続されている。
【0031】
次に、図2は、本実施形態のゲートドライブ回路37Aの構成を示す回路図である。ゲートドライブ回路37Aは、抵抗370A、372A、374A、375A、379Aと、コンデンサ373Aと、pnp型トランジスタ371Aと、npn型トランジスタ376A、378Aとを含み構成される。
pnp型トランジスタ371Aは、エミッタに抵抗370Aを介してパルス生成回路2から出力されるパルス信号A3が印加され、ベースが接地され、コレクタが抵抗374Aを介してnpn型トランジスタ376Aのベースに接続されている。抵抗372Aは、一端がpnp型トランジスタ371Aのコレクタに接続され、他端に負電位の直流電圧(−5V)が印加されている。コンデンサ373Aは、抵抗374Aと並列に接続されている。抵抗375Aは、一端がnpn型トランジスタ376Aのベースに接続され、他端に負電位の直流電圧が印加されている。
npn型トランジスタ376Aは、コレクタがダイオード377Aのカソードと、npn型トランジスタ378Aのベースとに接続され、エミッタに負電位の直流電圧(−5V)が印加されている。pnp型トランジスタ378Aは、エミッタが図1に示すスイッチング素子35AのP型MOSFET352Aのゲートと、ダイオード377Aのアノードとに接続され、コレクタが抵抗379Aを介してベースと接続されると共に、接続点J1Aに接続されている。
【0032】
上述の構成により、ゲートドライブ回路37Aは、パルス生成回路2からハイレベルのパルス信号A3が入力されると、pnp型トランジスタ371A及び抵抗374Aを通じてnpn型トランジスタ376Aのベース−エミッタ間に電流が流れてnpn型トランジスタ376Aがオン状態となる。このとき、ダイオード377A及びnpn型トランジスタ376Aを通じてスイッチング素子35AのP型MOSFET352Aのゲートに負電位の直流電圧(−5)のパルス信号A31が出力され、P型MOSFET352Aがオン状態となる。これにより、スイッチング素子35Aからトランス31Aの2次側インダクタ314Aに向かう電流Ia4が流れる。
【0033】
一方、ゲートドライブ回路37Aは、パルス生成回路2から接地電位レベル(以下、ロー(Low)レベルという。)のパルス信号A3が入力されると、npn型トランジスタ376Aのベース−エミッタ間に電流が流れないので、npn型トランジスタ376Aがオフ状態となる。ここで、スイッチング素子35AのP型MOSFET352Aのゲート電位が負、例えば−5Vのとき、npn型トランジスタ378Aは、抵抗379Aを通じてベース−エミッタ間に電流が流れて、npn型トランジスタ378Aがオン状態になる。
このとき、npn型トランジスタ378Aのコレクタからエミッタに向かって電流が流れ、すなわち、P型MOSFET352Aのゲート電位を接続点J1Aと同電位にする方向に電流が流れ、P型MOSFET352Aのゲートと、接続点J1Aに接続されたP型MOSFET352Aのソースとが同電位となり、P型MOSFET352Aがオフ状態となる。これにより、スイッチング素子35Aからトランス31Aの2次側インダクタ314Aに向かう電流Ia4が遮断される。
【0034】
図1に戻って、スイッチング素子36Aは、パルス生成回路2がハイレベルのパルス信号A4を出力すると、N型MOSFET362Aがオン状態となり、トランス31Aの2次側インダクタ314Aからスイッチング素子36Aに向かう方向、すなわち、電流Ia4と逆の方向の電流Ia3が流れる。
一方、スイッチング素子36Aは、パルス生成回路2がローレベルのパルス信号A4を出力すると、N型MOSFET362Aがオフ状態となり、スイッチング素子36Aからトランス31Aの2次側インダクタ314Aに向かう方向の電流Ia3を遮断する。
【0035】
上述のように、パルス生成回路2は、出力するパルス信号A3、A4によりスイッチング部34Aに含まれるスイッチング素子35A、36Aのオンとオフとを切り替えて、トランス31Aの2次側インダクタ314Aに流れる電流を制御することができる。これにより、トランス31Aの2次側インダクタ314AのインダクタンスLと、超音波モータの振動子が有する圧電体41Aの静電容量CとによるLC直列共振回路の共振周波数(fc=1/(2π√(LC))による振動をスイッチング素子35A、36Aのオンとオフとを切り替えることにより制御することができる。
