説明

掘削・盛土情報管理装置

【課題】掘削・盛土情報管理装置において、運搬車両の運搬情報を施工管理サーバに取得させるためのコストの低減と人材教育管理の容易化を可能とし、かつ掘削区画での作業効率の向上を可能とする。
【解決手段】バックホウ10に搭載された制御システム100は、タッチパネルPC110と情報コントローラ130を有し、タッチパネルPC110のメールホーンSW112fが操作されるとスピーカ140が奏鳴しかつダンプトラック20側の小型携帯端末22に表示信号を送って、積み込み作業完了の合図を行う。また、同時に、タッチパネルPC110から入力した運搬車両識別子と積み込み材料の種別情報を含む運搬情報を情報コントローラ130から含む運搬情報を施工管理サーバ300へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機により盛土材料を掘削し、その盛土材料を運搬車両に積み込んで運搬し、盛土箇所に荷卸しする土工事における掘削・盛土管理情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬車両の運搬情報を管理するシステムとして、特許文献1に記載の盛土管理システムがある。
【0003】
このシステムは、運搬車両に情報伝達手段を取り付け、盛土側の入場ゲートにその情報伝達手段に記憶された情報を非接触で読み取る読み取り手段を設置して、運搬車両が入場ゲートを通過するときに、切り土側管理事務所で情報伝達手段に記憶した車両情報、土砂情報等の運搬情報を読み取らせ、この読み取り情報に基づいて運搬車両の行き先を判定し、この判定結果を行き先表示装置に表示させるようにしたものであり、これにより運搬車両による渋滞の解消を図るとともに、それらの情報を用いて掘削・盛土管理を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−319886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。
【0006】
掘削・盛土情報を施工管理サーバで一元管理する場合、掘削区画で掘削し運搬車両(ダンプトラック)に積み込んだ土砂の運搬情報(運搬車両の番号、土砂の種別等)を施工管理サーバで把握する必要がある。
【0007】
上記従来技術では、運搬車両に情報伝達手段を取り付け、盛土側の入場ゲートにその情報伝達手段に記憶された情報を非接触で読み取る読み取り手段を設置して、運搬車両が入場ゲートを通過するときに、切り土側(掘削工区)管理事務所で情報伝達手段に記憶した車両情報、土砂情報等の運搬情報を読み取らせることで、サーバ側で運搬情報を取得するようにしている。しかし、このような構成では、切り土側に入場する全ての運搬車両に情報伝達手段を搭載する必要があり、コスト高となる。また、運搬車両の運転手全員に情報伝達手段の使い方を教育する必要性があり、管理が大変である。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、運搬車両の運搬情報を施工管理サーバに取得させるためのコストの低減と人材教育管理の容易化を可能とするとともに、掘削区画での作業効率の向上を可能ならしめる掘削・盛土情報管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、掘削工区において掘削機により盛土材料を掘削し、その盛土材料を運搬車両に積み込んで盛土工区へと運搬し、前記運搬車両に積み込んだ盛土材料を前記盛土工区に荷卸して盛土作業を行う土工事における掘削・盛土情報管理装置において、前記掘削工区から送信される盛土材料の運搬情報を掘削・盛土情報の一部として蓄積して管理する施工管理サーバと、前記掘削機に設けられ、前記運搬車両に対する積み込み作業完了の合図と、前記施工管理サーバへの前記盛土材料の運搬情報の送信とを同時に行うことを可能とする情報処理装置とを備えるものとする。
【0010】
このように掘削工区で稼動する掘削機に盛土材料の運搬情報を施工管理サーバに送ることができ情報処理装置を設けることにより、掘削工区で稼動する掘削機はほとんど入れ替わることはほ無いため、掘削工区に入場する全ての運搬車両に情報処理装置を設置する場合に比べて情報処理装置の設置台数は大幅に低減することができ、運搬車両の運搬情報を施工管理サーバに取得させるためのコストの低減が可能となるとともに、掘削機の入れ替わりが少ないだけでなく掘削機のオペレータの乗り代わりも少ないため、情報処理装置の使い方の教育を必要とする作業者の人数も大幅に少なくて済み、人材教育管理が極めて容易となる。
