説明

撮像素子モジュール及びその電源回路

【課題】インダクタを備える昇降圧スイッチング回路の昇降圧動作によって、インダクタで発生する電磁ノイズが撮影画像に影響を与えないようにする。
【解決手段】撮像素子モジュールの電源回路5-4であって、スイッチングトランジスタ22,23及びインダクタ6により入力直流電圧を降圧して出力する降圧回路部20と、降圧回路部20と並列に設けられトランジスタ31のリニア定電圧動作によって入力直流電圧を降圧して出力するリニアレギュレータ回路部30と、降圧回路部20の前段又は後段に直列に接続され入力直流電圧をチャージポンプ動作又はチャージポンプ動作と昇圧スイッチング動作の切替によって昇圧して出力する昇圧回路部40と、撮像素子モジュールの撮影記録モード時に降圧回路部20の動作を停止させると共にリニアレギュレータ回路部30を動作させて撮像素子の駆動に必要な定電圧を供給させる制御コントロール部56とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像素子モジュール及びその電源回路に係り、特に、撮像した画像信号のノイズ低減を図ることができる撮像素子モジュール及びその電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子モジュールを搭載する電子機器(例えば携帯電話機等)は、高機能化,高性能化が進み、搭載部品数が増加すると共に表示パネルの大型化が図られている。このため、撮像素子モジュール自体を更に一層小型化せざるを得ず、撮像素子(イメージセンサ)にその電源回路を近接して設ける必要が生じている。
【0003】
図7は、近年の撮像素子モジュールの一例を示す断面図である。撮像素子モジュール1は、撮像素子2と、撮像素子2の光入射側に配置された撮影レンズ群3とで構成される。撮影レンズ群3の周囲には、フォーカス位置調整用やズーム調整用のアクチュエータ4が近接して設けられ、撮像素子2の周囲には、電子機器(装置本体)側のバッテリ電源から電力供給を受け、撮像素子2等を駆動する電圧を生成する電源回路5が近接して設けられている。
【0004】
バッテリ電源から電力供給を受け、電圧変換して所定の直流定電圧(例えば3.3V)を生成する電源回路には、スイッチング電源回路等が用いられる。この電圧変換を効率的に行うには、例えば特許文献1,2の回路図に示される様に、インダクタ(コイル)が使用される。
【0005】
つまり、図7に示す様に、撮像素子2には、電源回路5のインダクタ6が近接して配置されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005―168230号公報
【特許文献2】特開2005―198484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電源回路5のインダクタ6に電流が流れると、図7に示す様に、電磁ノイズ7が発生する。インダクタ6が撮像素子2に近接配置されていると、電磁ノイズ7
が撮像素子2に入ってしまう。
【0008】
近年の撮像素子2は、多画素化が進展したため微細化が進み、入射光量に応じて1画素1画素が検出する信号電荷量は小さくなっている。このため、微弱な電磁ノイズ7でも撮像画像の画質を劣化させてしまう。
【0009】
従来は、撮像素子2とインダクタ6の距離を或る程度とれたり、また、1画素1画素の大きさがそれほど小さくなかったため、この微弱な電磁ノイズはあまり問題とならなかったが、撮像素子モジュールの小型化が進んだため、この電磁ノイズに起因する画質劣化を回避する必要が生じてきている。
【0010】
電磁ノイズを発生しない、即ち、インダクタ6を使用しない電源回路を用いれば済むが、それでは電圧変換効率が下がってしまい、装置本体側のバッテリ寿命が短くなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、インダクタによる電磁ノイズの影響を避けて高品質な画像を撮像することができる撮像素子モジュールとその電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮像素子モジュールの電源回路は、スイッチングトランジスタ及びインダクタにより入力直流電圧を降圧して出力する降圧回路部と、該降圧回路部と並列に設けられトランジスタのリニア定電圧動作によって入力直流電圧を降圧して出力するリニアレギュレータ回路部と、前記降圧回路部の前段又は後段に直列に接続され入力直流電圧をチャージポンプ動作、またはチャージポンプ動作と昇圧スイッチング動作の切替によって昇圧して出力する昇圧回路部と、前記撮像素子モジュールの撮影記録モード時に前記降圧回路部の動作を停止させると共に前記リニアレギュレータ回路部を動作させて撮像素子の駆動に必要な定電圧を該撮像素子に供給させる制御コントロール部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の撮像素子モジュールは、上記の電源回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮影記録モード時の様に高品質な画像を撮像する動作モード時には、インダクタを用いた降圧動作を停止させ、替わりにリニアレギュレータ部を動作させて降圧動作を行わせるため、電磁ノイズの影響を回避した高品質な被写体画像を撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源回路の回路図である。