【0036】
図3は、本実施形態の超音波モータ駆動装置100が超音波モータ4を駆動する際のA相側の波形図である。図3において、横軸方向は時間を示し、縦軸方向はパルス生成回路2が出力するパルス信号A1〜A4のレベルと、圧電体41Aに印加する電圧Vmaの電圧値と、直流電源回路1からトランス31Aの1次側インダクタ311Aに流れる電流Iaの電流値とを示している。超音波モータ駆動装置100は、スイッチング素子35A、36Aのオンとオフとを切り替えることにより、圧電体41Aに印加される電圧Vmaの波形の乱れを抑制している。以下、超音波モータ駆動装置100の動作を説明する前に、スイッチング素子35A、36Aを設けずにトランス31Aの2次側インダクタ314Aの他端が直接接地されている場合の圧電体41Aに印加される電圧Vmaの乱れについて、比較例として図を用いて説明する。
【0037】
<比較例>
まず、図4は、比較例における超音波モータ駆動装置101の構成を示す概略ブロック図である。超音波モータ駆動装置100は、第1実施形態の図1に示した超音波モータ駆動装置100に比べ、駆動回路5A、5Bが異なる。駆動回路5Aは、第1実施形態の駆動回路3Aに比べ、スイッチング部34A及びゲートドライブ回路37Aを設けず、トランス31Aの2次側インダクタ314Aの他端が接地されている点が異なる。駆動回路5Bは、駆動回路5Aと同様に、第1実施形態の駆動回路3Bに比べ、スイッチング部34B及びゲートドライブ回路37Bを設けず、トランス31Bの2次側インダクタ314Bの他端が接地されている点が異なる。超音波モータ駆動装置101は、上述の相違点以外第1実施形態の超音波モータ駆動装置100の構成と同じであるので、対応する箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
次に、図5は、比較例において超音波モータ駆動装置101が超音波モータ4の回転を始める周波数(f0)で駆動するときのA相側の波形図である。図5において、横軸方向は時間を示し、縦軸方向は、パルス生成回路2が出力するパルス信号A1、A2のレベルと、圧電体41Aに印加される電圧Vmaの電圧値と、直流電源回路1からトランス31Aの1次側インダクタ311Aに流れる電流Iaの電流値とを示している。なお、周波数f0は、トランス31Aの2次側インダクタ314AのインダクタンスLと圧電体41Aの静電容量CとからなるLC直列共振回路の共振周波数(fc)に近い周波数とする。
時刻t1において、パルス生成回路2がパルス信号A1をハイレベルにすると、スイッチング素子32AのN型MOSFET322Aがオン状態になり、電流Ia1が流れ始めて、トランス31Aの1次側インダクタ311Aの巻線312Aにエネルギーが蓄えられる。
時刻t2において、パルス生成回路2がパルス信号A1をローレベルにすると、スイッチング素子32AのN型MOSFET322Aがオフ状態になり、1次側インダクタ311Aの巻線312Aに対してエネルギーを蓄えていた電流が遮断されて、1次側インダクタ311Aの巻線312Aに蓄えられていたエネルギーが急速に開放される。これにより、2次側インダクタ314Aに電流Ia3が流れると共に、圧電体41Aに対して電圧Vmaが印加される。
【0039】
次に、時刻t3において、パルス生成回路2がパルス信号A2をハイレベルにすると、スイッチング素子33AのN型MOSFET332Aがオン状態になり、電流Ia2が流れ始めて、トランス31Aの1次側インダクタ311Aの巻線313Aにエネルギーが蓄えられる。
時刻t4において、パルス生成回路2がパルス信号A2をローレベルにすると、スイッチング素子33AのN型MOSFET332Aがオフ状態になり、1次側インダクタ311Aの巻線313Aに対してエネルギーを蓄えていた電流が遮断されて、1次側インダクタ311Aの巻線313Aに蓄えられていたエネルギーが急速に開放される。これにより、2次側インダクタ314Aに、時刻t2とは逆方向の電流Ia4が流れると共に、圧電体41Aに対して電圧Vmaが印加される。
