説明

掻き取り刃を有するインペラーを取り付けたソイルセメント製造装置

本発明は、ソイルセメント製造装置に関するものであって、より詳細には、インペラーの刃が摩耗するのを防止し、ミキシング槽内にソイルセメントがこびり付いて、回転刃のブレークパッドとして機能することを防止した改善されたソイルセメント製造装置に関するものである。本発明は、土とセメントを投入するための投入部100と、前記投入部100から供給された土とセメントが供給される流入口220と、造成されたセメントが排出される排出口230、及び前記排出口付近の上部に設置されて、水及び添加剤を噴霧するノズル250を含んで構成されるミキシング槽の側面の高さを高くし、上端をカバーで固定しないミキシング槽210と、並びに、前記ミキシング槽210内に長手方向に複数の刃が設置され、駆動軸410に固定される円板310と、円板に放射状に固定されて複数の刃320で構成されて、土とセメントを混合、造成、移動させるインペラー300、を含んで構成されるソイルセメント製造装置において、前記インペラー300のうちの少なくとも一つは、刃のうちの少なくとも一つが他の刃よりも長さが長く、その端部がT字状である掻き取り刃330を有するインペラーであることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメント製造装置に関するものであって、より詳細には、インペラーの刃が摩耗するのを防止し、ミキシング槽内にソイルセメントが付着堆積して、回転刃のブレークパッドとして機能することを防止した改善されたソイルセメント製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソイルセメントの製造方法として、ファンミキサー等の製造装置が使用されたが、土を単に撹拌する方式を使用していたため、粉砕されなかった土とセメントが均等に混合されず、ソイルセメントの質が低下するという問題点があった。
【0003】
本発明の出願人はこの問題に着目して、特許文献1を考案して実施した。図1は、前記考案によるソイルセメント製造装置の斜視図であり、図2は、従来技術によるソイルセメント製造装置に使用されたインペラーの斜視図である。これによれば、ソイルセメント製造装置1は、大きく分けて、投入部10とミキシング部20とで構成されている。
【0004】
投入部10は、土を供給するためのソイルホッパー11と、セメントを供給するためのセメントホッパー13、及び、供給された土とセメントをミキシング部に供給するための移送コンベヤ15で構成されている。
【0005】
ミキシング部20は、投入部から供給される土とセメントとをミックスするために、上下に配列された2つの上、下側ミキシング槽(23、25)、各ミキシング槽(23、25)の内側に備えられた土とセメントを粉砕、ミックスするインペラー40及びインペラーの駆動手段30を含む。
【0006】
インペラー40は、各ミキシング槽(23、25)を長手方向に貫通する駆動軸(31、33)に連結設置され、該インペラー40は、駆動軸(31、33)に固定される円板41と、円板に放射状に固定されて端部に折曲部を有する刃43で構成されている。
【0007】
上記のような構成を有する従来のソイルセメント製造装置1は、投入部から供給される土とセメントが、まず上側ミキシング槽23に供給され、駆動手段によって回転するインペラー40により粉砕、混合される。次いで、上側ミキシング槽23の前方に形成された落下穴を通じて下側ミキシング槽25に落下し、落下された造成物は、さらに下側ミキシング槽25でインペラー40により粉砕・混合され、下側ミキシング槽25の排出口の上側に設置されたノズル29から噴霧される水と添加剤の水溶液によって適切な含水量を有して排出口27からミキシング槽外部に排出される。
【0008】
このようなソイルセメント製造装置は、土の粉砕と混合、排出が連続的に行われることにより、生産性と施工性を向上できるという効果があった。
【0009】
一方、従来のソイルセメント製造装置は、インペラー40の刃の一部をその進行方向と同じ方向に折り曲げ、他の一部は、その進行方向と反対方向に折り曲げることで、土及びセメントの速かな移動を困難にして、完全な粉砕、混合を図った。しかし、このような構成では、土とセメントの移動速度があまりにも遅くなって生産量が減少し、これらがミキシング槽(23、25)内にこびり付くという問題点が発生する。特に、ミキシング槽の排出口27付近は、水と添加剤の水溶液が噴霧されるので、土とセメントがミキシング槽25の壁面に付着されて、インペラーの回転を妨害し、回転負荷が大きくなるだけでなく、インペラー40の刃がこびり付いた土及びセメントと摩擦を起こして磨耗を促進するという問題点があった。