【図2】図1に示す電源回路の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る電源回路の回路図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る電源回路の回路図である。
【図5】図4に示す電源回路の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る電源回路の回路図である。
【図7】撮像素子モジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電源回路5―1の回路図である。本実施形態の電源回路5―1は、装置本体側(例えば携帯電話機側)のバッテリ8から電力供給を受け、電力変換し、撮像素子2(例えば、CMOS型イメージセンサ)に例えば3.3Vの直流定電圧を供給する。
【0018】
バッテリ8の出力電圧は、満充電時の4.8V程度の状態から、電池消費が進み2.3V程度まで電圧降下した状態まで変化する。この変化した電圧から、電源回路5―1は、3.3Vの定電圧を生成する必要があるため、昇圧回路と降圧回路の組合せで電源回路5―1は構成される。
【0019】
本実施形態のカメラモジュール用昇降圧電源回路5―1は、バッテリ8の出力線に接続される降圧スイッチング回路部20と、バッテリ8の出力線に接続され降圧スイッチング回路部20に並列に設けられたリニアレギュレータ回路部30と、降圧スイッチング回路部20及びリニアレギュレータ回路部30の出力に接続された昇圧スイッチング回路部40とを備えて構成される。
【0020】
昇圧スイッチング回路部40の出力線とアースとの間には出力キャパシタ(コンデンサ)51が接続され、撮像素子2の駆動に必要な所定の直流定電圧(図示の例では3.3V)が撮像素子2に供給される。
【0021】
昇圧スイッチング回路部40の出力端とアースとの間には誤差検出抵抗52,53が直列接続され、抵抗52と抵抗53との接続点が比較器54の一方の入力端に接続されている。比較器54の他方の接続端には基準電圧値55が入力され、比較器54の比較結果がモード制御コントローラ56に入力される。
【0022】
モード制御コントローラ56は、動作させる回路部20,30,40を選択すると共に動作させる回路部の昇圧程度,降圧程度等の制御指示を行うものであり、比較器54の比較結果の他に、バッテリ8の出力線に接続された入力電圧検出器57の検出結果と、後述するモード切替信号58とが入力され、これらに基づいて、降圧スイッチング回路部20とリニアレギュレータ回路部30と昇圧スイッチング回路部40とを制御する。
【0023】
降圧スイッチング回路部20は、バックス(Buck)スイッチング(図ではスイッチングを“SW”と略記する。)コントローラ21と、NMOSトランジスタ22と、PMOSトランジスタ23と、インダクタ6とを備えて構成され、コントローラ21は、トランジスタ22,23の各ゲートを、モード制御コントローラ56からの指示に基づいてオンオフ制御(スイッチング制御)する。
【0024】
PMOSトランジスタ23のソースがバッテリ8の出力線に接続され、PMOSトランジスタ23のドレインとNMOSトランジスタ22のドレインとがインダクタ6の入力端子に接続され、NMOSトランジスタ22のソースがアースに接続される。インダクタ6の出力端が、この降圧スイッチング回路部20の出力線となる。
【0025】
リニアレギュレータ回路部30は、バッテリ8の出力線にソース端子が接続されたPMOSトランジスタ31と、PMOSトランジスタ31のゲートをモード制御コントローラ56の指示に基づいて 降圧スイッチング回路部20と切替え、リニア定電圧制御するLDO(低ドロップアウト)コントローラ32とを備えて構成される。PMOSトランジスタ31のドレインが、回路部20の出力線(インダクタ6の出力線)に接続される。
【0026】
昇圧スイッチング回路部40は、回路部20の出力線(=回路部40の入力線)とアースとの間に直列接続された2つのNMOSトランジスタ41,42と、回路部40の入力線と回路部40の出力線との間に直接接続された2つのPMOSトランジスタ43,44と、トランジスタ41,42の接続点とトランジスタ43,44の接続点との間に接続されたチャージキャパシタ45と、各トランジスタ41〜44の各ゲートをモード制御コントローラ56からの指示に基づいてオンオフ制御するブースト(orチャージポンプ)スイッチングコントローラ46とを備えて構成される。
【0027】
NMOSトランジスタ41のドレインが回路部40の入力線に接続され、ソースがトランジスタ42のドレインに接続され、トランジスタ42のソースがアースに接続される。PMOSトランジスタ43のソースが回路40の入力線に接続され、ドレインがトランジスタ44のソースに接続され、トランジスタ44のドレインが、回路40の出力線となる。
【0028】