以降、超音波モータ駆動装置101は、パルス生成回路2によりパルス信号A1、A2を周期的に変化させることにより上述の時刻t1から時刻t4までの動作を繰り返し行う。ここで、パルス信号A1とパルス信号A2との間には180度の位相差があり、スイッチング素子32A、33Aのオンとオフとを切り替えることにより、1次側インダクタ311Aの巻線312A、313Aそれぞれに交互に逆方向の電流を流す動作、いわゆるプッシュプル駆動を行う。
【0040】
次に、図6は、比較例において、超音波モータ駆動装置101が超音波モータ4の回転速度が最高になる周波数(f1)で駆動するときのA相側の波形図である。図6において、横軸方向は時間を示し、縦軸方向は、パルス生成回路2が出力するパルス信号A1、A2のレベルと、圧電体41Aに印加される電圧Vmaの電圧値と、直流電源回路1からトランス31Aの1次側インダクタ311Aに流れる電流Iaの電流値とを示している。ここで、超音波モータ4の回転速度が最高になる周波数(f1)、すなわち、圧電体41Aに印加する電圧が変はする周波数は、一般的に、超音波モータ4が回転を始める周波数(f0)より低い周波数である。
超音波モータ駆動装置101は、パルス生成回路2により、上述の図5の場合の動作と同様に、時刻t1〜t4においてパルス信号A1、A2を変化させて、トランス31Aの1次側インダクタ311Aに電流を流すことにより、2次側インダクタ314Aに電流を流して圧電体41Aに対して電圧Vmaを印加する。
【0041】
このとき、トランス31Aの2次側インダクタ314Aから印加する電圧の変化の周波数(f1)と、トランス31Aの2次側インダクタ314AのインダクタンスLと圧電体41Aの静電容量Cとによる共振周波数(fc)とに差があり、共振周波数(fc)による自由振動が発生することにより、時刻t1及び時刻t3の直後に、圧電体41Aに印加する電圧Vmaの波形に乱れが生じる。
電圧Vmaの波形が乱れることにより、直流電源回路1からトランス31Aの1次側インダクタ311Aに流れる電流Iaが増大して消費電力が多くなってしまう。また、圧電体41Aに印加する電圧が不安定になることから、圧電体41Aが発生する振動も不安定になり超音波モータ4の安定した駆動が困難になることがある。
【0042】
図3に戻って、第1実施形態の超音波モータ駆動装置100の動作の説明を行う。超音波モータ駆動装置100のパルス生成回路2は、比較例の超音波モータ駆動装置101と同様に時刻t1、t2においてパルス信号A1を変化させ、時刻t3、t4においてパルス信号A2を変化させる。更に、本実施形態のパルス生成回路2は、時刻t1より前の時刻t1’においてパルス信号A3をローレベルに変化させ、時刻t2においてパルス信号A3をハイレベルに変化させる。これにより、パルス生成回路2は、ゲートドライブ回路37Aを介してスイッチング素子35Aによりトランス31Aの2次側インダクタ314Aに流れる電流Ia3の通電と遮断とを切り替える。
また、パルス生成回路2は、時刻t3より前の時刻t3’においてパルス信号A4をローレベルに変化させ、時刻t4においてパルス信号A4をハイレベルに変化させる。これにより、パルス生成回路2は、スイッチング素子36Aによりトランス31Aの2次側インダクタ314Aに流れる電流Ia4の通電と遮断とを切り替える。以降、パルス生成回路2は、時刻t1’から時刻t4までの動作を周期的に繰り返し行いトランス31Aの1次側インダクタ311Aと2次側インダクタ314Aとに流れる電流の通電と遮断とを切り替える制御を行う。
【0043】
ここで、時刻t1’、t3’は、直流電源回路1に流れる電流Iaが負になる時刻である。また、パルス信号A3をローレベルにする時刻t1’から時刻t2までの期間、及び、パルス信号A4をローレベルにする時刻t3から時刻t4までの期間は、超音波モータ4の駆動周波数帯域が狭い場合には、可変にせずに、固定の期間としてもよい。一方、超音波モータ4の駆動周波数帯域が広い場合には、パルス生成回路2は、駆動周波数に応じてパルス信号A3、A4をローレベルにする期間を変化させる。
