説明

排気ガス浄化装置

【課題】内燃機関の排気ガス浄化システムにおいて、車両減速時における触媒の保温効果を得ることができ、しかも排気ブレーキ必要時、排気ブレーキ力も確保することができて、触媒保温の役割と排気ブレーキ力の確保と両立可能な排気ガス浄化方法とシステムを提供する。
【解決手段】排気ガス浄化装置10を迂回するバイパス通路19の分岐部位と排気ガス浄化装置10との間又は分岐部位より上流側に第1排気絞り弁17を、バイパス通路19に排気ブレーキ弁20を配置し、通常走行の場合には、排気ガスGの大部分が排気ガス浄化装置10を流れるようにし、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、排気ブレーキ弁20を開くと共に、排気ガスGの大部分がバイパス通路19を流れるようにし、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、排気ブレーキ弁20を閉じると共に、排気ガスGの大部分がバイパス通路19を流れるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載した内燃機関で、車両の減速時に排気ガス浄化装置の触媒の冷え防止のために、排気ブレーキ弁を閉じて優れた保温効果を得ることができる排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システムに関し、より詳細には、排気系の構造を工夫して、減速時の触媒の保温と排気ブレーキの機能を両立させることができる排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載したディーゼルエンジン等の内燃機関では、内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために、NOx浄化触媒や酸化触媒等を担持した排気ガス浄化装置が備えられている。これらの触媒はその触媒の活性化温度(ライトオフ温度)以上の温度にならないと十分な浄化性能を発揮することができない。そのため、内燃機関の運転中においては、アイドル運転や減速運転のように排気温度が低下するときには、触媒の温度が低下しないようにすることが排気ガスの浄化性能を向上させるために必要となる。
【0003】
この排気温度が低くなるアイドル運転時や車両減速時において、触媒が冷えるのを抑制するために、目標吸入空気量を下げて吸気量を少なくすると共に、排気ブレーキ弁(エキゾーストブレーキスロットル)を閉弁することで、排気通路から外気中へ排出される排気ガス量を減少し、触媒から排気ガスを介して外気中へ排出される熱量を減少している。これにより、触媒に対して優れた保温効果を得ている。
【0004】
例えば、車両搭載の内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えて、連続再生型DPFの再生に関して、走行自動再生中に停車アイドル状態に移行した時でも、排気昇温手段を作動させている最中に車両の停止を検出した場合に、排気昇温手段の作動を継続すると共に、排気絞り弁(排気ブレーキ弁)を閉弁し、その後、車両の走行状態を検出した場合には、排気絞り弁を開弁して、排気昇温手段を継続することにより、効率よく排気温度を保つことができる排気ガス浄化システムの制御方法及び排気ガス浄化システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この停車アイドル状態での保温方法では、目標吸入空気量を下げているので、車両減速時においては、排気ブレーキを作動させない場合には有効であるが、排気ブレーキを作動させる必要がある場合には、排気ブレーキのための作動ガスとなる排気ガスの流量の低下によって、本来の排気ブレーキの機能としての排気ブレーキ力が減少し、必要とされている排気ブレーキ力を発揮できなくなる恐れがある。つまり、この保温方法をそのまま使用したのでは、排気ブレーキ力の確保と触媒の冷え防止との両立が難しいという問題がある。
【特許文献1】特開2005−282545公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、車両減速時における排気ガス浄化装置の触媒の保温効果を得ることができ、しかも排気ブレーキ力を必要としているときには、排気ブレーキによる排気ブレーキ力も確保することができて、触媒保温の役割と排気ブレーキ力の確保と両立させることができる排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するための排気ガス浄化方法は、内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えると共に、前記排気ガス浄化装置を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路の分岐部位と前記排気ガス浄化装置との間又は前記分岐部位より上流側に第1排気絞り弁を、前記バイパス通路に排気ブレーキ弁を配置した排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、通常走行の場合には、排気ガスの大部分が前記気ガス浄化装置を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、前記排気ブレーキ弁を開くと共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、前記排気ブレーキ弁を閉じると共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作することを特徴とする方法である。
