説明

排気浄化触媒

【課題】低温を含む広い範囲の温度でCOを効率的に浄化し得る排気浄化触媒を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気流路に配置されて排気中のCOを酸化して浄化するCO酸化触媒と、該CO酸化触媒に対して排気の流れ方向の上流側に、上流から排気中のHCを吸着するHC吸着材と、排気中のNOを吸着するNO吸着材とを備え、該CO酸化触媒がPdとCeOとを有し、該Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化触媒に関し、さらに詳しくは特定の構造を有することにより低温でCOを効率的に酸化し得る排気浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排気浄化は環境上の重要課題であり、大気汚染防止の観点から規制が強化されている。自動車等の内燃機関その他の燃焼機関から生じる排気中の有害成分を除去するために、排気浄化触媒を用いた処理が行われている。
例えば、エンジンから排出される排気は触媒コンバーターにより浄化されて大気中に放出される。しかし、エンジン始動直後は低温のため、触媒コンバーター内の触媒が不活性状態であり、排気が十分浄化されない。
一方、一般に排気浄化に用いられる触媒には担体上にAg、PtやPdなどの貴金属を担持したものが用いられており、これらの貴金属が高価であって資源的にも問題があることからその使用量を低減することが必要である。
このため、触媒について種々の検討がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、Pd及びAgの少なくとも一方をイオン交換担持したゼオライトよりなるHC吸着材と、該HC吸着材の排気下流側に配置され、Fe、Cu及びCoから選ばれる少なくとも一種をイオン交換担持したゼオライトよりなるNO吸着材と、該NO吸着材の排気下流側に配置され、セリアにPdを担持してなるCO吸着材よりなる排気浄化装置が記載されている。そして、具体例としてHCとしてのC、NO、CO、HOおよび残部がNのモデルガスを室温(25℃)で20秒間流通させて吸着率を測定して高い吸着率が得られた例が示されている。しかし、酸素共存下で短時間ではなく連続的にガスを流通させた場合のCO浄化率は不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−160168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、公知の特許文献に記載された排気浄化装置では、100℃未満の温度を含む広い範囲の温度で良好なCO浄化率は達成されておらず、低温でCOを効率的に浄化し得る排気浄化触媒が求められている。
このため、本発明者等は、低温を含む広い範囲の温度でCO酸化活性を示し得るCO酸化触媒について特許出願(特願2010−003221)を行った。しかし、この出願の発明の、CO酸化触媒がPdとCeOとを有し、Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%の範囲内である内燃機関の排気浄化装置によっても、実際の組成に近い排気に適用するとCO浄化性能が十分でないことが明らかになった。
従って、本発明の目的は、低温を含む広い範囲の温度でCOを効率的に浄化し得る排気浄化触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内燃機関の排気流路に配置されて排気中のCOを酸化して浄化するCO酸化触媒と、該CO酸化触媒に対して排気の流れ方向の上流側に、上流から排気中のHCを吸着するHC吸着材と、排気中のNOを吸着するNO吸着材とを備え、該CO酸化触媒がPdとCeOとを有し、該Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置に関する。
本明細書において、「低温を含む広い範囲の温度」とは、50〜300℃の範囲の温度をいう。また、本発明において「COを効率的に浄化し得る」とは、従来公知のCO酸化触媒に比べて同等以上のCO浄化率を示し得ることをいう。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低温を含む広い範囲の温度でCOを効率的に浄化し得る排気浄化触媒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の1実施態様の排気浄化触媒の模式図である。