また、時刻t1’は、圧電体41Aに印加される電圧Vmaが極大値となる直前であり、パルス信号A2がハイレベルからローレベルに変化した後である。このとき、パルス生成回路2は、パルス信号A3をローレベルに変化させて電流Ia3を遮断することにより、トランス31Aの1次側インダクタ311Aに蓄えられていたエネルギーによる圧電体41Aへの駆動電圧の印加が終わることによる圧電体41Aに蓄積された電荷が2次側インダクタ314Aへの移動を抑制する。すなわち、パルス信号A3によりスイッチング素子35Aのオンとオフとを切り替えて電流Ia3を通電と遮断とを切り替えることにより、2次側インダクタ314AのインダクタンスLと、圧電体41Aの静電容量CとからなるLC直列共振回路による自由振動を抑制する。
【0044】
また、時刻t3’は、圧電体41Aに印加される電圧Vmaが極小値となる直前であり、パルス信号A1がハイレベルからローレベルに変化した後である。このとき、パルス生成回路2は、パルス信号A4をローレベルに変化させて電流Ia4を遮断することにより、トランス31Aの1次側インダクタ311Aに蓄えられていたエネルギーによる圧電体41Aへの駆動電圧の印加が終わり、圧電体41Aに蓄積された電荷が2次側インダクタ314Aへの移動を抑制する。すなわち、パルス信号A4によりスイッチング素子36Aのオンとオフとを切り替えて電流Ia4を通電と遮断とをことにより、2次側インダクタ314Aと圧電体41AとからなるLC直列共振回路による自由振動を抑制する。
上述の動作により、超音波モータ駆動装置100は、図6の比較例に示した電圧Vmaの波形の乱れを抑制することができ、更に、圧電体41Aに印加する電圧が安定することにより、超音波モータ4を安定して駆動することが可能となる。
【0045】
また、パルス生成回路2は、時刻t2において、パルス信号A3をローレベルからハイレベルに変化させると共に、パルス信号A1をハイレベルからローレベルへ切り替えている。また、パルス生成回路2は、時刻t4において、パルス信号A4をローレベルからハイレベルに変化させると共に、パルス信号A2をハイレベルからローレベルへ切り替えている。これは、パルス信号A1、A2をハイレベルからローレベルへ切り替えるタイミングにおいて、トランス31Aの2次側インダクタ314Aと圧電体41AとからなるLC直列共振回路を利用した駆動電圧の印加が行われるので、当該駆動電圧の印加を抑制する電流の遮断を行わないようにスイッチング素子35A、36Aをオン状態にするためである。
【0046】
なお、本実施形態では、パルス生成回路2がパルス信号A1、A2をハイレベルからローレベルへの変更と、パルス信号A3、A4をローレベルからハイレベルへの変更を同時に行っているが、パルス信号A1、A2をハイレベルからローレベルへ変更する前に、パルス信号A3、A4をローレベルからハイレベルに変更するようにしてもよい。
また、本実施形態では、パルス信号A1〜A4と、パルス信号B1〜B4との間の位相差を90度とし、圧電体41A、41Bに印加する駆動電圧の位相差を90度としたが、超音波モータ4が圧電体41A、41Bに印加する駆動電圧の位相が90度のとき最も大きい駆動力を発生するからであり、駆動対象に応じてパルス生成回路2が出力するパルス信号A1〜A4とパルス信号B1〜B4との位相差を変えてもよい。
【0047】
超音波モータ駆動装置100は、上述の構成及び動作により、以下の効果を奏する。
トランス31Aの1次側インダクタ311Aにタップを設けて、直流電源回路1からタップに電圧を印加し、1次側インダクタ311Aを構成する巻線312A、313Aそれぞれに流す電流を切り替えてプッシュプル駆動することにより、1次側インダクタ311Aの一端のみ、あるいは、他端のみに電圧を印加して駆動する場合に比べ、効率的に圧電体41Aに電圧を印加して駆動することができる。また、B相についても同様である。
また、2次側インダクタ314Aに流れる電流の向きに応じて、通電と遮断とを切り替えるスイッチング素子35A、36Aを含むスイッチング部34Aを設けたことにより、2次側インダクタ314Aと圧電体41AとからなるLC直列共振回路による自由振動を抑制し、圧電体41Aに印加する電圧を安定させることにより超音波モータ4の駆動を安定させると共に、電流Iaの変化を安定させて消費電力の増加を抑制して、電力を効率的に利用することができる。また、超音波モータ駆動装置100は、特許文献1に記載のものが1方向のみの自由振動を抑制するのに対して、2次側インダクタ314Aに流れる電流の向きに係らず自由振動を抑制できるので、更に、圧電体41Aに印加する電圧を安定させることができ、自由振動が原因となる超音波モータ4の誤作動を防ぐことができる。また、B相についても同様である。