斯かる構成の電源回路5―1で、インダクタ6にインダクタ電流を流すことで電磁ノイズが発生しても問題が生じない撮影モードがある。例えば、撮像素子2から動画状態で出力される画像を図示省略の装置本体側液晶表示部にスルー画像として表示し、ユーザが液晶表示部のスルー画像を見ながら被写体構図などを考えているときには、少々の電磁ノイズがスルー画像に乗っても何ら問題はない。
【0029】
この様な撮影モード時には、図1の電源回路5―1の回路部20,40を用い、通常のバックブースト(Buck/Boost)方式の昇降圧電源回路として動作させる。これにより、インダクタ6を用いた高効率且つ安定な電力変換を行うことができる。このとき、チャージポンプ用のトランジスタ41,43はショート状態(オン状態に維持)として、チャージキャパシタ45はショート状態とする。
【0030】
実際に撮影を行うモード時、つまり撮影及び記録を行うモード時には、ユーザはシャッタレリーズボタンを押下する。これにより、撮像素子2からアナログの撮像画像データが読み出され、アナログフロントエンド(AFE)でAFE処理された後、デジタルデータに変換され、装置本体側のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)に撮像画像データが出力される。装置本体側で周知の画像処理が行われ、記録メディアに撮影画像(静止画像又は動画像)が保存される。このレリーズボタンの押下タイミングからAFE処理後のデジタルデータに変換されるまでの間に、電磁ノイズが発生すると、この電磁ノイズは撮影画像の画質に影響を与えることになる。
【0031】
そこで、インダクタ6による電磁ノイズを避けたい撮影モード時には、降圧スイッチング回路部20の動作を停止させ、代わりに、リニアレギュレータ回路部30に降圧動作をさせる。即ち、バッテリ8の出力電圧は、降圧スイッチング回路部20と切替え、定電圧制御されたトランジスタ31を通って昇圧スイッチング回路部40に入力されることになる。これにより、インダクタ6による電磁ノイズの発生を防止することができる。
【0032】
このリニアレギュレータ回路部30を用いるとき、バッテリ8の出力電圧が高い場合と低い場合とで、昇圧スイッチング回路部40の動作を切り替えて、所望の3.3Vの出力電圧を得ることになる。
【0033】
そこで、入力電圧検出器57によりバッテリ8の出力電圧を検出する。このバッテリ8の出力電圧が所定の閾値電圧(例えば3.5V:後段の降圧動作だけで3.3Vが生成できる電圧)以上と高い場合には、昇圧動作が必要無いため、昇圧スイッチング回路部40の動作を停止させ、リニアレギュレータ回路部30の出力が直接出力されるようにする。即ち、コントローラ46により、チャージポンプスイッチ用のトランジスタ43,44を常時オン、トランジスタ41,42を常時オフさせる。これにより、リニアレギュレータ回路部30の出力が直接、出力コンデンサ51を通して撮像素子2に入力される。
【0034】
バッテリ8の出力電圧が低く、3.3Vを得るために昇圧が必要となる場合には、昇圧スイッチング回路部40で昇圧動作を行わせる。このとき、リニアレギュレータ回路部30と昇圧スイッチング回路部40のチャージポンプ動作との組合せにより、Vout/2がリニアレギュレータ回路部30の出力となるように比較器54で検出し、チャージポンプ回路で2倍の昇圧動作を行い、所望の3.3Vの出力を得る。
【0035】
図2は、図1の電源回路5―1の動作手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS1で、電源回路5―1に入力される入力電圧を入力電圧検出器57で検出する。そして、次のステップS2で、入力電圧が、上記の閾値(例えば3.5V)以上であるか否かを判定する。入力電圧が閾値電圧未満の場合にはステップS3に進み、昇圧スイッチング回路部40を動作可能状態にすると共に、インダクタ6を使用した昇圧スイッチング電源の動作を行う。即ち、チャージポンプ動作に必要となるトランジスタ43,41はオン状態に固定され、トランジスタ44,42による昇圧スイッチング動作となる。
【0036】
次のステップS4ではモード切替信号を検出し、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が有るか否かを判定する(ステップS5)。電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号は、例えばこのカメラモジュールに搭載されカメラモジュールの各種制御を統括するCPUから発行される。ステップS5の判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が無い場合には、昇圧スイッチング回路部40の方を動作させ、降圧スイッチング回路部20のトランジスタ23を常時ONさせる(ステップS6)。これにより、回路部20,40の昇降圧回路で3.3Vが生成され出力される。
【0037】
ステップS5の判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が有ると判定された場合、ステップS7に進み、リニアレギュレータ回路部30を動作状態にすると共に降圧スイッチング回路部20を動作停止させ、ステップS8で、リニアレギュレータ回路部30と昇圧スイッチング回路部40のチャージポンプ動作とによって、インダクタ6を介さずに 3.3Vを出力させる。