【図2】図2は、本発明の範囲外の排気浄化触媒の模式図である。
【図3】図3は、本発明の範囲外の他の排気浄化触媒の模式図である。
【図4】図4は、本発明の1実施態様の排気浄化触媒の性能を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の範囲外の排気浄化触媒の性能を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明で用いるCO酸化触媒の排気組成によるCO浄化性能への影響を示すグラフである。
【図7】図7は、特定のガス組成における各種NO吸着材によるNO吸着性能を比較したグラフである。
【図8】図8は、他のガス組成における各種NO吸着材によるNO吸着性能を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願においては、内燃機関の排気流路に配置されて排気中のCOを酸化して浄化するCO酸化触媒としてPdとCeOとを有し、該Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%、好適には0.1〜2.5質量%である触媒を用い、該CO酸化触媒に対して排気の流れ方向の上流側に、上流から排気中のHCを吸着するHC吸着材と、その下流側で且つ前記CO酸化触媒の上流側に排気中のNOを吸着するNO吸着材とを備えた排気浄化装置であることが必要であり、これによって、実際の排気組成に近い排気に適用して十分なCO浄化性能を得ることが可能となる。
【0010】
以下、本願の発明について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の内燃機関の排気浄化装置1は、内燃機関の排気流路10に配置されて排気中のCOを酸化して浄化するPdとCeOとを有し該Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%の範囲内であるCO酸化触媒2と、該CO酸化触媒2に対して排気の流れ方向11の上流側に、上流から排気中のHCを吸着するHC吸着材3と、排気中のNOを吸着するNO吸着材4とを備えている。
【0011】
本発明の実施態様の排気浄化装置によれば、図4に示すように、前記CO酸化触媒のみからなる図2に示す排気浄化装置では、排気組成がCO、O、Nのモデルガス組成では曲線:1に示すように100℃未満の低温を含む広い範囲の温度で高いCO浄化率を示すが、排気組成がCO、O、N、HC、HO、Nの実際の排気を模した共存系では曲線:2に示すように100℃以下でのCO浄化率が大幅に低下するのに対して、前記共存系でも曲線3に示すように100℃未満の低温を含む広い範囲の温度で高いCO浄化率を示し得ることが確認される。
【0012】
しかし、前記CO酸化触媒を用いてもHC吸着材とNO吸着材との位置を変えた図3に示す排気浄化装置によれば、図5に示すように、排気組成がCO、O、N、HC、HO、Nの実際の排気を模した共存系では曲線:4に示すように100℃以下でのCO浄化率が大幅に低いままである。
以上の図4と図5とから、本発明の排気浄化装置においては前記CO酸化触媒を用いることと、このCO酸化触媒に対して排気の流れ方向の上流側にHC吸着材を、そしてCO酸化触媒の上流側でHC吸着材の下流側にNO吸着材を配置することが必要であることが理解される。
【0013】
本発明において用いられる前記CO酸化触媒は、図6に示すように、ガスの組成によってCO浄化率が大きく影響を受け、曲線5のCO+O系の影響が最も少なく、曲線6のCO共存系(CO+O+CO)、曲線7のC共存系(CO+O+C)、曲線8のNO共存系(CO+O+NO)、曲線9のHO共存系(CO+O+HO)そして曲線10の全成分共存系(CO+O+CO+C+NO+HO)の順に影響が大きくなり、CO浄化率が低下していることが理解される。
【0014】