【0048】
更に、2次側インダクタ314Aに流れる電流の向きに応じて、通電と遮断とを切り替えるスイッチング素子35A、36Aを含むスイッチング部34Aを設けたことにより、圧電体41A、41Bとの接地電極43を共通にした場合においても、圧電体41A、41Bそれぞれに印加される電圧を独立に変化させることができるので、超音波モータ4を構成する際に、圧電体41A、41Bそれぞれの接地電極を別々に設ける場合に比べて、構成を単純にすることができ、超音波モータ4の小型化に対応することができる。
また、スイッチング素子35AにP型MOSFET352Aを用いたことにより、2次側インダクタ314Aに接続されたドレインの電位に係らず、ソースの電位(スイッチング素子36Aのダイオード363Aを介して接続された接地電位)に対して低い電圧をゲートドライブ回路37Aからゲートに印加することによりスイッチング素子35Aのオンとオフとの切り替えを行うことができる。このとき、ゲートドライブ回路37AからP型MOSFET352Aのゲートに印加する不電位の直流電圧(−5V)は、P型MOSFET352Aをオン状態に切り替えることができればよく、電圧値に対して精度が要求されないので、チャージポンプ回路などにより容易に供給することができ、直流電源回路1を簡易に構成することができる。また、B相についても同様である。
【0049】
次に、図7は、本実施形態の超音波モータ駆動装置100を備えたカメラシステム10の構成を示す概略図である。カメラシステム10は、撮像素子12を有するカメラボディ11と、レンズ14a〜14dからなるレンズ群14を有するレンズ鏡筒13とを備えている。また、レンズ鏡筒13は、レンズ14cを保持するカム筒15と、カム筒15に接して備えられ、カム筒15を移動させる超音波モータ4と、超音波モータ4を駆動する超音波モータ駆動装置100とを有している。レンズ鏡筒13は、超音波モータ駆動装置100により駆動される超音波モータ4によりカム筒15を光軸方向16に移動することにより焦点調節を行う。
なお、カメラシステム10において、レンズ鏡筒13は、カメラボディ11と着脱可能であってもよし、一体型として固定されていてもよい。また、レンズ鏡筒13が超音波モータ駆動装置100を備える構成を示したが、カメラボディ11が超音波モータ駆動装置100を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100…超音波モータ駆動装置
2…パルス生成回路
31A、31B…トランス
311A、311B…1次側インダクタ
314A、314B…2次側インダクタ
34A、34B…スイッチング部
32A、32B、33A、33B…スイッチング素子
35A、35B、36A、36B…スイッチング素子
352A、352B…P型MOSFET
362A、362B…N型MOSFET
353A、353B、363A、363B…ダイオード
41A、41B…圧電体
43…接地電極
10…カメラシステム
11…カメラボディ
13…レンズ鏡筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械エネルギー変換素子により振動を発生する振動子と、
該振動子が発生する振動により駆動される相対運動部材と、
電圧が印加される1次側インダクタと、前記電気機械エネルギー変換素子に電圧を印加する2次側インダクタとを有するトランス部と、
前記2次側インダクタと前記電気機械エネルギー変換素子との間に流れる電流の通電状態を切り替えるスイッチング部と、
前記1次側インダクタに流れる電流の方向に応じて、前記スイッチング部により前記2次側インダクタに流れる電流の通電状態を切り替える制御部と
を具備することを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記2次側インダクタは、前記スイッチング部を介して接地され、
前記スイッチング部は、
前記2次側インダクタから前記電気機械エネルギー変換素子に向かって流れる電流の通電状態を切り替える第1のスイッチング素子と、
前記電気機械エネルギー変換素子から前記2次側インダクタに向かって流れる電流の通電状態を切り替える第2のスイッチング素子と、
