説明

撮像素子製造装置

【課題】撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する場合において、出力を補間することができなくなる撮像画素の増加を抑えることが可能な撮像素子製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の撮像画素のうち、欠陥画素を検出する欠陥画素検出部130と、光学部材211の複数の配置パターンのうち、欠陥画素又は焦点検出用画素によって出力を補間することができない撮像画素の数が最も少ない配置パターンを求める解析部131と、解析部131により求められた配置パターンで光学部材211が配置されるように、光学部材211に対する撮像素子127の位置を調整する指示出力部132とを備えて撮像素子製造装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する撮像素子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次元状に配列された複数の撮像画素の一部を位相差検出方式の焦点検出用画素として使用し、撮像と焦点検出とを1つの撮像素子で行う撮像装置が提案されている。この撮像装置では、位相差検出方式の遮光マスクとして光学部材が焦点検出用画素上に配置されるため、その焦点検出用画素を擬似的に欠陥画素として取り扱う必要がある。
【0003】
そのため、焦点検出用画素の出力をその焦点検出用画素の周囲の撮像画素の出力により補間する撮像装置が提案されている。
【0004】
例えば、焦点検出用画素をG色のフィルタに相当する画素で形成し、撮影画像を形成する場合には、焦点検出用画素の出力をその周辺の撮像画素の出力を用いて補間する撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、例えば、焦点検出用画素の周辺に配置された撮像画素の出力を連続性がある方向に応じて処理し、焦点検出用画素の出力を求める撮像装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
これらの撮像装置によれば、撮像画素の一部を焦点検出用画素として使用しても、良好な画素補間が可能になり、劣化の少ない画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2009−094881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のいずれの撮像装置も、例えば、撮像素子製造時に発生した欠陥画素と、焦点検出用画素とが互いに接して見かけ上、大きな欠陥画素ブロックが生じてしまう場合、その欠陥画素ブロック内のある撮像画素の出力の補間のために使用される撮像画素に欠陥画素が含まれてしまう確率が高くなるため、出力を補間することができなくなる欠陥画素が増えてしまうおそれがある。また、撮像画素の出力の補間のために使用される撮像画素に欠陥画素が含まれてしまう確率が高くなると、撮影画像の画質が低下してしまうという問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する場合において、出力を補間することができなくなる撮像画素の増加を抑えることが可能な撮像素子製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像素子製造装置は、撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する撮像素子製造装置であって、欠陥画素検出手段と、解析手段と、位置調整手段とを備える。
【0011】
前記欠陥画素検出手段は、前記複数の撮像画素のうち、欠陥画素を検出する。
【0012】
前記解析手段は、前記光学部材の複数の配置パターンのうち、前記欠陥画素又は前記焦点検出用画素によって出力を補間することができない前記撮像画素の数が最も少ない配置パターンを求める。
【0013】
前記位置調整手段は、前記解析手段により求められた配置パターンで前記光学部材が配置されるように、前記光学部材に対する前記撮像素子の位置を調整する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する場合において、出力を補間することができなくなる撮像画素の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の撮像素子製造装置を示す図である。
【図2】撮像素子の一例を示す図である。
【図3】光学部材の一例を示す図である。
【図4】制御部の動作を説明するフローチャートを示す図である。
【図5】S304の動作を説明するフローチャートを示す図である。
【図6】欠陥画素及び光学部材の配置パターンの一例を示す図である。
【図7】焦点検出用画素を示す図である。
【図8】欠陥画素及び光学部材の配置パターンの一例を示す図である。
【図9】焦点検出用画素を示す図である。
【図10】欠陥画素及び光学部材の配置パターンの一例を示す図である。