【0011】
また、運搬車両からではなく掘削機から施工管理サーバへ運搬情報を送信するとともに、掘削機側では、運搬車両に対する積み込み作業完了の合図と、施工管理サーバへの運搬情報の送信を同時に行うことができるので、掘削機のオペレータ及び運搬車両の運転手の作業負担が軽減し、作業効率の向上が可能となる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記情報処理装置は、前記運搬車両への積み込み作業完了時に操作される入力処理手段と、前記入力処理手段が操作されたときに、前記運搬車両に対して積み込み完了の合図を行う出力手段と、前記入力処理手段が操作されたときに、前記盛土材料の運搬情報を作成して前記管理サーバへ送信する制御装置とを有する。
【0013】
これにより掘削機から、運搬車両に対する積み込み作業完了の合図と、施工管理サーバへの運搬情報の送信を同時に行うことが可能となる。
【0014】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記制御装置は、前記盛土材料の運搬情報として、少なくとも盛土材料を運搬する運搬車両を特定するための運搬車両識別子と、前記運搬車両に積み込んだ盛土材料の種別とを含む運搬情報を作成して送信する。
【0015】
これにより掘削機から、運搬車両識別子と盛土材料を含む盛土情報を施工管理サーバに送信することができる。
【0016】
(4)更に、上記(1)において、より好ましくは、前記制御装置は、前記盛土材料の運搬情報として、少なくとも盛土材料の運搬車両を特定するための運搬車両識別子及び前記運搬車両に積み込んだ盛土材料の種別と、積込み完了時刻及び掘削位置を含む運搬情報を作成して送信する。
【0017】
これにより掘削機から、運搬車両識別子及び盛土材料と積込み完了時刻及び掘削位置を含むを含む盛土情報を施工管理サーバに送信することができる。
【0018】
(5)また、上記(2)において、好ましくは、前記入力処理手段は、前記運搬車両の識別子と積み込み材料の種別を入力する第1操作部と、前記運搬車両への積み込み作業完了時に操作される第2操作部と、前記第2操作部が操作されたときに、前記出力手段に対して、前記運搬車両に対する積み込み作業完了の合図を行わせるとともに、前記制御装置に対して、前記盛土材料の運搬情報として前記第1操作部により入力した運搬車両の識別子と積み込み材料の種別を含む運搬情報を作成させ前記管理サーバへ送信させる処理部とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の掘削・盛土情報管理装置によれば、掘削機に設けた情報処理装置により、運搬車両に対する積み込み作業完了の合図と、施工管理サーバへの運搬情報の送信を同時に行うことができるので、運搬車両の運搬情報を施工管理サーバに取得させるためのコストの低減と人材教育管理の容易化が可能となるとともに、掘削区画での作業効率の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
<全体構成>
図1は、掘削・盛土作業を行う土工事の全体概要と、本発明の一実施の形態に係わる掘削・盛土情報管理装置の全体構成を示す図である。
【0021】
図1において、掘削工区1には掘削機であるバックホウ10が配備され、バックホウ10は盛土する材料(土砂)を掘削し、その掘削した土砂を運搬車両であるダンプトラック20に積み込む。ダンプトラック20は積み込んだ土砂を、盛土工区2まで運搬し、盛土箇所に荷下ろしする。盛土箇所に荷下ろしされた材料は、敷き均し機械であるブルドーザ30により敷き均され、締め固め機械である振動ローラ40により締め固められる。その後、バックホウ50により法面整形を行い、所望の形状に仕上げられる。
【0022】
本実施の形態に係わる掘削・盛土情報管理装置は、このような土工事における掘削・盛土管理をするものであり、掘削工区1のバックホウ10に搭載され、通信機能を有する制御システム100(図2参照)と、盛土工区2においてダンプトラック20の運転手又は盛土工区2の作業員が入力通信手段として使用する携帯電話200と、遠隔地に設置された施工管理サーバ300と、土工事作業現場の適所に設置された現場事務所PC400とを備えている。