を備える
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記第1のスイッチング素子は、
ソースが前記2次側インダクタに接続され、ゲートが前記制御部により電圧が印加されるP型MOSFETと、
アノードが、前記P型MOSFETのソースに接続され、カソードが前記P型MOSFETのドレインに接続された第1のダイオードと
を有し、
前記第2のスイッチング素子は、
ソースが接地され、ドレインが前記P型MOSFETのドレインに接続され、ゲートが前記制御部により電圧が印加されるN型MOSFETと、
アノードが前記N型MOSFETのソースに接続され、カソードが前記N型MOSFETのドレインに接続された第2のダイオードと
を有する
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記1次側インダクタの一端に接続され、該一端を接地するか否かを切り替える第3のスイッチング素子と、
前記1次側インダクタの他端に接続され、該他端を接地するか否かを切り替える第4のスイッチング素子と
を備え、
前記制御部は、
前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とを交互にオン状態にする
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記電気機械エネルギー変換素子に印加する電圧の周期に応じて、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子のオンとオフとを切り替える周期を設定する
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記第1のスイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、いずれか一方のみがオン状態となり、
前記第1のスイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン状態とオフ状態との切り替え周期は、半周期の位相差があり、
前記第3のスイッチング素子は、前記第1のスイッチング素子がオン状態になる前にオフ状態になり、前記第1のスイッチング素子がオフ状態になると共にオフ状態になり、
前記第4のスイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子がオン状態になる前にオフ状態になり、前記第2のスイッチング素子がオフ状態になると共にオフ状態になる
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記電気機械エネルギー変換素子は、第1の電極と、該第1の電極に対応して設けられた第1の接地電極と、第2の電極と、該第2の電極に対応して設けられた第2の接地電極とを有し、
前記第1の接地電極と、前記第2の接地電極とは、共通接続されて、接地されている
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の振動アクチュエータ駆動装置であって、
前記トランス部は、前記電気機械エネルギー変換素子の前記第1の電極に電圧を印加する第1のトランスと、前記電気機械エネルギー変換素子の前記第2の電極に電圧を印加する第2のトランスとを備え、
前記第1のトランスと前記第2のトランスとは、それぞれ前記1次側インダクタと前記2次側インダクタとを有する
ことを特徴とする振動アクチュエータ駆動装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ駆動装置を備えたレンズ鏡筒。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ駆動装置を備えたカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−200451(P2010−200451A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41125(P2009−41125)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】