説明

携帯無線通信端末

【課題】通信感度の低下を抑制することができる携帯無線通信端末を提供すること。
【解決手段】操作部側回路基板21は、通信アンテナ22の給電部を有し、フレキシブル接続基板51は、操作部側回路基板21と通信アンテナ22の放射エレメント22eとの間に配設され、一端が操作部側回路基板21のグランド導体に電気的に接続され、他端が開放端となる所定形状の板金6を有し、板金6は、操作部側回路基板21に立設するための立設部61と、操作部側回路基板21と平行となり、かつ、立設部61から延在するアンテナ側平行部63と、該アンテナ側平行部63から折り曲げ部62を介して延在する基板側平行部64と、を有し、該アンテナ側平行部63と該基板側平行部64は、操作部側回路基板21の厚み方向で平行となるように配設され、通信アンテナ22の放射エレメント22eとフレキシブル接続基板51との間に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の近傍に通信アンテナが配設される携帯無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップアンテナをプリント基板上に実装した通信装置がある。この通信装置は、導体がプリント基板上から所定の高さとなる位置に延存しており、一方の端部がプリント基板のグランドに接続されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−266855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアンテナを有するプリント基板を、例えば、折り畳み式の携帯電話機に使用する場合には、アンテナが配置されたプリント基板と、当該プリント基板とをフレキシブル接続基板で接続されるように構成することができる。
この場合において、フレキシブル接続基板の近傍にアンテナが配設されると、アンテナのアンテナ電流がフレキシブル接続基板に流れてしまう。その結果、携帯電話機では、アンテナの放射特性が低下して、通信感度が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みて、通信感度の低下を抑制することができる携帯無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯無線通信端末は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体内に配設される第1リジッド回路基板と、前記筐体内に配設される第2リジッド回路基板と、前記第1リジッド回路基板と第2リジッド回路基板とを電気的に接続するフレキシブル接続基板と、前記筐体内に配設される内蔵アンテナと、を備える携帯無線通信端末であって、前記第1リジッド回路基板は、前記内蔵アンテナの給電部を有し、前記フレキシブル接続基板は、前記第1リジッド回路基板と前記内蔵アンテナの放射エレメントとの間に配設され、一端が前記第1リジッド回路基板のグランド導体に電気的に接続され、他端が開放端となる所定形状の板金を有し、前記板金は、前記第1リジッド回路基板に立設するための立設部と、前記第1リジッド回路基板と平行となり、かつ、前記立設部から延在する第1平行部と、該第1平行部から折り曲げ部を介して延在する第2平行部と、を有し、該第1平行部と該第2平行部は、前記第1リジッド回路基板の厚み方向で平行となるように配設され、前記内蔵アンテナの放射エレメントと前記フレキシブル接続基板との間に配設されることを特徴とする。
【0007】
また、携帯無線通信端末では、前記折り曲げ部は、U字形状に形成されることが好ましい。
【0008】
また、携帯無線通信端末では、前記第1平行部は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置されることが好ましい。
【0009】
また、携帯無線通信端末では、前記第2平行部は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置されることが好ましい。
【0010】
また、携帯無線通信端末では、前記板金の開放端は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置されることが好ましい。
【0011】
また、携帯無線通信端末では、前記折り曲げ部は、前記内蔵アンテナの放射エレメントの近傍に配置されることが好ましい。
【0012】
また、携帯無線通信端末では、前記第1平行部と前記第2平行部との間には、磁性シートが介装されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信感度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】図1の携帯電話機の内部構造を示す図である。