【0023】
掘削工区1において、バックホウ10に備えられる制御システム100(図2参照)はGPS衛星500からのGPS情報に基づいてバックホウ10の位置を計測し、この位置情報を掘削位置の情報として通信衛星520を経由して施工管理サーバ300に送信する。また、制御システム100は、ダンプトラック20に積み込んだ土砂の種類を盛土材料の種別の情報として、その盛土材料を積み込んだ運搬車両(ダンプトラック)の車両番号を運搬車両識別子の情報として、前記掘削位置の情報とともに通信衛星520を経由して施工管理サーバ300に送信する。これらの情報(盛土材料の運搬情報)は施工管理サーバ300のデータベースに蓄積される。
【0024】
盛土工区2において、荷下ろしした位置と材料の情報は、携帯電話200を用いてオペレータにより施工管理サーバ300に送信され、施工管理サーバ300のデータベースに蓄積される。また、振動ローラ40によって締め固めを行った位置の情報と転圧回数の情報も、携帯電話200を用いてオペレータにより施工管理サーバ300に送信され、施工管理サーバ300のデータベースに蓄積される。施工管理者は、当日の作業中或いは作業完了後等に、現場事務所PC400からインターネット網600を経由して、施工管理サーバ1300にアクセスし、切土(盛土材料)を積み込んだ運搬車両の運搬情報をリアルタイムで確認可能である。
【0025】
図2は、バックホウ10に備えられる制御システム100の全体構成を示す図である。制御システム100は、盛土材料名(盛土材料の種別)と盛土材料を積み込み運搬車両(ダンプトラック)の車両番号を入力する手段を備えるタッチパネル式のコンピュータ(以下タッチパネルPCという)110と、盛土材料を積み込んだ位置の情報を取得するGPS受信機120と、タッチパネルPC110から入力された情報とGPS受信機120によって取得した位置情報を集約して管理する情報コントローラ130と、タッチパネルPC110からのホーン信号に基づいて奏鳴し、積み込み位置と積み込み完了を運搬車両の運転手に知らせるスピーカ140と、情報コントローラ130に集約された情報を通信衛星520を介して施工管理サーバ300に送信する衛星通信端末150とを備えている。
【0026】
また、制御システム100は、タッチパネルPC110からの表示信号を送信する無線機160を有し、無線機160から送られた表示信号はダンプトラック20側の無線機21に受信され、この無線機21からダンプトラック20の運転手が所有する小型携帯端末(例えばPDA)22に入力され、ダンプトラック20の表示部22aに積み込み情報(後述)が表示される。
【0027】
図3は、タッチパネルPC110の機能の詳細を示す機能ブロックである。
【0028】
図3において、タッチパネルPC110は、タッチパネルモニタ112とPC本体114とを備えている。PC本体114は、タッチパネルモニタ112から入力された信号を認識するパネルSW入力I/F114aと、プログラムの動作指令を行うCPU114bと、タッチパネルモニタ112への表示出力を行う表示出力I/F114cと、プログラムを格納するROM114dと、情報を格納するハードディスク等の記憶手段114eと、CPU114bによる計算途中の情報を一時的に格納するRAM114fと、ホーン信号をスピーカ140に出力する音声出力I/F114gと、情報コントローラ130に情報を送信する通信出力I/F114h、無線機160に表示信号を出力する無線出力I/F114iとを備えている。
【0029】
図4は、タッチパネルモニタ112の画面構成を示す図である。タッチパネルモニタ112は情報入力画面を有し、この情報入力画面は、作業日を表示する作業日表示エリア112aと、盛土材料を積み込んだ運搬車両の車両番号を入力するための車両番号入力テンキー112bと、車両番号入力テンキー112bにより入力された車両番号を表示する車両番号表示エリア112cと、盛土材料の材質を選択する材質選択プルダウン112dと、ダンプトラック20の運転手に積み込み位置を知らせるホーンSW112eと、ダンプトラック20の運転手に積み込み完了を知らせかつ情報コントローラ130に情報を出力するメールホーンSW112fとを備えている。
【0030】