【図11】焦点検出用画素を示す図である。
【図12】欠陥画素及び光学部材の配置パターンの一例を示す図である。
【図13】焦点検出用画素を示す図である。
【図14】制御部の動作を説明するフローチャートを示す図である。
【図15】S706の動作を説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態の撮像素子製造装置を示す図である。
【0017】
図1に示す撮像素子製造装置は、操作部111(例えば、タッチパネルなど)と、表示部112(例えば、モニタ)と、装置制御部113と、制御部116(例えば、CPUなど)と、光源117と、Yステージ119と、画像読み込み部120と、ステージコントロール部121と、電源ドライバ122と、Yステージモータ123と、Xステージ124と、電源ドライバ125と、Xステージモータ126とを備える。
【0018】
制御部116は、欠陥画素検出部130(欠陥画素検出手段)と、解析部131(解析手段)と、指示出力部132と、記憶部133とを備える。
【0019】
欠陥画素検出部130は、撮像素子127において二次元状に配置される複数の撮像画素のうち、撮像素子127の製造時に発生する欠陥画素を検出する。この欠陥画素検出部130は、例えば、後述するS804やS1006などの制御部116の動作に相当し、ハードウェアにより構成されてもよいし、ソフトウェアにより構成されてもよい。
【0020】
解析部131は、光学部材211の複数の配置パターンのうち、欠陥画素又は位相差検出方式の焦点検出用画素によって出力を補間することができない撮像画素の数が最も少ない配置パターンを求める。この解析部131は、例えば、後述するS802〜S807及びS308やS1002〜S1013などの制御部116の動作に相当し、ハードウェアにより構成されてもよいし、ソフトウェアにより構成されてもよい。
【0021】
指示出力部132は、光学部材211に対する撮像素子127の位置を調整するための制御信号をステージコントロール部121に出力する。この指示出力部132は、例えば、後述するS309やS707などの制御部116の動作に相当し、ハードウェアにより構成されてもよいし、ソフトウェアにより構成されてもよい。また、特許請求の範囲における位置調整手段は、例えば、指示出力部132、ステージコントロール部121、電源ドライバ122、Yステージモータ123、Xステージ124、電源ドライバ125、及びXステージモータ126などを含んで構成されてもよい。
【0022】
本実施形態の撮像素子製造装置における撮影画像の生成動作について説明する。
【0023】
まず、撮像素子127がYステージ119及びXステージ124上にセットされる。例えば、(i,j)の二次元座標において配列される、複数の撮像画素(図2では、複数の撮像画素のうちの一部の撮像画素として16×24の撮像画素を示している)からなる撮像素子127がYステージ119及びXステージ124上にセットされる。このとき、例えば、図3に示すように、複数の遮光マスク212を備える光学部材211が撮像素子127上に配置されているものとする。
【0024】
次に、オペレータなどにより操作部111が操作されるなどして制御部116から装置制御部113に光源制御信号が出力されると、装置制御部113は、光源117を点灯させる。なお、光源は一様光源とする。
【0025】
次に、光源117からの光が不図示の集光レンズ及び光学部材211を介して撮像素子127に集光すると、撮像素子127は、各撮像画素において輝度を電圧に変換し、それら電圧を連続した各画素値として画像読み込み部120に出カする。
【0026】
次に、画像読み込み部120に備えられるA/D変換器は、撮像素子127から出力される各画素値を時間軸で分割してアナログからデジタルに変換した後、制御部116に出力する。
【0027】
そして、制御部116は、画像読み込み部120から出力される各画素値により撮影画像を生成して表示部112などに表示する。このとき、制御部116は、欠陥画素の周囲に配置される撮像画素から出力される画素値を使用して欠陥画素の画素値を補間する。すなわち、例えば、図2に示す撮像素子127において、(3,4)に位置する撮像画素を欠陥画素とし、その欠陥画素を補間するために使用される撮像画素を(1,4)、(5,4)、(3,2)、(3,6)にそれぞれ位置する撮像画素とし、それら撮像画素のそれぞれの画素値をGr14、Gr54、Gr32、Gr36とすると、(3,4)に位置する撮像画素の補間画素値Gr34は、Gr34=(Gr14+Gr54+Gr32+Gr36)/4を計算することにより求められる。このように、欠陥画素の画素値を補間する場合、その欠陥画素を中心に5画素×5画素の領域の撮像画素が必要になる。
【0028】
次に、本実施形態の撮像素子製造装置において撮像素子127を目標位置に移動させる際の制御部116の動作について説明する。なお、撮像素子127は、Xステージ124及びYステージ119により、Xステージ124の移動方向であるX方向、又は、Yステージ119の移動方向であるY方向に移動するものとする。また、撮像素子127は、X方向及びY方向からなる二次元座標のある点を中心としてθ方向に回転させてもよい。