【0038】
ステップS2の判定の結果、入力電圧が閾値電圧以上の場合にはステップS11に進み、降圧スイッチング回路部20を動作可能状態にさせる共に、昇圧スイッチング回路部40の動作をオフとする。即ち、出力と直列に接続されたトランジスタ43、44はオン状態に固定し、トランジスタ41、42はオフ状態に固定する。
【0039】
次のステップS12ではモード切替信号を検出し、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が有るか否かを判定する(ステップS13)。この判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が無い場合には、降圧スイッチング回路部20を動作させ(ステップS14)、3.3Vを生成して出力する。
【0040】
ステップS13の判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が有ると判定された場合、ステップS15に進み、リニアレギュレータ回路部30を動作状態にすると共に降圧スイッチング回路部20を動作停止させ、ステップS16で、リニアレギュレータ回路部30の動作によって3.3Vを生成し出力させる。
【0041】
図3は、本発明の第2実施形態に係る電源回路5―2の回路図である。図1の回路図と類似する回路部には同じ符号を付け、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
装置本体側のバッテリ8と撮像素子2との間に設ける本実施形態の電源回路5―2は、前段側(バッテリ8側)にインダクタを使用しないチャージポンプ方式の昇圧スイッチング回路部40を設け、後段側(撮像素子2側)に降圧スイッチング回路部20を設け、この降圧スイッチング回路部20と並列に、リニアレギュレータ回路部30を設けている。
【0043】
昇圧スイッチング回路部40は、図1と同様に、トランジスタ41〜44と、チャージキャパシタ45と、コントローラ46を備えると共に、出力線とアースとの間にチャージポンプ出力キャパシタ(コンデンサ)47を備える。
【0044】
降圧スイッチング回路部20は、コントローラ21と、トランジスタ22,23と、インダクタ6の他に、図1と同様の比較器54,分割抵抗52,53,基準電圧55を備えるが、図1とは異なり、比較器54の比較結果をコントローラ21に入力させる。
【0045】
リニアレギュレータ回路部30は、トランジスタ31とコントローラ32とを備え、トランジスタ31は、昇圧スイッチング回路部40の出力電圧を出力キャパシタ51にバイパスする様になっている。そして、トランジスタ31のドレイン出力電圧をコントローラ32にフィードバックする構成となっている。
【0046】
モード制御コントローラ56は、モード切替信号に応じて、各コントローラ46,32,21に指示を出す。
【0047】
この実施形態では、撮影記録モード時など電磁ノイズを回避する撮影モード時には、インダクタ6に電流を流さない様に、リニアレギュレータ回路部30による降圧動作が使用される。電磁ノイズの影響が存在しても問題無い動作モードでは、電力変換効率の高い降圧スイッチング回路部20を動作させ、バッテリ8の長寿命化を図る。
【0048】
図4は、本発明の第3実施形態に係る電源回路5―3の回路図である。図3の第3実施形態に加えて、モード制御コントローラ56でオンオフ制御されるトランジスタで構成されたバイパススイッチ61と、電源回路5―3への入力電圧を検出し検出結果をモード制御コントローラ56に出力する入力電圧検出器57を備える点が異なる。
【0049】
このトランジスタ61は、バッテリ8の出力線と昇圧スイッチング回路部40の出力線との間に設けられ、オン状態で両者間をショートする構成になっている。即ち、ショートされると、バッテリ8の出力電圧が直接、リニアレギュレータ回路部30及び降圧スイッチング回路部20の入力に印加される構成となっている。
【0050】
図5は、図4に示す電源回路5―3の動作手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS21で、電源回路5―3に入力される入力電圧を入力電圧検出器57で検出する。そして、次のステップS22で、入力電圧が、3.3Vを出力するために必要な降圧動作,昇圧動作の動作切替のための判断とする閾値(例えば3.5V)以上であるか否かを判定する。
【0051】
入力電圧が閾値電圧未満の場合には、昇圧する必要があるため、ステップS23で昇圧スイッチング回路部40を動作させ、リニアレギュレータ回路部30及び降圧スイッチング回路部20の入力に印加してステップS24に進む。
入力電圧が閾値電圧以上の場合には、昇圧する必要が無いため、ステップS27でバイパススイッチング61をONし、昇圧スイッチング回路部40を停止させ、リニアレギュレータ回路部30及び降圧スイッチング回路部20の入力に印加してステップS24に進む。
【0052】