本発明において用いられるNO吸着材は、図7および図8に示すように、50℃の低温では、吸着材を構成する物質の種類とガス組成によってNO吸着量が影響を受け、棒1のMn−Zr−OのNO吸着材ではHO、CO共存系で235mg/LのNO吸着量であったものがC、HO、CO共存系では106mg/LのNO吸着量に低下し、棒2のAg/βゼオライトのNO吸着材ではHO、CO共存系で132mg/LのNO吸着量がC、HO、CO共存系では52mg/LのNO吸着量に低下し、棒3のAg/アルミナのNO吸着材ではHO、CO共存系で94mg/LのNO吸着量がC、HO、CO共存系では0mg/LのNO吸着量に低下し、棒4のPt/アルミナのNO吸着材ではHO、CO共存系で15mg/LのNO吸着量がC、HO、CO共存系では0mg/LのNO吸着量に低下していることが理解される。
図7および図8から、本発明において用いられるNO吸着材として、Mn−Zr−OのNO吸着材又はAg/βゼオライトのNO吸着材が好適であることが理解される。
【0015】
本発明において用いられる前記CO酸化触媒は、Pd担持量が0.01〜5.0質量%Pd/CeO、特に0.1〜2.5質量%Pd/CeOがとなる割合で、Pd塩をCeO担体粒子に担持させ、好適には酸化性雰囲気で加熱処理、特に850〜950℃の範囲の温度で加熱処理することによって得ることができる。
前記のPd塩のCeO担体粒子への担持は、例えば、それ自体公知の方法によって作成したCeO担体粒子とPdを与え得るPd塩とから、例えば含浸担持法によってCeO担体粒子にPdを担持し得る。
また、CeO担体粒子は、CeOの前駆体、例えば酸化物を与えるCe水酸化物又はCe塩の水和物の水溶液から沈殿物を分離取得し、300〜500℃の温度範囲で加熱処理することによって得ることができる。
前記の酸化性雰囲気としては空気又はOを1〜25%含むガス雰囲気が挙げられ、前記の加熱処理の時間としては例えば2〜100時間の範囲が挙げられる。
【0016】
前記のPd塩としては、Pdの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、アンミン錯体(塩)、好適には塩化物、硝酸塩、アンミン塩を用い得るが、Pd粒子の粒子径はおおよそ(大)塩化物>硝酸塩>アンミン塩(小)の順となる。従って、求めるPd粒子の粒径に対して適した塩を選択し得る。
前記のPd塩は水溶液にして用いられ得るが、Pd塩水溶液中のPdの濃度で1×10−4mol/L〜1×10−3mol/L程度であり得る。
【0017】
前記の加熱処理したCeO担持PdのCO酸化触媒は、基材にCeO担持PdのCO酸化触媒をコートしてCO酸化触媒層を形成して用いることができる。
前記のCO酸化触媒層は、粉末状のCeO担持Pdと水とからコート用スラリーを得て、スラリーを基材、例えばハニカム基材に投入し、下部を吸引することによってコートし、乾燥、焼成することによって触媒基材に形成し得る。前記のCO酸化触媒層のコート量はスラリーの粘度や固形分量、スラリー投入量を調整することによって行い得る。CO酸化触媒層のコート量は300g/L以上が適当である。
本発明のCO酸化触媒は、低温〜高温の広い範囲の温度でCOを酸化して無害なCOに転換するCO酸化活性を示し得る。
【0018】
本発明における前記NO吸着材としては、ZrO、βゼオライト、スピネル、MgAl、Al等の塩基性を持つもの又は酸性および塩基性の両性を持つもので、低温条件下でNOを吸着し高温条件下でNOを脱離するものが使用できる。例えばZrOは、室温〜350℃の温度条件下でNOを吸着し、350℃〜400℃の温度条件下でNOを脱離する特性をもつ。
また、NO吸着材にLa、K、Caの少なくとも一種を添加してもよい。
また、NO吸着材としては、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、希土類元素の酸化物、Co、NiO、MnO、Fe、ZrOなどの遷移金属酸化物などを単独であるいは複数種類組み合わせてNO吸着材とすることができる。またアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライトなどの多孔質酸化物担体にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれる金属元素を担持したものをNO吸着材とすることもできる。
【0019】
特に、多孔質酸化物は、アルカリ金属やアルカリ土類金属あるいは希土類元素をイオン交換担持してNO吸着材とすれば、吸着されたNOが放出される温度が低くなり、低温から中温域の排気温度であってもNOの吸着・放出の繰り返しが可能となる。また、ZrOにアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加したものも、優れたNO吸着能を示す。