【0029】
まず、制御部116は、現在の撮像素子127の位置(例えば、二次元座標における撮像素子127の中央の画素の位置)から目標位置までの距離(例えば、画素数)を算出する。
【0030】
次に、制御部116は、算出した距離を、予め校正しておいた撮像素子127の1画素の長さに基づいて、Xステージ124及びYステージ119上の物理長に換算し、その換算した距離を示す制御信号をステージコントロール部121に出力する。
【0031】
次に、ステージコントロール部121は、制御部116から出力される制御信号に示される距離に基づいて、Xステージ124の移動距離LxとYステージ119の移動距離Lyを求める。
【0032】
そして、ステージコントロール部121は、移動距離Lxに相当する駆動信号(例えば、パルス電圧)を電源ドライバ125を介してXステージモータ126に出力してXステージモータ126を駆動するとともに、移動距離Lyに相当する駆動信号を電源ドライバ122を介してYステージモータ123に出力してYステージモータ123を駆動する。
【0033】
これにより、撮像素子127を目標位置に移動させることができる。
【0034】
なお、ステージコントロール部121から電源ドライバ125や電源ドライバ122を介してXステージモータ126やYステージモータ123に出力される駆動信号のパルス数のカウントミスが発生し、撮像素子127が目標位置に移動しなかった場合、再度、制御部116において、現在の撮像素子127の位置から目標位置までの距離が算出され、新たな制御信号がステージコントロール部121に出力されるものとする。
【0035】
次に、撮像素子127に光学部材211を配置する際の制御部116の動作について説明する。
【0036】
図4は、撮像素子127に光学部材211を配置する際の制御部116の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。なお、光学部材211は撮像素子127上に配置されており、撮像素子127の移動に伴って光学部材211の配置パターンが変化し、焦点検出用画素(擬似的欠陥画素)として使用される撮像画素の位置も変化するものとする。
【0037】
処理が開始されると(S301)、まず、制御部116は、撮像素子127の複数の撮像画素において、撮像素子127の製造時に発生した欠陥画素の有無をチェックした後、Xステージ124及びYステージ119のそれぞれの位置の初期化を行う(S302)。例えば、制御部116は、撮像素子127から出力される各画素値のうち、予め設定される規定値以上の画素値を出力している画素を欠陥画素とする。また、例えば、制御部116は、ステージコントロール部121に制御信号を出力して、Xステージ124を予め設定されるX方向の初期位置に移動させるとともに、Yステージ119を予め設定されるY方向の位置に移動させる。
【0038】
次に、制御部116は、画像読み込み部120に撮影指示を出力し、画像読み込み部120から出力される各画素値を記憶部133に記憶する(S303)。
【0039】
次に、制御部116は、記憶部133に記憶した各画素値を解析して(S304)、その解析結果を記憶部133に記憶する(S305)。
【0040】
次に、制御部116は、予め設定される複数の解析用目標位置のうちの次の解析用目標位置に撮像素子127を移動させる(S306)。このとき、例えば、制御部116は、1画素ずつ又は所定数の画素ずつ撮像素子127を移動させる。
【0041】
次に、制御部116は、すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させたか否かを判断する(S307)。
【0042】
すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させていないと判断した場合(S307がNo)、制御部116は、S303に戻る。
【0043】
一方、すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させたと判断した場合(S307がYes)、制御部116は、記憶部133に記憶されている、解析用目標位置毎の解析結果に基づいて、欠陥画素又は焦点検出用画素によって出力を補間することができない撮像画素の数が最も少なくなる場合の撮像素子127の最適な目標位置を求める(S308)。
【0044】
次に、制御部116は、その最適な目標位置に撮像素子127を移動させる(S309)。
【0045】
次に、制御部116は、移動後の撮像素子127を仮固定した後、撮像素子127と光学部材211との間の熱硬化性接着剤を加熱して熱硬化性接着剤を軟化させた後、その熱硬化性接着剤を冷却して熱硬化性接着剤を硬化させることにより、撮像素子127と光学部材211を接着させる(S310)。
【0046】
