説明

携帯簡易トイレ

【課題】洗浄することにより再使用が可能であって経済的であり、しっかり口を閉めることにより尿や便が臭ったりして周囲の人に迷惑を掛けるようなことがない携帯簡易トイレを提供する。
【解決手段】柔軟性を備えたゴムを素材とし、一端を受入口2、他端を排出口5として開口させた筒状本体1と、該筒状本体1の受入口2側に着脱自在に取着され該筒状本体1を挟んで該受入口2を密閉する第一締金具11aと、筒状本体1の排出口5側に着脱自在に取着され該筒状本体1を挟んで該排出口5を密閉する第二締金具11bと、筒状本体1を吊り下げると共に先端に着衣を係脱自在に挟む挟着具23aが取着される吊下具21と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路上の車中や震災時であって周囲にトイレがない場合も、簡単に排尿や排便を済ませることができる携帯簡易トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路上で渋滞に会い、しかも、この際に排尿または排便をもよおしたとき、周囲にトイレを備えたサービスエリアがあればそこまで行けばよいが、周囲に何もないとトイレのあるところまで移動する間我慢しなくてはならず、非常に困ることが起きる。このような事態のために、例えば携帯簡易トイレが開発されている。
【0003】
すなわち、前記携帯簡易トイレとして、例えば箱の中に三角形の柱を二本形成し、中央部に長方形の穴を貫通させた箱蓋を上から被せて尻を乗せる便座部を設け、更に、その上から凝固材が入った吸収性シートを入れた廃棄用ポリ袋を被せてなり、車の座席の上に置いて簡単、安全に排尿や排便ができるようにしたものが有る(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−289848号公報(第2−3頁、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係る携帯簡易トイレにあっては、周囲にトイレがない場合でも、その場で容易にかつ安全に排尿や排便ができるものの、箱と共にその中に収納する凝固剤が入った廃棄用ポリ袋を準備しなくてはならない。特に、箱は予備が必要になり、また、廃棄用ポリ袋は必要人数分揃えなくてはならない。しかも、凝固剤の入った廃棄用ポリ袋は一度使用すると、再利用がきかず二度使うようなことはないので、これら携帯簡易トイレを用意するに費用が嵩み不経済であるという課題が有る。また、車中で排尿や排便を済ませると、排気用ポリ袋の口はしっかりと締めにくいため、その口から臭気が漏れ易く、近くに広がり他人に迷惑を及ぼすといった課題も有る。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、洗浄することにより再使用が可能であって経済的であり、しかも、しっかり口を閉めることができ、尿や便が臭ったりして周囲の人に迷惑を掛けるようなことがない携帯簡易トイレを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明に係る携帯簡易トイレは、柔軟性を備えたゴムを素材とし、一端を受入口、他端を排出口として開口させた筒状本体と、前記筒状本体の受入口側に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで該受入口を密閉する第一締金具と、前記筒状本体の排出口側に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで該排出口を密閉する第二締金具と、前記筒状本体を吊り下げると共に先端に着衣を係脱自在に挟む挟着具が取着される吊下具と、からなることを特徴とする。
【0008】
この際、前記筒状本体における受入口と排出口との間に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで受入口側と排出口側とを二分して密閉する第三締金具を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯簡易トイレは、筒状本体が柔軟性を備えたゴムから成形されているので、丈夫で水洗いもできることから、使用後に洗浄することにより再使用が可能であって極めて経済的である。また、受入口側や排出口側は第一締金具や第二締金具によってしっかりと密閉されるので、筒状本体内に溜まった尿や便が漏れたり、その臭いが飛散して周囲の人に迷惑を掛けるようなことはないという効果を有する。
【0010】
また、前記筒状本体における受入口と排出口との間に該筒状本体を挟んで受入口側と排出口側とを二分して密閉する第三締金具を取着するようにすれば、筒状本体内に尿または便が溜まった状態で携帯簡易トイレを再び使用せねばならなくなった場合でも、第三締金具を取着することにより先に溜まった尿又は便が排出口側で密閉されるので、受入口を開き用を足すとき臭いが少なく、不快感なく用が足せるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る携帯簡易トイレの斜視図。
【図2】筒状本体の斜視図。
【図3】第一締金具の斜視図。