【0008】
この方法によれば、通常走行の場合には、排気ガスの大部分は排気絞り弁のある排気ガス浄化装置を通過して浄化される。減速時では、排気ガスは排気ガス浄化装置を通過せずに排気ブレーキ弁のあるバイパス側を流れるが、減速時は燃料が噴射されないため燃焼ガスが排出されないので、排気ガス対策上での問題は発生しない。また、排気ガス浄化装置側は排気絞り弁が閉じて排気ガスが流れないので、触媒保温効果を得ることができる。更に、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、バイパス通路の排気ブレーキ弁を開とするので排気ブレーキ力は発生せず、ドライバビリティ(乗り心地性)への影響は殆ど無い。一方、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、排気ブレーキ弁を閉じているので、排気ブレーキ力を得ることができる。
【0009】
なお、排気絞り弁は、通常、排気通路を閉じて、排気ガスの流量を下げて触媒温度をあげるために用いられ、排気ブレーキ弁は、車両の減速時に排気通路を閉じてポンピングロスを増やすことにより排気ブレーキ力を増やすために用いられる。
【0010】
上記の排気ガス浄化方法で、更に、前記排気ガス浄化装置が排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタ装置を備えると共に、前記バイパス通路の合流後の前記排気通路に第2排気絞り弁を配置して構成された排気ガス浄化システムにおいて、アイドル運転でかつ前記フィルタ装置の再生の場合には、前記第2排気絞り弁を全閉すると共に、排気ガスが前記排気ガス浄化装置側を流れるように弁操作する。
【0011】
この方法によれば、排気ガスは排気ガス浄化装置側を流れるが、排気通路に合流後の第2排気絞り弁が閉じているのでフィルタ装置を通過する排気ガスの流量をフィルタ装置の再生に必要な最小限の流量に減少でき、フィルタ装置の再生時には効率よく排気ガスの温度を高めてフィルタ装置に捕集された粒子状物質を燃焼除去でき、効率よくフィルタ装置を再生できる。
【0012】
そして、上記のような目的を達成するための排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えると共に、前記排気ガス浄化装置を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路の分岐部位と前記排気ガス浄化装置との間又は前記分岐部位より上流側に第1排気絞り弁を、前記バイパス通路に排気ブレーキ弁を配置した排気ガス浄化システムにおいて、通常走行の場合には、排気ガスの大部分が前記排気ガス浄化装置を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、前記排気ブレーキ弁を開くと共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、前記排気ブレーキ弁を閉じると共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作する制御装置を備えて構成される。
【0013】
この構成によれば、通常走行の場合には、排気ガスの大部分は排気絞り弁のある排気ガス浄化装置を通過して浄化される。減速時には、排気ガス浄化装置側は排気絞り弁が閉じて排気ガスが流れないので、触媒保温効果を得ることができる。更に、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、バイパス通路の排気ブレーキ弁を開とするので排気ブレーキ力は発生せず、ドライバビリティ(乗り心地性)への影響は殆ど無い。一方、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、排気ブレーキ弁を閉じているので、排気ブレーキ力を得ることができる。
【0014】
また、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記第1排気絞り弁と前記排気ブレーキ弁の両方を全閉したときの、前記第1排気絞り弁における排気ガスの流量が前記排気ブレーキ弁における排気ガスの流量よりも小さくなるように形成すると、減速時に排気ブレーキ弁と第1排気絞り弁の両方を全閉したときに、排気ガスの多くは圧力損失の少ない排気ブレーキ弁側、即ち、バイパス側を流れるようになり、排気ガス浄化装置側には排気ガスが流れ難くなるので、より触媒保温効果を得ることができるようになる。