【図3】本実施形態の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、携帯無線通信端末の具体例として携帯電話機1を想定して説明するが、これに限られず、例えば、携帯電子機器とは使用周波数帯や変調方式等が異なるPHS(Personal Handy phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な携帯無線通信端末に適用可能である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である携帯電話機1の外観を示す図である。詳細には、図1(a)は展開状態を示す図であり、図1(b)は折り畳み状態を示す図である。
携帯電話機1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、操作部側筐体2、と表示部側筐体3とをヒンジ部4で連結した折り畳み式の携帯電話機1として構成される。
【0017】
次に、携帯電話機1の内部構造について図2を参照しながら説明する。図2は、図1の携帯電話機1の内部構造を示す図である。詳細には、図2(a)は携帯電話機1の全体の内部構造を示す概念図であり、図2(b)はヒンジ部4の周辺の拡大図であり、図2(c)はヒンジ部4付近に配設される通信アンテナ22周りを示す断面図である。
【0018】
携帯電話機1は、図2(a)に示すように、操作部側筐体2に操作部側回路基板21(第1リジッド回路基板)と、表示部側筐体3に表示部側回路基板31(第2リジッド回路基板)と、操作部側回路基板21と表示部側回路基板31とを接続するフレキシブル接続基板51と、ヒンジ部4の近傍に通信アンテナ22(内蔵アンテナ)と、を備える。
【0019】
操作部側回路基板21は、主に図示しないCPU等による制御を行うための回路基板である。
表示部側回路基板31は、主に表示部の表示に係る制御を行うための回路基板である。
フレキシブル接続基板51は、ヒンジ部4を跨いで両端を操作部側回路基板21と表示部側回路基板31とに電気的に接続され、操作部側回路基板21と表示部側回路基板31との間の各種制御信号のやり取りを仲介する。
通信アンテナ22は、通話等の通信を行うための放射エレメント22eを有するアンテナであり、ヒンジ部4付近に配設される。この通信アンテナ22は、一端に操作部側回路基板21の給電部(図示せず)と接続される。また、通信アンテナ22の他端は、開放端であり、図2(b)に示すように、操作部側回路基板21及びフレキシブル接続基板51の上、少なくとも、フレキシブル接続基板51の上を放射エレメント22eが横断するように配設される。
【0020】
このような条件で、フレキシブル接続基板51及び通信アンテナ22を配設した場合には、通信アンテナ22の電流が、フレキシブル接続基板51に流れてしまい、通信アンテナ22の放射効率が低下して、通信アンテナ22の通信感度が低下してしまうおそれがあった。
【0021】
しかし、本発明に係る携帯電話機1は、以下の構造を備えることにより、通信感度の低下を抑制することができる。
【0022】
携帯電話機1は、図2(c)に詳細に示すように、さらに、板金6を備える。
板金6は、一端が操作部側回路基板21のグランド導体に電気的に接続され、他端が開放端となるように、金属の薄板を折り曲げて形成される。
また、板金6は、立設部61と、第1平行部と、第2平行部と、折り曲げ部62とを備える。
立設部61は、操作部側回路基板21に接続され、操作部側回路基板21から立設するように取り付けられる。
第1平行部は、操作部側回路基板21と平行となり、かつ、立設部61から延在する。本実施形態において、第1平行部は、基板側平行部64として構成される。
折り曲げ部62は、第1平行部と第2平行部とが連絡するように折り曲げられている部分である。具体的には、折り曲げ部62は、アンテナ側平行部63と基板側平行部64とが連絡するように折り曲げられている部分である。
第2平行部は、第1平行部から折り曲げ部62を介して延在する。具体的には、第2平行部は、本実施形態において、第2平行部は、アンテナ側平行部63として構成される。
第1平行部と第2平行部とは、操作部側回路基板21と厚み方向で平行しており、通信アンテナ22の放射エレメント22eと操作部側回路基板21との間に配設される。
【0023】
このように構成される携帯電話機1においては、フレキシブル接続基板51と、通信アンテナ22との間に、板金6が配設されているために、フレキシブル接続基板51と、通信アンテナ22との電磁界結合を遮蔽することができ、通信アンテナ22での通信感度の低下を抑制することができる。