そして、制御部116は、画像読み込み部120から出力される各画素値に基づいて、撮像素子127の電気的な最終チェックを行って終了する(S311)。
【0047】
次に、図4のS304の動作について説明する。
【0048】
図5は、S304の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0049】
まず、制御部116は、図4のS303において記憶部133に記憶した各画素値を2つの閾値th1,th2(th1<th2)を用いて2値化する(S802)。例えば、制御部116は、画素値をPとするとき、th1<P<th2の範囲の画素を出力する撮像画素は正常な撮像画素として0(ゼロ)、それ以外の撮像画素は欠陥画素として1とする。
【0050】
次に、制御部116は、ある解析用目標位置に撮像素子127を移動させた場合において、欠陥画素や焦点検出用画素とにより出力を補間することができない撮像画素を有する欠陥画素ブロックの数を示す補間可能評価値を初期化する(S803)。
【0051】
次に、制御部116は、S802において2値化した各画素値を用いて、欠陥画素ブロックを検出する(S804)。例えば、制御部116は、ある解析用目標位置に撮像素子127が移動された場合の撮像素子127の全画素において、1つの欠陥画素を検出すると、その欠陥画素を欠陥画素ブロックの一部とし、さらに、その欠陥画素に隣り合う撮像画素が欠陥画素である場合、その欠陥画素も欠陥画素ブロックの一部とし、この処理を隣り合う撮像画素が欠陥画素でなくなるまで繰り返す。
【0052】
次に、制御部116は、検出した欠陥画素ブロック内に補間不可能な撮像画素があるか否かを判断する(S805)。例えば、制御部116は、欠陥画素ブロック内のある撮像画素を補間するために必要な周囲の複数の撮像画素がすべて欠陥画素や焦点検出用画素であった場合、その撮像画素を補間不可能な欠陥画素であると判断する。また、制御部116は、その撮像画素を補間するために必要な周囲の複数の撮像画素がすべて欠陥画素や焦点検出用画素でない場合、その欠陥画素を補間可能な欠陥画素であると判断する。
【0053】
検出した欠陥画素ブロック内に補間不可能な欠陥画素があると判断した場合(S805がYes)、制御部116は、補間可能評価値をカウントアップして(S806)、ある解析用目標位置に撮像素子127が移動された場合の撮影画像の全画素において、欠陥画素ブロックをすべて検出したか否かを判断する(S807)。
【0054】
欠陥画素ブロックをすべて検出していないと判断した場合(S807がNo)、制御部116は、S804に戻り、次の欠陥画素ブロックを検出する。
【0055】
一方、欠陥画素ブロックをすべて検出したと判断した場合(S807がYes)制御部116は、図4のS305に進み、解析結果としての補間可能評価値を記憶部133に記憶する。
【0056】
そして、制御部116は、記憶部133に記憶される、解析用目標位置毎に記憶される補間可能評価値(上記解析用目標位置毎の解析結果)のうち最も小さい補間可能評価値に対応する解析用目標位置を、図4のS308における最適な目標位置とする。
【0057】
例えば、図6に示すように、撮像素子127の全撮像画素において(1,4)に位置する撮像画素が欠陥画素128であり、かつ、光学部材211の左上端部が(2,2)に位置する撮像画素と重なるような配置パターンで光学部材211が撮像素子127上に配置されている場合、図7に示すように、(2,2)〜(2,7)、(3,2)〜(3,7)、(4,2)〜(4,7)、(5,2)〜(5,7)、(2,14)〜(2,19)、(3,14)〜(3,19)、(4,14)〜(4,19)、(5,14)〜(5,19)にそれぞれ位置する撮像画素が焦点検出用画素(擬似的欠陥画素)129となる。このとき、(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(1,4)、(5,4)、(3,2)、(3,6)にそれぞれ位置する撮像画素となり、これらの撮像画素は、すべて欠陥画素128や焦点検出用画素129であるため、(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間することができない。
【0058】
一方、例えば、図8に示すように、撮像素子127の全撮像画素において(1,4)に位置する撮像画素が欠陥画素128であり、かつ、光学部材211の左上端部が(2,4)に位置する撮像画素と重なるような配置パターンで光学部材211が撮像素子127上に配置されている場合、図9に示すように、(2,4)〜(2,9)、(3,4)〜(3,9)、(4,4)〜(4,9)、(5,4)〜(5,9)、(2,16)〜(2,21)、(3,16)〜(3,21)、(4,16)〜(4,21)、(5,16)〜(5,21)にそれぞれ位置する撮像画素が焦点検出用画素129となる。このとき、(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(1,4)、(5,4)、(3,2)、(3,6)にそれぞれ位置する撮像画素となり、(3,2)に位置する撮像画素が欠陥画素128や焦点検出用画素129ではないため、その(3,2)に位置する撮像画素を使用して(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間することができる。