【0015】
また、上記の排気ガス上かシステムにおいて、更に、前記排気ガス浄化装置が排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタ装置を備え、前記バイパス通路の合流後の前記排気通路に第2排気絞り弁を配置すると共に、前記制御装置が、アイドル運転でかつ前記フィルタ装置の再生のときには、前記第2排気絞り弁を全閉すると共に、排気ガスが前記排気ガス浄化装置側を流れるように弁操作する制御を行うように構成する。
【0016】
この構成によれば、排気ガスは排気ガス浄化装置側を流れるが、排気通路に合流後の第2排気絞り弁が閉じているのでフィルタ装置を通過する排気ガスの流量をフィルタ装置の再生に必要な最小限の流量に減少でき、フィルタ装置の再生時には効率よく排気ガスの温度を高めてフィルタ装置に捕集された粒子状物質を燃焼除去でき、効率よくフィルタ装置を再生できる。
【0017】
この排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムは、酸化触媒(DOC)、三元触媒(TWC)、NOx吸蔵還元型触媒等のリーンNOx低減触媒(LNT)、選択還元型触媒(SCR)、触媒付きDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)等の排気ガス浄化装置における減速時の保温が必要な排気ガス浄化システムにとって、非常に有効となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムによれば、内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、車両減速時における排気ガス浄化装置の触媒の保温効果を得ることができ、しかも排気ブレーキ力を必要としているときには、排気ブレーキによる排気ブレーキ力も確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る第1の実施の形態の排気ガス浄化システム1の構成を示す。この排気ガス浄化システム1は、エンジン(内燃機関)10の排気通路16に排気ガス浄化装置18を備えて構成される。
【0020】
この排気ガス浄化システム1のエンジン10は、吸気マニホールド10aに接続される吸気通路11に吸入吸気量センサ12(MAFセンサ)とターボチャージャ13のコンプレッサ13bとインタークーラ14と吸気弁(インテークスロットル)15を備えている。この吸気弁15は、吸気通路11に吸入される新気Aの流量を調整する。
【0021】
さらに、排気マニホールド10bに接続される排気通路16に、ターボチャージャ13のタービン13bと、第1排気絞り弁17と排気ガス浄化装置18を備えている。この第1排気絞り弁17と排気ガス浄化装置18を迂回するバイパス通路19が設けられ、このバイパス通路19はサイレンサー(図示しない)の上流側で排気通路16に合流している。このバイパス通路19のサイレンサーよりも上流側に排気ブレーキ弁17が配設されている。
【0022】
また、この第1排気絞り弁17と排気ブレーキ弁20の両方を全閉したときの、第1排気絞り弁17における排気ガスGの流量が排気ブレーキ弁20における排気ガスGの流量よりも小さくなるように形成される。また、バイパス通路19が合流した下流側の排気通路16に第2排気絞り弁21が配設されている。
【0023】
第1及び第2排気絞り弁17、21も、排気ブレーキ弁20も通過する排気ガスの流量を調整するが、通常、第1及び第2排気絞り弁17、21は、アイドル時のフィルタ装置18bの再生制御で排気通路16を閉じて排気ガスの流量を少なくして排気ガスの温度を上げて触媒温度をあげるために使用される。一方、排気ブレーキ弁20は車両の減速時に排気通路16を閉じてポンピングロスを増加して排気ブレーキ力を増やすために使用される。
【0024】
更に、排気マニホールド10bと吸気マニホールド10aを接続するEGR通路22には、EGRクーラー23とEGR弁24を備えている。このEGR弁24はEGR通路22を流れるEGRガスGeの流量を調整する。
【0025】
排気ガス浄化装置18は、触媒装置18aとフィルタ装置18bで構成されるが、排気ガスGの浄化性能を維持するために、担持している触媒の温度を触媒活性化温度以上のある程度の温度まで上昇させる必要がある。
【0026】
この触媒装置18aは、例えば、三元触媒装置(TWC)、酸化触媒装置(DOC)、NOx吸蔵還元型触媒装置(LNT)等やこれらの組み合わせで構成される。酸化触媒装置の場合には、多孔質のセラミックのハニカム構造の担持体に、白金等の酸化触媒を担持させて形成される。この酸化触媒は、排気ガス中のHCやCOを酸化して排気ガスを浄化する役割と、NOx吸蔵還元型触媒3のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生の際にNOxの還元剤として供給されるHCの一部を酸化して排気ガスの温度を昇温する役割とを持っている。
【0027】