ステップS24ではモード切替信号を検出する。そして、ステップS25で電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が有るか否かを判定する。
【0053】
ステップS25の判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が無い場合には、降圧スイッチング回路部20も動作させ、3.3Vを降圧スイッチング回路部20から撮像素子2に出力させる。
【0054】
ステップS25の判定の結果、電磁ノイズ回避の撮影モードへの切替信号が発生している場合には、ステップS25からステップS28に進み、リニアレギュレータ回路部30を動作オンさせると共に降圧スイッチング回路部20を動作オフとして、リニアレギュレータ回路部30から3.3Vを撮像素子2に出力させる。
【0055】
この様に本実施形態では、電磁ノイズ回避が必要な動作モードの場合には、インダクタ6への通電を停止して3.3Vを生成するため、高品質な被写体画像を撮影することが可能となる。また、バッテリ8の出力電圧が高い場合に、昇圧スイッチング回路部40のチャージポンプ動作を停止させ、不要な昇圧動作を行わないため、トランジスタのスイッチング動作に伴うノイズを低減でき、更に昇圧動作によるチャージポンプ回路の損失も回避でき、後段のリニアレギュレータ回路部30を選択した場合の損失を低減することが可能となる。
【0056】
図6は、本発明の第4実施形態に係る電源回路5―4の回路図である。図4に示す電源回路5―3に比べて、バイパス用のトランジスタ61を削除した点だけが図4の実施形態と異なるだけである。
【0057】
この第4実施形態の電源回路5―4では、図4のバイパストランジスタ61をオンにする代わりに、昇圧スイッチング回路部40のトランジスタ41,42を常時オフ、トランジスタ43,44を常時オンとすることで、バッテリ8の出力電圧をリニアレギュレータ回路部30と降圧スイッチング回路部20の入力端子に直接入力する点が異なるだけである。
【0058】
以上述べた様に、本実施形態による撮像素子モジュールの電源回路は、スイッチングトランジスタ及びインダクタにより入力直流電圧を降圧して出力する降圧回路部と、該降圧回路部と並列に設けられトランジスタのリニア定電圧動作によって入力直流電圧を降圧して出力するリニアレギュレータ回路部と、前記降圧回路部の前段又は後段に直列に接続され入力直流電圧をチャージポンプ動作、またはチャージポンプ動作と昇圧スイッチング動作の切替によって昇圧して出力する昇圧回路部と、前記撮像素子モジュールの撮影記録モード時に前記降圧回路部の動作を停止させると共に前記リニアレギュレータ回路部を動作させて撮像素子の駆動に必要な定電圧を該撮像素子に供給させる制御コントロール部とを備えることを特徴とする。
【0059】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記電源回路の入力直流電圧を検出する入力電圧検出手段を備え、前記制御コントロール部は、該入力直流電圧が閾値電圧以上の場合に前記昇圧回路部による昇圧動作を停止させることを特徴とする。
【0060】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記昇圧回路部が前記降圧回路部の後段に直列接続されることを特徴とする。
【0061】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記撮影記録モード時の前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧未満の場合、前記制御コントロール部は、前記リニアレギュレータ回路部に前記撮像素子の駆動に必要な定電圧の1/2の電圧を生成させて出力させる共に、前記昇圧回路部に入力電圧を2倍に昇圧させて前記撮像素子に出力させることを特徴とする。
【0062】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記撮影記録モード時の前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上の場合、前記制御コントロール部は、前記リニアレギュレータ回路部の出力を前記撮像素子の駆動に必要な定電圧にさせると共に前記昇圧回路部に該定電圧をバイパスさせて前記撮像素子に出力させることを特徴とする。
【0063】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記昇圧回路部は前記降圧回路部の前段に直列接続されることを特徴とする。
【0064】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記昇圧回路部をバイパスするスイッチ回路を設け、前記制御コントロール部は、前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上のとき前記スイッチ回路をショート状態として前記昇圧回路部による昇圧動作を停止させることを特徴とする。
【0065】
また、実施形態の撮像素子モジュールの電源回路は、前記制御コントロール部は、前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上のとき、前記昇圧回路部の動作を制御し、該昇圧回路に入力する前記入力直流電圧をそのまま該昇圧回路から出力させることを特徴とする。