図5及び図6は、ダンプトラック20の運転手が所有する携帯端末22に表示される表示の一例を示す図である。ダンプトラック20が移動してきたときにダンプトラック20の運転手に積み込み位置を知らせるためにタッチパネルモニタ112のホーンSW112eを押すと、スピーカ140が奏鳴すると同時に、図5に示すようにダンプトラック20の運転手が所有する携帯端末22に「現在積み込み中」の表示がなされる。ダンプトラック20への積み込み終了時にダンプトラック20の運転手に積み込み完了を知らせるためタッチパネルモニタ112のメールホーンSW112fを押すと、スピーカ140が奏鳴すると同時に、情報コントローラ130に情報が出力されるとともに、図6に示すようにダンプトラック20の運転手が所有する携帯端末22に「積み込み完了」の表示がなされる。
【0031】
図7は、図2の情報コントローラ130に集約される運搬情報のデータ項目を示す図である。情報コントローラ130に集約されるデータ項目としては、ヘッダ130aと、データID130bと、バックホウ10の機種別コード130cと、バックホウ10の号機番号130dと、ダンプトラック20への積み込み完了時のスイッチ押下発生時刻130eと、バックホウ10の位置(積み込み位置)を表す緯度130f及び経度130gと、バックホウ10の燃料残量130hと、バックホウ10の位置計算に用いたGPS衛星500を識別する衛星端末番号130iと、ダンプトラック20に積み込んだ盛土材料名130jと、ダンプトラック20の車両番号130kの各データ項目がある。これらのデータ項目のうち、ダンプトラック20に積み込んだ盛土材料名130jとダンプトラック20の車両番号130kの情報は、前述したようにタッチパネルPC110から与えられる情報である。
【0032】
図8は、図7に示すデータ項目を、図1の施工管理サーバ300に送信する際に作成されるデータフォーマットである。図7のデータ項目がカンマ(、)区切りで記述されている。
【0033】
図9は、図1の現場事務所PC400から図1の施工管理サーバ300にアクセスし、運搬状況を検索するための画面を示す図である。この検索画面は、確認したい日付を入力する日付入力欄400aと、日付けの検索を実行する機能を備えた検索実行ボタン400bとを備えている。
【0034】
図10は、図1の現場事務所PC400から図1の施工管理サーバ300にアクセスして検索したある日付(図示の例では2005年2月7日)の運搬車両の運搬状況を確認する画面である。この確認画面は、積み込みの順番を表すデータ番号400eと、積み込みが完了した時刻を表す積込み時刻400fと、積み込んだ位置を表す積込位置/緯度400g及び積込位置/経度400hと、積込んだ盛土材料名を表す積込み材料400iと、盛土材料を積み込んだ運搬車両(ダンプトラック)の車両番号を表す車両番号400jと、積み込んだ盛土材料が盛土工区に荷下ろし済かどうかを表す荷卸し400kを表示する。また、図示の確認画面を帳票として印刷するかどうかを指示する帳票印刷ボタン400mを有している。
【0035】
以上において、制御システム100は、掘削機であるバックホウ10に設けられ、運搬車両であるダンプトラック20に対する積み込み作業完了の合図と、施工管理サーバ300への運搬情報の送信を同時に行うことを可能とする情報処理装置を構成する。
【0036】
また、タッチパネルPC110は、ダンプトラック20への積み込み作業完了時に操作される入力処理手段を構成し、スピーカ140と小型携帯端末22は、前記入力処理手段110が操作されたときに、ダンプトラック20に対して積み込み完了の合図を行う出力手段を構成し、情報コントローラ130は、前記入力処理手段110が操作されたときに、運搬情報を作成して施工管理サーバ300へ送信する制御装置を構成する。
【0037】
ここで、制御装置(情報コントローラ130)は、前記運搬情報として、少なくともダンプトラック20を特定するための運搬車両識別子(車両番号)と、ダンプトラック20に積み込んだ盛土材料の種別と、積込み完了時刻及び掘削位置を含む運搬情報を作成して送信する。
【0038】