また、携帯電話機1においては、板金6が第1平行部と第2平行部とが平行になるように折り曲げ部62により折り曲げて(折り返して)形成されるために、操作部側回路基板21の厚み方向においてスペースが無い場合でも、素子の長さを長くすることができる。つまり、第1平行部及び第2平行部により、操作部側回路基板21の幅方向の長さに制限があっても、上述したフレキシブル接続基板51と、通信アンテナ22との電磁界結合を遮蔽するに足る素子の長さを確保することができる。
【0024】
また、携帯電話機1においては、通信アンテナ22に対して板金6が無給電素子として機能するために、通信アンテナ22の広域化を図ることができる。さらに、携帯電話機1においては、無給電素子として機能する板金6の一端を操作部側筐体2にグランド導体に接続させているために、板金6が逆Fアンテナを構成する。このため、携帯電話機1においては、通信アンテナ22と逆Fアンテナとなる板金6とが多共振化して、板金6の一端を操作部側筐体2にグランド導体に接続させない場合よりも、さらに、通信アンテナ22の広域化を図ることができる。
【0025】
また、携帯電話機1においては、通信アンテナ22がフレキシブル接続基板51の影響を受けないために、フレキシブル接続基板51と、通信アンテナ22との間に金板を配設する空間さえあれば、通信アンテナ22の配設位置を決定することができるために、携帯電話機1内の機器類の配設の自由度を高めることができる。
【0026】
また、折り曲げ部62は、種々の形状に形成することができ、例えば、コ字形状やU字形状に形成することができる。
携帯電話機1においては、折り曲げ部62の形状を、例えば、U字形状に形成される場合には、通信アンテナ22における高周波特性を安定させることができる。
【0027】
次に、上述した実施形態における板金6の変形例について図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態における変形例を示す図2(c)に対応する断面図である。なお、以下の説明及び図面において、上述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0028】
<第1の変形例>
まず、第1の変形例を、図3(a)を参照しながら説明する。図3(a)は、第1の変形例を示す断面図である。
【0029】
上述した実施形態と本変形例とは、アンテナ側平行部63と基板側平行部64との端部の開放状態及び他の部位との連設状態が異なる。すなわち、平行部における開放端の位置が異なる。さらに、上述した実施形態と本変形例とは、折り曲げ部62の位置が異なる。
【0030】
具体的には、図3(a)に示すように、本変形例では、アンテナ側平行部63(第1平行部)は、一端が立設部61と連設しており、他端が折れ曲がり部とが連設している。一方、基板側平行部64(第2平行部)は、一端が折れ曲がり部と連設しており、他端が開放端となっている。
また、本変形例では、折り曲げ部62が放射エレメント22eの近傍に配置される。
【0031】
このような板金6の形状とすることにより、携帯電話機1では、通話感度の低下を抑制することができる他に、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0032】
<第2の変形例>
次に、第2の変形例を、図3(b)を参照しながら説明する。図3(b)は、第2の変形例を示す断面図である。
【0033】
上述した実施形態と本変形例とは、アンテナ側平行部63の開放端側の端部の位置(長さ)が異なる。
具体的には、図3(b)に示すように、本変形例では、アンテナ側平行部63(第2平行部)の開放端側の端部の位置は、放射エレメント22eの近傍とされ、素子の長さが短くなっている。
【0034】
このような板金6の形状とすることにより、携帯電話機1では、素子の長さを短く構成できるとともに、通話感度の低下を抑制することができる他に、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0035】
<第3の変形例>
次に、第3の変形例を、図3(c)を参照しながら説明する。図3(c)は、第3の変形例を示す断面図である。
【0036】
上述した実施形態と本変形例とは、立設部61の位置及び折り曲げ部62の位置が異なる。
具体的には、図3(c)に示すように、本変形例では、操作部側回路基板21が放射エレメント22eの直下にあり、放射エレメント22eの直下に立設部61が配設される。また、折り曲げ部62が放射エレメント22eの近傍に配設される。
【0037】
このような板金6の形状とすることにより、携帯電話機1では、通話感度の低下を抑制することができる他に、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0038】
<第4の変形例>
次に、第4の変形例を、図3(d)を参照しながら説明する。図3(d)は、第4の変形例を示す断面図である。