【0059】
また、例えば、図10に示すように、撮像素子127の全撮像画素において(1,4)、(7,4)にそれぞれ位置する撮像画素が欠陥画素128であり、かつ、光学部材211の左上端部が(2,2)に位置する撮像画素と重なるような配置パターンで光学部材211が撮像素子127上に配置されている場合、図11に示すように、(2,2)〜(2,7)、(3,2)〜(3,7)、(4,2)〜(4,7)、(5,2)〜(5,7)、(2,14)〜(2,19)、(3,14)〜(3,19)、(4,14)〜(4,19)、(5,14)〜(5,19)にそれぞれ位置する撮像画素が焦点検出用画素129となる。このとき、(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(1,4)、(5,4)、(3,2)、(3,6)にそれぞれ位置する撮像画素となる。また、(5,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(3,4)、(7,4)、(5,2)、(5,6)にそれぞれ位置する撮像画素となる。これらの補間に使用される各撮像画素は、すべて欠陥画素128や焦点検出用画素129であるため、(3,4)、(5,4)にそれぞれ位置する焦点検出用画素129の出力を補間することができない。
【0060】
一方、例えば、図12に示すように、撮像素子127の全撮像画素において(1,4)、(7,4)にそれぞれ位置する撮像画素が欠陥画素128であり、かつ、光学部材211の左上端部が撮像素子127の(2,4)に位置する撮像画素と重なるような配置パターンで光学部材211が撮像素子127上に配置されている場合、図13に示すように、(2,4)〜(2,9)、(3,4)〜(3,9)、(4,4)〜(4,9)、(5,4)〜(5,9)、(2,16)〜(2,21)、(3,16)〜(3,21)、(4,16)〜(4,21)、(5,16)〜(5,21)にそれぞれ位置する撮像画素が焦点検出用画素129となる。このとき、(3,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(1,4)、(5,4)、(3,2)、(3,6)にそれぞれ位置する撮像画素となる。また、(5,4)に位置する焦点検出用画素129の出力を補間する際に使用される撮像画素は、(3,4)、(7,4)、(5,2)、(5,6)にそれぞれ位置する撮像画素となる。(3,2)、(5,2)にそれぞれ位置する撮像画素が欠陥画素128や焦点検出用画素129ではないため、(3,4)、(5,4)にそれぞれ位置する擬似的欠陥画素の出力を補間することができる。
【0061】
このように、本実施形態の撮像素子製造装置では、複数の解析用目標位置毎に記憶された補間可能評価値のうち最も小さい補間可能評価値に対応する解析用目標位置を、撮像素子127の最適な目標位置としている。すなわち、光学部材211の複数の配置パターンのうち、欠陥画素や焦点検出用画素によって出力を補間することができない撮像画素の数が最も少なくなるような配置パターンにより、撮像素子127を移動させる構成である。これにより、撮像素子127の複数の撮像画素の一部を焦点検出用画素として使用する場合においても、出力を補間することができなくなる撮像画素の増加を抑えることができるため、撮影画像の画質が低下してしまうことを抑制することができる。また、撮像素子127の歩留まりが向上するため、コストの抑制も期待することができる。
【0062】
次に、撮像素子127に光学部材211を配置する際の制御部116の他の動作を説明する。
【0063】
図14は、撮像素子127に光学部材211を配置する際の制御部116の他の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。なお、光学部材211は、撮像素子127の最適な目標位置が求まるまで(S706)、撮像素子127上に配置しないものとする。
【0064】
処理が開始されると(S701)、まず、制御部116は、撮像素子127の複数の撮像画素において、撮像素子127の製造時に発生した欠陥画素の有無をチェックした後、Xステージ124及びYステージ119のそれぞれの位置の初期化を行う(S702)。例えば、制御部116は、撮像素子127から出力される各画素値のうち、予め設定される規定値以上の画素値を出力している画素を欠陥画素とする。また、例えば、制御部116は、ステージコントロール部121に制御信号を出力して、Xステージ124を予め設定されるX方向の初期位置に移動させるとともに、Yステージ119を予め設定されるY方向の位置に移動させる。
【0065】
次に、制御部116は、画像読み込み部120に撮影指示を出力し、画像読み込み部120から出力される各画素値を記憶部133に記憶する(S703)。