【図4】挟着具の斜視図。
【図5】図1のX−X線断面図。
【図6】(イ)は男性の使用状態を示す説明図、(ロ)は女性の使用状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯簡易トイレの最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。図1は本発明に係る携帯簡易トイレの斜視図、図2は筒状本体の斜視図、図3は第一締金具の斜視図、図4は挟着具の斜視図である。携帯簡易トイレAは、柔軟性を備えた合成ゴム、天然ゴムといったゴムからなる筒状本体1と、該筒状本体1を挟んで着脱自在に取着される第一乃至第三締金具11a,11b,11cと、筒体本体1を吊り下げるための吊下具21とからなる。
【0013】
前記筒状本体1は略縦長扁平状に形成され、上端に受入口2が開設されている。また、下端側は括れ部3が設けられると共にその外側に両側縁がテーパー状に広がる排出部4が延設され、該排出部4の下端に排出口5が開設されている。通常、筒状本体1の縦の寸法は例えば420mm、横の寸法は例えば180mmに設定される。これら寸法は例示であって、この寸法に限定されるものではない。
【0014】
第一締金具11aと他の第二・第三締金具11b,11cとは同じ構造からなるので、便宜上第一締金具11aについて説明する。第一締金具11aは、金属製であって一端で第一支軸18aにより互いに軸着される主杆12と副杆13とからなる。そして、主杆12における副杆13と重ね合わさる面にその長手方向に沿って凹条部14が形成され、副杆13における主杆12と重ね合わさる面にその長手方向に沿って前記凹条部14に嵌る凸条部15が形成されている。
【0015】
また、前記主杆12の他端に第二支軸18bにより該主杆12の回動面に沿って回動するロック部材16が軸着されている。該ロック部材16は、副杆13を主杆12側へ重ねるように回動させたとき、該副杆13の他端を向かい入れるように断面がU字状をなし、しかも、その回動する方向に沿った内周面16aが内側へ凸状に突出するように湾曲している。これに対し、前記副杆13の他端には該副杆13の回動面内で回転する円盤状の転子17が第三支軸18cにより軸着されている。そこで、第一支軸18aを中心として副杆13を回動させ主杆12と重ね合わせたとき、主杆12の凹条部14に副杆13の凸条部15が嵌る。
【0016】
この際、主杆12と副杆13との間に前記筒状本体1が入り挟着されることになる。この状態で、ロック部材16を副杆13側へ回動させ転子17に被せるようにする。これにより、転子17がロック部材16の内周面16aに接しながら転動し奥へ進む。ロック部材16の内周面16aは中央部が内側へ凸状に突出するように湾曲しているので、その奥へ進んだ転子17は自力で元の位置に戻ることができないことになる。これにより、ロックされた状態になり主杆12と副杆13とがしっかりと合わさって固定され、その間で挟着される筒状本体1が密閉される。
【0017】
前記吊下具21は一本のバンド22の両端、すなわち上端に挟着具23aが取着され下端に挟着具23bが取着される。これら挟着具23a,23bは、対向する面に互いに噛合する歯部24,24が設けられ、常にはコイルバネ(図示せず。)によりこれら歯部24,24が互いに噛み合うように付勢される一対の摘片25,25を備えている。よって、逆に両摘片25をコイルバネの付勢に抗して開くことによって噛み合いが解けることになる。前記吊下具21は本発明の場合例えば2本使用されるが、これに限られるものではなく、例えば3本または4本使用するようにしても良い。
【0018】
本発明に係る携帯簡易トイレAは上記構成からなり、つぎにその使用方法について説明する。まず、図5に示すように筒状本体1における排出口5側に第二締金具11bを取着し、主杆12と副杆13とにより筒状本体1を挟着して排出口5を密閉する。そして、該筒状本体1と共に他の第一締金具11a、第三締金具11c及び一対の吊下具21,21を一体として箱詰めし例えば自動車に乗せておく。
【0019】
そこで、高速道路を自動車で走行中に排尿または排便の用を足したくなったとき、男性の場合は前記箱から筒状本体1と共に他の第一締金具11a、第三締金具11c及び一対の吊下具21,21を取り出す。そして、図6(イ)に示すように筒状本体1の受入口2側で一側端縁に両バンド22,22における下端の挟着具23b,23bを挟着し、上端の挟着具23a,23aを着衣の適宜位置に挟着させる。次に、筒状本体1を股間に配置すると共に局部に対応させて受入口2を広く開ける。このようにして、排尿または排便を済ませ筒状本体1内に尿または便を収納する。
【0020】
排尿または排便の用が足せれば、筒状本体1における受入口2側に第一締金具11aを取着して該受入口2を密閉する。そして、各吊下具21の上端の挟着具23aを着衣から外すと共に下端の挟着具23bを筒状本体1から外す。また、筒状本体1の受入口2と排出口5の間で尿または便を排出口5側に位置させた状態で、それより上方に第三締金具11cを取着して密閉する。これにより、排出口5側の尿または便が受入口2側へ来ることはない。このように、筒状本体1を第三締金具11cにより二分するのは、一度使用した携帯簡易トイレAをそのまま二度使用する場合に尿または便が第三締金具11cにより密封されることになり、臭いが飛散することが少なく周囲の人が不快感を受けることがなくなるためである。よって、第三締金具11cは臭いを気にしなければ必ずしも必要とするものではない。