さらに、これらに、Ag、Pt、Rh、Pdなどの貴金属、あるいはCo、NiO、MnO、Feなどの遷移金属酸化物を担持すると、NO吸着能がさらに向上する。これは、貴金属やCo、NiO、MnO、Feなどによって酸化活性が発現し、排気中のNOがNOに酸化されることによってNO吸着量が増加するためと考えられている。
【0020】
前記のゼオライトは、分子の大きさに匹敵する細孔を有し、主成分であるAlの負電荷を中和するために陽イオンを含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素をイオン交換担持することができ、イオン交換担持された金属元素は、ゼオライト上にきわめて高分散に担持されているので活性がきわめて高く、低温域におけるNOの酸化活性が向上すると考えられる。
前記ゼオライトとしては、βゼオライト、フェリエライト、ZSM−5、モルデナイト、Y型ゼオライトなどのゼオライトなどを用いることができる。
特に、本発明においては、NO吸着材として、Mn−Zr−OのNO吸着材又はAg/βゼオライトが好適である。
【0021】
また、本発明における記HC吸着材としては、モルデナイト、ZSM−5、Y型ゼオライト、フェリエライト又はβゼオライトのいずれか1つを挙げることができる。
前記HC吸着材は、貴金属、例えばAg、Pt、Rh又はPdの少なくとも1つを担持したものであり得る。
【0022】
本発明の排気浄化触媒は、上記の構成を有することによって低温を含む広い範囲の温度でCOを効率的に浄化し得る。しかし、前記効果を低減しない限り、内燃機関の排気浄化触媒に適用し得る任意の他の機能を有する部材を加えることが可能であり、例えば任意の位置に排気中の排気中の粒子状物質を捕集する粒子フィルタ(DPF)を加え得る。
本発明の排気浄化触媒によれば、自動車のエンジンを含めて低温での運転時にCOを発生し得る全ての内燃機関に適用し得る。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例で、排気浄化触媒のCO浄化率測定は以下に示す装置を測定した。
【0024】
1.装置:モデルガス評価装置
2.測定条件
モデルガス組成(vol%)
1)CO:800ppm、O:10%、 N: 残部
2)CO:800ppm、O:10%、 HC(C):400ppm、NO :100ppm、HO:3%、CO:10%、N:残部
ガス流量:10mL/分
【0025】
以下の各例で用いた以下のCO酸化触媒、HC吸着材およびNO吸着材を用いた。
1)CO酸化触媒
CeO(ローディア製、比表面積157m/g)に対し、Pd(NOを用いて含浸担持法によりPdを担持した。Pd担持量は0.4質量%Pd/CeOであった。これを空気中600℃で3時間焼成し、さらにこれを10%HO/空気中900℃で25時間加熱処理を行って、CO酸化触媒を得た。
2)HC吸着材
常法によりAgをフェリエライト(東ソー社製)に担持させた、Ag/フェリエライト(Ag担持量:11質量%)を用いた。
3)NO吸着材
Mn−Zr−O(組成比:1:1:2)(硝酸Mnと硝酸Znより共沈法で作成したもの)に常法によりAgをβゼオライト(東ソー社製)に担持させた、Ag/βゼオライト(Ag担持量:11質量%)を用いた。
【0026】
実施例1
上記のCO浄化率測定用装置に、図1に模式図を示す構成となるように上記のCO酸化触媒、HC吸着材およびNO吸着材を装着して、排気浄化触媒を作製した。
この排気浄化触媒を用いて、上記のモデルガス組成2)によって、50〜350℃以上の温度まで一定速度で温度上昇(昇温速度:20℃/分)させて、各温度におけるCO浄化率(%)を測定した。
得られた結果を他の結果とまとめて図4の曲線3に示す。
【0027】
比較例1
上記のCO浄化率測定用装置に、図2に模式図を示す構成となるように上記のCO酸化触媒を装着して、排気浄化触媒を作製した。
この排気浄化触媒を用いて、上記のモデルガス組成1)について、50〜350℃以上の温度まで一定速度で温度上昇(昇温速度:20℃/分)させて、各温度におけるCO浄化率(%)を測定した。得られた結果を他の結果とまとめて図4および図5の曲線1に示す。
また、この排気浄化触媒を用いて、上記のモデルガス組成2)について、50〜350℃以上の温度まで一定速度で温度上昇(昇温速度:20℃/分)させて、各温度におけるCO浄化率(%)を測定した。得られた結果を他の結果とまとめて図4および図5の曲線2に示す。