また、入力処理手段であるタッチパネルPC110のパッチパネルモニタ112に表示される情報入力画面の車両番号入力テンキー112b及び車両番号表示エリア112cと材質選択プルダウン112dは、ダンプトラック20の識別子と積み込み材料の種別を入力する第1操作部を構成し、同情報入力画面のメールホーンSW112fは、ダンプトラック20への積み込み作業完了時に操作される第2操作部を構成し、タッチパネルPC110のPC本体110は、前記第2操作部(メールホーンSW112f)が操作されたときに、前記出力手段(スピーカ140と小型携帯端末22)に対して、ダンプトラック20に対する積み込み作業完了の合図を行わせるとともに、前記制御装置(情報コントローラ130)に対して、前記運搬情報として前記第1操作部(車両番号入力テンキー112b及び車両番号表示エリア112cと材質選択プルダウン112d)により入力した運搬車両の識別子と積み込み材料の種別を含む運搬情報を作成させ施工管理サーバ300へ送信させる処理部を構成する。
【0039】
図11は、図1のバックホウ10の制御システム100から施工管理サーバ300に運搬情報を送信する処理手順の全体概要を示すフローチャートであり、図12は、図11に示した処理手順のうちのデータ送信処理の詳細を示すフローチャートである。図13は、現場事務所PC400から施工管理サーバ300にアクセスして検索した運搬情報を表示させ、運搬状況を確認する処理手順を示すフローチャートである。以下、これらフローチャートを用いて、本実施の形態の掘削・盛土情報管理装置による運搬情報の管理手順を説明する。
(全体概要)
図11のステップS001において、図1のバックホウ10のオペレータは、掘削作業が開始する前に、図2及び図3のタッチパネルPC110と情報コントローラ130を起動し、タッチパネルPC110のパッチパネルモニタ112に図4の情報入力画面を表示させる。次にステップS002において、図4の情報入力画面における材質選択プルダウン112dから、本日盛土する材料名を選択する。盛土する材料は1日1種類と概ね決まっているが、盛土する材料が変更になった場合は、図4の情報入力画面の材質選択プルダウン112dから変更となった材料名を入力することで対応可能である。次にステップS003において、図1の運搬車両(ダンプトラック)20が積み込みのゲートに到着する。工事の規模にもよるが、比較的中規模の工事において、約8台程度の運搬車が1日に複数回運搬を行うサイクルとなっている。次にステップS004において、ダンプトラック20は、バックホウ10が積み込み易く、安全な位置に低速かつ後進で移動する。ステップS004において、積み込み位置に運搬車両が移動してきたことを確認したら、ステップS005において、バックホウ10のオペレータはタッチパネルPC110のホーンSW112eを押し、スピーカ140を奏鳴することで停止の合図を行う。これと同時に、ステップS006において、ダンプトラック20に表示信号を出力し、ダンプトラック20の運転手が所有する携帯端末22に「現在積み込み中」を表示させる。このとき、携帯端末への表示に代え、携帯端末(或いは携帯電話)の振動でダンプトラック20の運転手に積み込み開始を知らせてもよい。次にステップS007において、バックホウ10のオペレータは、タッチパネルPC110により、盛土材料運搬のために到着した運搬車両の車両番号を入力する。次にステップS008において、バックホウ10は、積み込みのための切土(掘削)を行い、ダンプトラック20に盛土材料を積み込む。次にステップS009において、積み込みが完了したら、ステップS010においてデータ送信処理(詳細は後述)を行う。次にステップS011において、積み込みが完了したダンプトラックが退場し、ステップS012において、掘削作業が終了する。次にステップS013で、次の運搬を行う運搬車両が入場する。1日の作業が完了するまでステップS001〜S013を繰り返す。
(データ送信処理)
図11のデータ送信処理の詳細を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