また、触媒装置18aが,NOx吸蔵還元型触媒装置の場合には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を貴金属と共に担持して形成され、酸素過剰な排気ガス中のNOを酸化して硝酸塩として触媒上に吸着させて、NOxを浄化する。このNOx吸蔵還元型触媒は、排気ガスがリーン空燃比では、NOxを吸蔵し、リッチ空燃比では、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを還元雰囲気中で還元して、NOxを低減する。
フィルタ装置18bは、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を備えた触媒付きDPFで構成される。この触媒付DPFは、多孔質のセラミックのハニカムのチャンネルの入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタ等で形成される。このフィルタの部分に白金や酸化セリウム等の触媒を担持する。この触媒付きDPFにより、排気ガス中のPMは、多孔質のセラミックの壁で捕集される。
【0028】
更に、排気ガスGの温度やNOxや酸素濃度等を測定するために、排気通路16や排気ガス浄化装置18に温度センサ(図示しない)やNOx及びλ(空気過剰率)センサ(図示しない)が配設されている。これらのセンサ等の測定値とエンジン10の運転制御に必要なデータを入力してエンジンの運転状態と排気ガス浄化システム1の排気ガス浄化制御や再生制御を行う制御装置(図示しない)が設けられている。この制御装置はECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれる制御装置であり、本発明の排気ガス浄化方法に関する制御では、エンジン10からのデータと吸入空気量センサ12からの検出値に基づいて、吸気弁15、第1排気絞り弁17、排気ブレーキ弁20、第2排気絞り弁21、EGR弁24を制御する。
【0029】
この構成により、エンジン10の排気通路16に排気ガス浄化装置18を備えると共に、排気ガス浄化装置18を迂回するバイパス通路19を設け、このバイパス通路19の分岐部位と排気ガス浄化装置との間に、排気絞り弁(エキゾーストスロットル)17を配置し、バイパス通路19に排気ブレーキ弁(エキゾーストブレーキ)20を配置した構成となる。
【0030】
次に、本発明の排気ガス浄化方法について説明する。この排気ガス浄化方法では、通常走行の場合には、第1排気絞り弁17を全開すると共に、排気ブレーキ弁20を全閉し、第2排気絞り弁21を全開にする弁操作をして、排気ガスの大部分が排気ガス浄化装置を流れるようにする。これにより、排気ガスGの大部分は第1排気絞り弁17のある排気ガス浄化装置18を通過して浄化される。なお、排気ブレーキ弁20から排気ガスGの漏れがある場合は、追加で流量を略完全に遮断する弁を設置してもよい。
【0031】
また、車両の減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合、即ち、運転席に設けられた排気ブレーキの作動スイッチがOFFの場合には、第1排気絞り弁17を全閉すると共に、排気ブレーキ弁20を全開し、第2排気絞り弁21を全開にする弁操作をして、排気ガスの大部分がバイパス通路を流れるようにする。
【0032】
これにより、排気ガスGは排気ガス浄化装置18を通過せずに排気ブレーキ弁20のあるバイパス側19を流れるが、減速時は燃料が噴射されないため燃焼ガスが排出されないので、排気ガス対策上での問題は発生しない。また、排気ガス浄化装置18側は第1排気絞り弁17が閉じて排気ガスGが流れないので、触媒保温効果を得ることができる。更に、バイパス通路19の排気ブレーキ弁20を開とするので排気ブレーキ力は発生せず、ドライバビリティ(乗り心地性)への影響は殆ど無い。
【0033】
また、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合、即ち、運転席に設けられた排気ブレーキの作動スイッチがONの場合には、第1の排気絞り弁17を全閉すると共に、排気ブレーキ弁20を全閉し、第2排気絞り弁21を全開する弁操作をして、排気ガスGの大部分がバイパス通路19を流れるようにする。
【0034】
排気ガスGは排気ガス浄化装置18を通過せずに、排気ガスGの多くは圧力損失の少ない排気ブレーキ弁20のあるバイパス側19を流れるが、減速時は燃料が噴射されないため燃焼ガスが排出されないので、排気ガス対策上での問題は発生しない。また、排気ガス浄化装置18側は第1排気絞り弁17が閉じて排気ガスGが流れないので、触媒保温効果を得ることができる。更に、排気ブレーキ弁20を閉じているので、排気ブレーキ力を得ることができる。
【0035】
更に、アイドル運転でかつフィルタ装置18bの再生制御のときには、第1排気絞り弁17を全閉し、排気ブレーキ弁20を全開すると共に、第2排気絞り弁21を全閉する弁操作をして、排気ガスGが排気ガス浄化装置18側を流れるように弁操作する。
【0036】