本変形例は、上述した実施形態及び第1から第3の変形例とは異なり、図3(d)に示すように、アンテナ側平行部63と基板側平行部64との間に磁性シート70を介装する。この磁性シート70は、例えばフェライト等の磁性材料と合成樹脂材料とから形成される。
具体的には、磁性シート70がアンテナ側平行部63と基板側平行部64との間に位置し、基板側平行部64に接着されている。また、磁性シート70の端部は、立設部61及びアンテナ側平行部63の端部と面一状態とされる。
【0039】
このように板金6に磁性シート70を備えることにより、携帯電話機1は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる上に、基板回路側からのノイズを遮断することができるため、さらに、通話感度の低下を抑制することができる。
【0040】
なお、本変形例では、上述した実施形態に対応した板金6の形状と用いて説明したが、これに限られず、上述した各変形例他においてもアンテナ側平行部63と基板側平行部64との間に磁性シート70を介装可能であれば、どのような板金6の形状でも適用可能である。
【0041】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0042】
また、上述した本実施形態では、携帯電話機1は、折り畳み式の携帯電話機1として説明したがこれに限られず、フレキシブル接続基板51と通信アンテナ22を備えていれば、例えば、ストレート式の携帯電話機1に適用することも可能である。
【0043】
また、上述の実施形態では、本発明は、携帯電話機11を例として説明したが、特にこれに限定されない。本発明は、フレキシブル接続基板51の近傍に通信アンテナ22が配設されるような電子機器一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯電話機(携帯無線通信端末)
2 操作部側筐体(筐体)
3 表示部側筐体(筐体)
6 板金
21 操作部側基板(第1リジッド回路基板)
22 通信アンテナ(内蔵アンテナ)
22e 放射エレメント
31 表示部側基板(第2リジッド回路基板)
51 フレキシブル接続基板
61 立設部
62 折り曲げ部
63 アンテナ側平行部(第1平行部、第2平行部)
64 基板側平行部(第1平行部、第2平行部)
70 磁性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配設される第1リジッド回路基板と、
前記筐体内に配設される第2リジッド回路基板と、
前記第1リジッド回路基板と前記第2リジッド回路基板とを電気的に接続するフレキシブル接続基板と、
前記筐体内に配設される内蔵アンテナと、を備える携帯無線通信端末であって、
前記第1リジッド回路基板は、前記内蔵アンテナの給電部を有し、
前記フレキシブル接続基板は、
前記第1リジッド回路基板と前記内蔵アンテナの放射エレメントとの間に配設され、
一端が前記第1リジッド回路基板のグランド導体に電気的に接続され、他端が開放端となる所定形状の板金を有し、
前記板金は、
前記第1リジッド回路基板に立設するための立設部と、
前記第1リジッド回路基板と平行となり、かつ、前記立設部から延在する第1平行部と、該第1平行部から折り曲げ部を介して延在する第2平行部と、を有し、
該第1平行部と該第2平行部は、前記第1リジッド回路基板の厚み方向で平行となるように配設され、前記内蔵アンテナの放射エレメントと前記フレキシブル接続基板との間に配設されることを特徴とする携帯無線通信端末。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、U字形状に形成される請求項1記載の携帯無線通信端末。
【請求項3】
前記第1平行部は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置される請求項1記載の携帯無線通信端末。
【請求項4】
前記第2平行部は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置される請求項1記載の携帯無線通信端末。
【請求項5】
前記板金の開放端は、前記内蔵アンテナの放射エレメント側に隣接して配置される請求項1記載の携帯無線通信端末。
【請求項6】
前記折り曲げ部は、前記内蔵アンテナの放射エレメントの近傍に配置される請求項1記載の携帯無線通信端末。
【請求項7】
前記第1平行部と前記第2平行部との間には、磁性シートが介装される請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−138717(P2012−138717A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288931(P2010−288931)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】