【0028】
比較例2
上記のCO浄化率測定用装置に、図3に模式図を示す構成となるように上記のCO酸化触媒、HC吸着材およびNO吸着材を装着して、排気浄化触媒を作製した。
この排気浄化触媒を用いて、上記のモデルガス組成2)によって、50〜350℃以上の温度まで一定速度で温度上昇(昇温速度:20℃/分)させて、各温度におけるCO浄化率(%)を測定した。
得られた結果を他の結果とまとめて図5の曲線4に示す。
【0029】
参考例1
上記のCO浄化率測定用装置に、図2に模式図を示す構成となるように上記のCO酸化触媒を装着して、排気浄化触媒を作製した。
この気浄化触媒を用いて、下記の各種モデルガス組成について、50〜350℃以上の温度まで一定速度で温度上昇(昇温速度:20℃/分)させて、各温度におけるCO浄化率(%)を測定した。
モデルガス組成(vol%)
5)CO:800ppm、O:10%
6)CO:800ppm、O:10%、CO:10%
7)CO:800ppm、O:10%、C:400ppm
8)CO:800ppm、O:10%、NO:100ppm
9)CO:800ppm、O:10%、HO:3%
10)CO:800ppm、O:10%、 CO:10%、C:400p pm、NO:100ppm、HO:3%
ガス流量:10l/min
得られた結果を図6の曲線5〜10(各曲線番号は各ガス組成番号に対応している。)に示す。
【0030】
参考例2
下記の各NO吸着材を用いて、HO、CO共存系(組成比=3:10)、C、HO、CO共存系(組成比=4:300:1000)の2種類のモデルガス組成のガスを供給して、各々吸着温度50℃におけるNO吸着量(mg/1l当り200gコート)を測定した。
Mn−Zr−O(組成比:1:1:2)(硝酸Mnと硝酸Znとから共沈法により作成した。)
Ag/βゼオライト(Ag担持量:11質量%)
Ag/アルミナ(Ag担持量:11質量%)
Pt/アルミナ(Pt担持量:2質量%)
測定結果を図7および図8に示す。
【0031】
以上の図4および図7〜8の結果から、本発明においては前記の図1に示すCO酸化触媒とHC吸着材とNO吸着材との配置にすることが必要であり、前記の各構成とNO吸着材としてのMn−Zr−O又はAg/βゼオライトとを組み合わせることが特に好適であることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、低温を含む広い範囲の温度でCOを効率的に浄化し得るので、内燃機関からの排気から効率よくCOを除去し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気流路に配置されて排気中のCOを酸化して浄化するCO酸化触媒と、該CO酸化触媒に対して排気の流れ方向の上流側に、上流から排気中のHCを吸着するHC吸着材と、排気中のNOを吸着するNO吸着材とを備え、該CO酸化触媒がPdとCeOとを有し、該Pdの担持量がCeOに対して0.01〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記CO酸化触媒のPdの担持量がCeOに対して0.1〜2.5質量%の範囲内である請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記NO吸着材が、Mn−Zr−OのNO吸着材又はAg/βゼオライトである請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記HC吸着材が、モルデナイト、ZSM−5、Y型ゼオライト、フェリエライト又はβゼオライトのいずれか1つを含む請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項5】
前記HC吸着材が、貴金属を担持したものである請求項1又は2に記載の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−212625(P2011−212625A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85266(P2010−85266)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】