図12のステップS0101において、バックホウ10のオペレータは、タッチパネルPC110のメールホーンSW112fを下し、スピーカ140を奏鳴することでダンプトラック20の運転手に積み込みが完了した合図を行う。これと同時に、ステップS0102において、バックホウ10の情報コントローラ130に、図11のステップS002,S007で入力した盛土材料名と運搬車両(ダンプトラック)の車両番号を送る。情報コントローラ130はこの情報を入力し、メールホーンSW112fを押したときの図7に示したデータ項目の各情報を集約し、運搬情報を作成する。そして、ステップS0103において、ダンプトラック20に表示信号を出力し、ダンプトラック20の運転手が所有する携帯端末22に「積み込み完了」を表示させる。このとき、携帯端末への表示に代え、携帯端末(或いは携帯電話)の振動でダンプトラック20の運転手に積み込み完了を知らせてもよい。次にステップS0104において、衛星通信経由で情報コントローラ130で集約され、生成された運搬情報を図1の施工管理サーバ300に送信する。次にステップS0105において、図1の施工管理サーバ300で運搬情報を受信し、ステップS0106で受信した運搬情報をデータベースに格納する。
(運搬状況確認処理)
現場事務所PC400による運搬状況の確認処理の概要を図13を用いて説明する。
【0041】
図13のステップS021において、元請け作業員は、図1の現場事務所PC400から、インターネット網600を介し、図1の施工管理サーバ300にアクセスする。次にステップS022において、図9の運搬状況検索画面により、運搬情報を閲覧したい日付けを入力し、検索を実行する。次にステップS023で、検索完了後、図10のような、指定した日付の運搬情報を画面に表示する。また、必要に応じて、元請け作業員は帳票印刷ボタン400mをクリックすることにより、運搬情報を紙の帳票として印刷し、保管することも可能である。
【0042】
以上のように構成した本実施の形態の掘削・盛土情報管理装置においては、掘削工区1で稼動するバックホウ10はほとんど入れ替わることはほ無いため、掘削工区1に入場する全てのダンプトラック20に情報処理装置を設置する場合に比べて情報処理装置(制御システム100)の設置台数を大幅に低減することができ、ダンプトラック20の運搬情報を施工管理サーバ300に取得させるためのコストの低減が可能となる。
【0043】
また、バックホウ10の入れ替わりが少ないだけでなくバックホウ10のオペレータの乗り代わりも少ないため、情報処理装置である制御システム100の使い方の教育を必要とする作業者の人数も大幅に少なくて済み、人材教育管理が極めて容易となる。
【0044】
更に、ダンプトラック20からではなくバックホウ10から施工管理サーバ300へ運搬情報を送信するとともに、バックホウ10側では、ダンプトラック20に対する積み込み作業完了の合図と、施工管理サーバ300への運搬情報の送信を同時に行うことができるので、バックホウ10のオペレータ及びダンプトラック20の運転手の作業負担が軽減し、作業効率の向上が可能となる。
【0045】
また、その情報を施工管理サーバ300ヘ送信し、一元管理することにより、作業の進捗管理がリアルタイムに行え、また帳票類の作成業務の手間を省き、作業効率の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】掘削・盛土作業を行う土工事の全体概要と、本発明の一実施の形態に係わる掘削・盛土情報管理装置の全体構成を示す図である。
【図2】バックホウに備えられる制御システムの全体構成を示す図である。
【図3】タッチパネルPCの機能の詳細を示す機能ブロックである。
【図4】タッチパネルモニタの情報入力画面を示す図である。
【図5】ダンプトラックへの積み込み開始時にダンプトラックの運転手が所有する携帯端末に表示される表示の一例を示す図である。
【図6】ダンプトラックへの積み込み終了時にダンプトラックの運転手が所有する携帯端末に表示される表示の一例を示す図である。
【図7】情報コントローラに集約される運搬情報のデータ項目を示す図である。
【図8】施工管理サーバヘの送信フォーマットを示す図である。
【図9】運搬車両の運搬状況の検索を行う画面表示を示す図である。
【図10】運搬車両の運搬状況を確認する画面表示を示す図である。
【図11】バックホウの制御システムから施工管理サーバに運搬情報を送信する処理手順の全体概要を示すフローチャートである。
【図12】図11に示した処理手順のうちのデータ送信処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】現場事務所PCから施工管理サーバにアクセスして検索した運搬情報を表示させ、運搬状況を確認する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 掘削工区