【特許文献1】韓国実用新案登録第20-0295234号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ミキシング槽内でソイルセメントのこびり付きが発生せず、インペラーの刃の磨耗を防止して寿命を延長し、生産量を増大させることのできるソイルセメント製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明によるインペラーの刃が摩耗するのを防止できるソイルセメント製造装置は、土とセメントを投入するための投入部100と、前記投入部100から供給された土とセメントが供給される流入口220、造成されたセメントが排出される排出口230、及び前記排出口付近の上部に設置されて、水及び添加剤を噴霧するノズル250を含んで構成されるミキシング槽210と、及び前記ミキシング槽210内に長手方向に複数個の刃が設置され、駆動軸410に固定される円板310と、円板に放射状に固定され、複数の刃320で構成されて、土とセメントを混合、造成、移動するインペラー300と、を含んで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるソイルセメント製造装置によれば、土及びセメントがミキシング槽の内壁面と上端にこびり付いて、ミキシング槽内の空間が狭くなってブレークパッドとして機能をして移送を困難にすることを防止し、且つ、刃がこびり付いた土及びセメントによって摩擦して摩耗するのを防止することにより、迅速且つ効率的に生産量を増大させることができるソイルセメントの製造方法を提供できる。さらに、部品の交換周期が長くなるという効果もある。
【0013】
実験の結果、従来のソイルセメント製造装置は、1時間当たり10mのソイルセメントを生産できるが、本発明によるソイルセメント製造装置によれば、1時間当たり20mのソイルセメントを生産することができる。刃の交換周期も従来のソイルセメント製造装置では3日であったが、本発明では刃の交換周期が20日以上である。
【0014】
本発明の権利範囲は明細書の本文の記載によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲により決められるべきであり、添付の請求の範囲またはその均等の範囲内に含まれる限り、そのような修正および変更は全て本発明に包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図3は、本発明によるソイルセメント製造装置の斜視図である。図4は、本発明によるソイルセメント製造装置のインペラーの刃の斜視図である。図示するように、イルセメント製造装置は、大きく分けて、投入部100とミキシング部200で構成されている。
【0017】
投入部100は、従来のソイルセメント製造装置と同様に、土及びセメントを供給するためのソイルホッパー110及びセメントホッパー120と、前記ホッパーを介して供給された土とセメントをミキシング槽に移送する移送コンベヤベルト130で構成されている。このような各ホッパーとコンベヤの結合関係及び構成は、図1に示される従来のソイルセメント製造装置と同じであり、その具体的構成は当業者であれば容易に変更することができる。また、本発明の特徴が投入部にあるわけではないので、詳細な説明は省略する。
【0018】
ミキシング部200は、投入部から供給される土とセメントをミックスするためのミキシング槽210、ミキシング槽210の内部に備えられる土とセメントを粉砕、混合するインペラー300及びインペラーの駆動手段400を含む。
【0019】
本発明の実施形態において、ミキシング槽210は1段で構成され、半円筒状の丸い底面を有する。また、投入部100からミキシング槽210に土とセメントを流入させるための流入口220を具備し、混合?されたソイルセメントを排出するための排出口230が形成されている。排出口230近傍の上部には、所定大きさの開口部240と、水と添加剤を噴霧するためのノズル250が設置される。
【0020】
開口部240は、ミキシング槽210の排出口近傍の一区間を外部に開放する開口部位260と、開口部位260周辺に所定高さを有する壁面270とで構成されている。ここで、開口部位260は、ミキシング槽210内部の土とセメントが飛んで上部面にこびり付くのを防止するために開放された部位である。開口部240の壁面270の高さは、インペラー300の回転時に飛ぶ土とセメントが外部に飛び出さないように構成する必要がある。このような開口部240は、円形または四角形等の形状に形成できるが、形状に制限はない。
【0021】
ミキシング槽210内のインペラー300は駆動軸410に連結され、駆動軸410は、ミキシング槽外部の駆動手段(図示せず)から動力を受けて回転する。インペラー300は、駆動軸410に固定される円板310と、円板310に放射状に固定されて端部に折曲部を有する刃320で構成される。
【0022】
本発明の実施形態において、インペラーは6個の刃を有し、そのうちの1つの刃は他のそれよりも長さが長く、耐摩耗性が補強処理された材質で形成された掻き取り刃330である。掻き取り刃330の長さは、ミキシング槽210に付着された土とセメントを掻き取りながら回転できる長さに形成され、内壁を掻きやすくするためにT字状となっている。
【0023】
前記掻き取り刃330は、図5及び図6に示すように、その刃先端331が11度〜15度のスクレーピング角(α)を有して傾斜し、81度〜91度の排出角(β)を形成することが好ましい。このような角度範囲の上限値を超えれば、排出量が増加するのに対し、粉砕効果が低下して負荷が大きくなり、反対に、下限値以下では、負荷は小さいが排出量が少なくなる。
【0024】
ここで、スクレーピング角とは、掻き取り刃330が円柱方向に回転しながら混合物を掻き上げる角度を意味し、排出角とは、掻き取り刃330が円柱方向に回転しながら混合物を押し出す角度を意味する。
【0025】
この場合、掻き取り刃330は、他の刃に比べて耐摩耗性が向上するように熱処理を施すことが好ましい。
【0026】
これ以外の刃320は、単にその先端部が折曲した刃であって、本実施形態では、土とセメントの移動方向と同じ方向に折曲される折曲部を有している。しかし、ミキシング槽の長さ等に応じて粉砕度を調節するため、折曲部の一部は土とセメントの移動方向と反対方向に折曲されてもよい。
【0027】