【0066】
次に、制御部116は、記憶部133に記憶した各画素値により、欠陥画素ブロックを検出して、その欠陥画素ブロックの位置を記憶部133に記憶する(S704)。例えば、制御部116は、ある解析用目標位置に撮像素子127が移動された場合の撮像素子127の全画素値を2値化(例えば、正常な撮像画素を0(ゼロ)、欠陥画素を1)し、その2値化した全画素値に基づいて、全画素においてある1つの欠陥画素を検出すると、その欠陥画素を欠陥画素ブロックの一部とし、さらに、その欠陥画素に隣り合う撮像画素が欠陥画素である場合、その欠陥画素も欠陥画素ブロックの一部とし、この処理を隣り合う撮像画素が欠陥画素でなくなるまで繰り返す。
【0067】
次に、制御部116は、光学部材211の複数種類の配置パターンを取得する(S705)。なお、光学部材211の複数種類の配置パターンは、予め記憶部133に記憶されていてもよいし、オペレータによる操作部111の操作により入力されてもよい。
【0068】
次に、制御部116は、その光学部材211の複数種類の配置パターンと、記憶部133に記憶されている欠陥画素ブロックの位置とに基づいて、撮像素子127の最適な目標位置を求める(S706)。
【0069】
次に、制御部116は、その最適な目標位置に撮像素子127を移動させる(S707)。このとき、例えば、制御部116は、1画素ずつ又は所定数の画素ずつ撮像素子127を移動させる。
【0070】
次に、制御部116は、移動後の撮像素子127を仮固定した後、撮像素子127と光学部材211との間の熱硬化性接着剤を加熱して熱硬化性接着剤を軟化させた後、その熱硬化性接着剤を冷却して熱硬化性接着剤を硬化させることにより、撮像素子127と光学部材211を接着させる(S708)。
【0071】
そして、制御部116は、画像読み込み部120から出力される各画素値に基づいて、撮像素子127の電気的な最終チェックを行って終了する(S709)。
【0072】
次に、図14のS706の動作について説明する。
【0073】
図15は、図14のS706の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0074】
まず、制御部116は、図5のS703で記憶部133に記憶した各画素値を2つの閾値th1,th2(th1<th2)を用いて2値化する(S1002)。例えば、制御部116は、画素値をPとするとき、th1<P<th2の範囲の画素を出力する画素は正常な画素として0(ゼロ)、それ以外の画素は欠陥画素として1とする。
【0075】
次に、制御部116は、2値化した各画素値からなる撮影画像の位置と光学部材211の位置をそれぞれ予め決められている初期位置に設定する(S1003)。
【0076】
次に、制御部116は、撮像画像と光学部材211との互いの位置関係に基づいて、再度撮像画像を2値化する(S1004)。例えば、制御部116は、初期位置に設定された撮影画像を構成する各画素値において、初期位置に設定された光学部材211と重ならない画素値を正常な画素として0(ゼロ)、初期位置に設定された光学部材211と重なる画素値を欠陥画素として1とする。
【0077】
次に、制御部116は、補間可能評価値を初期化する(S1005)。
【0078】
次に、制御部116は、S1004で2値化した各画素値を用いて、欠陥画素ブロックを検出する(S1006)。例えば、制御部116は、ある解析用目標位置に撮像素子127が移動された場合の撮像素子127の全画素において、1つの欠陥画素を検出すると、その欠陥画素を欠陥画素ブロックの一部とし、さらに、その欠陥画素に隣り合う撮像画素が欠陥画素である場合、その欠陥画素も欠陥画素ブロックの一部とし、この処理を隣り合う撮像画素が欠陥画素でなくなるまで繰り返す。
【0079】
次に、制御部116は、検出した欠陥画素ブロック内に補間不可能な撮像画素があるか否かを判断する(S1007)。例えば、制御部116は、欠陥画素ブロック内のある撮像画素を補間するために必要な周囲の複数の撮像画素がすべて欠陥画素や焦点検出用画素であった場合、その撮像画素を補間不可能な欠陥画素であると判断する。また、制御部116は、その撮像画素を補間するために必要な周囲の複数の撮像画素がすべて欠陥画素や焦点検出用画素でない場合、その欠陥画素を補間可能な欠陥画素であると判断する。
【0080】
検出した欠陥画素ブロック内に補間不可能な欠陥画素があると判断した場合(S1007がYes)、制御部116は、補間可能評価値をカウントアップして(S1008)、ある解析用目標位置に撮像素子127が移動された場合の撮影画像の全画素において、欠陥画素ブロックをすべて検出したか否かを判断する(S1009)。
【0081】
欠陥画素ブロックをすべて検出していないと判断した場合(S1009がNo)、制御部116は、S1006に戻り、次の欠陥画素ブロックを検出する。
【0082】
一方、欠陥画素ブロックをすべて検出したと判断した場合(S1009がYes)制御部116は、補間可能評価値を記憶部133に記憶する(S1010)。