2 盛土工区
10 バックホウ(掘削機)
20 ダンプトラック(運搬車両)
21 無線機
22 携帯端末
22a 表示部
30 ブルドーザ
40 振動ローラ
50 バックホウ
100 制御システム
110 タッチパネルPC
112 タッチパネルモニタ
112a 作業日表示エリア
112b 車両番号入力テンキー
112c 車両番号表示エリア
112d 材質選択プルダウン
112e ホーンSW
112f メールホーンSW
114 PC本体
114a タッチパネルモニタ
114b CPU
114c 表示出力I/F
114d ROM
114e 記憶手段
114f RAM
114g 音声出力I/F
114h 通信出力I/F
114i 無線出力I/F
120 GPS受信機
130 情報コントローラ
140 スピーカ
150 衛星通信端末
160 無線機
200 携帯電話
300 施工管理サーバ
400 現場事務所PC
400a 日付入力欄
400b 検索実行ボタン
400e データ番号
400f 積込み時刻
400g 積込位置/緯度
400h 積込位置/経度
400i 積込み材料(盛土材料)
400j 車両番号(運搬車両識別子)
400k 荷卸し
400m 帳票印刷ボタン
500 GPS衛星
520 通信衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削工区において掘削機により盛土材料を掘削し、その盛土材料を運搬車両に積み込んで盛土工区へと運搬し、前記運搬車両に積み込んだ盛土材料を前記盛土工区に荷卸して盛土作業を行う土工事における掘削・盛土情報管理装置において、
前記掘削工区から送信される盛土材料の運搬情報を掘削・盛土情報の一部として蓄積して管理する施工管理サーバと、
前記掘削機に設けられ、前記運搬車両に対する積み込み作業完了の合図と、前記施工管理サーバへの前記盛土材料の運搬情報の送信とを同時に行うことを可能とする情報処理装置とを備えることを特徴とする掘削・盛土情報管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の掘削・盛土情報管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記運搬車両への積み込み作業完了時に操作される入力処理手段と、
前記入力処理手段が操作されたときに、前記運搬車両に対して積み込み完了の合図を行う出力手段と、
前記入力処理手段が操作されたときに、前記盛土材料の運搬情報を作成して前記施工管理サーバへ送信する制御装置とを有することを特徴とする掘削・盛土情報管理装置。
【請求項3】
請求項1記載の掘削・盛土情報管理装置において、
前記制御装置は、前記盛土材料の運搬情報として、少なくとも盛土材料を運搬する運搬車両を特定するための運搬車両識別子と、前記運搬車両に積み込んだ盛土材料の種別とを含む運搬情報を作成して送信することを特徴とする掘削・盛土情報管理装置。
【請求項4】
請求項1記載の掘削・盛土情報管理装置において、
前記制御装置は、前記盛土材料の運搬情報として、少なくとも盛土材料の運搬車両を特定するための運搬車両識別子及び前記運搬車両に積み込んだ盛土材料の種別と、積込み完了時刻及び掘削位置を含む運搬情報を作成して送信することを特徴とする掘削・盛土情報管理装置。
【請求項5】
請求項2記載の掘削・盛土情報管理装置において、
前記入力処理手段は、前記運搬車両の識別子と積み込み材料の種別を入力する第1操作部と、前記運搬車両への積み込み作業完了時に操作される第2操作部と、前記第2操作部が操作されたときに、前記出力手段に対して、前記運搬車両に対する積み込み作業完了の合図を行わせるとともに、前記制御装置に対して、前記盛土材料の運搬情報として前記第1操作部により入力した運搬車両の識別子と積み込み材料の種別を含む運搬情報を作成させ前記施工管理サーバへ送信させる処理部とを有することを特徴とする掘削・盛土情報管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−188224(P2007−188224A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4885(P2006−4885)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】