インペラー300の駆動手段400は、駆動軸410によってインペラー300を回転させ、通常の回転モータ等で構成することができる。具体的な構成の変更は当業者であれば容易に行うことができる。また、本発明の特徴がインペラーの駆動手段にあるわけではないので、詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、本発明による製造装置において、水と添加剤を供給するための水と添加剤の貯臓手段、及びこれらを連結する装置は、当業者であれば容易に思い付くことが可能であり、本発明の特徴がノズル及び貯蔵装置にあるわけではないので、これに対する詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、本実施形態による作用及び効果を説明する。本実施形態によれば、投入部100から供給される土及びセメントがミキシング槽210に供給されて、駆動手段400によって回転するインペラー300により粉砕及び混合が行われ、ミキシング槽210の排出口230付近に設置されるノズル250を介して噴霧される水と添加剤によって適当な含水量を有して排出口230からミキシング槽外部に排出される。
【0030】
この場合、ミキシング槽210内で壁面に付着された土とセメントをインペラーの刃のうち掻き取り刃330が持続的に掻き取り、土とセメントがミキシング槽210壁面に付着される現象が大きく減少する。
【0031】
さらに、排出口230付近の土及びセメントは、水と添加剤が加えられて粘性が増加するが、このような土とセメントは、排出口230付近上端に形成された開口部220を備えることにより、インペラー300によってソイルセメントが上方に飛んでも上部が開放されていて、壁面270に付着されずにミキシング槽210内に戻るようになり、ソイルセメントがミキシング槽210の上部壁にこびり付くのを防止できる。
【0032】
以上、本発明を望ましい実施の形態に基づいて詳細に説明されたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で当業者によって多様な変形が可能である。例えば、ミキシング槽の形状変更、刃の折曲角度の変更、ノズル位置の変更、ミキシング槽の段数変更(例えば、2段または3段に変更)、ミキシング槽と投入槽の連結方式変更等は、当業者が容易に思い付くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術によるソイルセメント製造装置の構成図。
【図2】従来技術によるソイルセメント製造装置に使用されたインペラーの斜視図。
【図3】本発明によるソイルセメント製造装置の斜視図。
【図4】本発明によるソイルセメント製造装置に使用されたインペラーの斜視図。
【図5】本発明に適用される掻き取り刃の各々異なる角度からの斜視図。
【図6】本発明に適用される掻き取り刃の各々異なる角度からの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土とセメントを投入するための投入部(100)と、
前記投入部(100)から供給された土とセメントが供給される流入口(220)、造成されたセメントが排出される排出口(230)、及び前記排出口付近の上部に設置されて、水及び添加剤を噴霧するノズル(250)を含んで構成されるミキシング槽(210)と、及び
前記ミキシング槽(210)内に長手方向に複数個の刃が設置され、駆動軸(410)に固定される円板(310)と、円板に放射状に固定され、複数の刃(320)で構成されて、土とセメントを混合、造成、移動させるインペラー(300)と、を含んで構成されるソイルセメント製造装置において、
前記インペラー(300)のうちの少なくとも一つは、刃のうちの少なくとも一つが他の刃よりも長さが長く、その端部がT字状である掻き取り刃(330)を有するインペラー(300)であることを特徴とするインペラーの刃の磨耗を防止するソイルセメント製造装置。
【請求項2】
前記掻き取り刃(330)は、その先端が11度〜15度のスクレーピング角を有し、81度〜91度の排出角を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインペラーの刃の磨耗を防止するソイルセメント製造装置。
【請求項3】
前記ミキシング槽(210)の上部には、土が飛び出さない程度の高さを有する開口部(240)が設置され、前記ノズル(250)は、開口部上端の排出口側に設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のインペラーの刃の磨耗を防止するソイルセメント製造装置。
【請求項4】
前記インペラー(300)の刃は全部で6個であり、そのうち掻き取り刃(330)は1個であることを特徴とする請求項1に記載のインペラーの刃の磨耗を防止するソイルセメント製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−513399(P2009−513399A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538808(P2008−538808)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004464
【国際公開番号】WO2007/052930
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508131738)
【Fターム(参考)】