【0066】
また、実施形態の撮像素子モジュールは、上記のいずれかに記載の電源回路を備えたことを特徴とする。
【0067】
以上述べた実施形態によれば、撮影記録モード時の様に高品質な画像を撮像する動作モード時には、インダクタ6を用いた降圧動作を停止させ、替わりにリニアレギュレータ部を動作させて降圧動作を行わせるため、電磁ノイズの影響を回避した高品質な被写体画像を撮影することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る撮像素子モジュールの電源回路は、電磁ノイズの影響が撮像画像の品質に影響を及ぼす撮影モード時には電磁ノイズの発生を回避して所望の直流電圧を生成するため、小型の電子機器、例えば携帯電話機等に搭載する撮像素子モジュールに適用すると有用である。
【符号の説明】
【0069】
2 撮像素子
5,5―1,5―2,5―3,5―4 電源回路
6 電磁ノイズ発生源となるインダクタ
8 装置本体側のバッテリ
20 降圧スイッチング回路部
30 リニアレギュレータ回路部
40 昇圧スイッチング回路部
51 出力キャパシタ
58 モード切替信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子モジュールの電源回路であって、スイッチングトランジスタ及びインダクタにより入力直流電圧を降圧して出力する降圧回路部と、該降圧回路部と並列に設けられトランジスタのリニア定電圧動作によって入力直流電圧を降圧して出力するリニアレギュレータ回路部と、前記降圧回路部の前段又は後段に直列に接続され入力直流電圧をチャージポンプ動作、またはチャージポンプ動作と昇圧スイッチング動作の切替によって昇圧して出力する昇圧回路部と、前記撮像素子モジュールの撮影記録モード時に前記降圧回路部の動作を停止させると共に前記リニアレギュレータ回路部を動作させ撮像素子の駆動に必要な定電圧を該撮像素子に供給させる制御コントロール部とを備える撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、該電源回路の入力直流電圧を検出する入力電圧検出手段を備え、前記制御コントロール部は、該入力直流電圧が閾値電圧以上の場合に前記昇圧回路部による昇圧動作を停止させる撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記昇圧回路部は前記降圧回路部の後段に直列接続される撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記撮影記録モード時の前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧未満の場合、前記制御コントロール部は、前記リニアレギュレータ回路部に前記撮像素子の駆動に必要な定電圧の1/2の電圧を生成させて出力させる共に、前記昇圧回路部に入力電圧を2倍に昇圧させて前記撮像素子に出力させる撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記撮影記録モード時の前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上の場合、前記制御コントロール部は、前記リニアレギュレータ回路部の出力を前記撮像素子の駆動に必要な定電圧にさせると共に前記昇圧回路部に該定電圧をバイパスさせて前記撮像素子に出力させる撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記昇圧回路部は前記降圧回路部の前段に直列接続される撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記昇圧回路部をバイパスするスイッチ回路を設け、前記制御コントロール部は、前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上のとき前記スイッチ回路をショート状態として前記昇圧回路部による昇圧動作を停止させる撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項8】
請求項6に記載の撮像素子モジュールの電源回路であって、前記制御コントロール部は、前記電源回路の入力直流電圧が閾値電圧以上のとき、前記昇圧回路部の動作を制御し、該昇圧回路に入力する前記入力直流電圧をそのまま該昇圧回路から出力させる撮像素子モジュールの電源回路。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電源回路を備えた撮像素子モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−65939(P2013−65939A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202006(P2011−202006)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】