これにより、排気ガスGは排気ガス浄化装置19側を流れるが、排気通路16の合流後の第2排気絞り弁21が閉じているのでフィルタ装置18bを通過する排気ガスGの流量をフィルタ装置18bの再生に必要な最小限の流量に減少でき、フィルタ装置18bの再生時には効率よく排気ガスGの温度を高めてフィルタ装置18bに捕集された粒子状物質(PM)を燃焼除去でき、効率よくフィルタ装置18bを再生できる。
【0037】
次に、図2に示すような、本発明に係る第2の実施の形態の排気ガス浄化システム1について説明する。この排気ガス浄化システム1では、エンジン(内燃機関)10の排気通路16に排気ガス浄化装置18Aを備えて構成される。
【0038】
この第2の実施の形態の排気ガス浄化装置18Aは、第1の実施の形態の排気ガス浄化装置18が触媒装置18aとフィルタ装置18bとが直線状態で配置されているストレート触媒キャニングタイプであるのに対して、U字形状に配置されている折り返し触媒キャニングタイプである点が異なる。この構成とすることにより、第2の実施の形態のバイパス通路19Aは、第1の実施の形態のバイパス通路19に比べて著しく短くすることができる。
【0039】
この第2の実施の形態の第1排気絞り弁17A、排気ブレーキ弁20A、第2排気絞り弁21Aの位置関係は、第1の実施の形態の第1排気絞り弁17、排気ブレーキ弁20、第2排気絞り弁21の位置関係と同じであり、この第2の実施の形態における排気ガス浄化方法は、第1の実施の形態における排気ガス浄化方法と同じである。
【0040】
次に、図3に示すような、本発明に係る第3の実施の形態の排気ガス浄化システム1について説明する。この排気ガス浄化システム1では、エンジン(内燃機関)10の排気通路16に排気ガス浄化装置18Bを備えて構成される。
【0041】
この第3の実施の形態の排気ガス浄化装置18Bは、第2の実施の形態の排気ガス浄化装置18Aと同じであるが、第1排気絞り弁17Bが排気通路16とバイパス通路19Bとの分岐部位よりも上流側に配設される点が、第1の実施の形態で、バイパス通路19Aの分岐部位と排気ガス浄化装置18Aとの間に第1排気絞り弁17Aが配設されている点が異なる。この構成とすることにより、第3の実施の形態では、第1排気絞り弁17Bの配設が容易となる。
【0042】
この第3の実施の形態の第1排気絞り弁17Bの位置関係は、第1の実施の形態の第1排気絞り弁17の位置関係、第2の実施の形態の第1の排気絞り弁17Aの位置関係と異なるため、排気ガスを流すための弁操作がと第3実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と異なる。
【0043】
この第3の実施の形態の排気ガス浄化方法では、通常走行の場合には、第1排気絞り弁17Bを全閉すると共に、排気ブレーキ弁20Bを全開し、第2排気絞り弁21Bを全開にする弁操作をして、排気ガスの大部分が排気ガス浄化装置を流れるようにする。
【0044】
また、車両の減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、第1排気絞り弁17Bを全開すると共に、排気ブレーキ弁20Bを全開し、第2排気絞り弁21Bを全開にする弁操作をして、排気ガスの大部分がバイパス通路を流れるようにする。また、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、第1の排気絞り弁17を全開すると共に、排気ブレーキ弁20を全閉し、第2排気絞り弁21を全開する弁操作をして、排気ガスGの大部分がバイパス通路19を流れるようにする。
【0045】
更に、アイドル運転でかつフィルタ装置18bの再生制御のときには、第1排気絞り弁17Bを全閉し、排気ブレーキ弁20Bを全開すると共に、第2排気絞り弁21Bを全閉する弁操作をして、排気ガスGが排気ガス浄化装置18側を流れるように弁操作する。
これらの弁操作により、第1及び第2の実施の形態の排気ガスGの流れを実現できるので、第1及び第2の実施の形態の排気ガス浄化方法と同じ作用効果を得ることができる。
【0046】
上記の構成の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システム1によれば、通常走行の場合には、排気ガスGの大部分が排気ガス浄化装置18、18A、18Aを流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、排気ブレーキ弁20、20A、20Bを開くと共に、排気ガスGの大部分がバイパス通路19を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、排気ブレーキ弁20、20A、20Bを閉じると共に、排気ガスGの大部分がバイパス通路19、19A、19Bを流れるように弁操作することができる。
【0047】