【0083】
次に、制御部116は、予め設定される複数の解析用目標位置のうちの次の解析用目標位置に撮像素子127を移動させた場合の2値化された撮影画像を求める(S1011)。
【0084】
次に、制御部116は、すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させて2値化された撮影画像を求めたか否かを判断する(S1012)。
【0085】
すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させて2値化された撮影画像を求めていないと判断した場合(S1012がNo)、制御部116は、S1004に戻る。
【0086】
一方、すべての解析用目標位置に撮像素子127を移動させて2値化された撮影画像を求めたと判断した場合(S1012がYes)、制御部116は、記憶部133に記憶されている、解析用目標位置毎の解析結果に基づいて、最適な目標位置を求める(S1013)。例えば、制御部116は、記憶部133に記憶される、解析用目標位置毎に記憶される補間可能評価値(上記解析用目標位置毎の解析結果)のうち最も小さい補間可能評価値に対応する解析用目標位置を最適な目標位置とする。
【0087】
そして、制御部116は、図14のS707に進む。
【0088】
このように、焦点検出用画素上に光学部材211が配置されていると仮定(シミュレーション)した状態において、欠陥画素又は焦点検出用画素によって出力を補間することができない撮像画素ブロックの数を求め、その数が最も少ないときの光学部材211の配置パターンとなるように、撮像素子127を移動させるようにしてもよい。
【0089】
このように構成しても、出力を補間することができなくなる撮像画素の増加を抑えることができるため、撮影画像の画質が低下してしまうことを抑制することができる。
【0090】
なお、上記実施形態では、欠陥画素ブロックに補間不可能な撮像素子が含まれている場合に、補間可能評価値をカウントアップする構成であるが、全撮像画素における補間不可能な撮像素子の数を補間可能評価値としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
111 操作部
112 表示部
113 装置制御部
116 制御部
117 光源
119 Yステージ
120 画像読み込み部
121 ステージコントロール部
122 電源ドライバ
123 Yステージモータ
124 Xステージ
125 電源ドライバ
126 Xステージモータ
127 撮像素子
128 欠陥画素
129 焦点検出用画素
130 欠陥画素検出部
131 解析部
132 指示出力部
133 記憶部
211 光学部材
212 遮光マスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子において二次元状に配置された複数の撮像画素の一部の焦点検出用画素上に光学部材を配置する撮像素子製造装置であって、
前記複数の撮像画素のうち、欠陥画素を検出する欠陥画素検出手段と、
前記光学部材の複数の配置パターンのうち、前記欠陥画素又は前記焦点検出用画素によって出力を補間することができない前記撮像画素の数が最も少ない配置パターンを求める解析手段と、
前記解析手段により求められた配置パターンで前記光学部材が配置されるように、前記光学部材に対する前記撮像素子の位置を調整する位置調整手段と、
を備える撮像素子製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子製造装置であって、
前記解析手段は、前記焦点検出用画素上に前記光学部材が配置されている状態において、前記欠陥画素又は前記焦点検出用画素によって出力を補間することができない前記撮像画素の数を求める
ことを特徴とする撮像素子製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像素子製造装置であって、
前記解析手段は、前記焦点検出用画素上に前記光学部材が配置されていると仮定した状態において、前記欠陥画素又は前記焦点検出用画素によって出力を補間することができない前記撮像画素の数を求める
ことを特徴とする撮像素子製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像素子製造装置であって、
前記解析手段は、前記欠陥画素又は前記焦点検出用画素によって出力を補間することができない前記撮像画素の数が最も少ない配置パターンを求める際、前記撮像素子を1画素ずつ移動させる
ことを特徴とする撮像素子製造装置。


【図4】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−147338(P2012−147338A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5292(P2011−5292)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】