【0021】
一方、女性の場合は、図6(ロ)に示すように筒状本体1の受入口2側で前後壁の各端縁にそれぞれバンド22における下端の挟着具23bを挟着し、吊下具21の上端の挟着具23aを着衣の前後の適宜位置に挟着させる。そして、前記と同様に筒状本体1を股間に配置すると共に局部に対応させて受入口2を広く開ける。このようにして排尿または排便を済ませ筒状本体1内に尿または便を収納する。
【0022】
排尿または排便の用が足せれば、男性の場合と同様に筒状本体1における受入口2側に第一締金具11cを取着して該受入口2を密閉する。そして、各吊下具21の上端の挟着具23aを着衣から外すと共に下端の挟着具23bを筒状本体1から外す。また、同様に筒状本体1の受入口2と排出口5との間で尿または便を排出口5側に位置させた状態で、それより上方に第三締金具11cを取着することにより密閉する。これにより、排出口5側の尿または便が第三締金具11cの主杆12と副杆13との間を介して受入口2側へ来ることはない。
【0023】
このようにして、第一乃至第三締金具11a,11b,11cにより密閉された状態で筒状本体1内に尿または便を収容しておく。そして、第二締金具11bを外して排出口5を開放し、筒状本体1内の尿または便をトイレに流す。流した後の筒状本体1は、きれいに洗浄しておく。この場合、筒状本体1は両端が開放されているので内部の尿または便が排出し易い。筒状本体1の洗浄後は、再び筒状本体1の排出口5側に第二締金具11bを取着して排出口5を密閉しておく。
【0024】
本発明にあっては、携帯簡易トイレAを自動車の中で使用する場合について説明したが、この他に例えば震災時などで周囲に架設トイレがない場合でも使用できる。
【0025】
以上のように本発明に係る携帯簡易トイレAは、筒状本体1が柔軟性を備えたゴムによって成形されているので、丈夫で水洗いもでき、使用後には洗浄することにより再使用が可能である。また、受入口2側や排出口5側は第一締金具11aや第二締金具11bによってしっかりと密閉されるので、筒状本体1内に溜まった尿や便が漏れたり、その臭いが飛散して周囲の人に迷惑を掛け不快感を与えることはない。
【0026】
また、筒状本体1における受入口2と排出口5との間に該筒状本体1を挟んで受入口2側と排出口5側とを二分して密閉する第三締金具11cを取着するようにすれば、筒状本体1内に尿または便が溜まった状態で携帯簡易トイレAを再び使用しなくてはならなくなった場合でも、第三締金具11cにより先に溜まった尿又は便が排出口5側で密閉される。よって、受入口2を開き用を足すとき臭いが少なく、これにより不快感がなく排尿または排便の用が足せることになる。
【0027】
本発明にあっては、吊下具21の下端に挟着具23を取着し、該挟着具23を筒状本体1の上端縁部に挟着して筒状本体1を吊り下げるようにしたが、バンド22の下端を筒状本体1の外周面に固着するようにしても良い。例えば、バンド22も筒状本体1と同様にゴムの素材により一体成形により形成し、その上端のみに挟着具23aを取着するようにしても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 筒状本体
2 受入口
5 排出口
11a 第一締金具
11b 第二締金具
11c 第三締金具
21 吊下具
23a 挟着具
23b 挟着具
A 携帯簡易トイレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を備えたゴムを素材とし、一端を受入口、他端を排出口として開口させた筒状本体と、
前記筒状本体の受入口側に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで該受入口を密閉する第一締金具と、
前記筒状本体の排出口側に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで該排出口を密閉する第二締金具と、
前記筒状本体を吊り下げると共に先端に着衣を係脱自在に挟む挟着具が取着される吊下具と、からなることを特徴とする携帯簡易トイレ。
【請求項2】
前記筒状本体における受入口と排出口との間に着脱自在に取着され該筒状本体を挟んで受入口側と排出口側とを二分して密閉する第三締金具を備えた請求項1記載の携帯簡易トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179233(P2012−179233A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44038(P2011−44038)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(591240803)
【Fターム(参考)】