従って、エンジン10の排気通路16に排気ガス浄化装置18、18A、18Aを備えた排気ガス浄化システム1において、車両減速時における排気ガス浄化装置18、18A、18Aの触媒の保温効果を得ることができ、しかも排気ブレーキ力を必要としているときには、排気ブレーキによる排気ブレーキ力も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る第2の実施の形態の排気ガス浄化装置の周囲の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る第3の実施の形態の排気ガス浄化装置の周囲の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 排気ガス浄化システム
10 エンジン(内燃機関)
16 排気通路
17、17A、17B 第1排気絞り弁
18、18A、18A 排気ガス浄化装置
18a 触媒装置
18b フィルタ装置
19、19A、19B バイパス通路
20、20A、20B 排気ブレーキ弁
21、21A、21B 第2排気絞り弁
G 排気ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えると共に、前記排気ガス浄化装置を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路の分岐部位と前記排気ガス浄化装置との間又は前記分岐部位より上流側に第1排気絞り弁を、前記バイパス通路に排気ブレーキ弁を配置した排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、
通常走行の場合には、排気ガスの大部分が前記気ガス浄化装置を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、前記排気ブレーキ弁を開くと共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、前記排気ブレーキ弁を閉じると共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作することを特徴とする排気ガス浄化方法。
【請求項2】
更に、前記排気ガス浄化装置が排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタ装置を備えると共に、前記バイパス通路の合流後の前記排気通路に第2排気絞り弁を配置して構成された排気ガス浄化システムにおいて、アイドル運転でかつ前記フィルタ装置の再生の場合には、前記第2排気絞り弁を全閉すると共に、排気ガスが前記排気ガス浄化装置側を流れるように弁操作することを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化方法。
【請求項3】
内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えると共に、前記排気ガス浄化装置を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路の分岐部位と前記排気ガス浄化装置との間又は前記分岐部位より上流側に第1排気絞り弁を、前記バイパス通路に排気ブレーキ弁を配置した排気ガス浄化システムにおいて、
通常走行の場合には、排気ガスの大部分が前記排気ガス浄化装置を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要としない場合には、前記排気ブレーキ弁を開くと共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作し、減速時で排気ブレーキ力を必要とする場合には、前記排気ブレーキ弁を閉じると共に、排気ガスの大部分が前記バイパス通路を流れるように弁操作する制御装置を備えたことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項4】
前記第1排気絞り弁と前記排気ブレーキ弁の両方を全閉したときの、前記第1排気絞り弁における排気ガスの流量が前記排気ブレーキ弁における排気ガスの流量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする請求項3又は4記載の排気ガス浄化システム。
【請求項5】
更に、前記排気ガス浄化装置が排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタ装置を備え、前記バイパス通路の合流後の前記排気通路に第2排気絞り弁を配置すると共に、前記制御装置が、アイドル運転でかつ前記フィルタ装置の再生のときには、前記第2排気絞り弁を全閉すると共に、排気ガスが前記排気ガス浄化装置側を流れるように弁操作する制御を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の排気ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−112207(P2010−112207A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283643(P2008−283643)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】